JP2008234874A - 集束イオンビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビーム径を細く絞ることができ、しかも、イオンビーム電流を広い範囲にわたって変える。
【解決手段】内部にプラズマを維持して流すプラズマトーチ2をもったプラズマ発生器3と、プラズマトーチにトーチオリフィス4を介して連通され、トーチオリフィスから流れ出たプラズマを断熱膨張させて超音速流にする差動排気チャンバ5と、差動排気チャンバのトーチオリフィスとの対向位置に設けられ、超音速流とされたプラズマからイオンを引き出す引出しオリフィス6と、引出しオリフィスを通過したイオンを静電的に加速してさらに引き出す引出し電極7と、引出し電極から引き出したイオンを、イオン光学的操作を加えることで集束させて試料15に入射させるイオン光学系13と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、集束イオンビーム装置に関する。
集束イオンビーム装置は半導体デバイス等の微細加工や観察ならびに分析、フォトマスクの欠陥修正やTEM試料作成など、広く用いられている。集束イオンビーム装置では、イオン源として液体金属イオン源が広く用いられており、イオン元素としてはガリウムが一般に用いられている。
しかしガリウム液体金属イオン源を用いた集束イオンビーム装置では、加工面に照射された金属イオンは当初の役割を果たした後、処理すべき試料に対して不純物として残り、悪影響を及ぼす。例えばガリウムで汚染された半導体デバイスはリーク電流の増加や短寿命化の原因となるし、フォトマスクでは光透過率が低下する。
そこで、処理すべき試料に悪影響を及ぼさないイオン源として、特許文献1には、プラズマ噴流を抽出する開口を有するプラズマチャンバと、プラズマチャンバに連続して設けられるとともに、プラズマ噴流の一部を受け入れるための開口並びに活性反応ガスを抽出する開口を有する反応ガスチャンバとを備えるものが提案されている。
また、引用文献2には、イオン引き出し口近傍に発生するイオンシースの等電位面の湾曲を利用することで、イオンを引き出すイオン源が提案されている。
特開2006−66398号公報 特許3564717号公報
ところで、前記特許文献1に記載されたイオン源にあっては、プラズマ電位が発生するため、試料に照射するイオンビームにエネルギ拡がりが生じてしまい、ガリウム等の液体金属のイオン源を用いた場合に比べて、ビーム径が絞れず極微小の観察や加工ができないという問題があった。
また、集束イオンビーム装置におけるイオンビームは、例えば10pA以下〜10nA以上というように広い範囲にわたって電流を設定でき、かつ、細く絞られることが求められる。このためには、イオン源としては小さい面積から高い電流密度のイオンを引き出すことが必要となる。しかしながら、前記特許文献2に記載されたイオン源にあっては、基本的に、イオンシースの等電位面の湾曲を利用し、プラズマのイオンシースの厚さより小さい半径のイオン引出し開口からイオンを引き出す方式であるため、引き出せる電流範囲がある範囲に限られてしまう、また、高電流時にはビーム径を細く絞りきれないという問題があった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、ビーム径を細く絞ることができ、しかも、イオンビーム電流を広い範囲にわたって変えることができる集束イオンビーム装置を提供することである。
本発明の集束イオンビーム装置は、ビーム径を所定値以下に絞ったイオンビームを試料に照射して、前記試料の表面を観察または分析あるいは前記試料の表面に対して加工を行う集束イオンビーム装置であって、内部にプラズマを維持して流すプラズマトーチをもったプラズマ発生器と、前記プラズマトーチに連通され、前記プラズマトーチから流れ出たプラズマを断熱膨張させて超音速流にする差動排気チャンバと、前記差動排気チャンバの前記プラズマトーチとの対向位置に設けられ、超音速流とされた前記プラズマからイオンを引き出す引出しオリフィスと、前記引出しオリフィスを通過したイオンを静電的に加速してさらに引き出す引出し電極と、前記引出し電極から引き出したイオンを、イオン光学的操作を加えることで集束させて前記試料に入射させるイオン光学系と、を備えたことを特徴としている。
本発明の集束イオンビーム装置によれば、前述の特許文献に記載された技術と全く異なる方式によって、プラズマよりイオンを取り出している。すなわち、差動排気チャンバにてプラズマの超音速流を形成し、この超音速流からイオンを取り出す方式を採用している。このため、引き出せるイオンは、前記特許文献2に記載された技術のような、プラズマのイオンシースの厚さより小さい半径のイオン引出し開口からイオンを引き出すといった制限がなく、小さい面積から高い電流密度のイオンを引き出すことができる。
また、超音速流内で断熱膨張するため、イオンの温度を下げることができる。イオンの温度が低いと流れの方向に対して垂直方向の運動量ベクトルが小さい、すなわちビーム拡がりを起こす成分が小さくて流れが揃ったイオンを引き出すことができる。これにより、径の小さな集束イオンビームが作り易くなる。
本発明の集束イオンビーム装置では、前記プラズマ発生器が、誘導結合プラズマを発生させるものであって、前記プラズマトーチの回りに巻回されて高周波磁場を発生させるワークコイルと、前記ワークコイルに高周波電力を供給する高周波電源と、前記プラズマトーチにプラズマとなるためのガスを供給するプラズマガス供給手段とを有することが望ましい。
これにより、プラズマ発生器により発生する高温高密度の誘導結合プラズマから、有効にイオンを引き出すことができる。
本発明の集束イオンビーム装置では、前記プラズマトーチと前記差動排気チャンバは大気から遮断された状態で接続され、前記差動排気チャンバの内部は真空ポンプで排気されていることが望ましい。
これにより、空気の混入を防いで純粋なプラズマを生成することができる。また、プラズマトーチ内の圧力を大気圧以上に設定し、これにより、より密度の高いプラズマを生成することができる。さらに、プラズマトーチ内の圧力を高めることによって、プラズマトーチと差動排気チャンバとの圧力差をより大きく設定することができる。これにより、より高密度かつ高速の超音速流条件下で、イオンを引き出すことができる。
本発明の集束イオンビーム装置では、前記引出しオリフィスが、前記差動排気チャンバの内部に突き出た中空円錐状に形成されるとともに、中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの頂点に前記イオンを引き出すための開口が設けられ、中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの内部に前記引出し電極が配置されていることが好ましい。さらにまた前記引き出しオリフィスの頂点の角度は70から90度であることが好ましい。
この場合、引出しオリフィスを、差動排気チャンバの内部に突き出た中空円錐状に形成しているので、プラズマトーチから流れ出るプラズマの超音速流を乱すことがない。特に頂点の角度を70から90度にすると、超音速流の乱れは最小となる。
また、中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの頂点に前記イオンを引き出すための開口を設けているので、中心にある高速で直進性の高いイオンを引き出すことができる。また、中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの内部に前記引出し電極を配置しているので、引出しオリフィスと引出し電極との距離を短くすることができ、引出しオリフィスの開口から引き出されるイオンを、高い速度を保持したまま、引出し電極によってさらに加速することができる。
本発明の集束イオンビーム装置では、前記プラズマトーチと前記差動排気チャンバの間にトーチオリフィスを設置し、前記トーチオリフィスの直径が、前記プラズマ発生器で生成されるイオンシース厚の2倍以上の値に設定されていることが望ましい。
この場合、トーチオリフィスによりプラズマトーチの出口を絞ることにより、プラズマトーチ内の圧力を上げ、生成する超音速流の速度を上げる事ができる。またトーチオリフィスの径をイオンシース厚の2倍以上にする事により、プラズマは差動排気チャンバに流れ出る事が可能になる。その結果、トーチオリフィスからプラズマの超音速流を抽出することができる。
本発明の集束イオンビーム装置用では、前記トーチオリフィスが、アルミナ、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムで作製されていることが好ましい。
この場合、トーチオリフィスをアルミナ等の高融点の絶縁物で作製することにより、プラズマからトーチオリフィスを通じて電子が逃げることがなくなり、プラズマ電位が発生するのを防ぐことができる。その結果、エネルギ拡がりを抑えることができ、集束イオンビームを細く絞り易くなる。また放電を起こりにくくすることもできる。
本発明によれば、差動排気チャンバにてプラズマの超音速流を形成し、この超音速流からイオンを引き出すため、小さい面積から高い電流密度のイオンを引き出すことができる。また、超音速流内で断熱膨張するため、イオンの温度を下げることができ、これによって、拡がりが小さくて流れが揃ったイオンを引き出すことができる。
これらの結果、ビーム径を細く絞ることができ、しかも、広い電流範囲にわたってイオンビームを引き出すことができる。
以下、本発明に係る集束イオンビーム装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3は集束イオンビーム装置の実施形態を示しており、図1は装置全体の概略構成を示す図、図2はイオン源の要部の詳細を示す断面図、図3はトーチオリフィスの開口の詳細を示す断面図である。
図1において符号1はプラズマイオン源を示す。
プラズマイオン源1は、内部にプラズマを維持しつつ流出させるプラズマトーチ2を有するプラズマ発生器3と、プラズマトーチ2の下方に設けられ、プラズマトーチの下端に設けられたトーチオリフィス4を介してプラズマトーチと連通されて、トーチオリフィス4から流れ出たプラズマを断熱膨張させて超音速流にする差動排気チャンバ5と、差動排気チャンバ5の下面部であって、かつトーチオリフィス4との対向位置に設けられ、超音速流とされたプラズマからイオンを引き出す引出しオリフィス6と、引出しオリフィス6を通過したイオンを静電的に加速してさらに引き出す引出し電極7とを備える。
プラズマ発生器3は、誘導結合プラズマを発生させるものであって、前記プラズマトーチ2と、プラズマトーチ2を囲むように、その回りに巻回されて高周波磁場を発生させるワークコイル9と、ワークコイル9に高周波電力を供給する高周波電源10と、プラズマトーチ2にプラズマとなるためのガス、例えば、アルゴンガス、キセノンガス、または酸素ガス等を供給するプラズマガス供給手段11とを有する。
ここで、プラズマトーチ2として、内径が1mm程度の石英管が用いられる。また、トーチオリフィス4は、アルミナ、酸化マグネシウム、または酸化カルシウム等の高融点の絶縁材料によって作製される。
差動排気チャンバ5は、真空ポンプ12によって排気されることにより、内部が所定の真空圧に保持される。また、差動排気チャンバ5とプラズマトーチ2を連通するトーチオリフィス4は大気から遮断されており、したがって、差動排気チャンバ5とプラズマトーチ2はその内部が大気から隔離されている。
引出し電極7から引き出されたイオンはビームの形で出射され、イオン光学系13によってイオン光学的操作を加えられて集束され、集束イオンビームIとして試料15に照射される。試料15は移動ステージ16の上部に載置され、移動ステージ16によって互いに直交するX・Y方向へ移動調整される。
イオン光学系13は、引出しオリフィス6側から試料15側に向けて順に、コンデンサーレンズ17、絞り18、アライナ19、対物レンズ20、偏向器21を備える。
コンデンサーレンズ17は、引出し電極7から引き出されたイオンビームIを集束させるものであり、例えば、通常3枚の電極で構成されたアインツェルレンズからなる。絞り18は通過するイオンビームIを絞り込むものである。また、アライナ19は、略円筒状に配列された複数の電極によって例えば2段に構成され、それぞれの電極に独立して電圧を印加することで、通過するイオンビームIの光軸のずれを修正するものである。
対物レンズ20は、上方から照射されイオンビームIを、最終的に試料15上に集束させるものであり、コンデンサーレンズ17と同様、3枚の電極で構成されたアイツェルレンズからなる。偏向器21は、例えば、円筒を4分割されたそれぞれの電極に電圧を印加し、発生する電界によってイオンビームIの軌道を曲げ、試料15上におけるビーム照射位置を、互いに直交するX方向及びY方向へ自在に走査させるものである。
また、試料15にイオンビームが照射される際、試料15からは二次電子Eが放出されるが、この放出される二次電子Eを二次電子検出器22により検出することで、試料15の表面を観察することができるようになっている。
前記試料15及び移動ステージ16は、所定の真空度まで減圧可能な真空チャンバ23内に収納される。なお、差動排気チャンバ5と、真空チャンバ23との間には絶縁材24が介在され、両者は電気的に絶縁される。そしてプラズマイオン源1と試料15の間には5kV〜50kV程度の電位差がかけられる。この電位差によってイオンビームは加速され、イオン源のエネルギ拡がりの影響を相対的に減らし、イオンビームIをより細く絞れるようにする。
また、符号25はバルブを示す。
図2に示すように、前記引出しオリフィス6は、差動排気チャンバ5の内部に突き出るよう、頂点の角度が70度〜90度程度に設定された中空円錐状に形成されるとともに、中空円錐状に形成された引出しオリフィス6の頂点には、イオンを引き出すための開口6aが形成されている。開口6aの直径は、例えば0.1mm以下に設定される。
ここで、トーチオリフィス4、引出しオリフィス6、引出し電極7は、ともに同軸状に配置される。
また図3に示すように、プラズマPとトーチオリフィス4の間にはプラズマシース25が生成する。プラズマシース25の厚さをDs、トーチオリフィス4の径をDHとしたとき、DHはDsの2倍以上の値に設定されている。これについては、後ほど詳しく述べる。
次に、上記構成の集束イオンビーム装置の作用について説明する。
プラズマ発生器3では、ワークコイル9に高周波電源10から周波数100MHzで10W〜200W程度の電力が供給されて、高温高密度のプラズマPが生成される。この場合、電子温度は4000K〜10000K、電子密度は1015個/cm3〜1016個/cm3程度である。誘導結合プラズマでは、ワークコイル9が作る高周波磁場で電子やイオンが振動したり衝突して電離することによって、プラズマが維持される。プラズマ供給手段11からはプラズマガスとして、例えば、アルゴンガスやキセノンガス等が0.05l/min〜2l/min程度供給される。
ここで、プラズマトーチ2内の圧力は大気圧もしくはそれ以上に設定され、差動排気チャンバ5内の圧力は、真空ポンプ12によって100Pa〜2000Pa程度まで下げられる。この圧力差のため、プラズマトーチ2内で生成したプラズマPは、差動排気チャンバ5内で断熱膨張してプラズマの超音速流Fを形成する。
トーチオリフィス4を通して、プラズマの超音速流Fが形成されるには、以下の2つの条件を満たす必要がある。
図3に示すように、一つは、トーチオリフィス4の直径DHがイオンシース25のシース厚さDSの2倍以上の値に設定されること、言い換えれば、イオンシース25のシース厚さDSが、トーチオリフィス4の内径(直径)DHの1/2以下になることである。DH/2<DSだとトーチオリフィス4がイオンシース25で塞がってしまい、プラズマPはトーチオリフィス4を通過できなくなる。そして超音速流の相がプラズマでなくなってしまう。他の条件は、生成したプラズマPがトーチオリフィス4を連続流として通過することである。ここで、連続流とはガス分子がトーチオリフィス4を通過する際に何回も衝突する状態を言う。いま、プラズマガスの平均自由行程λとすると、ガスの流れを特徴づける指標であるクヌーセン数Knは、
Kn = λ/DH
の式で与えられる。連続流となる条件はKn<0.01を満たすことである。連続流の条件を満たすことにより、プラズマが断熱膨張する過程でイオンや中性粒子は加速されてマッハ5〜20程度の超音速流となる。
ここで、前記トーチオリフィス4は、アルミナ、酸化マグネシウム、または酸化カルシウム等の高融点の絶縁物で作製されている。このため、プラズマPからトーチオリフィス4を通じて電子が逃げることがなくなり、プラズマ電位が発生するのを防ぐことができる。その結果、エネルギ拡がりを抑えることができ、また放電を起こりにくくすることができる。
また、この実施形態では、プラズマトーチ2と差動排気チャンバ5が大気から遮断された状態で接続されており、しかも、差動排気チャンバ5の内部は真空ポンプ12で排気されている。このため、プラズマトーチ2内では、空気の混入を防いだ純粋なプラズマを生成することができる。また、プラズマトーチ2内の圧力を大気圧以上に設定することができ、これにより、より密度の高いプラズマを生成することができる。さらに、プラズマトーチ2内の圧力を高めることによって、プラズマトーチ2と差動排気チャンバ5との圧力差をより大きく設定することができ、これによって、より高密度かつ高速の条件下で、イオンを引き出すことが可能となる。
超音速流内では断熱膨張のために、イオン温度はプラズマトーチ2内での温度より大幅に低くなる。ただし、電子温度はプラズマトーチ2内にある電子の温度とあまり変わらない。この状態は集束イオンビーム装置用のイオン源として好ましい。なぜならイオン温度が低い事はビーム拡がりを起こす成分が小さくてイオンビームを細く絞り易い事を意味し、電子温度が高い事(或いは下がらない事)は、イオン化率が維持されて「明るいイオン源」である事を意味するからである。
そして、この抽出されたプラズマの超音速流Fの内部に引出しオリフィス6が位置することとなる。引出しオリフィス6は頂点の角度が70度〜90度の中空円錐状に形成されており、これによって、超音速流を乱すことがない。ちなみに、超音速流が乱されると、バレルショックと呼ばれる高温高密度の状態ができ、引出しオリフィス6の構成材がイオンビームに混入して汚染したり、イオン温度が上昇してイオンビームを絞り難くしたり、あるいは引出しオリフィス6の寿命が短くなる等の不具合が生じる。
また、この実施形態では、中空円錐状に形成された引出しオリフィス6の頂点にイオンを引き出すための開口6aを設けているので、中心にある高速で直進性の高いイオンを引き出すことができる。さらに、中空円錐状に形成された引出しオリフィス6の内部に引出し電極7を配置しているので、引出しオリフィス6と引出し電極7との距離を短くすることができる。なお、引出し電極7の印加電圧は、引出しオリフィス6に対して−100V〜−300V程度とする。これによって、引出しオリフィスの開口6aを通過したイオンを、空間電荷効果(イオン同士が互いの電荷によって反発し合う効果)によってイオンビームの径が拡がる前に、引出し電極7の作る電界によって引出すことができる。
引出し電極7から引き出されたイオンビームIは、その後イオン光学系13で5keV〜50keV程度所定のエネルギに加速される。このとき、イオン光学系13内にある絞り18の径を調整することにより、イオンビーム電流を変更することができる。
以上により、本発明による集束イオンビーム装置によれば、ビーム径を0.1μm以下に絞りながら、イオンビーム電流を10pA以下から10nA以上に広く変えることができる。
なお、本発明の技術範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、プラズマ発生器3として誘導結合によりプラズマを生成する例を挙げているが、これに限られることなく、マイクロ波誘導プラズマのような他の方式でプラズマを生成する場合にも、本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、集束イオンビームIを照射する鏡筒のみを有しているが、これに限られることなく、集束イオンビームを発生させる鏡筒のほかに電子ビーム鏡筒や気体イオンビーム鏡筒を備える複合的な集束イオンビーム装置にも本発明は適用可能である。
本発明に係る集束イオンビーム装置の実施形態の全体構成を示す概略図である。 イオン源の要部の詳細を示す断面図である。 トーチオリフィスの開口の詳細を示す断面図である。
符号の説明
1 プラズマイオン源
2 プラズマトーチ
3 プラズマ発生器
4 トーチオリフィス
5 差動排気チャンバ
6 引出しオリフィス
6a 引出しオリフィスの開口
7 引出し電極
9 ワークコイル
10 高周波電源
11 プラズマガス供給手段
12 真空ポンプ
15 試料

Claims (7)

  1. ビーム径を所定値以下に絞ったイオンビームを試料に照射して、前記試料の表面を観察または分析あるいは前記試料の表面に対して加工を行う集束イオンビーム装置であって、
    内部にプラズマを維持して流すプラズマトーチをもったプラズマ発生器と、
    前記プラズマトーチに連通され、前記プラズマトーチから流れ出たプラズマを断熱膨張させて超音速流にする差動排気チャンバと、
    前記差動排気チャンバの前記プラズマトーチとの対向位置に設けられ、超音速流とされた前記プラズマからイオンを引き出す引出しオリフィスと、
    前記引出しオリフィスを通過したイオンを静電的に加速してさらに引き出す引出し電極と、
    前記引出し電極から引き出したイオンを、イオン光学的操作を加えることで集束させて前記試料に入射させるイオン光学系と、
    を備えたことを特徴とする集束イオンビーム装置。
  2. 前記プラズマ発生器が、誘導結合プラズマを生成するものであって、
    前記プラズマトーチの回りに巻回されて高周波磁場を発生させるワークコイルと、
    前記ワークコイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
    前記プラズマトーチにプラズマとなるためのガスを供給するプラズマガス供給手段とを有することを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム装置。
  3. 前記プラズマトーチと前記差動排気チャンバは大気から遮断された状態で接続され、
    前記差動排気チャンバの内部は真空ポンプで排気されていることを特徴とする請求項1または2記載の集束イオンビーム装置。
  4. 前記引出しオリフィスが、前記差動排気チャンバの内部に突き出た中空円錐状に形成されるとともに、中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの頂点に前記イオンを引き出すための開口が設けられ、
    中空円錐状に形成された前記引出しオリフィスの内部に前記引出し電極が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集束イオンビーム装置。
  5. 前記プラズマトーチと前記差動排気チャンバの間にトーチオリフィスを設置し、
    前記トーチオリフィスの直径が、前記プラズマ発生器で生成されるイオンシース厚の2倍以上の値に設定されていることを特徴する請求項2に記載の集束イオンビーム装置。
  6. 前記トーチオリフィスが、アルミナ、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムで作製されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の集束イオンビーム装置。
  7. 前記引出しオリフィスの頂点の角度が70度〜90度の範囲に設定されていることを特徴とする請求項4記載の集束イオンビーム装置。
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