JPH11211898A - パルス励起原子線とパルス紫外光の生成方法およびその装置 - Google Patents

パルス励起原子線とパルス紫外光の生成方法およびその装置

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JPH11211898A
JPH11211898A JP10019922A JP1992298A JPH11211898A JP H11211898 A JPH11211898 A JP H11211898A JP 10019922 A JP10019922 A JP 10019922A JP 1992298 A JP1992298 A JP 1992298A JP H11211898 A JPH11211898 A JP H11211898A
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泰 山内
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    • H05G2/003Production of X-ray radiation generated from plasma the plasma being generated from a material in a liquid or gas state
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05HPLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面科学を対象とする計測や材料の創製等の
分野において有用な発明であって、例えば、物質表面や
表面内部数層の電子状態を調べるためのプローブとし
て、または、表面化学反応により、物質表面の汚染物質
の除去や表面への積層化合物の創製において好適に使用
できるパルス化された励起原子線と紫外光とを高強度で
得ることができる方法および装置を提供する。 【解決手段】 先端にガス噴出孔(2a)が穿設される
とともに内部に針状電極(5)が配設された絶縁性ノズ
ル(2)と、絶縁性ノズルのガス噴出孔から所定距離離
れた位置に漏斗状で先端に開口部(8a)を備えたスキ
マー(8)とを具備してなり、真空中でガスを噴出する
絶縁性ノズル中の電極とスキマー間でパルス放電を生起
させ、パルス励起原子線とパルス紫外孔を同時に生成さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、パルス化
された励起原子線と紫外光とを高速度で生成させる方法
及び装置に関するものである。さらに詳しくは、この出
願の発明は、表面科学を対象とする計測や材料の創製等
の分野における発明であって、例えば、物質表面や表面
内部数層の電子状態を調べるためのプローブとして、ま
たは、表面化学反応により、物質表面の汚染物質の除去
や表面への積層化合物の創製において好適に使用できる
パルス化された励起原子線と紫外光とを高強度で生成さ
せる方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】励起原子線を物質表面に照射すると、原
子の励起状態から基底状態に遷移する際に放出されるエ
ネルギーをもらって電子が飛び出し、この電子のエネル
ギーを分析することで、物質の表面状態を分析すること
ができることになる。しかも、励起原子線によって飛び
出す電子によって得られる情報は、物質表面最外層の電
子状態を示すことから、励起原子線は有力な計測手段等
として期待されている。また、紫外光の照射により物質
表面から飛び出す電子は、物質表面からある程度の深さ
までの物質の平均的な情報を得られることから、例え
ば、紫外線光電子分光として利用されている。
【0003】この出願の発明者等は、既に、電子衝撃型
のHe励起原子線源を開発してパルスビームを得るとと
もに、放電型のHe励起原子線源により高強度の連続ビ
ームが得られることを確認している(第44回応用物理
学関係連合講演会講演予稿集(1997)426参
照)。He励起原子線を電子衝撃や放電によって生成す
ると、連続したHe励起原子線と紫外光が同時に生成す
る。このため、連続ビームを用いて物質表面の状態を計
測したりするには、機械式のチョッパーによってビーム
をパルス化するとともに飛行時間計測法(TOF)を組
み合わせて励起原子線と紫外光を区別する必要がある。
例えば、Heガスを0.1mm程度のノズルから超音速
状態として噴出させ、その直後にスキマーと呼ばれる先
端に1mm程度の開口部を持つ漏斗状の構造物で強度の
強い中央部分以外を取り除くようにし、ノズルとスキマ
ーとの間に300V程度の電圧を印加する。そして、1
0mA程度の放電電流によって連続放電を起こし連続し
た励起原子線と紫外光を同時に生成させることができる
が、パルス励起原子線やパルス紫外光を得るためには、
機械式チョッパーを組み込むことが必要となっている。
このような機械式チョッパーを用いてビームをパルス化
する構造は、He励起原子線源自体の構造は簡単なもの
の、機械式チョッパーを備えることで全体として複雑で
大型化することになり、また、He励起原子線源と物質
表面までの距離が長くならざるを得ず、物質表面上での
He励起原子線の強度が弱くなることになる。こういっ
たことから、He励起原子線源が簡単な構造であるとの
利点を失うことになる。また、放電電流を上げてHe励
起原子線の強度を上げようとするとHe励起原子線源の
熱的強度に限界があることから、放電電流には上限があ
る。He励起原子線源をパルス駆動することができれば
好ましいことであるが、放電型は放電開始電圧が維持電
圧よりもかなり高いため、パルス駆動が困難となってい
る。原子励起線プローブによって量子効果を高精度に計
測するには、高強度の原子線が不可欠であり、また、励
起原子線のみによる効果を精密に計測するには、原子線
のパルス化が必要とされているものの、未だ充分に満足
のできる、パルス原子励起線やパルス紫外光を得るまで
には至っていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この出願の発明は、上
記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたもので
あり、機械式チョッパー等の付加装置を必要とすること
なく、パルス原子励起線やパルス紫外光を高強度で得る
ことができる方法とそのための装置を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この出願の発明のパルス励起原子線とパルス紫外光
の生成方法は、真空中でガスを噴出する絶縁性ノズル中
の電極とスキマー間でパルス放電を生起させ、パルス励
起原子線とパルス紫外光を同時に生成させることを特徴
としている。また、この出願の発明のパルス励起原子線
とパルス紫外光の生成装置は、先端にガス噴出孔が穿設
されるとともに内部に針状電極が配設された絶縁性ノズ
ルと、絶縁性ノズルのガス噴出孔から所定距離離れた位
置に、漏斗状で先端に開口部を備えたスキマーとを具備
してなることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】以上のとおりの特徴を有するこの
出願の発明によって、すなわち、絶縁性ノズルから超音
速でガスを噴出させながら、絶縁性ノズル中の電極とス
キマーとの間で繰り返しパルス放電を起こすと、絶縁性
ノズルから噴出する原子は、パルス放電により励起さ
れ、強力なパルス励起原子線と紫外光が生成されること
になる。生成されたパルス励起原子線と紫外光は、先端
に1mm程度の開口部を持つ漏斗状のスキマーの開口部
を通過し、開口部以外のパルス励起原子線と紫外光が取
り除かれてビームとされ、物質表面に照射される。この
ようにして、放電をパルス化することにより、機械的チ
ョッパーが不要で、構造が簡単という利点を最大限に生
かすことができるだけでなく、原子源と試料までの距離
を短くでき、物質面上でのパルス励起原子線と紫外光強
度を大きく保つことができる。そして、生成されたパル
ス励起原子線または紫外光を、例えば、パルス励起原子
線を真空中におかれた物質表面に照射することにより、
表面上の電子状態を計測するのに用いることができるも
のであり、また、同時に生成された紫外光を同様に物質
表面に照射することにより、表面内部数層の電子状態を
計測するのに用いることができる。さらに、パルス励起
原子線および/または紫外光を表面化学反応に使用する
ことで、物質表面汚染の除去や表面への化合物の積層に
使用することができる。
【0007】以下、詳しく発明の実施の形態について説
明すると、まず、この発明における前記の絶縁性ノズル
としては、パイレックス等のガラスが採用できる。この
絶縁性ノズルの先端のガス噴出孔の口径は、一般的には
0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.5m
mとする。この口径の大きさは、ノズル内のガス圧と原
子源チャンバーの圧力を最適に保つことの理由により定
められる。
【0008】また、前記絶縁性ノズルの内部に配設され
る針状電極としては、タンタル、タングステン、モリブ
デン等が採用でき、その直径は、0.2〜2.0mm、
より好ましくは0.5〜1.0mmが、放電の安定性を
高めながら放電による損耗に耐える必要があることの理
由から好ましい。放電電圧、ガス圧、電極間距離を調節
することにより放電の安定化を図ることができるが、と
りわけ、開口を備えたトリガ電極を、前記絶縁性ノズル
のガス噴出孔と前記スキマーの開口部との間の所定位置
に介在させる構造を採用することが好ましく、トリガ電
極へ所定電圧を印加することで前記絶縁性ノズル中の電
極とスキマー間でのパルス放電が安定化されることにな
る。
【0009】トリガ電極の開口径は、絶縁性ノズルの先
端のガス噴出孔の口径、トリガ電極とガス噴出孔までの
距離、または、トリガ電極とスキマーの開口部までの距
離等によるもので特に限定されるものではない。可変直
流電圧の上に重畳されたパルス電圧が前記絶縁性ノズル
中の電極に印加されるようにしてもよいものである。
【0010】なお、パルス放電の安定化のための手段と
しては、上述のようなトリガ電極(11)以外にも、た
とえば、応答時間が0.1マイクロ秒以下で100マイ
クロ秒の間100mAの一定電流を繰り返し流すことの
できる、10kV程度の高速高圧パルス定電流電源であ
れば用いることができる。また、前記針状電極の回り
に、蛍光灯に用いられているような熱電子発生用フィラ
メントを付加することによっても、トリガ電極と同様な
パルス放電安定化効果を得ることができると考えられ
る。
【0011】ガスとしては、希ガスが好ましく、とりわ
け、Heが、励起状態のエネルギーが20eVと大きい
との理由から望ましい。図1は、この発明の方法を実施
するためのパルス励起原子線および紫外光生成装置の一
例を示した概略図であり、以下においては、装置は、H
eを原子源としたものとして説明する。
【0012】図1に示されるように、この装置の絶縁性
ノズル(2)は、パイレックス製で筒状をしており、丸
く閉じた先端の中央部にガス噴出孔(2a)が穿設され
ている。該ガス噴出孔(2a)は、例えば、超音波加工
によって穿設すればよい。絶縁性ノズル(2)は原子源
チャンバー(3)内に取り付けられており、該絶縁性ノ
ズル(2)の後端は、図示していないHeガス供給源に
接続されており、高圧のHeガス(1)が供給されるよ
うになっている。原子源チャンバー(3)内は、例え
ば、図示していないターボ分子ポンプにより所定の真空
度に設定できるようになっている。
【0013】絶縁性ノズル(2)内にはHeガス(1)
の通過を可能とするステンレス製の円筒(4)が内設さ
れており、該円筒(4)には、タンタルからなる針状電
極(5)の先端が、絶縁性ノズル(2)のガス噴出孔
(2a)の中心方向に向かうようにスポット溶接されて
いる。針状電極(5)は、陰極とされており、ステンレ
ス製の円筒(4)に接続された引出線が絶縁性ノズル
(2)の側方に設けられた引き出し部(2b)から引き
出され、抵抗(6)を介して定電流モードで作動する直
流電源(7)の陰極に接続されており、該直流電源
(7)の陰極側は接地されている。
【0014】絶縁性ノズル(2)から所定距離離れた位
置に、漏斗状で先端に開口部(8a)を備えたスキマー
(8)が設けられている。該スキマー(8)は、原子源
チャンバー(3)と緩衝チャンバー(9)とを区画する
真空壁(10)に取り付けられている。そして、スキマ
ー(8)は抵抗を介することなく直接接地されている。
【0015】前記直流電源(7)は、所定の定電流を与
えることができるようにされており、直流電源(7)に
よる所定の可変電圧に図示していないパルス電源から発
生した所定パルス巾の固定電圧を重畳できるものであっ
て、スキマー(8)との間でパルス放電を起こすことが
できるようになっている。絶縁性ノズル(2)のガス噴
出孔(2a)とスキマー(8)の開口部(8a)との間
の絶縁性ノズル近傍位置に、ほぼ中央に開口(11a)
を備えたトリガ電極(11)が配設されており、接地抵
抗(12)を介して接地されている。
【0016】針状電極(5)に所定の可変直流電圧の上
に固定した所定のパルス電圧を重畳した電圧を印加する
ことによって、針状電極(5)とスキマー(8)間で生
じたパルス放電により、準安定He原子からなるパルス
He励起原子線と紫外光とが同時に生成される。安定し
たパルス放電を実現するためには、放電の主なパラメー
ターである放電電圧、ガス圧、電極間距離等を適宜調節
して行うことになるが、針状電極(5)とスキマー
(8)間にトリガ電極(11)を介在させ、放電電圧を
制御することで、容易かつ確実に安定したパルス放電を
実現することができる。パルス放電により生じるパルス
放電電流は、針状電極(5)に直列に接続された抵抗
(6)により大まかではあるがパルス巾に比べ十分早く
安定化することになり、また、定電流モードで動作する
直流電源により低速ではあるが精密に安定化するように
異なる2つの時定数によって制御できるようになってい
る。2つの時定数のうちの一つは、抵抗(6)(たとえ
ば1kΩ)と円筒(4)および針状電極(5)周りの浮
遊容量(たとえば数10pF)とで0.1マイクロ秒以
下の高速であり、もう一つは、直流電源(7)の応答時
間でミリ秒以上の低速である。
【0017】そして、針状電極(5)の軸線は、絶縁性
ノズル(2)のガス噴出孔(2a)の中心、トリガ電極
(11)のガス通過用の開口(11a)の中心、スキマ
ー(8)の開口部(8a)の中心を結ぶ軸線と一致する
ように設定されている。図1においては、原子源の性能
を調べるために原子線の全線量密度とTOFスペクトル
を測定できる構造を採用している。このため、超高真空
チャンバー(13)を差動排気用の緩衝チャンバー
(9)を挟んで原子源チャンバー(3)に接続してい
る。そして、超真空チャンバー(13)内に試料(1
4)を設置し、超真空壁(15)に穿設した通過孔(1
5a)を通過したパルスHe励起原子線と紫外光が試料
(14)に照射されるようになっている。試料(14)
を中心軸からずらすことによってHe原子および紫外光
は試料(14)の後方に設けられた検出器(16)によ
って直接検出され、パルス電源の参照パルスと連動した
多チャンネルスケーラー(MCS)(17)で計算でき
るようになっている。検出器としては、2次電子増倍管
を採用しているがこれに限定されるものではない。試料
(14)は直接接地され、ターゲット電流が流れること
で、常時一定の電位に維持できるようになっている。な
お、超真空チャンバー(13)は、例えば、図示してい
ないターボ分子ポンプにより所定の超真空度に設定でき
るようになっている。
【0018】緩衝チャンバー(9)は、例えば、図示し
ていないターボ分子ポンプで所定の真空度に設定できる
ようになっており、緩衝チャンバー(9)内には、荷電
粒子やリュードベリ(Rydberg)原子を除去する
ための板状の偏向電極(18)が設置されている。該偏
向電流(18)は直流電源(19)に接続され所定電圧
に維持される。
【0019】たとえば以上の構成のこの発明の装置とこ
れを用いた方法について以下に実施例を説明する。もち
ろん、この発明は以下の例に限定されることはない。
【0020】
【実施例】(実施例1)前述した装置において、絶縁性
ノズルとしては外径9mmのパイレックス製で先端に
0.3mm径のガス噴出孔を穿設したものを用いた。ま
た、直径0.8mmのタンタル製の針状電極を使用し
た。ガス噴出孔からトリガ電極間までの距離、スキマー
の開口部までの距離、試料までの距離、2次電子増倍管
までの距離をそぞれ、1mm、6mm、700mm、
1,100mmに設定した。試料としては、ステンレス
鋼板を用いた。トリガ電極の開口径は1.3mmとし
た。原子源チャンバーは1,000l/sのターボ分子
ポンプで排気し、動作時の真空度を2〜0.2Paとし
た。緩衝チャンバーは250l/sのターボ分子ポンプ
で排気し、動作時の真空度を10-2Paとした。超真空
チャンバーは320l/sのイオンポンプで排気し、動
作時の真空度を10-3Paとした。針状電極と接続した
抵抗は1kΩ、接地抵抗は200kΩに設定した。針状
の電極には、抵抗を通して600Vの可変直流電圧の上
に固定した900Vの電圧パルスを重畳した電圧を印加
した。偏向電極の電圧は、120Vとした。パルス放電
電流は、異なる2つの時定数で制御した。まず、直列に
入れた抵抗によって大まかにではあるが0.01〜0.
1msのパルス巾に比べて十分速く安定化するとともに
定電流モードで動作する直流電源により、低速ではある
が精密に安定した。放電電流はパルスのデューティー比
を考慮して直流電源により設定した。このように設定し
て、Heガスを絶縁性ノズルに供給し、針状電極とスキ
マーとの間でパルス放電させ、準安定He原子からなる
パルスHe励起電子線と紫外光とを同時に生成させ、M
CSで計数した。図2に、原子源チャンバー圧力、0.
8Pa、MSCの送り時間、2μsでの飛行時間スペク
トルを示す。図2におけるチャンネル4〜20の鋭いピ
ークは原子源からの紫外光によるもので、ピークの形は
パルス放電電流の波形をよく反映している。チャンネル
100〜300の広いピークは、準安定He原子の予想
される飛行時間とよく一致していることを示す。なお、
パルス放電電流の典型的な値は、ノズル・スキマー間の
電圧600Vに対し、200mAであった。これは、従
来の低電力型の連続放電原子線のノズル・スキマー電圧
300Vでの放電電流10mAと比べて、1桁大きいも
のである。
【0021】また、全線量密度は、10mm角のステン
レスターゲットに中性の励起原子線を照射した時のター
ゲットの電流によって決定できる。すなわち、たとえ
ば、励起He原子がステンレス鋼板に照射されると原子
1個あたり0.7個の電子がステンレス鋼板から放出さ
れること(Dunning 等 Rev. Sci. Instrum. 46 (1975)
697参照)と、原子線源からターゲットまでの距離で決
まる照射立体角、およびパルスのデューティー比を勘案
して、単位立体角当たりの全線量密度が算出される。
【0022】(実施例2)原子は、その内部に電子スピ
ンのいくつかの自由度を持つ場合があるが、通常はバラ
バラの向きとなっている。この原子内部の電子スピンを
揃えると、固体表面に照射した際に放出される電子のエ
ネルギー分布などに影響を与えると考えられ、固体最表
面に存在する電子のスピン状態を知ることができる。
【0023】そこで、本発明により得られる3重項状態
に励起されたHe原子に、1083nmの円偏光を照射
したところ、スピン偏極パルス励起電子線を得ることが
できた。このスピン偏極は、永久磁石と軟鉄製ポールピ
ースで形成する均一な不整磁場中を原子線を通してスピ
ンの異なるものを弁別する、いわゆるStern-Gerlach実
験を行うことによって、確認できた。
【0024】図3は、得られたStern-Gerlach スペクト
ルを例示したものである。この図3に示したように、円
偏光を照射すると、スピン+1、0の励起原子がほぼ無
くなってスピン−1へ偏り、また、円偏光の回転の向き
を逆にすると全く逆のスピン+1へ偏るようになる。
【0025】
【発明の効果】この発明は、以上詳しく説明したように
構成されているので、以下に記載されるような効果を奏
する。本発明の方法および装置によれば、機械式チョッ
パーを組み込むことを必要とせずに、パルス励起原子線
やパルス紫外光を得ることができることになる。すなわ
ち、表面科学を対象とする計測や材料の創製等の分野に
おいて有用であって、例えば、物質表面や表面内部数層
の電子状態を調べるためのプローブとして、または、表
面化学反応により、物質表面の汚染物質の除去や表面へ
の積層化合物の創製において好適に使用できるパルス化
された励起原子線と紫外光とを高強度で生成させること
ができることになる。
【0026】より具体的には、たとえば、Ti,Zr,
V等の遷移金属の表面に吸着した酸素などの原子が表面
原子の上に存在するのか下に存在するのかが従来より盛
んに研究され、議論され続けているが、本発明により得
られるパルス励起He電子線および紫外光を、上記遷移
金属の表面に照射した際に放出される電子のエネルギー
分布を計測することにより、表面の最も上に存在する原
子の電子状態ならびに表面数層に分布する原子の平均の
電子状態を知ることができ、この異なる深さの電子状態
の違いから吸着した原子の位置を推定することができる
ようになる。
【0027】また、SiやGaAsの半導体素子の製造
においては、素子の本体となる部分を半導体単結晶基板
の上に分子線エピタキシー法によって作成しており、こ
の際の基板表面の洗浄度が、品位を大きく左右するの
で、工業的に重要な課題となっている。基板表面の洗浄
化処理には、従来、オゾン等により汚染物を酸化して除
去する方法が注目されているが、この方法では基板表面
も酸化されてしまうといった問題があった。そこで、本
発明を用いて得られる、内部に20eVの高いエネルギ
ーを持つパルス励起He原子および紫外光を基板表面に
照射すれば、基板表面から強力に電子を奪うことにより
汚染物の表面との化学結合を切り、基板表面を酸化する
ことなく汚染物を除去することができる。
【0028】本発明の方法および装置によって生成され
たパルス励起原子線並びにパルス紫外光源は、最表面の
電子状態を調べる表面電子分光装置の重要かつ標準的な
プローブとして新たな市場を形成するものと見込まれ
る。また、半導体産業等においては、材料表面の汚染を
除去する非反応性のダメージフリーで応用範囲の広いク
リーニング手段として、歩留まり等の生産性を向上させ
ることになると期待される。
【0029】このようなことから、表面解析における性
能の向上と、表面での原子レベル材料創製の完全性を高
め得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のパルス励起原子線および紫外光生成
装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置によって得られたHeパルス励
起原子線および紫外光の飛行時間スペクトルである。
【図3】Stern-Gerlach スペクトルを例示した図であ
る。
【符号の説明】
1 Heガス 2 絶縁性ノズル 2a ガス噴出孔 5 針状電極 8 スキマー 11 トリガ電極 11a 開口 14 試料 15 真空壁 15a 通過孔 16 検出器 17 多チャンネルスケーラー 18 偏向電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項真空中でガスを噴出する絶縁性ノズル中
の電極とスキマー間でパルス放電を生成させ、パルス励
起原子線とパルス紫外光を同時に生成させる方法であっ
て、可変直流電圧の上に重畳されたパルス電圧前記絶
縁性ノズル中の電極に印加することを特徴とするパルス
励起原子線とパルス紫外光の生成方法。
【請求項】 ガスがHeであることを特徴とする請求
項1または2のパルス励起原子線とパルス紫外光の生成
方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この出願の発明のパルス励起原子線とパルス紫外光
の生成方法は、真空中でガスを噴出する絶縁性ノズル中
の電極とスキマー間でパルス放電を生起させ、このパル
ス放電を、絶縁性ノズル中の電極とスキマー間に介在さ
せたトリガ電極へ所定電圧を印加することで安定化させ
て、パルス励起原子線とパルス紫外光を同時に生成させ
ることを特徴としている。また、この出願の発明のパル
ス励起原子線とパルス紫外光の生成装置は、先端にガス
噴出孔が穿設されるとともに内部に針状電極が配設され
た絶縁性ノズルと、絶縁性ノズルのガス噴出孔から所定
距離離れた位置に、漏斗状で先端に開口部を備えたスキ
マーとを具備し、開口を備えたトリガ電極が、絶縁性ノ
ズルのガス噴出孔とスキマーの開口部との間の位置に介
在されていることを特徴としている。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中でガスを噴出する絶縁性ノズル中
    の電極とスキマー間でパルス放電を生起させ、パルス励
    起原子線とパルス紫外光を同時に生成させることを特徴
    とするパルス励起原子線とパルス紫外光の生成方法。
  2. 【請求項2】 前記絶縁性ノズル中の電極とスキマー間
    でのパルス放電が、絶縁性ノズルの中の電極とスキマー
    間に介在させたトリガ電極へ所定電圧を印加することで
    安定化されることを特徴とする請求項1のパルス励起原
    子線とパルス紫外光の生成方法。
  3. 【請求項3】 可変直流電圧の上に重畳されたパルス電
    圧が前記絶縁性ノズル中の電極に印加されることを特徴
    とする請求項1または2のパルス励起原子線とパルス紫
    外光の生成方法。
  4. 【請求項4】 ガスがHeであることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれかのパルス励起原子線とパルス紫
    外光の生成方法。
  5. 【請求項5】 先端にガス噴出孔が穿設されるとともに
    内部に針状電極が配設された絶縁性ノズルと、絶縁性ノ
    ズルのガス噴出孔から所定距離離れた位置に、漏斗状で
    先端に開口部を備えたスキマーとを具備してなることを
    特徴とするパルス励起原子線とパルス紫外光の生成装
    置。
  6. 【請求項6】 開口を備えたトリガ電極が、前記絶縁性
    ノズルのガス噴出孔と前記スキマーの開口部との間の所
    定位置に介在されてなることを特徴とする請求項5のパ
    ルス励起原子線とパルス紫外光の生成装置。
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