JP4565761B2 - 通気構造を有するセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等の排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ、又は温度センサなどのセンサの様に、通気構造を有するセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、混合ガス中から特定のガス成分の濃度を検出するガスセンサとして、HCセンサやNOxセンサ等、種々のものが知られている。この種のガスセンサの一つとして、例えば特開平9−54063号公報に示される様な外気導入型の酸素センサがある。
【0003】
前記酸素センサでは、外気を導入する通気孔を、センサの最上部に設けられたゴム製のシール部材の中央を軸方向に貫通するように形成するとともに、通気孔を硬質の撥水性フィルタ(水を通さずに通気を確保するフィルタ)で覆うことにより、通気性と防水性を保持している。
【0004】
しかし、この様な硬質フィルタを通気孔全体にわたって配置した構成では、フィルタ全体の体積が大きいことから、その通気性を十分に確保することが困難であった。
そこで、例えば特許公開2000−193632号公報では、図10に示す様に、シート状の撥水性フィルタ(通気フィルタ)P1を金属製の筒状部材(止め金具)P2にかぶせ、この状態で、通気フィルタP1及び止め金具P2をシール部材P3の通気孔P4に嵌挿することにより、通気性及び防水性を保持する技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した技術では、硬質の止め金具P2によって通気フィルタP1を保持する構成のために、通気フィルタP1が破損するおそれがあった。
例えば酸素センサが車体外などに露出している場合に、洗車時の高圧水や飛び石によって通気フィルタP1の周囲などに大きな力が加わったときには、通気フィルタP1自体はたわむことができるものの、それと直接に接触する止め金具P2は殆ど変形しないので、止め金具P2の開口端付近において、通気フィルタP1が破損するおそれがあった。
【0006】
特に、止め金具P2の開口端の周囲では、通気フィルタP1はほぼ直角に折れ曲がっているために、通気フィルタP1に破損が生じ易いという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通気及び防水の可能なフィルタの破損を防止して、通気性及び防水性に優れた性能を確保できる通気構造を有するセンサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、センサの内部と外部とを連通する連通部(例えばケーシングを構成する外筒の連通部)に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材(例えばゴム製のシール部材)を配置するとともに、通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタ(例えば通気フィルタ)を配置したセンサ(例えば酸素センサ)に関するものである。
【0008】
また、本発明では、通気孔に嵌め込む止め部材により、通気孔の内周面側と止め部材の外周面側との間にフィルタを挟んで固定する構成を有し、特に、止め部材は底部を有する略カップ形状であり、その底部が通気孔のセンサ外部側に向くように配置されている。しかも、止め部材の底部は通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、底部には底部の内側と外側とを連通する(1又は複数個の)通気連通孔を有している。
【0009】
従って、センサを例えば車両の排気管など取り付けた場合に、センサの露出部分(フィルタの近傍の部分など)に対して、例えば洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、フィルタのフィルタ面は、内側から止め部材の底部により支持されているので、フィルタは破れ難いという効果がある。これにより、フィルタの破損を防止できるので、フィルタの防水性が低下することがなく、よって、センサの耐久性が向上するという効果を奏する。
【0010】
特に、本発明では、止め部材の底部には、底部とフィルタ面との間に空間を形成するように、内側にへこむ凹部を備えている。
本発明のガスセンサでは、フィルタ面を介してガスの流入・流出をさせることが必要であるが、本発明では、止め部材の底部に形成された凹部によって、底部とフィルタ面との間に十分な空間が形成されるので、フィルタ面を介するガスの流入・流出(従って通気連通孔をも介するガスの流入・流出)を好適に行うことができる。
つまり、ガスの流入・流出は、フィルタ面に面する止め部材の底部により阻害され難いので、ガスは、フィルタ面及び通気連通孔を介して、センサの内部と外部を好適に出入りすることができる。
尚、底部には1又は複数個の通気連通孔が形成されているが、この通気連通孔は凹部により形成された空間に、全て開口していることが望ましい。
(2)請求項2の発明は、前記請求項1の発明と同様に、センサの内部と外部とを連通する連通部(例えばケーシングを構成する外筒の連通部)に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材(例えばゴム製のシール部材)を配置するとともに、通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタ(例えば通気フィルタ)を配置したセンサ(例えば酸素センサ)に関するものである。
また、本発明では、請求項1の発明と同様に、通気孔に嵌め込む止め部材により、通気孔の内周面側と止め部材の外周面側との間にフィルタを挟んで固定する構成を有し、特に、止め部材は底部を有する略カップ形状であり、その底部が通気孔のセンサ外部側に向くように配置されている。しかも、止め部材の底部は通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、底部には底部の内側と外側とを連通する(1又は複数個の)通気連通孔を有している。
従って、センサを例えば車両の排気管など取り付けた場合に、センサの露出部分(フィルタの近傍の部分など)に対して、例えば洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、フィルタのフィルタ面は、内側から止め部材の底部により支持されているので、フィルタは破れ難いという効果がある。これにより、フィルタの破損を防止できるので、フィルタの防水性が低下することがなく、よって、センサの耐久性が向上するという効果を奏する。
特に、本発明では、止め部材の底部には、底部とフィルタ面との間に空間を形成するように、外側に突出する凸部を備えている。
本発明では、止め部材の底部に形成された凸部によって、底部とフィルタ面との間に十分な空間が形成されるので、フィルタ面を介するガスの流入・流出(従って通気連通孔をも介するガスの流入・流出)を好適に行うことができる。
つまり、ガスの流入・流出は、フィルタ面に面する止め部材の底部により阻害され難いので、ガスは、フィルタ面及び通気連通孔を介して、センサの内部と外部を好適に出入りすることができる。
尚、底部には1又は複数の通気連通孔が形成されているが、この通気連通孔は凸部により形成された空間に、全て開口していることが望ましい。
(3)請求項3の発明は、前記請求項1の発明と同様に、センサの内部と外部とを連通する連通部(例えばケーシングを構成する外筒の連通部)に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材(例えばゴム製のシール部材)を配置するとともに、通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタ(例えば通気フィルタ)を配置したセンサ(例えば酸素センサ)に関するものである。
また、本発明では、請求項1の発明と同様に、通気孔に嵌め込む止め部材により、通気孔の内周面側と止め部材の外周面側との間にフィルタを挟んで固定する構成を有し、特に、止め部材は底部を有する略カップ形状であり、その底部が通気孔のセンサ外部側に向くように配置されている。しかも、止め部材の底部は通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、底部には底部の内側と外側とを連通する(1又は複数個の)通気連通孔を有している。
従って、センサを例えば車両の排気管など取り付けた場合に、センサの露出部分(フィルタの近傍の部分など)に対して、例えば洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、フィルタのフィルタ面は、内側から止め部材の底部により支持されているので、フィルタは破れ難いという効果がある。これにより、フィルタの破損を防止できるので、フィルタの防水性が低下することがなく、よって、センサの耐久性が向上するという効果を奏する。
特に、本発明では、通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面自身がたわんでいる。
従って、止め部材の底部とフィルタ面との間に十分な空間が形成されるので、フィルタ面を介するガスの流入・流出(従って通気連通孔をも介するガスの流入・流出)を好適に行うことができる。
つまり、フィルタ面自身がたわんでいる場合には、ガスの流入・流出は、止め部材の底部の形状にそれほど影響され難いので、ガスは、フィルタ面及び通気連通孔を介して、センサの内部と外部を好適に出入りすることができる。
(4)請求項4の発明では、止め部材は、金属製部材である。
本発明は、止め部材の材料を例示したものであり、金属製であれば、軽量化等のために薄くした場合でも、十分な強度を確保することができ、強度的にも有利である。
【0011】
尚、金属以外には、例えばプラスチックやセラミックス等を利用できる。
【0016】
(5)請求項5の発明では、センサはガスセンサである。
【0017】
本発明は、センサの種類を例示したものであり、ここでは、ガスの種類を検出したり、ガスの濃度を検出するガスセンサが挙げられる。
このガスセンサとしては、酸素の濃度を測定する酸素センサ、NOXの濃度を測定するNOXセンサ、HCの濃度を測定するHCセンサ、COの濃度を測定するCOセンサなどが挙げられる。
【0018】
尚、ガスセンサ以外に、上述した通気構造を有するセンサとしては、例えば温度センサなどが挙げられる。
(6)請求項6の発明では、センサは、内燃機関の排気を浄化する触媒(例えば三元触媒)の下流側に配置される下流センサである。
【0019】
つまり、いわゆる下流センサ(モニタセンサ)は、排気管の下流側に取り付けられて、車体の外部に露出しているので、上述した高圧水や飛び石の影響を受け易いが、本発明の下流センサでは、上述した通気構造を備えているので、フィルタが破損し難い等の効果を発揮でき、好適である。
【0020】
尚、下流センサだけでなく、触媒の上流側に取り付けられる上流センサ(制御センサ)に、上述した通気構造を設けることにより、同様な効果を奏する。
(7)請求項7の発明では、センサが、検出素子と、検出素子を保持する主体金具と、検出素子の保持部材側である後端側に大気から隔離された基準ガス空間を形成する筒状部材(例えば外筒)と、筒状部材とともに基準ガス空間を形成する保持部材とを備えている。
【0021】
本発明は、センサの構成を例示したものであり、このセンサとしては、例えば、ジルコニアを主成分とする固体電解質体からなり、酸素濃度を検出する検出素子を備えた酸素センサが挙げられる。
(8)請求項8の発明では、センサの後端側に連通部が設けられ、連通部に取り付けられた保持部材を介して、検出素子から伸びるリード線が外部に取り出される構成を備えている。
【0022】
本発明は、センサの構成を例示したものであり、このセンサとしては、保持部材を介してリード線が伸びる例えば酸素センサが挙げられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の通気構造を有するセンサの実施の形態の例(実施例)について説明する。
(実施例1)
本実施例の通気構造を有するセンサは、例えば自動車の排気系に取り付けられて、検出ガス(排気ガス)中の酸素濃度を測定する酸素センサ(ガスセンサ)である。
【0024】
具体的には、検出素子の大気側と測定ガス側の酸素濃度の違いに基づいて起電力を発生するタイプの酸素センサであり、そのため、検出素子の大気側(センサ内部)にセンサ外部より大気を導入するための通気構造を必要とするものである。
【0025】
a)まず、本実施例の酸素センサの構成について、図1等に基づいて説明する。尚、図1は、酸素センサの全体構成を示す断面図である。
図1に示す様に、酸素センサ1は、先端が閉じた中空軸状の検出素子3と、検出素子3内に配置された軸状のセラミックヒータ5と、検出素子3を収容するケーシング7等から構成されている。
【0026】
前記検出素子3は、ZrO2を主成分とする固体電解質体からなり、その内側及び外側の表面に電極(図示せず)が形成されている。
前記ケーシング7は、金属製(JIS:SUS430)の主体金具9と金属製(JIS:SUS304)の外筒11とを軸方向に接続した筒状の容器であり、その先端側には、プロテクタ13が取り付けられ、その後端側(同図の上方)には、後に詳述する様に、保持部材(シール部材)14等を備えた通気構造15が形成されている。
【0027】
このうち、主体金具9は、その外周面に、酸素センサ1を排気管17に固定するためのネジ部19を備えるとともに、その内部に、セラミックホルダ21、23及びセラミック粉末25を収容し、検出素子3の先端側(同図の下方)を主体金具9から突出させた状態で保持している。
【0028】
前記主体金具9の上部には、筒状部9aが形成され、その筒状部9aの内側に延出したフランジ部9bが、加締めパッキン27を介して、セラミックホルダ21,23及びセラミック粉末25を上方から固定している。
また、前記主体金具9の筒状部aの外側には、前記外筒11が外嵌されており、この外筒11の内側に、セラミックス製のセパレータ29及び保持部材14等が収容されている。
【0029】
つまり、検出素子3やセラミックヒータ5からそれぞれ伸びる複数の端子金具31は、セパレータ29内部で各リード線33と接続され、各リード線33は、保持部材14を貫いて外部に伸びている。
b)次に、本実施例の要部である酸素センサ1の通気構造15について、図2〜図4に基づいて説明する。
【0030】
尚、図2は通気構造15の断面を示し、図3はそれを分解して示し、図4は止め部材を示している。
まず、図2及び図3に示す様に、外筒11の上部の開口部(連通部)11aには、連通部11aの大部分を塞ぐ様に、円盤状のフッソゴム製の保持部材(厚み6mm×外径φ13.9mm)14が内嵌されており、この保持部材14は、外筒11の外側から加締められることにより、(通気を行う部分以外は)気密性及び水密性を確保する様に、外筒11一体に固定されている。
【0031】
保持部材14の軸中心には、センサ内部と外部とを連通する通気孔(内径φ4mm)35が形成され、通気孔35の周囲には、リード線33が通されるリード線挿通孔36が、リード線33の本数に合わせて4箇所に設けられている。
前記保持部材14の通気孔35には、撥水性フィルタ(通気フィルタ)41が、止め部材43により、図2の下方より圧入された状態で固定されている。
【0032】
この通気フィルタ41は、通気性及び防水性を備えたシート状のフィルタであり、通気孔35の上部の開口端(外側開口端)35a側を塞ぐ様に、フィルタ面41aを上にして通気孔35内部に配置されている。また、フィルタ面41aは、後述する様に、上部に凸となる様にたわんでいる。尚、通気フィルタ41は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のゴアテックス(商品名)により構成されている。
【0033】
一方、止め部材43は、図4に示す様に、薄肉(厚み0.2mm)の金属製(JIS:SUS304)のカップ状(上部が閉塞された円筒状)の部材であり、その平板な底部45には、複数の通気連通孔47が形成されている。つまり、軸中心から均等な距離にて、120度間隔で直径0.8mmの円形の通気連通孔47があけられている。
【0034】
また、止め部材43の下部の外周には、止め部材43自身を通気孔35に嵌め込む際のストッパとして、外方向に環状に張り出す環状部49が設けられている。
従って、上述した構成により、図2に示す様に、通気フィルタ41は、通気孔35の内周面と止め部材43の外周面とに挟まれ、そのフィルタ面41aにより通気孔35を覆うようにして、通気孔35内にて固定されている。
【0035】
また、止め部材43の底部45は平板であり、一方、底部45に面するフィルタ面41aは、外側(図の上方:後側)に凸にたわんでいるので、底部とフィルタ面との間には、通気性を向上させる空間48が形成されている。
c)次に、上述した酸素センサ1の製造方法を簡単に説明する。
【0036】
まず、前記止め部材43は、円板状の板材を、周知の絞り加工により、カップ状に形成したものであり、底部45の通気連通孔47は、例えば最終工程にて、底部45を外側よりプレス等により打ち抜いて形成したものである。
そして、図3に示す様に、止め部材43の上部に、シート状の通気フィルタ41をかぶせ、この状態で、止め部材43を保持部材14の通気孔35に押し込む。つまり、止め部材43により通気フィルタ41を通気孔35内に圧入する。
【0037】
このとき、止め部材43の底部45とフィルタ面41aとの間に空間48をあけるために、例えばフィルタ面41aを上方より吸引したり、フィルタ面41aの下方より(通気連通孔47を通して)針や棒状の部材によってフィルタ面41aを押し上げることにより、フィルタ面41aをたわませる。
【0038】
これにより、保持部材14、通気フィルタ41、及び止め部材43が一体になった通気ユニット50が構成される。
次に、図2に示す様に、保持部材14のリード線挿通孔36に、各リード線33を挿通させ、このリード線33を挿通した通気ユニット50を、外筒11の開口部11aに内嵌する。
【0039】
次に、外筒11の外側より例えば4点加締め等の加締めを行うことにより、保持部材14と外筒11とを、気密性及び水密性を保って結合する。
d)次に、本実施例の酸素センサ1の使用位置について、図5に基づいて説明する。
【0040】
図5に示す様に、例えば自動車の内燃機関(エンジン)51には、燃焼したガス(排気)を外部に排出するために排気管17が接続されており、排気管17の途中には、排気を浄化するために三元触媒53が取り付けられている。
本実施例の酸素センサ1は、三元触媒53の下流側に取り付けられる下流センサ(モニタセンサ)として使用されるものであり、三元触媒から排出される排気中の酸素濃度を検出し、その信号を電子制御装置(ECU)55に出力する。
【0041】
従って、この酸素センサ1により検出された値が適切な範囲である場合には、三元触媒にて好適に排気の浄化が行われていることが分かる。
尚、本実施例の酸素センサ1と同様な構成の酸素センサ2を、三元触媒53の上流側に取り付けて、いわゆる上流側センサ(制御センサ)として使用することもできる。この場合は、エンジン51から排出された排気中の酸素濃度を検出し、その信号をECU55にて判断して、燃料供給量や吸気量等を調節することにより、好適な空燃比制御などを行うことができる。
【0042】
e)この様に、本実施例の酸素センサ1では、その通気構造15として、保持部材14の通気孔35に、カップ状の金属製の止め部材43、即ちフィルタ面41aに面する底部45に通気連通孔47を有する止め部材43を用いて、通気フィルタ41を圧入固定している。
【0043】
従って、酸素センサ1を車両の排気管17に取り付けた場合、通気構造15近傍などに、洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、フィルタ面41aは止め部材43の底部45により支持されているので、通気フィルタ41は破れ難い。よって、通気フィルタ41の(気体のみを通す)通気性及び防水性を長く維持することができる。
【0044】
また、本実施例では、フィルタ面41aは外側にたわんでおり、それにより、止め部材43の底部45との間に空間が形成されているので、空気は止め部材43の底部45に阻害されることなく、フィルタ面41a及び通気連通孔47を介して、酸素センサ1の内部と外部とを自由に流出入することができる(通気面積を広くとることができる)。これにより、酸素濃度の検出を好適に行うことができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0045】
本実施例は、止め部材の形状に特徴があり、その他の構成は前記実施例1とほぼ同様である。
図6に示す様に、本実施例の酸素センサにおいて、その保持部材61の通気孔63に、通気フィルタ65とともに嵌め込まれる止め部材67は、カップ状の金属製の部材である。尚、本実施例では、フィルタ面69はたわんでおらず、平坦な面を有している。
【0046】
図7に示す様に、この止め部材67の下部の外周には、止め部材67自身を通気孔63に嵌め込む際のストッパとして、外方向に環状に張り出す環状部71が設けられている。
また、止め部材67の底部73には、フィルタ面69との隙間(空間70:図6参照)を開けるために、軸中心ほど凹んだすり鉢状の凹部75が形成されている。
【0047】
更に、この凹部75には、複数の通気連通孔77が形成されている。つまり、軸中心から均等な距離にて、120度間隔で直径0.8mmの円形の通気連通孔77があけられている。
上述した構成により、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、フィルタ面69をたわませる必要がないので、その製造が容易であるという利点がある。また、フィルタ面69は、外側にたわんでいないので、ひっかかりにくく破損しにくいという効果もある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0048】
本実施例は、止め部材の形状に特徴があり、その他の構成は前記実施例1とほぼ同様である。
図8に示す様に、本実施例の酸素センサにおいて、その保持部材81の通気孔83に、通気フィルタ85とともに嵌め込まれる止め部材87は、カップ状の金属製の部材である。尚、本実施例では、フィルタ面89は外側(図の上方)に突出しているが、たわんではいない。
【0049】
図9に示す様に、この止め部材87の下部の外周には、止め部材87自身を通気孔83に嵌め込む際のストッパとして、外方向に環状に張り出す環状部91が設けられている。
また、止め部材87の底部93には、フィルタ面89との隙間(空間90:図8参照)を開けるために、その軸中心にて外側に突出する有底円筒状の凸部95が形成されている。
【0050】
更に、この凸部95の周囲の底部93には、複数の通気連通孔97が形成されている。つまり、軸中心から均等な距離にて、90度間隔で直径0.6mmの円形の通気連通孔97があけられている。上述した構成により、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、凸部95によりフィルタ面89と底部93との隙間をあけることができ、よって、フィルタ面89をたわませる必要がないので、その製造が容易であるという利点がある。
【0051】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例では、酸素センサを例に挙げたが、上述した通気構造を用いるものであれば、温度センサ等の各種のセンサに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の酸素センサを破断して示す説明図である。
【図2】 実施例1の酸素センサの通気構造を拡大して示す断面図である。
【図3】 実施例1の酸素センサの通気構造を示す分解斜視図である。
【図4】 実施例1の止め部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図5】 実施例1の酸素センサの使用方法を示す説明図である。
【図6】 実施例2の酸素センサの通気構造を拡大して示す断面図である。
【図7】 実施例2の止め部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図8】 実施例3の酸素センサの通気構造を拡大して示す断面図である。
【図9】 実施例3の止め部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図10】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1…酸素センサ
3…固体電解質体
11…外筒
11a…開口部(連通部)
14…保持部材
35…通気孔
41、65、85…通気フィルタ
43、87、67…止め部材
47、77、97…通気連通孔
75…凹部
95…凹部
Claims (8)
- センサの内部と外部とを連通する連通部に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材を配置するとともに、前記通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタを配置したセンサにおいて、
前記通気孔に嵌め込む止め部材により、前記通気孔の内周面側と前記止め部材の外周面側との間に前記フィルタを挟んで固定する構成を有し、
更に、前記止め部材は底部を有する略カップ形状であり、前記止め部材は前記底部が前記通気孔のセンサ外部側に向くように配置され、前記底部は前記通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、前記底部には該底部の内側と外側とを連通する通気連通孔を有し、
前記止め部材の底部には、該底部と前記フィルタ面との間に空間を形成するように、内側にへこむ凹部を備えたことを特徴とする通気構造を有するセンサ。 - センサの内部と外部とを連通する連通部に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材を配置するとともに、前記通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタを配置したセンサにおいて、
前記通気孔に嵌め込む止め部材により、前記通気孔の内周面側と前記止め部材の外周面側との間に前記フィルタを挟んで固定する構成を有し、
更に、前記止め部材は底部を有する略カップ形状であり、前記止め部材は前記底部が前記通気孔のセンサ外部側に向くように配置され、前記底部は前記通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、前記底部には該底部の内側と外側とを連通する通気連通孔を有し、
前記止め部材の底部には、該底部と前記フィルタ面との間に空間を形成するように、外側に突出する凸部を備えたことを特徴とする通気構造を有するセンサ。 - センサの内部と外部とを連通する連通部に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材を配置するとともに、前記通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタを配置したセンサにおいて、
前記通気孔に嵌め込む止め部材により、前記通気孔の内周面側と前記止め部材の外周面側との間に前記フィルタを挟んで固定する構成を有し、
更に、前記止め部材は底部を有する略カップ形状であり、前記止め部材は前記底部が前記通気孔のセンサ外部側に向くように配置され、前記底部は前記通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面に面するとともに、前記底部には該底部の内側と外側とを連通する通気連通孔を有し、
前記通気孔の外側開口端を覆うフィルタ面自身がたわんでいることを特徴とする通気構造を有するセンサ。 - 前記止め部材が、金属製部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通気構造を有するセンサ。
- 前記センサが、ガスセンサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通気構造を有するセンサ。
- 前記センサが、内燃機関の排気を浄化する触媒の下流側に配置される下流センサであることを特徴とする請求項5に記載の通気構造を有するセンサ。
- 前記センサが、検出素子と、前記検出素子を保持する主体金具と、前記検出素子の前記保持部材側である後端側に大気から隔離された基準ガス空間を形成する筒状部材と、前記筒状部材とともに前記基準ガス空間を形成する前記保持部材と、を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の通気構造を有するセンサ。
- 前記センサの後端側に前記連通部が設けられ、該連通部に取り付けられた前記保持部材を介して、前記検出素子から伸びるリード線が外部に取り出される構成を備えたことを特徴とする請求項7に記載の通気構造を有するセンサ。
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