JP4567127B2 - 透明導電積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抵抗値の制御された透明導電積層体に関し、さらに詳しくは高分子基板の上に抵抗値が低減され且つ高分子基板の軟化点温度以下の温度にて熱処理を実施しても当該膜の抵抗値が変化しない透明導電膜を設けてなる透明導電積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種表示素子或いは薄膜太陽電池の電極部には、可視光線透過率が高く、低抵抗な電気特性を有する透明導電膜が欠かせない。また、近年の携帯移動端末の急激な小型化・軽量化に伴って、透明電極基板にも、さらなる軽量な部材が要求されている。そのため、基板材料としては、ガラスに比べてより軽量な透明高分子基板材料にIn−Sn−Oを主成分とする膜(以下ITO膜と記す)を積層した透明導電性フィルムが使用されつつある。
【0003】
ところが、ITO膜を用いて高分子基板上に透明導電膜を形成するには、基板温度を高分子基板の軟化点温度以下に制御する必要があり、ガラス基板上に200℃以上もの高温をかけて形成したITO膜のような電気特性を成膜直後から具現化することは、通常の量産を鑑みた薄膜形成方法においては困難である。
【0004】
そのため、様々な手法が提案されており、かかる現在も室温程度の低温での低抵抗透明導電膜形成の研究がなされている。
【0005】
一方、透明導電材料の新しい展開として、特開平06−318406号公報や特開平07−235219号公報にあるようなIn−Zn−Oを主成分とする膜(以下IZO膜と記す)が提案されている。IZO膜はITO膜と異なり、温度に対する構造等の変化が少なく、さらに構造が非晶質であることより良好なエッチング特性を有する透明導電膜としての用途展開がなされている。
【0006】
一般にDCマグネトロンスパッタリングにおいて形成されるITO膜の構造及び電気特性は、その成膜温度に強く依存すると言われており、構造について言及すると基板温度を室温に保って行った成膜では、結晶質部と非晶質部が混合した状態、或は非晶質状態の膜が形成される。そして、電気特性は低温で形成した膜は成膜直後には抵抗値が著しく低減することはなく、一般に5〜7×10-4Ω・cmの比抵抗を示す。一方、IZO膜は成膜直後から構造は非晶質であり、抵抗値は4.5×10-4Ω・cm程度と比較的低い。しかし、さらに抵抗値が低く且つ外来の刺激に対して抵抗値の変化が少ない透明導電膜は知られていない。そのため、様々な材料が選定されて、かかる今日においても飽くなき探求が続けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状を鑑み、透明導電膜の抵抗値を成膜直後から低減し、さらに熱処理を行っても低減された抵抗値を維持するような透明導電膜の存在が望まれている。その一つの方策は、プロセス温度を増加させ、250℃程度の温度で透明導電膜を形成することである。しかし、高分子基板を用いる場合には、そのような高い成膜温度を実現することは不可能である。また、成膜直後の抵抗値が維持されるということは、熱履歴を与える工程を簡略化する上で効果的である。
【0008】
そこで、本発明では、成膜直後から比抵抗が低く、さらに高分子基板の軟化点温度以下の温度に晒された後にも、成膜直後の比抵抗を維持するような透明導電膜を高分子基板上に与えることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、高分子基板上に高分子基板の軟化点温度を超えない温度にて、成膜直後から低抵抗で、且つ高分子基板の軟化点温度を超えない温度における熱処理を実施しても抵抗値が変化しないような透明導電膜並びにその製造方法を与えることを以下の方法にて実現した。
【0010】
すなわち本発明は、高分子基板上にインジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)及び酸素原子(O)を主成分とする透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体であって、InとSnの合計原子濃度に対するSn原子濃度が0.021〜0.043の範囲であり、InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度が0.073〜0.092の範囲であり、かつSnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比が0.63〜0.81の範囲であることを特徴とする透明導電積層体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について順次説明していく。
本発明の透明導電積層体は、高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる。
【0012】
本発明に使用される高分子基板としては、例えばポリエステル系高分子、ポリオレフィン系高分子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート等の単一成分の高分子、或いは光学的機能または熱力学的機能を付与するために、これらの高分子に第二、第三成分を共重合した、共重合高分子を用いることができる。特に、光学用途にはビスフェノール成分を有する透明性が良好なポリカーボネイトが好適である。かかるビスフェノール成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを挙げることができる。これらは2種類以上組み合わせてもよい。すなわちかかるポリカーボネイトは共重合ポリカーボネイトでもブレンドでもよい。さらに、新規機能を発現させるために複数の高分子体をブレンドした高分子を用いることもできる。さらには、多層の共押出し高分子フィルムを用いることもできる。
【0013】
また、高分子基板の膜厚は、0.01〜0.4mmのものを使用することができるが、0.1〜0.2mm程度が液晶等の光学用途としては視認性の観点より望ましい。
【0014】
さらに高分子基板は光学等方性が優れるものが好ましく、リターデーデョンが20nm以下、好ましくは10nm以下のものが好適である。
【0015】
本発明における透明導電膜は、酸化インジウムを主体とし、酸化錫と酸化亜鉛が添加されたものからなり、InとSnの原子濃度の和に対するSnの原子濃度の比が0.01〜0.1の範囲にあり、InとZnの原子濃度の和に対するZnの原子濃度の比が0,01〜0.1の範囲にあり、SnとZnの原子濃度の和に対するZnの原子濃度の比が、0.55より大きく1未満の範囲に入るものであり、0.6〜0.9の範囲に入ることが望ましい。SnとZnの原子濃度の和に対するZnの原子濃度の比が0.55未満の場合、熱処理後に抵抗値が増大し、本目的を逸脱してしまう。一方、1の場合、Znの濃度が高くなりすぎることによって、酸・アルカリ薬品に対する耐性が悪くなる。SnとZnの原子濃度の和に対するZnの原子濃度の比は、好ましくは、0.55から0.9の範囲である。
【0016】
上記透明導電膜の形成手法としては、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合した形成法等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の透明導電膜を形成することを鑑みると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。
【0017】
スパッタリング法を用いた上記透明導電膜の製膜方法において、本発明では、透明導電膜を製膜する直前の真空槽の圧力を1.3×10-4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。このとき不活性ガスとしてはHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく比抵抗が低減されると言われているが、コスト面から考えてArが望ましい。
【0018】
透明導電膜を製膜する直前の真空槽の圧力は1.3×10-4Pa以下が、真空槽中に残留し、且つ透明導電膜の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので望ましい。より望ましくは、4×10-5Pa以下、より望ましくは2×10-5Pa以下である。また、膜中の酸素量を調整するために分圧に換算して1×10-4〜1.3×10-2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N2O、NH3等を用いることができる。
【0019】
また、本発明では、透明導電膜を製膜する直前の真空槽中の水の分圧を1.3×10-4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。より望ましくは、4×10-5Pa以下、より望ましくは2×10-5Pa以下に水分圧を制御することが望ましい。水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa程度の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。しかし、真空度が1.3×10-5Pa程度から、それより高い場合には、真空度と水分圧は等しいと考えることができる。よって、水分圧は真空計の示す圧力で代表することができる。従って、真空計の値を水分圧と考えることもできる。
【0020】
スパッタリングに用いるターゲットはIn−Sn−Zn−Oを主成分とする焼結ターゲットを用いることが望ましいが、In−Sn−Znを主成分とする合金ターゲットを用いても構わない。
【0021】
本発明によれば、上記方法により形成される透明導電膜は、成膜直後から比抵抗が2.5×10-4〜4.5×10-4Ω・cmと抵抗が小さく、この膜をついで高分子基板のガラス転移温度を超えない温度にて熱処理を実施しても、比抵抗は2.5×10-4〜4.5×10-4Ω・cmとほとんど変化しない膜のままである。これは、抵抗値の低減が、添加しているSnによってもたらされ、同時に添加しているZnが膜の構造について支配的であるために実現できたものであると推察している。即ち、高分子基板の軟化点温度程度の温度範囲にて構造が変化し難いというZnの効果と、抵抗値の低減に効果があるSnの効果とを上手く協調させることにより、このような低比抵抗で抵抗変化の少ない透明導電膜が具現化できている。
【0022】
本発明における、In−Sn−Zn−O系透明導電膜の膜厚は100〜2800Åが好ましい。透明導電膜の膜厚は、用途によって決定される。しかし、可撓性が悪化するため、3000Å以上の透明導電膜を有することは望ましくない。
また、100Å未満の膜厚では、透明導電膜としての機能が著しく悪化するため、100Å未満の膜厚は望ましくない。よって、透明導電膜の用途に応じて100〜2800Åの膜厚にすることが望ましい。
【0023】
なお、上記高分子基板は、形成される透明導電膜との密着性の向上、高分子基板の耐久性の向上或いは、高分子基板のガスバリア能を向上させるために、高分子基板の片面或いは両面に、少なくとも一層以上からなるコーティング層を有していても構わない。このコーティング層は、無機物または有機物またはそれらの複合材料からなり、その膜厚は好ましくは0.01〜20μmである。より望ましくは、10mm程度に抑制されることが望ましい。コーティング層の形成にはコーターを用いた塗布法や、スプレー法、スピンコート法、インラインコート法等が用いられることが多いが、この限りではない。また、スパッタ法、蒸着法といった、Physical Vapor Deposition(以下 PVD)、或はChemical Vapor Deposition(以下CVD)の手法が用いられても構わない。コーティング層としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、UV硬化系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂成分やこれらとアルミナ、シリカ、マイカ等の無機粒子の混合物が使われても良い。或いは、高分子基板を二層以上の共押し出しによりコーティング層の機能を持たせても構わない。PVD、CVDの手法では、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物や、窒化珪素、窒化チタン、窒化タンタル等の窒化物、並びに弗化マグネシウム、弗化カルシウム等の弗化物を単独或は混合物として形成して用いることができる。このようなコーティング層を有する高分子基板は、光学特性としてレターデーションが低く、尚且つ透過率が高いことが望ましい。
【0024】
本発明における透明導電膜は、比抵抗が2.5×10-4〜4.5×10-4Ω・cmと抵抗が小さく、この膜をついで高分子基板のガラス転移温度を超えない温度にて熱処理を実施しても、比抵抗は2.5×10-4〜4.5×10-4Ω・cmとほとんど変化しない膜のままである。これは、抵抗値の低減が、添加しているSnによってもたらされ、同時に添加しているZnが膜の構造について支配的であるために実現できたものであると推察している。即ち、高分子基板の軟化点温度程度の温度範囲にて構造が変化し難いというZnの効果と、抵抗値の低減に効果があるSnの効果とを上手く協調させることにより、このような低比抵抗で抵抗変化の少ない透明導電膜が具現化できている。
【0025】
また、本発明の透明導電積層体の全光線透過率は良好で、SnとZnの原子濃度の和に対するZnの原子濃度の比が0.55より大きく1未満の範囲の組成では、成膜直後には80〜88%の範囲であるが、この膜を高分子基板のガラス転移温度を超えない温度にて熱処理を実施しても、全光線透過率は80〜88%であり、成膜直後と大きく異ならず、透明性が良好である。
【0026】
本発明における透明導電膜の表面抵抗は三菱化学製のLoresta MP MCP−T350を用いて測定した。透明導電膜の膜厚は、ガラス上へ成膜した当該膜の段差をSloan社製のDektakを用いて測定し、スパッタレートを求めこれから逆算した。
【0027】
本発明では、抵抗値のみならず、透明導電膜の他の基本的な物理量の一つである全光線透過率及び当該膜の構造に関する知見を与えるX線回折についても併せて検討をおこなっている。全光線透過率はNIPPON DENSHOKU社製300Aを用いて、高分子基板と透明導電膜を分離すること無く測定した。X線回折は、理学電機RU−300を用いて集中法にて測定した。また、アルカリ性のNaOH水溶液(3.5%)にて、アルカリ耐性についても評価した。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0029】
[実施例1]
真空槽の背圧を1.3×10-5Paとした後、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとしてArを導入し全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した不活性ガスを導入する前の水分圧は、真空槽の背圧とほぼ等しかった。酸素分圧は1.5×10-3Paであった。
【0030】
In−Sn−Zn−Oからなる焼結ターゲットに1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度20℃のポリカーボネイト基板上に、厚さ130nmの透明導電膜を成膜した。InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度の比は0.073であり、InとSnの合計原子濃度に対するSnの原子濃度の比は0.043であった。SnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比は0.63であった。
【0031】
当該膜の成膜直後の比抵抗を、四端子抵抗計にて測定したところ2.7×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は86%であった。
【0032】
当該膜をポリカーボネイトのガラス転移温度未満の温度である130℃で240分間熱処理を行い比抵抗を四端子抵抗計にて測定したところ2.8×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は85%であった。アルカリ耐性も良好であった。
【0033】
[実施例2]
真空槽の背圧を実施例1と同じとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとしてArを導入し全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した不活性ガスを導入する前の水分圧は、真空槽の背圧とほぼ等しかった。酸素分圧は1.5×10-3Paであった。
【0034】
In−Sn−Zn−Oからなる焼結ターゲットに1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度20℃のポリカーボネイト基板上に、厚さ130nmの透明導電膜を成膜した。InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度の比は0.092であり、InとSnの合計原子濃度に対するSnの原子濃度の比は0.021であった。SnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比は0.81であった。
【0035】
当該膜の成膜直後の比抵抗を、四端子抵抗計にて測定したところ2.7×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は87%であった。
【0036】
当該膜をポリカーボネイトのガラス転移温度未満の温度である130℃で240分間熱処理を行い比抵抗を四端子抵抗計にて測定したところ2.6×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は87%であった。アルカリ耐性も良好であった。
【0037】
[実施例3]
真空槽の背圧を実施例1と同じとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとしてArを導入し全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した不活性ガスを導入する前の水分圧は、真空槽の背圧とほぼ等しかった。酸素分圧は1.5×10-3Paであった。
【0038】
In−Sn−Zn−Oからなる焼結ターゲットに1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、両面に4mmの厚みのシリコン系ポリマーからなる有機コーティング層を1層形成したポリカーボネイト基板上へ、基板温度20℃とし、厚さ130nmの透明導電膜を成膜した。InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度の比は0.092であり、InとSnの合計原子濃度に対するSnの原子濃度の比は0.021であった。SnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比は0.81であった。
【0039】
当該膜の成膜直後の比抵抗を、四端子抵抗計にて測定したところ2.8×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は87%であった。
【0040】
当該膜をポリカーボネイトのガラス転移温度未満の温度である130℃で240分間熱処理を行い比抵抗を四端子抵抗計にて測定したところ2.7×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は87%であった。アルカリ耐性も良好であった。
【0041】
[比較例1]
真空槽の背圧を実施例1と同じとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとしてArを導入し全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した不活性ガスを導入する前の水分圧は、真空槽の背圧とほぼ等しかった。酸素分圧は2.7×10-3Paであった。
【0042】
In−Sn−Zn−Oからなる焼結ターゲットに1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度20℃のポリカーボネイト基板上に、厚さ130nmの透明導電膜を成膜した。InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度の比は0.059であり、InとSnの合計原子濃度に対するSnの原子濃度の比は0.059であった。SnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比は0.50であった。
【0043】
当該膜の成膜直後の比抵抗を四端子抵抗計にて測定したところ、3.0×10-4Ω・cmであった。全光線透過率は85%であった。
【0044】
当該膜をポリカーボネイトのガラス転移温度未満の温度である130℃で240分間熱処理を行い比抵抗を四端子抵抗計にて測定したところ、2.5×10-3Ω・cmであった。全光線透過率は85%であった。透過率は良好であるものの、熱処理をすることで比抵抗が約1桁増加し、抵抗値が変化し難いという目的を逸脱してしまった。
【0045】
[比較例2]
真空槽の背圧を実施例1と同じとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとしてArを導入し全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した不活性ガスを導入する前の水分圧は、真空槽の背圧とほぼ等しかった。酸素分圧は2.7×10-3Paであった。
【0046】
In−Zn−Oからなる焼結ターゲットに1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度20℃のポリカーボネイト基板上に、厚さ130nmの透明導電膜を成膜した。
【0047】
当該膜の、成膜直後の比抵抗は3.2×10-4Ω・cmであり、全光線透過率は87%であった。
【0048】
この膜をポリカーボネイトの軟化点温度以下とした130℃の恒温層中で240分熱処理を行った。その結果、比抵抗は3.1×10-4Ω・cmとなり、全光線透過率は87%であった。実用上問題のないレベルではあるものの、上記実施例の膜に比較すると若干アルカリ耐性が悪くなっていた。
【0049】
【表1】
Figure 0004567127
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高分子基板上に低温でDCマグネトロンスパッタによってIn−Sn−Zn−Oを主成分とする透明導電膜を形成することで、成膜直後から比抵抗が小さく、透過率が高く、さらに高分子基板の軟化点を超えない温度にて熱処理を実施しても、比抵抗及び透過率が変化が小さい安定かつアルカリ耐性も高い透明導電積層体を得ることができる。したがって高分子基板上に製膜後加熱処理を行う必要があった従来のITO膜に比べ、その加熱処理工程を必要としないので、生産性の点においても優れている。

Claims (4)

  1. 高分子基板上にインジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)及び酸素原子(O)を主成分とする透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体であって、InとSnの合計原子濃度に対するSn原子濃度が0.021〜0.043の範囲であり、InとZnの合計原子濃度に対するZnの原子濃度が0.073〜0.092の範囲であり、かつSnとZnの原子濃度の合計に対するZnの原子濃度の比が0.63〜0.81の範囲であることを特徴とする透明導電積層体。
  2. 透明導電膜の製膜直後の比抵抗が2.5×10-4〜4.5×10-4Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電積層体。
  3. 透明導電膜の膜厚が100〜2800Åであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明導電積層体。
  4. 高分子基板の厚さが0.01〜0.4mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電積層体。
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