JP2000228979A - α1,4−N−アセチルヘキソサミン転移酵素 - Google Patents

α1,4−N−アセチルヘキソサミン転移酵素

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JP2000228979A JP11031478A JP3147899A JP2000228979A JP 2000228979 A JP2000228979 A JP 2000228979A JP 11031478 A JP11031478 A JP 11031478A JP 3147899 A JP3147899 A JP 3147899A JP 2000228979 A JP2000228979 A JP 2000228979A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】グリコサミノグリカンの生合成において重要な
酵素である可能性があるα1,4-N-アセチルヘキソサミン
転移酵素を提供する。 【解決手段】 α1,4-N-アセチルガラクトサミン転移酵
素活性及びα1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素活性
を併有し、グリコサミノグリカン−タンパク質結合構造
に対応する構造を有する物質を受容体基質とするα1,4-
N-アセチルヘキソサミン転移酵素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α1,4-N-アセチル
ヘキソサミン転移酵素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヘパリン/ヘパラン硫酸およびコンドロ
イチン硫酸/デルマタン硫酸などの硫酸化されたグリコ
サミノグリカン(GAG)は、多くの細胞の表面や実際上全
ての組織の細胞外マトリックスに存在するプロテオグリ
カンとして合成される。GAGは、それぞれの対応するコ
アタンパク質のセリン残基(Ser)に、共通のGAG-タンパ
ク質結合構造(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Se
r)を介して共有結合している。硫酸化GAGの、細胞増
殖、細胞分化および組織形態形成の調節および維持との
密接な関連は、特定の糖配列により媒介される種々のタ
ンパク質と相互作用するGAGの生物学的活性によるもの
である。上記の結合構造の合成は、コアタンパク質の特
定のセリン残基へのキシロース残基(Xyl)の付加によっ
て始まり、次いで、2つのガラクトース残基(Gal)の付
加、そして、グルクロン酸残基(GlcA)の付加により完了
する。GAGは、この結合構造に、N-アセチルヘキソサミ
ン残基およびGlcAが交互に付加されることによって構築
される。ヘパリン/ヘパラン硫酸は、共通結合構造にGl
cNAcが転移されると合成され、一方、コンドロイチン硫
酸は、GalNAcが最初に付加されると合成される。しかし
ながら、異なるGAG鎖の生合成における類別機構は不明
のままである。各糖の付加は、特異的な糖転移酵素によ
り触媒されると考えられている(Lindahl, U., et al.
(1972) in Glycoprotein (Gottschalk, A., ed)pp.491-
517, Elsevier, New York; Roden, L. (1980) in The B
iochemistry of Glycoproteins and Proteoglycans (Le
nnarz, W.J., ed) pp.267-371, Plenum Publishing, Ne
w York)。これらの線状GAG重合体を合成するには少な
くとも8つの異なる種類の糖転移酵素が必要であるが、
現在までにクローン化されているのは、GlcAをGAG-タン
パク質結合構造に転移するGlcA転移酵素I(Kitagawa,
H., et al. (1998) J. Biol. Chem. 273, 6615-6618)
並びにGlcA転移反応およびGlcNAc転移反応の両方を触媒
するヘパラン硫酸ポリメラーゼ(Lind, T., et al. (19
98) J. Biol. Chem. 273, 26265-26268)の2つのみで
ある。なお、ウシのヘパラン硫酸ポリメラーゼは、がん
抑制因子の多発性遺伝性外骨腫症(EXT)遺伝子ファミリ
ーのヒトEXT2に94%の相同性を有するタンパク質である
ことが示されている。
【0003】EXTは、多発性外骨腫症、すなわち、骨格
異常および低身長を導くことのある、長幹骨に主に現れ
る軟骨端骨格増殖(cartilage-capped skeletal excresc
ences)の存在を特徴とする常染色体優性疾患である(So
lomon, L. (1964) Am. J. Hum. Genet. 16, 351-36
3)。外骨腫症は、病理的には、良性骨腫瘍である骨軟
骨腫を示すけれども、軟骨肉腫や骨肉腫への悪性転換
が、EXT患者の約2%に起こっている(Solomon, L. (196
4) Am. J. Hum. Genet. 16, 351-363; Schmale, G.A.,
etal. (1994) J. Bone Jt. Surg. 76, 986-992)。この
疾患の遺伝的連鎖は、染色体8q24.1(EXT1)、11p11-13(E
XT2)および19pの3つの独立した座位に特定されている
(Cook, A., et al. (1993) Am. J. Hum. Genet. 53, 7
1-79; Wu, Y., et al. (1994) Hum. Mol. Genet. 3, 16
7-171; Le Merrer, M., et al. (1994) Hum. Mol. Gene
t. 3, 717-722)。このファミリーのEXT遺伝子は、EXT
遺伝子と高い相同性を示す、3つの別のEXT様遺伝子、
すなわち、EXTL1、EXTL2/EXTR2およびEXTL3/EXTR1の同
定により拡大されている(Wuyts, W., et al. (1997) E
ur. J. Hum. Genet. 5, 382-389; Saito, T., et al.
(1998) Biochem. Biophys.Res. Commun. 243, 61-66; W
ise C. A., et al. (1997) Genome Res. 7, 10-16; Van
Hul, W. et al. (1998) Genomics 47, 230-237)。散
発性の外骨腫症由来軟骨肉腫は、EXT1およびEXT2の座位
のマーカーの異型接合の喪失に帰することができること
が示されており(Hecht, J. T., et al. (1995) Am. J.
Hum. Genet.56, 1125-1131; Raskind, W. H., et al.
(1995) Am. J. Hum. Genet. 56, 1132-1139)、このこ
とは、EXTに関与する遺伝子ががん抑制遺伝子である可
能性を示す。従って、EXT1、EXT2および3つのEXT様遺
伝子の遺伝子産物は、がん抑制活性を持つ可能性がある
新しいファミリーのタンパク質と考えられる。
【0004】ヘパリン/ヘパラン硫酸とコンドロイチン
硫酸/デルマタン硫酸の生合成における類別に関与する
重要な酵素、すなわち、β-GalNAcの共通結合構造への
転移を触媒するβ-GalNAc転移酵素の探索では、プロテ
オグリカン由来の四糖−セリン(GlcAβ1-3Galβ1-3Gal
β1-4Xylβ1-O-Ser)へのGalNAcの転移を触媒するα-N-
アセチルガラクトサミン転移酵素がウシ胎児血清および
マウス肥満細胞で見い出されている(Kitagawa, H., et
al. (1995) J. Biol. Chem. 270, 22190-22195; Lidho
lt, K., et al. (1997) Glycoconjugate J. 14, 737-74
2)。しかしながら、これらの酵素の精製および詳細な
特性評価は行われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、GAG
の生合成において重要な酵素である可能性があるα1,4-
N-アセチルヘキソサミン転移酵素を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒト肉腫
細胞系(悪性線維性組織球腫)の無血清培養培地にα-N
-アセチルガラクトサミン転移活性を見い出すととも
に、この活性を有する酵素を無血清培養培地から精製す
ることに成功し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、α1,4-N-アセチルガラ
クトサミン転移酵素活性及びα1,4-N-アセチルグルコサ
ミン転移酵素活性を併有し、下記(1)の酵素学的性質を
有するα1,4-N-アセチルヘキソサミン転移酵素(以下、
本発明酵素ともいう)を提供する。 (1)作用・基質特異性:N-アセチルガラクトサミン供与
体(GalNAc供与体)から、下記式で示される物質の非還元
末端にN-アセチルガラクトサミン残基(GalNAc)を転移す
る。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
nemethanol) ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser ・GlcAβ1-3GalNAc ・GlcAβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer 下記式で示される物質の非還元末端にはGalNAcを実質的
に転移しない。 ・GlcA(3-O-sulfate)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-
4Glcβ1-1Cer N-アセチルグルコサミン供与体(GlcNAc供与体)から、下
記式で示される物質の非還元末端にN-アセチルグルコサ
ミン残基(GlcNAc)を転移する。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
nemethanol) 下記式で示される物質の非還元末端にはGlcNAcを実質的
に転移しない。 ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser (式中、GlcAはグルクロン酸残基、Galはガラクトース
残基、Xylはキシロース残基、GlcNAcはN-アセチルグル
コサミン残基、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン残
基、Serはセリン残基、Cerはセラミド残基を示し、3-O-
sulfateは3位の水酸基が硫酸化されていることを示
す。)
【0008】本発明酵素は、好ましくは、さらに下記
(2)および(3)の酵素学的性質を有する。 (2)活性化:酵素反応に二価陽イオンを必要とする(GlcA
β1-3GalNAcを受容体として用い、GalNAc転移酵素活性
について調べた場合) (3)至適pH: ・pH約6.5(50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン
酸(MES)緩衝液を用い、GalNAc転移酵素活性について調
べた場合) ・pH約7.4(トリス−塩酸緩衝液を用い、GalNAc転
移酵素活性について調べた場合)
【0009】本発明酵素は、さらに好ましくは、さらに
下記(4)の酵素学的性質を有する。 (4)GalNAc転移酵素活性についてのミカエリス定数(K
m): 約1060μM(N-アセチルコンドロシン(GlcAβ1-3GalNAc)) 約188μM(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser) 約27μM(UDP-GalNAc)
【0010】本発明酵素は、好ましくは、アミノ末端の
アミノ酸配列が配列番号1で示されるものである。本発
明酵素は、好ましくは、ヒト由来である。
【0011】本発明は、また、精製された本発明酵素の
酵素を含む画分を提供する。本発明は、さらにまた、配
列番号2に示すアミノ酸配列のうちアミノ酸番号58〜
330のアミノ酸配列からなるポリペプチドと、インシ
ュリンシグナル配列およびプロテインAのIgG結合ドメ
インのアミノ酸配列からなるポリペプチドとの融合ポリ
ペプチドを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本発明酵素は、α1,4-N-アセチルガラクトサミ
ン転移酵素(以下、α-GalNAcTともいう)活性及びα1,
4-N-アセチルグルコサミン転移酵素(以下、GlcNAcTと
もいう)活性を併有する。なお、α1,4-N-アセチルガラ
クトサミン転移酵素においては、その酵素の作用により
N-アセチルガラクトサミン残基の転移が起こる供与体基
質と受容体基質とが存在する。また、α1,4-N-アセチル
グルコサミン転移酵素においては、その酵素の作用によ
りN-アセチルグルコサミン残基の転移が起こる供与体基
質と受容体基質が存在する。従って、本発明酵素におい
ては、α-GalNAcTとGlcNAcTについての供与体基質と受
容体基質が存在する。
【0013】上記活性は、例えば、以下の標準測定条件
により測定できる。すなわち、標準アッセイ溶液は、総
容量35μlで、50 mM MES緩衝液, pH 6.5中に、2μlの酵
素溶液、1〜250 nmolの受容体基質(例えば5 nmolのN-
アセチルコンドロシン)、0.86〜85.7μMの3H標識供与
体基質(例えば、8.57μM UDP-[3H]GalNAc (5.28×105 d
pm)または8.57μM UDP-[3H]GlcNAc (5.5×105 dpm))、
20 mM MnCl2、171μMATPを含む。この反応液を37℃で4
時間インキュベートし、次いで1 mlの5 mMリン酸ナトリ
ウム, pH 6.8で希釈する。3H標識生成物を3H標識供与体
基質から分離する(例えば、反応液をDowex 1-X8 (PO4
2-, 100〜400メッシュ: Bio-Rad)を通過させて、3H標識
生成物をUDP-[3H]GalNAcまたはUDP-[3H]GlcNAcから分離
する(Kitagawa, H., et al. (1997) Glycobiology 7,
531-537))。単離された生成物をシンチレーションス
ペクトロフォトメーターで定量する。受容体基質へのネ
ットの[3H]GalNAcまたは[3H]GlcNAc取り込み(転移酵素
活性)は、受容体基質なしでのブランク値を差し引くこ
とで求める。
【0014】本発明酵素は、下記(1)の酵素学的性質を
有する。 (1)作用・基質特異性:N-アセチルガラクトサミン供与
体(GalNAc供与体)から、下記式で示される物質(GalNAc
受容体)の非還元末端にN-アセチルガラクトサミン残基
(GalNAc)を転移する。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
nemethanol) ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser ・GlcAβ1-3GalNAc ・GlcAβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer 下記式で示される物質の非還元末端にはGalNAcを実質的
に転移しない。 ・GlcA(3-O-sulfate)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-
4Glcβ1-1Cer N-アセチルグルコサミン供与体(GlcNAc供与体)から、下
記式で示される物質(GlcNAc受容体)の非還元末端にN-
アセチルグルコサミン残基(GlcNAc)を転移する。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
nemethanol) 下記式で示される物質の非還元末端にはGlcNAcを実質的
に転移しない。 ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser (式中、GlcAはグルクロン酸残基、Galはガラクトース
残基、Xylはキシロース残基、GlcNAcはN-アセチルグル
コサミン残基、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン残
基、Serはセリン残基、Cerはセラミド残基を示し、3-O-
sulfateは3位の水酸基が硫酸化されていることを示
す。)
【0015】また、GalNAc供与体としては、UDP-GalNAc
を用いることができ、GlcNAc供与体としては、UDP-GlcN
Acを用いることができる。
【0016】上記の作用・基質特異性は、上記の標準測
定条件において、上記の供与体基質および受容体基質を
用いることにより測定できる。
【0017】本発明酵素は、好ましくは、さらに下記
(2)および(3)の酵素学的性質を有する。 (2)活性化:酵素反応に二価陽イオンを必要とする(GlcA
β1-3GalNAcを受容体として用い、GalNAc転移酵素活性
について調べた場合) (3)至適pH: ・pH約6.5(50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン
酸(MES)緩衝液を用い、GalNAc転移酵素活性について調
べた場合) ・pH約7.4(トリス−塩酸緩衝液を用い、GalNAc転
移酵素活性について調べた場合)
【0018】これらの活性化および至適pHは、上記の
標準測定条件において、20 mM MnCl 2を他の2価陽イオ
ンを生じる物質に置き換えることによって、また、50 m
M MES緩衝液, pH 6.5を他の緩衝液に置き換えることに
よって測定できる。
【0019】本発明酵素は、さらに好ましくは、さらに
下記(4)の酵素学的性質を有する。 (4)GalNAc転移酵素活性についてのミカエリス定数(K
m): 約1060μM(N-アセチルコンドロシン(GlcAβ1-3GalNAc)) 約188μM(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser) 約27μM(UDP-GalNAc)
【0020】このミカエリス定数は、上記の標準測定条
件において、基質の濃度を変化させて活性を測定するこ
とによって測定できる。
【0021】また、本発明酵素をSDS-ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動に付すと、38 kDa付近に主要なバンドが
検出される。
【0022】本発明酵素としては、配列番号2に示すア
ミノ酸配列を有するものが挙げられる。配列番号2に示
すアミノ酸配列においては、天然または人工の変異体に
存在しうる、上記酵素学的性質に実質的に影響しない1
または数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入または転移が
あってもよく、このようなアミノ酸配列を有するものも
本発明酵素に含まれる。本明細書における「アミノ酸の
数個」とは該酵素の酵素学的性質が変化しない程度の変
異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、通常には全ア
ミノ酸数の5%以下の数である。本発明酵素の酵素学的
性質は上述の方法により測定することが可能であり、当
業者であれば、目的とする酵素学的性質を指標として、
該酵素学的性質に実質的に影響しない1つ以上のアミノ
酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を容易に選択するこ
とができる。
【0023】また、配列番号2に示すアミノ酸配列に
は、N末端側に膜貫通ドメインと考えられる配列が含ま
れており、このような上記酵素学的性質に実質的に影響
しない部分はなくてもよい。膜貫通ドメインを欠失した
酵素は可溶性形態になり、試薬等として使用するのに有
利である。このような可溶性形態の本発明酵素として
は、アミノ末端のアミノ酸配列が配列番号1で示される
ものがある。本発明酵素は、好ましくは、ヒト由来であ
る。
【0024】本発明酵素は、後記実施例に記載したよう
に、本発明によって初めて精製され、その酵素学的性質
および遺伝子が同定されたものである。
【0025】従って、本発明酵素を含む試料から、同定
された酵素学的性質を指標にして、酵素の精製に一般に
使用される技術により精製し、精製された本発明酵素を
含む画分を得ることが可能である。
【0026】本明細書において「精製された画分」と
は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動でほぼ均一に
精製された画分を意味し、好ましくはさらに、後記実施
例2に記載された条件で測定して1300μIU/mg(タンパ
ク質)以上の比活性を有する画分を意味する。
【0027】本発明酵素の精製方法としては、本発明酵
素を含む試料(例えば、悪性ヒト繊維性組織球腫細胞系
の培養上清)から、フェニルセファロース、ヘパリンセ
ファロースおよびUDP-ヘキサノールアミンセファロース
(これらの樹脂はAmersham Pharmacia BiotechおよびSi
gmaから入手可能である)を用いたクロマトグラフィー
の組合せによって精製する方法が挙げられる。
【0028】また、本発明により遺伝子が明らかにされ
たので、その塩基配列の一部分に基づいて作成したオリ
ゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラー
ゼ・チェイン・リアクション法)によって染色体DNAあ
るいはmRNAから本発明酵素をコードするDNAを増幅し、
そのDNAで適当な宿主を形質転換し、その宿主の培養物
から本発明酵素を採取することによって本発明酵素を取
得することも可能である。
【0029】本発明酵素の遺伝子の塩基配列としては、
GenBankにAccession No. AB009284またはAF000416とし
て登録されている配列が挙げられる。この塩基配列に基
づいて作成されるプライマーとしては、配列番号3およ
び4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げ
られる。
【0030】形質転換は、公知の発現ベクターに上記DN
Aのフラグメントを挿入して組換えプラスミドを構築
し、この組換えプラスミドを用いて行うことができる。
宿主としては大腸菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、
哺乳類細胞等の真核細胞が例示される。
【0031】この際には、タンパク質の製造に通常用い
られる宿主−ベクター系を使用することができ、例え
ば、COS-1細胞等の哺乳類由来の培養細胞とpSVL(Amersh
am Pharmacia Biotech)等の哺乳類細胞用発現ベクター
との組み合わせを採用することができる。培地や培養条
件は、用いる宿主すなわち細胞に合わせて適宜選択され
る。
【0032】このDNAは直接発現させてもよいし、他の
ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして発現させても
よい。また、このDNAは全長を発現させてもよいし、一
部を部分ペプチドとして発現させてもよい。
【0033】培養物からの本発明酵素の採取は、上述の
精製方法によって行うことができる。なお培養物には、
培地および当該培地中の細胞が包含される。
【0034】他のポリペプチドとの融合ポリペプチドと
して発現させた場合には、他のポリペプチドに基づいて
精製を行うことができる。例えば、他のポリペプチドと
して、プロテインAのIgG結合ドメインを用いた場合に
は、IgGセファロース(Amersham Pharmacia Biotech)に
吸着させることによって精製が可能である。
【0035】このような融合ポリペプチドとしては、配
列番号2に示すアミノ酸配列のうちアミノ酸番号58〜
330のアミノ酸配列からなるポリペプチドと、インシ
ュリンシグナル配列およびプロテインAのIgG結合ドメ
インのアミノ酸配列からなるポリペプチドとの融合ポリ
ペプチドが挙げられる。この融合ポリペプチドは、ヒト
胎児肝臓cDNA(CLONETECH)をテンプレートとし、配列番
号3に示す塩基配列を有する5'プライマーおよび配列番
号4に示す塩基配列を有する3'プライマーを用いてPCR
を行い、PCRフラグメントを、pGIR201protA(Kitagawa,
H., et al. (1994) J. Biol. Chem. 269, 1394-1401)
のBamHI部位にサブクローニングし、このベクターに存
在するインシュリンシグナル配列およびプロテインAの
IgG結合ドメインにα-GalNAcTが融合したポリペプチド
をコードする配列を作成し、融合ポリペプチドをコード
する配列を含むフラグメントを適当な発現ベクターに挿
入し、適当な宿主を形質転換し、その宿主の培養物から
採取することにより得ることができる。
【0036】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【0037】
【実施例1】 α-GalNAcTの部分精製、反応生成物の分
析およびα-GalNAcTの特性評価 (1) α-GalNAcTの部分精製 ヒト悪性繊維性組織球腫細胞(MFH-7細胞、滋賀医科大
学医学部臨床検査医学科、岡部博士により樹立されたも
の)を、10%(v/v)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地
で培養した。細胞がコンフルエンスに達した後、無血清
培地Media I (IBL)で3日間培養した。その後、培養培
地を3日毎に新しいMedia Iで置き換え、Media Iでの培
養を15日間続けた。使用したMedia Iをプールし、10,
000×gで10分間遠心分離し、細胞片を除いた。上清に、
(NH4)2SO4およびグリセロールをそれぞれ1.0 Mおよび10
%(v/v)の最終濃度になるように加えた。培養上清のαGa
lNAc活性は約2 mIU/L、総タンパク質濃度は0.167 g/Lで
あった。この培養上清(1 L)を、1.0 M (NH4)2SO4を含
む、10 mM MES-NaOH, pH 6.5 (バッファーA)中の10
%グリセロール溶液で平衡化したフェニルセファロース
(Amersham PharmaciaBiotech)のカラム(15.0 ml)にアプ
ライし、150 mlの0.6 M (NH4)2SO4を含むバッファーA
で洗浄し、45 mlのバッファーAで溶出した。クロマト
グラフィーは2回行った。2回のクロマトグラフィーか
ら得られた溶出液を合わせ、Centriplus-50濃縮装置(Am
icon Inc.)を用いて、濃縮し、15 mlの0.15 M NaClを含
むバッファーAに対して透析した。得られた調製物のα
-GalNAcT活性は約143 mIU/L、総タンパク質濃度は39.1
g/Lであった。従って、比活性は、1.2 mIU/gから3.8 mI
U/gへ約3倍上昇した。この調製物を用いて以下の反応
生成物の分析を行った。
【0038】なお、特記しない限り、α-GalNAcT活性の
測定には、以下の標準測定条件を用いた。標準アッセイ
溶液は、総容量35μlで、50 mM MES緩衝液, pH 6.5中
に、2μlの酵素溶液、5 nmolのN-アセチルコンドロシ
ン、8.57μM UDP-[3H]GalNAc (5.28×105 dpm)、20 mM
MnCl2、171μM ATPを含むものとした。ATPはUDP-GalNAc
の酵素的分解を防ぐために加えた。この反応液は37℃で
4時間インキュベートし、次いで1 mlの5 mMリン酸ナト
リウム, pH 6.8で希釈した。反応液をDowex 1-X8(P
O4 2-, 100〜400メッシュ: Bio-Rad)を通過させて、3H標
識生成物をUDP-[3H]GalNAcから分離した(Kitagawa,
H., et al. (1997) Glycobiology 7, 531-537)。単離
された生成物をシンチレーションスペクトロフォトメー
ターで定量した。受容体基質へのネットの[3H]GalNAc取
り込みは、受容体基質なしでのブランク値を差し引くこ
とで求めた。この条件におけるα-GalNAcT活性の測定で
は、N-アセチルコンドロシンへのGalNAc取り込みは、8
時間までインキュベーション時間に比例していることが
確認されている(図1)。
【0039】(2) 反応生成物の分析 四糖-セリン(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Se
r)を受容体として、上記(1)で調製されたα-GalNAcT調
製物を反応させた。反応液の組成は、総容量625μlで、
100 mM MES緩衝液, pH 6.5中に、25 nmolの四糖-セリ
ン、200μM UDP-[3H]GalNAc (5.04×106 dpm)、20 mM M
nCl2、1 mM ATPおよび175μlの酵素溶液(25μIUに相
当)であった。反応液を37℃で20時間インキュベート
し、試験管を沸騰水に1分間浸すことによって反応を停
止させた。反応液を、0.25 M NH4HCO3/7% 1-プロパノー
ルで平衡化したSuperdex 30カラム(1.6×60 cm)でのゲ
ル濾過に付した。流速1.0 ml/minで画分(各1 ml)を回
収し、放射活性を測定した。結果を図2に示す。黒丸
は、四糖-セリンの存在下での反応生成物、白丸は、四
糖-セリン非存在下での反応生成物を示す。α-GalNAcT
反応生成物に相当する放射活性ピーク(図2中、バーで
示す)をプールし、蒸発乾固して脱塩し、水に再溶解し
た。
【0040】得られた反応生成物(約12 nmol)につい
て、凍結乾燥によりD2Oへの交換を行った。1H NMRスペ
クトルを、26℃でナノプローブを用いてVarian VXR-500
により測定した。ケミカルシフトは、4,4-ジメチル-4-
シラペンタン-1-スルホン酸ナトリウムに対する値で求
めたが、実際の標準としてはアセトン(δ2.225 D2O中)
を用いた。
【0041】得られた一次元スペクトルを図3に示す。
δ4.5〜5.5 ppmのシグナルは、合成基準化合物GalNAcα
1-4GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-SerのNMRスペ
クトル(Tamura, J., et al. (1996) Liebigs Ann., 12
39-1257)との比較から構成糖のH-1の共鳴に帰属され
た。一次元スペクトルのプロトンシグナルは、二次元CO
SYスペクトルを用いて帰属された。生成物のNMRデータ
は、上記合成基準化合物のデータと一致した。従って、
α-GalNAcTは、UDP-GalNAcからGalNAcを受容体分子の非
還元末端β結合GlcAに、α1,4結合により転移できるこ
とが確認された。従って、α-GalNAcTは、UDP-GalNAc:G
lcAβ-Rα1,4-N-アセチルガラクトサミン転移酵素とも
呼ぶことができる。
【0042】(3) α-GalNAcTの特性評価 上記の標準測定条件において緩衝液とpHを変えることに
より、緩衝液とpHの影響を調べた結果を図4に示す。
図4中、黒三角は酢酸ナトリウム緩衝液、白四角はカコ
ジル酸ナトリウム緩衝液、黒丸はMES-NaOH緩衝液、白丸
はイミダゾール-HCl緩衝液、白三角はTris-HCl緩衝液を
示す。各緩衝液は50 mMの最終濃度で用いた。この結
果、至適pHは、MES-緩衝液を用いた場合には約6.5、T
ris-HCl緩衝液を用いた場合には約7.4であった。
【0043】上記の標準測定条件において20 mM MnCl2
を種々の2価陽イオンを生じる物質に置き換え、また、
濃度を変えることにより、2価陽イオンの影響を調べた
結果を図5に示す。図5のAは、最終濃度10 mMの種々
の2価陽イオンおよびEDTAの存在下での活性を示す。活
性には2価陽イオンが必要であり、10 mM EDTAの存在に
より活性が失われた。Mn2+が最も高い活性を示し、Co2+
はMn2+の40%の活性を示した。図5のBは、MnCl2
濃度の影響を示す。Mn2+の至適濃度は約20 mMであっ
た。
【0044】上記の標準条件において、種々の基質(受
容体基質および供与体基質)の濃度を変えることによ
り、基質の影響を調べた結果を図6に示す。図6のA
は、N-アセチルコンドロシン、Bは、UDP-GalNAc、C
は、四糖-セリン(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O
-Ser)を用いた場合を示す。これらの受容体基質のミカ
エリス定数(Km)は、N-アセチルコンドロイシンについて
約1060μM、UDP-GalNAcについて約27μM、四糖-セリン
について約188μMであった。
【0045】なお、特性評価における各試験は独立して
2回行われ、これらの実験の結果は実質的に同じであっ
た。
【0046】
【実施例2】 α-GalNAcTの精製およびN末端アミノ酸
配列決定 (1) α-GalNAcTの精製 実施例1と同様にして、フェニルセファロース溶出画分
を得た。得られたフェニルセファロース溶出画分を、20
%グリシン、0.15 M NaCl、50 mM MES-NaOH, pH 6.5(バ
ッファーB)で平衡化したヘパリンセファロース(Amers
ham Pharmacia Biotech)のカラム(1 ml)にアプライし、
0.15 M NaClを含むバッファーBで洗浄し、0.3 M NaCl
を含むバッファーBで溶出した。溶出液をCentriplus-5
0濃縮装置(Amicon Inc.)を用いて、濃縮し、10 mM MnCl
2を含むバッファーBに対して透析した。
【0047】得られたヘパリンセファロース溶出画分
を、10 mM MnCl2を含むバッファーBで平衡化したUDP-
ヘキサノールアミンセファロースのカラム(0.5 ml)にア
プライし、10 mM MnCl2を含むバッファーBで洗浄し、2
mM EDTAを含むバッファーBで溶出した。溶出液をCent
riplus-50濃縮装置(Amicon Inc.)を用いて、濃縮し、4m
M MnCl2を含むバッファーBに対して透析した。これをU
DP-ヘキサノールアミンセファロース画分とした。
【0048】各精製ステップの結果を表1に示す。α-G
alNAcT活性は上記の標準測定条件で測定した。タンパク
質は、BCA protein assay kit (Pierce社)を用い、ウシ
血清アルブミン(BSA)を標準として測定した。但し、UDP
-ヘキサノールアミンセファロース画分については、SDS
ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、クマシーブリリア
ントブルーによる染色の程度を、標準(BSA)と比較す
ることにより推定した。
【0049】
【表1】 表1 ───────────────────────────────── 画分 タンパク質 活性収率 比活性 精製度 mg % μIU/mg 倍 ───────────────────────────────── 培養上清 167 100 1.1 1 フェニルセファロース 41 67 2.8 2.5 ヘパリンセファロース 4 30 13 12 UDP-ヘキサノールアミンセファロース <0.004 3 >1300 >1200 ─────────────────────────────────
【0050】得られたUDP-ヘキサノールアミンセファロ
ース画分を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に
付し、ポリビニリデンジフルオリド膜(Bio-Rad)に転写
し、分離したタンパク質バンドをクマシーブリリアント
ブルー(Sigma)で染色した。この結果、38 kDaの主要タ
ンパク質バンドが検出され、α-GalNAcTはほぼ均一にま
で精製されたことが分かった。
【0051】(2) N末端アミノ酸配列分析 上記(1)で得られた主要タンパク質バンドを含む膜片を
切り出し、N末端アミノ酸配列分析(Takara Shuzo Co.)
に付した。決定されたアミノ酸配列を配列番号1に示
す。このアミノ酸配列は、30アミノ酸残基からなり、
データベース検索の結果、同定できなかった第21番目の
アミノ酸残基を除いて、EXTL2/EXTR2(Wuyts, W., et a
l. (1997) Eur. J. Hum. Genet. 5, 382-389; Saito,
T., et al.(1998) Biochem. Biophys. Res. Commun. 24
3, 61-66)にコードされるアミノ酸配列の第54番目〜第
83番目のアミノ酸残基に完全に一致した(図7)。同定
できなかったアミノ酸残基(図7中、X)は、EXTL2/EXTR2
のアミノ酸配列では、N-グリコシル化可能部位(図7
中、*を付した)に相当するものであり、グリコシル化
されていたものと考えられる。
【0052】EXTL2/EXTR2の塩基配列は、一つのN-グリ
コシル化可能部位を含む330アミノ酸からなるタンパク
質をコードする990 bpの単一のオープンリーディングフ
レームを有する。これは、これまでにクローン化されて
いる多くの他の糖転移酵素の特徴であるII型の膜貫通タ
ンパク質のトポロジーである。精製されたα-GalNAcTの
N末端アミノ酸配列は、EXTL2/EXTR2の翻訳の予測開始
部位から54アミノ酸離れており、他のいくつかの糖転移
酵素で観察されているように、精製α-GalNAcTは、膜貫
通ドメインを失い、酵素産生細胞から遊離した、短縮形
態であると考えられる。
【0053】
【実施例3】 α-GalNAcTの可溶性形態の発現および可
溶性形態の特性評価 (1) α-GalNAcTの可溶性形態の発現 EXTL2/EXTR2にコードされるアミノ酸配列のN末端の57
アミノ酸を欠く、α-GalNAcTの短縮形態をコードするDN
Aを、ヒト胎児肝臓cDNA(CLONETECH)をテンプレートと
し、インフレームのBamHI部位を含む配列番号3に示す
塩基配列を有する5'プライマーおよび終止コドンの54 b
p下流に位置するインフレームのBamHI部位を含む配列番
号4に示す塩基配列を有する3'プライマーを用いてPCR
を行い、増幅した。PCR反応は、Pfuポリメラーゼ(Strat
agene)を用い、96℃30秒、55℃30秒、73℃75秒のサイク
ルを30回の条件で行った。得られたPCRフラグメント
を、pGIR201protA(Kitagawa, H., et al. (1994) J. B
iol. Chem. 269, 1394-1401)のBamHI部位にサブクロー
ニングし、このベクターに存在するインシュリンシグナ
ル配列およびプロテインAのIgG結合ドメインにα-GalN
AcTが融合したタンパク質をコードする配列を作成し
た。融合タンパク質をコードする配列を含むNheIフラグ
メントを発現ベクターpSVL(Amersham Pharmacia Biotec
h)に挿入した。
【0054】得られた発現プラスミド(6μg)を、FuGENE
TM 6(Roche Molecular Biochemicals)を用いて製造者の
指示書に従い、100 mmプレート上のCOS-1細胞にトラン
スフェクトさせた。トランスフェクションの2日後に、
1 mlの培養培地を回収した。
【0055】(2) 可溶性形態の特定評価 上記(1)で回収された培養培地を10μlのIgGセファロー
ス(Amersham PharmaciaBiotech)と4℃で1時間インキ
ュベートした。遠心でIgGセファロースを回収し、アッ
セイバッファー(50 mM MES緩衝液, pH 6.5)で洗浄
し、アッセイバッファー中に懸濁した。懸濁液を、α-G
alNAcTおよびGlcNAcT活性について、既報(Kitagawa,
H., et al. (1995) J. Biol. Chem. 270, 22190-22195;
Fretz, T. A., et al. (1994) J. Biol. Chem. 269,
28809-28814)に従い試験した。すなわち、アッセイ混
合液は、総容量35μlで、50 mM MES緩衝液, pH 6.5中
に、2μlの酵素溶液、受容体基質、8.57μM UDP-[3H]Ga
lNAc (5.28×105 dpm)または8.57μM UDP-[3H]GlcNAc
(5.5×105 dpm)、20 mM MnCl2、171μM ATPを含むもの
であった。受容体基質としては、GAG-タンパク質結合構
造に相当する四糖-セリン(1 nmol)、N-アセチルコンド
ロシン(5 nmol)、および、GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレ
ンメタノールを用いた。反応液は37℃で4時間インキュ
ベートし、次いで1 mlの5 mMリン酸ナトリウム, pH 6.8
で希釈した。反応液をDowex 1-X8 (PO4 2-, 100〜400メ
ッシュ: Bio-Rad)を通過させて、3H標識生成物をUDP
[3H]GalNAcまたはUDP[ 3H]GlcNAcから分離した。単離さ
れた生成物をシンチレーションスペクトロフォトメータ
ーで定量した。受容体基質へのネットの[3H]GalNAcまた
は[3H]GlcNAc取り込みは、受容体基質なしでのブランク
値を差し引くことで求めた。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 受容体 α-GalNAcT活性 GlcNAcT活性 pmol/ml培地/h pmol/ml培地/h ──────────────────────────────────── GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール 109.0 31.2 GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser 49.6 ND GlcAβ1-3GalNAc 117.1 - ──────────────────────────────────── 活性の値は、2回の独立した実験の平均である。NDは、
検出されず(<0.1 pmol/ml培地/h)。-は、測定せず。
【0057】表2の結果から明らかなように、α-GalNA
cT活性は、3つの受容体全てについて検出された。な
お、対照のpSVLをトランスフェクトした試料をアフィニ
ティクロマトグラフィーに付してもα-GalNAcT活性は回
収されなかった。
【0058】また、GlcNAcT活性は、GlcAβ1-3Galβ1-O
-ナフタレンメタノールを受容体基質とした場合に検出
され、四糖-セリンを用いた場合には検出されなかっ
た。この基質特異性は、ヘパラン硫酸生合成に関与する
と予測されているGlcNAcT-I(Linholt, K., et al. (19
97) Glycoconjugate J. 14, 737-742; Fritz, T. A., e
t al. (1994) J. Biol. Chem. 269, 28809-28814)につ
いて報告されているものと一致する。なお、対照のpSVL
をトランスフェクトした試料をアフィニティクロマトグ
ラフィーに付してもGlcNAcT活性は回収されなかった。
【0059】次に、α-GalNAcT反応またはGlcNAcT反応
による生成物の同定のため、生成物を以下の通り分析し
た。
【0060】N-アセチルコンドロシンを受容体として用
いたα-GalNAcT反応の生成物の単離を、0.25 M NH4HCO3
/7% 1-プロパノールで平衡化したSuperdex 30カラム
(1.6×60 cm)でのゲル濾過により行った。生成物を含
む放射活性ピークをプールし、減圧乾固した。単離した
生成物(約10 pmol)を、総容量20μlの50 mMクエン酸ナ
トリウム緩衝液, pH 4.5中、37℃で一晩、15 mIUのβ-N
-アセチルヘキソサミニダーゼまたは39 mIUのα-N-アセ
チルガラクトサミニダーゼにより消化した。得られた消
化物を上記Superdex 30カラムを用いて同様に分析し
た。結果を図8のAに示す。図中、黒丸はα-N-アセチ
ルガラクトサミニダーゼ消化物、黒四角はβ-N-アセチ
ルヘキソサミニダーゼ消化物、白丸は未消化物を示す。
矢印は、遊離GalNAcの溶出位置を示す。各画分は1 ml
で、VoおよびVtはそれぞれ画分番号40および120であ
る。
【0061】図8のAから明らかなように、生成物は、
α-N-アセチルガラクトサミニダーゼで完全に消化さ
れ、遊離[3H]GalNAcの位置に放射活性ピークを定量的に
生じた。一方、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼでは
消化されなかった。この結果は、GalNAcがN-アセチルコ
ンドロシンにα結合により転移されたことを示し、本酵
素がα-GalNAcT活性を有することが確認された。
【0062】GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール
を用いたGlcNAcT反応の生成物の単離を、Nova-Pak(登録
商標) C18カラム(3.9×150 mm; Waters)をLC-10ASシス
テム(Shimadzu Co.)で用いるHPLCにより行った。カラム
は、室温において流速1.0 ml/minの水で15分間無勾配展
開した後、5分間で0%から100%になるメタノール直線勾
配をアプライし、次いで、100%メタノールで40分間無勾
配展開した。生成物を含む放射活性ピークをプールし、
減圧乾固した。単離した生成物(約74 pmol)を、総容量2
0μlの50 mMクエン酸ナトリウム緩衝液, pH 4.5中、14
mIUのβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、または、総容
量30μlの、2 mM Ca(OAc)2を含む20 mM酢酸ナトリウム
緩衝液, pH 7.0中、3 mIUのヘパリチナーゼIと、37℃
で一晩インキュベートすることにより消化性を試験し
た。得られた消化物を上記Nova-Pak(登録商標) C18カラ
ムを用いて同様に分析した。結果を図8のBに示す。図
中、白丸はヘパリチナーゼI消化物、黒四角はβ-N-ア
セチルヘキソサミニダーゼ消化物、黒丸は未消化物を示
す。矢印は、遊離GlcNAcの溶出位置を示す。各画分は2
mlである。
【0063】図8のBから明らかなように、生成物は、
ヘパリチナーゼIで完全に消化され、遊離[3H]GlcNAcの
位置に放射活性ピークを定量的に生じた。一方、β-N-
アセチルヘキソサミニダーゼでは消化されなかった。こ
の結果は、GlcNAcが、専ら、GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタ
レンメタノールの非還元末端GlcAにα1,4結合により転
移されたことを示す。
【0064】さらに、得られたα-GalNAcTを、N-グリコ
シダーゼFにより、製造者の指示書に従って消化した。
消化後、反応液および非消化試料を7.5%SDS-PAGEにより
分析し、タンパク質バンドをポリビニリデンジフルオリ
ド膜に転写した。膜を、0.15M NaCl、0.05% Tween 20お
よび1%ウシ血清アルブミンを含む20 mM Tris-HCl, pH
7.5でブロッキングし、α-GalNAcTと関係のないIgG3
のマウスモノクローナル抗体(Kitagawa, H., et al.
(1988) J. Biochem. 104, 817-821)を希釈したもの(1:
200)とインキュベートした。結合した抗体を、アルカリ
ホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIgG(Promega)を2次抗
体として用い、酵素反応により可視化した。
【0065】上記発現プラスミドにおいては、EXTL2/EX
TR2にコードされる最初の57アミノ酸が、切断可能なイ
ンシュリンシグナル配列およびプロテインAのIgG結合
ドメインで置換され、EXTL2/EXTR2のcDNAにコードされ
るタンパク質の可溶性形態が生成する。このEXTL2/プロ
テインA融合タンパク質をコードする発現プラスミド
を、COS-1細胞で発現させると、約66 kDaのタンパク質
が分泌された。融合タンパク質の見かけの分子量は、N-
グリコシダーゼ処理により60 kDaに減少した。このこと
は、EXTL2/EXTR2の一つのN-結合グリコシル化可能部位
がグリコシル化されていることを示している。
【0066】
【実施例4】 ヒト組織でのα-GalNAcTの発現レベル ヒトMultiple Tissue cDNA Panel(CLONETECH)を分析に
用いた。製造者は、各cDNA試料を6つのハウスキーピン
グ遺伝子に関して規格化している。これを確認するた
め、その転写物が組織において常に一定レベルで存在す
るグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの増
幅レベルを測定した。
【0067】増幅反応は、総容量50μl中、配列番号5
に示す塩基配列を有する5'プライマーおよび配列番号6
に示す塩基配列を有する3'プライマーを用い、95℃30
秒、55℃30秒、72℃90秒の25サイクルにより行った。増
幅産物の10μl分液を、エチジウムブロマイドを含む1.0
%アガロースゲルでの電気泳動により可視化した。規格
化したcDNAを用いて、転写物の増幅を、一連の回数(25
-30-35)で行うことにより、半定量的な増幅の条件を検
索した。最も良好な結果は、上記の5'プライマーおよび
3'プライマーを用いて、96℃30秒、55℃30秒、72℃75秒
の30サイクルを行うことにより得られた。上記の5'プ
ライマーおよび3'プライマーは、混在する可能性のある
ゲノムDNAに由来するcDNAから増幅されたPCR産物を区別
できるように、EXTL2遺伝子中の2つのイントロンにま
たがるように設計されている。PCR産物は、エチジウム
ブロマイドを含む1.0%アガロースゲルでの電気泳動によ
り可視化した。増幅されたDNAが、EXTL2のmRNAに由来し
たことを確認するため、増幅フラグメントをゲルにより
精製し、pGEM(登録商標)-T Easyベクター(Promega)にサ
ブクローニングし、配列決定を行った。配列決定は、37
7 DNAシークエンサー(PEApplied Biosystems)によって
行った。増幅DNAの塩基配列は、ヒトEXTL2のcDNAのもの
(Wuyts, W., et al. (1997) Eur. J. Hum. Genet. 5,
382-389)と同一であった。
【0068】予測されたサイズ(875 bp)の単一の増幅DN
Aが、増幅されたcDNAの量は異なるものの、試験した成
人の18種の組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、
腎臓、膵臓、結腸、卵巣、末梢血白血球、前立腺、小
腸、脾臓、精巣、胸腺、骨、皮膚)および胎児の8種の
組織(心臓、脳、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、脾臓、胸
腺)に由来するcDNA標品から得られ、この遺伝子が遍在
的に発現していることが判明した。
【0069】
【発明の効果】本発明により、GAGの生合成において重
要な酵素である可能性があるα1,4-N-アセチルヘキソサ
ミン転移酵素が提供される。本酵素の提供により、グリ
コサミノグリカンの生合成の研究が促進されると考えら
れる。
【0070】
【配列表】 <110> 生化学工業株式会社 <120> α1,4−N−アセチルヘキソサミン転移酵素 <130> P-6271 <160> 6 <210> 1 <211> 30 <212> PRT <213> Homo sapiens <220> <221> UNSURE <222> 21 <400> 1 Glu Ile Lys Ser Gln Gly Lys Ser Thr Met Asp Ser Phe Thr Leu Ile 1 5 10 15 Met Gln Thr Tyr Xaa Arg Thr Asp Leu Leu Leu Lys Leu Leu 20 25 30 <210> 2 <211> 330 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Met Arg Cys Cys His Ile Cys Lys Leu Pro Gly Arg Val Met Gly Ile 1 5 10 15 Arg Val Leu Arg Leu Ser Leu Val Val Ile Leu Val Leu Leu Leu Val 20 25 30 Ala Gly Ala Leu Thr Ala Leu Leu Pro Ser Val Lys Glu Asp Lys Met 35 40 45 Leu Met Leu Arg Arg Glu Ile Lys Ser Gln Gly Lys Ser Thr Met Asp 50 55 60 Ser Phe Thr Leu Ile Met Gln Thr Tyr Asn Arg Thr Asp Leu Leu Leu 65 70 75 80 Lys Leu Leu Asn His Tyr Gln Ala Val Pro Asn Leu His Lys Val Ile 85 90 95 Val Val Trp Asn Asn Ile Gly Glu Lys Ala Pro Asp Glu Leu Trp Asn 100 105 110 Ser Leu Gly Pro His Pro Ile Pro Val Ile Phe Lys Gln Gln Thr Ala 115 120 125 Asn Arg Met Arg Asn Arg Leu Gln Val Phe Pro Glu Leu Glu Thr Asn 130 135 140 Ala Val Leu Met Val Asp Asp Asp Thr Leu Ile Ser Thr Pro Asp Leu 145 150 155 160 Val Phe Ala Phe Ser Val Trp Gln Gln Phe Pro Asp Gln Ile Val Gly 165 170 175 Phe Val Pro Arg Lys His Val Ser Thr Ser Ser Gly Ile Tyr Ser Tyr 180 185 190 Gly Ser Phe Glu Met Gln Ala Pro Gly Ser Gly Asn Gly Asp Gln Tyr 195 200 205 Ser Met Val Leu Ile Gly Ala Ser Phe Phe Asn Ser Lys Tyr Leu Glu 210 215 220 Leu Phe Gln Arg Gln Pro Ala Ala Val His Ala Leu Ile Asp Asp Thr 225 230 235 240 Gln Asn Cys Asp Asp Ile Ala Met Asn Phe Ile Ile Ala Lys His Ile 245 250 255 Gly Lys Thr Ser Gly Ile Phe Val Lys Pro Val Asn Met Asp Asn Leu 260 265 270 Glu Lys Glu Thr Asn Ser Gly Tyr Ser Gly Met Trp His Arg Ala Glu 275 280 285 His Ala Leu Gln Arg Ser Tyr Cys Ile Asn Lys Leu Val Asn Ile Tyr 290 295 300 Asp Ser Met Pro Leu Arg Tyr Ser Asn Ile Met Ile Ser Gln Phe Gly 305 310 315 320 Phe Pro Tyr Ala Asn Tyr Lys Arg Lys Ile 325 330 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 3 cgggatccca gggcaagtcc accat 25 <210> 4 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 4 cgggatccaa gctactcaaa tgccaagca 29 <210> 5 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 5 accactgtcc atgccatcac 20 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 6 tccacaacac ggttgctgta 20
【図面の簡単な説明】
【図1】 標準測定条件におけるα-GalNAcT活性の測定
での、N-アセチルコンドロシンへのGalNAc取り込みとイ
ンキュベーション時間との関係を示す。
【図2】 四糖-セリンを受容体としたときのα-GalNAc
Tによる反応生成物のゲル濾過分析の結果を示す。
【図3】 四糖-セリンを受容体としたときのα-GalNAc
Tによる反応生成物の1H NMRスペクトルを示す。
【図4】 緩衝液およびpHのα-GalNAcT活性に対する影
響を示す。
【図5】 2価陽イオンおよびその濃度のα-GalNAcT活
性に対する影響を示す。Aは2価陽イオンを変えた場
合、BはMn2+の濃度を変えた場合を示す。
【図6】 受容体基質およびその濃度のα-GalNAcT活性
に対する影響を示す。Aは、N-アセチルコンドロシン、
Bは、UDP-GalNAc、Cは、四糖-セリン(GlcAβ1-3Gal
β1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser)を用いた場合を示す。
【図7】 培養上清から精製されたα-GalNAcTのN末端
アミノ酸配列と、EXTL2/EXTR2にコードされるアミノ酸
配列との比較を示す。
【図8】 GalNAcおよびGlcNAc転移反応の生成物の、グ
リコシダーゼを用いた分析結果を示す。Aは、GalNAc転
移反応の生成物の分析結果、Bは、GlcNAc転移反応の生
成物の分析結果を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α1,4-N-アセチルガラクトサミン転移酵
    素活性及びα1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素活性
    を併有し、下記の酵素学的性質を有するα1,4-N-アセチ
    ルヘキソサミン転移酵素。 (1)作用・基質特異性:N-アセチルガラクトサミン供与
    体(GalNAc供与体)から、下記式で示される物質の非還元
    末端にN-アセチルガラクトサミン残基(GalNAc)を転移す
    る。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
    nemethanol) ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser ・GlcAβ1-3GalNAc ・GlcAβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer 下記式で示される物質の非還元末端にはGalNAcを実質的
    に転移しない。 ・GlcA(3-O-sulfate)β1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-
    4Glcβ1-1Cer N-アセチルグルコサミン供与体(GlcNAc供与体)から、下
    記式で示される物質の非還元末端にN-アセチルグルコサ
    ミン残基(GlcNAc)を転移する。 ・GlcAβ1-3Galβ1-O-ナフタレンメタノール(naphthale
    nemethanol) 下記式で示される物質の非還元末端にはGlcNAcを実質的
    に転移しない。 ・GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser (式中、GlcAはグルクロン酸残基、Galはガラクトース
    残基、Xylはキシロース残基、GlcNAcはN-アセチルグル
    コサミン残基、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン残
    基、Serはセリン残基、Cerはセラミド残基を示し、3-O-
    sulfateは3位の水酸基が硫酸化されていることを示
    す。)
  2. 【請求項2】 さらに下記の酵素学的性質を有する請求
    項1記載の酵素。 (2)活性化:酵素反応に二価陽イオンを必要とする(GlcA
    β1-3GalNAcを受容体として用い、GalNAc転移酵素活性
    について調べた場合) (3)至適pH: ・pH約6.5(50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン
    酸緩衝液を用い、GalNAc転移酵素活性について調べた場
    合) ・pH約7.4(トリス−塩酸緩衝液を用い、GalNAc転
    移酵素活性について調べた場合)
  3. 【請求項3】 さらに下記の酵素学的性質を有する請求
    項1又は2記載の酵素。 (4)GalNAc転移酵素活性についてのミカエリス定数(K
    m): 約1060μM(N-アセチルコンドロシン(GlcAβ1-3GalNAc)) 約188μM(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser) 約27μM(UDP-GalNAc)
  4. 【請求項4】 アミノ末端のアミノ酸配列が配列番号1
    で示されるものであることを特徴とする、請求項1〜3
    のいずれか1項記載の酵素。
  5. 【請求項5】 ヒト由来である請求項1〜4のいずれか
    1項記載の酵素。
  6. 【請求項6】 精製された請求項1〜5のいずれか1項
    記載の酵素を含む画分。
  7. 【請求項7】 配列番号2に示すアミノ酸配列のうちア
    ミノ酸番号58〜330のアミノ酸配列からなるポリペ
    プチドと、インシュリンシグナル配列およびプロテイン
    AのIgG結合ドメインのアミノ酸配列からなるポリペプ
    チドとの融合ポリペプチド。
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