JP4569839B2 - 交流モータ - Google Patents
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Description
好適な態様において、前記各ステータ磁極の軸方向幅は略等しくされる。このようにすれば、電磁鋼板の積層で構成することがより容易となる。
実施形態1のステータ磁極軸方向配列型の交流モータを以下に説明する。図1はこのモータの軸方向模式断面図、図2はAーA線、BーB線、CーC線矢視径方向模式断面図、図3はステータ磁極の周方向模式展開図、図4はロータの模式展開図、図5は2つのループ状巻線すなわち2相の相巻線からなるステータコイルの周方向展開図である。
このモータの基本構成を以下に説明する。
ステータコア14は、同一円周上にて周方向順次に配置されてロータ10の外周面に対向する第1、第2、第3の部分コアを有している。第1の部分コアは、周方向交互に配置されたステータ磁極19とステータ磁極20とをもつ。第2の部分コアは、周方向交互に配置されたステータ磁極21とステータ磁極22とをもつ。第3の部分コアは、周方向交互に配置されたステータ磁極23とステータ磁極24とをもつ。第1の部分コアは図1に示すAーA線の位置すなわちステータコア14の軸方向一端部に配置されている。第2の部分コアは図1に示すBーB線の位置すなわちステータコア14の軸方向中央部に配置されている。第3の部分コアは図1に示すCーC線の位置すなわちステータコア14の軸方向他端部に配置されている。
ループ状巻線15,16について図5を参照して以下に説明する。この実施形態において、ループ状巻線15、16は、独特の巻装パターンを有している。
この実施形態によれば、図3に示すように、軸方向上部において隣接するステータ磁極19と20、軸方向中央部において隣接するステータ磁極21と22、軸方向下部において隣接するステータ磁極23と24がそれぞれ電気角で180度の位相差となっているため、これら隣接するステータ磁極は逆極のロータ側の磁石と対向する。このようなステータ磁極の位置関係となると、概ね隣接するステータ磁極同士で磁気的にバランスするため、コギングトルクやコギングトルクに起因するトルクリップルを低減することができる。
図1に示すように各ステータ磁極の軸方向幅がどの径方向位置でも概ね等しければ同一枚数の電磁鋼板を積層することでステータ磁極を構成することができ、生産性がよい。また、各ステータ磁極の周方向幅が等しければ同一形状の電磁鋼板を積層することでステータ磁極を構成することができ生産性がよいが、異なる形状の電磁鋼板を積層する技術もあるので、必ずしも周方向幅が同一である必要はない。
図6に巻線の配置を示す周方向への展開図の別例を示す。まず上端の隣接するステータ磁極19と20と巻線との関係を説明する。隣接するステータ磁極との位相差は180度となっているので隣接する巻線スペースには電気角で180度位相のずれた正弦波電流を流せば最大のトルクを発生させることができる。実際には図6に示すような巻線配置にすれば隣接する巻線スペースには逆方向に電流が流れるので電気角で180度位相のずれた電流を流しているのと等価となる。
実施形態2のモータを図7、図8を参照して説明する。図7はステータ磁極の周方向模式展開図、図8はループ状巻線の周方向模式展開図である。ただし、以降の説明では簡単のために、ループ状巻線は単に巻線とも呼ばれることもある。
図9に示すようにステータ磁極のうち巻線が軸方向片側に隣接しているステータ磁極20、22、23を巻線の軸方向長さが短くなる軸方向に移動させることにより巻線長を短縮することができる。あまりずらしすぎると隣接磁極間の磁気バランスが崩れてしまうので大きな移動はできないが、磁気バランスを大きく崩さない範囲で移動させることで巻線長を短縮し、銅損を低減することができる。
図10に示すように同一相のステータ磁極19と21、ステータ磁極22と24、ステータ磁極20と23がお互いに近づくように周方向に移動させることにより、巻線長を短縮することができる。あまりずらしすぎると隣接磁極間の磁気バランスが崩れてしまうので大きな移動はできないが、磁気バランスを大きく崩さない範囲で移動させることで巻線長を短縮し、銅損を低減することができる。
上記と同等の効果を磁極の周方向幅を短くすることにより実現することもできる。たとえば図11に示すように、中央のステータ磁極21、22を周方向に短縮することにより、巻線を短縮して同一相のステータ磁極の周方向幅を電気角で180度以下にすることができる。
図12に示すように、図3のステータ磁極配置において巻線が通らない磁極隙間に磁性体32、33を追加することで磁束の流れる箇所を増やすことができる。これにより、磁気飽和の低減やトルク特性の向上を図ることができる。また、図13に示すように、図7のステータ磁極配置において巻線が通らない磁極隙間に磁性体34、35、36を追加することで同様の効果を得ることができる。更に、各ステータ磁極は角棒を組み合わせた形状の他、それらの輪郭を丸めたような磁極形状でもよい。
各ステータ磁極のロータ対向面すなわちステータ磁極の磁極面は、図14に示すように平行四辺形とされることができる。これにより、巻線は、多数の直角屈曲部をもつことなく、斜めに延在することができ、その分だけ巻線長を短縮することができる。これにより、銅損低減および巻線量低減を図ることができる。周方向に隣接する磁極間の位相関係は変わらないので上の請求項で示した効果は同じように得ることができる。また、磁極面を平行四辺形にすることで、ステータ磁極に流れる磁束の回転角変化率が滑らかになるため、トルクリップルの低減効果も得ることができる。
各ステータ磁極のロータ対向面すなわちステータ磁極の磁極面は、図15に示すように台形とされることができる。これにより、巻線は、多数の直角屈曲部をもつことなく、斜めに延在することができ、その分だけ巻線長を短縮することができる。これにより、銅損低減および巻線量低減を図ることができる。隣接磁極間の位相関係は変わらないので上の請求項で示した効果は同じように得ることができる。また台形にすることで、ステータ磁極に流れる磁束の回転角変化率が滑らかになるため、トルクリップルの低減効果も得ることができる。
その他、図16に示すように、各ステータ磁極の磁極面を、軸方向幅が周方向変位に伴って概ね正弦波状に変化する形状に変形してもよい。これにより、巻線は、多数の直角屈曲部をもつことなく、斜め延在することができ、その分だけ巻線長を短縮することができる。これにより、銅損低減および巻線量低減を図ることができる。隣接磁極間の位相関係は変わらないので上の請求項で示した効果は同じように得ることができる。
φu=φ0sinθ
φw=φ0sin(θ-120度)
となる。また各ステータ磁極表面を流れる磁束の総和は常にゼロであるので
φu+φv+φw=0
が成立する。したがって軸方向中央のステータ磁極に流れる磁束はその形状にかかわらず
φv=−(φu+φw)
であり、結果として
φv=φ0sin(θ-240度)
となり、各ステータ磁極に同一量の120度位相のずれた磁束が流れる。ゆえに図16では上下の2つのステータ磁極のみが正弦波形状となっているが、残りのステータ磁極も等価的に正弦波形状であるといえる。また、磁極表面を軸方向幅が回転方向位置に対して概ね正弦波状に変化する形状にすることで、ステータ磁極に流れる磁束の回転角変化率が正弦波となるため、トルクリップルの低減効果も得ることができる。
図16の更なる変形態様を図17に示す。図17では、軸方向両端側のステータ磁極44、46が、ロータ10の永久磁石12の軸方向幅に概ね等しい軸方向幅をもつようにしてもよい。この場合においても、各ステータ磁極の磁極面は、軸方向幅が周方向変位に伴って概ね正弦波状に変化する形状とされる。これにより、一層のトルクリップル低減を期待することができる。
図18、図19に示すように、巻線が軸方向上下に隣接するステータ磁極において、巻線巻回部の軸方向幅を短くし、巻線がステータ磁極に埋まるような構成とすることで巻線長を短縮することができる。特に軸方向端部の巻線においては、巻線の軸方向へのはみ出しを低減もしくはなくすことができるので、モータの軸方向幅を短縮することができる。また、図20に示すように、上記軸方向幅の変更を電磁鋼板の折り曲げで構成することも可能である。
図21に示すように巻線が軸方向上下に隣接するステータ磁極において、巻線巻回部の軸方向位置を巻線の逆側にずらし、巻線がステータ磁極に埋まるような構成とすることで、巻線長を短縮することができる。特に、軸方向端部の巻線においては、巻線の軸方向へのはみ出しを低減もすくはなくすことができるので、モータの軸方向幅を短縮することができる。その他、図22に示すように、上記軸方向幅の変更を電磁鋼板の折り曲げで構成することも可能である。
図23に示すように電磁鋼板の積層で構成されたモータの一部を等方性の軟磁性材料とすることにより、軸方向の磁束の流れがこの部分に集中するために、積層部分での渦電流損を低減することができる。具体的には、図23では、積層電磁鋼板からなるステータ磁極軸方向配置型のステータコア100Aのヨーク部101に、軸方向へ貫通孔102を8個貫設し、各貫通孔102に等方性磁性体の丸棒103をそれぞれ嵌入、固定している。なお、貫通孔はステータ磁極104の径方向外側に配置することが強度上及び磁束流れの点で好適である。なお、電磁鋼板内の渦電流の流れをさえぎるためにステータコア100Aの一部にスリットのような非磁性体部分を設けることが望ましい。
以上、磁極形状の各種変更について説明したが、実際の適用にあたっては、モータの体格、極数、使用用途、制約条件などをふまえて、本発明の中で示す技術の組み合わせのうち最適なものを選択すればよい。たとえば、図24に示すように、上記複数の態様の工夫を同時に組み合わせれば性能向上効果は一層増大する。また、上記各実施例のモータは、磁極形状の工夫によって従来のモータに存在するコイルエンドと呼ばれる巻線の軸方向へのはみ出しを低減もしくはなくすことができるので、特に薄型のモータにおいて大きなメリットを発揮することができる。更に、ロータは表面に磁石を持つタイプであるが、磁石をロータ内に埋め込んだタイプなど他のロータとの組み合わせも可能であることはもちろんである。ロータの位置についても、上記インナーロータタイプの他、ロータが外側に配置されるアウターロータタイプとしてもよい。アウターロータタイプにした場合には、薄型に構成しやすく、巻線を短くでき、ロータ径を大きくすることができるなどの特徴があり、本モータの優位性をさらに向上させることができる。
11 回転軸
12 永久磁石
13 ハウジング
14 ステータコア
15 ループ状巻線
16 ループ状巻線
19〜30 ステータ磁極
32〜36 磁性体(軟磁性体)
100A ステータコア
100 モータ
101 ヨーク部
102 各貫通孔
102 貫通孔
103 丸棒
104 ステータ磁極
Claims (18)
- ロータ磁極としてのN極磁極及びS極磁極がロータの軸方向に亘り形成され周方向交互に配置されたロータと、
同一円周上にて周方向へ順次配置される多数のステータ磁極によりそれぞれ構成される複数の部分コアを軸方向へ順次配置してなるステータコアと、
互いに周方向に隣接する前記ステータ磁極の間の磁極隙間を軸方向交互に通過しつつ周方向へ展開する相巻線となる波形巻線であるループ状巻線を複数有するステータコイルと、
を備える交流モータにおいて、
前記ステータコアは電磁鋼板を軸方向に積層させて構成されており、
同一の前記部分コアに属して周方向に隣接する前記各ステータ磁極は、各々の間の位相角差が周方向において電気角360度未満の範囲に設定され且つ前記各ステータ磁極の同一軸方向における合成磁界がゼロとなるように配置され、
前記ループ状巻線は、前記ステータ磁極の間に形成されて軸方向所定ピッチで形成される多数の前記磁極隙間を軸方向交互に通過する波形巻線であって、
軸方向に隣接する第1、第2の前記部分コアに個別に属する各1つのステータ磁極をまとめて囲むように、前記第1の部分コアの磁極隙間を軸方向一方向きに通過した後、前記第2の部分コアの磁極隙間を軸方向一方向きに通過し、その後、前記第2の部分コアの磁極隙間を軸方向他方向きに通過した後、前記第1の部分コアの磁極隙間を軸方向他方向きに通過する波形巻線からなり、
第1の前記ループ状巻線は、第2の前記ループ状巻線が波状に通過する前記部分コアの組み合わせとは異なる前記部分コアの組み合わせを波状に通過することを特徴とする交流モータ。 - 請求項1記載の交流モータにおいて、
同一の前記部分コアに属して周方向に隣接する前記各ステータ磁極の間の位相角差は周方向において電気角180度、120度又は90度のいずれかに設定されたことを特徴とする交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記各ステータ磁極の軸方向幅は、略等しい交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記部分コアは、周方向交互に配置されるとともに周方向位相差が略電気角180度である2種類の前記ステータ磁極により構成され、
前記ループ状巻線は、前記2種類のステータ磁極の間に形成されて軸方向所定ピッチで形成される多数の前記磁極隙間を軸方向交互に通過する波形巻線からなる交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
同一の前記部分コアに属する2種類のステータ磁極は、互いに異なる軸方向位置を有することを特徴とする交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記部分コアの各ステータ磁極の一部は、周方向等ピッチの周方向位置よりも周方向へ所定位相角分だけずらして配置されている交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記各ステータ磁極は、少なくとも2種類の周方向幅を有する交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
互いに異なる前記部分コアに個別に属するとともに、互いに軸方向に隣接する2つの前記ステータ磁極の間の軸方向隙間に軟磁性体が配置されることを特徴とする交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ステータ磁極のロータ対向面は、略平行四辺形の形状をもつ交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ステータ磁極のロータ対向面は、略台形の形状をもつ交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ロータ磁極に対面する前記ステータ磁極の先端面であるステータ磁極面は、周方向展開図上において周方向へ移動するにつれて略正弦波状に変化する端縁を有し、
前記ステータ磁極面の軸方向幅は、周方向へ移動するにつれて概ね正弦波状に変化する交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ステータ磁極は、前記電磁鋼板の積層で構成されると共に、前記電磁鋼板の折り曲げによって、前記ループ状巻線に軸方向に隣接する部位に比べて径方向先端部の軸方向幅が拡大するように構成される交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ステータ磁極は、前記電磁鋼板の積層で構成されると共に、前記電磁鋼板の折り曲げによって、前記ループ状巻線に軸方向に隣接する部位に比べて径方向先端部の軸方向位置が前記巻線の存在する方向にずれるように構成される交流モータ。 - 請求項1又は2記載の交流モータにおいて、
前記ステータコアのうち少なくともヨーク部に位置して軸方向に延在する等方性軟磁性部材を有する交流モータ。 - 請求項14記載の交流モータにおいて、
前記ステータコアは、軸方向に積層されて前記各部分コア及び前記各部分コア間の磁束流通を担うヨーク部を有する積層電磁鋼板と、前記積層電磁鋼板のヨーク部に軸方向に貫設された孔と、前記孔に挿入された棒状の前記等方性軟磁性部材とを有する交流モータ。 - ロータ磁極としてのN極磁極及びS極磁極が周方向交互に配置されたロータと、
同一円周上にて周方向へ順次配置される多数のステータ磁極によりそれぞれ構成される複数の部分コアを軸方向へ順次配置してなるステータコアと、
互いに周方向に隣接する前記ステータ磁極の間の磁極隙間を軸方向交互に通過しつつ周方向へ展開する波形巻線であるループ状巻線を複数有するステータコイルと、
を備える交流モータにおいて、
前記部分コアは、周方向交互に配置されるとともに周方向位相差が略電気角180度である2種類の前記ステータ磁極により構成され、
前記ループ状巻線は、前記2種類のステータ磁極の間に形成されて軸方向所定ピッチで形成される多数の前記磁極隙間を軸方向交互に通過する波形巻線であって、
軸方向に隣接する第1、第2の前記部分コアに個別に属する各1つのステータ磁極をまとめて囲むように、前記第1の部分コアの磁極隙間を軸方向一方向きに通過した後、前記第2の部分コアの磁極隙間を軸方向一方向きに通過し、その後、前記第2の部分コアの磁極隙間を軸方向他方向きに通過した後、前記第1の部分コアの磁極隙間を軸方向他方向きに通過する波形巻線からなり、
第1の前記ループ状巻線は、第2の前記ループ状巻線が波状に通過する前記部分コアの組み合わせとは異なる前記部分コアの組み合わせを波状に通過することを特徴とする交流モータ。 - 請求項16記載の交流モータにおいて、
軸方向に第1、第2、第3の前記部分コアが順次配置され、
第1の前記ループ状巻線は、前記第1、第2の部分コアに巻装され、
第2の前記ループ状巻線は、前記第2、第3の部分コアに巻装されている交流モータ。 - 請求項17記載の交流モータにおいて、
軸方向両側の前記第1、第3の部分コアに属する前記ステータ磁極は、周方向へ電気角略180度離れて配置され、
軸方向中央側の前記第2の部分コアに属する前記ステータ磁極は、周方向へ電気角略120度離れて配置され、
前記第2の部分コアは、前記第1のループ状巻線のみが通過する前記磁極隙間と、前記第2のループ状巻線のみが通過する前記磁極隙間と、前記第1、第2のループ状巻線が両方とも通過する前記磁極隙間とを有する交流モータ。
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