JP2010205446A - イオン源 - Google Patents
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Abstract
【課題】より弱い電界でイオン原料ガスを電界電離してイオン化することができるイオン源を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、イオンビームを照射するためのイオン源10であって、容器20内に供給されたイオン原料ガスをラジカル化する誘電体バリア放電手段40を備え、この誘電体バリア放電手段40は、第1の電極23b及びこの第1の電極23bに対向する第2の電極42と、これら第1及び第2の電極23b,42間に印加するための交流電源43とを有し、第1及び第2の電極23b,42の少なくとも一方が誘電体で被覆され、これら第1及び第2の電極23b,42は、容器20内において当該容器20内に供給されたイオン原料ガスが第1及び第2の電極23b,42間を通過したあと電界電離電極23の先端部周辺に供給されるような位置に配置されることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、イオンビームを照射するためのイオン源10であって、容器20内に供給されたイオン原料ガスをラジカル化する誘電体バリア放電手段40を備え、この誘電体バリア放電手段40は、第1の電極23b及びこの第1の電極23bに対向する第2の電極42と、これら第1及び第2の電極23b,42間に印加するための交流電源43とを有し、第1及び第2の電極23b,42の少なくとも一方が誘電体で被覆され、これら第1及び第2の電極23b,42は、容器20内において当該容器20内に供給されたイオン原料ガスが第1及び第2の電極23b,42間を通過したあと電界電離電極23の先端部周辺に供給されるような位置に配置されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、高輝度のイオンビームを利用した、表面物理分析装置や半導体製造の検査装置、欠陥リペア装置用イオンプローブ、イオン注入、イオンビーム露光、イオンビーム堆積、イオンビームエッチング、イオンビーム描画、走査イオン顕微鏡等に用いられる微小径イオンビーム発生用のイオン源に関する。
従来、半導体工業等の分野では、サブミクロン以下に集束したイオンビームのイオン源としては、一般に、液体金属イオン源が用いられていた。この液体金属イオン源からは、高輝度のイオンビームを得ることができる。しかし、例えば、ガリウムを用いた液体金属イオン源から得られるイオンビームでは、スパッタリング効果が大きく、照射される物質表面へのダメージが大きい。そのため、分析用途に用いるには問題があった。また、照射した金属イオンが物質中に残留する等の問題もあった。
そこで、このような問題を避けるためにヘリウムやアルゴン等の不活性ガスや酸素を用いてイオンビームを得ることが考えられ、ガス相の電界電離型イオン源が利用され始めた。図3に示されるように、この電界電離型イオン源300は、先端が尖った針状の電界電離電極323と、中央部に孔322が設けられた板状の引出電極340を有する容器320とを備える。電界電離電極323は、先端を前記孔341に向けて、且つ照射するイオンビームのビーム軸K’に沿うように前記容器320内に配置されている。一方、引出電極340は、中央部の孔341の中心が前記イオンビームのビーム軸K’と一致し、且つこのイオンビームのビーム軸K’に直交するように配置されている。また、容器320には、外部から不活性ガスや酸素等のイオン原料ガスを供給する供給管330が接続されている。電界電離電極323と引出電極340との間には電位差が生じるように印加用電源360及びアース362がそれぞれ接続されている(特許文献1参照)。
このようなイオン源300において、針状の電界電離電極323が、その先端部半径を1nm〜100nm程度となるように尖らされ、容器320内の圧力が10-1Pa程度となるようにイオン原料ガスが供給される。そして、この電界電離電極323の先端部周辺に強電界(例えば、5〜50V/nm程度の電界)が形成されるように、電界電離電極323に対して印加する。このように構成されることで、針状の電界電離電極323の先端部周辺のガス分子は、当該電界電離電極323の先端部周辺に形成された強電界での電界電離現象によりイオンと電子とに分離される。このように分離されたイオンを引出電極340の孔341から容器320外に引き出すことで、前記不活性ガスや酸素の集束イオンビームが得られる。
しかし、上記のようなガス相の電界電離型イオン源300でイオン原料ガスをイオン化するには、針状の電界電離電極323の先端部周辺に前記強電界(例えば、5〜50V/nm程度の電界)を形成する必要があった。電界電離電極323の先端部周辺に上記のような強電界を形成するためには、電界電離電極323に対して通常20〜30kV以上の電圧を印加する必要がある。そのため、印加用電源360を備えるイオン源300に必要な絶縁対策も複雑なものとなる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、より弱い電界でイオン原料ガスを電界電離してイオン化することができるイオン源を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、イオンビームを照射するためのイオン源であって、微小開孔を有し、外部からイオン原料ガスが供給される容器と、前記イオンビームのビーム軸方向に沿って延びると共に先端が尖り、この先端を前記微小開孔に向けて若しくは前記先端を前記微小開孔から外部に僅かに突出させるように前記容器内に配置される電界電離電極と、前記電界電離電極の先端と対向するように前記容器の外部に配置される引出電極と、この引出電極と前記電界電離電極との間に電圧を印加することにより、前記電界電離電極の先端部周辺に強電界を形成し、この強電界によって前記微小開孔から噴出するイオン原料ガスを電界電離してイオン化し、このイオン化されたイオン原料ガスを前記引出電極に引き出させる印加用電源と、前記容器内に供給されたイオン原料ガスをラジカル化する誘電体バリア放電手段と、を備え、この誘電体バリア放電手段は、第1の電極及びこの第1の電極に対向する第2の電極と、これら第1及び第2の電極間に印加するための交流電源とを有し、前記第1及び第2の電極の少なくとも一方が誘電体で被覆され、前記第1及び第2の電極は、前記容器内において当該容器内に供給されたイオン原料ガスが当該第1及び第2の電極間を通過したあと前記電界電離電極の先端部周辺に供給されるような位置に配置されることを特徴とする。
かかる構成によれば、誘電体バリア放電が行われている第1及び第2の電極間を通ることによりイオン化エネルギーの低いラジカル(活性種)の状態にされた、即ち、ラジカル化されたイオン原料ガスが電界電離電極の先端部周辺に形成された強電界中に供給されることにより、ラジカル化されていないイオン原料ガスを電界電離してイオン化する場合に比べ、より低い電圧でイオン化されイオンビームを得ることができる。その理由は、以下のとおりである。
図4に示されるように、金属表面に強電界Fが加わると、ガス分子の電子のポテンシャルエネルギーは、金属表面からの距離xに比例してeFxだけ上側に移り、高さがI、幅がI/eFを持った三角形状で近似できるポテンシャル障壁ができる(eは電子の電荷、Fは電界の強さ、Iはイオン化エネルギー)。この幅(=Δx=I/eF)が不確定性原理を満足する程度、
であれば、原子内の電子は、トンネル効果を示す。ここで、hはプランク定数、Δpは運動量の不確定性量である。
この(3)式から分かるように、トンネル効果により電子が前記ポテンシャル障壁を通過してガス分子から分離し、このガス分子がイオン化するのに必要な電界強度Fは、Iの値が小さいほど小さくなる。即ち、ガス分子のイオン化エネルギーが小さいほど、電界電離現象による分子のイオン化が起こり易くなる。従って、前記電界電離電極の先端部周辺にイオン化エネルギーの小さなガス分子(イオン原料ガス)を供給することができれば、上記問題を解消することができる。
しかも、イオン原料ガスのラジカル化された状態は所定の寿命を有するが、第1及び第2の電極間でラジカル化されたイオン原料ガスは、当該第1及び第2の電極が容器内に配置されているため、すぐに電界電離電極の先端部周辺に供給されてイオン化されるため、効率良くイオン化が行われる。
本発明に係るイオン源においては、前記第2の電極が前記電界電離電極の周囲に配置され、この第2の電極の内側で且つ前記電界電離電極の外側の領域に前記誘電体バリア放電が行われる領域を形成するのが好ましい。
かかる構成によれば、誘電体バリア放電が行われる領域(誘電体バリア放電領域)と強電界がその周囲に形成される電界電離電極の先端部とが近いため、第2の電極の内側で且つ電界電離電極の外側の誘電体バリア放電領域でラジカル化されたイオン原料ガスが当該領域を通過してすぐに電界電離電極の先端部周辺に形成される電界電離のための強電界中に供給されるため、より効率よくイオン化が行われる。
前記のように電界電離電極の周囲に第2の電極が配置される場合、前記電界電離電極は、前記第1の電極を兼ねる電極基部と、この電極基部の先端から前記ビーム軸に沿って延びると共に前記尖った先端を含む強電界形成部とを有し、前記第2の電極は、前記電極基部の周囲に配置されるのがより好ましい。
かかる構成によれば、第1の電極を電界電離電極の一部(電極基部)が兼ねることで、構成を簡素化することができる。
前記電界電離電極では、電極基部が前記ビーム軸を中心とする円筒状の外周面を有すると共に、前記強電界形成部が前記ビーム軸を中心に軸対称の外周面を有し、前記第2の電極は、前記電極基部の外周面と同心状に当該電極基部を囲む円筒状の内周面を有する筒状電極であるのが好ましい。
かかる構成によれば、電界電離電極の先端部周辺にビーム軸を中心に軸対称若しくは略軸対称の強電界が形成され、この強電界中に前記ビーム軸の周方向において偏りなくラジカル化されたイオン原料ガスが供給されるため、効率よくイオン原料ガスのイオン化が行われる。
詳細には、強電界形成部が形成する電界電離のための強電界は、誘電体バリア放電手段の電極(即ち、電極基部と第2の電極と)が形成する電界によってその対称性を乱されない、若しくはごく僅かしか乱されない。即ち、誘電体バリア放電手段の電極が形成するイオン原料ガスをラジカル化する電界だけに着目すると、このラジカル化のための電界は、電極基部の外周面及び第2の電極の内周面の中心軸(ビーム軸)を中心にして軸対称に形成される一方、強電界形成部によってその周囲に形成される電界電離のための電界(強電界)だけに着目すると、この電界は、強電界形成部の外周面の中心軸(ビーム軸)を中心にして軸対称に形成される。そのため、前記の誘電体バリア放電手段の電極が形成する電界と強電界形成部が形成する電解電離のための電界との合成電界は、ビーム軸を中心に軸対称、若しくは略軸対称に形成される。また、電極基部の外周面と第2の電極の内周面とが同心状の円筒状であるため、互いの間隔は周方向において一定となり、これにより両電極間をイオン原料ガスが前記周方向において偏りなく流れることができる。その結果、ビーム軸を中心に軸対称若しくは略軸対称の強電界が形成されている強電界形成部(電界電離電極)の先端部周辺に、電極基部と第2の電極との間を通過することによりラジカル化されたイオン原料ガスが電界電離電極の周方向において偏りなく供給されるため、効率よくイオン原料ガスのイオン化が行われる。
しかも、電極基部の外周面と第2の電極の内周面との間隔がビーム軸方向においても一定となるため、誘電体バリア放電のビーム軸方向における偏りが抑制され、電極基部と第2の電極との間で効率よくイオン原料ガスのラジカル化が行われる。
誘電体バリア放電手段の電極が電界電離電極の一部と筒状電極とで構成される場合、前記電界電離電極は、前記強電界形成部が前記第2の電極よりも前記イオンビームの照射方向に突出するような長さを有するのがより好ましい。
かかる構成によれば、強電界形成部が第2の電極の内周面に囲まれた領域から前記照射方向に突出するため、強電界形成部の先端部周辺に形成される強電界が第2の電極の電位の影響を受け難くなり、当該強電界の電界強度の低下が抑制される。
また、前記電極基部の外周面は、前記ビーム軸方向において前記第2の電極の内周面と同じ長さを有し、前記電界電離電極は、前記強電界形成部の外径よりも前記電極基部の外径が大きくなるように形成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、電極基部の外周面及びこれを囲む第2の電極の内周面の周方向の長さが大きくなることにより誘電体バリア放電が行われる部位の面積が大きくなって誘電体バリア放電領域が増大する。そのため、当該誘電体バリア放電領域を通過するイオン原料ガスが増加しイオン原料ガスのラジカル化がより効率よく行われる。しかも、電界電離電極は、強電界形成部の外径が小さくその先端が尖っているため、先端部周辺に強電界を形成し易い。
前記第2の電極は、前記内周面と同心状の外周面を有する円筒状電極であり、前記容器は、その内周面が前記筒状電極の外周面に接するような内径を有するのが好ましい。
かかる構成によれば、容器の内周面と筒状電極(第2の電極)の外周面との間の空間をなくすことができ、これにより容器の小型化を図ると共に容器内での筒状電極の径方向の位置決めが容易になる。
前記容器にイオン原料ガスを供給する原料ガス供給手段を備え、この原料ガス供給手段は、イオン原料ガスの供給量を制御するための供給量制御手段を有するのが好ましい。
かかる構成によれば、供給量制御手段によって容器に供給されるイオン原料ガスの量を制御することが可能となり、これにより所望の電流量のイオンビームを容易に得ることができる。
前記微小開孔は、イオン化された原料ガスの引き出し方向に向って先細り形状であるのが好ましい。
かかる構成によれば、容器に供給されて微小開孔から噴出するイオン原料ガスが、微小開孔先端部での絞り効果により電界電離電極の先端部周辺で高圧となる。そのため、前記微小開孔先端部と前記微小開孔の噴出側との圧力勾配がより急となり、効率よくイオン原料ガスがイオン化されると共にイオン化されたイオン原料ガスが雰囲気ガスと衝突する確率、即ち、イオン消滅確率を低くすることができる。
内部を真空にすることができる真空容器を備え、この真空容器の内部に前記容器と前記引出電極とが配設されるのが好ましい。
かかる構成によれば、真空容器内を真空にすることによって容器の外側が真空領域となるため、容器から噴出するイオン原料ガスの前記微小開孔先端部と前記微小開孔の噴出側とではより急激な圧力勾配が発生する。そのため、電界電離電極の先端周辺でイオン化されたイオン原料ガスが引き出される際に、前記イオン消滅確率をより低くすることができる。尚、本発明において、真空とは、真空に近い状態も含む。
以上より、本発明によれば、より弱い電界でイオン原料ガスを電界電離してイオン化することができるイオン源を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るイオン源は、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスや酸素からなるイオン原料ガスを電界電離し、高輝度のイオンビームを得るためのイオン源である。図1に示されるように、イオン源10は、微小開孔22を有し、外部からイオン原料ガスが充填(供給)される容器20と、この容器20にイオン原料ガスを供給するガス供給管(原料ガス供給手段)30と、容器20内に配置される電界電離電極23と、容器20内に配置され、当該容器20内に供給されるイオン原料ガスを誘電体バリア放電によりラジカル(活性種)化する誘電体バリア放電電極(以下、単に「DBD電極」とも称する。)41と、容器20の前方に配置される引出電極50と、を備える。また、イオン源10は、真空容器11を備え、前記の容器20、電界電離電極23、DBD電極41及び引出電極50が、その内部に配設されている。さらに、電界電離電極23と引出電極50とには、電界電離電極23の先端部周辺に強電界を形成するための印加用電源60が接続されている。尚、本実施形態において、照射されるイオンビームの照射方向を前方(又は先端側)とする(図1においては下方向)。
容器20は、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスや酸素などの常温で気体状態のイオン原料ガスが充填される容器であり、絶縁体で形成されている。本実施形態では、容器20は、アルミナセラミクスで形成されているが、ジルコニウム系セラミクスやガラス等で形成されてもよい。この容器20は、後端が開口する容器本体20aと、この容器本体20aの後端開口をイオン原料ガスが供給される通路を残して塞ぐ蓋部20bとで構成されている。これら容器本体20aと蓋部20bとにより囲まれる容器20の内部には、イオンビームのビーム軸K方向に沿って延びると共に先端が尖った電界電離電極23が配置される。この電界電離電極23は、先端が微小開孔22に向くように容器20の蓋部20bに取り付けられている。本実施形態において電界電離電極23は、その先端が微小開孔22から容器20の外側へ5μm程度突出するように容器20内に配置されている。また、容器20の内部には、電界電離電極23の所定の部位と共にDBD電極41を構成する円筒状電極(第2の電極)42も配置される。
具体的に、容器本体20aは、前方が容器先端部21によって塞がれた円筒状に形成されている。容器先端部21は、イオンビームのビーム軸Kと直交する方向に拡がる板状の部位であり、その中央部(ビーム軸Kと交差する位置)に、容器20内にイオン原料ガスが充填されることでこのイオン原料ガスが噴出する微小開孔22が設けられている。容器本体20aは、ビーム軸Kと直交する断面が円形となる内周面120を有する。この内周面120は、前方側の部位120aよりも後方側の部位120bの方が内径が大きくなるように形成され、前方側の部位120aと後方側の部位120bとの境界位置には径方向の段差が形成されている。この内周面120の後方側の部位120bには、容器本体20aの後端開口から円筒状電極42が当該円筒状電極42の中心軸とビーム軸Kとが一致する姿勢で挿入される。このとき、円筒状電極42は、その先端が内周面120の前記段差に当接するまで挿入される。
蓋部20bには、供給されるイオン原料ガスが通過可能な貫通孔121が設けられ、この貫通孔121からイオン原料ガスを容器20内に供給可能に原料ガス供給管30が接続されている。この蓋部20bは、容器本体20aの後端開口を塞ぐように配設され、容器本体20aに対してネジNによって締結されている。
微小開孔22は、容器20の内部に配設された電界電離電極23の中心軸(イオンビームのビーム軸K)にその中心を一致させ、容器20の内部と外部とを連通するように容器先端部21に設けられている。この微小開孔22は、容器20内にイオン原料ガスが充填されることでこのイオン原料ガスを容器20の外部へ噴出するための孔であり、内部から外部に向かって、即ち、イオンの引き出し方向に向かって先細りに形成されている。具体的に、微小開孔22は、先端側に向かって径が小さくなるテーパ形状に形成されている。本実施形態においては、微小開孔22の小径側(容器20の外面側)の孔径は、20μmであり、孔の長さ(容器先端部21の厚さ)は、0.5mmである。尚、微小開孔22の小径側の孔径と、容器先端部21の厚さとは、前記の値に限定されない。例えば、微小開孔22の小径側の孔径は、5〜100μmでもよく、この場合、容器先端部21の厚さは、0.01〜1mmが好ましい。
原料ガス供給管30は、容器20内に供給したイオン原料ガスがDBD電極41を構成する一対の電極間23b,42を通過するように蓋部20bに接続されている。この原料ガス供給管30の上流側には、容器20に供給するイオン原料ガスの供給量を制御するための供給量制御手段31が設けられている。
電界電離電極23は、誘電体バリア放電に用いられる部位である電極基部23bと、この電極基部23bの先端からビーム軸Kに沿って延びると共に当該電界電離電極23の尖った先端を含む強電界形成部23aとからなる。これら強電界形成部23aと電極基部23bとは、それぞれの中心軸がビーム軸K上に位置するように強電界形成部23aを前にして前後に並んでいる。これら強電界形成部23aと電極基部23bとでは、強電界形成部23aの外径よりも電極基部23bの外径の方が大きい。本実施形態では、電界電離電極23は、強電界形成部23aと電極基部23bとが別々に形成され、これらが接続されることにより電界電離電極23が一体に形成されるが、強電界形成部23aと電極基部23bとが一体成型によって形成されてもよい。
強電界形成部23aは、電界電離電極23において、イオン原料ガスを電界電離してイオン化するためにその周辺に強電界を発生させるための小径部位である。強電界形成部23aは、ビーム軸Kを中心に軸対称の外周面を有する。本実施形態では強電界形成部23aは、タングステンで形成され、長さが5mm、直径が0.2〜1mmの細線であり、先端部(テーパ部)が先細りのテーパ形状となっている。このテーパ部は、その先端半径が50nmとなるように電界研磨により形成される。尚、強電界形成部23aの素材は、タングステンに限定されず、イリジウム等の金属やシリコン、又はそれらを含む合金、若しくはそれらに貴金属、高融点金属、高融点金属の炭化物若しくは窒化物等でコーティング処理を施したものであってもよい。
電極基部23bは、電界電離電極23において、誘電体バリア放電を行うための大径の部位であり、誘電体で被覆されている。電極基部23bは、ビーム軸Kと同心状の円筒状の外周面を有する。この電極基部23bは、後端が容器20の蓋部20bに接続される。本実施形態では、電極基部23bは、SUSで形成され、外径が3〜5mmの円筒形の外周面を有し、その表面には厚さが0.5〜1mmのセラミックの誘電体被膜fが施されている。この誘電体(セラミック被膜f)の誘電率は9程度である。尚、電極基部23bの素材は、SUSに限定されず、アルミや銅等であってもよい。
この電極基部23bは、誘電体バリア放電手段40の一部を構成する。誘電体バリア放電手段40は、イオン原料ガスをラジカル(活性種)化するためのものであり、DBD電極41と、このDBD電極41に交流電圧を印加するための交流電源43とを備える。
DBD電極41は、誘電体バリア放電を行うための電極であり、第1の電極23b及びこの第1の電極23bに対向する第2の電極42との一対の電極からなる。本実施形態では、DBD電極41は、第1の電極を兼ねる電極基部23bと、この電極基部23bの周囲に配置される円筒状電極(第2の電極)42とにより構成される。このようにDBD電極41の一部を電極基部23b(電界電離電極23)が兼ねることで、イオン源10の構成を簡素化することができる。
円筒状電極42は、電極基部23b(電界電離電極23)を同心状に囲う円筒状に形成されている。即ち、円筒状電極42は、ビーム軸Kと同心状の円筒状の内周面及び外周面を有する円筒状の電極である。この円筒状電極42は、その表面を誘電体により被覆されている。本実施形態では、円筒状電極42は、電極基部23bと同様にSUSで形成され、その表面には厚さが0.5〜1mmのセラミックの誘電体被膜fが施されている。この誘電体(セラミック被膜f)の誘電率も電極基部23bと同様に9程度である。尚、円筒状電極42の素材は、SUSに限定されず、アルミや銅等であってもよい。
円筒状電極42の外周面は、容器本体20aの内周面120の後方側の部位12bに対応する外径を有し、且つ後方側の部位120bに対応するビーム軸K方向の長さを有する。即ち、容器本体20aの後端開口から容器本体20a内部に円筒状電極42を挿入し、その先端が内周面120の段差に当接したときに、円筒状電極42の後端が容器本体20aの後端と同じ位置となる。そのため、容器本体20aに円筒状電極42が挿入された後、蓋部20bによって後端開口が塞がれることにより、円筒状電極42が容器20内部に位置決め・固定される。このとき、内周面120の後方側の部位120bと円筒状電極42の外周面(誘電体の被膜を含む)とが全周に亘って接した状態となることで、円筒状電極42は、電極基部23b(電界電離電極23)と同心状となる位置に位置決めされる。このとき、電極基部23bの外周面と円筒状電極42の内周面との間隔(ギャップ)は、1mm程度であり、誘電体バリア放電(無声放電)が行われる放電領域Dを形成する。
円筒状電極42のビーム軸K方向の長さは、電極基部23bと同じ長さである。そのため、円筒状電極42と電界電離電極23とが容器20内部に配設されたときに、ビーム軸K方向において、強電界形成部23aが円筒状電極42よりもイオンビームの照射方向に突出した状態となる。具体的に、本実施形態では、円筒状電極42の先端よりも電界電離電極23の先端(強電界形成部23aの先端)が前方に5mm程度突出した状態となる。
交流電源43は、電極基部23b(電界電離電極23)と円筒状電極42との間に交流電圧を印加するための交流電源である。本実施形態では、交流電源43は、電極基部23bと円筒状電極42との間に1〜20kHz、1kV程度の交流電圧を印加する。
引出電極50は、電界電離電極23の先端部(強電界形成部23a)周辺に強電界を発生させ、当該強電界によってイオン原料ガスをイオン化すると同時に、このイオン化されたイオン原料ガスをイオンビームとして引き出す役目を担う。この引出電極50は、ステンレス製の板状の電極で、イオンビームの通過するイオンビーム通過孔51が中央に設けられている。このように構成される引出電極50は、容器20の前方側に電界電離電極23の先端と対向するように配置されている。即ち、引出電極50は、中央に設けられたイオンビーム通過孔51の中心が微小開孔22の中心と同一直線上(イオンビームのビーム軸K上)に位置するように配置されている。
印加用電源60は、電界電離電極23(詳細には強電界形成部23a)と引出電極50との間に電圧を印加するための電源である。この印加用電源60は、直流電源であり、引出電極50に対して電界電離電極23が5k〜20kV程度(本実施形態の場合、20kV)の正電位を印加する。
真空容器11は、いわゆる真空チャンバーであり、真空ポンプ12が設けられた排気管13が接続されている。この真空容器11の内部は、イオン源10の作動時において、接続された真空ポンプ12によって内部の空気が排気され、高真空状態に保たれる。
以上のように構成されるイオン源10では、以下のようにしてイオンビームが照射される。
真空容器11内が真空ポンプ12によって真空引きされ、高真空状態(10−5〜10−7Pa程度)となる。そして、原料ガス供給管30を通じて容器20内にイオン原料ガス(本実施形態においては、ヘリウム)が供給される。このとき、容器20内の圧力が1Pa〜100Paとなるように供給量制御手段31により容器20内へのイオン原料ガスの供給量を調整する。本実施形態においては、10Paとする。このように容器20に供給されるイオン原料ガスの量を調整することにより、容器20内の圧力を一定に保つことが容易にでき、これにより電界電離電極23の強電界形成部23aの周辺においてイオン原料ガスの安定したイオン化が行われ、安定したイオンビームが得られる。
具体的に、前記イオン原料ガスは、容器20内に供給されてラジカル化される。詳細には、イオン原料ガスは、原料ガス供給管30から蓋部20bの貫通孔121を通じて容器20内に供給される。この容器20内に供給されたイオン原料ガスは、電極基部23bと円筒状電極42との間隙、即ち、放電領域D内に導入される。その際、両電極23b,42間には、交流電源43によって前記所定の交流電圧が印加されている。これにより、電極基部23bと円筒状電極42との間に連続した微小放電である誘電体バリア放電(無声放電)領域Dが形成される。このように、誘電体バリア放電領域Dが形成された両電極23b,42間を通過することにより、イオン原料ガスはラジカル化される。
このようにしてラジカル化されたイオン原料ガスは、励起した準安定状態で強電界形成部23aの周辺に供給される。ここで、10Pa程度のガス圧力下では、ヘリウムの準安定状態での平均自由工程は2mm程度であるため、イオン原料ガスは、励起した準安定状態のまま強電界形成部23a周辺に形成された強電界内に殆ど消滅することなく移動し、この強電界により電界電離されてイオン化される。このようにイオン化されたイオン原料ガスは、引出電極50によってイオンビームとして引き出される。
詳細には、容器20内のDBD電極41でラジカル化されたイオン原料ガスが強電界形成部23a周辺に供給される際に、引出電極50に対して、強電界形成部23aは10kV程度の電圧が印加されている。これにより、強電界形成部23aの周辺(特に、強電界形成部23aの先端近傍)に強電界が形成される。
そして、ラジカル化されたイオン原料ガスが微小開孔22から外部に噴出される際に、この強電界中を通過し、その際、電界電離現象によってイオン原料ガスがイオン化される。このイオン化されたイオン原料ガスが強電界形成部23aと引出電極50との間の電位差によって引出電極50側に引き出され、イオンビームが形成される。このイオンビームは、引出電極50の中央に設けられたイオンビーム通過孔51を通過して照射される。
このとき、強電界形成部23aの周辺でイオン原料ガスをイオン化するのに必要な電界強度は、上記の(3)式から、ヘリウムラジカルを用いた場合、I=4.7eV程度であることから、eF≒4V/nmとなる。これに対し、ヘリウムを用いた場合に必要な電界強度は、I=24.5eVとするとeF≒60V/nmとなる。このように、ヘリウムラジカルを用いることで、ヘリウムを用いる場合に比べ15分の1程度の低い電界強度で電界電離現象を起こすことが可能となる。
以上のように、本実施形態に係るイオン源10では、誘電体バリア放電手段40のDBD電極41(電極基部23b及び円筒状電極42)の電極間を通ることによりラジカル化されたイオン原料ガスが強電界の形成されている強電界形成部23aの先端部周辺に供給されることにより、ラジカル化されていないイオン原料ガスを電界電離してイオン化する場合に比べ、印加用電源60の電圧をより低くしてもイオンビームを得ることができる。その結果、イオン源10において、必要な電源サイズを小さくして運転電力を小さくすることが可能となると共に、簡易な絶縁構造とすることが可能となる。
しかも、イオン原料ガスのラジカル化された状態は所定の寿命を有するが、電極基部23b及び円筒状電極42が容器20内に配置されているため、これら電極間でラジカル化されたイオン原料ガスは、すぐに強電界形成部23aの先端部周辺に供給されてイオン化されるため、効率良くイオン化が行われる。
具体的に、円筒状電極42が電界電離電極23の周囲に配置され、この円筒状電極42の内側で且つ電界電離電極23の外側の領域に誘電体バリア放電領域Dが形成されるため、この誘電体バリア放電領域Dと、強電界がその周囲に形成される強電界形成部23aとが互いに近接している。そのため、誘電体バリア放電領域Dでラジカル化されたイオン原料ガスが当該領域Dを通過してすぐに強電界形成部23aの周辺に形成される電界電離のための強電界中に供給され、これにより効率よくイオン化が行われる。
電界電離電極23では電極基部23bがビーム軸Kを中心とする円筒状の外周面を有すると共に強電界形成部23aがビーム軸Kを中心とする円筒状の外周面を有し、円筒状電極42が電極基部23bの外周面と同心状に当該電極基部23bを囲む円筒状の内周面を有することで、電界電離電極23の先端部周辺にビーム軸Kを中心に軸対称若しくは略軸対称の強電界が形成され、この強電界中にビーム軸Kの周方向において偏りなくラジカル化されたイオン原料ガスが供給されるため、効率よくイオン原料ガスのイオン化が行われる。
詳細には、強電界形成部23aが形成する電界電離のための強電界は、DBD電極41(即ち、電極基部23bと円筒状電極42と)が形成する電界によってその対称性を乱されない、若しくはごく僅かしか乱されない。即ち、DBD電極41が形成するイオン原料ガスをラジカル化する電界だけに着目すると、このラジカル化のための電界は、電極基部23bの外周面及び円筒状電極42の内周面の中心軸(ビーム軸K)を中心にして軸対称に形成される一方、強電界形成部23aによってその周囲に形成される電界電離のための電界(強電界)だけに着目すると、この電界は、強電界形成部23aの外周面の中心軸(ビーム軸K)を中心にして軸対称に形成される。そのため、DBD電極41が形成する電界と強電界形成部23aが形成する電解電離のための電界との合成電界は、ビーム軸Kを中心に軸対称、若しくは略軸対称に形成される。また、電極基部23bの外周面と円筒状電極42の内周面とが同心状の円筒状であるため、互いの間隔は周方向において一定となり、これにより両電極23b,42間をイオン原料ガスが前記周方向において偏りなく流れることができる。その結果、ビーム軸Kを中心に軸対称若しくは略軸対称の強電界が形成されている強電界形成部23a(電界電離電極23)の先端部周辺に、電極基部23bと円筒状電極42との間を通過することによりラジカル化されたイオン原料ガスが電界電離電極23の周方向において偏りなく供給されるため、効率よくイオン原料ガスのイオン化が行われる。
しかも、電極基部23bの外周面と円筒状電極42の内周面との間隔がビーム軸K方向においても一定となるため、誘電体バリア放電のビーム軸K方向における偏りが抑制され、電極基部23bと円筒状電極42との間で効率よくイオン原料ガスのラジカル化が行われる。
また、本実施形態のようにDBD電極41が電界電離電極23の一部(電極基部23b)と円筒状電極42とで構成される場合、電界電離電極23は、イオンビームのビーム軸K方向において、先端部(強電界形成部23a)が円筒状電極42よりもイオンビームの照射方向に突出することで、強電界形成部23aの周辺に形成される強電界が円筒状電極42の電位の影響によって電界強度が低下するのが抑制される。
また、電極基部23bの外周面がビーム軸K方向において円筒状電極42の内周面と同じ長さを有し、電界電離電極23が、強電界形成部23aの外径よりも電極基部23bの外径が大きくなるように形成されることで、電極基部23bの外周面及びこれを囲む円筒状電極42の内周面の周方向の長さが大きくなることにより誘電体バリア放電が行われる部位の面積が大きくなって誘電体バリア放電領域Dが増大する。そのため、当該誘電体バリア放電領域Dを通過するイオン原料ガスが増加しイオン原料ガスのラジカル化がより効率よく行われる。しかも、電界電離電極23は、強電界形成部23aの外径が小さくその先端が尖っているため、先端部周辺に強電界を形成し易い。
円筒状電極42が内周面と同心状の外周面を有する円筒状であり、容器20が、その内周面120(詳しくは後方側の部位120b)が円筒状電極42の外周面に接するような内径を有することで、容器20の内周面120と円筒状電極42の外周面との間の空間をなくすことができ、これにより容器20の小型化を図ると共に容器20内での円筒状電極42の径方向の位置決めが容易になる。
原料ガス供給手段30が供給量制御手段31を有することで、当該供給量制御手段31によって容器20に供給されるイオン原料ガスの量を制御することが可能となり、これにより所望の電流量のイオンビームを容易に得ることができる。
微小開孔22が先細り形状に形成されることにより、容器20に供給されて微小開孔22から噴出するイオン原料ガスが微小開孔22先端部での絞り効果により、強電界形成部23aの周辺でより高圧となる。そのため、微小開孔22先端部と微小開孔22の噴出側(容器20の外側)との圧力勾配がより急となり、効率よくイオン原料ガスがイオン化されると共にイオン化されたイオン原料ガスのイオン消滅確率を低くすることができる。
真空容器11内に容器20と引出電極50とが配設され、容器20の外側を真空領域とすることにより、容器20から噴出するイオン原料ガスの微小開孔22先端部と微小開孔22の噴出側とではより急激な圧力勾配が発生する。そのため、強電界形成部23aの周辺でイオン化されたイオン原料ガスが微小開孔22から引き出される際のイオン消滅確率をより低くすることができる。
尚、本発明のイオン源は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、誘電体バリア放電を行うための電極(第1の電極)を電界電離電極23の電極基部23bが兼ねているが、これに限定されず、第1の電極と電極基部23b(電界電離電極23)とが別々に配置されてもよい。また、DBD電極を構成する1対の電極は、容器20内に配置され、当該容器20内に供給されたイオン原料ガスをラジカル化し、このラジカル化したイオン原料ガスを電界電離電極23の先端部周辺に供給可能に配置されていれば、電界電離電極23の周囲を囲むように配置される必要もない。
また、上記実施形態では、電界電離電極23は、互いに外径の異なる強電界形成部23aと電極基部23bとにより構成されているが、図2(a)に示されるように、両部位23a,23bの外径が同一である電極、即ち、外径が軸方向に均一な一本の針状電極によって構成されてもよい。このような電界電離電極23であっても、円筒状電極42とこの電極42に囲まれた電界電気電極の基部側の部位(電界基部)223bとの間で誘電体バリア放電が行われることによりイオン原料ガスがラジカル化され、このラジカル化されたイオン原料ガスが強電界形成部23aの先端部周辺にすぐに供給されて効率よくイオン化が行われる。
また、電界電離電極23の誘電体被膜f1が形成される範囲は、ビーム軸K方向において円筒状電極42と同一範囲、即ち、円筒状電極42の先端位置から後端位置までの範囲である必要はなく、円筒状電極42の先端よりも前方側まで電界電離電極23を被覆してもよい。この場合、強電界形成部23aの少なくともテーパ部を露出させる(図2(a)参照)ことにより、電界電離電極23は、そのテーパ部周辺にイオン原料ガスの電解電離に必要な強電界を形成することができる。しかも、筒状電極42の先端よりも前方側まで電界電離電極23が誘電体被膜f1に被覆されることで、当該電界電離電極23から円筒状電極23への余分な放電を抑制することができる。
また、容器20の内周面120と円筒状電極42の外周面とが接する(図1参照)必要もなく、容器20の内周面220と円筒状電極42の外周面との間に空間が形成されていてもよい(図2(a)参照)。
また、電界電離電極23及び円筒状電極42は、容器20内に配置されていれば容器20(蓋部20b)に直接取り付けられなくてもよい。即ち、図2(a)に示されるように、支持体70等を介して容器20に取り付けられてもよい。この場合、例えば、支持体70は絶縁体により構成され、図2(b)に示されるように、容器20の外部から内部へイオン原料ガスを供給可能とするための孔71を有する。
10 イオン源
20 容器
22 微小開孔
23 電界電離電極
23a 強電界形成部
23b 電極基部(第1の電極)
40 誘電体バリア放電手段
41 DBD電極
42 円筒状電極(第2の電極)
43 交流電源
50 引出電極
60 印加用電源
D 誘電体バリア放電領域
f セラミック被膜(誘電体被膜)
K ビーム軸
20 容器
22 微小開孔
23 電界電離電極
23a 強電界形成部
23b 電極基部(第1の電極)
40 誘電体バリア放電手段
41 DBD電極
42 円筒状電極(第2の電極)
43 交流電源
50 引出電極
60 印加用電源
D 誘電体バリア放電領域
f セラミック被膜(誘電体被膜)
K ビーム軸
Claims (10)
- イオンビームを照射するためのイオン源であって、
微小開孔を有し、外部からイオン原料ガスが供給される容器と、
前記イオンビームのビーム軸方向に沿って延びると共に先端が尖り、この先端を前記微小開孔に向けて若しくは前記先端を前記微小開孔から外部に僅かに突出させるように前記容器内に配置される電界電離電極と、
前記電界電離電極の先端と対向するように前記容器の外部に配置される引出電極と、
この引出電極と前記電界電離電極との間に電圧を印加することにより、前記電界電離電極の先端部周辺に強電界を形成し、この強電界によって前記微小開孔から噴出するイオン原料ガスを電界電離してイオン化し、このイオン化されたイオン原料ガスを前記引出電極に引き出させる印加用電源と、
前記容器内に供給されたイオン原料ガスを誘電体バリア放電によりラジカル化する誘電体バリア放電手段と、を備え、
この誘電体バリア放電手段は、第1の電極及びこの第1の電極に対向する第2の電極と、これら第1及び第2の電極間に印加するための交流電源とを有し、前記第1及び第2の電極の少なくとも一方が誘電体で被覆され、
前記第1及び第2の電極は、前記容器内において当該容器内に供給されたイオン原料ガスが当該第1及び第2の電極間を通過したあと前記電界電離電極の先端部周辺に供給されるような位置に配置されることを特徴とするイオン源。 - 請求項1に記載のイオン源において、
前記第2の電極が前記電界電離電極の周囲に配置され、この第2の電極の内側で且つ前記電界電離電極の外側の領域に前記誘電体バリア放電が行われる領域を形成することを特徴とするイオン源。 - 請求項2に記載のイオン源において、
前記電界電離電極は、前記第1の電極を兼ねる電極基部と、この電極基部の先端から前記ビーム軸に沿って延びると共に前記尖った先端を含む強電界形成部とを有し、
前記第2の電極は、前記電極基部の周囲に配置されることを特徴とするイオン源 - 請求項2又は3に記載のイオン源において、
前記電界電離電極では、電極基部が前記ビーム軸を中心とする円筒状の外周面を有すると共に、前記強電界形成部が前記ビーム軸を中心に軸対称の外周面を有し、
前記第2の電極は、前記電極基部の外周面と同心状に当該電極基部を囲む円筒状の内周面を有する筒状電極であることを特徴とするイオン源。 - 請求項4に記載のイオン源において、
前記電界電離電極は、前記強電界形成部が前記第2の電極よりも前記イオンビームの照射方向に突出するような長さを有することを特徴とするイオン源。 - 請求項5に記載のイオン源において、
前記電極基部の外周面は、前記ビーム軸方向において前記第2の電極の内周面と同じ長さを有し、
前記電界電離電極は、前記強電界形成部の外径よりも前記電極基部の外径が大きくなるように形成されていることを特徴とするイオン源。 - 請求項4乃至6の何れか1に記載のイオン源において、
前記第2の電極は、前記内周面と同心状の外周面を有する円筒状電極であり、
前記容器は、その内周面が前記筒状電極の外周面に接するような内径を有することを特徴とするイオン源。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載のイオン源において、
前記容器にイオン原料ガスを供給する原料ガス供給手段を備え、
この原料ガス供給手段は、イオン原料ガスの供給量を制御するための供給量制御手段を有することを特徴とするイオン源。 - 請求項1乃至8の何れか1項に記載のイオン源において、
前記微小開孔は、イオン化された原料ガスの引き出し方向に向って先細り形状であることを特徴とするイオン源。 - 請求項1乃至9の何れか1項に記載のイオン源において、
内部を真空にすることができる真空容器を備え、
この真空容器の内部に前記容器と前記引出電極とが配設されることを特徴とするイオン源。
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