JP4544787B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基準ガスに基づいて非測定ガス成分を検出するガスセンサに関し、特に、基準ガス空間に大気を導入する通気孔を塞ぐフィルタを固定する嵌入部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基準ガスに基づいて非測定ガス成分を検出する検出素子を備えたガスセンサがある。このガスセンサ100は、図3に示すように、基準ガス空間170を形成する外筒107を備えており、検出素子102は、その一端側が排気ガス等の被測定ガスに晒され、その他端側がこの外筒107内の基準ガス空間170に晒されるように主体金具105に保持される。そして、このガスセンサ100は、主体金具105の外周面に設けられたネジ山105aを用いて、被測定ガスが流れる排気管等に取り付けられる。
【0003】
また、ガスセンサ100の外筒107には、外筒107と共に基準ガス空間170を形成するシール部材109が取り付けられ、このシール部材109には、基準ガス空間170に大気を導入するための通気孔が設けられている。そしてこの通気孔には、筒状の嵌入部材190が嵌入され、この嵌入部材190の大気側の開口には、この開口を覆うようにフィルタ192が被せられる。このフィルタ192は、嵌入部材190の外周面と通気孔の内壁との間にその縁部を挟むことによって、シール部材109に固定される。
【0004】
ところで、このガスセンサ100に用いられるフィルタ192は、洗車などの場合に水圧の高い水が直接吹きかけられても破れないことが要求される。そのため、嵌入部材190の大気側の開口にノズルを向けて、100mm離れたところから80kg/cm2の強さで15分間水を吹きかける耐水圧試験を行った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
その結果、フィルタ192は、水圧の高い水がかけられると、中央部分が内側に窪み、この窪みが生じることによってフィルタ192が嵌入部材の開口縁部で傷つき破れてしまうということが分かった。
【0006】
このようにフィルタ192が破れてしまうのは、嵌入部材の径が大きく、水圧を受ける面積が大きいためと思われる。そのため、従来の嵌入部材190よりも径の小さい嵌入部材を用いることが考えられるが、嵌入部材の径を必要以上に小さくすると、この嵌入部材をフィルタ192とともにシール部材109の通気孔に挿入するとき、フィルタ192が大気側の開口部分で破れてしまう恐れがあり、このような構造は採用できなかった。
【0007】
そこで本発明では、嵌入部材の大気側の開口を覆うように被せられたフィルタに水圧の高い水をかけても、フィルタが破れることを防止できるガスセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決する請求項1記載の発明では、基準ガスに基づいて被測定ガス成分を検出する検出素子と、該検出素子の一端を被測定ガスに晒すように保持するとともに、該検出素子の他端側に基準ガス空間を形成するケースと、大気側から前記基準ガス空間に空気を導入するための通気孔を有するとともに、前記ケースと共に前記基準ガス空間を形成するシール部材と、通気性及び撥水性を有するシート状のフィルタと、前記通気孔に嵌入される円筒状の嵌入部材とを備え、前記通気孔に嵌入された前記嵌入部材の大気側の開口を塞ぐように前記フィルタを被せるとともに、前記嵌入部材と前記通気孔との間に前記フィルタの縁部を挟んでフィルタを固定するガスセンサにおいて、前記嵌入部材は、前記大気側の開口を覆う天井部を備え、該天井部の円筒中心に前記基準ガス空間に大気を導入するための通気小孔が形成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明のガスセンサでは、嵌入部材の大気側の開口に天井部が設けられているため、この天井部を覆うようにフィルタが被せられる。そのため、このガスセンサのフィルタに水を吹き付けても、その水圧は天井部で受け止められる。
従って、本発明のガスセンサを用いると、従来のガスセンサに比べフィルタが直接受け止める水圧が軽減するため、フィルタが水圧で破れることを防止することができる。
【0010】
ところで、本発明のように天井部に通気小孔を穿孔して、基準ガス空間と大気との通気を図る場合、通気小孔の開口面積が嵌入部材の大気側の開口面積よりも小さいため、嵌入部材の大気側の開口側を覆っているフィルタにゴミがたまると、基準ガス空間と大気との通気が不能になりやすいが、通常、ゴミは、通気孔と嵌入部材との境界部分にたまることが多いので、本発明のガスセンサのように、天井部の円筒中心に通気小孔を設ければ、ゴミの影響を受けずに、大気と基準ガス空間との通気を保つことができる。なお、天井部を通気孔の大気側開口部よりも若干突出させておくと、ゴミや油などの汚染物は通気小孔の通気面に付着しにくいので好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用されたガスセンサの第1実施形態について説明する。本実施形態では、ガスセンサの一種である酸素センサについて説明する。
尚、以下の説明で利用する図面のうち、図1は、本実施形態の酸素センサ1の全体構成を示す断面図、図2(a)は、グロメット、フィルタ、嵌入部材の斜視図で、(b)は、嵌入部材をグロメットに挿入した後のグロメット、フィルタ、嵌入部材の断面図である。
1)酸素センサの全体構造
酸素センサ1は、図1に示すように、先端20が閉じた中空軸状の検出素子2と、この検出素子2内に配置された軸状のセラミックヒーター3と、検出素子2の先端20が排気管内に晒されるように検出素子2の軸方向中程を保持する円筒状の主体金具5とを備えている。さらに、この酸素センサ1は、主体金具5に溶接され、検出素子2の後端22を囲って基準ガス空間70を形成する円筒状の外筒7と、この外筒7が主体金具5に接続される側とは反対側の外筒7の開口に填め込まれるグロメット9(本発明のシール部材に相当)とを備えている。
【0012】
このうち検出素子2は、ZrO2を主成分とする固体電解質体で形成されている。そして、その先端20の外側表面及び内側表面には、図示しない多孔質電極が設置され、排気管内の酸素濃度を検出する検出部を形成している。一方、その後端22の外側表面及び内側表面には、先端20の各多孔質電極に接続され、検出部で検出された電気信号を外部に出力するための出力電極2a,2bが設置されている。
【0013】
次に、主体金具5は、酸素センサ1を排気管の管壁に螺入して固定するため、外側表面にネジ部5aが形成されている。一方、主体金具5の筒内には、検出素子2を主体金具5に対し電気的に絶縁された状態で保持するため、セラミックホルダ5b,タルク粉末5c及びセラミックスリーブ5dが詰め込まれている。これらは、検出素子2の先端20が主体金具5から突出した先端側からその反対側の後端側に向かって順に積層されている。このうちセラミックホルダ5b及びセラミックスリーブ5dは、主体金具5の筒内で内接する円板状に形成され、その軸中心部に検出素子2を挿通する挿通孔を備えている。
【0014】
この主体金具5で検出素子2を保持するには、主体金具5の後端部の壁面5fを、セラミックスリーブ5dとの間にOリング5eを挟んで内側に折って加締める。このようにすると、セラミックホルダ5bとセラミックスリーブ5dとの間に挟まれたタルク粉末5cが加圧され、その加圧により締まったタルク粉末5cに検出素子2が固定される。
【0015】
またこの主体金具5は、その先端側に、検出素子2の先端20を保護する保護具13が溶接されている。この保護具13は、検出素子2の先端20を囲うように形成され、その壁面には、排気ガスを取り込むための複数の取込孔13aが設けられている。
【0016】
次に、外筒7は、その先端側の開口に主体金具5の後端側が同軸状に挿入・溶接され、一方、後端側の開口にグロメット9が嵌入される。前述した基準ガス空間70は、このように、外筒7の先端側の開口を主体金具5で閉じ、後端側の開口をグロメット9で閉じることにより形成される。
【0017】
尚、主体金具5及び外筒7は、本発明のケースに相当する。
次に、グロメット9は、ゴム製の弾性体からなり、図2(a)に示すように、基準ガス空間70に大気を導入するための円筒状の通気孔9aが軸中心に穿孔され、この通気孔9aの基準ガス空間70側の開口には、後述する嵌入部材90の鍔部90cが嵌合する嵌合部9bが形成されている。また、グロメット9は、検出素子2の出力電極2a,2bから検出信号を外部に引き出す複数のリード線L1,L2を挿通するための複数の挿通孔9cが設けられている。
【0018】
このグロメット9の通気孔9aには、後述する嵌入部材90が嵌入され、この通気孔9aを塞ぐ通気性及び撥水性を有するシート状のフィルタ92が設置される。そして、このグロメット9は、グロメット9の軸方向中程の外周部分を外筒7ごと内側に加締めることにより、外筒7に固定される。
2)嵌入部材90の構成
次に、本実施形態の特徴部分である嵌入部材90について説明する。
【0019】
この嵌入部材90は、図2(a)に示すように、円筒状に形成された本体90aと、この本体90aの大気側の開口部を覆う天井部90bと、反対側の開口部の外周面上に設けられた鍔部90cとからなり、天井部90bの中心には通気小孔90dが穿孔されている。本実施形態の酸素センサ1では、天井部90bにこの通気小孔90dを設けることによって、基準ガス空間70と大気との通気を図っている。
【0020】
またこの本体90aは、図2(b)に示すように、嵌入部材90を天井部90b側から通気孔9aに挿入し、鍔部90cを嵌合部9bに嵌合させたとき、天井部90bがグロメット9の大気側表面とほぼフラットな状態で通気孔9aに嵌入される大きさに形成されている。
【0021】
このように構成された嵌入部材90を通気孔9aに嵌入する場合、天井部90bにフィルタ92を被せた状態で通気孔9aに挿入し、鍔部90cを嵌合部9bに嵌合させる。このときフィルタ92は、嵌入部材90の外周面と、通気孔9aの内壁との間にその縁部が挟まれることによって、グロメット9に対し固定される。
3)作用・効果
本実施形態の酸素センサ1では、嵌入部材90の大気側の開口に天井部90bが設けられているため、この天井部90bを覆うようにフィルタ92が被せられる。そのため、この酸素センサ1のフィルタ92に水を吹き付けても、その水圧は天井部90bで受け止められる。
【0022】
従って、本実施形態の酸素センサ1を用いると、従来の酸素センサに比べフィルタ92が直接受け止める水圧が軽減するため、フィルタ92が水圧で破れることを防止することができる。
ところで、本実施形態のように天井部90bに通気小孔90dを穿孔して、基準ガス空間70と大気との通気を図る場合、通気小孔90dの開口面積が嵌入部材90の大気側の開口面積よりも小さいため、嵌入部材90の大気側の開口側を覆っているフィルタ92にゴミがたまると、基準ガス空間70と大気との通気が不能になりやすいが、通常、ゴミは、通気孔9aと嵌入部材90との境界部分(図2(b)の矢印αで示した部分)にたまることが多いので、本実施形態の酸素センサ1のように、天井部90bの円筒中心に通気小孔90dを設ければ、ゴミの影響を受けずに、大気と基準ガス空間70との通気を保つことができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の酸素センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】 嵌入部材、フィルタ、グロメットの斜視図で、(b)は、嵌入部材をグロメットに挿入した後の、嵌入部材、フィルタ、グロメットの断面図である。
【図3】 従来のガスセンサの断面図である。
【符号の説明】
1…酸素センサ、2…検出素子、3…セラミックヒーター、5…主体金具、7…外筒、9…グロメット、9a…通気孔、9b…嵌合部、9c…挿通孔、13…保護具、13a…取込孔、70…基準ガス空間、90…嵌入部材、90a…本体、90b…天井部、90c…鍔部、90d…通気小孔、92…フィルタ
Claims (1)
- 基準ガスに基づいて被測定ガス成分を検出する検出素子と、
該検出素子の一端を被測定ガスに晒すように保持するとともに、該検出素子の他端側に基準ガス空間を形成するケースと、
大気側から前記基準ガス空間に空気を導入するための通気孔を有するとともに、前記ケースと共に前記基準ガス空間を形成するシール部材と、
通気性及び撥水性を有するシート状のフィルタと、
前記通気孔に嵌入される円筒状の嵌入部材と
を備え、
前記通気孔に嵌入された前記嵌入部材の大気側の開口を塞ぐように前記フィルタを被せるとともに、前記嵌入部材と前記通気孔との間に前記フィルタの縁部を挟んでフィルタを固定するガスセンサにおいて、
前記嵌入部材は、
前記大気側の開口を覆う天井部を備え、該天井部の円筒中心に前記基準ガス空間に大気を導入するための通気小孔が形成されたことを特徴とするガスセンサ。
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