JP4562843B2 - 熱可塑性樹脂から成る組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、成形加工性に優れ、かつ得られる成形体が剛性、強度、耐衝撃性、耐熱性、吸水時の剛性や寸法安定性などに優れる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にポリアミド樹脂は、成形性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性などが優れているが、吸水時に剛性が低下したり、寸法変化を起こすという欠点がある。これらの欠点を改良を目的として、耐熱性や耐水性に優れるポリエステル系樹脂とポリアミド樹脂を配合した組成物が、従来より、多数提案されている。例えば、特公昭51−54658号公報などでは、ポリアミドとポリエステルの樹脂組成物が開示されている。また、特開昭48−56742号公報、同56−34754号公報では、ポリアミド、ポリエステルからなる樹脂に、強化材や充填剤を添加し、分散性を改良した樹脂組成物が開示されている。さらに、特開平3−215557号公報には、ポリアミドとポリエステルと層状珪酸塩からなる樹脂組成物が開示されている。
【0003】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、従来のポリアミドとポリエステル系樹脂を必須成分とする樹脂組成物においては、成形性、剛性、耐熱性、耐衝撃性、吸水時の剛性や寸法安定性などの全ての特性が十分に満足できるものは開発されていないのが現状であり、かかる問題を解消しうる樹脂材料の開発が非常に期待されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、得られる成形体が剛性、強度、耐衝撃性、耐熱性、吸水時の剛性や寸法安定性などに優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することである
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、および特定のアパタイト型化合物からなる熱可塑性樹脂組成物により、上記課題を解決できることをを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
【0006】
すなわち本発明は、
(1)ポリアミド形成成分と、リンに対する金属元素のモル比が1.5〜2.0であるリン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物との混合物からなり、平均粒子径にして0.001〜10μmであるアパタイト型化合物形成成分とを配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を進行させて得られるポリアミド複合体であって、該アパタイト型化合物が、アパタイト型化合物100重量部に対し0.5〜100重量部のフェノールに不溶な有機物を含有するアパタイト型化合物である該ポリアミド複合体に、ポリエステル系樹脂を配合してなるポリアミド樹脂組成物
【0007】
(2)(C)ポリエステル系樹脂は、(a)芳香族ポリエステル樹脂、(b)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、(c)ポリアリレート樹脂、(d)液晶ポリエステルから選ばれるすくなくとも1つの樹脂から選ばれることを特徴とする上記1記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)アパタイト型化合物が、平均粒子径にして0.001〜1μmであることを特徴とする上記1あるいは2記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)(A)ポリアミド100重量部に対して、(B)アパタイト型化合物0.5〜300重量部、(C)ポリエステル系樹脂0.1〜300重量部であることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物、
である。以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
(3)アパタイト型化合物が、平均粒子径にして0.001〜1μmであることを特徴とする上記1あるいは2記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)アパタイト型化合物形成成分が、平均粒子径にして0.001〜10μmであることを特徴とする上記2記載の熱可塑性樹脂組成物、
である。以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂およびアパタイト型化合物とからなる熱可塑性樹脂組成物に係る。
本発明におけるポリアミドは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体でよい。
【0010】
本発明において好ましく用いるポリアミドは、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、
【0011】
ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、
ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
【0012】
これらのポリアミドのうち、本発明課題を達成するのにより好ましいポリアミドは、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
【0013】
更に、本発明においては、前記ポリアミドと他の樹脂とを混合して得られるポリアミド樹脂も用いることができる。この場合のポリアミド樹脂中のポリアミドの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。ポリアミド樹脂中のポリアミドの含有量が50重量%未満の場合には、本発明の改良効果が顕著でない場合がある。
ポリアミドに配合する他の樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂をあげることができる。
【0014】
他の熱可塑性樹脂は、例えばアタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル系樹脂、
ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレンなどの縮合系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの含ハロゲンビニル化合物系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0015】
前記ポリアミド形成成分(原料)としては、重合可能なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるいは重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩、および重合可能な前記化合物のオリゴマーを挙げることができる。
重合可能なアミノ酸としては、例えば6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸をより具体的に挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なアミノ酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0016】
重合可能なラクタムとしては、例えばブチルラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタムなどをより具体的に挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なラクタムを1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0017】
重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジアミンとしては、例えばテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、
【0018】
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどを挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なジアミンを1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0019】
重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジカルボン酸としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なジカルボン酸は1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0020】
本発明のポリアミド形成成分(原料)には、さらに分子量調節あるいは耐熱水性向上のために公知の末端封止剤を添加することができる。末端封止剤としては、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましい。その他、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを挙げることができる。
【0021】
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げることができる。本発明では、これらのモノカルボン酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0022】
末端封止剤として使用するモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族モノアミンなどを挙げることができる。本発明では、これらのモノアミンを1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0023】
本発明のポリアミドの分子量は、成形性および物性がより優れていることから、重量平均分子量(Mw)にして、1万〜100万であることが好ましく、更には2万〜50万、最も好ましくは3万〜20万のものである。重量平均分子量は、例えば、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、分子量標準試料としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、ゲルパーミッショクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
【0024】
本発明で好ましく用いられるポリエステル系樹脂は、(a)芳香族ポリエステル樹脂、(b)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、(c)ポリアリレート樹脂、(d)液晶ポリエステルから選ばれるすくなくとも1つの樹脂である。以下、詳細に説明する。
本発明で好ましく用いられる芳香族ポリエステル樹脂(a)は、芳香環を重合体の連鎖単位に有する熱可塑性のポリエステルであり、通常芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体であり、融点が180〜330℃程度のものが好ましい。
【0025】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、4,4”−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などを挙げることができ、なかでも好ましいものとしては、テレフタル酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。なお20モル%以下程度の少量であれば、これらの芳香族ジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸を一種以上混合してもよい。
【0026】
前記ジオール成分は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールおよびこれらの混合物を挙げることができる。なお、少量であれば、分子量400〜6000程度の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、あるいはこれらの混合物を共重合させても良い。
【0027】
芳香族ポリエステル樹脂(a)の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどの芳香族ポリエステルや、
【0028】
ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートなどの芳香族ポリエステル共重合体が好ましいものとして挙げることができる。中でも、得られる樹脂組成物の機械的性質、成形性の点からポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが最も好ましいものとして挙げることができる。
【0029】
前記ポリブチレンテレフタレートは、0.5W/V%のo−クロロフェノール溶液中で25℃において測定した固有粘度が、0.50〜2.0程度が好ましく、また、ポリエチレンテレフタレートの場合は上記と同条件で測定した固有粘度が0.25〜1.75程度のものが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマー(b)は、特に限定はしないが、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび/または脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとする150℃以上の融点を有するものであり、例えばポリエーテルエステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体、ポリエーテルエステル・エステル共重合体など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0030】
ポリエステル系熱可塑性エラストマー中の芳香族ポリエステルハードセグメント対ソフトセグメントの占める割合は、重量比で95/5〜10/90、特に90/10〜30/70であることが好ましい。なお、融点の測定は、JIS K7121に準じ、熱示差分析法(DSC)で、5〜15mgのサンプルを用いて、昇温速度20℃/minで得られた融解曲線のピーク温度から求めることができる。なお、ピーク温度が複数の場合には、最も高いピーク温度をもって融点とする。
【0031】
前記ハードセグメントを構成する芳香族ポリエステルとは、通常60モル%程度以上がテレフタル酸成分であるジカルボン酸成分とジオール成分を縮重合して得られる重合体であることが好ましい。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分およびジオール成分としては、前記芳香族ポリエステル樹脂(a)において挙げたものを好ましく使用でき、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
前記ソフトセグメントを構成するポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび脂肪族ポリエステルは、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体、ポリエチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0033】
ポリエステル系熱可塑性エラストマー(b)の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレ−ト・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコ−ルブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレンアジペートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンアジペートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンセバケートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ−ε−カプロラクトンブロック共重合体などを挙げることができる。
【0034】
本発明で好ましく用いられるポリアリレート樹脂(c)は、特に限定はしないが、二官能フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸を高温溶融状態で反応させる溶融重合法、脱酸剤としてのアミン存在下、二官能フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸ジクロライドを有機溶媒中で反応させる溶液重合法、二官能フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸ジクロライドとを互いに相溶しない2種の溶媒に溶解したのち、アルカリ存在下で2液を混合撹拌して、その界面で重縮合反応を行わせる界面重合法などにより製造することにより得られるものである。
前記二官能フェノール系化合物は、下記一般式(1)で示される。
【0035】
【化1】
ここで、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンである。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。
上記(1)式において、Arは、
【0036】
【化2】
である。ここで、R3、R4、R5、およびR6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していても良い。またR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同じでも異なっていても良い。
【0037】
前記二官能フェノール系化合物は、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
【0038】
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t-ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、
【0039】
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’ジメチルジフェニルスルホンなど、あるいはこれらの混合物を挙げることがげきる。中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールA、あるいは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがより好ましいものとしてあげることができる。
【0040】
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に限定はしないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など、あるいはこれらの混合物、ならびにこれら芳香族ジカルボン酸のアルキル置換同族体、ハロゲン化物など、あるいはこれらの混合物をあげることができる。
本発明においては、ポリアリレート樹脂は、その分子量が数平均分子量にして、5000〜10万程度のものが、成形性、物性という点からより好ましく用いられる。
【0041】
本発明で好ましく用いられるアパタイト型化合物は、下記一般式で示される。
(A)10-z(HPO4)z(PO4)6-z(X)2-z・nH2O
ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、(A)は金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であるが、成形性および物性の観点から0≦z<1、0≦n≦4であることがより好ましい。
【0042】
好ましい金属元素(A)としては、元素周期律表の1A、2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族元素およびスズ、鉛を挙げることができる。これら金属元素は1種であっても、2種以上であってもかまわない。本発明においては、得られる樹脂組成物の経済性、安全性および物性の点から、2A族元素であるマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、あるいはこれらの2種以上からなる混合物であることが特に好ましい。
【0043】
前記一般式中のXで示される陰イオンまたは陰イオン化合物としては、水酸イオン(OH-)、フッ素イオン(F-)、塩素イオン(Cl-)などを挙げることができる。これら陰イオン元素または陰イオン化合物は1種であっても、2種以上であってもかまわない。また、本発明においては、前記一般式中のリン酸水素イオン(HPO4 2-)、リン酸イオン(PO4 3-)、あるいはXの一部が炭酸イオン(CO3 2-)に置換した炭酸含有アパタイトであってもよい。
【0044】
本発明においては、前記アパタイト型化合物の中、金属元素(A)がカルシウムである水酸アパタイト(Xが水酸イオン)、フッ素化アパタイト(Xの一部または全部がフッ素イオン)、塩素化アパタイト(Xの一部または全部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタイト、炭酸含有フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化アパタイト、さらには、これらの混合物が最も好ましく用いられる。
【0045】
かかるアパタイト型化合物形成成分(原料)としては、リン酸系金属化合物や、リン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合物などを挙げることができるが、本発明では、リン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合物であることがより好ましい。本発明では、アパタイト型化合物形成成分のリンに対する金属元素のモル比が0.9〜10.0であればよく、より好ましくは1.2〜5.0、さらに好ましくは1.5〜2.0である。
【0046】
前記リン酸系金属化合物のリン酸類としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などを挙げることができる。
より具体的には、リン酸系金属化合物としては、リン酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)、二リン酸二水素カルシウム(CaH2P2O7)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(H2PO4)2・H2O)、二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca2P2O7)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca3(PO4)2)、
【0047】
リン酸四カルシウム(Ca4(PO4)2O)、リン酸八カルシウム五水和物(Ca8H2(PO4)6・5H2O)、亜リン酸カルシウム一水和物(CaHPO3・H2O)、次亜リン酸カルシウム(Ca(H2PO2)2)、リン酸マグネシウム第二・三水和物(MgHPO4・3H2O)、リン酸マグネシウム第三・八水和物(Mg3(PO4)2・8H2O)、リン酸バリウム第二(BaHPO4)などを挙げることができる。
【0048】
これらの中でも、本発明では経済性および物性により優れる点から、リン酸とカルシウムの化合物が好ましく用いられ、中でもリン酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)がより好ましく用いられ、特に無水リン酸一水素カルシウム(CaHPO4)とリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)が最も好ましく用いられる。これらのリン系金属化合物は、1種であっても良いし、2種以上の組み合わせであっても良い。
【0049】
2種以上組み合わせる場合には、例えば、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)と二リン酸二水素カルシウム(CaH2P2O7)とを用いるように、同種の金属元素を含有する化合物の組み合わせや、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)とリン酸マグネシウム第二・三水和物(MgHPO4・3H2O)とを用いるように、異種の金属元素を含有する化合物の組み合わせなどが例示されるが、いずれでも差し支えない。
【0050】
本発明におけるリン酸系金属化合物は、リン酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)を例にとると、Phosphorus and its Compounds,1(1958)で記載されているVanWazerによるCaO−H2O−P2O5系の状態図が示すように、水の存在下、リン酸化合物とカルシウム化合物を混合することによる公知の方法で得ることができる。より具体的には、例えば、20〜100℃の温度下、リン酸二水素カリウム溶液に、リン酸アルカリ溶液および塩化カルシウム溶液を滴下し反応させ合成する方法や、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムとリン酸水溶液を混合する方法などによれば良い。
【0051】
ところで、本発明者らは、前記リン酸類のかわりに、砒素(As)やバナジウム(V)からなる化合物、すなわち砒酸類やバナジウム酸類を用いても、本発明と同様な効果が得られるものと推察している。しかしながら、本発明では、原料成分の安定性、形成成分の入手容易性、安全性の点で優れることから、リン酸類を用いることが最も好ましい。
【0052】
本発明における非リン酸系金属化合物としては、前記リン酸類以外で金属元素と化合物を形成するものであれば特に制限はなく、金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化マンガンなど)、金属塩化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、
【0053】
塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化マンガンなど)、金属フッ化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウムなど)、金属臭化物(臭化カルシウムなど)、金属ヨウ化物(ヨウ化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅など)、金属炭化物(炭化カルシウムなど)、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど)、
【0054】
炭酸金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アルミニウムなど)、硫酸金属塩(硫酸カルシウムなど)、硝酸金属塩(硝酸カルシウムなど)、ケイ酸金属塩(ケイ酸カルシウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなど)などの無機金属化合物や、金属元素とモノカルボン酸との化合物(酢酸カルシウム、酢酸銅、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、
金属元素とジカルボン酸との化合物(しゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウムなど)、金属元素とトリカルボン酸との化合物(クエン酸カルシウムなど)などを挙げることができる。
【0055】
本発明では、これらの非リン酸系金属化合物は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせても良い。2種以上組み合わせる場合には、例えば水酸化カルシウムと炭酸カルシウムとの混合物のように、同種の金属元素を含有する化合物を組み合わせても良いし、例えば、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの混合物のように、異種の金属元素を含有する化合物を組み合わせても良い。
【0056】
本発明では、これら化合物の中でも、経済性および物性がより優れていることから、金属水酸化物、金属フッ化物、金属塩化物、炭酸金属塩、金属酸化物、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。特に元素周期律表の2A族元素であるカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、フッ化物、塩化物、炭酸塩、あるいはこれらの混合物がより好ましく、更にはカルシウムの水酸化物、フッ化物、塩化物、炭酸塩、酸化物、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられ、その中でも水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムが最も好ましく用いられる。
【0057】
非リン酸系金属化合物の製造方法は特に制限されるものでなく、例えば炭酸カルシウムの場合を例にとると、天然材の粉砕品であっても、化学的に合成されたものであってもかまわない。また、その結晶形態や形状も特に制限されるものではなく、炭酸カルシウムの場合を例にとると、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、アラゴナイト型炭酸カルシウム、バテライト型炭酸カルシウム、針状型炭酸カルシウムなど、あるいはこれらの混合品など、いずれを用いてもかまわない。
【0058】
本発明のアパタイト型化合物形成成分であるリン酸系金属化合物や非リン酸系金属化合物は、好ましい平均粒子径が0.001〜10μm、より好ましくは0.001〜5μm以下、さらに好ましくは0.001〜1μmである。平均粒子径の測定は、アパタイト型化合物形成成分を純水あるいはアルコール類中に分散させ、超音波処理を行った後、レーザ回折/散乱式粒度分布装置で測定する方法によれば良い。
【0059】
本発明のポリアミド複合体の製造方法は、ポリアミド形成成分(原料)に、アパタイト型化合物形成成分(原料)を配合し、次いでポリアミドの重合とアパタイト型化合物の合成を行う方法を用いることが好ましい。ポリアミドの重合とアパタイト型化合物合成のより好ましい方法は、ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分との配合物を加熱し、ポリアミド形成成分をアパタイト型化合物形成成分の存在下に重合し、その後アパタイト型化合物を合成する方法や、あるいはアパタイト型化合物形成成分をポリアミド形成成分の存在下に反応させ、その後ポリアミドを重合する方法である。
【0060】
更に好ましい方法は、前記両形成成分の配合物を40〜300℃の温度下で、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を進行させる方法であり、最も好ましい方法は、前記両形成成分の配合物を加圧下、40〜300℃の温度下で、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を同時並行的に進行させる方法である。
【0061】
ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物の形成成分との配合方法としては、固体状のポリアミド形成成分とアパタイト型化合物の形成成分を直接混合する方法、ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイト型化合物形成成分の水溶液や懸濁液とを配合する方法などのいずれによっても良い。また、アパタイト型化合物の分散性を向上させるために、必要に応じて、ポリアミド形成成分やアパタイト型化合物形成成分に分散剤や錯化剤などの化合物を添加しても良い。更には、アパタイト型化合物形成成分の懸濁液、あるいはアパタイト型化合物形成成分とポリアミド形成成分との混合液を、超音波による処理を行ったり、ホモジナイザーによる処理を行っても良い。
【0062】
本発明では、前記分散剤の種類を、特に制限するものではなく、公知の分散剤を用いることができる。例えば、「分散・凝集の解明と応用技術,1992年」(北原文雄監修・株式会社テクノシステム発行)の232〜237ページに記載されているようなアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。
これらの中でもアニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤を用いることが好ましく、特に、価格および物性の観点から、クエン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸などのオレフィン−無水マレイン酸共重合体、ショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステル類などを用いることがより好ましい。
【0063】
錯化剤としては、金属イオンと錯体を形成する化合物であれば特に制限されることがなく、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、尿素などを用いることができる。これらの中でも、価格および物性の観点からクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン(en)が特に好ましい。
【0064】
前記ポリアミドの重合は、公知の方法を用いることができる。例えば、11−アミノウンデカン酸などの水に難溶な成分を形成成分とし、40〜300℃で加熱し重縮合する方法、ε−カプロラクタムを形成成分とし、その水溶液を必要に応じてモノカルボン酸などの末端封鎖剤、あるいはε−アミノカプロン酸などの反応促進剤を加えて、不活性ガスを流通させながら、40〜300℃に加熱し重縮合するラクタム類の開環重縮合法、ヘキサメチレンアジパミドなどのジアミン・ジカルボン酸を形成成分とし、その水溶液を40〜300℃の温度下、加熱濃縮し、発生する水蒸気圧を常圧〜約1.96Mpa(ゲージ圧)の間の圧力に保ち、最終的には圧力を抜き常圧あるいは減圧し重縮合を行う熱溶融重縮合法などを用いることができる。さらには、ジアミン・ジカルボン酸固体塩や重縮合物の融点以下の温度で行う固相重合法、ジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分とを溶液中で重縮合させる溶液法なども用いることができる。
【0065】
これらの方法は必要に応じて組合わせてもかまわない。また、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に制限されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
ポリアミド樹脂複合体の製造方法は、前記ポリアミド複合体と他の樹脂とを、混合する方法であれば良く、ポリアミド複合体粉体や該ペレットと他の樹脂粉体や該ペレットとをヘンシェルミキサーやタンブラーなどでブレンドする方法や、ポリアミド複合体粉体や該ペレットと他の樹脂粉体や該ペレットとを、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸あるいは二軸の押出機などを用いて溶融混練する方法などを用いれば良い。
【0066】
本発明のアパタイト型化合物の確認は、例えば、ポリアミド複合体、ポリアミド樹脂複合体、あるいは樹脂組成物やその成形体を用いて、広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで直接確認する方法や、ポリアミドや配合した他の樹脂が可溶な溶媒で、ポリアミドあるい配合した他の樹脂を溶出し、アパタイト型化合物成分を分離し、分離したアパタイト型化合物の広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで確認する方法などによれば良い。
【0067】
前記ポリアミドや他の樹脂が可溶な溶媒とは、特に制限されるものではなく、公知の溶媒を用いることができる。例えば、「POLYMERHANDBOOKThirdEdition」(J.BrandrupandE.H.Immergut監修/AWiley−IntersciencePublication)の第VII(SolventsandNon−solventsForPolymers)に記載されている溶媒を用いれば良いが、本発明においては、ポリアミドおよびポリエステル系樹脂を溶解する溶媒としては、フェノール溶媒を用いるのが好ましい。
【0068】
本発明のアパタイト型化合物は、結晶性アパタイト型化合物であっても、非晶性アパタイト型化合物であってもかまわないが、物性の観点から、結晶性アパタイト型化合物であることがより好ましい。アパタイト型化合物が結晶性であることの確認は、具体的には、X線の線源として、銅Kα(波長λ=0.1542nm)を用いて、広角X線回折を測定し、回折角(2θ)が25.5〜26.5度に(002)面ピークが存在し、さらに回折角(2θ)が32.5〜33.5度に(300)面ピークが存在することを確認すればよい。本発明では、上記のように確認される結晶性アパタイト型化合物であることが特に好ましい。
【0069】
本発明のアパタイト型化合物の含有量は、ポリアミド100重量部に対して0.5〜300重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜200重量部、更には3〜100重量部、特に好ましくは5〜75重量部である。アパタイト型化合物の含有量は、例えば、ポリアミド複合体を用いて、JISR3420に従って強熱減量(Ig.loss)を測定し、その重量減少量から求めることができる。また、上記強熱減量と溶媒抽出、NMR、あるいは赤外吸収スペクトルなどとを必要に応じて組み合わせて、ポリアミド樹脂複合体、あるいは本発明の熱可塑性樹脂組成物またはその成形品からでもアパタイト型化合物の含有量を求めることができる。アパタイト型化合物の含有量がポリミド100重量部に対して、0.5重量部未満の場合には、得られる成形体の機械特性の改良効果が本発明の目的を達成し得る程に顕著でなく、一方300重量部を越えた場合には、靭性が低下する恐れや成形加工がしにくくなるなどの問題が発生しやすい。
【0070】
本発明のアパタイト型化合物のリンに対する金属元素の比は、モル比にして0.9〜10.0であることが好ましく、より好ましくは1.2〜5.0、特に好ましくは、1.3〜2.5である。この比が0.9未満の場合には、押出や成形加工時に気泡の混入や発泡が起こりやすくなり、得られる成形体の収率が低下する懸念がある。また、この比が10.0を越えた場合には、靭性の低下が著しくなる恐れがある。
【0071】
本発明のアパタイト型化合物が含有する有機物は、アパタイト型化合物100重量部あたり、0.5〜100重量部であることが必要である。より好ましくは、1〜100重量部、更には3〜75重量部、特に好ましくは4〜50重量部である。該有機物は、イオン結合反応、吸着反応あるいはグラフト化反応などの物理的、化学的相互作用によりアパタイト型化合物の内部や表面に取り込まれている有機物であるため、たとえポリアミドが可溶なフェノール溶媒を用いて溶解操作を行っても、溶媒中に溶解・溶出しないという性質を有しおり、このことがアパタイト型化合物とマトリックスであるポリアミドとの固着、接着性を非常に向上させている。該有機物の量が、アパタイト型化合物100重量部あたり0.5重量部未満の場合には、得られる成形体の靭性の低下が大きくなる恐れがある。
また100重量部を越えた場合には、成形加工性が低下する傾向にある。
【0072】
本発明者らの検討によれば、本発明における前記有機物は、分離したアパタイト型化合物の熱分解ガスクロマトグラフィーおよび熱分解成分のマススペクト(MS)、赤外吸収スペクトルの測定結果から、ポリアミド形成成分、ポリアミド、あるいはこれらの反応生成物である。従って本発明の前記有機物は、特にマトリックスであるポリアミドとの固着、接着性がより向上する点から、前記有機物の少なくとも一部がポリアミドであることが好ましい。また、前記有機物には、水が含有されてもかまわない。
【0073】
本発明の前記有機物の含有量は、具体的には、(i)アパタイト型化合物の分離操作、(ii)熱減量率の測定、(iii)熱分解成分の測定による有機物の定量、を行うことによって求めることができる。
以下に、詳細に説明する。
【0074】
(i)アパタイト型化合物の分離操作:
ポリアミド複合体、ポリアミド樹脂複合体、樹脂組成物あるいはその成形品10gを秤量し、90重量%フェノール200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。さらに200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行う。引き続き、99.5重量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操作をさらに4回繰り返した後、減圧乾燥器中で乾燥し、アパタイト型化合物を得る。なお、ポリアミド以外の樹脂成分の溶解操作は、上記ポリアミド溶解操作前あるいはその後に、他の樹脂が可溶な溶媒を用いて行えば良い。
【0075】
(ii)熱減量率(X(重量部/アパタイト型化合物100重量部))の測定:
得られたアパタイト型化合物5〜15mgを秤量し、熱重量分析(TGA)装置により、30℃から550℃まで99.9℃/minで昇温後、550℃で1時間保持する。30℃における初期重量(W0)と、550℃で1時間保持した後の最終重量(W1)を用いて、下式に熱減量率Xを算出できる。
熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=(W0−W1)×100/W1
【0076】
(iii)熱分解成分の測定による有機物の定量:
前記(i)により得られたアパタイト型化合物を1〜10mg秤量し、熱分解ガスクロマトグラフィーにより、熱分解温度550℃、カラム温度50〜320℃(昇温速度20℃/min)の条件下で測定する。得られた熱分解ガスクロマトグラフィーのパイログラムを、保持時間2min未満と2min以上に分けそのピーク面積を算出する。2min以下の成分は二酸化炭素などの低分子量成分であるため、この低分子量成分を全体から差し引き、有機物の量とした。具体的には、それぞれの面積Sa(2min未満)とSb(2min以上)を算出し、前記(ii)の熱減量率Xを用いて、下式にて有機物の量を算出する。
有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=X・Sb/(Sa+Sb)
【0077】
本発明のアパタイト型化合物の平均粒子径は、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.001〜0.5μmである。本発明における平均粒子径は、電子顕微鏡写真法により求めることができ、該平均粒子径は次のようにして算出することができる。すなわち、ポリアミド複合体、ポリアミド樹脂複合体、あるいは樹脂組成物や得られる成形体から切り出した超薄切片の透過型電子顕微鏡(TEM:写真倍率5万倍あるいは10万倍)を撮影し、アパタイト型化合物の粒子径di、粒子数niを求め、次式により平均粒子径を算出する。
平均粒子径=Σdi・ni/Σni
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のアパタイト型化合物は、ポリアミドと固着、接着性が高いということから、アパタイト型化合物の50重量%以上がポリアミド中に存在することが好ましい。
【0078】
本発明のポリエステル系樹脂の配合量は、ポリアミド100重量部に対して0.1〜300重量部であることが好ましく、1〜200重量部がより好ましく、10〜100重量部が最も好ましい。配合量が0.1重量部未満の場合には、耐水性などの改良効果が顕著でなくなる傾向にあり、また300重量部を越えた場合には、強度、靭性などの低下を引き起こす懸念がある。
【0079】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前記ポリアミド複合体、ポリエステル系樹脂、必要に応じて耐衝撃性改良材、変性剤(不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和イミド化合物)、あるいはポリカーボネートなどのようなポリアミドやポリエステル以外の樹脂を配合し、混合する方法であれば特に限定はされないが、好ましい方法としては、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸あるいは二軸の押出機などを用いて、溶融混練する方法を挙げることができる。
【0080】
前記耐衝撃性改良材は、特に限定はしないが、例えばエチレンと不飽和カルボン酸あるいは不飽和カルボン酸金属塩とからなる共重合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体あるいはその変性物、ビニル系芳香族化合物および共役ジエン系化合物から得られるブロック共重合体あるいはその変性物、天然ゴム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブチレン、ネオプレン、
【0081】
ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エビクロロヒドリンゴムなど、あるいはそれらの変性物、ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS),メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、
【0082】
オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレートシロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴムなどのコアシェルタイプあるいはそれらの変性物などから選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0083】
前記変性物を得るための変性剤としては、不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和イミド化合物などを挙げることができる。
これら耐衝撃改良材の中で、好ましいものとしては、(a)エチレン・α−オレフィン系共重合体あるいはその変性物、(b)ビニル系芳香族化合物および共役ジエン系化合物から得られるブロック共重合体あるいはその変性物を挙げることができる。
【0084】
以下これらの耐衝撃性改良剤について詳細に説明する。
(a)エチレン・α−オレフィン系共重合体あるいはその変性物
前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が900Kg/m3未満、より好ましくは850〜890Kg/m3の、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数が3以上のα−オレフィンは、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4 −メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどをあげることができる。これらは1種でもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
【0085】
また、例えばジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどの不飽和結合を有する構成単位を含有させてもかまわない。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン含有量は30〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは40〜90モル%、さらに好ましくは50〜85モル%である。エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含有量が95モル%を越えたり、あるいは30モル%より少ない場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体を配合しても、顕著な耐衝撃性の改良効果が見られないことがある。
【0086】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、MFR(190℃、荷重2160g)が0.05〜100g/10分程度が好ましく、0.1〜50g/10分であることがより好ましい。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比)は10以下程度が好ましい。さらに、結晶化度は0〜50%が好ましく、0〜20%であることがより好ましい。上記範囲をはずれると耐衝撃性改良効果が顕著でなくなる傾向にある。
【0087】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン系触媒を用いた方法、その他、ICI法、BASF法、フィリップス法、スタンダード法などの公知の方法により製造することができる。
また、エチレン・α−オレフィン系共重合体は、不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和イミド化合物などをグラフト化し、変性エチレン・α−オレフィン共重合体として、用いることもできる。
【0088】
エチレン・α−オレフィン共重合体の変性方法としては、溶融混練法、溶液法、スラリー法を挙げることができ、いずれの方法によっても好ましく行うことができる。溶融混練法の場合には、変性に用いる前記変性剤(不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和イミド化合物)と、ラジカル重合用触媒を併存させて、押出機を用いて、150〜350℃の温度に加熱して溶融混練すればよい。一方、溶液法、スラリー法の場合には、キシレンなどの有機溶剤にエチレン・α−オレフィン共重合体、変性剤、およびラジカル重合触媒とを溶解、あるいはスラリー状態とし、80〜350℃の温度で撹拌しながら変性すればよい。配合する変性剤の量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
【0089】
前記変性剤である不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸、α−エチルアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、ハロゲン化マレイン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化シトラコン酸、クロトン酸、ハロゲン化クロトン酸、イタコン酸、ハロゲン化イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、
エンド−ビシクロ−(2、2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンド−シス−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−1,2,2,2,7,7−ヘキサクロロ−2−ヘプテン−5,6−ジカルボン酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0090】
不飽和カルボン酸化合物の誘導体は、前記不飽和カルボン酸化合物の酸ハライド、無水、エステル、アミド、イミド、金属塩などを挙げることができ、例えば塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。この中で、好ましいものとしては、無水マレイン酸、無水ナジック酸を挙げることができる。
【0091】
不飽和エポキシ化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸モノグリシジルエステル、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、
2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセンおよびビニルシクロヘキセンモノオキシドなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0092】
不飽和イミド化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−メチルフェニル)マレイミド、N−(m−メチルフェニル)マレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−(メトキシフェニル)マレイミド、
【0093】
N−(クロルフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N−メチルイタコンイミド、N−フェニルイタコンイミドなどを挙げることができる。中でもN−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(カルボキシフェニル)マレイミドが好ましく用いられる。これらの不飽和カルボン酸もしくはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、あるいは不飽和イミド化合物は1種類であっても、2種類以上を組み合わせて用いてもかまわない。
【0094】
ラジカル重合用触媒としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、
【0095】
2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、
【0096】
tert−ブチルペルジエチルアセテート、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。中でも、好ましいものとしてはジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドを挙げることができる。
【0097】
グラフト化反応した変性剤の量は、得られる樹脂組成物の成形性や物性が優れるという点から、エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.01〜7重量部であることが好ましい。また、密度は900Kg/m3未満であることが好ましく、850〜890Kg/m3であることがより好ましい。さらにMFR(190℃、荷重2160g)が0.05〜100g/10分が好ましく、0.1〜50g/10分であることがより好ましい。
【0098】
(b)ビニル系芳香族化合物および共役ジエン系化合物から得られるブロック共重合体あるいはその変性物
前記ビニル系芳香族化合物および共役ジエン系化合物から得られるブロック共重合体は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とするブロックBとからなるブロック共重合体である。これらのブロック共重合体の構造は、例えば、A−B、A−B−A、A−B− A−B、(A−B−)4 −Si、A−B−A−B−Aなどの構造を有するブロック共重合体である。また、ブロックB部分の一部が水素添加されてもかまわない。
【0099】
ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレンなどを挙げることができる。これら化合物は1種でも良いし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができる。これら化合物は1種でも良いし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0100】
ブロック共重合体の数平均分子量は好ましくは、1万〜100万であり、より好ましくは2万〜50万の範囲である。さらに、分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比)は10以下が好ましい。なお、ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0101】
前記ブロック共重合体の中でも、上記したブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの脂肪族系二重結合を、70%以上水素添加した水添ブロック共重合体が好ましく用いられ、より好ましくは80%以上まで水素添加した水添ブロック共重合体である。この水素添加率は、赤外分光スペクトルやNMRなどで測定することができる。
【0102】
これら水添ブロック共重合体の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号および米国特許第3281383号および同第3639517号明細書に記載された方法や英国特許第1020720号および米国特許第3333024号および同第4501857号明細書に記載された方法を挙げることができる。
【0103】
また、前記変性・エチレン・α−オレフィン共重合体の場合と同様な方法を用いて、不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和イミド化合物などをグラフト化し、変性ブロック共重合体として、用いることもできる。この場合、グラフト化する変性剤の量は、グラフト化反応した変性剤の量は、得られる樹脂組成物の成形性や物性が優れるという点から、ブロック共重合体あるいはその水添ブロック共重合体100重量部に対して、0.01〜7重量部であることが好ましい。
【0104】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のポリエステル系樹脂の分散状態は、四酸化オスミウムおよび/または四酸化ルテニウムによる染色固体法で調整された超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の分散構造は、特に限定しないが、ポリアミドが連続相であり、ポリエステル系樹脂が分散相を形成する形態が好ましい。
【0105】
本発明のポリエステル系樹脂の平均粒子径は、好ましくは5μm以下が好ましい。平均粒子径が5μmを越えると耐衝撃性が低下する傾向にある。ポリエステル系樹脂の平均粒子径は、電子顕微鏡写真法により求めることができ、該平均粒子径は次のようにして算出することができる。樹脂組成物やその成形体から切り出した超薄切片の透過型電子顕微鏡(2.5万倍)を撮影し、分散相の粒子径di、粒子数niを求め、次式により平均粒子径を算出する。
平均粒子径=Σdi・ni/Σni
この場合、粒子径が球状とみなせない場合には、その短径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とする。また、平均粒子径の算出には最低2000個の粒子径を測定する。
【0106】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性に優れ、かつ得られる成形体が剛性、強度、耐衝撃性、耐熱性、吸水時の剛性や寸法安定性に優れるということから、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの各種部品への応用が期待される。
【0107】
各種部品としては、例えばバンパー、スポイラー、サイドカバー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ルーフレール、ルーフレッグ、ドアミラースティ、ドアミラーカバー、ドアミラーブラケット、レインチャンネル、ワイパーブレード、サンルーフデフレクター、アウトドアの把手、フェンダー、テールランプなどの自動車外装・外板部品、シリンダーヘッドカバー、ラジエータタンク、タイミングベルトカバー、
【0108】
コネクター、結束バンド、モーターファン、ギア・カム、熱風機ハウジング、チューブ、ホース、パワーステアリングオイルタンク、リザーバータンク、ブレーキオイルタンク、フューエルストレーナー、エアークリナー、ペーパーキャスター、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、エンジンマウント、エアサスタンク、ガソリンタンク、アルコールタンク、フレオンタンク、フューエルチューブ、フューエルストレーナー、ブレーキオイルタンク、クラッチオイルタンク、パワーステアリングタンク、クーラー用フレオンチューブ、エアークリナー、インテクマニーホールド、サージタンクなどの自動車アンダーフード部品、
【0109】
レジスターブレード、ウォッシャーレバー、ウインドーレギュレーターハンドル、ウインドーレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、サンバイザーアーム、シートロック部品、アクセルペダルなどの得られる成形体、ホイールリム、ホイールスポーク、サドル、サドルポスト、ハンドル、スタンド、荷台などの自転車などの二輪車用部品、机の脚、椅子のの脚、座、キャビン、ワゴンなどの家具用部品、パソコンハウジングなどのOA機器分野用品、
【0110】
スィッチ類、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクター、コネクターのハウジング、コネクターのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ダンシングプーリーなどの電子電気部品、
【0111】
歯ブラシ用などのブラシ用ブリッスル、マジックファスナー、タイヤコード、ベルト、人工芝生、絨毯、自動車座席用シート、漁網、ロープ、ザイル、フィルター用糸、ホース用補強糸、バルブハウジング、釘、ねじ、ボルト、ボルトナット、スペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、ワイヤーグリップ、アジャスターなどの床下部品、サッシ用クレセント、トイレ便座用温水タンクなどの温水用各種容器、各種シリンダー、洗濯機バランサー、スピーカーボックス、農薬用ボトル、飲料水用などの各種ボトルなどの工業機械部品などが挙げられ、その他各種用途に有用であることが期待できる。
【0112】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法を用いても、良好に成形加工ができる。
【0113】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、導電性カーボンブラックを添加してもさせても差し支えない。導電性カーボンブラックの含有量としては、ポリアミド100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、3〜30重量がより好ましい。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、中でも良好な鎖状構造を有し、凝集密度が大きいものが好ましい。
【0114】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で通常のポリアミド樹脂やポリエステル系樹脂に用いられる充填剤、例えば三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、芳香族系ポリフォスフェート、複合ガラス粉末などの難燃剤、チタンホワイトやメタリック顔料などの着色剤、リン系熱安定剤やヒンダードフェノールに代表される熱安定剤、成形性改良剤、種々の可塑剤、耐候性向上剤や帯電防止剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0115】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、以下のように行った。
1.ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の特性
(1−1)アパタイト型化合物形成成分の含有量(重量%)
ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の配合量から算出した。
(1−2)アパタイト型化合物形成成分のリンに対する金属元素のモル比
アパタイト型化合物形成成分中の金属元素およびリンを定量し、モル比を算出した。
【0116】
(a)金属元素の定量:以下、金属元素としてカルシウムの場合につき説明するが、他の金属元素についても同様にして求めることができる。
アパタイト型化合物形成成分0.5gを白金皿に秤量し、500℃電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純水5mlを加えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却し、純水を加え500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長317.933nmにて定量した。
【0117】
(b)リンの定量:アパタイト型化合物形成成分0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)にて定量した。
【0118】
2.ポリアミド樹脂組成物の特性
(2−1)ポリアミドの重量平均分子量(Mw)
ポリアミド複合体を用いて、ゲルパーミッショクロマトグラフィー(GPC)により求めた。装置は東ソー(株)製HLC−8020、検出器は示差屈折計(RI)、溶媒はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、カラムは東ソー(株)製TSKgel−GMHHR−Hを2本とG1000HHRを1本用いた。溶媒流量は0.6ml/min、サンプル濃度は、1〜3(mgサンプル)/1(ml溶媒)であり、フィルターでろ過し、不溶分を除去し、測定試料とした。得られた溶出曲線をもとに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算により、重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0119】
(2−2)アパタイト型化合物の含有量の定量(重量部/100重量部ポリアミド)
ポリアミド複合体を100±20℃で8時間乾燥し冷却する。組成物を白金皿に1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含有量を定量した。
(2−3)アパタイト型化合物のリンに対する金属元素のモル比
アパタイト型化合物の金属元素およびリンを定量し、モル比を算出した。
【0120】
(a)金属元素の定量:以下、金属元素としてカルシウムの場合につき説明するが、他の金属元素についても同様にして求めることができる。
ポリアミド複合体を0.5gを白金皿に秤量し、500℃電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純水5mlを加えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却し、純水を加え500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長317.933nmにて定量した。
【0121】
(b)リンの定量:ポリアミド複合体を0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置はThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)にて定量した。
【0122】
(2−4)有機物量(重量部/アパタイト型化合物100重量部)
(a)アパタイト型化合物の分離操作:ポリアミド複合体を秤量し、90重量%フェノール200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器〔国産遠心器(株)製H103RLH〕を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。さらに200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行った。引き続き、99.5重量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操作をさらに4回繰り返した後、減圧乾燥器中で80℃で12時間乾燥し、目的のアパタイト型化合物を得た。
【0123】
(b)分離したアパタイト型化合物の熱減量率(X(重量部/アパタイト型化合物))測定:(2−4)の(a)で得られたアパタイト型化合物10mgを秤量し、熱重量分析(TGA)装置により熱減量率Xを求めた。装置は島津製作所製TGA−50、温度条件としては、30℃から550℃まで99.9℃/minで昇温後、550℃で1時間保持した。30℃における初期重量(W0)と、550℃で1時間保持した後の最終重量(W1)を用いて、下式により、有機物量を算出した。
熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=(W0−W1)×100/W1
【0124】
(c)有機物の定量:(2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物を3mg秤量し、以下の条件で熱分解クロマトグラフィー(GC)および熱分解GC/MSのパイログラムを得た。
【0125】
・熱分解
装置:フロンティア社ダブルショットパイロライザーPY−2010D
熱分解温度:550℃
・ガスクロマトグラフィー(GC)
装置:HEWLETTPACKARD社製HP−5890
カラム:J&W社製DURABONDDB−1
(0.25mmI.D.×30m、膜厚0.25μm)
カラム温度:50℃→320℃(昇温速度20℃/min)
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃
【0126】
・マススペクトル(MS)
装置:JEOL社製AutoMSSystemII
イオン化:EI(70V)
測定質量範囲:m/z=10〜400
温度:200℃
得られた熱分解GCのパイログラムを、保持時間2min未満と2min以上に分け、それぞれののピーク面積Sa(2min未満)とSb(2min以上)を算出し、(2−4)の(b)で求めた熱減量率Xを用いて、下式にて有機物の量を算出した。
有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=X・Sb/(Sa+Sb)
また、マススペクトル(MS)から熱分解成分の同定を行った。
【0127】
(2−5)赤外吸収スペクトル
(2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物の赤外吸収スペクトルを測定した。装置はPerkinElmer社製1640、分解能は4cm-1で測定した。
(2−6)X線回折によるアパタイト型化合物の生成の確認
(2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物のX線回折を測定した。測定条件は以下のとうりである。
【0128】
X線:銅Kα
波数:0.1542nm
管電圧:40KV
管電流:200mA
走査速度:4deg./min
発散スリット:1deg.
散乱スリット:1deg.
受光スリット:0.15mm
【0129】
3.成形品の作成および物性
成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹脂(株)製PS40E、シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定し、射出17秒、冷却20秒の射出成形条件で、成形品を得た。
(3−1)曲げ弾性率および曲げ強度(Mpa)
ASTM D790に準じて行った。
(3−2)引張強度(Mpa)および引張伸度(%)
ASTM D638に準じて行った。
(3−3)ノッチ付きIzod衝撃強度(J/m)
ASTM D256に準じて行った。測定温度は、23℃で行った。
【0130】
(3−4)荷重たわみ温度(℃)
ASTM D648に準じて行った。荷重は1.82Mpaで行った。
(3−5)吸水率(重量%)
ASTM D570に準じて行った。条件は、23℃の水中に24時間保持した後の重量変化で求めた。
【0131】
(3−6)成形収縮率(%)
厚み3mm、一辺130mmの金型を用いて射出成形し、得られた平板の寸法を測定し、成形収縮率を求めた
(3−7)そり量(mm)
厚み3mm、一辺130mmの金型を用いて射出成形した平板を水平面に置き、水平面との最大隙間間隔を測定した。
【0132】
【製造例1】
ポリアミド複合体(A)の製造:
50重量%のポリアミド形成成分(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)の水溶液を30Kg作製した。アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径1μmリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)の25重量%懸濁液を6Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=1.5Kg:4.5Kg)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウム(CaCO3)の25重量%懸濁液を2.32Kg(炭酸カルシウム:純水=0.58Kg:1.74Kg)用いた。カルシウムとリンとのモル比は、1.67と算出された。該ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイト型化合物形成成分の懸濁液とを、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。十分窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。
【0133】
この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77Mpaになるが、圧力が1.77Mpa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、更に約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止し、下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ポリアミド複合体(A)のペレットを得た。得られたポリアミド複合体(A)を評価した結果、重量平均分子量(Mw)は40000、アパタイト型化合物含有量は、ポリアミド100重量部に対して、11.4重量部であった。
【0134】
リンに対するカルシウムのモル比は1.67と算出された。10万倍の透過型電顕観察結果から、アパタイト型化合物の平均粒子径は85nmであった。90%フェノール水溶液により、溶出・分離操作を行い、得られたアパタイト型化合物を評価した結果、広角X線回折により、結晶性アパタイト型化合物の生成を確認できた。また該溶出・分離操作により得られたアパタイト型化合物の有機物の量は5.5(重量部/アパタイト100重量部)と算出された。また、熱分解GC/マススペクトルの解析結果から、アパタイト型化合物に残存する有機物の熱分解成分の1つとして、シクロペンタノンが確認された。さらに、赤外吸収スペクトルの観察から、約1548cm-1に有機物の存在を示すピークが確認された。
【0135】
【製造例2】
ポリアミド複合体(B)の製造:
50重量%のポリアミド形成成分(ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル塩)の水溶液20Kgを作製した。アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径1μmリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)の25重量%懸濁液を12Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=3Kg:9Kg)、および平均粒子径100nm軽質炭酸カルシウム(CaCO3)の25重量%懸濁液を4.64Kg(炭酸カルシウム:純水=1.16Kg:3.48Kg)用いた。
【0136】
該ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイト型化合物形成成分の懸濁液とを、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。十分窒素で置換した後、温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77Mpaになるが、圧力が1.77Mpa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約2時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、更に約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止し、下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ポリアミド複合体(B)を得た。
【0137】
【製造例4】
ポリアミド複合体(C)の製造:
50重量%のポリアミド形成成分(ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル塩1.2Kgとヘキメチレンジアミン・イソフタル酸等モル塩0.3Kgとの混合物)の水溶液を30Kg作製した。該ポリアミド形成成分を用いる以外は、実施例1と同様にして行い、ポリアミド複合体(D)のペレットを得た。
【0138】
【製造例4】
ポリアミド66の製造:
実施例1において、アパタイト形成成分を配合せず、ポリアミド形成成分のみを用いて重合を行い、ポリアミド66のペレットを得た。
【0139】
【製造例5】
ポリアミド複合体(D)の製造:
層状珪酸塩の一単位の厚みが平均的に95nmで、一辺の長さが約0.1μmのモンモリロナイト100gを10リットルの水に分散し、これに51.2gの12−アミノドデカン酸と24mlの濃塩酸を加え、五分間撹拌した後、ろ過した。更にこれを十分洗浄した後、真空乾燥し、12−アミノドデカン酸のアンモニウムイオンとモンモリロナイトとの複合体を調整した。この操作を繰り返し、約2Kgの12−アミノドデカン酸のアンモニウムイオンとモンモリロナイトとの複合体を得た。50重量%のポリアミド形成成分(ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル塩)の水溶液30Kgに、12−アミノドデカン酸のアンモニウムイオンとモンモリロナイトの複合体1.5Kgとを、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。その後の操作は実施例1と同様にして行い、ポリアミド複合体(D)のペレットを得た。
【0140】
以下に、本発明の実施例および比較例に使用したポリエステル系樹脂、耐衝撃改良材を記す。
1.ポリエステル系樹脂
ポリエステル(A):ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ(株)製 MA2103、以下PETと略す場合がある。)
ポリエステル(B):ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 1401−X06、以下PBTと略す場合がある。)
ポリエステル(C):ポリアリレート(ユニチカ(株)製Uポリマーグレード、U−100、以下PARと略す場合がある。)
2.耐衝撃改良材
耐衝撃改良材(A):変性エチレン・プロピレンランダム共重合体(エクソン化学(株)製EXXELOR UA1803、以下変性EPRと略す場合がある。)
耐衝撃改良材(B):エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体(住友化学(株)製 ボンドファーストE)
【0141】
【実施例1】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PETが40重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0142】
【実施例2】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PETが100重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0143】
【比較例1】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、製造例4のポリアミドを用いる以外は、実施例1と同様にして実施した。評価結果を表1に示す。
【0144】
【比較例2】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、ポリアミド複合体(D)を用いる以外は、実施例2と同様にして実施した。評価結果を表1に示す。
【0145】
【実施例3】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PBTが100重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
【0146】
【実施例4】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PARが100重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
【0147】
【比較例3】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、製造例4のポリアミドを用いる以外は、実施例3と同様にして実施した。評価結果を表2に示す。
【0148】
【比較例4】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、ポリアミド複合体(D)を用いる以外は、実施例4と同様にして実施した。評価結果を表2に示す。
【0149】
【実施例5】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PETが100重量部、および耐衝撃改良材(a)(変性EPR)と耐衝撃改良材(b)がそれぞれ5重量部、になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表3に示す。
【0150】
【実施例6】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、ポリアミド複合体(B)を用いる以外は、実施例5と同様にして実施した。評価結果を表3に示す。
【0151】
【実施例7】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、ポリアミド複合体(C)を用いる以外は、実施例5と同様にして実施した。評価結果を表3に示す。
【0152】
【実施例8】
ポリアミド複合体(A)中のポリアミド100重量部(ポリアミド複合体からアパタイト型化合物の含有量を差し引いた重量を100重量部とした。)に対して、PARが100重量部、および耐衝撃改良材(a)(変性EPR)と耐衝撃改良材(b)がそれぞれ5重量部、になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表3に示す。
【0153】
【比較例5】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、製造例4のポリアミドを用いる以外は、実施例5と同様にして実施した。評価結果を表4に示す。
【0154】
【比較例6】
ポリアミド複合体(A)の代わりに、ポリアミド複合体(D)を用いる以外は、実施例8と同様にして実施した。評価結果を表4に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【発明の効果】
本発明は、マトリックスであるポリアミド中に均一にかつ微細に分散し、その界面においてポリアミドに極めて良好に固着、接着しているアパタイト型化合物を含有するポリアミド複合体にポリエステル系樹脂を配合して成る熱可塑性樹脂組成物である。したがって、得られる成形体は従来に比較し、剛性、強度、耐衝撃性、耐熱性、吸水時の剛性や寸法安定性などに優れるという特徴を有するため、自動車外装・外板部品、自動車内装部品、自動車アンダーフード部品、二輪車用部品、家具用部品、OA機器分野用品、電子電器用部品、工業用部品など、各種用途に非常に有用であることが期待される。
Claims (4)
- ポリアミド形成成分と、リンに対する金属元素のモル比が1.5〜2.0であるリン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物との混合物からなり、平均粒子径にして0.001〜10μmであるアパタイト型化合物形成成分とを配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を進行させて得られるポリアミド複合体であって、該アパタイト型化合物が、アパタイト型化合物100重量部に対し0.5〜100重量部のフェノールに不溶な有機物を含有するアパタイト型化合物である該ポリアミド複合体に、ポリエステル系樹脂を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
- (C)ポリエステル系樹脂は、(a)芳香族ポリエステル樹脂、(b)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、(c)ポリアリレート樹脂、(d)液晶ポリエステルから選ばれるすくなくとも1つの樹脂から選ばれることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- アパタイト型化合物が、平均粒子径にして0.001〜1μmであることを特徴とする請求項1あるいは2記載のポリアミド樹脂組成物。
- (A)ポリアミド100重量部に対して、(B)アパタイト型化合物0.5〜300重量部、(C)ポリエステル系樹脂0.1〜300重量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
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