JP4570268B2 - キャビネット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネットに関し、特にシステムキッチンのベースキャビネットにおける最下段の引出し収納部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、システムキッチンのベースキャビネットは、台座上に設置されている。そして、ベースキャビネットの下端と台座とで規定される領域が、システムキッチンとの間に適切な間隔を確保して作業し易いように、人の足先を収容する蹴込み領域を形成している。
【0003】
この場合、台座の内部は、キャビネット収納の観点からデッドスペースであり、十分な収納容積を確保することができない。そこで、ベースキャビネットの最下段に引出し収納部を設け、その引出し収納部の前面パネルに特殊な形状を付与することにより蹴込み領域を形成する構造が提案されている。
【0004】
具体的には、ほぼ鉛直に延びて蹴込み部を構成する下部部分と、この下部部分よりも前方においてほぼ鉛直に延びた上部部分と、下部部分と上部部分とを連結する連結部分とを一体成形することにより引出し収納部の前面パネルを構成する構造が提案されている。
【0005】
また、最下段の引出し収納部以外の他の収納部の前面パネルと同じ面材(パネル部材)を用いて上述の下部部分および上部部分を個別に形成し、下部部分と上部部分とを所定形状の金具で連結することにより引出し収納部の前面パネルを構成する構造が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一体成形により前面パネルを構成する従来の構造では、最下段の引出し収納部の前面パネルとそれ以外の他の収納部の前面パネルとを同じパネル部材(面材)で形成することができない。
【0007】
一方、下部部分と上部部分とを金具で連結する従来の構造では、下部部分と上部部分と連結部分(金具)との位置合わせが困難であり、ひいては組立作業性が悪い。また、掃除機のノズル先端などがぶつかることにより、蹴込み部において下部部分を構成するパネル部材が損傷を受け易い。
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、最下段に引出し収納部を有し、その前面パネルの組立作業性が良好で、その蹴込み部が損傷を受け難いキャビネットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明では、床に近接して設置された引出し収納部を有するキャビネットにおいて、
前記引出し収納部の前面パネルは、所定のパネル部材と、該パネル部材を支持するための支持部材とを備え、
前記支持部材は、ほぼ鉛直に延びて蹴込み部を構成する下部部分と、該下部部分よりも前方においてほぼ鉛直に延びた上部部分と、前記下部部分と前記上部部分とを一体的に連結する連結部分とを有し、該連結部分は前記パネル部材の厚さに応じて前記上部部分から前方へ突出した突出部分を有し、
前記パネル部材は、前記支持部材の前記上部部分と前記突出部分とに当接した状態で前記支持部材に取り付けられていることを特徴とするキャビネットを提供する。
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、前記支持部材の端部を覆うためのキャップを備え、前記キャップは、前記支持部材の前記突出部分に取り付けられている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、パネル部材を支持するための支持部材が、ほぼ鉛直に延びて蹴込み部を構成する下部部分と、この下部部分よりも前方においてほぼ鉛直に延びた上部部分と、下部部分と上部部分とを一体的に連結する連結部分とを有する。そして、連結部分は、パネル部材の厚さに応じて、上部部分から前方へ突出した突出部分を有する。
【0012】
したがって、本発明では、たとえば最下段の引出し収納部以外の他の収納部の前面パネルと同じパネル部材を上部部分と突出部分とに当接させた安定状態において支持部材に取り付けることにより、最下段の引出し収納部の前面パネルを形成することができる。すなわち、上部部分と突出部分との協働作用によりパネル部材と支持部材との位置合わせが容易になり、ひいては前面パネルの組立作業性が著しく向上する。
【0013】
また、本発明では、たとえばアルミニウム押出成形またはステンレス鋼の曲げ加工により支持部材を形成することにより、掃除機のノズル先端などがぶつかっても蹴込み部が損傷を受け難い構造を実現することができる。さらに、支持部材の端部を覆うためのキャップを支持部材の突出部分に取り付けることにより、簡素な構成で納まりの良好な構造を実現することができる。
【0014】
なお、本発明のキャビネットは、システムキッチンのキャビネットや、洗面化粧台のキャビネットなどに適用することができる。ここで、システムキッチンとは、厨房(キッチン)に設置される家具を総称する広い概念である。
【0015】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるキャビネットを備えたシステムキッチンの構成を概略的に示す斜視図である。このように、本実施形態では、システムキッチンのキャビネットに本発明を適用している。
【0016】
本実施形態のシステムキッチン1は、図1に示すように、床2の上に載置されたベースキャビネット3を備えている。ベースキャビネット3の上部には、システムキッチン1に向かって左側からレンジ4と、一対のカウンタ5aおよび5bとが設けられ、この一対のカウンタ5aと5bとの間にはシンク6が形成されている。また、シンク6に隣接して、たとえば湯水混合型の水栓(不図示)が設けられている。
【0017】
ベースキャビネット3は、4つのキャビネット11〜14を備えている。すなわち、レンジ4の下方にはレンジキャビネット11が、レンジ4とシンク6との間のカウンタ5aの下方にはキャビネット12が、シンク6の下方にはシンクキャビネット13が、シンク6よりも端部側のカウンタ5bの下方にはキャビネット14がそれぞれ設けられている。レンジキャビネット11は、観音開きの扉を有する開閉収納部15と、その下方に設けられた引出し収納部16とから構成されている。
【0018】
また、キャビネット12は、上段引出し収納部17と、中段引出し収納部18と、下段引出し収納部19とから構成されている。さらに、シンクキャビネット13は、観音開きの扉を有する開閉収納部20と、その下方に設けられた引出し収納部21とから構成されている。また、キャビネット14は、片面開きの扉を有する開閉収納部22と、その下方に設けられた引出し収納部23とから構成されている。本実施形態では、各キャビネット11〜14の最下段の引出し収納部16、19、21、および23の前面パネルの構造に対して本発明が適用されている。
【0019】
図2は、各キャビネットにおける最下段の引出し収納部の前面パネルの構成を概略的に示す断面図である。図2に示すように、前面パネル31は、パネル部材32と、このパネル部材32を支持するための支持部材33とから構成されている。ここで、パネル部材32は、たとえば最下段の引出し収納部以外の他の収納部(15、17、18、20および22)の前面パネルを構成するパネル部材と同じ材質および同じ外観を有するパネル部材である。
【0020】
また、支持部材33は、床2(図2では不図示)の近傍からほぼ鉛直に延びて蹴込み部を構成する下部部分33aと、下部部分33aよりも前方においてほぼ鉛直に延びた上部部分33bと、下部部分33aと上部部分33bとを一体的に連結するほぼ水平に延びた連結部分33cとから構成されている。そして、連結部分33cは、パネル部材33の厚さに応じて上部部分33bから前方へ突出した突出部分33dを有する。支持部材33は、たとえばアルミニウム押出成形品として、あるいはステンレス鋼の曲げ加工品として、一体的に形成されている。
【0021】
本実施形態では、パネル部材32を上部部分33bと突出部分33dとに当接させた安定状態において、支持部材33に取り付ける。さらに具体的には、パネル部材32の後面を上部部分33bに当接させるとともにパネル部材32の下端面を突出部分33dに当接させた安定状態において、たとえばビス35のような締結手段を用いてパネル部材32を上部部分33bに取り付ける。
【0022】
こうして、本実施形態のキャビネット11〜14において、その最下段の引出し収納部(16、19、21、および23)の前面パネル31が形成される。そして、下部部分33aと連結部分33cとで画定される領域が、システムキッチン1に対向して作業する人の足先を収容するための蹴込み領域を構成することになる。
【0023】
以上のように、本実施形態では、支持部材33の上部部分33bと突出部分33dとの協働作用により、パネル部材32と支持部材33との位置合わせが容易になり、ひいては前面パネル31の組立作業性が著しく向上する。また、支持部材33がアルミニウム押出成形品またはステンレス鋼の曲げ加工品として形成されているので、掃除機のノズル先端などがぶつかっても蹴込み部(特に下部部分33a)が損傷を受け難い。
【0024】
さらに、図3に示すように、支持部材33(図3では破線で示す)の端部を覆うためのキャップ36が支持部材33に取り付けられる。この場合、たとえばビス37のような締結手段を用いるか、あるいは適当な嵌合方式または連結方式にしたがって、キャップ36を支持部材33の突出部分33dに取り付けることができる。こうして、簡素な構成で納まりの良好な構造を実現することができる。
【0025】
なお、上述の実施形態では、システムキッチン1のキャビネットに対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、たとえば洗面化粧台などのキャビネットに対して本発明を適用することもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、たとえば最下段の引出し収納部以外の他の収納部の前面パネルと同じパネル部材を支持部材に取り付けることにより、最下段の引出し収納部の前面パネルが形成される。この場合、支持部材の上部部分と突出部分との協働作用により、パネル部材と支持部材との位置合わせが容易になり、ひいては前面パネルの組立作業性が著しく向上する。
【0027】
また、本発明では、たとえばアルミニウム押出成形またはステンレス鋼の曲げ加工により支持部材を形成することにより、掃除機のノズル先端などがぶつかっても蹴込み部が損傷を受け難い構造を実現することができる。さらに、支持部材の端部を覆うためのキャップを支持部材の突出部分に取り付けることにより、簡素な構成で納まりの良好な構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるキャビネットを備えたシステムキッチンの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】各キャビネットにおける最下段の引出し収納部の前面パネルの構成を概略的に示す断面図である。
【図3】支持部材の両端に取り付けられるキャップの構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 システムキッチン
3 ベースキャビネット
4 レンジ
5 カウンタ
6 シンク
11〜14 キャビネット
16,19,21,23 最下段の引出し収納部
31 前面パネル
32 パネル部材
33 支持部材
33a 下部部分
33b 上部部分
33c 連結部分
33d 突出部分
35,37 ビス
36 キャップ

Claims (2)

  1. 床に近接して設置された引出し収納部を有するキャビネットにおいて、
    前記引出し収納部の前面パネルは、所定のパネル部材と、該パネル部材を支持するための支持部材とを備え、
    前記支持部材は、ほぼ鉛直に延びて蹴込み部を構成する下部部分と、該下部部分よりも前方においてほぼ鉛直に延びた上部部分と、前記下部部分と前記上部部分とを一体的に連結する連結部分とを有し、該連結部分は前記パネル部材の厚さに応じて前記上部部分から前方へ突出した突出部分を有し、
    前記パネル部材は、前記支持部材の前記上部部分と前記突出部分とに当接した状態で前記支持部材に取り付けられていることを特徴とするキャビネット。
  2. 前記支持部材の端部を覆うためのキャップを備え、
    前記キャップは、前記支持部材の前記突出部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
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