JP4560785B2 - イオン源,開孔形成方法 - Google Patents
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Description
ここで,図6〜図8を用いて,上記特許文献1に提案されたイオン源X2の概略構成について説明する。ここに,図6は上記イオン源X2の断面構造を示す模式断面図,図7は図6のA部拡大詳細図,図8は図6のB部拡大詳細図である。なお,図7中の破線は原料ガスの等圧力線分布であり,破線矢印Q1の方向(図7の下方向)に向かってその圧力が低下する様子を示しており,図8中の破線はイオン引出し電界の等電位線分布であり,破線矢印Q2の方向(図8の上方向)に向かって電位が低下する様子を示している。
図6に示すように,上記イオン源X2は,アノード電極2により,イオンビームを生成する略真空状態に維持されたイオンビーム生成室3と,原料ガスを上記イオンビーム生成室3内に導入するための原料ガス導入室4とに分けられている。即ち,上記アノード電極2が上記イオン源X2の内部空間を上記イオンビーム生成室3と上記原料ガス導入室4とに分ける内壁の役割を担う。
上記イオンビーム生成室3には,カソード電極5と,引き出し電極6とが配置される。上記カソード電極5には,例えば直流電源51により,上記アノード電極2に対して負の電位があたえられ,上記引き出し電極6には,直流電源61により,上記カソード電極5に対して負の電位が与えられる。これにより,上記アノード電極2と上記カソード電極5との間,上記カソード電極5と引き出し電極6との間に所定強度の電界が発生する。
上記カソード電極5及び上記引き出し電極6には引出開孔52及び開孔62がそれぞれ設けられており,上記カソード電極5の引出開孔52を通じて,上記カソード電極5の上記アノード電極2側のプラズマ発生領域10で生成されたプラズマ7からイオンが引き出され,上記引き出し電極6の開孔62からイオンが加速され放出される。
なお,上記アノード電極2には,例えばφ10〔μm〕程度の直径を有する微小開孔9が設けられており,上記原料ガス導入室4に導入された原料ガスは,上記微小開孔9を通じて,上記カソード電極5の引出開孔52に向かって上記イオンビーム生成室3側に上記原料ガスが高圧噴射される。この際に上記微小開孔9の噴射出口側で放電が生じ,この放電により噴射された原料ガスがプラズマ化される。
上記特許文献1に提案のイオン源X2においては,図7に示すように,上記アノード電極2に設けられた微小開孔9が縦断面略長方形状に形成されているため,微小開孔9のイオンビーム生成室3側の出口に向かうにつれて原料ガスの圧力が徐々に低下することになる(図7の等圧力線分布を参照)。ここに,図7の破線に示す等圧力線分布は,上記微小開孔9の口径が約φ10〔μm〕,上記アノード電極2の厚みが約100〔μm〕の場合(即ち,上記微小開孔9のアスペクト比が10の場合)の上記微小開孔9における原料ガスの圧力分布である。
上記プラズマ発生領域10近傍のガス圧を高めて,プラズマの発生効率を高めるためには,上記微小開孔9を大径化し,或いは原料ガス導入室4のガス充填圧力を高めるなどすることが考えられる。しかしながら,この場合は,原料ガスの噴射量が増大し,イオンビーム生成室3の真空度は低下することになるため,イオン引き出し効率が低下するという問題がある。
反対に,上記イオンビーム生成室3の真空度を高めるために,上記微小開孔9を例えばφ1〔μm〕程度の極小サイズにすれば,原料ガスの噴射量が抑制され,イオンビーム生成室3において高真空度を維持することができる。しかしながら,この場合は,上記プラズマ発生領域10が略真空状態となるため,上記プラズマ発生領域10において放電に必要なガス圧を確保することができず,プラズマの発生効率が低下するという問題が生じる。
このように,従来のイオン源X2では,上記微小開孔9が断面略長方形状に形成されているため,プラズマの発生効率とイオン引き出し効率の双方を満足することはできなかった。
また,生起したプラズマから効率よくイオンを引き出すためには,上記微小開孔9と引出開孔52を同軸上に形成(配置)する必要があるが,上記引出開孔52の口径は小さく,上記微小開孔9の口径はさらに小さいため,これらの開孔を同軸上に形成(配置)することは困難であった。そのため,上記各開孔の軸間に約50〔μm〕程度の軸偏差が生じていたが,従来は,このような軸偏差がイオン引き出し効率に与える悪影響を許容せざるを得なかった。
このように,高圧噴射される方向に向かって略先細り状に形成された微小開孔を上記アノード電極に設けることにより,イオン源の真空領域(イオンビーム生成室)の真空状態が高真空度に維持されている場合であっても,上記微小開孔の噴射出口における原料ガスの圧力を高圧状態に維持することができる。また,原料ガスが充填された空間(原料ガス導入室)の圧力が低い状態であっても,上記微小開孔の噴射出口に向かうにつれて上記原料ガスを放電可能な程度の高圧状態に高めることができる。即ち,上記プラズマ発生領域におけるガス圧を高くすると共に,イオン源の真空領域を高真空に維持することが可能となる。これにより,プラズマの発生効率とイオン引き出し効率との双方を向上させることができる。
また,上記形状に形成された微小開孔に対応する上記イオン引き出し開孔が,イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されていてもよい。これにより,プラズマ発生領域における電位の低下を軽減することができる。したがって上記カソード電極と上記引き出し電極間に生じた引出電界を比較的高電位に維持したままで生起されたプラズマの近傍にかけることが可能となり,プラズマからのイオン引き出し効率が向上される。
なお,上記微小開孔及び上記引き出し開孔のいずれか一方が上述した先細り形状或いは末広がり形状に形成されていてもよく,また,双方の開孔が上記した形状に形成されていてもよい。この場合でも,プラズマ発生効率及びイオン引き出し効率が向上され得る。
この場合,上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して一体化されておれば,上記各電極を個々に取り付けた場合のそれぞれの取付公差を吸収することができるため,上記微小開孔の中心軸と上記イオン引き出し開孔の中心軸との一致精度を高め,軸偏差を縮小することができる。また,このように一体化されることにより,上記アノード電極及び上記カソード電極をイオン源に容易に組み付けることができる。
なお,上記各電極の一体化は,上記アノード電極と上記カソード電極とを絶縁体を介して接合させることが考えられる。
なお,上記微小開孔の最小径の好ましい口径はφ10μm以下である。
即ち,本発明が,単結晶シリコンからなる上記アノード電極及び/又はカソード電極の開孔形成位置に所定のエッチング溶液を作用させることにより,上記単結晶シリコンの結晶方位毎にエッチング速度が異なる異方性を利用してエッチング方向に向かって略先細り状の開孔を形成する異方性エッチング法による開孔形成方法であれば上記アノード電極及び上記カソード電極に上記先細り形状或いは末広がり形状の開孔を容易に形成することが可能である。
また,カソード電極に設けられたイオン引き出し開孔が,イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されているため,上記カソード電極と上記引き出し電極間に生じた引出電界を比較的高電位に維持したままで生起されたプラズマの近傍にかけることが可能となり,プラズマからのイオン引き出し効率が向上される。
また,本発明を異方性エッチング法による開孔形成方法と捉えた場合は,上記アノード電極及び上記カソード電極に上記先細り形状或いは末広がり形状の開孔を容易に形成することが可能となる。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るイオン源X1の断面構造を示す模式断面図,図2は図1のC部拡大詳細図,図3は図1のD部拡大詳細図,図4はアノード電極とカソード電極の一体接合構造を示す部分断面図,図5は本発明の実施の形態に係る異方性エッチング法による開孔形成方法を説明する図である。なお,図2中の破線は原料ガスの等圧力線分布であり,破線矢印Q3の方向(図2の下方向)に向かってその圧力が低下する様子を示しており,図3中の破線はイオン引出し電界の等電位線分布であり,破線矢印Q4の方向(図3の上方向)に向かって電位が低下する様子を示している。
図1に示すように,上記イオン源X1は,上記した従来のイオン源X2(図6参照)と略同様に構成されており,高圧ガス部と高真空部とを隔離する内壁の役割を担うアノード電極2aと,該アノード電極2aによって二分されたイオンビーム生成室3及び原料ガス導入室4と,上記イオンビーム生成室3に配設されたカソード電極5a及び引き出し電極6とを有して概略構成されている。
また,上記アノード電極2a及び上記カソード電極5aそれぞれには微小開孔9a及び引出開孔52aが形成されている。
なお,前記した従来のイオン源X2(図6参照)の構成要素と同じ構成要素については該イオン源X2の構成要素と同符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記カソード電極5aには,直流電源51により,上記アノード電極2aに対して負の電位が印加されており,上記アノード電極2aと上記カソード電極5aとの間に所定強度の電界が発生している。また,上記引き出し電極6にも,直流電源61により,上記カソード電極5aに対して負の電位が与えられており,上記引き出し電極6と上記カソード電極5aとの間にも所定強度の電界が発生している。
図2の拡大詳細図に示すように,上記微小開孔9aの断面形状は,前記した従来のイオン源X2の微小開孔9とは異なり,上記原料ガス導入室4内に収容された高圧の原料ガス(He,Arなど)が上記微小開孔9aを通じて高圧噴射される方向(図1における下方向,以下「噴射方向」という)に向かって略先細り状に形成されている。具体的には,原料ガスの噴射出口9a−1の口径(即ち上記微小開孔9の最小径)がφ10〔μm〕程度に開口されており,そこから約55度のテーパ角がつけられて,図2に示すような略逆三角形状の断面形状に形成されている。このときの上記微小開孔9aの原料ガス導入室4側の開口9a−2の口径は約φ1mmに形成される。
なお,上記断面は略逆三角形状に限定されることはない。例えば,ガスの噴射方向に向かって上記微小開孔9aの断面が階段状に形成されており,段階的に先細り形状となるように形成されていてもよい。或いは,図2に示すように直線的なテーパー形状ではなく,例えばすり鉢状に弧を描きながら徐々に噴射後方へ向かって先細り形状に形成されていても別段かまわない。
このように,上記微小開孔9aの縦断面が噴射方向に向かって先細り形状の略逆三角形状に形成されているため,図2の等圧力線分布に示すように,微小開孔9a内の圧力分布は,原料ガスの等圧力線が上記微小開孔9aの噴射方向側へ湾曲した状態となる。即ち,上記微小開孔9aの噴射出口においても比較的高いガス圧が維持されることになる。また,上記先細り形状は,該先細り形状の先端に向かうにつれて上記原料ガスのガス圧力を徐々に高めるよう作用するため,上記原料ガス導入室4内の原料ガスが上記微小開孔9aを通って上記イオンビーム生成室3側へ高圧噴射されるに際して,上記微小開孔9aの先細り形状の先端に向かうにつれて上記原料ガスのガス圧力が徐々に高められる。これにより,例えば,原料ガスが充填された原料ガス導入室4の圧力が低い状態であっても,原料ガスを放電可能な程度の高圧状態に維持したまま上記微小開孔9aから噴射することが可能となる。即ち,イオンビーム生成室3の高真空度を低下させることなく上記プラズマ発生領域10におけるガス圧を高くすることができる。その結果,イオン引き出し効率を低下させることなくプラズマの発生効率を向上させることができる。
図3の拡大詳細図に示すように,上記引出開孔52aの縦断面形状は,該引出開孔52aを通じてイオンが引き出される方向(図1における矢印方向,以下「イオン引出方向」という)に向かって上記引出開孔52aが略末広がり状に形成されている。この点において,前記した従来のイオン源X2の引出開孔52とは異なる。具体的には,アノード電極2a側の開口52a−1の口径がφ20〔μm〕程度に形成されており,そこから所定角度のテーパ角がつけられて,図3に示すような略三角形状の断面形状に形成されている。このときの引き出し電極6側の開口52a−2の口径は約φ3〔mm〕程度に形成される。
上記開口52a−1の口径と前記微小開孔9aの噴射出口9a−1の口径との間には,或る一定の相関関係がある。この相関関係が維持された口径に上記開口52a−1及び上記噴射出口9a−1が形成されていれば,アノード電極2aとカソード電極5aとの間における原料ガスの滞留を軽減することが可能となる。本実施形態における上記各開口(開口52a−1及び噴射出口9a−1)の口径サイズは原料ガスの滞留を軽減し得る最適値の一例である。
もちろん,上述した口径サイズに限定されることはなく,例えば,上記噴射出口9a−1の口径がφ10〔μm〕の場合における上記開口52a−1の口径の望ましいサイズはφ10〔μm〕以上φ50〔μm〕以下であり,このときの上記開口52a−2の口径の望ましいサイズはφ2〔mm〕以上φ4〔mm〕以下である。なお,少なくとも,上記噴射出口9a−1の口径が引出開孔52aの開口52a−1の口径以下であれば,上記した原料ガスの滞留を適度に軽減することが可能である。
なお,上記引出開孔52aについても,上記微小開孔9aと同じように,段階的な末広がり形状,円弧形状などの様々な断面形状を適用することが可能である。
このような断面形状を有する上記引出開孔52aが設けられているため,図3の等電位線分布に示すように,上記カソード電極5aと上記引き出し電極6間に生じた引出電界の電位の等電位線が引出開孔52側(より具体的には引出開孔52aのアノード電極2a側)へ湾曲した電界が生じる。そのため,上記引出電界を比較的高電位に維持したままの状態でプラズマ7の近傍にかけることが可能となり,プラズマ7からのイオン引き出し効率が向上される。
また,上記アノード電極2a及び上記カソード電極5aの各電極は上述したように単結晶シリコンからなるシリコン基板で構成されているため,これらの電極の表面には,コンタクト抵抗(接触抵抗)を低減するためにタングステン等を蒸着させている。
このように各電極が一体化され,一の組立部品として構成されることで,本イオン源X1に各電極を個々に取り付ける従来法と較べて,上記アノード電極2a及び上記カソード電極5aを容易に組み付けることが可能となる。また,上記微小開孔9aの中心軸と上記引出開孔52aの中心軸との一致精度を高め,軸偏差を縮小することができるため,イオン引き出し効率の低下を防止することが可能となる。
上記噴射出口9a−1の口径が1.2×2.0〔μm〕(縦1.2〔μm〕,横2.0〔μm〕)の長方形状の微小開孔9aが設けられたアノード電極2aを用い,80〔L/sec〕のターボ分子ポンプ(真空ポンプ)で上記イオンビーム生成室3内のガスを排気し,上記原料ガス導入室4内のガス圧を0.12〔MPa〕に保った状態で,上記原料ガス導入室4から上記イオンビーム生成室3へ原料ガスを噴射させると,上記イオンビーム生成室3内の真空度Pは9.0×10-4〔Pa〕となることが実験結果で得られている。
ここで,イオンビーム輸送装置に適用される一般的なターボ分子ポンプとして排気速度500〔L/sec〕のものを用いて,上記イオンビーム生成室3内の真空度Pを1.0×10-2〔Pa〕未満に抑え,且つ上記原料ガス導入室4内のガス圧を0.10〔MPa〕程度に設定した場合を想定すると,上記真空度Pは次式(1)で表すことができる。なお,この式(1)では上記原料ガス導入室4内のガス圧が一定に保持されていることから流量コンダクタンスがガス圧力よって左右されず,また上記微小開孔9aのサイズが微小であるため流量コンダクタンスが微小開孔9aのガス噴射出口9a−1の面積S(ガス噴射出口9a−1の開口面積)に比例すると仮定している。
P=9.0*10-4+(1.3*10-3−9.0*10-4)*(80/500)*(0.1/0.12)*(S/1.2*2.0) ………(1)
この式(1)から,P<1.0×10-2〔Pa〕を満足するSの条件は,S≦4.1×10-10m2であることが導き出せる。ここで,S≦4.1×10-10m2を満たすためには,上記微小開孔9aのガス噴射出口9a−1の口径がφ10〔μm〕以下であることが必要であることが容易に理解できる。
もちろん,上記ガス噴射出口9a−1の口径はφ10〔μm〕以下であればいずれの値を採用してもよく,例えば,上記ガス噴射出口9a−1を約φ1〔μm〕或いはφ2〔μm〕の口径とすることも可能である。なお,上記ガス噴射出口9a−1の口径が約φ1〔μm〕の時の上記引出開孔52aの開口52a−1の口径の最適値は約φ2〔μm〕であり,上記ガス噴射出口9a−1の口径が約φ2〔μm〕の時の上記開口52a−1の口径の最適値は約φ4〔μm〕である。
このようなサイズとなるよう上記微小開孔9aが形成されておれば,上記イオンビーム生成室3内の真空度を高く保ち,且つ上記原料ガス導入室4内のガス圧を比較的低い圧力に設定することができる。
一般に,開孔を形成する手法としては,ドリル加工,放電加工などが挙げられるが,上記微小開孔9aのように口径が数μm〜10μmの開孔となると,機械的なドリル加工はもとより,上記放電加工によっても形成するのは困難である。ましてや,上記微小開孔9aのように,ガスの噴射方向に向かって先細り形状の開孔をある程度の厚みを有する電極に形成するのはさらに困難である。
しかしながら,本実施の形態では,上記アノード電極2aがシリコン基板で構成されていることに鑑みて,いわゆる異方性エッチング法を用いて上記微小開孔9aを形成する。即ち,単結晶シリコンに応じた所定のエッチング溶液をシリコン基板に作用させることにより,上記単結晶シリコンの結晶方位毎にエッチング速度が異なる異方性を利用してエッチング方向に向かって略先細り状の開孔を形成する。
シリコンはある種のエッチャント(エッチング溶液)を用いることによりエッチングに異方性が生じることが知られている。例えば,TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液をエッチャントとして用いた場合は,シリコン基板のSi(100)面に対するエッチング速度に対して,Si(111)面のエッチング速度が極めて遅いため,Si(100)基板を異方性エッチング法によりエッチングすると,4つのSi(111)からなる面でエッチングがほぼ停止する。そのため,エッチング速度の速いSi(100)のみがエッチングされ,結果として逆ピラミッド(逆四角錐)形状の窪みが上記シリコン基板に形成されることになる。このエッチングの際に,シリコン基板表面を覆う酸化膜などのマスクを利用して,ある特定の部分のみがエッチングされるように施すことで,上記ピラミッド形状の窪みは決まった大きさのSi(111)で形成されることになり,エッチングの終了判定も容易となり,容易に微細加工を実現することができる。
まず,図5(a)に示すように,シリコン基板20の一方の面(原料ガス導入室4側となる面)に熱酸化などで酸化膜(SiO2)21を形成する。
次に,図(b)に示すように,開孔を形成したい部分の上記酸化膜のみを除去する処理を行う。この除去処理は,例えば,上記酸化膜21上に,金属レジスト(半田・錫など)や有機レジスト(インク・フィルム)等のエッチングレジスト(フォトレジストともいう)を塗布し,上記開孔部分に対応する箇所のみに透光性を持たせるパターンが描かれたフォトマスクを用意し,このフォトマスクの上から上記酸化膜21に対して露光することにより行われる。このとき,光が当たった部分(即ち開孔を形成したい部分)が露光されて上記エッチングレジストが化学変化を起こし,上記酸化膜21が侵食される。即ち,光が当たった部分の酸化膜が除去されることになる。なお,上記フォトマスクに描かれたパターンを適宜変更することで,形成される微小開孔の深さや口径等を調整することができる。
図5(b)に示すように酸化膜を除去すると,続いて,前記したTMAH等のエッチャントを上記酸化膜が除去された部分に作用させてシリコンの異方性エッチングを行う。これにより,図5(c)に示す逆ピラミッド形状の開孔が形成される。
2,2a…アノード電極
3…イオンビーム生成室
4…原料ガス導入室
5,5a…カソード電極
6…引き出し電極
7…プラズマ
8…ポリイミドシート(絶縁材の一例)
9,9a…微小開孔
10…プラズマ発生領域
20…シリコン基板
21…酸化膜
52,52a…引出開孔
62…開孔
Claims (13)
- 微小開孔が設けられたアノード電極とイオン引き出し開孔が設けられたカソード電極との間に電圧を印加することにより,上記微小開孔から上記イオン引き出し開孔に向かって高圧噴射された原料ガスをプラズマ化してなるイオン源であって,
上記微小開孔が,上記原料ガスの高圧噴射される方向に向かって略先細り状に形成されてなることを特徴とするイオン源。 - 微小開孔が設けられたアノード電極とイオン引き出し開孔が設けられたカソード電極との間に電圧を印加することにより上記微小開孔から上記イオン引き出し開孔に向かって高圧噴射された原料ガスをプラズマ化すると共に上記イオン引き出し開孔からイオンを引き出してなるイオン源であって,
上記微小開孔が,上記原料ガスの高圧噴射される方向に向かって略先細り状に形成されてなり,
上記イオン引き出し開孔が,上記イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されてなることを特徴とするイオン源。 - 上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して一体化されてなる請求項1又は2のいずれかに記載のイオン源。
- 上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して接合されることにより一体化されてなる請求項3に記載のイオン源。
- 上記アノード電極及び/又は上記カソード電極が単結晶シリコンからなる請求項1〜4のいずれかに記載のイオン源。
- 微小開孔が設けられたアノード電極とイオン引き出し開孔が設けられたカソード電極との間に電圧を印加することにより上記微小開孔から上記イオン引き出し開孔に向かって高圧噴射された原料ガスをプラズマ化すると共に上記イオン引き出し開孔からイオンを引き出してなるイオン源であって,
上記イオン引き出し開孔が,上記イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されてなり,
上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して一体化されてなることを特徴とするイオン源。 - 微小開孔が設けられたアノード電極とイオン引き出し開孔が設けられたカソード電極との間に電圧を印加することにより上記微小開孔から上記イオン引き出し開孔に向かって高圧噴射された原料ガスをプラズマ化すると共に上記イオン引き出し開孔からイオンを引き出してなるイオン源であって,
上記イオン引き出し開孔が,上記イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されてなり,
上記アノード電極及び/又は上記カソード電極が単結晶シリコンからなることを特徴とするイオン源。 - 上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して一体化されてなる請求項7に記載のイオン源。
- 上記アノード電極と上記カソード電極とが絶縁体を介して接合されることにより一体化されてなる請求項6又は8のいずれかに記載のイオン源。
- 上記微小開孔及び上記イオン引き出し開孔が,該微小開孔の中心軸と該イオン引き出し開孔の中心軸とが略同軸上となるよう配設されてなる請求項1〜9のいずれかに記載のイオン源。
- 上記微小開孔の最小径がφ10μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載のイオン源。
- 上記請求項1〜11のいずれかに記載のイオン源に備えられたアノード電極及び/又はカソード電極に設けられる開孔を形成する開孔形成方法であって,
単結晶シリコンからなる上記アノード電極及び/又は上記カソード電極の開孔形成位置に所定のエッチング溶液を作用させることにより,上記単結晶シリコンの結晶方位毎にエッチング速度が異なる異方性を利用してエッチング方向に向かって略先細り状の開孔を形成することを特徴とする異方性エッチング法による開孔形成方法。 - 微小開孔が設けられたアノード電極とイオン引き出し開孔が設けられたカソード電極との間に電圧を印加することにより上記微小開孔から上記イオン引き出し開孔に向かって高圧噴射された原料ガスをプラズマ化すると共に上記イオン引き出し開孔からイオンを引き出してなるイオン源であって,上記イオン引き出し開孔が,上記イオンが引き出される方向に向かって略末広がり状に形成されてなるイオン源に備えられたアノード電極及び/又はカソード電極に設けられる開孔を形成する開孔形成方法であって,
単結晶シリコンからなる上記アノード電極及び/又は上記カソード電極の開孔形成位置に所定のエッチング溶液を作用させることにより,上記単結晶シリコンの結晶方位毎にエッチング速度が異なる異方性を利用してエッチング方向に向かって略先細り状の開孔を形成することを特徴とする異方性エッチング法による開孔形成方法。
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JP2005019388A (ja) * | 2003-06-04 | 2005-01-20 | Kobe Steel Ltd | イオン源 |
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JP2006260880A (ja) | 2006-09-28 |
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