JP3564717B2 - 集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法及びその装置 - Google Patents

集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体LSI等のデバイスに集束イオンビームを照射し、微細加工、又は微細成膜を行う装置に係り、特に、集束イオンビーム照射の際、イオン源から照射される物質によりシリコンウエハやデバイス等の試料を汚染しない集束イオンビーム発生手段を備えた処理装置及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
集束イオンビーム(Focused Ion Beam:以下、略してFIBと記す)を用いた装置は多岐に渡り、半導体製造分野でのマスクレスイオン注入、イオンビームリソグラフィ、マスク修正、配線修正、分析分野でのSIMS(二次イオン質量分析)、観察するための試料作成についてはSEM(走査型電子顕微鏡)観察用断面作成、TEM(透過型電子顕微鏡)観察用薄片作成などがある。集束イオンビームを用いた装置では、液体金属イオン源がよく用いられており、加工や修正に用いる装置ではイオン元素としてはガリウムが広く実用に供されている。また、微量加工して試料を分析する分析装置では、デュオプラズマトロン形イオン源による希ガスイオンや酸素イオンがよく用いられている。
【0003】
一方、半導体製造工程におけるイオン注入やリソグラフィ、エッチング等の各工程において、それら各工程が所期仕様を満たしているか、また、不意の微塵埃などで所望の形状形成の達成が損なわれていないかなどの工程管理や、形状欠陥がある場合にこれの修正を各工程後に行なうことは製造歩留の向上の面から非常に重要である。このような管理は、試料への外部からのコンタミネイションを避けるために、製造ライン中で行うことが必須である。所謂、インライン観察、修正または分析である。現在、表面観察については、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて、実際の製造ラインにおいてなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液体金属イオン源は、サブミクロンまでに絞り込まれ、集束イオンビーム加工装置として、半導体LSIやマスクの加工に実際に使用されている。しかし、加工面に照射された金属イオンは、一部の金属元素の例外は有るが一般的には、物理的衝撃の役割を果たした後には、半導体製造プロセスにとっては不純物となり、悪影響を及ぼすことになる。従って、現状では、半導体製造ライン内で液体金属イオン源を積極的に使用することが出来ない状況にある。
【0005】
そこで、発明が解決しようとする課題を明らかにするために、以下、▲1▼FIB応用に見られる問題点、▲2▼集束イオンビームのためのイオン源、▲3▼イオン源の問題点に分けて説明する。
【0006】
▲1▼FIB応用に見られる問題点
FIBを用いた装置である、素子の局所的な断面の様子を観察するFIB断面加工装置や、素子のプロセス欠陥や論理欠陥を修正するFIB修正加工装置や、特定箇所の組成分析を行なうFIBを用いたSIMS装置は、現在半導体素子製造において使用されている光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡のように、量産の製造ラインでは用いられておらず、専ら試験サンプルとして製造ラインから抜き取った試料あるいは製造工程が終了した試料について行なわれている。
【0007】
つまり、再び、製造ラインに戻さないという前提である。理由は、従来のFIBを用いた装置は、試料または試料製造ラインにコンタミネイションを与えるからである。
【0008】
例えば、SiウエハやSiデバイスに、Ga−FIBを用いて上記の断面加工やSIMS分析を施すと、GaがSi上に堆積し、そのGaはSiに対するp型ドーパント(アクセプタ)として働き、長期間に電気的劣化をもたらす。また、Gaの蒸気圧が非常に低いため、Ga−FIBによる加工領域周辺にGaのデポジション領域が観察される。これは単なる電気的汚染を超え、導電膜の形成となり、配線間の短絡などデバイスにとっては重大な問題を引き起こす。
【0009】
また、Au−Si合金を用いた液体金属イオン源(LMIS)を用いたSi−FIBで局所的な微細加工を施したとしても、LMISから蒸発するAu粒子が試料であるSiウエハまたはデバイスを重金属汚染し、デバイス動作に悪影響をもたらす。
【0010】
一方、上記デュオプラズマトロン型イオン源の場合には、不活性ガスをプラズマ化することにより、その中に存在するイオンを引き出して集束イオンビームとするために、加工面に照射されたイオンは、物理的衝撃の役割を果たした後、再びガス原子あるいは分子にもどるので、直接半導体製造プロセスに不純物として悪影響を及ぼすことはない。しかし、プラズマ発生にアーク放電を利用しているため、フィラメント陰極にかかる高電界や高温により、陰極から不純物金属イオンがプラズマ内に混入し、半導体製造プロセスに悪影響を及ぼすことになる。よって、液体金属イオン源同様に、半導体製造ライン内では利用することが出来ない。
【0011】
図2に、従来のFIBを用いた加工装置を応用した半導体素子の検査の一例を示す。半導体素子製造工程では、シリコンウェハに成膜やエッチングやイオン打ち込み等を行うことによりトランジスタ素子や配線を作りこんでいく。この過程で、例えば深穴への成膜や、微細な溝のエッチングなどの難度の高い工程において、正しく加工ができたかどうかを検査する必要がある。この場合、前工程ラインからウェハを抜き出し、素子の断面を観察検査したい個所にGaイオンのFIB(Ga−FIB)を用いた加工装置により穴を加工して、その側壁をSEMにより観察する。
【0012】
しかし、Ga−FIB加工のために照射されたGaがウェハ上に残り、このGaが前に述べたようにデバイスに悪影響を及ぼす。また、このウェハを製造ラインに戻すと、ラインにある各種の製造装置にも汚染を拡げてしまい、更にそのような製造装置で作られるウェハも汚染される恐れがある。そこで、図2に示したように、検査のためにFIB加工を施したウェハは、再び製造ラインに戻すことはせず、廃棄していた。しかし、ウェハは直径200mmであり、この上に100から数百チップのLSIを途中まで作成した付加価値の高いものを、検査のために工程途中で廃棄することは大変不経済である。ウェハが将来は300mmになることもありえるので、この無駄は今後益々無視できないものとなる。
【0013】
また、ウエハ1枚に数百ものチップが作り込まれるため、FIBによる工程管理を従来のようにオフラインで行なうと、1回の加工や分析ごとにウエハ1枚をラインから除外することになり、加工や分析を施さなかった残りの素子を無駄にすることになり不経済であった。
【0014】
図3に、半導体素子の歩留まりに関する状況を示す。半導体素子の製造プロセスにおいて、致命的な欠陥が生ずる確率を単位面積当たりの致命欠陥密度α(個/cm)で表す。αは経験的に試作段階から量産段階になるにつれ減少していくが、決して0にはならず、1〜数個/cmとなる。あるプロセスで作られる層に発生する致命欠陥は、チップ面積に比例して大きくなる。つまりある層だけを見たときの良品歩留まりβは、図3に示したように、チップ面積が大きくなるにつれ下がり、例えばチップ面積が14mm□、すなわち1.96cmであるときは、歩留まりは(1−1.96α)×100%となる。
【0015】
一方、半導体素子は多くの層から形成される。図4は配線層数を横軸にとり、各層ごとの歩留まりβを一定と仮定したときのチップの歩留まりを表したものである。n層の配線層が全て良好にできなければチップは良品とならないから、チップ歩留まりはβのn乗となる。半導体素子の動向として、チップ面積は益々増大し、配線総数は特に論理LSIにおいて4から6層と増えつつある。このため致命欠陥密度αが一定とすると、チップ歩留まりは低下する傾向にある。そこで将来は各層ごとにプロセスにより生じた欠陥を修正しないと良品チップが取得できない状況となる。この修正にはFIBを用いた加工を利用するのが好ましいが、前に述べたように、一旦修正のためにGa−FIB加工をしてしまうと製造工程に戻すことができなくなるので、工程途中での修正は実現できなかった。
【0016】
以上のような背景から、ウエハやデバイスなどの試料を汚染することなくインラインで試料の加工を行なえる、FIBを用いた加工方法や、それを実現する装置が望まれていた。
【0017】
半導体装置におけるイオンビーム加工方法に関しては、特開平2−90520号の『イオンビーム加工方法』(公知例1)において開示されている。この公知例1では、半導体装置が特にSi基板であって、イオン種がSi、C、Ge、Sn、Smのうち少なくとも1種を用いることが示され、特に実施例として、Siイオンを得るためにAu−Si合金(Au82Si18)をイオン源に用いた例が示され、また、Ge、SmについてもAl、Au等の合金から得られることが記載されている。
【0018】
なお、液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source,略してLMIS)と、電気流体力学的イオン源(Electrohydrodynamic Ion Source,略してEHDイオン源)とは同じものであり、構成上違いはない。
【0019】
▲2▼集束イオンビーム形成のためのイオン源
FIBでSi基板やデバイスに電気的汚染を与えず加工するには、Siのエネルギ準位における禁止帯閾内に不純物原子のエネルギ準位を持たないSiイオンやGeイオンが好適であることは明らかである。また不活性な元素であるNe,Ar,Kr,Xe等も好適である。
【0020】
LMISやEHDイオン源からSiまたはGeイオンビームを得る最も簡単な方法は、イオン材料としてSiまたはGeを含んだ合金を用いてイオン材料の融点や蒸気圧を低めて動作させ、FIB光学系内に設けたE×B質量分析器によってSi+、Si+イオンやGe+、Ge+イオンのみを選択して集束化することである。良く知られたSi系合金はAu−Si,Pt−Si,Al−Si合金などであり、Ge系合金は、Au−Ge、Fe−Ge、Pt−Ge、Cu−Ge等である。
【0021】
このように、SiやGeイオンを放出させようとする場合、イオン材料としてAu、Cu、Fe、Pt等との合金を用いることが一般に知られている。しかし、これら合金をイオン材料として用いることは、前節で説明したように、被加工物であるSi素子を、合金成分であるSiやGe以外の元素(例えば、Au、Cu、Pt)で汚染してしまうため、インライン検査に求められる非汚染検査とはならない。特に、AuやPtのような重金属をSi半導体製造ラインに持ち込むことは、タブーとされていることは周知のことである。
【0022】
一方、前節で説明したように、デュオプラズマトロン型イオン源の場合には、プラズマ発生にアーク放電を利用しているため、フィラメント陰極にかかる高電界や高温により陰極から不純物金属イオンがプラズマ内に混入し、結果として半導体製造ラインに悪影響を及ぼすことになる。
【0023】
そこで、FIBによる非汚染検査を実現するためには、EHDイオン源の最適なイオン材料としてSi単体やGe単体や液体状の不活性元素を用いるか、不純物を含まないプラズマ源からの不活性元素でなければならないことが判る。
【0024】
▲3▼現状のイオン源の問題点
Si単体は融点が1407℃、融点での蒸気圧4×10 ̄(Torr)と非常に高いために、LMISの温度制御や熱蒸発制御が困難で、LMISのイオン材料として実用性が少なかった。一方、Ge単体の場合、融点が947℃、蒸気圧が1x10 ̄(Torr)であり、Siと比較して、融点が非常に低く、融点での蒸気圧も低くイオン材料としては有望である。しかし、従来LMISのエミッタ材として広く使われてきたW(タングステン)を、Si−LMISやGe−LMISのエミッタとして用いると、SiやGeは活性であるため、Wを短時間に侵食してエミッタとしての役割を果たさなくさせる。
【0025】
また、エミッタとして用いられるTa,Mo,Reなどの高融点金属についても、溶融SiやGeに浸漬させると数時間で侵食、破壊されてしまい、これらLMISの寿命が極端に短命であるという問題点を有していた。更に、セラミック材のSiCについては、溶融SiやGeと全く濡れず、これもエミッタとしての役割を果たさないという問題を抱えていた。
【0026】
従って、単体のSiやGeをイオン材料としたLMISからのSiイオン、Geイオンの放出の試みは殆どない。単体SiやGeを用いてのイオン放出の報告は見られても、極めて短時間であり、放出イオンを集束化させ、Si−FIBやGe−FIBを形成し、試料の加工を施したという報告は未だない。従って、溶融SiやGeに侵食されず、長時間安定した濡れを維持できるエミッタ、リザーバ材の探索が、Si−LMISまたはGe−LMISを実現させるための重要課題である。
【0027】
上記公知例1には、敢えてSi単体やGe単体、もしくはSiとGeの合金をイオン材料としなければならない理由や効果は記載されておらず、Si単体やGe単体をイオン材料としたイオン源から放出させたFIBによって、半導体素子を微細加工する方法、また、これを実現するための好適なイオン源構成(エミッタ材、リザーバ材)については開示されていない。
【0028】
また、プラズマイオン源により不純物を含まない集束イオンビーム装置を得るためには、基本的には、不純物を含まないプラズマによるイオン生成が有効であり、不純物を発生しない放電機構の適用を検討したが、従来のプラズマからのイオン引き出し機構では、イオンを引き出すための電界と、加速するための電界とは同一の電界であって、独立に制御することができなかった。従って、必要以上の電界が引き出し電極とプラズマとの間にかかり、絶縁破壊を起こす可能性があった。また、イオンを放出するイオンシース面の制御も難しく、このため、引き出されるイオンの一方向性が弱く、サブミクロンのビーム径を達成することも困難である。
【0029】
以上の問題点をまとめると、
(1)従来のGa−FIBを用いた装置やSIMS装置は汚染を伴うため、それらをSi半導体素子製造ラインで用いることができなかった。半導体素子製造ラインにおける検査や修正を行う手段として、ウエハやデバイスに対して汚染を伴わないGa−FIBに替わるイオン源を用いた検査・修正装置がなかった。
【0030】
(2)Si単体、Ge単体、もしくはSi/Ge合金をイオン材料とする長寿命で高安定なイオン放出が可能なSi−LMIS、Ge−LMISがなかった。
【0031】
(3)不活性ガスイオンの集束イオンビーム装置用の汚染物質を含まない高輝度イオン源がなかった。
【0032】
(4)SiウエハやSiデバイスの汚染源とならないSiイオンやGeイオン、不活性ガスイオン等をイオン種とするFIBを用いた装置がなかったため、これらのFIBを用いてSiウエハやSiデバイスを汚染することなく検査・修正することができなかった。
【0033】
従って、このような問題点(1)を克服する検査あるいは修正方法を生み出し、さらにその方法を実現するイオン源の問題点(2)、(3)を解決し、それらイオン源を搭載し、問題点(4)を克服したFIBを用いた検査あるいは修正装置の実現が望まれていた。
【0034】
そこで、本発明の目的は、SiウエハやSiデバイスなどの試料に対しFIBを照射して、電気的汚染やビーム照射によるコンタミネイションを発生させることなく試料の特定箇所を微細加工、微細成膜、分析することが可能な集束イオンビーム発生手段を備えた処理装置及び処理方法を提供することである。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、処理すべき試料の電気的特性に影響をおよぼさないイオンを発生させ、発生させたイオンを集束してイオンビームを形成し、形成したイオンビームを試料に照射し、試料を該試料の電気的特性を損なうことなく処理することを特徴とする集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法により達成される。
【0036】
更に、本発明の目的は、集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置に、試料の電気的特性に影響をおよぼさないイオンを発生させるプラズマイオン源と、プラズマイオン源で発生させたプラズマからイオンを引出してイオンビームを形成するイオンビーム形成手段と、形成したイオンビームを集束させるイオンビーム集束手段と、集束させたイオンビームを試料に照射する照射手段と、照射により処理される試料を設置する試料室とを備えることにより達成される。
【0037】
また、本発明の目的は、集束イオンビーム発生手段を備えた処理装置に、試料に照射しても前記試料の電気的特性に影響をおよぼさないイオンを発生させるプラズマイオン源と、プラズマイオン源で発生させたプラズマからイオンを引出して所望の径のイオンビームを形成するビーム径変更手段を備えたイオンビーム形成手段と、形成したイオンビームを集束させるイオンビーム集束手段と、集束させたイオンビームを試料に照射する照射手段と、照射により処理される試料を設置する試料室とを備えることにより達成される。
【0038】
また、本発明の目的は、集束イオンビーム発生手段を備えた処理装置に、試料の電気的特性に影響をおよぼさないイオンを発生させるイオン源と、イオン源で発生させたイオンを引出してイオンビームを形成するイオンビーム形成手段と、形成したイオンビームを集束させるイオンビーム集束手段と、集束させたイオンビームを試料に照射する照射手段と、照射により処理される試料を設置する試料室とを備えることにより達成される。
【0039】
【作用】
処理すべき試料の電気的特性に影響をおよぼさないイオンを発生させるイオン源として、プラズマイオン源や電界電離イオン源、EHDイオン源の何れかにより構成し、ネオン、クリプトン、アルゴン、ゼノンなどの不活性ガスや窒素のいずれかのガス種、又は試料に照射しても試料の電気的特性に影響をおよぼさないような材料をイオン種として用いることにより、試料の電気的特性に悪影響を与えるような金属汚染によるコンタミネイションを発生させないようにした。
【0040】
特に、試料がシリコンウエハやシリコンデバイスである場合には、上記試料に照射しても試料の電気的特性に影響をおよぼさないような材料として、シリコン単体、ゲルマニウム単体もしくはシリコン/ゲルマニウム合金を用いたEHDイオン源を用いることにより、これから得られるFIBを試料に照射しても、試料の電気的特性に悪影響を与えるような金属汚染を与えることはない。
【0041】
また、プラズマイオン源の場合は、無電極放電により高密度のプラズマを発生させることにより、放電に直接関与する電極がなくなり、金属種を含まないイオンを発生できるので、試料に対して電気的特性に悪影響を与えるような金属汚染によるコンタミネイションを発生することはない。
【0042】
また、プラズマイオン源の場合は、引き出し電極のイオン引き出し口をイオンシ−スの厚さよりも小さい半径にすることにより、プラズマが引き出し口から加速電極側へ拡散することがなくなるので、引き出し電極には、プラズマ中のイオンを引き出すための比較的小さい電圧を印加するだけでよくなる。即ち、プラズマ中に設置された基準電極に対して引き出し電極に電圧を加えることにより、効率よくプラズマに電界がかかり、数十ボルトの低電圧で理論上最大限のイオンを引き出すことができ、従来の装置で発生していたような、引き出し電極付近での絶縁破壊は発生しない。
【0043】
更に、プラズマイオン源の場合は、引き出し電極上にシ−ス面の形状を制御するイオンシ−ス制御電極を設け、イオン放出面積を大きくすることにより、イオン電流密度が増加する。更に、引き出し電極と加速電極との間に設けた集束用電子放出源から引き出し電極側に電子を放出することにより、引き出し口付近でまだ十分に加速されていない電荷密度の大きいイオンに対する空間電荷効果が抑制され、イオンビ−ムは中心軸のまわりに形成される電位の谷で径方向に捕捉され、かつ軸方向の電流制限が緩和される。更に、励磁コイルで、放出された電子を径方向に閉じ込める磁場を発生させることにより、電位の谷で捕捉されたイオンビ−ムの径方向の拡散が抑えられる。
【0044】
また、プラズマイオン源のビーム径変更手段は、(1)プラズマ発生部への入力電力を変えてプラズマの電子密度を変化させると共に、イオン引き出し電極に印加する電圧を制御して引き出し電極の前面に発生したイオンシ−スの厚さを所望の厚さに設定することにより、イオン電流密度を減少させることなく所望の径を有するイオンビームを引き出すことにより、(2)引き出し電極としてテ−パ状の引き出し電極を用い、プラズマ発生部への入力電力を変えてプラズマの電子密度を変化させ、引き出し電極付近でのイオン放出面形状を変えることにより、イオン電流密度を減少させることなく所望の径を有するイオンビームを引き出すことにより、(3)所望の径を有する複数の引き出し口を持つ可動構造の引き出し電極を用い、所望のイオンビーム径に応じて、それに対応する引き出し口をイオンビーム引き出し位置に移動させて、イオン電流密度を減少させることなく所望の径を有するイオンビームを引き出すことにより、(4)シ−ス面制御電極及び絶縁板を有した多孔式電極で構成した引き出し電極を用い、シ−ス面制御電極の印加電圧を制御して引き出し電極上のイオンシース面の形状を変化させてイオン電流密度を減少させることなく電極の所望の孔からだけイオンを引き出して所望の径を有するイオンビームを形成することにより、(5)プラズマ発生部への印加電力を変えてプラズマの電子密度を変化させると共に、引き出し電極の下方にテ−パ絶縁スペ−サ及びメッシュ電極を設けて引き出し電極とメッシュ電極とに印加する電圧を制御してプラズマ領域を変化させ、所望の径を有するイオンビームを形成することにより、(6)メッシュ状の引き出し電極を用い、移動式加速電極と組み合わせ、イオン通過口を機械的に切り替えてイオン電流密度を減少させることなく所望の径を有するイオンビームを引き出すことにより、所望の径を有するイオンビームが得られる。
【0045】
また、このようにビーム径が可変な、プラズマイオン源を用いた集束イオンビーム装置を用いることにより、試料の深層構造の微細加工、あるいは新構造の形成あるいは断面からの信号を得て、試料の観察、分析を、試料を汚染することなく高速に行う事ができる。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
本実施例1では、集束イオンビーム(FIB)のイオンビーム発生源としてのプラズマイオン源について、図1から図27により説明する。
【0047】
図1は、1/4波長共振形半同軸空洞共振器によるマイクロ波放電プラズマをイオン源とする、集束イオンビームを用いた加工装置の構成図である。図1において、1はマイクロ波入射同軸線路、2は1/4波長共振型半同軸空洞共振器、3は波長調整ねじ、4は引き出し電極、5は加速電極、6は基準電極、7は石英ガラス管、8は生成されたプラズマ、9は磁界発生装置、10は加工作業用真空容器、11は励磁コイル、12は集束用電子放出源、13はブランキング電極、14は3枚電極レンズ、15はスティグマトール電極、16はデフレクター電極、17は二次粒子検出器、18は被加工物、19はステージ、20は集束イオンビーム、21は二次粒子である。
【0048】
まず、図1を用いて本発明によるプラズマイオン源の作用を説明する。
【0049】
マイクロ波入射同軸線路1を通して2.45GHzのマイクロ波が、1/4波長共振型半同軸共振器2に入射する。1/4波長共振型半同軸共振器2には、不活性ガスが封入された石英ガラス管7が設置される。なお、波長調整ねじ3を調整することでマイクロ波電力が1/4波長共振型半同軸共振器2に最大供給条件のもとで供給される。この時、不活性ガスは電離してプラズマ8となる。プラズマ8は、磁界発生装置9により発生した引き出し口近傍の磁束密度875Gauss の磁界でECR(Electron Cyclotron Resonance)効果を起こし、プラズマのカットオフ周波数を越えて電磁波が入射されるので、局所的に1012〜1013/cmの高密度プラズマが生成される。
【0050】
プラズマ8中に存在するイオンは、プラズマ8中に設置された基準電極6に対して負の電位を与えられた引き出し電極4に開けられた引き出し口から、引き出し電極4と加速電極5間の空間に引き出される。引き出されたイオンは、加速電極5により加工作業用真空容器10内にある被加工物18に向かって加速され、集束イオンビーム20となる。
【0051】
ところで、加工に必要なイオンのエネルギーは数十キロエレクトロンボルトであるのに対して、引き出し口を出た直後のイオンは数十エレクトロンボルトのエネルギーであるので、mをイオンの質量、vをイオンの速度、qを電荷量、Vを加速電圧とすると
【0052】
【数1】
Figure 0003564717
【0053】
から、引き出し口を出た直後のイオンの速度は、加工に必要なイオンの速度の3%程度でしかない。ここで、Qを引き出し口付近での電荷密度、Qを加速後の電荷密度、vi1を引き出し口付近での速度、vi2を加速後の速度、Sは引き出し電極付近でのビーム断面積、Sは加速後のビーム断面積とすると、
【0054】
【数2】
Figure 0003564717
【0055】
が成り立ち、単位長さ当たりの電荷量は速度に反比例する。
【0056】
従って、引き出し口を出た直後のイオンは加速後に比べて電荷量が大きいので、イオン自身が持つ電荷によって互いに反発し合い、速度が大きくなるにつれビームが広がる。この影響を防ぐために、イオンとは逆の電荷を持つ電子を電子放出源12から放出させ、かつ励磁コイル11により磁界を発生させ、電界と磁界の相互作用による力で電子を引き出し口付近に集めて、イオン同士の反発力を中和している。加速電極5を通過した集束イオンビーム20は、ブランキング電極13を通過する。このブランキング電極13は2枚の電極板からできており、この電極間に電界をかけることにより集束イオンビーム20の軌道を変え、被加工物18に集束イオンビーム20が到達しないようにする、すなわち集束イオンビーム20のオン、オフを行う機能を持つ。
【0057】
ブランキング電極13が動作しない場合、集束イオンビーム20は3枚電極レンズ14に入射し、3枚の電極の電圧制御を行うことにより加工に必要なビーム径とビーム電流密度となる。引き続き、集束イオンビーム20はスティグマトール電極15に入射し、3枚電極レンズ14の非対称成分による非点収差が補償される。微細加工に必要な性能となった集束イオンビーム20は被加工物18に照射されるが、微細加工のためにはステージの移動のみでは十分な加工位置精度が得られない。従って、デフレクター電極16内の電界により集束イオンビーム20の軌道を更に細かく変えて任意の位置の加工を行う。
【0058】
次に、本発明によるプラズマイオン源のイオン引き出し機構について、従来のプラズマイオン源と比較して説明する。
【0059】
従来、プラズマからイオンを電界によって引き出す場合、プラズマと接する壁に開いたイオン引き出し口を通してイオンを引き出すため、プラズマがこの引き出し口を持つ壁(導体、不導体に限らず)に接することにより、電子とイオンの質量差のためにシースと呼ばれる本来プラズマの特徴である電荷中性条件の成り立たない領域が発生する。
【0060】
更にほとんどの場合において、イオンは電子に比べ重いので、イオンによる電流と電子による電流のバランスを保つために壁付近にはイオンが過剰になり、イオンシースとなる。プラズマ化するガスのガス圧力が数パスカルから数十パスカル程度であれば、シース内で粒子同士の衝突の無い無衝突プラズマとして取り扱うことができ、「プラズマ ダイアグノスティック テクニックス」(PLASMA DIAGNOSTIC TECHNIQUES, ACADEMIC PRESS, NEW YORK, 1965)のシース生成理論から引き出し可能な最大イオン電流密度を見積もることができる。
【0061】
イオンシース内の電位はプラズマ電位に比べ低く、プラズマより電子温度Teの2分の1低い電位の位置から壁までがシースと定義される。この時、プラズマから流れ込むイオン飽和電流密度Jiは
【0062】
【数3】
Figure 0003564717
【0063】
で表される。ここで、Neはプラズマ中の電子密度、kはボルツマン定数である。従って、アルゴンガスを例に、数3を用いてプラズマから引き出し可能な最大のイオン飽和電流密度Jiを、電子密度Neをパラメータにして計算すると、図5に示すようになる。
【0064】
ところで、近年半導体微細加工やSIM像観察等に用いる集束イオンビームは、ビーム径0.1μmで電流1nA程度、すなわち電流密度10A/mの性能が要求される。従って、3枚電極レンズ14のイオン光学レンズを用いてビーム径を10分の1まで集束しても、イオン源から引き出されるイオン電流密度は少なくとも10A/mが必要となる。よって図2から電流密度10A/mを得るには数エレクトロンボルトの電子温度の場合、1013/cm近くの電子密度のプラズマが要求される。
【0065】
一方、ガスがイオンと電子に電離した状態であるプラズマが中性と見なせる距離、即ちデバイ長λdは、真空の誘電率をεとしたとき、
【0066】
【数4】
Figure 0003564717
【0067】
で表されるが、電子密度Neをパラメータにして計算した結果(図6)から上記した電子密度1013/cmの場合のデバイ長λdを求めると、数μmとなる。
【0068】
また、イオンの初速度が無視できれば、ラングミュアチャイルドの3/2乗則から、電極電位をV、シース端電位をV(シ−ス生成条件、電子温度Teの−2分の1)、シース厚をαとするとイオン飽和電流密度Jiは
【0069】
【数5】
Figure 0003564717
【0070】
となる。よって、電子温度Teをパラメータにして数3と数5からシース厚αを求めると、平板電極の前面には、その電極とシ−ス端電位との電位差に応じて図7に示すような厚さのイオンシースが形成されることになる。
【0071】
図7中、Vは浮動電位と呼ばれ、プラズマ8から電極に流れ込む電流が零である時のシース端電位と電極間電圧である。従って、電極に電圧がかからない時には、電極前面にはデバイ長の数倍の厚さ10μm程度のイオンシースが常に存在する。
【0072】
従来、プラズマイオン源を用いた集束イオンビーム加工装置の場合、イオン引き出し機構は、図8に示すような構造を持ち、引き出し口を持つ従来型引き出し電極28を基準にして、加速電極5に引き出し電圧を加える。従来型引き出し電極28、加速電極5間に電圧を加えない場合は、引き出し口径Dに比べてイオンシース22の厚さDが小さく、引き出し口を越えて加速電極5にまでプラズマ8の領域が広がっている。この状態ではイオンのみを引き出すことができないため、図9に示すように、高電圧を加えることによって加速電極5近傍のイオンシース22を成長させて、プラズマ8が従来型引き出し電極28の引き出し口を通って加速領域にまで広がらない状態にする必要がある。
【0073】
例えば、従来のプラズマイオン源を用いた集束イオンビーム加工装置の引き出し機構は電子温度1eV、電子密度1011/cmの比較的低密度プラズマを利用し、図6からデバイ長は25μmであるので、浮動電位VFでのシース厚Dはその数倍、100μm程度となり、引き出し口径DHを1.5mm、従来型引き出し電極28と加速電極5間に電圧10kVを印加するとすると、10mPa以下の圧力下での電極間絶縁距離dg(cm)、絶縁破壊電圧Vb(V)は
【0074】
【数6】
Figure 0003564717
【0075】
の関係が成り立つので、従来型引き出し電極28と加速電極5の間隔は4mmとなる。
【0076】
しかし、数6の真空中の絶縁破壊電圧に比べてイオンシース20の絶縁破壊電圧は低いので、プラズマと電極間で絶縁破壊を起こし、十分に引き出すことが出来ない。
【0077】
そこで、本発明では、上記した従来のようなイオンを引き出すための電界と加速するための電界が同一となる引き出し機構ではなく、図10に示すように、常に引き出し口径Dに対して、浮動電位のイオンシース厚DS1がその2分の1以上となる状態で動作させることにより、引き出し電極4に電圧を印加しない状態でも引き出し電極4を越えて加速領域にプラズマ8を広がらせず、引き出し電極4の面積に比べて大きく、かつプラズマ8に接した図1における基準電極6に対して引き出し電極4に直接電圧を印加することにより、数十ボルトという低い電圧でも、シース厚DS2となったイオンシース22を通してイオンを飽和電流値まで引き出すことが可能となる。
【0078】
従って、微細加工用集束イオンビームのビ−ム径0.1μmを得るには、本発明の場合、3枚電極14で10分の1に絞るので、1μmの引き出し口径を持つ引き出し電極4を用いている。なお、密度が1013/cmのプラズマ8では、イオンシ−ス厚DS1は10μm程度であり、DS1≧1/2Dを満たしている。また、引き出し電圧を変えてもイオン放出面と引き出し電極面は常に平行であるので、イオン電流密度は一定であるが、イオンは引き出し電極面に垂直に加速されるため、従来の引き出し機構に比べて引き出し口を通過した時点では、全くビ−ムの広がり成分を持たない集束性の良いビームを発生できる。すなわち、イオンの引き出し電界と引き出された後の加速電界とを独立に制御することができるので、直接シースに高電界がかからず、絶縁破壊することなくイオンを限界値まで引き出すことが可能となる。なお、絶縁物25上にあるイオンシース制御電極24には電圧を印加しない。
【0079】
一方、図11に示すように引き出し電極4と絶縁物25で電気的に絶縁されたイオンシース制御電極24に外部電源により電圧を印加してプラズマ電位に近づけるか、あるいはイオンシース制御電極24にフィラメント材料を用い、電流加熱や赤外レーザ加熱により熱電子放出を行うことで、イオンシース制御電極24前面のシース面の形状を制御することが可能となり、例えば、凹形のイオン放出面を形成させて、平面に比べてイオン放出面積を大きくしてイオン電流密度を増加させたり、上記図11におけるシース面と引き出し電極との平行度を更に微調整することにより放出されるイオンの一方向性を向上させることが可能となる。
【0080】
また、このイオンシース制御電極24は従来の引き出し機構(図9)にも適用でき、イオン放出面の形状を制御することが可能である。なお、上記各電極4、24のプラズマに対する電圧の極性を変えることにより、そのまま電子銃として同様に動作させることもできる。
【0081】
次に、上記引き出し機構により引き出し電界と加速電界を独立して制御することができるため、引き出し口から出たイオンを微細加工に必要な速度に加速する加速機構が必要となる。そこで、本発明におけるイオン加速機構について、図12ないし図14を用いて説明する。
【0082】
引き出し口から出た一方向性の強いイオンは、引き出し電極4と加速電極5間の加速電界により加速されるが、上記したように引き出し口付近の低速度イオンは電荷量が大きいために、同一の電荷によるクーロン力で空間電荷効果が働く。この空間電荷効果は主に
(1)径方向のイオンビーム発散
(2)軸方向の空間電荷制限による電流制限
であり、イオンビームの性質に直接関わる。従って、図1における加速後のイオン光学系14、15、16での集束効果を向上させ、微細加工に必要な集束イオンビームを得るには空間電荷効果を抑制する必要がある。
【0083】
従来、空間電荷効果を抑制するために荷電粒子による空間電荷の中和が行われる。例えば、イオンビームの場合には、図12に示すように集束用電子放出源12から電子ビーム26を集束イオンビーム20に照射する。この場合、空間電位をφ、集束イオンビーム20の電荷密度をρi、電子ビーム26の電荷密度をρeとするとポアソンの方程式は、
【0084】
【数7】
Figure 0003564717
【0085】
となる。
【0086】
集束イオンビーム20の電荷密度ρiに対して、電子ビーム26の電荷密度ρeが大きい場合、数7から見かけ上、電子による電荷のみとなり、ビーム中心軸を中心に電位の谷ができ、イオンはこの電位の谷に捕捉され、ビームの発散が抑えられる。更にラングミュアチャイルドの3/2乗則による軸方向の空間電荷制限を空間電荷の中和により緩和することができる。なお、図12は、図面の横は縦に対して50倍に拡大されている。
【0087】
しかしながら、上記空間電荷中和法では電位の谷の径を制御できないために、イオンビームの集束効果を十分に得ることができない。一方、本発明では、図12に示すように、電子放出源12から集束イオンビーム20の電荷密度ρiに対して、電子ビーム26の電荷密度ρeを大きくして径方向に電位の谷を発生させるだけでなく、加速領域に図1に示した励磁コイル11を用いて、図12に示す電子ビーム26用閉じこめ磁界を発生させる。この時の図12におけるA−A’断面を、図13に示した。励磁コイル11は、4つの巻線コイルからなり、各巻線コイルには、紙面の裏から表方向に向かって電流が流れ、磁束密度Bの磁界が発生する。
【0088】
この磁界は、図12で示すE×Bによる力Fを電子に与え、図13に示す電子ビーム集束領域27に電子ビームを閉じこめる。この結果、磁界の強さによって電子ビーム集束領域27、すなわち電位の谷の領域が制御され、集束イオンビーム20のビーム径および軸方向の空間電荷制限を制御することができる。また、図14に示すように、励磁コイル11の左右の巻線コイルに紙面の表から裏に向かって電流を流せば、電子ビーム集束領域27の形状が変わり、集束イオンビーム20の集束領域形状を制御することもできる。
【0089】
以上、本発明の実施例1によるプラズマイオン源では、引き出し電極のイオン引き出し口をイオンシ−スの厚さよりも小さい半径にすることにより、イオンが引き出し口から加速電極側へ拡散することがなくなるので、引き出し電極には、プラズマ中のイオンを引き出すための比較的小さい電圧を印加するだけでよくなった。即ち、プラズマ中に設置された基準電極に対して引き出し電極に電圧を加えることにより、効率よくプラズマに電界がかかり、数十ボルトの低電圧で理論上最大限のイオンを引き出すことができるようになり、従来の装置で発生した、プラズマイオン源の引き出し電極付近で絶縁破壊を引き起こすという問題が解決された。
【0090】
更に、引き出し電極上にシ−ス面の形状を制御するイオンシ−ス制御電極を設け、イオン放出面積を大きくしたことにより、イオン電流密度を増加させることできた。
【0091】
更に、引き出し電極と加速電極との間に設けた集束用電子放出源から、引き出し電極側に電子を放出させることにより、引き出し口付近でまだ十分に加速されていない電荷量の大きいイオンに対する空間電荷効果が抑制され、イオンビ−ムを、中心軸のまわりに形成される電位の谷で径方向に捕捉し、かつ軸方向の電流制限を緩和させることができるようになった。更に、励磁コイルで、放出された電子を径方向に閉じ込める磁場を発生させることにより、電位の谷で捕捉されたイオンビ−ムの径方向の拡散を抑えることができるようになった。これらにより、プラズマイオン源から、電流密度の高いイオンビームを引出すことができるようになった。
【0092】
以上、説明した本発明によるプラズマイオン源を用いて集束イオンビーム加工装置を構成することにより、即ち、図1における1、2、3、7、8、9からなる高密度マイクロ波プラズマ発生機構、図1における6、図10における4、24、25からなるイオン引き出し機構、図1における11、図12における4、5、12からなる電子ビーム・磁界集束機構、および図1における14、15、16からなるイオン光学系を用いて構成することにより、従来のプラズマイオン源を用いた集束イオンビーム加工装置に比べ、約10分の1のビーム径0.1μmで、かつ約100倍の電流密度10A/mの金属イオンを含まない集束イオンビームを発生することが可能となり、試料を不純物で汚染することなく極微細な加工を行なうことができる。
【0093】
また、本実施例では被加工物18を集束イオンビーム20の物理的衝撃により加工するのみではなく、物理的衝撃に伴って被加工物18の表面から放出される二次粒子21を二次粒子検出器17で電気信号として検出し、集束イオンビーム20の走査に同期してCRT上を走査している輝点に輝度変調をかけることにより、二次粒子像を得て、被加工物18の加工状態を観察しながら微細加工を行うことができる。
【0094】
なお、プラズマ生成部に関して上記発生機構は一例であり、無電極放電で高密度プラズマを生成できる発生機構であれば特に制限はない。
【0095】
以上説明したように、本発明の実施例1のプラズマイオン源を用いた集束イオンビ−ム加工装置は、ビーム径0.1μm、電流密度10A/mの集束イオンビームを発生させることができ、半導体製造ラインを流れるウエハまたはデバイスの微細な加工が可能である。一方、半導体製造ラインを流れるウエハまたはデバイスは多層構造を持ち、そのウエハまたはデバイスの製造来歴を検査、修正するには表面に対して下層にあるパタ−ンまで深く掘り下げることが必要になる。
【0096】
この際、検査あるいは修正をする層に達するまで、イオンビ−ム径に対して数倍から数百倍の径もしくは辺を持つ大きな断面積を有する上記深穴を掘らなければならない。しかし、ビーム径0.1μm、電流密度10A/mのイオンビ−ムでは、上記大面積深穴を加工するには長時間を要するため、同じ電流密度でビーム径0.1μmの数倍から数十倍の、径の太いイオンビ−ムを形成すること必要となる。そこで、本発明のプラズマイオン源を用いた集束イオンビ−ム装置では、電流密度を下げずにビーム径0.1μmの数倍から数十倍の径を有する、大口径高密度集束イオンビ−ムを発生する機能も有している。
【0097】
また、上記プラズマイオン源を用いたイオンビーム処理装置は、上記した集束イオンビーム加工装置に限定されるものではなく、シリコンウエハ検査装置や二次イオン質量分析装置、表面異物検査装置、FIBアシストデポジション等にも容易に摘要できることは、言うまでもない。
【0098】
次に、本発明によるこの大口径高密度集束イオンビーム形成機構について、図15から図27で説明する。ここで、上記したプラズマイオン源で説明して構成要素と同じものについては、同じ番号を付して説明する。
【0099】
図15は、図10に示した引き出し電極4と電極間絶縁破壊の式である数6により決定される距離にある加速電極5を示した図である。この時、プラズマの状態は電子密度Ne、電子温度Teで表され、引き出し電極4の電位は接地電位に対してVe、加速電極5は接地電位に対してVaの電位を持つ。図5に示したように、プラズマから引き出しえるイオン電流の電流密度は電子密度Ne、電子温度Teで決まり、図7で示した引き出し電極4の前面にイオンシ−スが発生するプラズマ電位Vpと引き出し電極4の電位差Vf以上の電位差を作れば、常に一定のイオン電流密度を得ることができる。しかし、D(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満足しなければ、プラズマが引き出し電極4と加速電極5間に広がり出てしまうため、単純に引き出し口径を大きくするだけで、前述したような高密度のイオンビ−ムを発生させることはできない。
【0100】
一方、「電子・イオンビームハンドブック;日本学術振興会第132委員会編;日刊工業新聞社」123〜129頁に述べられているように、引き出し口のような円孔が存在するとき、その付近の電界によって、イオンの軌道が変化するため、ビームの焦点距離が移動し、一種のレンズ作用(イオンレンズ効果)をする。
【0101】
従って、引き出し口径を変えずにビ−ム径を変えるには、加速電圧Vaを調整して、引き出し口付近での上記イオンレンズ効果を利用することになる。しかしながら、前記方法はビ−ムをデフォ−カスすることになり、電流密度は減少してしまう。そこで、マイクロ波源の出力を大きくし、プラズマ密度を上げて電子密度Neを増加させることにより、前記条件で電流密度を一定に保つ方法も考えられるが、図27に示す様に、電子密度Neが増加するにつれ、シ−ス厚が減少するのでD(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満足できなくなる。
【0102】
一方、図16に示すように、電子密度を増加させても、図7で示した様に前記電位差すなわちシ−ス端−平板電極間電圧が変化するとシ−スの厚さは変化し、D(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満足させるシ−ス端−平板電極間電圧以上の電圧を印加すれば、プラズマが引き出し電極4と加速電極5間に広がり出ずに、引き出すことが可能となり、加速電圧Vaを調整して、引き出し口付近でのイオンレンズ効果を利用し、ビ−ムをデフォ−カスして加速電極5のイオン通過口径DH2以下の太いイオンビ−ムを得ることが可能となる。しかし、上記したような、電極構造は変えずにイオンビ−ム径を変更する方法では、ビ−ム径を変更するために加速電圧Vaが変化してしまう。
【0103】
そこで、本発明による大口径高密度イオンビームを形成する方法においては、加速電圧Vaを変化させずにイオンビ−ム径を変更する方法として、電極構造を変える必要があり、図17、18に示すように引き出し電極4に変えて、引き出し口にテ−パを付けたテ−パ引き出し電極204を用いる構成とした。
【0104】
図17には、イオンビ−ムの径を通常の加工に用いるような微小な径に設定した場合を、また、図18には、図17におけるシ−ス端−平板電極間電圧を一定のままに維持して電子密度Neを増加させた場合の状態を示す。図18では、図17の状態と比較してシ−ス厚が減少し、D(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)が満足されなくなる。しかし、完全にプラズマがテ−パ引き出し電極204と加速電極5間に広がり出ない程度に電子密度を増加させると、イオン放出面は引き出し口の付近で引き出し方向に向かって凸となり、イオンはこのイオン放出面に垂直に放出されるので、テ−パ引き出し口付近でのイオンレンズ効果を利用せずに、ビ−ムをデフォ−カスすることができる。なお、テ−パ引き出し口はイオン放出面から出たイオンを側壁で消滅させない効果を持つ。
【0105】
この結果、プラズマの電子密度Neを変化させるのみで、大口径高密度のイオンビ−ムを発生させることが可能となる。
【0106】
また、図19、20には、プラズマの状態、電子密度Ne、電子温度Te一定、加速電位Va一定のままで、イオンビ−ム径を変化させる方法を示す。電極構造として引き出し電極4に替えて移動式引き出し電極304を用いる。すなわち移動式引き出し電極304は数種類の径の引き出し口を備えており、必要に応じて移動式引き出し電極304を水平移動して、プラズマに接しない位置に退避していた必要な径を持った引き出し口をイオンビ−ム軸に移動できる。
【0107】
微小径ビーム用の図19での引き出し口3041を移動させ、図20の大口径ビーム用の引き出し口3042をイオンビーム軸に移動することで変更し、DS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)が満足するよう、図7に基づき、シ−ス端−平板電極間電圧を調整する。その結果、プラズマの状態を示す電子密度Ne、電子温度Te一定、加速電位Va一定のままで、イオンビ−ム径を変化させることが可能となる。
【0108】
更に、図21、22にはプラズマの状態を示す電子密度Ne、電子温度Te一定、加速電圧Va一定のままで、イオンビ−ム径を変化させる別の方法を示す。電極構造として、引き出し電極4に替えて多孔式引き出し電極406を用いる。多孔式引き出し電極406の上には、シ−ス面制御電極404,404´及び絶縁板405,405´が、多孔式引き出し電極406の中心の引き出し口4061,4062上に設けられている。
【0109】
図21に示すように、微小径ビーム形成時には、DS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)の条件を満たすようにシ−ス面制御電極404に電圧が印加され、更に、多孔式引き出し電極406にもシ−ス面制御電極404と同じ電圧あるいはそれ以下で、DS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満たす電圧が印加されている。この時、イオン放出面は、シ−ス厚を保持するためにシ−ス面制御電極404の形状に沿った形で形成される。よって、シ−ス面制御電極404の電圧を調整することでイオンは多孔式引き出し電極406の中心の引き出し口4061に集中し、周囲の引き出し口4061´からは引き出されない。従って、中央の引き出し口4061から、微小径のイオンビ−ムが引き出される。
【0110】
一方、図22に示すように、シ−ス面制御電極404に印加された電圧をDS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を保ちながら調整し、イオン放出面を多孔式引き出し電極406に平行になるまでシ−ス端−平板電極間電圧を下げる。この結果、多孔式引き出し電極406の有する引き出し口4061および4061´全体から、均等に一定電流密度で引き出され、加速電圧の調整による引き出し口4061および4061´付近でのイオンレンズ効果を利用して、各ビ−ムをデフォ−カスして加速電極5に設けられた通過口径DH2(=ビ−ム径DB)の大口径高密度イオンビ−ムが発生可能となる。
【0111】
次に、図23、24にはテ−パ引き出し電極204を用いた場合と同様に、プラズマの状態を示す電子密度Neの変化によりイオンビ−ム径を変化させる、別の方法を示す。電極構造として、引き出し電極4の下方にテ−パ絶縁スペ−サ506を挟んで、メッシュ電極505を設置し、その下方には、加速電極5が設置される。
【0112】
図23に示すように、微小径ビーム形成時には、DS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満たした状態でイオンが引き出される。引き出されたイオンは、メッシュ電極505に印加された加速電圧により加速されかつ、引き出し口径DH1より小さいメッシュ電極505の通過口径DH2により微小径のイオンビ−ムとなる。なお、微小径ビーム形成時には、メッシュ電極505の下方に設置された加速電極5に、二次加速電圧が印加される。
【0113】
一方、図24では、DS(シ−ス厚)<1/2DH1(引き出し口径)となる電子密度Neまで増加してプラズマの状態を変化させ、プラズマが引き出し電極4とメッシュ電極505間に広がり出す状態とする。前記空間にテ−パの付いた絶縁スペ−サ506に沿って広がったプラズマは、メッシュ電極505に接し、メッシュ電極505が引き出し電極の役割を果たすようになる。この時、引き出し電極として作用するメッシュ電極505にはDS(シ−ス厚)≧1/2DH2(引き出し口径)を満足する電圧が印加される一方、引き出し電極4には電圧は印加せず、浮遊電極としておく。
【0114】
この結果、広がり出たプラズマと接するメッシュ電極505上の引き出し口から、イオンが引き出される。更に、電子密度を増加させると、テ−パ絶縁スペ−サ側壁及びメッシュ電極505の前面に発生したシ−ス厚は短くなり、プラズマと接する引き出し口数は多くなり、引き出されるイオンビ−ム本数は多くなる。この時、メッシュ電極505の下方に設置された加速電極5にはメッシュ電極505から引き出されたイオンビ−ムを加速するための電圧が印加される。また、引き出し口付近のイオンレンズ効果を利用してデフォ−カスすることにより、多孔イオンビ−ムを、大口径高密度の太い1本のイオンビ−ムにすることが可能となる。
【0115】
更に、図25、26には、プラズマの状態、引き出し電圧及び加速電圧を変えずにイオンビ−ム径を変化させる方法を示す。電極構造として、メッシュ引き出し電極604及び移動式加速電極605、及びその下方には加速電極5が設置される。図25に示すように、DS(シ−ス厚)≧1/2DH1(引き出し口径)を満たす電子密度Ne及びシ−ス端−平板電極間電圧とし、メッシュ引き出し電極604の引き出し口6041からイオンを引き出す。引き出された多孔イオンビ−ムは移動式加速電極605により均一に加速されるが、微小径ビーム形成時には、移動式加速電極605の通過口6051は、微小径ビーム形成に必要なビ−ム径DBのみが開いているだけで、通過できないイオンは移動式加速電極605面で消滅する。なお、移動式加速電極605を通過したイオンビ−ムは、下方に設置された加速電極5(図示せず、図22参照)により2次加速される。
【0116】
一方、図26では、図25の微細加工時にはプラズマに接しない位置に退避していた大口径用の通過口6052が機械的に水平方向に移動して、イオンビ−ム軸に設置される。この結果、図25では通過できなかったイオンビ−ムが移動式加速電極605を通過できるようになり、下方に設置された加速電極5(図示せず、図22参照)により2次加速された後、大口径で高密度のイオンビ−ムが得られる。なお、図25、26のどちらにおいても、引き出し口6041付近のイオンレンズ効果を利用して、イオンビ−ムをデフォ−カスしている。
【0117】
以上に説明したような、大口径高密度集束イオンビーム形成機構を設けた集束イオンビーム装置を、大面積深穴の加工に用いることにより、半導体製造ラインを流れるウエハまたはデバイスの、断面観察や配線修正を高速に実行することが可能となる。
【0118】
更に、以上に説明したような、本発明によるプラズマイオン源を用いた集束イオンビ−ム処理装置は、金属イオンによる試料の汚染がないため、シリコンウエハ検査装置や二次イオン質量分析装置、表面異物検査装置、FIBアシストデポジション等に摘要できる。また更に、半導体製造ライン上でのLSIやマスクの修正が可能になり、製品の歩留まりを向上させることができる。また、IMA(Ion Micro Analyzer)等の評価計測分野に対しても、金属イオンによる汚染を生ずることなく、被測定物のSIM像を観察できる。また、二次イオン質量分析装置等の分析装置にも容易に摘要できる。
【0119】
(実施例2)
本実施例2では、集束イオンビームの発生源としてゲルマニウム単体をイオン材料としたゲルマニウムEHDイオン源(以下、Ge−EHDイオン源と略記)を用いた集束イオンビーム装置について説明する。
【0120】
まず、本発明によるGe−EHDイオン源の全体構成を図29に示す。図29において、101は針状電極(エミッタとも言う)、103は溜め部(リザーバとも言う)、107、107’は導線(フィラメントとも言う)、108は引出し電極である。
【0121】
エミッタ101はエミッタ支持端子102に固定され、リザーバ103を貫通して設置されている。リザーバ103内にはイオン材料(本実施例ではゲルマニウム単体)104が充填され、絶縁性の座105に固着された電流導入端子106、106’を通して導入される電流によってフィラメント107、107’、リザーバ103が加熱され、リザーバ103内のゲルマニウム104が溶融状態になりエミッタ101先端に達する。ここで、引出し電極108にエミッタ101電位に対して負の高電圧(電源などは図示せず)を印加することで、エミッタ101先端の溶融ゲルマニウム104はイオン109となって放出される。
【0122】
エミッタ101の具体的形状は、シャフト径0.25mm、先端半径50°、先端曲率半径約2μmの針状で、リザーバ103は内径0.7mm、外径1.0mm、高さ2mmの円管状である。エミッタとリザーバの材質は前節で詳述したように、通常よく用いられているタングステンではなく、いずれも炭化タングステン(WC)である。また、直径0.1mmのフィラメント107、107’もWCからなる。また、座105はアルミナセラミック製である。
【0123】
動作温度(リザーバ温度)は950℃から970℃以内に設定することで長時間動作が期待できる。1000℃以上の動作温度にすると、イオン材料の蒸発が激しく、寿命の短命化や絶縁物への付着による絶縁破壊を生じ適切ではない。逆に、950℃以下ではエミッタ先端のゲルマニウムが凝固し、これも安定イオン放出を阻害する。
【0124】
本イオン源は、▲1▼イオン材料にGe単体を用いたため一次イオンビーム内に重金属、ドーパント元素イオンを含むことはなく、試料面への重金属、ドーパント元素の汚染を除去したこと、▲2▼エミッタ、リザーバ材に炭化タングステンを用いいたため溶融Geとの反応を軽減し、長寿命化が実現したことで、引いてはイオン源の交換までの時間が長くなった、という利点を有する。
【0125】
次に、上記Ge−EHDイオン源を搭載した集束イオンビーム装置の一実施例を、Siウエハ検査装置に適用した例を、図28を用いて説明する。
【0126】
最大加速電圧30kVのFIB装置110に、本発明によるGe−EHDイオン源111を搭載した。112はGe−EHDイオン源のエミッタ、113は引出し電極を示し、FIB光学系は、イオン源から放出したイオンの拡がりを制限するビーム制限アパチャ114、集束レンズ115、115’、電場と磁場を重畳したE×B質量分離器(ウィーンフィルタ)116、絞り117、偏向器118などから成る。試料台119上の試料120にGe−FIB121を照射し、照射地点から放出した二次電子122を二次電子検出器123に取り込み、Ge−FIB121の偏向とCRT(図示せず)の走査を同期させることでCRT上にGe−FIB121走査領域の二次電子像を描かせることができる。
【0127】
本発明に基づく実施例2の特徴の一つは、ビーム制限アパチャ114、絞り117はシリコン板で作成したことにある。Ge−EHDイオン源111から放出したGeイオンがイオン光学部品、特に、ビーム制限アパチャ114、絞り117を照射し、そこから生じる二次粒子、二次イオンが試料に到達して汚染源となるためである。したがって、従来アパチャなどに頻繁に用いられていたモリブデンやタングステンは用いず、シリコン板を用いた。シリコン板のほかに、炭素板、炭化シリコン板についても同様の効果を示した。
【0128】
このような構成のFIB照射系でGeイオンビームを集束させ、二次電子像の分解能から70nm程度のビーム径に集束されていることが明らかになった。
【0129】
更に、試料は製造ラインを流れるウエハに対して、ラインから随時サンプリングでき、バルブ124、124’で仕切られた試料室125に搬入、排出できる構成である。このため製造ライン内で検査あるいは修正でき、検査から工程条件の修正までのターンアラウンド時間の節約という効果をもたらした。
【0130】
以下、このSiウエハ検査装置を用いた検査例を説明する。
【0131】
検査内容は、多層配線間の絶縁層の形成が所定の厚さを有しているかを確認することである。多層配線構造を正確に動作させるには、配線間の絶縁膜が所定の膜厚を有し、絶縁耐圧を示すことが重要課題の一つである。しかし、検査対象としたデバイスでは、この絶縁膜形成の再現性が悪く、時折、所定膜厚より薄いために配線間でリークを起こす事故が発生し、製品歩留の悪化をもたらしていた。
【0132】
そこで、製造ラインをながれるシリコンウエハを無作為に抽出し、シリコンウエハ上で予め決められた検査用デバイス内の特定箇所に、Ge−FIBを照射して、断面を形成して観察した。図30はシコンウエハ面139の一部にFIBを照射している様子を立体的に示した図である。Ge−FIB130の走査により、一辺が約5μm、深さ約5μmの矩形穴131を形成し、3層配線の断面(矩形穴の側面)をFIB照射によって得られる二次電子像によって観察、検査した。
【0133】
132は第1層配線、133は第2層配線、134は第3層配線、135は第1層間絶縁膜、136は第2層間絶縁膜、137は表面保護膜であり、第1配線132と第2配線133が絶縁され、第2配線133と第3配線134が上下関係に接続してことが観察できる。第1配線132と第2配線132の間の絶縁層135と第2配線133に注目し、特にこの部分を拡大して観察した様子を図31に示す。
【0134】
図31から絶縁層135の上面が平坦でないため、第2配線133の一部(A点)が第1配線のB点に接近していることが観察でき、このAB間で耐圧が低下していたことが明らかになった。この操作を1ウエハについて10箇所の検査用デバイスについて行なった結果、全点が同じ傾向を示すため、第1層間絶縁膜135の平坦化プロセスの条件に修正を施した。プロセス条件の修正後に同様の検査を行なった結果、検査箇所の全点が所定の寸法、耐圧を満たし、そのウエハ及びそのロットを良品と判断して次工程に回した。このような検査方法により、多層配線形成工程における不良品をいち早く検出することができ、最終製品の歩留向上に大きく寄与した。
【0135】
本装置は、▲1▼一次イオンビーム照射系のイオン源にGe−EHDイオン源を搭載することでイオン源からの重金属、ドーパント元素イオンの放出を除去できたこと、▲2▼イオン光学系内のパーツ、特に、ビーム制限アパチャ、絞りにシリコン材を用いることでイオンビーム照射による重金属などの二次粒子の発生を除去したことで不純物汚染を回避できたこと、▲3▼試料は製造ラインを流れるウエハに対して、ラインから随時サンプリングでき試料室に搬入、排出できる構成であるため製造ライン内で検査でき、ターンアラウンド時間の節約という効果をもたらした。
【0136】
本実施例では、一次イオンビームはGe−FIBを用いたが、Si−FIBでも良く、また、Si−Ge合金をイオン材料としてSiとGeの混合ビームを用いても良い。また、検査内容は、今回は多層配線部の断面観察について説明したがこれに限らず、電子ビームプロービングのためのコンタクトホールの形成、表面配線の短絡部の切断による修正などに用いてもよいことは言うまでもない。
【0137】
また、本実施例では、試料はSiウエハであったため、Ge−EHDイオン源を用い、更に、Ge−FIBが通過するイオンビーム照射系のアパチャにはSi板を採用したが、試料が他の材料の場合、イオン源やアパチャ材を交換する。例えば、試料がガリウムヒ素(GaAs)の場合、イオン源はGa−EHDイオン源を、イオンビーム照射系のアパチャにはSb板を採用しても差し支えない。
【0138】
また、上記イオン源を用いたイオンビーム処理装置は、上記したシリコンウエハ検査装置に限定されるものではなく、二次イオン質量分析装置や表面異物検査装置、FIBアシストデポジション等にも容易に摘要できることは、言うまでもない。
【0139】
(実施例3)
本実施例は、Arガスを電界電離してイオン化し、イオン源として用いるArガス電界電離イオン源(以下、Ar−FISと略記)を用いた集束イオンビーム装置について、図32を用いて説明する。
【0140】
141はイオンビーム照射系で、Ar−FIS144、集束レンズ145、145’、E×B質量分離器146、アライナ147、偏向器148、アルゴンガスを貯溜されたガスタンク150、エミッタ152を冷却するための冷却手段151などからなり、イオン発生部がAr−FIS144であることに最大の特徴を有する。
【0141】
イオン源であるAr−FIS144で電界電離されたアルゴンイオンは、集束レンズ145、145’で集束され、微小な口径の高密度イオンビームが形成される。
【0142】
図32は、本発明によるAr−FISイオン源を用いた集束イオンビーム照射系141を、二次イオン質量分析装置(以下、SIMSと記載)140に搭載した例である。二次イオン質量分析装置140の基本構成は、従来からあるFIB光学系を擁する一次イオンビーム照射系141、試料室142、二次イオン分析部143からなる。
【0143】
イオン源144で電界電離され、集束レンズ145、145’で集束されて微小な口径の高密度イオンビームが形成されたアルゴンイオンは、試料153に照射される。照射部分から二次イオン154が放出され、これを二次イオン分析部143で質量分析し、試料表面近傍の組成分析ができる。
【0144】
従来のFIB照射系を持つSIMS装置は一次イオンビーム種がGaであったため、一度分析した試料を再び半導体製造ラインに復帰させることがラインの汚染の立場からできなかったことと、分析中(ビーム照射中)にガリウム液滴が分析部に堆積し、分析結果を信頼性の無いものにするという問題点を有していた。
【0145】
しかし、本発明によるAr−FIB搭載SIMSを用いることで、分析後の試料面をガリウムなど金属汚染することなく製造ラインに復帰させることができ、また、分析中に一次イオンビームが分析データに影響することがないので、半導体素子製造のインラインでの信頼性ある分析装置として用いることができる。更に、分析感度はGa−FIBと大きな違いはない。
【0146】
上述したように、本実施例のAr−FISをイオン源として用いた集束イオンビーム処理装置を適用したSIMSは、製造ラインを流れる試料であるウエハを、ラインから随時サンプリングでき、試料室に搬入・排出できる構成であるため製造ライン内で検査でき、ターンアラウンド時間の節約という効果をもたらした。
【0147】
また、上記イオン源を用いたイオンビーム処理装置は、上記したSIMSに限定されるものではなく、シリコンウエハ検査装置や表面異物検査装置、FIBアシストデポジション等にも容易に摘要できることは、言うまでもない。
【0148】
(実施例4)
本実施例4は、電気流体力学的ゼノンイオン源(以下、Xe−EHDイオン源と略記)をイオン源として用いた集束イオンビーム装置である。
【0149】
本発明によるイオン源の概略縦断面を、図33(b)に示す。イオン源160の形式はEHDイオン源であり、供給口167から導入された液体Xe168はリザーバ169に貯溜され、その一部はキャピラリ170を通り先端に至る。キャピラリ170中には電界を集中させるためのエミッタ171が貫通して設置されている。リザーバ169内の液体Xe168の冷却維持方法は、供給口172から冷却槽173内に液体窒素174に供給し、熱伝導率のよいサファイア175によって結合したリザーバ169を熱伝導により低温が維持される。液体Xe168はエミッタ171に至り、引出し電極176によって形成された高電界によりエミッタ171先端においてEHDモードで電離されてイオン化し、集束イオンビーム照射系161により集束されイオンビームを形成する。
【0150】
次に、本発明による上記Xe−EHDイオン源を用いた集束イオンビーム装置を搭載した、極微小部の表面異物除去装置について説明する。
【0151】
最近の半導体デバイス製造におけるクリーン化技術は高度になってきたが、微塵埃などの完全なる除去は望めず、それらの混入による不良デバイスの発生は避け難い。特に、混入した微塵埃が絶縁層内であったり、配線間にまたがっていると、デバイス動作に致命的支障を来たす。特に、超大型コンピュータに内蔵されるULSIのように、単品で作成されるがために単価が非常に高額なデバイスについては、上記のような微塵埃のための配線短絡などは決して許されない。従って、このような欠陥を早急に見つけ、かつ、その場で対処できる修正装置が望まれていた。
【0152】
本実施例で示すXe−EHDイオン源を用いた集束イオンビーム装置を搭載した表面異物除去装置は、エッチングや膜形成等の各プロセス終了後に、ウエハ表面異物検査装置によって表面に付着した微小異物を検出し、特に従来の方法では除去できにくかった異物について、Xe−FIB照射による特定領域のスパッタエッチングを施し、微塵埃を除去する装置である。
【0153】
図33(a)は表面異物除去装置の概略横断面図で、上方から見た図である。160はイオン源、161は集束イオンビーム照射系、162は試料、163は二次電子検出器である。試料台164はデバイス製造ラインから随時、バルブ165を介して搬入・搬出ができる。集束イオンビーム照射系161によって集束されたXe−FIB166は、試料162に照射される。
【0154】
次に、上記装置に、試料として超大型コンピュータに搭載されるSi−ULSIを用いた場合について説明する。
【0155】
図34(a)は上記ウエハ180表面の配線181、181’に異物182が付着した部分の拡大図である。この試料は、異物182が導電性であるために、配線181、181’が短絡を起こしていた。
【0156】
異物を除去するために、まず、上記試料の表面観察は表面異物検査装置(図示せず)によって行ない、異物が発見されると、その正確な位置情報を記憶し、本実施例の表面異物除去装置内に入れる。異物は試料台を自動制御することで、イオンビーム照射位置に来るよう移動できる。次に、低電流のXe−FIB183を異物よりやや広い領域に照射し、この時放出される二次電子によって試料表面を観察し、異物182を確認する。この時の異物182は直径約1μmの球形であった。Xe−FIB183の試料電流を高め、異物182を覆う領域を走査した。約10分間の照射によって、図34(b)のように試料表面はFIB照射による照射跡184は若干残るものの、上記異物は完全に除去でき、配線181、181’間の短絡はなくなり、両配線間の耐圧は復帰した。
【0157】
このFIBが不活性ガスの一種であるXeであるため、FIB照射による試料表面の汚染は無いのが最大の利点である。
【0158】
上記プラズマイオン源を用いたイオンビーム処理装置は、上に示した異物除去装置に限定されるものではなく、表面に形成された薄い酸化膜を除去することもでき、走査型電子顕微鏡での観察や、FIBによる表面観察の際に明確なコントラストで観察することにも利用できる。更に、集束イオンビーム加工装置やシリコンウエハ検査装置や二次イオン質量分析装置、FIBアシストデポジション等にも容易に摘要できることは、言うまでもない。
【0159】
(実施例5)
本実施例のイオン源は、基本的には実施例2に示したGe−LMISと同じ構成であるが、イオン種としてSi単体を用いた点で異なる。即ち、本実施例においては、イオン源としてSi−LMISを採用した。溶融Siは非常に活性で、従来のエミッタ材であるタングステンとは極めて迅速に反応し、エミッタを破損させ、イオン放出を短時間で停止させるという問題を抱えていたが、本実施例では、エミッタおよびリザーバに炭化タングステンを採用することで、溶融Siとの反応を軽減して、累積500時間以上の長時間運転を実現した。
【0160】
本実施例によるSi−LMISイオン源を、集束イオンビームを用いた微小成膜装置、いわゆるFIBアシステッドデポジション(以下、FIBADと略記)に適用した例について、以下に説明する。
【0161】
本実施例では、イオン材料がSi単体であるLMISを用いてSi−FIBを形成し、このSi−FIBと有機金属ガスとを組み合わせて、FIBの照射地点周辺に有機金属ガスを吹き付け、FIBとガスとの反応でタングステン(W)配線を形成した。
【0162】
FIBADのよく知られた例は、完成に近い半導体デバイスに対して、配線のデバッグとしてヘキサカルボニルタングステン(W(CO))ガスとGa−FIBを用いてW配線を堆積させる例がある。つまり、所定のプロセスを経て作成されたデバイスの中で、回路設計ミスなどによる部分的不良が生じ、所望の動作をしないデバイスに対して配線をつなぎ変える手法、所謂、配線修正である。FIBADが適用されるまでのデバッグでは、新たにフォトマスクマスクを作り直し、再度同じプロセスを経て作り直されていたため、1度デバッグするには1ヶ月以上もの時間を要し、完成までに多大の時間と費用を必要としていた。一方、FIBADを用いると、不良箇所のみを修正するため、修正には数時間で済み、時間とコストの面から多大の短縮をもたらした。
【0163】
しかし、これまでのFIBADには、致命的問題を抱えていた。つまり、修正されたデバイスの動作寿命が短いことである。原因は、デバッグ時に、新たな配線を有機金属ガスとGa−FIBを用いて金属を堆積させていたため、この時、Gaがデバイス表面に付着し、これがSiに対するアクセプタとして働き、長期間に電気的劣化をもたらした為である。つまり、一次イオンビーム種に問題があった。
【0164】
そこで、従来のGa−LMISに替えて、第2の実施例で説明したSi−LMISを用いた。Siは基板と同元素であるため、電気的汚染を伴わないという最大の利点を有している。従来、LMISからSiイオンを放出させるには、Au−Si合金を用いることで、低融点でSiイオンを得ることができるため、盛んに用いられていた。しかし、この方法では、イオン材料中にAuが含有されているため、熱蒸発などによって飛散したAuがSiデバイスプロセスに対して重金属汚染源となっていた。
【0165】
そこで、本実施例ではイオン材料としてSi単体を採用した。溶融Siは非常に活性で、従来のエミッタ材であるタングステンとは極めて迅速に反応し、エミッタを破損させ、イオン放出を短時間で停止させるという問題を抱えていたが、本実施例では、エミッタおよびリザーバに炭化タングステンを採用することで、溶融Siとの反応を軽減して、累積500時間以上の長時間運転を実現した。
【0166】
実際にSi−FIBによるW配線を行ない、Siデバイスのデバッグを行なった。Wの堆積効率を比較すると、従来のGa−FIBの場合と同程度であった。さらに、Ga−FIBによる修正デバイスの寿命を比較するとSi−FIBによるものは、修正後約3年経過しても問題を起こすことなく動作し続け、従来のGa−FIBによる修正デバイスの少なくとも約3倍以上の寿命を持つことがわかった。つまり、FIB種がドーパントとして働かないためデバイスに電気的な汚染を与えることが無くなったためである。
【0167】
本実施例の装置を用いることにより、重金属汚染が生じないことと、FIB種がドーパントとして働かないため、これまで製造ライン外で行なわれていたデバイス修正が、製造ライン内で行なうことができ、デバイス完成までの時間短縮がなされ、かつ、修正されたデバイスの寿命を延ばすことができた。
【0168】
ここでは、完成に近いパターニングされたデバイスの修正について説明したが、シリコンウエハについても同様の操作ができる。
【0169】
また、Si−LMISに関しては、エミッタ、リザーバ材として炭化ケイ素、窒化ケイ素を用いても同様の効果を示した。
【0170】
以上、本発明による試料を汚染するような物質をイオン種として含まないイオン源を用いた集束イオンビーム装置と、この集束イオンビーム装置を用いた装置の実施例について説明したが、この集束イオンビーム装置を用いた装置は、上記した実施例に限られるものではない。
【0171】
その1例として、上記実施例の1〜5で説明した半導体に汚染を生じさせないイオン源を有する集束イオンビーム装置を用いて半導体素子を検査・修正する方法について説明する。
【0172】
図35は半導体素子製造工程の途中で、非汚染FIB加工装置によりウェハ上の検査したい場所の断面を作成し、その断面をSEMで観察検査し、この結果に問題が無ければ次の工程にウェハを戻し完成させプローブ検査(P検)を行い、断面観察の検査結果が不良であれば廃棄する方法を示している。これによりウェハ上に形成されている多くのチップの内、検査のために1チップをつぶすだけで、残りのチップを全て活かすことができる。また不良であることが判明すればこれを捨てることにより、以降の工程で生ずる無駄な工数や材料を節約することができる。
【0173】
図36は、多層配線半導体素子の配線層形成工程の流れを示すものである。配線層を一層形成するごとに外観検査を行い、異物やショート欠陥がある場合は、非汚染FIBによる加工によりこれを修正し、引続き次の配線層形成工程に戻すもので、これを必要な配線層数分だけ繰り返す。これにより図3と図4に示したように、チップの大面積化や配線の多層化が進んでも高いチップ歩留まりを確保することができる。
【0174】
上記した実施例1から5は、本発明の僅かな例に過ぎない。本発明の趣旨は、一次イオンビーム種による試料の汚染を抑えた集束イオンビーム装置と、この集束イオンビーム装置を用いた加工、検査あるいは修正方法およびその装置を提供することであって、集束レンズ、偏向器など光学部品の個数や配列などはビーム集束性や試料電流の増加などの観点から、種々の改変が可能であることは周知である。
【0175】
また、イオン源の種類と一次イオンビーム照射系の組合せについても、本実施例で示した組合せのみではなく、加工効率、分析感度などの点で許容できるなら、他の組合せでも良いことは言うまでもない。
【0176】
また本実施例では試料としてシリコンLSIをあげたが、これに限るものではなく他の電子回路デバイスやモジュールにも適用可能である。
【0177】
【発明の効果】
本発明による、ゲルマニウムやシリコン単体、もしくはそれらの合金をイオン材料とした液体金属イオン源、または、不活性ガス種、特に、ネオン、クリプトン、アルゴン、ゼノン、窒素をイオン材料とした集束プラズマイオン源や電界電離ガスイオン源やEHDイオン源をイオン源とする集束イオンビームを用いた処理装置によって、以下のような効果が得られる。
【0178】
▲1▼イオンビーム種による重金属やドーパントなどの汚染なしに、シリコンウエハやシリコンデバイス等の試料にイオンビームを照射できる。
【0179】
▲2▼上記集束イオンビームを用いた装置の一次イオンビーム照射系の中で、特にイオンビームによって直接照射される部品を、シリコン、ゲルマニウム単体、もしくはそれらの炭化物、窒化物で作成したことにより、集束イオンビーム形成時の二次的な汚染物の発生を大幅に低減することができる。
【0180】
▲3▼シリコン半導体プロセスにおいて、インラインでシリコンウエハやデバイスの微細加工、局所領域の組成分析などの検査ができるウエハ検査装置、二次イオン質量分析装置、配線修正装置、透過型電子顕微鏡用試料作成装置を提供することができる。
【0181】
▲4▼シリコンウエハやデバイス自身、および製造工程の来歴の検査をシリコン半導体プロセスラインにおいてできるため、不良箇所の修理や、製造工程の条件変更などが即座に対応でき、不良発見から対応までのターンアラウンドタイムが大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における半同軸空洞共振器によるマイクロ波放電プラズマを用いた集束イオンビームを用いた処理装置の断面図である。
【図2】従来のGa−FIBによる半導体素子の断面加工とSEM観察方法の説明図である。
【図3】チップ面積と各層の歩留まりの関係を示すグラフである。
【図4】配線層数とチップ歩留まりの関係を示すグラフである。
【図5】無衝突プラズマのイオン飽和電流密度の電子密度、電子温度依存性を示す図である。
【図6】無衝突プラズマのデバイ長の電子密度、電子温度依存性を示す図である。
【図7】無衝突プラズマのイオンシース厚さのシ−ス端−平板電極間電圧依存性を示す図である。
【図8】従来のプラズマを用いた集束イオンビーム加工装置におけるイオン引き出し電極構造を示す図である。
【図9】従来のプラズマを用いた集束イオンビーム加工装置におけるイオン引き出し機構の原理図である。
【図10】本発明の実施例1におけるイオン引き出し機構の原理図である。
【図11】本発明の実施例1におけるイオンシース制御電極を用いたイオン引き出し機構の原理図である。
【図12】本発明の実施例1における集束イオンビームの電子ビーム・磁界集束機構の原理図である。
【図13】図12における電子ビーム・磁界集束機構のA−A’断面図である。
【図14】図12において2極磁界を用いた場合の電子ビーム・磁界集束機構のA−A’断面図である。
【図15】本発明の実施例1における微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図16】本発明の実施例1における粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図17】本発明の実施例1におけるテ−パ引き出し電極を用いた微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図18】本発明の実施例1におけるテ−パ引き出し電極を用いた粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図19】本発明の実施例1における移動式引き出し電極を用いた微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図20】本発明の実施例1における移動式引き出し電極を用いた粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図21】本発明の実施例1における多孔式引き出し電極を用いた微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図22】本発明の実施例1における多孔式引き出し電極を用いた粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図23】本発明の実施例1におけるテ−パ絶縁スペ−サ及びメッシュ電極を用いた微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図24】本発明の実施例1におけるテ−パ絶縁スペ−サ及びメッシュ電極を用いた粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図25】本発明の実施例1におけるメッシュ引き出し電極及び移動式加速電極を用いた微細加工時のイオン引き出しの原理図である。
【図26】本発明の実施例1におけるメッシュ引き出し電極及び移動式加速電極を用いた粗加工(大面積深穴加工)時のイオン引き出しの原理図である。
【図27】無衝突プラズマのイオンシース厚さのプラズマの電子密度依存性を示す図である。
【図28】本発明の実施例2におけるゲルマニウム液体金属イオン源を搭載したシリコンウエハ検査装置を説明するための概略構成図である。
【図29】図28に示したシリコンウエハ検査装置に搭載したゲルマニウム液体金属イオン源を説明するための概略構成図である。
【図30】本発明によるシリコンウエハ検査装置の効果を示すために、ゲルマニウム集束イオンビームによってウエハ上に矩形孔を形成している様子を示す図ある。
【図31】図30における断面の拡大断面であり、本発明によるウエハ検査装置によって発見された配線間耐圧不良の原因を説明するための図である。
【図32】本発明の実施例3におけるアルゴン電界電離ガスイオン源を搭載したインライン二次イオン質量分析装置を説明するための概略構成図である。
【図33】(a)は本発明の実施例4におけるゼノンEHDイオン源を搭載した表面異物除去装置を、(b)は(a)に用いたゼノンEHDイオン源を説明するための概略断面図である。
【図34】(a)は本発明の実施例4における表面異物除去装置の効果を説明するために注目したデバイス表面に付着した異物を示す図であり、(b)は表面異物除去装置の効果を示すために、ゼノン集束イオンビームによって異物を除去した後の様子を示す図である。
【図35】本発明による半導体素子製造工程内での非汚染FIB断面加工とSEM観察の方法を示す説明図である。
【図36】本発明による非汚染FIB加工による配線工程における欠陥修正方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…マイクロ波入射同軸線路 2…1/4波長共振型半同軸空洞共振器
4…引き出し電極 5…加速電極
6…基準電極 8…プラズマ
9…磁界発生装置 11…励磁コイル
12…集束用電子放出源 18…被加工物
20…集束イオンビーム 22…イオンシース
23…イオン 24…イオンシース制御電極
26…電子ビーム 27…電子ビーム集束領域
28…従来型引き出し電極
101、112、152、167、171…エミッタ
102…エミッタ支持端子
103、165、169…リザーバ 104…イオン材料
105…絶縁性座 106、106’…電流導入端子
107、107’…フィラメント 108、113、176…引出し電極
109…イオン 110…FIB装置
111…ゲルマニウム液体金属イオン源 114…ビーム制限アパチャ
115、115’、145、145’…集束レンズ
116、146…E×B質量分離器 117…絞り
118、148…偏向器 119、164…試料台
120、162、168、173…試料
121、130…ゲルマニウム集束イオンビーム
122…二次電子 123、63…二次電子検出器
124、124’、149、149’、165…バルブ
125、142…試料室
131…矩形穴 132…第1層配線
133…第2層配線 134…第3層配線
135…第1層間絶縁膜 136…第2層間絶縁膜
137…表面保護膜
140…二次イオン質量分析装置 141…一次イオンビーム照射系
143…二次イオン分析部 144…アルゴンガス電界電離イオン源
147…アライナ
150…ガスタンク 151…冷却手段
160…イオン源 161…集束イオンビーム照射系
166、183…ゼノン集束イオンビーム 167、172…供給口
168…液体ゼノン
170…キャピラリ 173…冷却槽
174…液体窒素 175…サファイア
180…ウエハ 181、81’…配線
182…異物 184…照射跡
204…テ−パ引き出し電極 304…移動式引き出し電極
406…多孔式引き出し電極 505…メッシュ電極
506…テ−パ絶縁スペ−サ 604…メッシュ引き出し電極
605…移動式加速電極

Claims (22)

  1. 無極放電でプラズマを発生させるプラズマイオン源によりプラズマを発生させて該発生させたプラズマから該プラズマのイオンシース厚さよりも小さい半径を有するイオン引き出し口からイオンを引き出し、該引き出したイオンを集束させてイオンビームを形成し、該形成したイオンビームを前記試料に照射し、該試料を処理することを特徴とする集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法。
  2. 前記イオンが、アルゴンやクリプトン、ゼノンなどの不活性ガスや窒素ガスを用いたプラズマにより発生されることを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法。
  3. 前記形成するイオンビームを、該イオンビームの電流密度を低下させることなく前記処理に応じて所望の径に形成し、該所望の径に形成したイオンビームを用いて前記試料を処理することを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法。
  4. 前記収束させたイオンビームを前記試料の表面に走査して照射することを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理方法。
  5. 集束したイオンビームを試料に照射して該試料を処理する集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置であって、無極放電によりプラズマを発生させるプラズマイオン源と、該プラズマイオン源で発生させたプラズマから前記イオンを引き出す引き出し電極と引き出したイオンを加速する加速電極とを備えたイオン引き出し手段と、該イオン引き出し手段により引き出されたイオンをビーム状に集束させると共に該収束させたイオンを加速するイオンビーム集束手段と、該集束させて加速したイオンビームを前記試料に照射する照射手段と、該照射により処理される前記試料を設置する試料室とを有することを特徴とする集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  6. 前記プラズマイオン源が、アルゴンやクリプトン、ゼノンなどの不活性ガス又は窒素ガスを用いて無電極放電によりプラズマを発生させることを特徴とする請求項5記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  7. 前記プラズマイオン源が、マイクロ波電力供給手段を備えたマイクロ波発生部と、該マイクロ波発生部で発生させたマイクロ波を共振させる共振部と、該共振部で共振させたマイクロ波を用いて磁場中で無電極放電によりプラズマを発生させるプラズマ発生部とを有することを特徴とする請求項5記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  8. 前記照射手段は、前記集束させて加速したイオンビームを前記試料の表面に照射して走査するビーム走査部を有することを特徴とする請求項5記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  9. 前記イオン引き出し手段の引き出し電極は、前記引き出したイオンを通過させるイオン引き出し口を有し、前記イオン引き出し手段は、更に、前記プラズマイオン源で発生したプラズマの前記イオン引き出し口周辺のイオンシ−スを制御するイオンシ−ス制御電極備えたことを特徴とする請求項5記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  10. 前記引き出し電極のイオン引き出し口は、前記プラズマイオン源で発生したプラズマのイオンシ−スの厚さよりも小さい半径の開口であることを特徴とする請求項9記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  11. 前記イオンビーム集束手段は、イオンを加速する加速電極と、該加速電極と前記イオンビーム形成手段の引き出し電極との間に位置して電子を放出する電子放出源と、前記引き出し電極の前記加速電極側の近傍に前記引き出し電極の開口の軸方向に垂直な磁界を形成する磁界発生源とを有し、前記引き出し電極から引き出されたイオンに前記磁界発生源により発生させた磁界中で前記電子放出源から放出された電子を照射することにより、前記引き出し電極の付近で前記イオンに対する空間電荷効果を抑制すると共に、前記イオンビ−ムの径方向の拡散を抑えることを特徴とする請求項5記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  12. 集束したイオンビームを試料に照射して該試料を処理する集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置であって、無極放電によりプラズマを発生させるプラズマイオン源と、該プラズマイオン源で発生させたプラズマからイオンをビーム状に引き出すイオンビーム引き出し手段と、該イオンビーム引き出し手段で引き出したイオンビームの試料上への照射のオンオフを制御するブランキング電極手段と、該ブランキング電極手段を通過したイオンビームを集束させるイオンビーム集束手段と、該集束させたイオンビームの軌道を変えて前記試料に走査して照射するデフレクタ電極手段とを備えたことを特徴とする集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  13. 前記プラズマイオン源が、マイクロ波電力供給手段と該マイクロ波電力供給手段から供給されたマイクロ波を共振させる共振部とを備えたマイクロ波発生部
    と、該共振部で共振させたマイクロ波で無電極放電によりプラズマを発生させるプラズマ発生部とを有することを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  14. 前記イオンビーム引き出し手段は、前記引き出したイオンを通過させるイオン引き出し口を有する引き出し電極と、前記プラズマイオン源で発生したプラズマの前記イオン引き出し口周辺のイオンシ−スを制御するイオンシ−ス制御電極とを備えたことを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  15. 前記イオンビーム引き出し手段は、前記引き出したイオンを通過させるイオン引き出し口を有する引き出し電極と、前記プラズマイオン源で発生したプラズマの前記イオン引き出し口周辺のイオンシ−スを制御するイオンシ−ス制御電極と、前記引き出し電極で引き出したイオンを加速する加速電極とを備え、前記引き出し電極と前記加速電極とは独立に電圧が制御されることを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  16. 前記イオンビーム引き出し手段が、テーパ状に形成された前記引き出し電極の前記イオン引き出し口により構成されたことを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  17. 前記イオンビーム引き出し手段が、径の異なる複数の開口を備えた前記引き出し電極により構成され、所望のビーム径に応じて前記径の異なる複数の開口のうちの所定の開口から前記イオンビームを引き出すことを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  18. 前記イオンビーム引き出し手段が、前記所望のビーム径に応じて前記径の異なる複数の開口のうちの所定の開口が前記プラズマから前記イオンビームを引き出す所定の位置に位置するように前記引き出し電極を移動させる移動機構を備えた引き出し電極により構成されることを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  19. 前記イオンビーム引き出し手段が、複数の開口を設けた引き出し電極と、該複数の開口の前記プラズマの側に絶縁板を介して設置されたシース面制御電極とにより構成され、該シース面制御電極に印加する電圧を制御することにより前記イオンビームを所定の径に設定することを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  20. 前記イオンビーム引き出し手段が、前記引き出し電極の前記プラズマイオン源と反対の側に前記引き出し口と接続するテ−パ状の開口を備えた絶縁スペ−サと、該絶縁スペ−サの前記プラズマイオン源と反対の側で前記引き出し口より大きな径の前記テーパ状の開口部分に設けた前記引き出し口の径より小さい径の開口を多数設けたメッシュ電極とを有する前記引き出し電極により構成され、前記メッシュ電極に印加する電圧を制御すると共に前記マイクロ波電力供給手段により前記マイクロ波発生部に印加する電力を制御して前記プラズマの密度を変化させることにより、前記イオンビームを所定の径に設定することを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  21. 前記イオンビーム引き出し手段が、前記イオン引き出し部は、前記プラズマに接する側に多数の開口を設けたメッシュ状の引き出し電極からなる前記イオン引き出し部と、異なる複数の開口を有し該異なる複数の開口のうち所望の開口が前記イオン引き出し部から引き出されたイオンが通過する部分に位置するよう移動可能に構成されたイオン集束・加速部により構成されたことを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
  22. 前記集束したイオンビームを前記デフレクタ電極手段で前記試料に走査して照射したときに前記試料から放出される2次荷電粒子を検出する2次荷電粒子検出手段と、該2次荷電粒子検出手段で検出した前記2次荷電粒子の検出信号に基づいて前記試料表面の画像を表示する画像表示手段とを更に備えたことを特徴とする請求項12記載の集束イオンビーム発生手段を用いた処理装置。
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