JP2011108508A - イオン源 - Google Patents

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Chikara Ichihara
主税 一原
Akira Kobayashi
明 小林
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Abstract

【課題】電界電離電極の先端部の損傷を抑えてその寿命の長期化を図ることができるイオン源を提供する。
【解決手段】イオン源は、尖った先端16を有する電界電離電極10と、これを収容する容器20と、対向電極30と、例えば磁石34,36からなる磁場形成手段とを備える。容器20は、微小開口26を囲む先端部24を有し、その微小開口26から電界電離電極10の先端16が容器20の外部に突出する位置に電界電離電極10が配置される。対向電極30は、容器20の先端部と対向し、電界電離電極10の先端16の近傍に電界電離用の電界を形成する。磁場形成手段は、対向電極30の面であって容器20に対向する対向面31の上に、微小開口26の径方向と平行な方向に延びる磁力線を有するような磁場を形成して、電界電離電極10と二次電子や負イオンとの衝突を抑止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高輝度で微小径のイオンビームを発生させるためのイオン源であって、例えば表面物理分析装置や半導体製造の検査装置、欠陥リペア装置用イオンプローブ、イオン注入、イオンビーム露光、イオンビーム堆積、イオンビームエッチング、イオンビーム描画、走査イオン顕微鏡等に用いられるものに関する。
近年、液体金属イオン源が開発されて以来、半導体工業等の分野ではサブミクロン以下に細く集束したイオンビームの応用が急速に広まっている。しかし、液体金属イオン源では得られるイオン種に限りがある。特にアルゴンなどの不活性ガスや酸素などの集束イオンビームを得る場合には、前記液体金属イオン源よりもガス相の電界電離型イオン源が適している。
このようなガス相の電界電離型イオン源は、例えば、先端部が5nm〜100nm程度の半径を有するように尖らされた針状の電界電離電極を備える。この針状の電界電離電極の先端の近傍に10−1Pa程度の圧力を有する原料ガス中で50〜60V/nm程度の強電界が形成されることにより、当該電界電離電極の先端部近傍のガス分子が電界電離現象によりイオンと電子に分離され、分離したイオンがイオンビームとして取り出される。
このような電界電離形イオン源において発生するイオンビーム電流Iは、ガスの圧力Pと温度Tの関数であり、具体的には、下記の(1)式に示される関係が存在する。
I∝P/T3/2 …(1)
従って、前記イオンビーム電流Iを増強してイオンビームの輝度を高めるには、電界電離電極の先端近傍のガス圧力Pを高くし、あるいはガス温度Tを低くすればよい。その一方、イオン化後のイオンの消滅を最小限に抑えるには、このイオンを例えば10−3Pa以上10−6Pa以下といった高真空下で飛行させることが望ましい。
従来、このような条件を満たしながらの運転を可能にするイオン源として、例えば図4に示すものが提案されている(特許文献1)。このイオン源は、針状の電界電離電極2と、これを収容する容器4と、容器4の外部に配置された対向電極6とを備える。前記容器4は、側壁4a及び先端壁4bを有し、この先端壁4bの中央に微小開口3が設けられている。前記電界電離電極2は、尖った先端(図では下端)2bを有し、この先端2bが前記微小開口3を通じて前記先端壁4bから下方に僅かに突出するように、前記容器4内に配置される。前記対向電極6は容器4の下方に設けられ、この対向電極6と前記電界電離電極2及び前記容器4との間に電圧Vが印加される。一般には、前記対向電極6が接地され、前記電界電離電極2及び前記容器4に適当な正の電位が与えられる。
このイオン源では、原料ガスが前記容器4内に供給され、当該容器4における微小開口3の周縁部と前記電界電離電極2の先端2bとの隙間から噴出する。この噴出により急激な変化をもつガス圧力分布が形成され、前記電界電離電極2の先端2bの近傍に局所的に高いガス圧が発生し、この領域での電界強度が高められる。その結果、前記先端2bから前記対向電極6の中央の開口を通じてイオンビーム5が放出される。
特開2009−59628号公報
前記の電界電離型イオン源では、その繰返しの使用により電界電離電極の先端部が損傷してその先端の形状が鈍ってしまう現象が生じる。かかる現象は、当該電界電離電極により有効な電界強度を得ることをできなくし、その寿命を短くしてしまう。
本発明は、このような事情に鑑み、電界電離電極の先端部の損傷を抑えてその寿命の長期化を図ることができるイオン源を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記電界電離電極の先端部を損傷させる要因として、イオンビームが対向電極に当たることにより二次電子や負イオンが発生し、かつ、これらの二次電子や負イオンが正電位を与えられている電界電離電極側に逆流して当該電界電離電極に衝突することを突き止めた。従って、このような逆流及び衝突の抑制が、電界電離電極の先端部の損傷を抑えてその寿命の長期化を可能にする。
本発明は、このような観点からなされたものであり、原料ガスを噴射するとともにその噴射する原料ガスを電界電離することによりイオンビームを生成するイオン源であって、特定の軸方向に沿って延びると共に、尖った先端を有し、正の電位が与えられる電界電離電極と、絶縁材料からなり、前記電界電離電極をその径方向の外側から囲む内周面を有するとともに、内部に供給された前記原料ガスを噴射するための微小開口を囲む形状の先端部を有し、その微小開口の近傍に前記電界電離電極の先端が位置するように当該電界電離電極との相対位置が決められる容器と、前記容器の外部において当該容器の先端部と対向する位置に設けられ、前記電界電離電極よりも低い電位が与えられることにより前記電界電離電極の先端近傍に電界電離用の電界を形成して前記電界電離電極の軸方向と平行な方向にイオンビームを生成する対向電極と、前記対向電極の面のうち前記容器の先端部に対して対向する対向面の上に前記微小開口の径方向と平行な方向に延びる磁力線を有するような磁場を形成する磁場形成手段とを備えたものである。
このイオン源によれば、電界電離電極の先端から照射されるイオンビームが対向電極に当たって二次電子や負イオンが生じても、これら二次電子や負イオンは磁場形成手段により形成される磁場により捕捉されるため、当該二次電子や当該負イオンが電界電離電極側に逆流することが有効に抑制され、当該逆流に起因して当該二次電子や当該負イオンが電界電離電極の先端部の損傷が有効に抑えられる。
前記磁場形成手段としては、N極及びS極を有する永久磁石からなる主リング磁石を含み、この主リング磁石が、そのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並び、かつ当該主リング磁石が前記イオンビームを囲む姿勢で、前記対向電極を挟んで前記容器の先端部と反対の側の位置に設けられるものが、好適である。この主リング磁石は、その存在がイオンビームの形成を阻害することなく、対向電極の対向面上に前記二次電子や前記負イオンを有効に捕捉することが可能な磁場を形成する。
さらに、前記磁場形成手段が、前記主リング磁石に加え、N極及びS極を有する永久磁石からなる副リング磁石を含み、この副リング磁石が、そのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並び、かつ当該副リング磁石が前記電界電離電極を囲む姿勢で、前記対向電極の対向面よりも前記容器の先端部側の位置に設けられるものであれば、前記二次電子や前記負イオンの捕捉により有効な磁場を形成することができる。
この副リング磁石は、例えば、前記容器の周囲に設けられることが、好ましい。この副リング磁石の配置も、当該副リング磁石の存在がイオンビームの形成を阻害することなく、前記の好ましい磁場の形成に寄与することができる。
以上のように、本発明に係るイオン源によれば、イオンビームが対向電極に当たることにより生ずる二次電子や負イオンが電界電離電極側に逆流することが抑制され、これにより、その逆流に起因する電界電離電極の先端部の損傷が抑制されて、当該電界電離電極の寿命が長期化される。
本発明の実施の形態に係るイオン源の全体構成を示す断面正面図である。 前記イオン源の要部において形成される磁場を示す図である。 前記イオン源のうち副リング磁石が省略されたものの要部において形成される磁場を示す図である。 従来のイオン源の一例を示す断面正面図である。
図1は、本発明の好ましい実施の形態にかかるイオン源の全体構成を示した断面図である。このイオン源は、電界電離型イオン源であり、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスや酸素からなるイオン原料ガス(原料ガス)を電界電離することにより高輝度のイオンビーム50を生成するためのものである。なお、以下の各実施形態においては、イオンビーム50の照射方向が前方(又は先端側;図では下方)とされる。
前記イオン源は、電界電離電極10と、この電界電離電極10を収容する容器20と、この容器20の外部に設置される対向電極30とを備える。これらは図略の真空槽内に設置され、当該真空槽内は例えば1×10−6Pa程度の高真空状態に保たれる。
前記電界電離電極10は、電極支持体40を介して前記容器20に支持されるもので、尖った先端16をもつ針状をなす。具体的には、円柱部12と、この円柱部12から前記先端16に向かって徐々に縮径する円錐部14とを一体に有する。この電界電離電極10の具体的な寸法は限定されないが、好ましくは、前記先端16の半径が100nm以下(例えば50nm程度)とされ、その先端16でのテーパー角βは全角で5°程度、全長は20mm程度に設定される。この電界電離電極10の材質としては、例えばタングステンが好適である。その他、イリジウム等の金属やシリコン、又はそれらを含む合金、若しくはそれらに貴金属、高融点金属、高融点金属の炭化物若しくは窒化物等でコーティング処理を施したものであってもよい。
前記容器20は、セラミックス(例えばアルミナセラミックスやジルコニウム系セラミックス)やガラスといった絶縁材料により成形され、前記電界電離電極10をその径方向外側から囲む形状を有する。具体的には、一定の外径をもつ略筒状の本体壁22と、この本体壁22の後ろ側(図1では上側)の開口を塞ぐ背壁23と、前記本体壁22よりも先端側(図1では下側)に位置する先端壁(先端部)24とを一体に有する。
前記先端壁24は、前記本体壁22の外径よりも小さい外径を有し、その先端面(図1では下端面)24aにおいては、微小開口26を囲む。この微小開口26は、例えば5μm〜100μmといった微小な直径をもつ開口であり、この開口を前記電界電離電極10の先端部分が挿通可能である。
この容器20は、前記電界電離電極10を径方向外側から囲む内周面28を有する。この内周面28は、一定の内径を有する円筒状内周面28aと、この円筒状内周面28aの前端(図1では下端)から前記微小開口26に至るまで徐々に縮径する形状の縮径内周面28bとで構成される。
この容器20に対し、前記電界電離電極10は、その中心軸が前記内周面28の中心軸と合致し、かつ、当該電界電離電極10の先端16が前記微小開口26の近傍に位置するように、配置される。具体的には、前記容器20の背壁23に前記電極支持体40を介して前記電界電離電極10の円柱部12が連結されることにより、当該電界電離電極10が当該容器20に取付けられ、図例では、前記先端16が当該容器20の外部に僅かに突出するように、前記容器20に対する前記電界電離電極10の取付位置が設定されている。
前記容器20内には、外部から原料ガスが送入される。この原料ガスは、イオンの原料となるガスであり、常温で気相を保つもの、例えばヘリウムやアルゴン等の不活性ガス、酸素などが用いられる。この実施の形態では、前記本体壁22の後部(図1では上部)に原料ガス導入口22bが設けられ、この原料ガス導入口22bに配管42及びその途中に設けられた流量調整弁44を通じて図略の原料ガス源から前記原料ガスが供給される。この原料ガスは、前記微小開口26から高い圧力で容器20の外部に噴射される。
ここで、前記縮径内周面28bのテーパー角αは、当該円錐部14のテーパー角βよりも大きく設定されている。この設定は、当該縮径内周面28bと前記電界電離電極10の円錐部14との間に、前記微小開口26に向かって徐々に流路面積が減少する原料ガス流路を確保するためのものである。
この微小開口26からの前記電界電離電極10の先端16の突出量δは、前記微小開口26の近傍の位置であって当該微小開口26から噴射される原料ガスの圧力が最も高い位置を基準として、この基準位置から僅かに当該原料ガスの圧力が低くなる位置(前記基準位置から僅かに容器20の外部側に寄った位置)に前記先端16が位置するような量に設定される。具体的には、電界電離電極10の軸方向と直交する平面(図1では水平断面)上での前記容器20の内部空間の面積と前記電界電離電極10の断面積との差であるガス噴出面積が、当該電界電離電極10の先端16又は当該先端16よりも僅かに基部側(図1では上側)の位置で最小になると共に他の位置では前記最小の面積よりも大きくなるように、前記突出量δが設定されている。
前記原料ガスの流路に関する具体的な形状及び寸法は、適宜設定可能であるが、好適な例としては、前記電界電離電極10のテーパー角(全角)βが5°、容器20内での原料ガスの圧力が100Pa程度である場合、前記縮径内周面28bのテーパー角(全角)αが60°、微小開口26の直径が25μm、前記微小開口26からの前記電界電離電極先端16の突出量δが5μmに設定される。
なお、本発明は前記電界電離電極10の先端16が前記微小開口26を通じて容器20の外部に突出するものに限定されず、例えば当該先端16が容器20の内部に位置していてもよい。要は、当該先端16の付近で原料ガスの圧力がピークになるように当該先端16が前記微小開口26の近傍に配置されていればよい。しかし、前記先端16が容器20の外部に突出している場合に当該先端16が後述のようなダメージをより受けやすいので、本発明はより有効となる。
前記対向電極30は、この対向電極30と前記電界電離電極10との間に電圧Vが印加されることによって当該電界電離電極10の先端16の近傍に電離用の強電界を形成するためのものである。具体的に、前記電界電離電極10には正の電位が与えられ、その具体的な数値は、前記各寸法の諸元及び要求される電界強度に基いて設定される(一般には最高30kVまでの範囲内で定められる。)。一方、前記対向電極30には前記電界電離電極10の電位よりも低い電位が与えられる(一般には接地される。)。
この実施の形態に係る対向電極30は、ステンレス鋼等の導電材料からなる厚みが一定の板状をなし、かつ、前記電界電離電極10の先端16から照射されるイオンビーム50を囲む環状をなしている。すなわち、この対向電極30は前記イオンビーム50を囲む内周面32を有している。
さらに、このイオン源は、その特徴として、前記対向電極30の上面、すなわち、前記容器20の先端壁24に対して対向する対向面31の上に前記微小開口26の径方向と平行な方向に延びる磁力線を有するような磁場を形成する磁場形成手段を備える。この磁場形成手段は、この実施の形態では、主リング磁石34と副リング磁石36とで構成される。
前記主リング磁石34は、前記対向電極30の内径よりも大きな内径を有するリング状の永久磁石からなり、その厚み方向の一方にN極、他方にS極を有する。そして、これらのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並ぶ姿勢(図例ではS極が上側、N極が下側となる姿勢)であって、当該主リング磁石34が前記イオンビームを囲む姿勢で、前記対向電極30の下面すなわち当該対向電極30を挟んで前記先端壁24と反対の側の位置に設けられる。
前記副リング磁石36は、前記容器20の本体壁22の外径と同等またはこれよりも大きな内径を有するリング状の永久磁石からなり、前記主リング磁石34と同様、その厚み方向の一方にN極、他方にS極を有する。そして、これらのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並ぶ姿勢(図例ではS極が上側、N極が下側となる姿勢)で、当該副リング磁石36が前記容器20の本体壁22を囲む位置(すなわち前記電界電離電極10を囲む位置であって前記対向電極30の対向面31よりも前記容器20の先端壁24側の位置)に設けられる。
次に、このイオン源の作用を説明する。
このイオン源を収容する真空槽の内部が真空ポンプにより1×10−6Pa程度の高真空状態とされる一方、イオン原料となる原料ガスが配管42を通じて容器20内に供給され、この容器20内の圧力が100Paに保たれるように前記配管42の途中の流量調整弁44の開度が調節される。この原料ガスは、電界電離電極10の外周面と容器20の内周面28との間に形成された原料ガス流路を通じて微小開口26に至り、この微小開口26から高い圧力で容器20の外部に噴射される。
一方、前記電界電離電極10と前記対向電極30との間に適当な電圧Vが印加されることにより、当該電界電離電極10の先端16の近傍に強電界が形成される。従って、前記微小開口26から噴射される原料ガスは当該強電界を通過し、ここで電界電離作用を受けることによりイオン化する。
このイオン源では、前記原料ガス流路の流路面積が微小開口26に向かうに従って縮小し、微小開口26にて最小となるため、当該微小開口26での原料ガスの圧力は非常に高くなる(例えば10Pa程度)。つまり、この微小開口26の近傍で原料ガスの分子密度が高まり、かつ、その近傍に前記電界電離電極10の先端16が位置するので、当該先端16の近傍で効率よく原料ガスがイオン化され、多くのガス分子がイオンビーム50として放出される。
前記微小開口26よりも真空側の領域では、噴出した原料ガスの拡散を阻害するものがないので、前記ガス分子は一気に拡散し、これにより急激な圧力降下が生ずる。すなわち、この領域は前記原料ガスのガス分子同士の衝突や当該ガス分子と雰囲気ガスの分子との衝突が生ずる可能性がきわめて低い高真空領域であるため、当該領域でのイオンの消滅またはそのエネルギーの低下が抑制され、このことが高輝度の集束イオンビームの生成を可能にする。
このイオン源において、イオンビーム50が対向電極30に当たると、二次電子や負イオンが発生するが、その一方で電界電離電極10は正電位を与えられているので、前記二次電子や前記負イオン(以下「二次電子等」と称する。)はそのままでは電界電離電極10側に引き付けられやすく、当該電界電離電極10の先端16に衝突することによりその損傷や磨耗を促進するおそれがある。しかしながら、このこのイオン源では、前記主リング磁石34及び前記副リング磁石36を含む磁場形成手段が前記対向電極30の対向面31上で前記微小開口26の径方向と平行な方向に延びる磁力線を有するような磁場を形成するため、この磁場が前記二次電子等を捕捉して当該二次電子等が電界電離電極10の先端16に衝突するのを有効に抑止する。
図2は、前記両リング磁石34,36により形成される磁場の具体例を示したものである。この磁場は、図示のように、対向電極30の対向面31の上方において微小開口26の径方向(図では左右方向)に延びる磁力線を含むため、前記イオンビーム50が前記対向電極30に当たることにより生成する二次電子等をその速度が小さいうちに有効に捕捉することができる。詳しくは、前記対向面31上で中央貫通孔の近傍(図2のA部)に径方向の磁力線が形成され、前記二次電子等に作用するローレンツ力が当該二次電子等を前記磁力線に沿うように強制移動させる。
この捕捉効果は、例えば主リング磁石34のみを設置した場合にも得ることが可能であるが、当該主リング磁石34と副リング磁石36との協働により、前記捕捉のためにさらに有効な磁場が形成される。これら主リング磁石34及び副リング磁石36は、それぞれ、対向電極30の裏面(対向面31と反対側の面)上や容器20の周囲に設けられるので、いずれも、その存在がイオンビーム50の形成を阻害することなく前記磁場を形成することができる。
前記図1に示されるイオン源において図2に示すような磁界を形成するものを実施例としてシミュレーションを行った。
この実施例に係るイオン源(実施例)の各構成要素の諸元は次のとおりである。
1)電界電離電極10
材質:タングステン(イリジウムや低抵抗シリコンでもよい。)
全長:20mm
円柱部12の直径:0.2mm
先端側部分のテーパー角(全角)β:5°
先端16の半径:約50nm
2)容器20
材質:アルミナセラミックス(ジルコニウム系セラミックスやガラス等でもよい。)
本体壁22の外径:32mm
縮径内周面28bのテーパー角(全角)α:60°
容器内圧力:100Pa
微小開口26の直径:25μm
微小開口26からの先端16の突出量δ:5μm
3)対向電極30
材質:ステンレス鋼
内径:1.5mm
内周面32のテーパー角(全角):45°
電位:0V
4)主リング磁石34
材質:NEOMAX44CH(商品名)
外径:30mm
内径:20mm
厚さ:3mm
5)副リング磁石36
材質:NEOMAX44CH(商品名)
外径:42mm
内径:32mm
厚さ:3mm
以上の諸元をもつリング磁石34,36を用いることにより、図2に示されるような磁力線をもつ磁場が形成される。この磁場では、対向電極30の対向面31上においてその開口付近に径方向の磁力線を含んでおり、この磁力線に沿って二次電子や負イオンが強制移動させられることにより、これらが電界電離電極10の先端16に衝突することが有効に抑止される。
なお、前記の径方向の磁力線は、前記実施例において副リング磁石36を省略した場合(主リング磁石34のみを配置した場合)にも形成することが可能である。その場合に形成される磁場の磁力線を図3に示す。
また、図2及び図3に示す実施例では、副リング磁石36の内周面が容器20の本体壁22の外周面に接触した状態で当該副リング磁石36が当該容器20に取付けられるが、当該副リング磁石36の内周面と当該本体壁22の外周面との間に適当な隙間があっても、同様の磁力線を得ることが可能である。
10 電界電離電極
16 電界電離電極の先端
20 容器
22 容器の本体壁
26 微小開口
30 対向電極
31 対向面
34 主リング磁石
36 副リング磁石
50 イオンビーム

Claims (4)

  1. 原料ガスを噴射するとともにその噴射する原料ガスを電界電離することによりイオンビームを生成するイオン源であって、
    特定の軸方向に沿って延びると共に、尖った先端を有し、正の電位が与えられる電界電離電極と、
    絶縁材料からなり、前記電界電離電極をその径方向の外側から囲む内周面を有するとともに、内部に供給された前記原料ガスを噴射するための微小開口を囲む形状の先端部を有し、その微小開口の近傍に前記電界電離電極の先端が位置するように当該電界電離電極との相対位置が決められる容器と、
    前記容器の外部において当該容器の先端部と対向する位置に設けられ、前記電界電離電極よりも低い電位が与えられることにより前記電界電離電極の先端近傍に電界電離用の電界を形成して前記電界電離電極の軸方向と平行な方向にイオンビームを生成する対向電極と、
    前記対向電極の面のうち前記容器の先端部に対して対向する対向面の上に前記微小開口の径方向と平行な方向に延びる磁力線を有するような磁場を形成する磁場形成手段とを備えたことを特徴とするイオン源。
  2. 請求項1に記載のイオン源において、
    前記磁場形成手段は、N極及びS極を有する永久磁石からなる主リング磁石を含み、この主リング磁石は、そのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並び、かつ当該主リング磁石が前記イオンビームを囲む姿勢で、前記対向電極を挟んで前記容器の先端部と反対の側の位置に設けられることを特徴とするイオン源。
  3. 請求項2に記載のイオン源において、
    前記磁場形成手段は、前記主リング磁石に加え、N極及びS極を有する永久磁石からなる副リング磁石を含み、この副リング磁石は、そのN極及びS極が前記イオンビームの軸方向と平行な方向に並び、かつ当該副リング磁石が前記電界電離電極を囲む姿勢で、前記対向電極の対向面よりも前記容器の先端部側の位置に設けられることを特徴とするイオン源。
  4. 請求項3記載のイオン源において、
    前記副リング磁石は、前記容器の周囲に設けられることを特徴とするイオン源。
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