JP4562930B2 - ダイシングウェーハ収納容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェーハのダイシング工程において、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態の半導体ウェーハ(以下、ダイシングウェーハという)を複数枚まとめて搬送する際などに使用するダイシングウェーハ収納容器に関し、詳しくは、ダイシングウェーハの収納、搬送、取出し等の作業に好適なダイシングウェーハ収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インゴットからワイヤーソー等によりスライスされた半導体ウェーハは、両面が平面研削された後、少なくとも片側の表面が鏡面にポリッシング加工され、その表面に回路パターンが形成される。そして、この半導体ウェーハは、ダイシング工程において、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態で多数のチップにダイシングされる。
【0003】
ここで、前記ダイシングフィルム上に支持される前の単体の半導体ウェーハは、例えばUSP4,787,508や特許第2941125号に記載のような専用の収納容器に複数枚積み重ねて収納され、この状態で搬送、保管される。しかしながら、この種の収納容器は、単体の半導体ウェーハを収納するものであって、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態のダイシングウェーハを収納するには適していない。このため、前記ダイシング工程で取扱われるダイシングウェーハは、挟み板の間に複数枚重ねてラッピングフィルムにより梱包され、この状態で搬送、保管されているのが実情である。このような事情から、ダイシングウェーハの搬送、保管に適した収納容器が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記ダイシング工程においては、ダイシングフレームを位置決めノッチ等により周方向に位置決めした状態でダイシング加工が施される。このため、ダイシングウェーハの収納容器としては、ダイシングフレームの位置決めノッチ等が揃うように複数のダイシングウェーハを周方向に位置決めした状態で各ダイシングウェーハを収納でき、かつ、その収納および取出し作業が容易であることが要望される。特に、自動化されたダイシング工程においては、ロボットハンド等を使用して各ダイシングウェーハの収納および取出し作業を行えることが要望される。
【0005】
そこで、本発明は、ダイシングウェーハの収納および取出し作業が容易であり、かつ、複数のダイシングウェーハを周方向に位置を揃えて収納できるダイシングウェーハ収納容器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための手段として、本発明に係るダイシングウェーハ収納容器は、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態のダイシングウェーハであって、このダイシングウェーハを複数枚重ねて収納可能なダイシングウェーハ収納容器について、前記ダイシングフレームの外周を案内してダイシングウェーハを積み重ね状態に収納させる収納筒部が設けられた容器本体と、この容器本体に着脱自在に装着されて前記収納筒部の全体を覆う蓋体とを備え、前記収納筒部の内周面には、前記複数のダイシングフレームを周方向に位置決めする位置決めリブが突設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のダイシングウェーハ収納容器では、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態のダイシングウェーハを有する複数のダイシングフレームを容器本体の収納筒部に収納する際、収納筒部の内周面に突設された位置決めリブが各ダイシングフレームを周方向に位置決めする。このため、複数のダイシングフレームの位置決めノッチ等が揃うようにダイシングフレームを収納することが可能となり、ダイシング工程に好適である。
【0008】
本発明のダイシングウェーハ収納容器において、前記容器本体の収納筒部にダイシングフレームの外周を把持可能とする切欠きが設けられていると、容器本体を定位置においた状態でダイシングフレームの外周を把持することができ、ダイシングウェーハの収納および取出し作業が容易となる。特に、ロボットハンド等を使用して各ダイシングウェーハの収納および取出し作業を行うことが可能となるため、自動化されたダイシング工程に好適である。
【0009】
また、本発明のダイシングウェーハ収納容器が容器本体に蓋体を装着した状態で概略正方形の底面を有する角柱状の輪郭を呈する場合、縦置に限らず横置も可能となる。このため、複数のダイシングウェーハ収納容器をまとめて保管、搬送する際には、縦置および横置を交えて各ダイシングウェーハ収納容器を搬送箱等にスペース効率の良い安定した状態で収容することが可能となる。
【0010】
さらに、前記容器本体と蓋体との間に、15°〜45°、好ましくは30°前後の相対回動角度で両者を着脱できる部分ネジが設けられていると、容器本体に対する蓋体の着脱作業をワンタッチ操作で容易に、しかも確実に行える。ここで、容器本体と蓋体とが概略正方形の底面を有する角柱状の輪郭を呈する場合、容器本体と蓋体とを相対回動させる作業が容易となり、容器本体に対する蓋体の着脱作業が一層容易となる。なお、この着脱作業を容易にするため、容器本体の下面および蓋体の上面には、片手で把持できる回動操作用突部、例えば、滑り止め用のローレットまたは指掛け用の凹部等を有する円形または円環状の突部を形成しておくのが一層好ましい。
【0011】
また、前記容器本体および蓋体が導電性プラスチックスを素材として成形されていると、静電気の帯電が防止されるため、内部に収容されたダイシングウェーハの回路パターンを静電気ショックによる損傷から保護することができる。
【0012】
なお、前記容器本体の下面および前記蓋体の上面に相互に嵌合可能な凹凸部が設けられていると、複数のダイシングウェーハ収納容器を上下方向に安定した状態で積み重ねることが可能となるので好ましい。この場合、容器本体に対する蓋体の着脱作業を容易とするための前記回動操作用突部は、前記凹凸部の一部として形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係るダイシングウェーハ収納容器の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の全体構造を示す分解斜視図、図2は一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の半截横断面図、図3は一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の半截縦断面図、図4は収納容器のみを示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器1は、ダイシングフレームAにダイシングフィルムBを介して支持された状態のダイシングウェーハCを複数枚重ねて収容可能な容器である。このダイシングウェーハ収納容器1は、前記ダイシングフレームAの外周を案内してダイシングウェーハCを積重ね状態に収納させる収納筒部2Aが設けられた容器本体2と、この容器本体2に着脱自在に装着されて前記収納筒部2Aの全体を覆う蓋体3とで構成されている。
【0015】
前記ダイシングフレームAは、図示しないダイシング加工機に対してダイシングウェーハCを所定の向きに位置決めしてセットするためのフレームである。このダイシングフレームAは、例えば厚さが1〜3mm程度のステンレス鋼鈑を円環状に打抜き加工したものであり、その内径は、公称5インチ、6インチ、8インチ、12インチのウェーハを内側に嵌合できる寸法に設定されている。本実施形態においては、例えば公称6インチの半導体ウェーハを嵌合できる内直径に設定されている。また、前記ダイシングフレームAの外周には、相互に平行なカット辺A1,A2及びこれらに直交する相互に平行なカット辺A3,A4が形成されており、各カット辺A1〜A4の間は円弧部A5〜A8となっている。そして、例えば前記カット辺A1の右隣の円弧部A5には概略60°の頂角を有する第1位置決めノッチA9が形成され、前記カット辺A1の左隣の円弧部A6には概略120°の頂角を有する第2位置決めノッチA10が形成されている。
【0016】
前記ダイシングフィルムBは、ダイシングフレームAの下面に張設されており、ダイシングフレームAの内側に嵌合される公称6インチの未加工のダイシングウェーハCに接合してこれを支持する。このダイシングウェーハCは、両面が平面研削された後、少なくとも片側の表面が鏡面にポリッシング加工され、その表面に回路パターンが形成されたものであり、裏面を前記ダイシングフィルムBに接合してダイシングフレームAの内側に固定される。なお、ダイシングウェーハCを構成する半導体ウェーハには、シリコン、GaAs(ガリウム・ヒ素)、GaP(ガリウム・リン)などの各種の材質の半導体ウェーハが含まれる。
【0017】
前記ダイシングウェーハ収納容器1は、容器本体2に蓋体3が装着された状態で概略正方形の底面を有する背の低い角柱状の輪郭を呈する。容器本体2および蓋体3は、導電性フィラーを添加した導電性プラスチックス、あるいはポリマーアロイ処理した導電性プラスチックスを素材として射出成形により一体成形されている。なお、添加する導電性フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイトカーボン、グラファイト、炭素繊維、金属粉末、金属繊維、金属酸化物の粉末、金属コートした無機質微粉末、有機質微粉末および繊維が使用できる。
【0018】
前記容器本体2は、角部が丸みを帯びた概略正方形のベース部2Bを有し、このベース部2B上に前記収納筒部2Aが一体的に突設されている。この収納筒部2Aには、前記ダイシングフレームAの外周を把持可能とする例えば4つの切欠き2Cが形成されている。各切欠き2Cは、収納筒部2Aの先端部からベース部2Bに向かって所定幅で形成されており、収納筒部2Aの周方向に等間隔で配置されている。そして、各切欠き2Cによって4分割された収納筒部2Aの各部分の外周面には、その幅方向両側に位置して上下方向に延びる2本のガイドリブ2Dがそれぞれ突設されている。
【0019】
前記容器本体2のベース部2Bにおける収納筒部2Aの内側部分には、前記ダイシングフレームAにダイシングフィルムBを介して支持されたダイシングウェーハCを、スペーサ・クッション(図示省略)を介して、水平に載置するための同心状の複数の支持筒部2Eが突設されている。また、ベース部2Bの下面には、後述する蓋体3の円環状突部3Eの外周を嵌合する放射状リブ2Fがベース部2Bの角部付近に突設されており、複数のダイシングウェーハ収納容器1を上下方向に積み重ねて一体化できるように構成されている。
【0020】
さらに、前記ベース部2Bの下面中央部には、容器本体2に対して蓋体3を着脱する際の作業を容易にするため、片手で把持できる程度の大きさの回動操作用突部2Gが形成され、その外周には滑り止め用のローレット2Hが形成されている。また、前記回動操作用突部2Gの周囲には円環状突部2Iが形成され、両者の間には円環状凹部2Jが形成されている。なお、前記回動操作用突部2Gは、図示の例では、直径が100mm程度の円形状であるが、円環状や多角形状であってもよい。また、回動操作用突部3Cの外周にはローレット3Dの代わりに指掛け用の凹部を形成してもよい。
【0021】
一方、前記蓋体3は、前記容器本体2の収納筒部2Aの外周面に突設されたガイドリブ2Dに嵌合して収納筒部2Aの外周を覆う円筒部3Aと、この円筒部3Aに外接して一体に成形され、容器本体2のベース部2Bの周縁上に下端が当接して容器本体2の全体を覆う角筒部3Bとを有している。この蓋体3の上面中央部には、容器本体2に対して蓋体3を着脱する際の作業を容易にするため、前記容器本体2側の回動操作用突部2Gと同様の回動操作用突部3Cが形成され、その外周には滑り止め用のローレット3Dが形成されている。また、前記回動操作用突部3Cの周囲には円環状突部3Eが形成され、両者の間には円環状凹部3Fが形成されている。なお、前記回動操作用突部3Cは、図示の例では、直径が100mm程度の円形状であるが、円環状や多角形状であってもよい。また、回動操作用突部3Cの外周にはローレット3Dの代わりに指掛け用の凹部を形成してもよい。
【0022】
ここで、図5および図6に示すように、前記容器本体2と蓋体3との間、具体的には容器本体2の収納筒部2Aの先端部外周と、蓋体3の円筒部3Aの基端部内周側との間には、15°〜45°の相対回動角度の範囲、好ましくは30°前後の相対回動角度で両者を着脱できる部分ネジが設けられている。すなわち、前記容器本体2の各切欠き2Cにより4分割された収納筒部2Aの各部分の先端部外周には、その幅方向中央部に位置して長さ約20mm、幅約2mm程度の突条体2Kが部分オスネジとして約6.5°の右ネジリード角を以ってそれぞれ突設されている。一方、前記蓋体3の円筒部3Aの基端部内周側には、容器本体2の収納筒部2Aの先端部が嵌る円環状嵌合溝3Gが段部3Hを介して形成され、この円環状嵌合溝3Gの外側壁部には、前記各突条体2Kを嵌合してねじ込み可能とする長さ約65mm程度の4個の傾斜溝3Iが部分メスネジとして円周方向に4等配した位置にそれぞれ形成されている。そして、前記段部3Hには、各傾斜溝3Hの下端部に連続して前記突条体2Kを各傾斜溝3Hに導入可能とする周長約25mm程度の突条体導入口3Jが形成されている。
【0023】
前記容器本体2側の突条体2Kと蓋体3側の突条体導入口3Jとの位置合せを容易にするため、前記容器本体2のベース部2Bの周辺部付近の上面と前記蓋体3の角筒部3Bの外周面の下端部には、それぞれ矢印等の合いマークが形成されている。そして、この合いマークを合わせて前記各突条体導入口3Jに各突条体2Kを挿入し、この状態から容器本体2に対して蓋体3を時計方向に30°程度回動させると、蓋体3が容器本体2に装着され、ダイシングウェーハ収納容器1は概略正方形の底面を有する背の低い角柱状の輪郭を呈する。
【0024】
ここで、一実施形態のダイシングウェーハ収納容器1においては、前記容器本体2の4分割された収納筒部2Aの各部分の内周面に、前記複数のダイシングフレームAを周方向に位置決めする位置決めリブ2Lが突設されている。この位置決めリブ2Lは、本実施形態では、ダイシングフレームAの各円弧部A5〜A8のそれぞれ両側を係止するように、収納筒部2Aの4分割された各部分の幅方向両側にそれぞれ2本づつ配置されて上下方向に延びている。なお、位置決めリブ2Lの配置位置、配置本数は、これに限定されず、ダイシングフレームAを係止できる位置でかつ本数であってよい。
【0025】
次に、以上のように構成された一実施形態のダイシングウェーハ収納容器1の使用例を説明する。このダイシングウェーハ収納容器1は、ダイシングフレームAにダイシングフィルムBを介して支持された状態のダイシングウェーハCを複数枚重ねて収容し、これを保管、搬送するために使用される。前記ダイシングウェーハCを収容するには、容器本体2をテーブル等の定位置に置き、帯電防止のクッションシート等のクッション材(図示省略)を敷き、さらに導電性等の静電防止対策スペーサシート(図示省略)を敷き、容器本体2の4分割された収納筒部2Aの各部分の内周に各ダイシングフレームAの外周の各円弧部A5〜A8を沿わせて各ダイシングウェーハCを収納筒部2A内に水平に収納する。その際、各ダイシングフレームAは、第1位置決めノッチA9および第2位置決めノッチA10が上下に重なるように揃え、各円弧部A5〜A8の両端部が4分割された収納筒部2Aの各部分に突設された左右一対の位置決めリブ2L,2Lによりそれぞれ係止されるようにして収納する。この収納作業においては、収納筒部2Aを4分割する各切欠き2CがダイシングフレームAの外周を把持可能とするため、手作業による収納が容易に行えると共に、ロボットハンドを使用した収納作業も容易に行うことができる。
【0026】
前記容器本体2の収納筒部2A内に、前記静電防止対策スペーサシートを間に挟みサンドイッチ状態にして、所定数のダイシングウェーハCを積み重ねて収納したら、その上部空間を塞ぐスペーサとして前記クッショシート等のクッション材をダイシングウェーハCの上に載せ、容器本体2に蓋体3を装着する。容器本体2に対して蓋体3を装着するには、容器本体2のベース部2Bの周辺部付近の上面に形成された合いマークと、蓋体3の角筒部3Bの外周面の下端部に形成された合いマークとを合わせて容器本体2の収納筒部2Aに蓋体3の円筒部3Aを被せ、この状態から容器本体2に対して蓋体3を時計方向に30°程度相対回動させる。この作業は、容器本体2をテーブル等の上に置き、容器本体2のベース部2Bの角部を押さえて蓋体3の角筒部3Bを回すことによって容易に行うことができる。また、容器本体2のベース部2Bの下面に突設された回動操作用突部2Gと蓋体3の上面に突設された回動操作用突部3Cとを把持することで、ワンタッチ操作により一層容易に行うことができる。そして、この作業により、容器本体2側の各突条体2Kが蓋体3側の各突条体導入口3Jから各傾斜溝3Iへと相対的にねじ込まれ、蓋体3の角筒部3Bの下部が9mm程度移動して容器本体2のベース部2Bの周縁上に当接し、こうして蓋体3が容器本体2に装着される。そして、この装着状態において、ダイシングウェーハ収納容器1は、概略正方形の底面を有する背の低い角柱状の輪郭を呈する。
【0027】
容器本体2に蓋体3が装着されて複数のダイシングフレームA付きのダイシングウェーハCを収納したダイシングウェーハ収納容器1は、前述したように概略正方形の底面を有する背の低い角柱状の輪郭を呈するため、容器本体2のベース部2Bを下にした通常の縦置に限らず蓋体3の角筒部3Bの外周面を下にした横置も可能となる。このため、前記ダイシングウェーハ収納容器1は、縦置および横置を交えて搬送箱等にスペース効率の良い安定した状態で収容することができる。また、複数のダイシングウェーハ収納容器1を上下に積み重ねる場合、下方のダイシングウェーハ収納容器1の蓋体3の上面に形成された円環状突部3Eの外周を上方のダイシングウェーハ収納容器1の容器本体2の下面に形成された放射状リブ2Fに嵌合させることで、複数のダイシングウェーハ収納容器1を上下方向に安定した状態で積み重ねることができる。そして、各ダイシングウェーハ収納容器1に収容されたダイシングフレームA付きの各ダイシングウェーハCは、容器本体2および蓋体3が導電性プラスチックスを素材として成形されて静電気の帯電が防止されているため、IC回路の静電気ショックによる損傷が未然に防止されて保護される。
【0028】
前記ダイシングウェーハ収納容器1に収容されたダイシングフレームA付きの複数のダイシングウェーハCを取り出すには、前述と反対の手順で蓋体3を容器本体2に対して反時計方向に30°程度相対回動させ、この状態で容器本体2から蓋体3を引き離す。そして、容器本体2の収納筒部2A内に収容されたダイシングフレームA付きの各ダイシングウェーハCを順次取り出す。この取り出し作業は、収納筒部2Aの各切欠き2CからダイシングウェーハCの外周を手作業または図示しないロボットハンドにより把持して行うこともできる。この場合、各ダイシングフレームAは、4分割された収納筒部2Aの各部分の内周面に突設された位置決めリブ2Lによって周方向に位置決めされており、第1位置決めノッチA9および第2位置決めノッチA10が上下に重なるように揃っている。このため、図示しないダイシング加工にダイシングフレームA付きの未加工のダイシングウェーハCを供給する際には、各ダイシングフレームAをその都度周方向に回動させて位置決めし直す必要がなく、各ダイシングウェーハCの位置決め作業を極めて容易に行うことができる。
【0029】
本実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器1では、前述のように、容器本体2に対して蓋体3を着脱自在に装着する手段として、容器本体2側の突条体2Kと蓋体3側の傾斜溝3Iとの嵌合による部分ネジを通常のネジ嵌合手段に代えて採用している。このため、容器本体2および蓋体3の射出成形の際には、成形品を捩じりつつ脱型する工程を必要とせず、製造コストを低減することができる。なお、前記部分ネジとして、蓋体3の円筒部3Aの内周面に突条体を突設し、この突条体が嵌合する傾斜溝を容器本体2の収納筒部2Aの外周面に形成してもよい。
【0030】
また、本実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器1では、容器本体2の収納筒部2Aを4つの切欠き2Cにより周方向に4分割したが、2つの切欠き2Cにより収納筒部2Aを半円弧状に2分割するようにしてもよい。
この2分割の実施形態を図7(容器本体の斜視図)、図8(A),(B)(同側面図)、図9(同平面図)、図10(同底面図)に示す。図7〜図10中、図1〜図5と同一符号は図1〜図5と同一機能部を示す。
【0031】
図7〜図10に示す本実施形態では、容器本体2のベース部2B上に、上記の2分割の収納筒部21Aが一体的に突設されている。この2分割の収納筒部21Aには、前記ダイシングフレームAの外周を把持可能とする2つの切欠き21Cが形成されており、各切欠き21Cは、収納筒部21Aの先端部からベース部2Bに向かって所定幅で形成され、収納筒部21Aの周方向を2(等)分割するように配置されている。図8(A)は一方の切欠き21Cが正面に位置し、従って他方の切欠き21Cがこれと相対して位置する方向からの側面図であり、図8(B)は切欠き21Cが両側面に位置するため図には現れない方向からの側面図である。
【0032】
そして、この2分割された収納筒部21Aの各部分の外周面には、上下方向に延びる複数本(本実施形態では2本)のガイドリブ2Dがそれぞれ平行に突設されている。
この2分割された容器本体2の平面は図9に示され、底面は図10に示される。本実施形態の場合、放射状リブ2Fと共に、底面(ベース部2B)の各辺の中央部にも、蓋体3の円環状突部3Eの外周を嵌合するためのリブ2F1、2F2が突設されている。
【0033】
以上の各実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器1においては、蓋体3に形成する傾斜溝3Iの先端部の幅と容器本体2に形成する突条体2Kの幅とのクリアランスを小さくすることで、容器本体2に対して蓋体3を強固に装着することができる。
【0034】
また、以上の各実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器1においては、導電性プラスチックスを素材としてダイシングウェーハ収納容器1の容器本体2および蓋体3をそれぞれ一体成形したが、帯電防止剤を混入したプラスチックスを素材にして一体成形してもよい。ここで帯電防止剤としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩などの陽イオン系界面活性剤、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩などの陰イオン系界面活性剤、アルキルベタインなどの両性界面活性剤及びこれらの任意の組合せ等、一般に合成樹脂に練り込み、又は塗布して帯電防止剤として使用される界面活性剤であれば何でも使用できる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るダイシングウェーハ収納容器によれば、ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持された状態のダイシングウェーハの複数を容器本体の収納筒部に収納する際、収納筒部の内周面に突設された位置決めリブが各ダイシングフレームを周方向に位置決めする。このため、複数のダイシングウェーハを各ダイシングフレームの位置決めノッチ等が揃うように収納することが可能となり、ダイシング工程に好適である。
【0036】
本発明のダイシングウェーハ収納容器において、前記容器本体の収納筒部にダイシングフレームの外周を把持可能とする切欠きが設けられている場合、容器本体を定位置においた状態でダイシングフレームの外周を把持することができ、ダイシングウェーハの収納および取出し作業を容易に行うことができる。特に、ロボットハンド等を使用して各ダイシングウェーハの収納および取出し作業を行うことができ、自動化されたダイシング工程に好適である。
【0037】
また、本発明のダイシングウェーハ収納容器が前記容器本体に蓋体を装着した状態で概略正方形の底面を有する角柱状の輪郭を呈する場合、縦置に限らず横置も可能となり、複数のダイシングウェーハ収納容器をまとめて保管、搬送する際には、縦置および横置を交えて各ダイシングウェーハ収納容器を搬送箱等にスペース効率の良い安定した状態で収容することができる。
【0038】
さらに、本発明のダイシングウェーハ収納容器において、前記容器本体と蓋体との間に、15°〜45°、好ましくは30°前後の相対回動角度で両者を着脱できる部分ネジが設けられている場合、容器本体に対する蓋体の着脱作業をワンタッチ操作で容易に、しかも確実に行うことができる。ここで、容器本体と蓋体とが概略正方形の底面を有する角柱状の輪郭を呈する場合、容器本体と蓋体とを容易に相対回動させることができ、容器本体に対する蓋体の着脱作業を一層容易に行うことができる。
【0039】
また、本発明のダイシングウェーハ収納容器において、前記容器本体および蓋体が導電性プラスチックスを素材として成形されている場合、静電気の帯電を防止でき、内部に収容されたダイシングウェーハのIC回路を静電気ショックによる損傷から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の全体構造を示す分解斜視図である。
【図2】一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の半截横断面図である。
【図3】一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の半截縦断面図である。
【図4】一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の容器本体のみを示す符号平面図である。
【図5】一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の部分ネジの構造を収納筒部の直径方向に破断して示す部分断面図である。
【図6】一実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の部分ネジの構造を収納筒部の円周方向に破断して示す部分断面図である。
【図7】他の実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の容器本体部のみを示す斜視図である。
【図8】他の実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の容器本体部のみを示す側面図で、(A)が切欠きを正面に位置させた図、(B)が切欠きを側面に位置させた図である。
【図9】他の実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の容器本体部のみを示す平面図である。
【図10】他の実施形態に係るダイシングウェーハ収納容器の容器本体部のみを示す底面図である。
【符号の説明】
1 :ダイシングウェーハ収納容器
2 :容器本体
2A,21A:収納筒部
2B:ベース部
2C,21C:切欠き
2D:ガイドリブ
2E:支持筒部
2F:放射状リブ
2G:回動操作用突部
2H:ローレット
2I:円環状突部
2J:円環状凹部
2K:突条体
3 :蓋体
3A:円筒部
3B:角筒部
3C:回動操作用突部
3D:円環状突部
3E:円環状凹部
3F:円環状凹部
3G:円環状嵌合溝
3H:段部
3I:傾斜溝
3J:突条体導入口
A :ダイシングフレーム
B :ダイシングフィルム
C :ダイシングウェーハ
Claims (2)
- ダイシングフレームにダイシングフィルムを介して支持されたダイシングウェーハであって、このダイシングウェーハを複数枚重ねて収納可能なダイシングウェーハ収納容器において、前記ダイシングフレームの外周を案内してダイシングウェーハを積み重ね状態に収納させる収納筒部が設けられた容器本体と、この容器本体に着脱自在に装着されて前記収納筒部の全体を覆う蓋体とを備え、前記収納筒部の内周面には、前記ダイシングフレームを周方向に位置決めする位置決めリブが突設されていることを特徴とするダイシングウェーハ収納容器。
- 前記容器本体の収納筒部には、ダイシングフレームの外周を把持可能とする切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイシングウェーハ収納容器。
Priority Applications (1)
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