JP4564147B2 - プロトン伝導性膜とそれより得られるプロトン伝導性フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プロトン伝導性膜とそれより得られるプロトン伝導性フィルムとそれらの製造方法、更には、そのプロトン伝導性フィルムをプロトン交換膜として用いてなる燃料電池に関する。本発明によるこのようなプロトン伝導性膜とプロトン伝導性フィルムはいずれも高いプロトン伝導性を有し、イオン交換膜や燃料電池用固体高分子電解質等に好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロトン伝導性膜は、イオン交換膜や湿度センサー等の用途に用いられているが、近年、固体高分子型燃料電池における固体電解質膜としての用途においても注目を集めている。例えば、デュポン社のナフィオン(登録商標)を代表とするスルホン酸基含有フッ素樹脂膜は、電気自動車や分散型電源用燃料電池における固体電解質としての利用が検討されているが、従来より知られているこれらのフッ素樹脂系プロトン伝導性膜は、価格が非常に高いという欠点がある。プロトン伝導性膜を燃料電池等の新たな用途において実用化を図るには、プロトン伝導性を高く、しかも、価格を低くすることが不可欠である。
【0003】
そこで、従来、空孔を有する多孔質膜に電解質ポリマーを担持させて、プロトン伝導性膜を得る方法が種々提案されている。例えば、特開平9−194609号公報には、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の疎水性樹脂からなる多孔質膜の空孔内に同じく疎水性ポリマーの溶液を含浸させ、乾燥させて、上記ポリマーを多孔質膜に担持させた後、このポリマーにスルホン酸基、プロトン化アミノ基、カルボキシル基等のイオン交換基を導入し、かくして、イオン交換膜を製造する方法が提案されている。
【0004】
一般に、多孔質膜にプロトン伝導性を付与するためには、膜内にプロトン発生源又は輸送サイトを有することが必要であり、スルホン酸基はその代表例である。スルホン酸基は、プロトン酸として十分な強さを有しており、解離度が高く、有効なプロトン発生源又は輸送サイトとして作用する。
【0005】
従って、多孔質膜をスルホン化処理すれば、それだけでも、温度25℃、相対湿度50%の条件下において、10-4S/cm程度のプロトン伝導性を有せしめることができる。他方、スルホン酸基に代えて、多孔質膜にカルボキシル基を導入しても、上記のように高いプロトン伝導性を得ることはできない。即ち、多孔質膜のスルホン化は、単に、多孔質膜を親水性として、電解質溶液の含浸を容易とするのみならず、最終的な目的である多孔質膜のプロトン伝導性自体をも改善することができ、かくして、その他の親水化処理とは異なる効果を有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、多孔質膜のスルホン化のこのような特徴に着目して、ポリオレフィン樹脂のような脂肪族炭化水素重合体をスルホン化した樹脂からなる多孔質膜を基材とし、これに更にスルホン酸基を有するポリマーを担持させることによって、高いプロトン伝導性を有し、電解質膜として有用な脂肪族炭化水素重合体膜を得ることができ、更に、このようなプロトン伝導性膜の有する空孔を閉塞することによって、プロトン伝導性の有孔又は無孔フィルムを得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、脂肪族炭化水素重合体からなり、高プロトン伝導性を有する膜、それを熱処理して得られるプロトン伝導性フィルム、それらの製造方法、更に、上記プロトン伝導性の無孔膜又は無孔フィルムをプロトン交換膜として用いてなる燃料電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、脂肪族炭化水素重合体多孔質膜と、この多孔質膜の空孔内に担持させたスルホン酸基を有するポリマーとからなることを特徴とするプロトン伝導性膜が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、このプロトン伝導性膜を加熱し、溶融させ、その空孔を閉塞してなるプロトン伝導性フィルムが提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、脂肪族炭化水素重合体多孔質膜の空孔内に、スルホン酸基を有するポリマーを担持させることを特徴とするプロトン伝導性多孔質膜の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、このプロトン伝導性多孔質膜を加熱し、溶融させ、上記空孔を閉塞することを特徴とするプロトン伝導性フィルムの製造方法が提供される。
【0012】
以上のほか、本発明によれば、前記プロトン伝導性フィルムをプロトン交換膜として用いてなることを特徴とする燃料電池が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、プロトン伝導性膜は、多孔質膜(有孔膜)と無孔膜を含み、このようなプロトン伝導性膜を加熱し、溶融及び/又は収縮させて、その空孔の少なくとも一部を閉塞したものをプロトン伝導性フィルムといい、プロトン伝導性フィルムもまた、有孔フィルムと無孔フィルムを含むものとする。
【0014】
本発明において、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜は、脂肪族不飽和炭化水素、例えば、α−オレフィンや共役ジエンの単独重合体又は共重合体からなり、分子中にスルホン酸基を有するものであり、上記単独重合体又は共重合体は、その水添物も含むものとする。
【0015】
このようなスルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜は、(1)スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体やそのブレンドから製膜することによって得ることができ、また、(2)脂肪族炭化水素重合体やそのブレンドを多孔質膜に製膜した後に、適宜の手段によってこの多孔質膜をスルホン化することによっても得ることができる。しかし、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体を得ることが困難な場合もあることや、多孔質膜に製膜した後にスルホン化する方法によれば、スルホン酸基が膜内の空孔の界面に生成して、プロトン伝導性に有効に貢献する等の利点を考慮すれば、後者の方法によるのが好ましい。
【0016】
上記脂肪族炭化水素重合体の具体例として、例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、ノルボルネン等の脂環式不飽和炭化水素、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン等の(共)重合体、即ち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂や、また、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ノルボルネンゴム等のエラストマーやこれらの水添物を挙げることができる。これらの重合体は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。本発明によれば、これらのなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特に、高強度多孔質膜を得ることができ、また、スルホン化による強度低下を引き起こし難い点から、重量平均分子量50万以上、好ましくは、100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
【0017】
脂肪族炭化水素重合体やそのブレンドを多孔質膜に製膜した後にスルホン化して、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜を得るには、脂肪族炭化水素重合体やそのブレンドを乾式製膜法、湿式製膜法等、従来より知られている方法にて多孔質膜に製膜し、これをスルホン化することによって得ることができる。また、多孔質膜の製造の途中で、必要に応じて、延伸等の処理を行なってもよい。
【0018】
多孔質膜をスルホン化する手段としては、例えば、三酸化硫黄錯体やクロルスルホン酸等のスルホン化剤を用いたり、また、多孔質膜に液相にてスルホン酸モノマーをグラフト重合してもよいが、本発明によれば、多孔質膜を気相にて三酸化硫黄ガスでスルホン化するのが特に好ましい。このような多孔質膜の気相スルホン化は、多孔質膜を形成する脂肪族炭化水素重合体中のC−H結合へのSO3 挿入反応であり、これによってスルホン酸基(−SO3 H)を多孔質膜に導入する。
【0019】
このような多孔質膜の気相スルホン化を行なうには、例えば、ロール状シートの繰り出し機構、引き取り機構、シート導入窓、導出窓と、三酸化硫黄の貯蔵槽からの三酸化硫黄ガスと乾燥空気とを混合して導入するための導入口とを備えた密閉式ステンレス製反応容器を用いるのが好ましい。更に、この反応容器には、三酸化硫黄ガスを反応容器から回収するための装置を有せしめると共に、ブロワーにて三酸化硫黄ガスを上記反応容器と配管との間を循環させることができるものであることが好ましい。
【0020】
このような装置を用いて、多孔質膜を気相スルホン化するには、上記三酸化硫黄の貯蔵槽を適宜温度(例えば、40℃)に加熱し、γ型三酸化硫黄ガスを発生させ、これと乾燥空気とを混合して、適宜の三酸化硫黄ガス濃度を有する混合気体を得、これをブロワーにて上記反応容器に送入し、他方、上記繰り出し機構にて多孔質膜の連続シートを所定の速度で反応容器内を通過させて、所定の時間、所定の温度で多孔質膜を三酸化硫黄ガスに接触させればよい。ここに、上記多孔質膜のシートの送り速度、三酸化硫黄ガスの濃度、反応容器内の温度等を制御することによって、多孔質膜のスルホン化の程度を調整することができる。
【0021】
多孔質膜のシートの送り速度は、通常、0.1〜10m/分の範囲から選ばれ、三酸化硫黄ガス濃度は、通常、10〜60体積%の範囲から選ばれ、反応容器内の温度は、通常、室温から90℃の範囲で選ばれる。多孔質膜のシートの送り速度が遅いほど、三酸化硫黄ガス濃度が高いほど、また、反応容器内の温度が高いほど、多孔質膜はより高度にスルホン化される。多孔質膜のスルホン化の程度と生産性を考慮して、最適の条件が選ばれる。
【0022】
多孔質膜の内部まで均一に気相スルホン化を行なうには、多孔質膜は、通常、20〜80%の範囲の空孔率を有することが好ましく、特に、30〜75%の範囲の空孔率を有することが好ましい。多孔質膜の空孔率が20%よりも小さいときは、膜内部のスルホン化が十分でなく、他方、多孔質膜の空孔率が80%よりも大きいときは、多孔質膜の強度が不十分であって、取り扱いに不便であり、また、スルホン化して得られる多孔質膜も、実用的な強度が十分でない。
【0023】
このようにして、多孔質膜を気相スルホン化した後、得られたスルホン化多孔質膜を水、アルコール、エーテル等で洗浄して、上記スルホン化処理工程にて付着した硫酸を除去した後、フラスコ燃焼法及びイオンクロマトグラフィーにて硫黄含有量を測定すれば、これに基づいて、多孔質膜の有するスルホン酸基含有量を求めることができる。
【0024】
本発明において、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜の空孔率は、通常、20〜80%の範囲であり、好ましくは、30〜75%の範囲である。空孔率が20%よりも小さいときは、このような多孔質膜にスルホン酸基を有するポリマー溶液を含浸させても、高いプロトン伝導性膜を得ることができず、他方、空孔率が80%よりも大きいときは、得られるプロトン伝導性膜が強度において不十分であるので、取扱いに困難が伴う。また、スルホン酸基を有する多孔質膜の空孔の平均孔径は、これに担持させるスルホン酸基を有するポリマー溶液が多孔質膜中に保持されれば、特に、限定されるものではないが、通常、0.001〜100μmの範囲であり、好ましくは、0.005〜10μmの範囲である。更に、多孔質膜の厚みも、特に、限定されるものではないが、通常、1mm以下であり、好ましくは、5〜500μmの範囲である。
【0025】
本発明によれば、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜のスルホン酸基含有量は、0.01〜5.0ミリ当量/gの範囲にあることが好ましく、特に、0.05〜4.0ミリ当量/gの範囲にあることが好ましい。多孔質膜のスルホン酸基含有量が0.01ミリ当量/gよりも小さいときは、そのスルホン酸基を有する多孔質膜の親水性が尚、十分ではないので、多孔質膜にスルホン酸基を有するポリマー溶液を含浸させ難い。しかし、多孔質膜のスルホン酸基含有量が5.0ミリ当量/gよりも大きいときは、得られるスルホン化多孔質膜が脆くなる等、機械的性質が損なわれる。
【0026】
本発明によるプロトン伝導性膜は、このようなスルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜と、この多孔質膜の有する空孔内に担持させたスルホン酸基を有するポリマーとからなるものであり、上記スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜の空孔内に、上記スルホン酸基を有するポリマーを溶媒に溶解させた溶液を含浸させた後、上記多孔質膜から上記溶媒を除去することによって得ることができる。
【0027】
また、このようなプロトン伝導性膜を加熱し、溶融させ、多孔質膜の有する空孔の一部又は全部を閉塞することによって、プロトン伝導性フィルム、好ましくは、プロトン伝導性無孔フィルムを得ることができる。
【0028】
本発明によれば、このようなプロトン伝導性膜又はプロトン伝導性無孔フィルムにおいて、上記スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜は、その表面の一部又は全部が上記スルホン酸基を有するポリマーで被覆されていてもよい。
【0029】
上記スルホン酸基を有するポリマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニルモノマーの(共)重合体のほか、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン酸等のフェノールスルホン酸類やトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のアリールスルホン酸類とホルムアルデヒドとの縮合樹脂を挙げることができる。特に、上記フェノールスルホン酸類とホルムアルデヒドとの縮合によって得られるフェノールスルホン酸ノボラック樹脂を好ましい一例として挙げることができる。
【0030】
また、上記スルホン酸基を有するポリマーの具体例として、エラストマーのようなポリマーをスルホン化して、そのポリマー中にスルホン酸基を有せしめたスルホン化エラストマーを挙げることができる。上記エラストマーとして、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シンジオタクチックポリブタジエンゴム、ノルボルネンゴム等やこれらの(部分)水添物を挙げることができ、従って、上記スルホン化エラストマーの具体例として、例えば、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリブタジエン、スルホン化シンジオタクチックポリブタジエン、スルホン化ノルボルネン等やこれらの(部分)水添物を挙げることができる。
【0031】
これらのスルホン酸基を有するポリマーは、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明によれば、上述したようなスルホン酸基を有するポリマーを適宜の溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液を前述したようなスルホン酸基を有する多孔質膜に含浸させることによって、スルホン酸基を有するポリマー溶液を効率よく、均一に多孔質膜の空孔内に充填して、担持させることができ、この後、上記溶媒を多孔質膜から除去することによって、本発明によるプロトン伝導性膜を得ることができる。ここに、プロトン伝導性膜は通気性を有する多孔質であってもよく、また、通気性のない無孔膜であってもよい。
【0033】
上記スルホン酸基を有するポリマーを溶解させるための溶媒としては、このスルホン酸基を有するポリマーを溶解させると共に、上記スルホン酸基を有する多孔質膜との親和性が高いものであればよい。
【0034】
このように、スルホン酸基を有するポリマー溶液をスルホン酸基を有する多孔質膜に含浸させるに際して、この多孔質膜の空孔内に上記ポリマーを効率よく充填し、担持させるためには、上記スルホン酸基を有するポリマー溶液の濃度は1重量%以上であることが好ましく、特に、3重量%以上であることが好ましい。
【0035】
上記溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、デカリン等の脂環族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。また、場合によっては、水や、水と水溶性有機溶剤(例えば、上記アルコール類)との混合溶媒も用いることができる。
【0036】
本発明においては、上記スルホン酸基を有する多孔質膜に上記スルホン酸基を有するポリマー溶液を含浸させた後、多孔質膜から上記溶媒を除去するために、用いる溶媒は低沸点であることが好ましい。しかし、スルホン酸基を有するポリマーとの親和性が高い非プロトン性極性有機溶媒は、通常、沸点はそれほど低くはないが、本発明において、上記スルホン酸基を有するポリマーのための溶媒として好ましく用いることができる。このような非プロトン性極性有機溶媒として、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒を挙げることができる。
【0037】
本発明において、これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明によれば、スルホン酸基を有する多孔質膜の空孔内にスルホン酸基を有するポリマーを担持させるに際して、スルホン酸基を有する多孔質膜の空孔をスルホン酸基を有するポリマーが充填する比率(充填率)が低いときは、スルホン酸基を有する多孔質膜は、通気性を有する多孔質膜のままであり、プロトン伝導性の多孔質膜を得ることができる。他方、上記充填率が高いときは、スルホン酸基を有する多孔質膜は、その空孔が実質的に閉塞されて、通気性のないプロトン伝導性無孔膜を得ることができる。一応の目安として、スルホン酸基を有するポリマーによる多孔質膜の空孔の充填率が80%以上であれば、多孔質膜の空孔が実質的に閉塞されてなる通気性のないプロトン伝導性無孔膜を得ることができる。
【0039】
更に、本発明によれば、このようにして得られたプロトン伝導性膜を加熱、収縮させ、又は加熱、溶融させる等の適宜の手段によって、プロトン伝導性膜に残存する空孔の少なくとも一部を閉塞して、プロトン伝導性有孔フィルムとすることができ、特に、好ましくは、プロトン伝導性膜に残存する空孔の全部を閉塞して、通気性のないプロトン伝導性無孔フィルムを得ることができる。
【0040】
このように、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜の空孔に、スルホン酸基を有するポリマーを含有させてなるプロトン伝導性多孔質膜やプロトン伝導性フィルムは、高いプロトン伝導性を有し、特に、スルホン酸基を有するポリマーを高充填率で多孔質膜に含有させてなる膜は、一層、高いプロトン伝導性を有する。
【0041】
本発明によるこのようなプロトン伝導性膜又はフィルムが多孔性を保持しており、通気性が残っている場合には、このようなプロトン伝導性膜又はフィルムを燃料電池用セパレーターとして用いれば、ガスのクロスリークが起こりやすい等の問題がある。従って、このような用途には、得られたプロトン伝導性膜を上述したように加熱、溶融させる等の適宜の手段によって、プロトン伝導性膜に残存する空孔を閉塞することによって、プロトン伝導性無孔フィルムとすることが好ましい。
【0042】
更に、本発明によれば、このようなプロトン伝導性フィルムにおいて、スルホン酸基を有するポリマーに架橋構造を有せしめることによって、プロトン伝導性フィルムに耐水性を付与することができる。
【0043】
本発明に従って、スルホン酸基を有する架橋ポリマーを担持させたプロトン伝導性フィルムを得るには、前述したように、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニルモノマーの(共)重合体によって、スルホン酸基を有するポリマーを得る際に、共モノマー成分として、例えば、加熱によって反応する官能基を有する加熱反応性ビニルモノマー、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート等のビニルモノマーと、必要に応じて、その他のビニルモノマーを用いて、上記スルホン酸基を有するビニルモノマーと加熱反応性ビニルモノマーとその他のビニルモノマーの共重合体を得、これを上述したようにして、多孔質膜に担持させて、プロトン伝導性膜を得た後、このプロトン伝導性膜を加熱して、上記加熱反応性ビニルモノマー成分(と上記その他のビニルモノマー成分との反応)によって上記共重合体の間に架橋構造を形成させればよい。
【0044】
例えば、加熱反応性ビニルモノマーとして、N−メチロールアクリルアミドを用いるときは、得られる共重合体を加熱することによって、この共重合体は、上記N−メチロールアクリルアミド成分の有する水酸基の間で脱水縮合して架橋を形成する。
【0045】
また、例えば、加熱反応性ビニルモノマーとして、N−ブトキシメチルアクリルアミドを用いる場合には、このN−ブトキシメチルアクリルアミド成分を含むスルホン酸基を有するポリマーとメラミンを適宜の溶媒に溶解させて溶液とし、これを多孔質膜の空孔内に担持させた後、乾燥させて、上記ポリマーとメラミンを担持させたプロトン伝導性多孔質膜を得た後、これを加熱して、2分子以上のポリマー鎖の有するN−ブトキシメチルアクリルアミド成分とメラミンのアミノ基との間で脱ブタノールさせて、架橋構造を形成することができる。
【0046】
別の方法として、N−ブトキシメチルアクリルアミド成分を含むスルホン酸基を有するポリマーは、これを加熱することによって、例えば、一方のポリマー鎖のN−ブトキシメチルアクリルアミド成分のブトキシ基と他方のポリマー鎖のアミド基窒素との間で脱ブタノール反応させることによっても、スルホン酸基を有するポリマーに架橋を形成することができる。
【0047】
更に、別の方法として、スルホン酸基を有するポリマーを得る際に、共モノマー成分として、N−ブトキシメチルアクリルアミドと共に、カルボキシル基を有するビニルモノマー、例えば、アクリル酸やメタクリル酸を用いて、共重合体を得、これを多孔質膜に担持させて、プロトン伝導性膜を得た後、これを加熱すれば、同様に、一方のポリマー鎖のN−ブトキシメチルアクリルアミド成分のブトキシ基と他方のポリマー鎖のカルボキシル基との間で脱ブタノール反応して、スルホン酸基を有するポリマーに架橋を形成することができる。
【0048】
また、グリシジルメタクリレートを加熱反応性ビニルモノマーとして用いるときは、併せて、カルボキシル基を有するビニルモノマー、例えば、アクリル酸やメタクリル酸を共モノマーとして用いて、得られる共重合体中にグリシジルメタクリレート成分と共に(メタ)アクリル酸成分を有せしめ、そこで、得られる共重合体を加熱して、共重合体中のグリシジル基と他の共重合体中のカルボキシル基とを反応させれば、架橋を形成させることができる。
【0049】
また、グリシジルメタクリレートを加熱反応性ビニルモノマーとして用いるときは、得られた共重合体と多価カルボン酸、例えば、アジピン酸やテレフタル酸の存在下に加熱することによって、上記共重合体にそのグリシジル基によって多価カルボン酸と反応させ、かくして、架橋構造を形成させることができる。
【0050】
また、別の方法として、スルホン酸基を有する多孔質膜にスルホン酸基を有するポリマーを担持させてなるプロトン伝導性膜を上述したようにして得た後、過酸化物等のラジカル発生剤、紫外線や電子線の照射、架橋剤、オゾン等を利用して、スルホン酸基を有するポリマーを架橋させてもよい。
【0051】
最も簡単な場合には、スルホン酸基を有する多孔質膜にスルホン酸基を有するポリマーを担持させてなるプロトン伝導性膜を上述したようにして得た後、このプロトン伝導性膜を単に加熱することによっても、スルホン酸基を有するポリマーを架橋させることができる。例えば、多孔質膜に前述したスルホン化ポリイソプレンやスルホン化ポリブタジエンのようなスルホン化エラストマーを担持させたプロトン伝導性膜は、これを単に加熱することによって、スルホン化エラストマー中の二重結合に対する空気中の酸素による自動酸化(ラジカル反応)によって、分子間が架橋されて、スルホン化架橋エラストマーを形成する。
【0052】
このように、スルホン化エラストマーが容易にラジカル反応によって架橋する性質を利用すれば、スルホン酸基を有する多孔質膜にも、同様に、単に、加熱することによって、架橋構造を導入することができる。例えば、スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体に上記スルホン化エラストマーをブレンドして用いればよい。また、脂肪族炭化水素重合体の製造の際に、例えば、前記N−メチロールアクリルアミドのような加熱反応性ビニルモノマーを共モノマーとして用いて得られる重合体は、これを加熱すれば、前述したようにして、メチロール基間の脱水縮合によって、重合体間で架橋構造が形成される。
【0053】
他方、本発明によれば、スルホン酸基を有する多孔質膜にスルホン酸基を有するポリマーを低充填率にて含有させて、通気性を有するプロトン伝導性多孔質膜を得、上記スルホン酸基を有するポリマーを架橋させることによって、耐水性と通気性を有するプロトン伝導性多孔質膜を得ることができる。
【0054】
以上のようにして得られる本発明によるプロトン伝導性膜(多孔質膜又は無孔膜)やプロトン伝導性フィルム(有孔フィルム又は無孔フィルム)は、高いプロトン伝導性を有すると共に、ハンドリング性にもすぐれており、特に、プロトン伝導性無孔フィルムは、燃料電池用固体電解質膜として好適に用いることができる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。多孔質膜の気相スルホン化は、前述したようにして行ない、反応容器内の多孔質膜のシートの送り速度、三酸化硫黄ガスの濃度、反応容器内の温度等を制御して、多孔質膜のスルホン化の程度を調整した。また、以下において、用いた多孔質膜の特性や、得られたスルホン化多孔質膜の特性は、次のようにして評価した。特性の評価に用いたスルホン化多孔質膜は、スルホン化処理時に付着した硫酸を除去するため、水洗した後、エチルエーテルにて3回以上洗浄し、その際、エーテル洗浄液がpH試験紙を変色させなくなるまで洗浄した。
【0056】
(多孔質膜又はフィルムの厚み)
1/10000シックネスゲージで測定した。
(多孔質膜の空孔率)
多孔質膜の単位面積S(cm2 )当たりの重量W(g)、平均厚みt(μm)及び密度d(g/cm3 )から下式にて算出した。
【0057】
空孔率(%)=(1−(104 W/Std))×100
(スルホン化多孔質膜のスルホン酸基含有量)
フラスコ燃焼法にてスルホン化多孔質膜を酸素ガス存在下に燃焼させ、吸収液に吸収させ、硫黄をすべて硫酸に変えた後、イオンクロマトグラフィーにより硫酸量を定量し、これより硫黄含有量(S重量%)を測定した。この硫黄含有量から次式に従ってスルホン酸基含有量を求めた。
【0058】
スルホン酸基含有量(ミリ当量/g)=10S(重量%)/32
測定された硫黄が、硫酸によるものでなく、スルホン酸基に由来するものであることは、多孔質膜の赤外線吸収スペクトル分析によって、1174cm-1付近と1037cm-1付近に2つのピークがあり、887cm-1付近にはピークがないことから確認することができる。
(赤外線吸収スペクトル)
フーリエ変換IRスペクトロメーターFTS−40(Bio−Rad)を用い、多孔質膜をそのまま試料として、ATR法によって表面の赤外線吸収スペクトルの測定を行ない、また、顕微赤外法によって断面の赤外線吸収スペクトルの測定を行なった。
【0059】
(プロトン伝導度)
ヒューレットパッカード社LCRメーターHP4284Aを用いて、白金電極間に所定厚みの1cm角の試料を挟み、温度25℃、相対湿度50%の条件下で、複素インピーダンス法にて測定し、虚数部の抵抗値ゼロに外挿したときの実数部の抵抗値を用いて、プロトン伝導度を求めた。
(充填率)
多孔質膜の体積V(cm3 )、空孔率Φ(%)、スルホン酸基を有するポリマーの重量M(g)及びそのポリマーの密度d(g/cm3 )から下式にて算出した。
【0060】
充填率(%)=104 M/VΦd
(プロトン伝導性無孔フィルムの燃料電池用固体電解質膜としての性能評価)
表面に白金触媒を担持させたカーボンペーパーからなる多孔質電極の間にプロトン伝導性無孔フィルムを挟み、ホットプレスにて接合、一体化して膜電極接合体とし、これを(株)東陽テクニカ製燃料電池評価装置の付属燃料電池セルにおける膜電極接合体として用いて、燃料電池を作動させ、電流−電圧特性を測定することによって評価した。
【0061】
実施例1
(超高分子量ポリエチレン樹脂多孔質膜の調製)
重量平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)15重量部と流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部とをスラリー状に均一に混合し、これを二軸混練機にて160℃で約5分間、溶解混錬して、超高分子量ポリエチレン樹脂と溶媒(流動パラフィン)との混錬物を得た。この混錬物を急冷しながら、厚さ5mmのゲル状シートに成形した。
【0062】
次いで、このシートを約120℃の温度で厚みが1mmになるまで熱プレスで圧延した後、n−ヘプタンに浸漬し、脱溶媒した。次いで、このように脱溶媒したシートを約125℃の温度で縦横3×3倍に同時二軸延伸して、膜厚110μm、空孔率73%、平均孔径0.14μmの多孔質膜Nを得た。
【0063】
(多孔質膜の気相スルホン化)
次いで、この多孔質膜Nをステンレス製密閉反応容器内に導き、三酸化硫黄ガス濃度20体積%の条件下、60℃で10分間、気相スルホン化処理を行なって、スルホン酸基含有量1.5ミリ当量/g、膜厚104μm、空孔率68%、平均孔径0.15μmのスルホン化多孔質膜Sを得た。
【0064】
(ポリスチレンスルホン酸溶液の調製)
市販のポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(東ソー(株)製ポリナスPS−50、スルホン酸基含有量5.4ミリ当量/g、分子量約500000)の水溶液を強酸性型イオン交換樹脂(ダウケミカル製ダウエックス50WX12)を用いてイオン交換して、酸型ポリスチレンスルホン酸とした。次に、ロータリーエバポレータを用い、減圧下にこのポリスチレンスルホン酸水溶液を濃縮し、回収した後、改めてメタノールに溶解させて、10重量%濃度のポリスチレンスルホン酸溶液Aを得た。この溶液Aを更にメタノールで希釈して、5重量%濃度のポリスチレンスルホン酸溶液Bを得た。
【0065】
(スルホン化多孔質膜へのポリスチレンスルホン酸溶液の含浸)
上記スルホン化多孔質膜Sを上記5重量%濃度のポリスチレンスルホン酸溶液Bに1分間浸漬して、この溶液を上記多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥して、充填率20%でポリスチレンスルホン酸を含有する膜厚95μmのプロトン伝導性多孔質膜2を得た。
【0066】
別に、上記スルホン化多孔質膜Sを上記10重量%濃度のポリスチレンスルホン酸溶液Aに2分間浸漬して、この溶液を上記多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥した。この後、このように処理した多孔質膜を再度、上記10重量%濃度のポリスチレンスルホン酸溶液Aに30秒間浸漬した後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥して、充填率85%でポリスチレンスルホン酸を含有する膜厚90μmの通気性のないプロトン伝導性無孔膜1を得た。
【0067】
(プロトン伝導度の測定)
このようにして得られたプロトン伝導性多孔質膜2とプロトン伝導性無孔膜1をそれぞれ温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した。その結果、プロトン伝導性多孔質膜2の伝導度は1×10-3S/cmであり、プロトン伝導性無孔膜1の伝導度は7×10-3S/cmであった。
【0068】
実施例2
厚み80μmのスペーサを用いて、実施例1で得たプロトン伝導性多孔質膜2を150℃で3分間、熱プレスし、多孔質膜を溶融、収縮させて、多孔質膜の空孔を閉塞して、膜厚83μmの通気性のないプロトン伝導性無孔フィルム3を得た。このプロトン伝導性無孔フィルム3を温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した結果、伝導度は2×10-3S/cmであった。
【0069】
実施例3
(フェノールスルホン酸ノボラック樹脂溶液の調製)
市販のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液(小西化学工業(株)製EX0220−1、スルホン酸基含有量5.4ミリ当量/g、分子量約16000)をロータリーエバポレータを用いて減圧下に濃縮して、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂を回収した後、これをメタノールに溶解させて、40重量%濃度の溶液Cを得た。
【0070】
(スルホン化多孔質膜へのフェノールスルホン酸ノボラック樹脂溶液の含浸)
実施例1で得たスルホン化多孔質膜Sを上記40重量%濃度のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂溶液Cに1分間浸漬して、この溶液を上記多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥して、充填率80%でフェノールスルホン酸ノボラック樹脂を含有する膜厚95μmのプロトン伝導性多孔質膜4を得た。
【0071】
(プロトン伝導度の測定)
このようにして得プロトン伝導性多孔質膜4を温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した。その結果、伝導度は4×10-2S/cmであった。
【0072】
実施例4
(スルホン化ポリイソプレンゴムの調製)
市販のスルホン化ポリイソプレンゴムのナトリウム塩(日本合成ゴム(株)製ダイナフローK106、スルホン酸基含有量6.0ミリ当量/g、分子量約50000)の水溶液を強酸性型イオン交換樹脂(ダウケミカル製ダウエックス50WX12)を用いてイオン交換して、酸型スルホン化ポリイソプレンとした。次に、ロータリーエバポレータを用い、減圧下にこのスルホン化ポリイソプレン水溶液を濃縮して、スルホン化ポリイソプレンを回収した後、メタノールに溶解させて、20重量%濃度のスルホン化ポリイソプレンのメタノール溶液Dを得た。
【0073】
(スルホン化多孔質膜へのスルホン化ポリイソプレン溶液の含浸)
上記スルホン化多孔質膜Sを上記20重量%濃度のスルホン化ポリイソプレン溶液Dに2分間浸漬して、この溶液を上記多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥した。この後、このように処理した多孔質膜を再度、前記20重量%濃度のスルホン化ポリイソプレン溶液Dに30秒間浸漬した後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥して、表面がスルホン化ポリイソプレンの層で被覆され、充填率90%でスルホン化ポリイソプレンを含有する膜厚90μmの通気性のないプロトン伝導性無孔膜5を得た。
【0074】
(スルホン化ポリイソプレンの架橋処理)
このようにして得たプロトン伝導性無孔膜5を枠に固定し、空気中、120℃で60分間加熱して、スルホン化ポリイソプレンの架橋処理を行なって、架橋スルホン化ポリイソプレンを含有する膜厚85μmのプロトン伝導性無孔膜6を得た。この無孔膜6は、常温で24時間、水に浸漬しても、膜からの溶出物は実質的にみられなかった。
【0075】
(プロトン伝導度の測定)
このようにして得たプロトン伝導性無孔膜6を温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した。その結果、伝導度は9×10-3S/cmであった。
【0076】
他方、上記プロトン伝導性無孔膜5を常温で24時間、水に浸漬した後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥し、これを温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した。その結果、伝導度は1×10-1S/cmであった。
【0077】
比較例1
(ポリスチレン溶液の調製)
ポリスチレン(分子量約500000)をトルエンに溶解させて、5重量%濃度のポリスチレンのトルエン溶液Eを得た。
【0078】
(スルホン化多孔質膜へのポリスチレンン溶液の含浸)
実施例1において得た多孔質膜Nを上記ポリスチレンン溶液Eに2分間浸漬して、溶液Eを多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥した。この後、このように処理した多孔質膜を再度、上記ポリスチレンン溶液Eに30秒間浸漬した後、5分間風乾し、更に、5分間冷風で乾燥した。このような浸漬、乾燥を更に2回繰り返して、充填率92%でポリスチレンを含有する膜厚90μmの通気性のない無孔膜を得た。
【0079】
(フィルムの気相スルホン化)
上記無孔膜をステンレス製密閉反応容器内に導き、三酸化硫黄ガス濃度20体積%の条件下、60℃で30分間、気相スルホン化処理を行なった。しかし、得られたスルホン化膜の断面の蛍光X線分析を行なったところ、表面から10μm以上深い内部は殆どスルホン化されていないことが確認された。
【0080】
(プロトン伝導度の測定)
このようにして得たスルホン化膜を温度25℃、相対湿度50%の環境に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定した。その結果、伝導度は10-6S/cm以下であって、プロトン伝導性は実質的にもたなかった。
【0081】
比較例2
(スルホン化多孔質膜へのポリスチレン溶液の含浸)
実施例1において得た多孔質膜Nに、処理時間を90分とした以外は実施例1と同様の気相スルホン化を行なって、スルホン酸基含有量5.7ミリ当量/g、膜厚92μm、空孔率57%、平均孔径0.1μmの多孔質膜を得た。しかし、このスルホン化多孔質膜は、強度が極めて小さく、手で引っ張るだけで破断した。従って、このスルホン化多孔質膜に前記ポリスチレンスルホン酸溶液Aを含浸させても、強度の低さを補うことができず、実用的な強度を有するフィルムを得ることができなかった。
【0082】
比較例3
実施例1において得た多孔質膜Nに前記ポリスチレンスルホン酸溶液Bを2分間含浸し、この溶液を多孔質膜に含浸させた後、5分間風乾したが、多孔質膜に均一に含浸することができなかった。
【0083】
実施例5
(2−アクリルアミドプロパンスルホン酸/4−ヒドロキシブチルビニルエーテル/N−メチロールアクリルアミド三元共重合体の調製)
300mL容量のセパラブルフラスコにイソプロピルアルコール164gとイオン交換水16gを仕込み、これに2−アクリルアミドプロパンスルホン酸27.9g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル9.4g及びN−メチロールアクリルアミド5.45gを加え、攪拌下に溶解させた。次に、得られた溶液中に窒素ガスを10分間吹き込み、溶存酸素を除去した後、窒素気流下、60℃の湯浴上で攪拌しながら加熱し、これに2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.335gのイソプロピルアルコール(6.7g)溶液を加えた。
【0084】
攪拌を続けたところ、溶液の粘度は徐々に上昇した。4.5時間重合を行なった後、得られた三元共重合体の溶液Fを取出し、これをガラス製密閉容器中に保存した。
【0085】
(多孔質膜への上記三元共重合体溶液Fの含浸)
実施例1で得られたスルホン化多孔質膜Sを上記三元共重合体の溶液Fに1分間浸漬して、多孔質膜に三元共重合体溶液Fを含浸させた後、5分間風乾し、更に、5分間、冷風で乾燥して、上記三元共重合体の充填率86%、膜厚99μmのプロトン伝導性無孔膜7を得た。
【0086】
(N−メチロールアクリルアミド成分を含む三元共重合体の架橋処理)
上記プロトン伝導性無孔膜7をステンレス製の枠に固定し、110℃で10分間加熱して、上記三元共重合体中のN−メチロールアクリルアミド成分の間で脱水、架橋構造を形成させ、かくして、スルホン酸基を有するポリマーが架橋構造を有するプロトン伝導性無孔膜8を得た。この無孔膜8は、常温で24時間、水に浸漬しても、膜からの溶出物は実質的に認められなかった。
【0087】
(プロトン伝導度の測定)
上記プロトン伝導性無孔膜8を温度25℃、相対湿度50%に調整した環境下に24時間放置した後、プロトン伝導度を測定したところ、6.0×10-4S/cmであった。
【0088】
実施例6
白金触媒を表面に担持させたカーボンペーパー2枚の間に実施例4で得たプロトン伝導性膜6を挟み、得られた積層物をホットプレスで加圧接合して、膜電極接合体を形成した。
【0089】
(株)東陽テクニカ製燃料電池評価装置を用いて、上記膜電極接合体の燃料電池特性を評価した。背圧弁は絞らず、圧力は常圧にて行なった。加湿器温度は水素側80℃、酸素側70℃とし、燃料電池セル温度は70℃とした。Tafel法にて電流−電圧(I−V)曲線を得たところ、ナフィオン(登録商標)117膜とほぼ同等の電流−電圧(I−V)曲線を得ることができた。即ち、本発明によるプロトン伝導性無孔膜は、ナフィオン(登録商標)117膜と同等の燃料電池特性を有する。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、スルホン酸基を有する多孔質膜の空孔に、スルホン酸基を有するポリマーを担持させてなる本発明によるプロトン伝導性膜は、高いプロトン伝導性を有する。特に、本発明によれば、プロトン伝導性多孔質膜の空孔を閉塞することによって、プロトン伝導性無孔フィルムを得ることができ、この無孔フィルムも、同様に、高い伝導性を有する。
【0091】
更に、上記プロトン伝導性無孔膜又はフィルムにおいて、スルホン酸基を有するポリマーに架橋構造を有せしめることによって、そのプロトン伝導性無孔膜又はフィルムに耐水性を与えることができ、このように、耐水性にすぐれるプロトン伝導性無孔膜又はフィルムは、従来のナフィオン(登録商標)を代表とするスルホン酸基含有フッ素樹脂膜に比べて、価格面では、格段に低廉でありながら、性能面では、同等のプロトン伝導性を有し、燃料電池用固体電解質として好適に用いることができ、燃料電池システムのコスト低減に大きく寄与することができる。
Claims (5)
- スルホン酸基を有する脂肪族炭化水素重合体多孔質膜の空孔内にスルホン化エラストマーを担持させて、プロトン伝導性フィルムを得た後、このプロトン伝導性フィルムを加熱し、スルホン化エラストマーを架橋させることを特徴とするプロトン伝導性フィルムの製造方法。
- 脂肪族炭化水素重合体多孔質膜がポリオレフィン樹脂多孔質膜である請求項1に記載プロトン伝導性膜の製造方法。
- 脂肪族炭化水素重合体多孔質膜が超高分子量ポリエチレン樹脂多孔質膜である請求項1に記載プロトン伝導性膜の製造方法。
- 脂肪族炭化水素重合体の有するスルホン酸基の量が0.01〜5.0ミリ当量/gの範囲である請求項1から3のいずれかに記載のプロトン伝導性フィルムの製造方法。
- スルホン化エラストマーがスルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリブタジエン、スルホン化シンジオタクチックポリブタジエン、スルホン化ノルボルネン及びこれらの部分水添物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のプロトン伝導性フィルムの製造方法。
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