JP4567924B2 - 制御システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、居室等の空調区域に適用される変風量空調システムを制御する制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、居室や居室内をパーテーション等で区切った空調区域に適用される空調システムとしては、空調区域の熱負荷変動に応じて空調区域への供給風量を制御する変風量ユニットと、温度及び風量を調整した調整空気を変風量ユニットに供給する空気調和機とを有する変風量システムが知られている。
【0003】
前記変風量システムは、コンピュータによって管理することができ、前記変風量システムを制御するシステムとしては、従来より種々の制御システムが知られており、変風量ユニットの制御と空気調和機の制御とに大別される。
【0004】
変風量ユニットの制御としては、変風量ユニットによる室内温度の制御が挙げられる。これは、空調区域の温度を測定する温度センサを用い、空調区域における測定温度と空調区域の設定温度との偏差をなくすように変風量ユニットにおける風量を制御するものである。
【0005】
空気調和機の制御としては、主に空気調和機の送風量を制御する手法と、空気調和機の送風温度を制御する手法とが知られている。空気調和機の送風量を制御する手法としては、例えば特開平9−229464号公報や特開平9−210434号公報に開示されているように、変風量ユニットにおける吹き出し口からの送風量を保障するために静圧の過不足を考慮して空気調和機の送風を制御する方法や、例えば特開2000−55448号公報や特開平8−61757号公報に開示されているように、空気調和機からの送風量の絞りすぎによる空気質環境の悪化を防止するために必要な空気調和機からの送風量を確保する方法等が挙げられる。
【0006】
空気調和機の送風温度を制御する手法としては、例えば特開2000−304333号公報や特開平9−229453号公報に開示されているように、空気調和機における送風温度の設定変更を適正化する方法が挙げられる。
【0007】
また前記制御システムの構成としては、例えば特開2001−53768号公報に開示されているように、変風量ユニットや空気調和機の制御を行う自律制御手段と、中央監視装置と、前記制御手段及び中央監視装置を結ぶ伝送路とを有し、自律制御手段を含むネットワークと中央監視装置を含むネットワークとの結合にネットワーク・アーキテクチャの標準化を利用して異なるプロトコルのネットワークを接続するオープンネットワーク技術を用い、双方向の高速通信を可能とし、かつ自律制御手段間のデータのやりとりを中央監視装置にて監視することを可能とした構成が挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した変風量ユニットの制御及び空気調和機の制御では、空気調和機の給気風量や給気温度の目標値を変風量ユニットの開度や風量からこれらの相互作用を加味することなく設定し、これに基づいて制御が行われる。前述した方法では、同じ空調負荷の処理に対して、膨大な給気風量と給気温度の組み合わせがある中からある値を設定するが、この設定は、制御に必要な多数のパラメータを手入力し、この入力値と制御結果を比較解析しながら現場で行われるのが一般的である。
【0009】
前記の設定では、例えば省エネルギー性を優先させるには、冷房時では給気温度の上限値を低くする(暖房時では下限値を高くする)、快適性を優先させるには、給気風量の下限値を大きくする(変風量ユニットの開度を小さくしないようにする)等、入力するパラメータを変更することで調整することができる。前記設定では、従来からの蓄積によりある程度の知見が得られているが、多くの入力値を適正な値とするためには専門の調整員によって行われることが一般的であり、また前述した設定は比較解析という、いわば試行錯誤による作業を伴うことから、作業に相当の時間を要することが多い。
【0010】
また前述した変風量ユニットの制御及び空気調和機の制御は、例えば省エネルギー運転、快適な温度環境を実現する運転、快適な空気質環境を実現する運転等、個別の目的を達成する上で有効であるが、各空調区域における空調負荷が異なる場合では、空調環境が良好な区域と空調環境が良好でない区域とが形成されやすい。例えば省エネルギー運転のために空気調和機の送風量を小さくした場合では、ある空調区域において、必要外気量の不足により空気質が悪化したり、空調負荷の変動に十分対応できず過冷や過熱等が生じて快適性を損なうことがある。
【0011】
また温度以外の制御要素(例えば空調区域のCO2濃度等)を併用する場合では、その要素における空調区域での実測値と設定値とを照合して制御することが一般的であり、このような場合ではさらなる検出手段の設置(例えばCO2濃度センサ等)を必要とし、イニシャルコストが非常に高くなることがある。
【0012】
前記変風量システムは、中規模又は大規模なオフィスを有するビルディングに良く用いられているが、このようなオフィスでは年に一回程度の頻度でレイアウト変更が行われる傾向にあり、前述した変風量システムでは、その都度、空調区域の変更による変風量ユニットや温度センサ、制御関係の配線等の配置換えを行う必要が生じたり、空調区域の再構成による空調環境の変動に伴い、前述したような煩雑な設定を行う必要が生じることがある。
【0013】
また従来技術において前述した制御システムの構成は、制御システムにおける高速通信と一括監視とを実現する上で優れたシステム構成であるが、中央監視装置の活用という観点から検討の余地が残されている。
【0014】
本発明はこれらの問題点を解決するために、変風量システムの制御システムにおいて、変風量システムの運用者が、空調区域の空調環境及び空調システムの運用をより容易にかつ自由に選択することが可能な制御システムを提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、変風量システムを制御するにあたり、データ通信手順にオープンネットワーク技術を適用し、監視制御用のデータ通信における送信元と受信先を論理的に接続し、制御目標で優先する項目(例えば省エネルギー性と快適性など)を任意に切り替えられる構成を可能とした制御システムであり、複数の制御モードに対応する複数のプログラムを変風量コントローラに予め組み込んでおき、変風量コントローラ外部から所定の制御モードを指示することにより、容易かつ自由に制御モードを選択できるようにし、変風量システムの発停や制御目標値の設定の煩雑さを削減し、居室のレイアウト変更や用途変更に伴う熱負荷処理分担の再構成を容易にする制御システムである。
【0016】
すなわち本発明の制御システムは、空調区域の熱負荷変動に応じて空調区域への供給風量を制御する変風量ユニットと、この変風量ユニットからの要求に応じて温度や風量が調整された空気を変風量ユニットに供給する空気調和機とを有する変風量システムを制御する制御システムにおいて、変風量ユニットの運転を制御する変風量コントローラと、この変風量コントローラと接続されている制御モード入力手段とを有し、制御モード入力手段は、複数の制御モードの中から選ばれる所定の制御モードを、これに対応する変数として発信する手段であり、変風量コントローラは、複数の制御モードに対応する複数のプログラムを記憶するメモリと、制御モード入力手段からの変数を受けて実行すべきプログラムを判断する判断手段とを有し、受信した前記変数に対応するプログラムを実行して、空調区域における測定温度と設定温度との偏差がゼロになるように変風量ユニットの運転を制御し、かつ前記偏差をゼロとするのに必要な空気調和機からの給気風量及び給気温度の少なくともいずれか一方を算出する制御システムである。
【0017】
前記構成によれば、変風量システムの制御システムにおいて、制御モード入力手段から変風量コントローラに、制御モードに対応した変数を送信することによって、変風量システムの運用者が制御モードをより容易にかつ自由に選択することが可能となる。
【0018】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとを伝送路で接続したネットワークが構成されており、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間には変風量サーバが設けられ、この変風量サーバは、ネットワーク上における変風量コントローラのアドレスを記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のアドレスを読み取りこのアドレスに応じて変数を送信先に発信する手段である構成とすることにより、運用時のさらなる省力化や、データ通信回数のさらなる削減を実現し、より安定したデータ通信を実現することが可能となる。
【0019】
また本発明では、前記変風量サーバは、任意の変風量コントローラによって構成されるグループのグループ名を記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のグループ名を読み取り、このグループを構成する変風量コントローラに変数を発信する手段である構成とすると、運用時のさらなる省力化や、データ通信回数のさらなる削減を実現し、より安定したデータ通信を実現する上でより一層好ましい。
【0020】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとを伝送路で接続したネットワークが構成されており、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間、又は制御モード入力手段と変風量サーバの間には、異なるプロトコル体系を有する二つのネットワークを互いに接続するネットワーク接続手段が設けられている構成とすることにより、プロトコル体系の異なる二つのネットワークを接続できることから、空調区域に関連する他の制御システムへの編入が可能となり、かつデータ通信において双方向の高速通信を実現することが可能となる。
【0021】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量サーバとの間には、受信した変数の送信先のアドレス又はグループ名を読み取り、送信先への通信経路を決定する中継制御手段が設けられている構成とすることにより、運用時におけるより一層の省力化、データ通信回数のより一層の削減、及びデータ通信のより一層の安定化を実現することが可能となる。
【0022】
また本発明では、制御モードは、省エネルギー性優先モードと快適性優先モードとであり、省エネルギー性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき算出される変風量ユニットにおける給気通路の開度を所定値以上に維持することを少なくとも条件として、要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムであり、快適性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき変風量ユニットにおける給気通路の開度を算出し、この開度に応じて要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムである構成とすることにより、より適切な空調環境の形成及びより適切なシステム運用を実現することが可能となる。
【0023】
本発明の制御システムは、前記変風量ユニットと前記空気調和機とを有する空調システムを制御するための制御システムである。まず、前記空調システムについて説明する。
【0024】
前記空調区域は、熱負荷変動が発生する可能性のある空間であれば良く、居室等の閉鎖空間であっても良いし、このような閉鎖空間をパーテーション等で区切った非閉鎖空間であっても良く、任意に設定することができる。
【0025】
前記変風量ユニットは、空調区域の熱負荷変動に応じて空調区域への供給風量を制御するものであれば良く、従来より知られている種々の形態のものを利用することができる。このような変風量ユニットとしては、例えば空気調和機と空調区域とを接続する給気通路の一部と、この給気通路における通気量を調整するダンパと、このダンパをモータ等の動力源を用いて操作する操作部とを有する変風量ユニットが挙げられる。また空調区域の熱負荷変動に対応するための手段としては、公知のごとく空調区域の温度を測定する温度センサが挙げられる。温度センサによる測定温度と供給風量の制御との関連については後に説明する。
【0026】
前記空気調和機は、変風量ユニットからの要求に応じて温度や風量が調整された空気を変風量ユニットに供給するものであれば良く、従来より知られている空気調和機を用いることができる。このような空気調和機としては、例えば送風機と、冷水コイルや蒸気コイル等の温度調整手段と、送風機の回転数や、前記コイルを流れる熱媒の流量を制御する制御部とを有する空気調和機が挙げられる。変風量ユニットからの要求に応じて温度や風量を調整するための手段については後に説明する。
【0027】
次に本発明の制御システムについて説明する。
本発明の制御システムは、変風量ユニットの運転を制御する変風量コントローラと、この変風量コントローラと接続されている制御モード入力手段とを有する。
【0028】
前記制御モード入力手段は、複数の制御モードの中から選ばれる所定の制御モードを、これに対応する変数として発信する手段であれば良く、このような手段としては、例えば一般のパーソナルコンピュータ、ビルディング等における設備監視用の中央監視装置や、複数の設備機器を分散管理するためのローカル管理用コントローラ等が挙げられる。
【0029】
前記変風量コントローラは、変風量ユニットの運転を制御するための手段であり、複数の制御モードに対応する複数のプログラムを記憶するメモリと、制御モード入力手段からの変数を受けて実行すべきプログラムを判断する判断手段とを有する。すなわち前記変数は判断手段に通信され、実行すべきプログラムを判断手段が判断し、プログラムによる算出結果を変風量ユニットの前記操作部に通信することにより変風量ユニットの運転を制御する。
【0030】
また空調区域の熱負荷変動を反映した変風量ユニットの制御については、判断手段において、又はその前段の適当な手段において、空調区域の設定温度と前記温度センサの測定温度との偏差(制御偏差)を求め、この制御偏差に基づいて、例えばPI制御式等を用いて、制御偏差がゼロとなるように前記ダンパの開度を算出する構成が挙げられる。このような構成によれば、空調区域の測定温度に基づいた前記ダンパの開度がまず求められ、このダンパの開度を初期条件としてプログラムを実行することとなり、空調区域の熱負荷変動に応じ、かつ制御モードに応じた空調システムの運転が実現される。
【0031】
前記変風量コントローラには、入力部、処理部(判断手段)、記憶部(メモリ)、及び出力部を有するCPUを用いることができる。入力部では、前記変数や前記温度センサの検出結果を受信し、処理部では、前記プログラムの判断及び前記プログラムによる演算を行い、前記記憶部には前記複数のプログラムを記憶し、前記出力部では、前記プログラムによる算出結果の送信を行う。
【0032】
ところで前記制御モードについては、運用者が任意に設定することができるが、省エネルギー性優先モードと快適性優先モードの二つとすることにより、空調システムの目的をほぼ達成することができる。省エネルギー優先モードとは、前記ダンパの開度を十分に大きくし、変風量ユニットにおける圧力損失を低減し、空気調和機の送風量を制御することによって空調区域の設定温度を達成させる制御モードであり、快適性優先モードとは、空調区域の測定温度に基づき設定された前記ダンパの開度に応じて空気調和機の送風量、又は送風温度を制御することによって空調区域の設定温度を達成させる制御モードである。
【0033】
したがって、省エネルギー性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき算出されるダンパの開度を所定値以上に維持することを少なくとも条件として、要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムであり、快適性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき前記ダンパの開度を算出し、この開度に応じて要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムである。
【0034】
このように前記ダンパの開度、すなわち空調区域への供給風量に応じて、空気調和機から供給されるべき空気の量及び温度を決定すると、空気調和機からの過多の送風や過度の温度調整を抑制することができる点で有利であり、変風量コントローラにおいてプログラムによる算出結果を、変風量ユニットの前記操作部と、空気調和機の前記制御部とに送信することにより、前述した空調システムの運転と制御モードに基づく空調システムの制御とが実現される。空気調和機への給気の要求は制御モードに基づいて行われるが、給気風量と給気温度のいずれか一方のみであっても良いし、両方であっても良い。
【0035】
空調システムでは一般に一台の空気調和機に対して複数台の変風量ユニットが設けられる。このような場合では、変風量ユニットの運転を、個々の空調区域の熱負荷変動に応じて変風量コントローラにより制御することが必要である。この場合において、制御モード入力手段が個々の変風量コントローラに対して前記変数等の通信を一対一で行うと通信渋滞が生じ、速やかな、かつ適切な制御に支障を来すことがある。一方で空調区域はその用途によって熱負荷変動がほぼ同じであることが多いことから、本発明では、前述した場合に変風量コントローラをグループ管理することが可能となる。
【0036】
すなわち、本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間に変風量サーバを設けることにより、前記グループ管理を実現することが可能となる。なお本発明においては、変風量コントローラに関する通信形態は、例えばネットワーク上におけるアドレスによって個々の変風量コントローラを任意に選択する形態であっても良いし、また例えば変風量コントローラに識別可能な任意の名称を付け、同じ名称の変風量コントローラを同一グループの構成要素と識別して通信を行う形態であっても良い。
【0037】
前記変風量サーバは、ネットワーク上における変風量コントローラのアドレス、又は任意の変風量コントローラで構成されるグループのグループ名を記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のアドレス又はグループ名を読み取り、このアドレスの変風量コントローラ又は前記グループを構成する変風量コントローラに変数を発信する手段であれば良く、このような変風量サーバとしては、例えば前述したCPUが上げられる。変風量サーバにおいては、入力部では前記変数等を受信し、処理部では、受信した変数の送信先のアドレス又はグループ名の読み取り、読み取ったアドレス又はグループ名と記憶したアドレス又はグループ名との照合、及び送信先の特定を行い、記憶部では、変風量サーバに対して直列及び並列のいずれを問わず接続されている変風量コントローラのネットワーク上におけるアドレス又はグループ名を記憶し、出力部では特定された送信先に前記変数を送信する。
【0038】
変風量コントローラのグループ化は、変風量コントローラによる制御の同一性や類似性によって設定することができ、例えば空調区域の種類や用途(パーテーションで区切られたオフィス、廊下、会議室等)や、異なる種類の空調区域であっても熱負荷変動の類似性(設置されている機器による発熱の度合いや空調区域における人口密度や活用頻度等)によって任意に設定することができる。
【0039】
また本発明の制御システムをビルディング等の空調システムに適用する場合では、他の設備を制御するための制御システムを利用することが可能であるが、この場合では、中央監視装置を制御モード入力手段として利用することが可能である。ただしこのような場合では、既存の制御システムが形成するネットワークに制御モード入力手段が組み込まれることから、変風量コントローラ等のプロトコル体系と制御モード入力手段のプロトコル体系とが異なることがある。このような場合では、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間、又は制御モード入力手段と変風量サーバとの間には、ネットワーク接続手段が設けられる。
【0040】
前記ネットワーク接続手段は、異なるプロトコル体系を有する二つのネットワークを互いに接続する手段であり、一方のネットワークにおける言語と他方におけるネットワークの言語を共通化する手段である。ネットワーク接続手段は、プロトコル体系の異なるネットワーク間であれば設置場所は特に限定されない。このようなネットワーク接続手段としては、例えばゲートウエイ装置を例示することができ、一方のネットワーク中にある制御モード入力手段から送信される変数を、送信先のある他方のネットワークにおける変数に変換する手段と、変換した変数を他方のネットワークに送信する手段とを有する構成が挙げられる。
【0041】
またビルディングの空調システムでは、各フロアに空気調和機が設置され、この空気調和機に複数台の変風量ユニットが接続されることが一般的であり、このように空気調和機が複数台設けられる場合では、各フロアに対応して変風量サーバが設けられる。このような場合では、通信の煩雑化による通信渋滞に対する対策として、制御モード入力手段と変風量サーバとの間に中継制御手段を設けることが好ましい。
【0042】
前記中継制御手段は、受信した変数の送信先のアドレスを読み取り、送信先への通信経路を決定する手段であれば良く、変風量サーバに対応して設置されることが好ましい。このような中継制御手段としては、例えばルータを例示することができ、対応する変風量サーバ及びこの変風量サーバに接続されている変風量コントローラのネットワーク上におけるアドレス(又は前述したグループ名)を記憶する記憶部と、受信した変数の送信先のアドレスを読み取る手段と、読み取ったアドレスと記憶部のアドレスを照合する手段と、送信先への通信経路を決定する手段と、受信した変数に前記通信経路の情報を付加する手段と、この変数を送信する手段とを有する構成が挙げられる。
【0043】
本発明の制御システムは、制御モードの初期設定や変更等の設定に関しては、従来と同様にパラメータを直接入力することで行われるが、空調区域の再構成に際しても配線工事等の作業を必要とせず、制御システムの構築や変更において必要とされる作業量を大幅に削減することが可能となる。また、制御モードの設定では、パラメータの入力作業を効率化するためのツール(ソフトウエア)が用意されれば、入力作業のさらなる省力化の実現が可能となる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の制御システムにおける一実施の形態を図1に示す。本実施の形態における制御システムは変風量システムを制御するものであり、変風量システムは、温度及び風量を調整した調整空気を生成、送風する一台の空気調和機7と、空気調和機7に接続される複数の変風量ユニット5とから構成されている。変風量ユニット5は、空気調和機7に対してダクト14によって並列に接続されている。
【0045】
空調区域(ゾーン)はゾーン12aとゾーン12bとに仕切られており、ゾーン12aに一つの、ゾーン12bに二つの変風量ユニット5がそれぞれ配置されている。それぞれのゾーンには、それぞれのゾーンにおける温度を検出する温度センサ4が設けられている。
【0046】
空気調和機7は、インバータ制御機能付きの送風機8と、二方弁付きの冷温水コイル9と、インバータ制御によって送風量を制御し、二方弁の開度によって送風温度を制御する制御部(図示せず)とを有する構成とされている。前記制御部は、後述する変風量サーバ3に通信自在に接続されている。
【0047】
変風量ユニット5は、調整空気の通気量を制御するダンパと、このダンパの開度を自在に制御するための動力源である制御モータを有する操作機6とによって構成されている。
【0048】
本実施の形態における制御システムは、中央監視装置10と、ゲートウェイ11と、変風量サーバ3と、複数の変風量コントローラ2とによって構成されている。中央監視装置10、ゲートウェイ11、変風量サーバ3、及び変風量コントローラ2はこの順に伝送路1によって直列に接続されて、ネットワークの一部を構成している。
【0049】
中央監視装置10は、他の設備機器の制御にも利用されるコンピュータであり、衛生や電気等、他の設備機器の制御、集中監視(運転/停止の指令、運転状態の確認、警報表示等)及び運転データの蓄積等も行うもので、他の設備機器の制御システムも含むネットワーク上にある。中央監視装置10は、キーボードからの入力や、中央監視装置10に接続されている他のコンピュータ(例えばゾーン12aに設置されているコンピュータ等)からの入力によって空調設備を含む、種々の設備機器の制御に関する指示を行える構成とされており、本発明における制御モード入力手段である。
【0050】
ゲートウェイ11はネットワーク接続手段(後述するプロトコル交換器)であり、中央監視装置10を含むネットワークと、変風量サーバ3及び変風量コントローラ2を含むネットワークとを接続している。
【0051】
変風量コントローラ2は、図2に示すように、省エネルギー性優先プログラム22と、快適性優先プログラム23と、制御のための通信(例えば変風量コントローラであれば中央監視装置10からの変数や、温度センサ4からの電気信号(検出結果)等)が入力され、中央監視装置10からの変数に基づき、いずれのプログラムを用いて制御出力を演算するかを判断する判断手段21と有する。なお、変風量コントローラ2におけるそれぞれのプログラムについては後に詳しく説明するが、変風量ユニット5の開度の算出、及び空気調和機7への要求給気風量及び要求給気温度の算出を所定の条件にしたがって行うように構成されている。
【0052】
また変風量コントローラ2は、各ゾーンに対応してグループ化されている。ゾーン12aに対応する変風量ユニット5に接続されている変風量コントローラ2がグループ13aを構成し、ゾーン12bに対応する二つの変風量ユニット5に接続されている二つの変風量コントローラ2がグループ13bを構成している。
各ゾーンにおける温度センサ4は、各グループの少なくともいずれか一つの変風量コントローラ2に接続されている。
【0053】
変風量サーバ3は、変風量コントローラ2への変数の通信におけるグループ管理を行うべく、変風量コントローラ2によって構成されているグループのグループ名を記憶するメモリと、変数の送信先のグループ名を読み取り送受信すべきあて先を判断する処理部とを有する。
【0054】
本実施の形態の制御システムでは、中央監視装置10を含む通信ネットワークはEthernet(通信プロトコルはTCP/IP)を用い、変風量コントローラ2及び変風量サーバ3を含む通信ネットワークはLONWORKS(エシェロン社の登録商標、通信プロトコルはLon Talk)を用いる。ゲートウェイ11は、これらのネットワーク間の通信で通信プロトコルを交換するプロトコル交換器である。
【0055】
また中央監視装置10や変風量コントローラ2等のノード間の変数には、各種制御に対応するデータとしてそれぞれ定義された変数が含まれる。変数の意味は、各ネットワーク間で共通である。変数には、制御モードの他に、運転/停止の指令、室内設定温度、室内計測温度、変風量ユニットの開度等、制御及び状態監視に必要な各種情報があり、簡単に例示すると、例えば制御モードを表す変数が「0」であれば省エネルギー性優先モードを意味し、「1」であれば快適性優先モードを意味する。
【0056】
なお、本実施の形態は本発明の一例であり、本発明では通信手順が知られていることと、前記変数のように通信データの書式が予め定義されていることがオープンネットワークを形成する上で必要とされるが、本発明は通信手順や書式の定義がなされているものであれば本実施の形態に限定されず実現することができる。
【0057】
まず本実施の形態による変風量システム制御の概要を説明する。
変風量コントローラ2は、温度センサ4の計測値と、変風量コントローラ2に予め設定されている室温の制御目標値との偏差がゼロとなるように変風量ユニット5の開度を算出し、操作機6に制御信号を出力する。
【0058】
ここで、変風量ユニット5の開度を算出する際に選択されるべき各ゾーンの制御モード(省エネルギー性又は快適性のいずれか)については、中央監視装置10から伝送路1及び変風量サーバ3を介して変風量コントローラ2に送信される。つまり制御モードの変更は、従来の変風量コントローラのように個別にパラメータを変更するのではなく、変数を設定し送信するだけで行われる。
【0059】
変風量コントローラ2は、温度センサ4からの電気信号(測定温度)と、前記変数が意味する制御モードとに基づき、全ての変風量ユニット5の制御範囲内で室温偏差が許容値(例えば制御設定値±2℃)以内に収まるように、空気調和機7が送風する給気風量と給気温度の適正値を算出し、変風量サーバ3に送信する。変風量サーバ3では、各変風量コントローラ2から受信した給気風量と給気温度について、必要に応じて合計や加重平均などの統計処理を行い、インバータ制御による送風機8の回転数や、冷温水コイル9の二方弁の開度における制御目標値を前記制御部に送信する。
【0060】
なお変数等の通信においては、変風量サーバ3は、ゾーン12a及びゾーン12bに対応して変風量コントローラ2をグループ13a及びグループ13bにグループ分けし、変風量ユニット5の運転/停止、制御モードの指示、制御目標値の指示等により、変風量コントローラ2をグループ管理し、変風量ユニット5をゾーンごとに制御する。
【0061】
次に制御モードの切り換えについて説明する。
変風量コントローラ2の内部にあるメモリには、前述したように省エネルギー性優先と快適性優先との両方のプログラムが組み込まれており、本実施の形態では、オープンネットワークで標準的に用いられている変数で制御モードを切り換える。制御入力に対する制御出力の演算にどちらのプログラムを用いるかは、変数を条件として判断手段21で決定する。
【0062】
次にグループ管理について説明する。
本実施の形態では、前述したようにネットワークにおけるアドレス番号やグループ番号等を変風量サーバ3のメモリに書き込み、これに基づいて変風量サーバ3が変数の送受信を管理する。本実施の形態では、送信側が指定したグループ内の全てのノードと通信を行うグループ・アドレッシングで設定した通信グループによって変風量ユニット5の運転を管理する。
【0063】
図3は、変風量サーバ3と複数の変風量コントローラ2をグループ・アドレッシングで設定し、グループ管理する場合の一例を説明するための図である。なお、通常の変風量システムでは、建物の階別方位別に一台の空気調和機を設置し、この空気調和機から複数の変風量ユニットに給気が行われる構成を採用することが一般的であることから、これに適応する場合として、本例では変風量サーバ3が管理できる変風量コントローラ2の数を1グループ当たり10までとし、設定されるグループは最大で10グループであるものとする。
【0064】
グループ管理では、空調負荷を分担する一つのゾーンを一つのグループとすることで、同一グループ内の変風量ユニット5が同一の制御条件で作動する。例えば同一ゾーンに変風量コントローラ2が四つあるとしたら、これらをグループ1とすることで四つの変風量コントローラ2は同様に運転する。
【0065】
変風量サーバ3によるグループ管理は、同一グループ内にある変風量コントローラ2に対する指示(運転/停止、室温設定値、制御モード等)や、グループ内にある変風量コントローラの運転状態(室内温度、室温制御を満足するのに必要な要求給気風量や要求給気温度等)を変数の受送信によって行う。変数をグループで受送信することで、中央監視装置10と個々の変風量コントローラ2とが通信を行う場合に比べてネットワークでの通信量が削減し、通信渋滞の発生による制御監視の動作不能を予防することができる。
【0066】
次にプログラムについて説明する。本実施の形態では冷房運転時におけるプログラムを例に、図4及び図5に示す制御フローにしたがい説明する。
【0067】
概略を説明すると、変風量コントローラ2は、まず前記ダンパの開度による室温制御を算出し、この結果を操作機6に送信する。次いで空気調和機7への要求給気風量を算出する。この結果は変風量サーバ3を介して空気調和機7の前記制御部に送信される。次いで空気調和機7への要求給気温度を算出する。この結果も変風量サーバ3を介して前記制御部に送信される。
【0068】
まず室温制御では、前回の演算結果が判断手段に入力され、温度センサ4による室温(ゾーン温度)測定の結果が判断手段に入力され、判断手段は、室内温度設定値と室内温度計測値との差を制御偏差とし(ステップ401)、この制御偏差を最小にする前記ダンパの開度(VAV開度)をPI制御式等により算出する(ステップ402)。次に判断手段は、VAV開度の算出値に対して、受信した制御モードに応じて、例えば先の例にしたがえば「0」であれば省エネルギー性優先モードに対応したプログラムを選択し、「1」であれば快適性優先モードに対応したプログラムを選択して、VAV開度の補正値を決定する(ステップ403)。
【0069】
VAV開度の補正について、制御モードが快適性優先モードである場合では、変風量コントローラは、先の算出結果がVAVの最小開度よりも小さいことを条件とし(ステップ404)、真であればVAV開度を最小開度とし(ステップ405)、また先の算出結果がVAVの最大開度よりも大きいことを条件とし(ステップ406)、真であればVAV開度を最大開度とする(ステップ407)。
【0070】
またVAV開度の補正について、制御モードが省エネルギー性優先モードである場合では、変風量コントローラは、先の算出結果が所定値以上であることと制御偏差が所定の範囲内にあることとの論理積を条件とし(ステップ408)、真であればVAV開度を所定値(70%)に固定する(ステップ409)。また変風量コントローラは、先の算出結果が所定値未満であることと制御偏差が所定の範囲にあることとの論理積を条件とし(ステップ410)、真であればVAV開度を所定割合(例えば5%)だけ増加する(ステップ411)。
【0071】
なお、省エネルギー性優先モードにおいてVAV開度の補正値を70%としたのは、VAV開度を大きくし、空気調和機7における送風機の給気風量を少なくすることで、送風機の動力の削減、すなわち省エネルギーを実現するためであり、VAVの開度の所定値や制御偏差の範囲は運用者等が任意に設定することが可能である。
【0072】
制御モードによりVAV開度の補正を行った後、変風量コントローラは、変風量ユニットの操作機に対して、開又は閉の動作を行うように電気信号を発信し(ステップ412)、ダンパ制御周期が未終了の場合はステップ400に戻り、ダンパ制御周期が終了した場合は要求給気風量の算出に進む(ステップ413)。
【0073】
要求給気風量の算出では、変風量コントローラは、制御モードが快適性優先モードである(ステップ403)場合は、VAV開度及び制御偏差が所定値以上であることを条件とし(ステップ414)、真であれば要求給気風量を前回算出値の1.1倍と算出する(ステップ415)。
【0074】
制御モードが省エネルギー性優先モードである(ステップ403)場合では、変風量コントローラは、VAV開度、制御偏差、及び給気温度が下限値であることを条件とし(ステップ416)、真であれば要求給気風量を前回算出値の1.1倍と算出する(ステップ417)。
【0075】
次いで変風量コントローラは、前述したステップで求めた要求給気風量を変風量サーバ3に送信し(ステップ418)、次いで要求給気温度の算出に進む。変風量サーバ3は、要求給気風量を受信し、前述した統計処理を必要に応じて行い、空気調和機7の制御部に送信する。
【0076】
要求給気温度の算出では、変風量コントローラは、制御モードが快適性優先モードである(ステップ403)場合は、VAV開度と要求給気風量が最大値であることとを条件とし(ステップ419)、真であれば要求給気温度を前回算出値から1.0℃下げた温度と算出する(ステップ420)。
【0077】
制御モードが省エネルギー性優先モードである(ステップ403)場合では、変風量コントローラは、VAV開度を条件とし(ステップ421)、真であれば要求給気温度を前回算出値から1.0℃下げた温度と算出する(ステップ422)。
【0078】
次いで変風量コントローラは、前述したステップで求めた要求給気温度を変風量サーバ3に送信する(ステップ423)。変風量サーバ3は、要求給気温度を受信し、前述した統計処理を必要に応じて行い、空気調和機7の制御部に送信する。また、ステップ403〜418で算出された要求給気風量、及びステップ403〜423で算出された要求給気温度は、前回算出値としてステップ400に入力される。
【0079】
前述した制御フローから、省エネルギー性優先モードは、VAV開度を固定し、給気温度が限界値である場合に給気風量を増加させて室温を調整する制御であり、快適性優先モードは、VAV開度を最初からは固定せず、要求給気風量の増加によって室温を調整する制御であることがわかり、また室温が設定温度に調整するまでの空気調和機からの給気風量は省エネルギー性優先モードの方が少ないことがわかる。
【0080】
なお、本実施の形態では、空気調和機の制御部と変風量サーバを接続することにより、変風量サーバを介して空気調和機の運転を制御する構成としたが、従来から知られている空気調和機用のDDC(Direct Digital Control)を変風量サーバと空気調和機の制御部との間に挿入することで、DDCを介して空気調和機の運転を制御する構成とすることも可能である。また、変風量サーバに変風量コントローラと同様の構成とし、メモリにはプログラムを記憶させることにより、変風量サーバにおいて要求給気風量と要求給気温度の算出を行うなどのように、変風量コントローラが行う制御の一部を変風量サーバで行うことが可能となる。
【0081】
また、例えば図1におけるゲートウェイ11と変風量サーバ3との間に、中継制御手段としてのルータを接続すると、変数の通信経路が特定され、この変数の通信が不要であるノードには前記変数が送信されないことから、通信渋滞の抑制、通信の高速化やシステム運用の省力化を行う上でより効果的である。
【0082】
前記の制御システムでは、前述したように種々の変形例が挙げられるが、本実施の形態における制御システムによれば、運用者が中央監視装置10から制御モードに対応した変数を送信することにより、設定されている制御モードの切り替えを自在に行うことができ、さらに快適な空調環境をより容易に形成することができる。
【0083】
また本実施の形態では、変風量サーバによるグループ管理の再設定や、例えば中央監視装置10でのパラメータの再入力等によって、空調区域の再構成により容易に対応することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明の制御システムは、変風量ユニットと空気調和機とを有する変風量システムを制御する制御システムにおいて、変風量ユニットの運転を制御する変風量コントローラと、変風量コントローラと接続されている制御モード入力手段とを有し、制御モード入力手段は、複数の制御モードの中から選ばれる所定の制御モードを、これに対応する変数として発信する手段であり、変風量コントローラは、複数の制御モードに対応する複数のプログラムを記憶するメモリと、制御モード入力手段からの変数を受けて実行すべきプログラムを判断する判断手段とを有し、受信した前記変数に対応するプログラムを実行して、空調区域における測定温度と設定温度との偏差がゼロになるように変風量ユニットの運転を制御し、かつ前記偏差をゼロとするのに必要な空気調和機からの給気風量及び給気温度の少なくともいずれかを算出することから、変風量システムの制御システムにおいて、制御モード入力手段から変風量コントローラに制御モードを送信することによって、変風量システムの運用者が制御モードをより容易にかつ自由に選択することができる。
【0085】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとを伝送路によって接続することでネットワークが構成されており、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間には変風量サーバが設けられ、この変風量サーバは、ネットワーク上における変風量コントローラのアドレスを記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のアドレスを読み取りこのアドレスに応じて変数を送信先に発信する手段である構成とすると、運用時のさらなる省力化や、データ通信回数のさらなる削減を実現し、より安定したデータ通信を実現する上でより一層効果的である。
【0086】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとを伝送路によって接続することでネットワークが構成されており、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間には変風量サーバが設けられ、この変風量サーバは、任意の変風量コントローラによって構成されるグループのグループ名を記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のグループ名を読み取り、このグループを構成する変風量コントローラに変数を発信する手段である構成とすると、運用時のさらなる省力化や、データ通信回数のさらなる削減を実現し、より安定したデータ通信を実現する上で一層効果的である。
【0087】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量コントローラとを伝送路によって接続することでネットワークが構成されており、制御モード入力手段と変風量コントローラとの間、又は制御モード入力手段と変風量サーバの間には、異なるプロトコル体系を有する二つのネットワークを互いに接続するネットワーク接続手段が設けられている構成とすると、プロトコル体系の異なる二つのネットワークを接続できることかから、空調区域に関連する他の制御システムへの編入及びデータ通信において双方向の高速通信を実現する上でより一層効果的である。
【0088】
また本発明では、制御モード入力手段と変風量サーバとの間には、受信した変数の送信先のアドレス又はグループ名を読み取り、送信先への通信経路を決定する中継制御手段が設けられている構成とすると、運用時における省力化、データ通信回数の削減、及びデータ通信の安定化を実現する上でより一層効果的である。
【0089】
また本発明では、制御モードは、省エネルギー性優先モードと快適性優先モードとであり、省エネルギー性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき算出される変風量ユニットにおける給気通路の開度を所定値以上に維持することを少なくとも条件として、要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムであり、快適性優先モードに対応するプログラムは、空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき変風量ユニットにおける給気通路の開度を算出し、この開度に応じて要求給気風量と要求給気温度とを算出するプログラムである構成とすると、適切な空調環境の形成、適切なシステム運用及びシステム運転の省力化を実現する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御システムにおける一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態における変風量コントローラの機能を説明するための概略図である。
【図3】本実施の形態における変風量サーバによるグループ管理を説明するための図である。
【図4】本実施の形態の制御システムにおける制御フローを示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態の制御システムにおける制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 伝送路
2 変風量コントローラ
3 変風量サーバ
4 温度センサ
5 変風量ユニット
6 操作機
7 空気調和機
8 送風機
9 冷温水コイル
10 中央監視装置(制御モード入力手段)
11 ゲートウェイ(ネットワーク結合手段)
12a、12b ゾーン(空調区域)
13a、13b グループ
14 ダクト
21 判断手段
22 省エネルギー性優先プログラム
23 快適性優先プログラム

Claims (6)

  1. 空調区域の熱負荷変動に応じて前記空調区域への供給風量を制御する複数の変風量ユニットと、この変風量ユニットからの要求に応じて温度や風量が調整された空気を変風量ユニットに供給する空気調和機とを有する変風量システムを制御する制御システムにおいて、
    前記変風量ユニット毎に設けられ、その運転を制御する変風量コントローラと、この変風量コントローラと接続されている制御モード入力手段とを有し、
    前記制御モード入力手段は、複数の制御モードの中から選ばれる所定の制御モードを、これに対応する変数として発信する手段であり、
    前記変風量コントローラは、複数の制御モードに対応する複数のプログラムを記憶するメモリと、前記制御モード入力手段からの前記変数を受けて実行すべきプログラムを判断する判断手段とを有し、受信した前記変数に対応するプログラムを実行して、前記空調区域における測定温度と設定温度との偏差がゼロになるように前記変風量ユニットの運転を制御し、かつ前記偏差をゼロとするのに必要な空気調和機からの給気風量及び給気温度の少なくともいずれか一方を算出すると共に空調負荷を分担するゾーン毎に対応してグループ分けされており、
    前記制御モード入力手段と前記変風量コントローラは伝送路によって接続されることでネットワークが構成されており、
    前記制御モード入力手段と前記変風量コントローラとの間には、前記制御モード入力手段が発信した制御モードに対応する変数を同一のグループを構成する変風量コントローラに対して送信することで、変風量コントローラをグループ管理すると共に変風量ユニットをゾーン毎に制御するための変風量サーバが設けられていることを特徴とする制御システム。
  2. 記変風量サーバは、ネットワーク上における変風量コントローラのアドレスを記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のアドレスを読み取りこのアドレスに応じて変数を送信先に発信する手段であることを特徴とする請求項1記載の制御システム。
  3. 記変風量サーバは、任意の変風量コントローラによって構成されるグループのグループ名を記憶部に記憶し、受信した変数の送信先のグループ名を読み取り、このグループを構成する変風量コントローラに変数を発信する手段であることを特徴とする請求項1記載
    の制御システム。
  4. 前記制御モードは、省エネルギー性優先モードと快適性優先モードとであり、前記省エネルギー性優先モードに対応するプログラムは、前記空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき算出される前記変風量ユニットにおける給気通路の開度を所定値以上に維持することを少なくとも条件として、前記要求給気風量と前記要求給気温度とを算出するプログラムであり、前記快適性優先モードに対応するプログラムは、前記空調区域の測定温度と設定温度との偏差に基づき前記変風量ユニットにおける給気通路の開度を算出し、この開度に応じて前記要求給気風量と前記要求給気温度とを算出するプログラムであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の制御システム。
  5. 前記変風量サーバは、前記空調区域における測定温度と設定温度との偏差に基づいて該偏差がゼロとなるように前記変風量ユニットにおける給気通路の開度を算出し、算出した開度を初期条件として受信した前記変数に対応するプログラムを実行することによって、前記空気調和機からの給気風量及び給気温度の少なくともいずれか一方を算出することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の制御システム。
  6. 前記変風量サーバは、前記給気風量及び給気温度の少なくともいずれか一方に関する前記変風量コントローラからの受信と前記空気調和機への送信とを前記グループ毎に行うことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の制御システム。
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