近年、配線構造の微細化及び多層化が進行しており、これに伴って、半導体集積回路装置の高集積化が進行している。高密度な配線構造又は多層配線構造を実現する方法として、ビアホール・配線溝の内部に、例えば、Cu等の埋め込みを行い、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing 法:CMP法)による平坦化を行うことにより、ビア・配線の形成を行うダマシン法が、一般的に用いられている。
しかしながら、配線構造の高密度化に伴って、配線間に発生する寄生容量が増大することにより、配線遅延が発生するので、高速動作が可能な半導体集積回路装置を実現するためには、配線間に発生する寄生容量を低減させることが非常に重要である。
配線間に発生する寄生容量を低減させる方法として、層間絶縁膜及び配線間絶縁膜を構成する材料として、比誘電率の低い材料を用いることが検討されている。
このため、従来では、配線間絶縁膜を構成する材料として、シリコン酸化膜(化学式:SiO2 ,比誘電率:3.9〜4.2)が一般的に用いられてきたのに対し、近年では、配線間に発生する寄生容量を低減させるために、配線間絶縁膜を構成する材料として、フッ素を含有するシリコン酸化膜(化学式:SiOF,比誘電率:3.5〜3.8)が用いられており、更には、配線間に発生する寄生容量をより一層低減させるために、配線間絶縁膜を構成する材料として、炭素を含有するシリコン酸化膜(化学式:SiOC,比誘電率:3.0以下)を用いることが提案されている。
以下に、配線間絶縁膜を構成する材料としてSiOCを用いて構成された半導体装置について、図7を参照しながら説明する。図7は、従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
図7に示すように、シリコン(Si)よりなる基板(図示せず)上には、SiOCよりなる第1の絶縁膜(層間絶縁膜)70が形成されている。第1の絶縁膜70には、窒化タンタル(TaN)よりなるバリアメタル71aを介して、銅(Cu)よりなる導電膜71bが埋め込まれてなる第1の金属配線71が形成されている。
第1の絶縁膜70上には、第1の金属配線71を覆うように、金属拡散防止膜として機能する、炭素及び窒素を含む酸化シリコン(SiOCN)よりなる第2の絶縁膜(エッチングストッパ膜:ES膜)72が形成されている。第2の絶縁膜72上には、SiOCよりなる第3の絶縁膜(配線間絶縁膜)73、及びSiO2 よりなる第4の絶縁膜74が下から順に形成されている。
第2の絶縁膜72及び第3の絶縁膜73には、TaNよりなるバリアメタル76を介して、Cuよりなる導電膜77が埋め込まれてなるビア78が形成されていると共に、第3の絶縁膜73及び第4の絶縁膜74には、TaNよりなるバリアメタル76を介して、Cuよりなる導電膜77が埋め込まれてなる第2の金属配線79が形成されている。このように、第1の金属配線71と第2の金属配線79とは、ビア78を介して電気的に接続されている。
次に、従来例に係る半導体装置の製造方法について、図8(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図8(a) 〜(d) は、従来例に係る半導体装置の製造方法を示す要部工程断面図である。
まず、図8(a) に示すように、フォトリソグラフィ法により、基板(図示せず)上に形成されたSiOCよりなる第1の絶縁膜(層間絶縁膜)60上に、所望の形状を有する第1の配線溝用レジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、第1の配線溝用レジストパターンをマスクとして、第1の絶縁膜60に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第1の絶縁膜60に第1の配線溝を形成する。
次に、第1の配線溝の底部及び側壁、並びに第1の絶縁膜60の上面に、TaNよりなるバリアメタル61aを形成した後、第1の配線溝の内部に、Cuよりなる導電膜61bを埋め込む。続いて、CMP法により、第1の絶縁膜60の表面が露出するまで、バリアメタル61a及び導電膜61bにおける第1の配線溝からはみ出している部分を選択的に除去することにより、第1の絶縁膜60に、バリアメタル61aを介して、第1の配線溝内に導電膜61bが埋め込まれてなる第1の金属配線61を形成する。
次に、図8(b) に示すように、CVD法により、第1の絶縁膜60上に、第1の金属配線61を覆うように、金属拡散防止膜として機能する、膜厚が50nmであってSiCONよりなる第2の絶縁膜(ES膜)62を形成する。続いて、CVD法により、第2の絶縁膜62上に、膜厚が500nmであってSiOCよりなる第3の絶縁膜(配線間絶縁膜)63を形成した後、CVD法により、第3の絶縁膜63上に、膜厚が50nmであってSiO2 よりなる第4の絶縁膜64を形成する。
次に、図8(c) に示すように、フォトリソグラフィ法により、第4の絶縁膜64上に、所望の形状を有するビアホール用レジストパターン(図示せず)を形成した後、ビアホール用レジストパターンをマスクとして、第4の絶縁膜64及び第3の絶縁膜63に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、これらを貫通し第2の絶縁膜62を露出させるビアホール65を形成する。
次に、図8(d) に示すように、第4の絶縁膜64上に、ビアホール65内を埋め込むように、第2の配線溝用化学増幅型レジスト(図示せず)を塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望の形状を有する第2の配線溝用化学増幅型レジストパターン(図示せず)を形成する。続いて、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンをマスクとして、第4の絶縁膜64及び第3の絶縁膜63に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、ビアホール65と連通する第2の配線溝を形成した後、引き続き、ビアホール65に露出する第2の絶縁膜62に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、ビアホール65に第1の導電膜61bを露出させる。
次に、ビアホール65の側壁、第2の配線溝の底部及び側壁、並びに第4の絶縁膜64の上面に、TaNよりなるバリアメタル66を形成した後、ビアホール65及び第2の配線溝の内部に、Cuよりなる導電膜67を埋め込む。続いて、CMP法により、第4の絶縁膜64の表面が露出するまで、バリアメタル66及び導電膜67における第2の配線溝からはみ出している部分を選択的に除去する。これにより、第2の絶縁膜62及び第3の絶縁膜63に、バリアメタル66を介して、ビアホール65内に導電膜67が埋め込まれてなるビア68を形成すると共に、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、バリアメタル66を介して、第2の配線溝内に導電膜67が埋め込まれてなる第2の金属配線69を形成する。
しかしながら、従来例に係る半導体装置の製造方法では、以下に示す問題があった。
従来例に係る半導体装置の製造方法では、図8(b) に示す工程において、第2の絶縁膜(ES膜)62の形成の際に、第1の絶縁膜(層間絶縁膜)60を構成する材料であるSiOCにおける、Si−O−CH3 結合及びSi−CH3 結合が、CVD法による第2の絶縁膜62の形成の際に発生するプラズマによって破壊されて、塩基(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)が生成されるので、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面には、塩基(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)が滞留している。また、図8(b) に示す工程において、第2の絶縁膜62の形成の際に、第2の絶縁膜62を構成する材料である、窒素(N)と大気中の水分(H2 O)とが反応して、NH2 - 等の塩基が生成されるので、第2の絶縁膜62中には、NH2 - 等の塩基が滞留している。
このため、従来例に係る半導体装置の製造方法では、図8(d) に示す工程において、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターン(図示せず)の形成の際に、第4の絶縁膜64上に、ビアホール65内を埋め込むように、第2の配線溝用化学増幅型レジスト(図示せず)を塗布するので、ビアホール65に露出する第2の絶縁膜62と第2の配線溝用化学増幅型レジストとの接触部分を通じて、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面に滞留している塩基(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)、又は第2の絶縁膜62中に滞留している塩基(例えば、NH2 - 等の塩基)が、第2の配線溝用化学増幅型レジスト中へ拡散される。
一般に、化学増幅型レジストは、感光剤として酸発生剤を含んでおり、露光されて水素イオンを発生することにより、水素イオンを触媒として、レジストの化学反応を誘起させて、レジストパターンを所望の形状に解像させる。
このため、従来例に係る半導体装置の製造方法では、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンの形成の際に、露光により第2の配線溝用化学増幅型レジスト中に発生する水素イオンが、第2の配線溝用化学増幅型レジスト中へ拡散された塩基(例えば、OH- 、CH3 - 、及びNH2 - 等の塩基)と反応することによって消費されるため、レジストの化学反応が阻害されるので、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンを所望の形状に解像させることができない、すなわち、レジストポイゾニング現象が発生するという問題があった。
更には、配線間の寄生容量の低減を図るために、第1の絶縁膜(層間絶縁膜)60及び第3の絶縁膜(配線間絶縁膜)63として低誘電率膜(例えば、SiOCよりなる膜)を用いた場合、第1の絶縁膜60及び第3の絶縁膜63の低誘電率化が進行するに従い、第1の絶縁膜60及び第3の絶縁膜63の密度は低下するため、レジストの化学反応を阻害する物質(例えば、OH- 、CH3 - 及びNH2 - 等の塩基)が、ビアホール65に露出する第2の絶縁膜62と第2の配線溝用化学増幅型レジストとの接触部分を通じて、第2の配線溝用化学増幅型レジスト中へ拡散されるだけでなく、更には、低い密度を有する第3の絶縁膜60中を透過して、化学増幅型レジスト中へ拡散されるので、レジストポイゾニング現象の発生頻度が増大するという問題もあった。
上記の問題を解決する方法として、以下に示す方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来技術に係る半導体装置の製造方法では、まず、前述した図8(a) に示す工程と同様に、第1の絶縁膜(層間絶縁膜)60に、バリアメタル61aを介して、第1の配線溝内に導電膜61bが埋め込まれてなる第1の金属配線61を形成した後、続いて、前述した図8(b) に示す工程と同様に、第1の絶縁膜60上に、第2の絶縁膜(ES膜)62、第3の絶縁膜(配線間絶縁膜)63、及び第4の絶縁膜64を下から順に形成する。
次に、前述した図8(c) に示す工程において、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、第2の絶縁膜62を露出させるビアホール65を形成した後、ホットプレートを用いて、350℃の窒素雰囲気の下、熱処理を施すことにより、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面に滞留している反応阻害物質、又は第2の絶縁膜62中に滞留している反応阻害物質を、絶縁膜外へ放出させることによって除去する。
次に、前述した図8(d) に示す工程と同様に、第4の絶縁膜64上に、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターン(図示せず)を形成した後、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンをマスクとして、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、ビアホール65と連通する第2の配線溝を形成する。続いて、第2の絶縁膜62及び第3の絶縁膜63に、バリアメタル66を介して、ビアホール65内に導電膜67が埋め込まれてなるビア68を形成すると共に、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、バリアメタル66を介して、第2の配線溝内に導電膜67が埋め込まれてなる第2の金属配線69を形成する。
このように、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、ビアホール65の形成工程の後に、熱処理による反応阻害物質の除去処理工程を施すことにより、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面に滞留している反応阻害物質、又は第2の絶縁膜62中に滞留している反応阻害物質を除去することができるので、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンの形成工程の際に、レジストポイゾニング現象が発生することを防止することが可能である。
特開2003−229481号
しかしながら、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、以下に示す問題がある。
レジストポイゾニング現象は、前述したように、第2の絶縁膜62の形成工程の際に、第1の絶縁膜60(層間絶縁膜)と第2の絶縁膜62(ES膜)との界面に発生する反応阻害物質、又は第2の絶縁膜62の形成工程の際に、第2の絶縁膜62(ES膜)中に発生する反応阻害物質に起因して発生するにもかかわらず、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、前述したように、第2の絶縁膜62の形成工程の後に、第3の絶縁膜63の形成を行い、続いて、第4の絶縁膜64の形成を行って、更には、ビアホール65の形成工程を行った後に、熱処理による反応阻害物質の除去処理工程を行う。
このため、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面に滞留している反応阻害物質、又は第2の絶縁膜62中に滞留している反応阻害物質を、熱処理によって絶縁膜外へ放出させる際に、反応阻害物質は、第3の絶縁膜63又は第4の絶縁膜64中を通過しなければならないので、反応阻害物質を確実に除去することができないという問題が発生する。
更には、熱処理によって反応阻害物質が絶縁膜外へ放出される割合は、第3の絶縁膜63又は第4の絶縁膜64の密度に依存するため、第3の絶縁膜63又は第4の絶縁膜64の密度に応じて、熱処理を行う条件を適宜調整しなければならず、特に、第3の絶縁膜63の低誘電率化が進行するに従って、第3の絶縁膜63の密度は低下するため、第3の絶縁膜63の低誘電率化に応じて、熱処理を行う条件を適宜調整しなければならないので、反応阻害物質を確実に除去することが困難であるという問題も発生する。
このため、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターン(図示せず)の形成工程の際に、第1の絶縁膜60と第2の絶縁膜62との界面に残留している反応阻害物質、又は第2の絶縁膜62中に残留している反応阻害物質によって、第2の配線溝用化学増幅型レジストの化学反応が阻害されるため、第2の配線溝用化学増幅型レジストパターンを所望の形状に解像させることができない。更には、これにより、第3の絶縁膜63及び第4の絶縁膜64に、所望の形状を有する第2の配線溝を形成することができないので、高い信頼性を有する第2の金属配線69を備える半導体装置を実現することができない。
前記に鑑み、本発明の目的は、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質を確実に除去することにより、レジストパターンの形成の際に、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することによって、高い信頼性を有する配線を備える半導体装置を実現することができる、半導体装置の製造方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に形成された第1の絶縁膜に、配線を形成する工程(a)と、第1の絶縁膜及び配線の上に、第2の絶縁膜を形成する工程(b)と、第2の絶縁膜の上に、第2の絶縁膜を露出させる開口部を有する第3の絶縁膜を形成する工程(c)と、第3の絶縁膜の上に、レジストパターンを形成する工程(d)とを備え、工程(b)よりも後であって且つ工程(c)よりも前に、工程(b)の際に発生する、レジストパターンを構成するレジストの化学反応を阻害する物質を除去する工程(X)を更に備えることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、第2の絶縁膜の形成工程よりも後であって、第3の絶縁膜の形成工程よりも前に、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質の除去処理工程を行うので、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に第2の絶縁膜の形成工程の際に発生する反応阻害物質(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)、及び第2の絶縁膜中に第2の絶縁膜の形成工程の際に発生する反応阻害物質(NH2 - 等の塩基)を効果的に且つ確実に除去することができる。
このため、レジストパターンの形成工程の際に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に残留する反応阻害物質又は第2の絶縁膜中に残留する反応阻害物質によって、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
したがって、本発明に係る半導体装置の製造方法では、所望の形状を有するレジストパターンをマスクとして、例えば、第3の絶縁膜に対してドライエッチングを選択的に行うことにより、第3の絶縁膜に、所望の形状を有する配線溝を形成することができるので、高い信頼性を有する配線を備える半導体装置を実現することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(X)は、第2の絶縁膜の表面に、化学増幅型レジストを塗布し、化学増幅型レジストを露光した後、更に、化学増幅型レジストを現像し、化学増幅型レジストを除去する工程であることが好ましい。
このようにすると、第2の絶縁膜の表面に塗布された化学増幅型レジストを露光することによって発生する酸を利用して、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に滞留している反応阻害物質(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)、及び第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を中和することによって確実に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(X)は、酸性の液体を用いて、第2の絶縁膜の表面を洗浄する工程であることが好ましい。
このようにすると、例えば、HNO3 又はH2 SO4 等の酸性の液体を用いて、第2の絶縁膜の表面を洗浄することにより、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に滞留している反応阻害物質(例えば、OH- 又はCH3 - 等の塩基)、及び第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を中和することによって確実に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(X)は、酸化性のガス中に、第2の絶縁膜の表面を曝す工程であることが好ましい。
このようにすると、例えば、O2 又はCO2 等の酸化性ガス中に、第2の絶縁膜の表面を曝すことにより、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に滞留している反応阻害物質(例えば、OH- 又はCH3 - 等の塩基)、及び第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を中和することによって確実に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第2の絶縁膜は、Nを含有する膜であることが好ましい。
このようにすると、Nを含有する膜は、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を生成し易い。このため、第2の絶縁膜としてNを含有する膜を用いて構成されている半導体装置に対して、本発明を適用することにより、反応阻害物質の除去処理工程の際に、第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質を効果的に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第2の絶縁膜は、少なくとも2以上の膜が積層されてなる積層膜であり、積層膜のうちの少なくとも1つの膜は、Nを含有する膜であることが好ましい。
このようにすると、前述したように、Nを含有する膜は、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を生成し易い。このため、第2の絶縁膜としてNを含有する膜を用いて構成されている半導体装置に対して、本発明を適用することにより、反応阻害物質の除去処理工程の際に、第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質を効果的に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第1の絶縁膜及び第3の絶縁膜のうちの少なくとも1つの膜は、比誘電率が3以下の膜であることが好ましい。
このようにすると、第1の絶縁膜(層間絶縁膜)及び第3の絶縁膜(配線間絶縁膜)のうちの少なくとも1つの膜を構成する材料として、比誘電率が3以下の低誘電率膜を用いることにより、配線間に発生する寄生容量の低減を図ることができるため、配線遅延が発生することを防止することができるので、高速動作が可能な半導体装置を提供することができる。
また、このようにすると、比誘電率が3以下の低誘電率膜(例えば、SiOCよりなる膜)は、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)を生成し易い。このため、第1の絶縁膜として、比誘電率が3以下の低誘電率膜を用いて構成されている半導体装置に対して、本発明を適用することにより、反応阻害物質の除去処理工程の際に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に滞留している反応阻害物質を効果的に除去することができるため、レジストパターンの形成工程の際に、レジストの化学反応が阻害されることはないので、レジストポイゾニング現象を発生させることなく、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することができる。
更には、このようにすると、低誘電率膜の低誘電率化が進行するに従い、低誘電率膜の密度が低下するので、第3の絶縁膜として、比誘電率が3以下の低誘電率膜を用いた場合、レジストパターンの形成工程の際に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との界面に滞留している反応阻害物質、又は第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質が、低い密度を有する第3の絶縁膜中を透過して、第3の絶縁膜上に塗布されたレジスト中へ拡散されるおそれがある。
このため、第3の絶縁膜として、比誘電率が3以下の低誘電率膜を用いて構成されている半導体装置に対して、本発明を適用することにより、第2の絶縁膜の形成工程よりも後であって、第3の絶縁膜の形成工程よりも前に、反応阻害物質の除去処理工程を行うので、レジストパターンの形成工程の際に、反応阻害物質が、低い密度を有する第3の絶縁膜中を透過して、第3の絶縁膜上に塗布されたレジスト中へ拡散されることはない。
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質を確実に且つ効果的に除去することができるため、所望の形状を有するレジストパターンを精度良く形成することにより、該レジストパターンを用いて、所望の形状を有する配線溝を精度良く形成することができるので、高い信頼性を有する配線を備える半導体装置を実現することができる。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a) 〜(c) 及び図2(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜(c) 及び図2(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す要部工程断面図である。
まず、図1(a) に示すように、基板(図示せず)上に、SiOCよりなる第1の絶縁膜(層間絶縁膜)10を形成する。続いて、第1の絶縁膜10上に、第1の配線溝用レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望の形状を有する第1の配線溝用レジストパターンを形成する。続いて、第1の配線溝用レジストパターンをマスクとして、第1の絶縁膜10に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第1の絶縁膜10に第1の配線溝を形成した後、アッシングにより、第1の絶縁膜10上に形成された第1の配線溝用レジストパターンを除去する。
次に、スパッタリング法により、第1の配線溝の底部及び側壁、並びに第1の絶縁膜10の上面に、TaNよりなるバリアメタル11aを形成した後、電気めっき法により、第1の配線溝の内部に、Cuよりなる導電膜11bを埋め込む。続いて、CMP法により、第1の絶縁膜10の表面が露出するまで、バリアメタル11a及び導電膜11bにおける第1の配線溝からはみ出している部分を選択的に除去することにより、第1の絶縁膜10に、バリアメタル11aを介して、第1の配線溝内に導電膜11bが埋め込まれてなる第1の金属配線11を形成する。
次に、図1(b) に示すように、CVD法により、第1の絶縁膜10上に、第1の金属配線11を覆うように、金属拡散防止膜として機能する、膜厚が50nmであってSiCNよりなる第2の絶縁膜(ES膜)12を形成する。
このとき、CVD法による第2の絶縁膜12の形成の際に発生するプラズマによって、第1の絶縁膜10を構成する材料であるSiOCおける、Si−O−CH3 結合及びSi−CH3 結合が破壊されて、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜12との界面には、OH- 及びCH3 - 等の塩基が生成される。また、第2の絶縁膜12を構成するSiCNにおける窒素(N)と大気中の水分(H2 O)とが反応して、第2の絶縁膜12中には、NH2 - 等の塩基が生成される。
次に、図1(c) に示すように、第2の絶縁膜12の表面に、例えば、アクリル系の化学増幅型レジスト13を塗布した後、化学増幅型レジスト13の全面を露光する。続いて、化学増幅型レジスト13を現像した後、アッシングにより、第2の絶縁膜12の表面に塗布された化学増幅型レジスト13を除去する。
ここで、一般に、化学増幅型レジスト13は、感光剤として酸発生剤を含んでおり、露光されて酸(水素イオン)を発生する。
このため、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜12との界面に滞留している塩基(例えば、OH- 及びCH3 - 等の塩基)、及び第2の絶縁膜12中に滞留している塩基(例えば、NH2 - 等の塩基)が、化学増幅型レジスト13が露光されて発生する酸と反応することによって消費されるので、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜12との界面に滞留している塩基、及び第2の絶縁膜12中に滞留している塩基を除去することができる。
このように、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第2の絶縁膜12の形成工程の後に、化学増幅型レジスト13の塗布/露光工程を行うことにより、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質である塩基を予め除去することができるので、後工程である第2の配線溝用レジストパターンの形成工程の際に、反応阻害物質によって、レジストの化学反応が阻害されることを防止することができる。
次に、図2(a) に示すように、CVD法により、第2の絶縁膜12上に、膜厚が500nmであってSiOCよりなる第3の絶縁膜14を形成した後、CVD法により、第3の絶縁膜14上に、膜厚が50nmであってSiO2 よりなる第4の絶縁膜15を形成する。
次に、図2(b) に示すように、第4の絶縁膜15上に、ビアホール用レジスト(図示せず)を塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望の形状を有するビアホール用レジストパターンを形成する。続いて、ビアホール用レジストパターンをマスクとして、第4の絶縁膜15及び第3の絶縁膜14に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第3の絶縁膜14及び第4の絶縁膜15に、これらを貫通し第2の絶縁膜12を露出させるビアホール16を形成した後、アッシングにより、第4の絶縁膜15上に形成されたビアホール用レジストパターンを除去する。
次に、図2(c) に示すように、第4の絶縁膜15上に、ビアホール16内を埋め込むように、第2の配線溝用レジスト(図示せず)を塗布し、フォトリソグラフィ法により、所望の形状を有する第2の配線溝用レジストパターン(図示せず)を形成する。
このとき、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、前述したように、第2の絶縁膜12の形成工程の後に、反応阻害物質の除去処理工程である化学増幅型レジスト13の塗布/露光工程を行うことにより、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜12との界面に滞留している反応阻害物質である塩基、及び第2の絶縁膜12中に滞留している反応阻害物質である塩基を予め除去することができるので、第2の配線溝用レジストパターンの形成工程の際に、反応阻害物質によって、レジストの化学反応が阻害されることはないので、所望の形状を有する第2の配線溝用レジストパターンを精度良く形成することができる。
次に、第2の配線溝用レジストパターンをマスクとして、第4の絶縁膜15及び第3の絶縁膜14に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、第3の絶縁膜14及び第4の絶縁膜15に、ビアホール16と連通する第2の配線溝を形成した後、引き続き、ビアホール16に露出する第2の絶縁膜12に対して、ドライエッチングを選択的に行うことにより、ビアホール16に導電膜11bを露出させる。続いて、アッシングにより、第4の絶縁膜15上に形成された第2の配線溝用レジストパターンを除去する。
次に、スパッタリング法により、ビアホール16の側壁、第2の配線溝の底部及び側壁、並びに第4の絶縁膜15の上面に、TaNよりなるバリアメタル17を形成した後、電気めっき法により、ビアホール16及び第2の配線溝の内部に、Cuよりなる導電膜18を埋め込む。続いて、CMP法により、第4の絶縁膜15の表面が露出するまで、バリアメタル17及び導電膜18における第2の配線溝からはみ出している部分を選択的に除去する。これにより、第2の絶縁膜12及び第3の絶縁膜14に、バリアメタル17を介して、ビアホール16内に導電膜18が埋め込まれてなるビア19を形成すると共に、第3の絶縁膜14及び第4の絶縁膜15に、バリアメタル17を介して、第2の配線溝内に導電膜18が埋め込まれてなる第2の金属配線20を形成する。このように、第1の金属配線11と第2の金属配線20とは、ビア19を介して、電気的に接続されている。
ここで、本発明の効果を有効に説明するために、以下に示す評価を行うことにより、本発明に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置Aについて、従来技術に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置B、及び従来例に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置Cと比較しながら説明する。
ここで、半導体装置Aとは、第2の絶縁膜12の形成工程の後に、第2の絶縁膜12の表面に、化学増幅型レジスト13を塗布/露光することにより、反応阻害物質の除去処理工程を行うことによって製造された半導体装置をいう。また、半導体装置Bとは、ビアホールの形成工程の後に、ホットプレートを用いて、350℃の窒素雰囲気の下、アニール処理を施すことにより、反応阻害物質の除去処理工程を行うことによって製造された半導体装置をいう。また、半導体装置Cとは、反応阻害物質の除去処理工程を行うことなく、製造された半導体装置をいう。
まず、各半導体装置(A〜C)内に残留する反応阻害物質の量について評価を行った。以下に、各半導体装置(A〜C)内に残留する反応阻害物質(例えば、NH2 - )の量、すなわち、各半導体装置(A〜C)からのNH3 脱離量について、図3を参照しながら説明する。図3は、各サンプル(a〜c)からのNH3 脱離量について示す図である。
上記の測定は、各半導体装置(A〜C)を所定の大きさに切り出して、各サンプル(a〜c)を形成した後、TDS法(Thermal Desorption Spectroscpy法)により、各サンプル(a〜c)からのNH3(M/z=17)の脱離量を測定することによって行う。尚、図3に示す縦軸の数値は、サンプルcからのNH3 脱離量を基準(すなわち、1.0)としたときの、サンプルaからのNH3 脱離量及びサンプルbからのNH3 脱離量を相対的に示す数値である。
図3に示すように、反応阻害物質の除去処理工程が施されることによって製造されたサンプルa及びサンプルbからのNH3 脱離量は、反応阻害物質の除去処理工程が施されることなく製造されたサンプルcからのNH3 脱離量と比較して大幅に減少しており、更には、本発明に係る反応阻害物質の除去処理方法を用いて製造されたサンプルaからのNH3 脱離量は、従来技術に係る反応阻害物質の除去処理方法を用いて製造されたサンプルbからのNH3 脱離量と比較して大幅に減少していることが確認された。
次に、各半導体装置(A〜C)の歩留りについて評価を行った。以下に、各半導体装置(A〜C)の歩留まりについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、各半導体装置(A〜C)の歩留まりについて示す図である。また、図5は、歩留まりの測定に用いられた、半導体装置の構造を示す断面図である。
図5に示すように、基板(図示せず)上には、ビア39を介して、第1の金属配線31と第2の金属配線40とが電気的に接続されてなるパターンが、複数形成されており、上記の測定では、基板(図示せず)上に50個のパターンが形成された各半導体装置(A〜C)を用いて、50個のパターンの各々についての抵抗値を測定し、規定値以下の抵抗値を示す良品のパターンの個数に基づいて、各半導体装置(A〜C)の歩留まりを算出した。
図4に示すように、反応阻害物質の除去処理工程が施されることなく製造された半導体装置Cでは、歩留りが2[%]であったのに対し、アニール処理による反応阻害物質の除去処理工程が施されることによって製造された半導体装置Bでは、歩留りが70[%]にまで上昇し、更には、化学増幅型レジストの塗布/露光による反応阻害物質の除去処理工程が施されることによって製造された半導体装置Aでは、歩留りが100[%]にまで上昇することが確認された。
上記の評価により、図3に示すように、半導体装置CからのNH3 脱離量は1.0であり、従来例に係る半導体装置の製造方法では、反応阻害物質の除去処理工程を施すことなく半導体装置Cを製造するため、第2の配線溝用レジストパターンの形成工程の際に、反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)によって、レジストポイゾニング現象が引き起こされるので、第4の絶縁膜上に塗布された第2の配線溝用レジストに、所望のパターンを精度良く形成することができない、又は所望のパターンを全く形成することができない。このため、図4に示すように、半導体装置Cの歩留まりは2[%]であり、従来例に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置Cでは、規定値よりも高い抵抗値を示す不良品のパターンが多数発生していることが分かる。
一方、従来技術に係る半導体装置の製造方法では、反応阻害物質の除去処理工程を施すことによって半導体装置Bを製造するが、図3に示すように、半導体装置BからのNH3 脱離量は0.4であり、反応阻害物質の除去処理工程の際に、反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を完全に除去することができないため、第2の配線溝用レジストパターンの形成工程の際に、残留する反応阻害物質によって、レジストポイゾニング現象が引き起こされるので、第4の絶縁膜上に塗布された第2の配線溝用レジストに、所望のパターンを精度良く形成することができない。このため、図4に示すように、半導体装置Bの歩留まりは70[%]であり、従来技術に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置Bでは、規定値よりも高い抵抗値を示す不良品のパターンが発生していることが分かる。
更には、本発明に係る半導体装置の製造方法では、図3に示すように、半導体装置AからのNH3 脱離量は0.1であり、反応阻害物質の除去処理工程の際に、反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を効果的に除去することができるため、第2の配線溝用レジストパターンの形成工程の際に、レジストポイゾニング現象が引き起こされることはないので、第4の絶縁膜上に塗布された第2の配線溝用レジストに、所望のパターンを精度良く形成することができる。このため、図4に示すように、半導体装置Aの歩留まりは100[%]であり、本発明に係る半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置Aでは、規定値よりも高い抵抗値を示す不良品のパターンが全く発生していないことが分かる。
以上のように、本発明に係る半導体装置の製造方法では、従来技術に係る半導体装置の製造方法と比較して、反応阻害物質の除去処理工程の際に、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を確実に除去することができるため、第2の配線溝用レジストパターンの形成の際に、所望の形状を有する第2の配線溝用レジストパターンを精度良く形成することができるので、高い信頼性を有する第2の金属配線を備える半導体装置を実現することができる。
尚、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、反応阻害物質の除去処理方法として、第2の絶縁膜12の表面に塗布された化学増幅型レジスト13を露光することによって発生する酸を利用して、レジストポイゾニング現象の発生要因となるNH2 - 等の塩基である反応阻害物質を中和することによって除去したが、本発明はこれに限定されることはない。
第1に、例えば、HNO3 又はH2 SO4 等の酸性の液体を用いて、第2の絶縁膜12の表面を洗浄することにより、NH2 - 等の塩基である反応阻害物質を中和することによって除去しても良い。また、第2に、例えば、HNO3 又はH2 SO4 等の酸性の液体が貯留された溶液中に、第2の絶縁膜12の表面を浸漬することにより、NH2 - 等の塩基である反応阻害物質を中和することによって除去しても良い。また、第3に、例えば、O2 又はCO2 等の酸化性ガス中に、第2の絶縁膜12の表面を曝すことにより、NH2 - 等の塩基である反応阻害物質を中和することによって除去しても良い。
上記第1〜第3のいずれの方法においても、反応阻害物質を効果的に除去することができるので、前述した本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、反応阻害物質の除去処理工程の際に、アニール処理を行いながら、反応阻害物質の除去処理を行っても良い。このようにすると、第1の絶縁膜10と第2の絶縁膜12との界面に滞留している反応阻害物質、及び第2の絶縁膜12中に滞留している反応阻害物質が、アニール処理によって第2の絶縁膜12の表面へ放出されることを促進しながら、反応阻害物質を中和することによって除去することができるので、反応阻害物質をより一層効果的に除去することができる。
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法では、図1(b) に示すように、第1の絶縁膜10上に、第2の絶縁膜12を形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、図6に示すように、CVD法により、第1の絶縁膜50上に、SiOCNよりなる第1の膜52a及び第2の膜52bが、下から順に積層されてなる第2の絶縁膜52を形成しても良い。このとき、第1の膜52aは、酸素原子(O)の原子百分率の値が窒素原子(N)の原子百分率の値よりも小さい、SiOCNよりなる膜であり、第2の膜23bは、Oの原子百分率の値がNの原子百分率の値よりも大きい、SiOCNよりなる膜である。
このようにすると、第1の膜52a及び第2の膜52bが下から順に積層されてなる第2の絶縁膜52は、Nを含有する膜であり、Nを含有する膜は、レジストの化学反応を阻害する反応阻害物質(例えば、NH2 - 等の塩基)を生成し易い。このため、第2の絶縁膜としてNを含有する膜を用いて構成されている半導体装置に対して、本発明を適用することにより、反応阻害物質の除去処理工程の際に、第2の絶縁膜中に滞留している反応阻害物質を効果的に除去することができる。
このように、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第2の絶縁膜は、2以上の膜が積層されてなる積層膜であっても、積層膜のうちの少なくとも1つの膜が、窒素を含有する膜であれば、本発明を有効に適用することができる。