JP4562313B2 - 回転ダンパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転力を減衰するとともに、回転規制対象を所定の回転位置で停止させるための回転ダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転ダンパーとして、特開平8−24161号公報に記載されたものが従来から知られているが、その構造を示したのが、図8および図9である。この従来の回転ダンパーは、図面からも明らかなようにダンパー本体1にダンパー軸2を組み込むとともに、それらダンパー本体1とダンパー軸2とを一方に相対回転させたときには自由回転可能とし、他方に相対回転させたときにはダンピング効果が発揮されるようにしている。
【0003】
また、ダンパー本体1から突出したダンパー軸2には、それと一体回転するカラー3をはめ合わせるとともに、このカラー3の外周には軸凸部4を形成している。
さらに、上記カラー3を覆うようにしてキャップ5をダンパー本体1に固定するが、このキャップ5には、その周面に保持片6を形成している。この保持片6は、キャップ5の所定位置に切り込み状の空間5aを入れて形成したものであるが、その具体的な構成は、図9に示すとおりである。
【0004】
上記図9は、保持片6の断面図で、その基端6aはキャップ5と一体であり、その先端をフリー端とするとともに、そのフリー端の部分に保持凸部7を形成している。
上記のようにした保持片6は、キャップ5の所定箇所に切り込み状の空間5aを形成したものなので、図9に示すように、保持片は基端6aからフリー端に至るまで、その厚さを等しくしている。なぜなら、筒状のキャップ5の一部に切り込み5aを入れて保持片6を形成しているので、その厚さを等しくせざるを得ないからである。なお、キャップ5の内周に保持凸部7を形成することも、型で一体成形することがかなり難しいものとなっている。
【0005】
また、ダンパー軸2を矢印8方向に一定角度相対回転させると、ダンパー軸2の軸凸部4と保持片6の保持凸部7とが衝突するが、さらに両者を相対回転させると、軸凸部4は保持片6の弾性に抗して保持凸部7を押しのけて、その保持凸部7の部分を乗り越える。このように軸凸部4が保持凸部7を乗り越えれば、その乗り越えた位置でダンパー軸2は、矢印8とは反対方向の回転を規制される。
上記の状態から矢印8とは反対方向の回転力が作用すると、軸凸部4が、今度は上記とは反対方向から保持凸部7を乗り越えるので、回転規制力が解放される。
上記のようにした回転ダンパーは、矢印8方向の相対回転に対して自由回転とし、この矢印8とは反対方向の回転に対してダンピング効果を発揮するようにしている。
【0006】
このような回転ダンパーの用途として、例えば、洋式便器のフタや便座などの回動を規制する場合などが典型例である。つまり、洋式便器のフタは、それを開けるときには自由回転にして、手でスムーズに開けられるようにし、閉じるときにはダンピング効果を発揮させて、手を放してもゆっくり閉まるようにする。
また、洋式便器を男性用トイレとして使用するときには、便座もフタと同じようにほぼ90度立てた状態にするとともに、その便座が前に倒れないようにしなければならない。
このような洋式便器の機能を満足させるために、上記した回転ダンパーが多く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにした従来の回転ダンパーでは、保持片6の弾性を十分に維持していないと、軸凸部4が保持凸部7を乗り越えるとき、保持片6に作用する応力が基端6aに集中してしまい、保持片6が基端6a部分から折れてしまうということがあった。
そこで、保持片6の弾性を維持するために、その長さLを十分に長くすることも考えられる。確かに、長さLを十分に確保すれば、保持片6の弾性が保たれるが、それがあまり長すぎると今度は保持片6の剛性が足りなくなり、軸凸部4を押さえる力弱まって、回転規制力が発揮されなくなってしまう。
【0008】
つまり、回転規制力を確保しようとすると、保持片6がもろくなって簡単に折れてしまうし、保持片6のもろさを補おうとすると今度は回転規制力が弱くなってしまうというように二律背反的な関係にあった。
このような二律背反的な関係になってしまう背景には、キャップ5に切り込み状の空間を設けて保持片6を形成するという構造上の問題があった。つまり、キャップ5に上記のような保持片6を形成すると、保持片の形状を設計するときの制約条件が多くなりすぎる。例えば、樹脂形成の場合、保持片6の断面形状を複雑にすると、キャップ5を型から抜けなくなるなどである。
【0009】
この発明の目的は、保持片に弾性力と回転規制力の機能を発揮させるとともに、保持片の設計の自由度を確保した回転ダンパーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ダンパー軸とこのダンパー軸を挿入するケーシングとからなり、ダンパー軸とダンパー本体とを相対回転させてダンピング効果を発揮させる回転ダンパーを前提にする。
【0011】
第1の発明は、上記ダンパー軸を上記ケーシングに形成した軸孔で支持させるとともに、このダンパー軸に軸凸部を設、ケーシングには上記軸凸部に対応するダンパー軸の周囲において軸方向に突出した固定部を一体に設け、さらに軸方向に突出させた保持片の基端を上記固定部に一体的に設け、これら固定部及び保持片は上記軸凸部に対応したダンパー軸の周囲において周方向に連続し、かつ、上記保持片には上記基端から間隔を保った位置に保持凸部を一体に設け、上記保持片は、基端側の断面積に対して保持凸部側の断面積を小さくするとともに、断面積が大きい部分と小さい部分との境では無段階的に連続する構成にしダンパー軸とケーシングとを所定の角度相対回転させたとき、上記軸凸部が保持片の弾性に抗して保持凸部を押しのけて移動するとともに、その押しのけた位置で、ダンパー軸とケーシングとが原位置方向に回転するのを規制する一方、ダンパー軸とケーシングとを原位置方向に回転させる強制力が作用したとき、軸凸部が保持凸部を押しのけて原位置方向に回転可能にしたものである。
【0012】
なお、保持片の断面積は、その厚さと幅によって決まる。したがって、断面積を変化させようとした場合には、その厚さを薄くすることと、幅を狭くすることが考えられる。
また、上記保持片の断面積を大きくしたり、小さくしようとしたとき、上記厚さだけあるいは幅だけで調節してもよいし、これら厚さと幅とを組み合わせて調節してもよい。
【0014】
の発明は、ケーシングをダンパー本体とキャップとで構成するとともに、保持片を上記キャップに形成したものである。
第3の発明は、ケーシングをダンパー本体とキャップとで構成するとともに、保持片をダンパー本体に形成したものである。
第4の発明は、上記保持片は、円周方向の両側に基端を設け、これら両基端間における保持片の内周に保持凸部を設ける一方、ケーシングには上記固定部を個別に設け、これら固定部に上記両基端を一体的に設けたものである。
の発明は、上記保持片を周方向に複数配置したものである。
【0015】
第6の発明の保持片は、保持凸部の両側を平坦部としたものである。
の発明の保持片は、基端とは反対側である保持凸部部分をフリー端にしたものである。
第8の発明は、上記ダンパー軸とダンパー本体とを一方に相対回転させたとき自由回転し、他方に回転させたときダンピング効果が発揮される構成にし、上記軸凸部は、軸の円周方向における一方の側を緩傾斜部とするとともに、他方の側を急傾斜部とし、ダンパー軸が自由回転時に、上記軸凸部の緩傾斜部が上記保持凸部を乗り越える構成にしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示した第1実施例は、ケーシングCをダンパー本体11とキャップ13とで構成し、ダンパー本体11にダンパー軸12を挿入するとともに、ダンパー本体11をキャップ13でふさいでいる。そして、このキャップ13には軸孔14を形成し、上記ダンパー軸12をこの軸孔14から外方に突出させている。
なお、図中符号15はボルトで、キャップ13をダンパー本体11に止めるためのものである。
また、ダンパー本体11内には、図示していない従来公知のダンパー機構を設けているが、このダンパー機構は、ダンパー本体11とダンパー軸12とを一方に相対回転させたとき自由回転となり、他方に相対回転させたときダンピング効果を発揮する構成にしている。
【0017】
上記のようにしたキャップ13の軸孔14の周囲には、図2に示すように、基端16aをキャップ13と一体にした一対の保持片16、16を設けている。この保持片16、16は、周方向に連続するとともに軸方向に突出させている。つまり、保持片16、16は、キャップ13の外側に突出させている。
このように保持片16、16をキャップ13の外側に突出させているので、このキャップ13を保持片16、16とともに型で一体成形するときにも、その型を抜きやすくなる。このように型を抜きやすくできるので、保持片16、16の形状設計の自由度が大きくなる。
【0018】
このように保持片16、16の形状設計の自由度が大きくなっているので、この実施例では、保持片16、16の断面形状を図3に示すようにしている。すなわち、保持片16、16の基端16a側を、軸方向に突出させた固定部20を介してキャップ13と一体的に固定するとともに、その先端側をフリー端にしている。そして、上記基端16aとは反対端である保持片16、16の先端に保持凸部17、17を形成している。
上記のように、保持片16、16をキャップ13に設けることによって、ケーシングC全体の形成が容易になる。なぜなら、複雑な形状であるダンパー本体11に保持片16、16を設けることとすると、このダンパー本体11の形状はより一層複雑になり、ケーシングC全体が複雑になるおそれがある。しかし、キャップ13は、ダンパー本体11ほど複雑な形状ではないので、上記保持片16、16を設けやすく、しかも、ケーシング11全体の形状も複雑になることがない。
【0019】
さらに、上記保持片16、16は、基端16aから保持凸部17、17に向かってその厚さを徐々に薄くして、保持凸部17、17に向かってその断面積を小さくしている。このように保持片16、16の断面積を保持凸部17、17に向かって小さくすることによって、保持凸部17、17の近辺での弾性を維持している。
ここで、上記保持凸部17、17での弾性を維持するために、上記保持片16、16、およびこの保持片16、16を設けたキャップは、その材質を樹脂にすることが望ましい。樹脂にすることによって、上記保持片16、16に弾性を持たせることができるだけでなく、キャップ全体の型形成を容易にすることもできる。
【0020】
また、保持片16、16は上記のように、保持凸部17、17に向かって厚さを徐々に薄くしているが、厚い部分と薄い部分とを無段階的に連続させている。このように厚さを徐々に薄くして厚い部分と薄い部分とを無段階的に連続させたのは、保持片16の特定箇所に応力が集中するのを避けるためである。
【0021】
一方、ダンパ軸12の外周にも、上記保持凸部17、17に対応する軸凸部18、18を形成している。そして、この軸凸部18、18は、図3からも明らかなように、その一方の側を緩傾斜部18aとし、他方の側を急傾斜部18bとしている。上記緩傾斜部18aはダンパー軸12が自由回転時に保持凸部17を乗り越えやすいようにするためのものであり、急傾斜部18bは制御対象を所定の位置に確実に保持し続けられるようにするためのものである。
【0022】
次に、この第1実施例の作用を説明する。
ダンパー軸12を、自由回転方向である矢印19方向に相対回転させると、まず最初に緩傾斜部18aが保持凸部17の当たるとともに、その緩傾斜部18aの斜面に沿って保持凸部17を徐々に押しのけ、最終的には、軸凸部18が保持凸部17を乗り越える。このように軸凸部18が保持凸部17を乗り越えたところでは、急傾斜部18bが保持凸部17に当たった状態になるので、ダンパー軸12が矢印19と反対方向に回転するのを阻止する。言い換えると、ダンパー軸12とキャップ13との相対関係が維持される。
【0023】
上記の状態からダンパー軸12に矢印19とは反対方向すなわち回転規制方向の強制力を作用させると、今度は、急傾斜部18bが保持凸部17を押しのけて乗り越えるので、ダンピング効果を発揮させながらの相対回転が可能になる。
【0024】
上記のように軸凸部18が保持凸部17を乗り越えるときに保持片16が反り返るが、保持凸部17近辺の厚さを薄くしているので、その反り返るときの応力のほとんどは保持片16の弾性に吸収されてしまう。したがって、従来のように保持片6が反り返るときの応力がその基端6aに集中するといった問題は発生しない。つまり、保持片16の基端16aに応力が集中しにくいので、保持片16がこの基端16aから破断するようなことは一切なくなる。
【0025】
なお、保持片16の厚さは、この第1実施例のように保持凸部17に向かって徐々に薄くするのではなく、保持凸部17から基端16aに向かって、所定の長さ分だけ同じ薄さにし、そこから基端16a側に向かって厚さを厚くするようにしてもよい。ただし、この場合においても、応力の集中をさけるために、厚い部分と薄い部分とを無段階的に連続させることは必要である。
【0026】
いずれにしても、保持片16の厚さを、厚い部分と薄い部分とを設けるとともに、それら厚い部分と薄い部分とを無段階的に連続させることができたのは、保持片16をキャップ13の外側に突出させた構造的な要因が大きく寄与しいている。ただし、従来のようなキャップの所定位置に切り込み状の空間を入れて保持片16を形成した場合にも、例えば切削加工などによれば、保持片16の厚さを徐々に薄くすることは可能である。
したがって、発明としては、切削加工等によって、厚い部分と薄い部分を無段階的に連続させた保持片も含むものである。
【0027】
なお、この第1実施例では、保持片16の断面積を保持凸部17に向かって徐々に小さくするために、上記のように、保持片16の厚さを徐々に薄くするようにしている。しかし、保持片16の断面積を徐々に小さくするには、その厚さを薄くするだけではなく、その幅を狭くすることも考えられる。さらに、上記厚さを薄くして、幅を狭くすることによって、より一層保持片16の断面積を小さくすることができる。
要するに、保持片16の断面積を大きくしたり小さくしたりすることができれば、その厚さを変えても、その幅を変えても、それらを組み合わせてもよい。
【0028】
また、この第1実施例では、ダンパー軸12の突出側にキャップ13を設けたが、ダンパー本体11の底部側をキャップでふさぐようにしてもよい。このようにダンパー本体11の底部側をキャップでふさぐようにした場合には、このキャップの反対側にダンパー本体と保持片を一体形成しなければならない。
要するに、ケーシングCの軸穴周囲に保持片が突出していればよい。
【0029】
図4および図5に示した第2実施例は、その保持片16の内径部を真円状にして周方向において両端固定にしたものである。すなわち、保持片16の基端16aを、軸方向に突出させた固定部20を介してキャップ13に一体的に固定したものである。そして、この第2実施例では、両端固定の保持片16の固定部20を直径方向に対向させるとともに、この固定部20から90度回転させた位置に一対の保持凸部17を形成している。
【0030】
しかも、この保持凸部17から上記基端16aに向かって、その厚さを徐々に厚くしている。言い換えると、保持凸部17の両側の厚さを一番薄くするとともに、この薄いところから上記基端16aに向かって、その厚さを徐々に厚くしている。このように厚さを徐々に薄くして厚い部分と薄い部分とを無段階的に連続させ、保持片16の特定箇所に応力が集中するのを避けるようにしたのは、第1実施例の場合とまったく同様である。
【0031】
上記のようにした第2実施例では、軸凸部18が保持凸部17を乗り越えるときに、保持凸部17には図5に示すように2方向の分力が作用する。したがって、保持片16全体としては、上記分力の合成力の方向に弾性的に変形することになる。このように保持片16が合成力の方向に弾性的に変形して応力を吸収するので、基端16aに応力が集中するのを阻止することができる。
また、保持片16を両端固定にしておけば、その厚さをかなり薄くしても、強度的には十分に耐えられるし、軸凸部18に対する押さえつけ力も保つことができる。この理由を以下の計算式によって説明する。
【0032】
すなわち、上記軸凸部18に対する押さえつけ力をWとすると、このWは、次の式1で表すことができる。
W=(1/β)×(δmaxEI/)×l (式1)
上記式1において、βはたわみの係数であり、δmaxは最大たわみ、Iは断面二次モーメント、lははりとなる部分の全長を示す。
【0033】
上記式1において、保持片が両端固定になっていない第1実施例の場合には、β=1/3、l=Lとなる。これを上記式1に代入すると、式2のようになる。
W2=3δmaxEI/L (式2)
一方、この第2実施例のように保持片が両端固定になっている場合には、β=1/192、l=2Lとなる。これを上記式1に代入すると、式3のようになる。
W3=192δmaxEI/(2L) (式3)
【0034】
上記式2と式3とを比較して見ると、W2:W3=3:24=1:8となる。すなわち、両端固定になっていない保持片の押さえつけ力W2に比べて、両端固定になっている保持片の押さえつけ力W3は、8倍の押さえつけ力を有する。
このことから、保持片を両端固定にすることによって、その押さえつけ力が増大することがわかる。
【0035】
図6に示した第3実施例は、保持凸部17から長さHの範囲を、他のところよりも薄い同一厚さにしたもので、その他は第2実施例と同じである。このように長さHの範囲を他のところよりも薄い同一厚さにすることによって、その部分の弾性をさらに確保することができる。
【0036】
図7に示した第4実施例は、第2、3実施例と同様にその保持片16を周方向においてエンドレスにするとともに、保持凸部17の両側に平坦部16b、16bを設けたものである。
しかも、上記平坦部16b分は、その厚さを均一にして、しかも他の部分よりも一番薄くするとともに、この平坦部16bの両側におけるコーナー部16cを円弧状にしている。
【0037】
上記のようにした第4実施例では、保持片16の弾性を維持しながら、軸凸部18からの応力に対して、保持片16がこの応力を分散するように変形することができる。例えば、第2、3実施例の場合には、保持片16を真円状にしている。このように、真円状にすることによって、保持片16は変形しにくくなる。変形しにくい分だけ、軸凸部18からの応力の分散の効率が多少悪くなってしまう。応力の分散がうまくいかないと、軸凸部18が保持凸部17を乗り越えにくくなることもある。しかしながら、この第4実施例によれば、コーナー部16cの部分で保持片16が変形しやすいので、軸凸部18からの応力をより効率よく分散することができる。
また、保持片16が変形しやすいことによって、軸凸部18を乗り越えた後も、その押さえつけ力を十分に保つことができる。
【0038】
また、上記コーナー部16c、16cは、平坦部16b、16bと基端16a、16aとの間の厚さを無段階的に変化させている。つまり、平坦部16b、16bと基端16a、16aとの間を無段階的に連続させて応力が集中しないようにしている。
なお、第2〜第4実施例では、保持片16が前記合成力方向に変形するとき、その保持片の一部がダンパー軸12に接近することになる。したがって、ダンパー軸12と保持片16との間には、所定の間隔21を保っておかなければならない。なぜなら、その間隔21がないと、保持片16がダンパー軸13に接触してブレーキ作用を起こしてしまうからである。
【0039】
また、上記第2〜第4実施例のそれぞれは、保持片16のうち最も大きな力が作用する中央部分に保持凸部17を形成しているので、この部分の強度が十分に保たれることになる。つまり、これらの実施例では、保持凸部17が強度部材としても機能することになる。
さらに、上記各実施例においては、便器のフタや便座などの制御対象の必要回転角を維持できる範囲で複数の保持凸部17を、周方向に等間隔設けてもよい。
【0040】
【発明の効果】
の発明の回転ダンパーによれば、保持片の基端側の断面積に対して保持凸部側の断面積を小さくするとともに、断面積が大きい部分と小さい部分とを無段階的に連続させたので、保持片に作用する応力をその弾性によって吸収できる。したがって、保持部の基端に応力が集中するのを阻止でき、その基端が破断するのを防止できる。
【0041】
の発明の回転ダンパーによれば、キャップに保持片を設けたので、複雑な形状のダンパー本体に保持片を設けるときより、ケーシング全体の形成が容易になる。
4、6の発明は、保持片を、その両端を固定し、その内周に保持凸部を設けたので、その強度を保ちながら、ダンパー軸の軸凸部に対する押付け力も大きくすることができる。
【0042】
第8の発明の回転ダンパーによれば、一方向ダンパーにおいて、自由回転時にダンパー軸の軸凸部が保持凸部を乗り越えやすいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】要部を断面にした全体図である。
【図2】第1実施例のキャップの斜視図である。
【図3】第1実施例の要部の断面図である。
【図4】第2実施例のキャップの斜視図である。
【図5】第2実施例の要部の断面図である。
【図6】第3実施例の要部の断面図である。
【図7】第4実施例の要部の断面図である。
【図8】従来の回転ダンパーの分解斜視図である。
【図9】従来の回転ダンパーの要部の断面図である。
【符号の説明】
11 ダンパー本体
12 ダンパー軸
13 キャップ
14 軸孔
16 保持片
16a 基端
16b 平坦部
17 保持凸部
20 固定部
C ケーシング

Claims (8)

  1. ダンパー軸とこのダンパー軸を挿入するケーシングとからなりこれらダンパー軸とケーシングとを相対回転させてダンピング効果を発揮させる回転ダンパーにおいて、上記ダンパー軸を上記ケーシングに形成した軸孔で支持させるとともに、このダンパー軸に軸凸部を設、ケーシングには上記軸凸部に対応するダンパー軸の周囲において軸方向に突出した固定部を一体に設け、さらに軸方向に突出させた保持片の基端を上記固定部に一体的に設け、これら固定部及び保持片は上記軸凸部に対応したダンパー軸の周囲において周方向に連続し、かつ、上記保持片には上記基端から間隔を保った位置に保持凸部を一体に設け、上記保持片は、基端側の断面積に対して保持凸部側の断面積を小さくするとともに、断面積が大きい部分と小さい部分との境では無段階的に連続する構成にし、ダンパー軸とケーシングとを所定の角度相対回転させたとき、上記軸凸部が保持片の弾性に抗して保持凸部を押しのけて移動するとともに、その押しのけた位置で、ダンパー軸とケーシングとが原位置方向に回転するのを規制する一方、ダンパー軸とケーシングとを原位置方向に回転させる強制力が作用したとき、軸凸部が保持凸部を押しのけて原位置方向に回転可能にした回転ダンパー。
  2. 上記ケーシングは、ダンパー本体とキャップとからなるとともに、固定部及び保持片を上記キャップに設けた請求項1記載の回転ダンパー。
  3. ケーシングは、ダンパー本体とキャップとからなるとともに、固定部及び保持片を上記ダンパー本体側に設けた請求項1記載の回転ダンパー。
  4. 上記保持片は、円周方向の両側に基端を設け、これら両基端間における保持片の内周に保持凸部を設ける一方、ケーシングには上記固定部を個別に設け、これら固定部に上記両基端を一体的に設けた請求項1〜3のいずれか1記載の回転ダンパー。
  5. 上記固定部及び保持片を周方向に複数配置した請求項1〜4のいずれか1に記載の回転ダンパー。
  6. 上記保持片は、保持凸部の両側を平坦部とした請求項4に記載の回転ダンパー。
  7. 上記保持片は、基端とは反対側である保持凸部部分をフリー端にした請求項1〜3のいずれか1に記載の回転ダンパー。
  8. 上記ダンパー軸とダンパー本体とを一方向に相対回転させたとき自由回転し、他方向に回転させたときダンピング効果が発揮される構成にし、上記軸凸部は、軸の円周方向における一方の側を緩傾斜部とするとともに、他方の側を急傾斜部とし、ダンパー軸が自由回転時に、上記軸凸部の緩傾斜部が上記保持凸部を乗り越える構成にした請求項1〜7のいずれか1に記載の回転ダンパー。
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