本発明は、溶融金属の容器間移送過程において溶融金属を清浄化することのできる注入管および注入方法に関し、詳しくは、溶融金属を取鍋からタンディッシュに注入する際のように、位置のエネルギーを利用して容器間を移送する際に、注入管内を流下する溶融金属に旋回流を形成させることにより、簡便かつ効果的に溶融金属を清浄化することのできる注入管およびそれを用いた注入方法に関する。
容器内に収容された溶融金属を別の容器に移送する方法には、種々の方法があるが、例えば、溶融金属を取鍋から中間容器であるタンディッシュを経て鋳型に注入し、鋳片を製造する工程では、取鍋からタンディッシュに注湯する方式の代表的なものに、ロングノズルを用いる方式および注入管を用いる方式がある。
図8は、ロングノズルを用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。同図に示されるとおり、ロングノズルを用いる方式は、円筒状の細長いロングノズル62を取鍋6の底部に取り付け、そのノズル先端をタンディッシュ4内の溶融金属72中に浸漬させて取鍋内の溶融金属71を供給する方式である。
図9は、タンディッシュ用注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。同図に示されるとおり、注入管を用いる方式では、タンディッシュ蓋5に、比較的直径の大きな筒状の注入管1を、その下端部がタンディッシュ4内の溶融金属72に浸漬するように設置し、取鍋6の下部を注入管1の上端にシール構造を介して密着させ、注入管1の内部をArなどの不活性ガス8で満たして、短い取鍋ノズル61からの溶融金属の落下流7を注入管内の溶融金属の湯面に叩き付けるように注湯する方式である。
注入管を用いる方式は、ロングノズルを用いる方式に比べて、取鍋からの落下流が溶融金属湯面に叩き付けられる際に雰囲気中の不活性ガスを巻き込み、巻き込まれたArなどの不活性ガスが溶融金属中の非金属介在物を捕捉しつつ上昇流を形成するので、溶融金属の清浄化には有利であるとされている。しかし、さらにその溶融金属の清浄化機能を高めるための工夫は大してなされていない。
溶融金属移送ノズル内に旋回流形成機構を設置することは、例えば、特許文献1に開示されているように公知である。特許文献1には、ノズル内の溶鋼流に旋回を付与するためのねじりテープ状の部品を備えていることを特徴とするスライディングノズル周辺部からの空気侵入を防止した溶鋼移送用ノズルが開示されている。しかしながら、取鍋からタンディッシュへの注湯において、ノズル内に旋回流形成機構を備えることは以下のような問題をともなう。すなわち、
第1の問題は、取鍋上ノズル内の例えばSiO2成分を主体とする詰砂の排出が困難となることである。取鍋底部のノズルの上部にある上ノズル内には、取鍋内の溶融金属が上ノズル内で凝固することなく初期流出するように、詰砂が充填されている。この詰砂の一部は、溶融金属の熱を受けて塊状に焼結している。内径の小さいノズル内に旋回流形成機構を設けると、この塊状の焼結砂がノズル内で詰まる可能性が高い。
第2の問題は、旋回流形成機構の設置により溶融金属の流動抵抗が増加し、取鍋からの溶融金属の流出速度が低下することである。特に、取鍋内における溶融金属の圧力ヘッド(静圧)が低下する鋳造末期においては、必要な溶融金属の流量が確保できなくなるおそれがある。このように、取鍋底部に取り付けるロングノズル内に旋回流形成機構を設置することは、安定した鋳造操業を阻害する危険をともなう。
上述のこれらの問題は、本発明のように、タンディッシュ用注入管の内部に溶融金属に旋回流を付与する機構を配置することにより、容易に解決することができた。すなわち、本発明では、前記のノズルに比べて比較的内径の大きい注入管内に旋回流形成機構を設けることにより、塊状の焼結砂でも容易に通過させるための流路を確保することが可能となった。また、旋回に必要なエネルギーを、取鍋内の圧力ヘッドからではなく、取鍋ノズルから注入管内の湯面までのヘッドや、注入管内湯面とタンディッシュ内湯面との高さの差によるヘッドから確保することができるので、旋回流形成機構の存在による流動抵抗の増加が取鍋からの溶融金属の流出量におよぼす影響を解消することが可能となった。
なお、タンディッシュ内において旋回流を利用して溶融金属と不活性ガスとを混合する方法としては、下記の装置および方法がある。
特許文献2には、溶鋼の受湯部と、受湯した溶鋼を鋳型内へ供給するための給湯部と、受湯部と給湯部を接続する通流路とを有するタンディッシュであって、通流路の外周部に溶鋼を旋回させるための回転力を付与する電磁力発生装置と、通流路の所定の位置にガス吹き込み口が配置されたタンディッシュが開示されている。また、特許文献3には、前記特許文献2に開示されたのと同様のタンディッシュを用い、通流路内溶鋼の最大旋回速度と溶鋼の通流速度とから求められる溶鋼の軸方向断面平均速度とが、所定の関係を満足するように鋳造する連続鋳造方法が開示されている。
しかしながら、これらの技術は、複雑な形状の専用タンディッシュを必要とすることから、操作が煩雑となり、生産性を高めることも容易ではなく、さらに、設備コストの負担が大きくなるという問題を有する。上述のとおり、安価な設備費のもとで、簡便な方法により溶融金属に旋回流を付与し、効果的に溶融金属の清浄化を図るためには、なお、解決されねばならない問題が残されている。
本発明者は、既に特許文献4として、管内を不活性ガス雰囲気に調整して使用されるタンディッシュ用注入管であって、注入管内を流下する溶融金属に旋回流を形成させるための耐火物製の旋回流形成機構が管内に配置され、注入管の下部出口部の内径が上部の本体部の内径の1/2以下である注入管を提案した。本発明は、上記の特許文献4にて提案した技術に、さらに改良を加えたものである。
特開平11−90593(特許請求の範囲および段落〔0005〕)
特開2002−205154号公報(特許請求の範囲および段落〔0008〕)
特開2003−80351号公報(特許請求の範囲および段落〔0009〕)
特願2004−65103号公報(特許請求の範囲および段落〔0026〕〜〔0031〕)
前述のとおり、従来の溶融金属容器への注湯技術には下記の問題があった。すなわち、(1)例えば取鍋のような第1の溶融金属容器からタンディッシュのような第2の溶融金属容器までの間において移送ノズル内に旋回流形成機構を設けると、第1の溶融金属容器の焼結した上ノズル内の詰砂の排出が困難となり、また、流動抵抗の増加により溶融金属の排出速度も低下する。(2)第2の溶融金属容器内に旋回流形成機構を設けると、設備コストが増大し、移送操作も煩雑となる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、溶融金属を位置のエネルギー差を利用して容器間を注入管を用いて移送する際に、注入管内を流下する溶融金属に旋回力を付与して旋回流を形成させることにより、簡便で効果的に溶融金属を清浄化することができる注入管およびそれを用いた注入方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、溶融金属に旋回力を付与することにより旋回流を形成させ、旋回流の中心部に集まる気泡に非金属介在物を捕捉させて清浄化を図ることのできる溶融金属の注入管について検討し、下記の(a)〜(g)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)注入管の内部に、溶融金属に旋回周速度を付与することにより旋回流を形成させる旋回流形成機構を設け、さらに、注入管の下部出口管部の内径を注入管本体部の内径の0.3倍以下に縮小することにより、取鍋のような第1の溶融金属容器内の溶融金属のヘッドに影響されずに安定した強い旋回流が得られる。これは、角運動量保存の法則により、上記注入管の下部出口管部において溶融金属の円周方向の流速が増大することによる。
(b)注入管内部に設ける旋回流形成機構としては、下記の形状を有するものが適切である。すなわち、その第1は、注入管入口に向かって凸のドーム状あるいは円錐状の隔壁の半径方向外周近傍に、複数の溶融金属通路が設けられ、その溶融金属通路が、円周方向に傾斜した(すなわち、注入管軸方向に進むにつれて円周方向に捩れた)形状である。また、その第2は、ドーム状あるいは円錐状の隔壁およびその隔壁の半径方向外周部に沿って配置された円周方向に傾斜する複数のフィンにより仕切られた複数の溶融金属通路を有する形状である。
上記の形状を採用することにより、ドーム状あるいは円錐状の隔壁が注入管内を流下する溶融金属流を注入管外周部に誘導し、注入管外周部に設けられた溶融金属通路を通過させて、溶融金属に旋回周速度を付与し、大きな角運動量を与えることができる。
(c)前記(b)において、溶融金属通路は、隔壁の外周近傍に設けるほど溶融金属流に大きな角運動量を与えることができる。そのためには、注入管軸(すなわち、注入管の中心軸)に垂直な面内における溶融金属通路の断面中心を、溶融金属通路の入口から出口にわたり結ぶ中心線が、注入管軸から旋回流形成機構の半径の65%以上の外周部の位置に存在する必要がある。
また、旋回流を形成する機能を十分に発揮するためには、上記中心線が注入管軸方向(すなわち、注入管の中心軸の方向)となす狭角である平均傾斜角度を25°以上とする必要がある。さらに、中心線が注入管軸方向となす狭角である平均傾斜角度を45°以上とすることが好ましい。なお、注入管軸に対する溶融金属通路の傾斜は、直線状である方が耐火物の製造および加工の面では容易であるが、旋回流形成機能の面では、上部の入口から下部の出口に進むにつれて徐々に傾斜角度が大きくなる(すなわち、溶融金属通路の入口付近では鉛直に近く、出口に近づくにつれて水平に近くなる)形状が好適である。上記のように、その傾斜角度が注入管軸方向に進むにつれて変化する場合には、その平均傾斜角度をもって、溶鋼通路の中心線の平均傾斜角度と定める。
(d)注入管の出口管部には、複数の細孔、またはポーラス質耐火物からなる不活性ガス吹き込み部を設けることが必要である。出口管部内には旋回流が形成されているので、その内壁から不活性ガスを吹き込むと、遠心力により比重の小さいガスは中心に向けて吸い出されるので、微小な気泡が発生するとともに、その気泡が溶鋼流を横切って中心部まで移動する際にフィルターとして作用し、溶鋼中の非金属介在物を捕捉する。さらに、微細な気泡は、出口管部から例えばタンディッシュのような第2の容器内に放出され、浮上しながらさらに非金属介在物を捕捉する。気泡による介在物の捕捉効果を高めるには、気泡の表面積を大きくする必要があることから、遠心力の作用により、微小な気泡が多数発生することは好都合である。
(e)注入管本体部の内径は200〜1000mmとし、出口管部の最小内径は40〜200mmとし、かつ、出口管の長さはその最小内径の0.3〜2.5倍とすることが好ましい。本体部または出口管部の内径が上記範囲の下限値未満では、地金や非金属介在物の付着により閉塞が生じやすいからである。また、本体部または出口管部の内径が上記範囲の上限値を超えると、注入管が大きくなりすぎ、ハンドリングが難しくなる。
出口管部の長さが上記範囲の下限値未満であると、出口管部内に吹き込まれた不活性ガスにより形成された気泡がフィルター作用を発揮するための注入管軸方向の長さが不足する。また、出口管長さが上記範囲の上限値を超えると、出口管内において旋回流の流速が大きく減衰するので好ましくない。
本体部の内径のさらに好ましい範囲は300〜800mmであり、出口管の内径のさらに好ましい範囲は60〜150mmであり、また、出口管の長さの好ましい範囲はその最小内径の0.5〜2.0倍である。
(f)注入管の出口管部の内径は、上部において小さく、出口管部下端に向かって連続的あるいは段階的に拡大しており、不活性ガス吹き込み部が少なくとも内径の小さい出口管部上部に配置されることが好ましい。その理由は、出口管部の内径が上部から出口管部下端に向かって一定であるよりも、徐々にあるいは段階的に拡大している場合の方が、旋回流に対する抵抗が小さくなり、出口管部全体において高い旋回周速度が得られるからである。
また、不活性ガス吹き込み部を出口管部の上部に設けることにより、吹き込まれた不活性ガスにより形成される気泡が、出口管部下端に至るまでの間に、遠心力により中心に向けて移動する距離が大きくなる。上記移動距離の増加は、不活性ガス気泡によるフィルター作用の強化を意味するので溶融金属の清浄化作用の面で好ましい。不活性ガス吹き込み部は、出口管部の上部のみに設けてもよいし、出口管部の管軸方向に複数箇所設けても構わない。不活性ガス吹き込み部を出口管部の下端近傍に設けることの意義は、発生した微小気泡が、それらの合体が進行するまでにタンディッシュのような第2の容器内に放出されるので、第2の容器内を浮上する気泡を微細化することができ、非金属介在物の捕捉による除去効率を高められる点にある。
(g)溶融金属の二次酸化を防止するため、注入管の上端入口部から下方の湯落ち部に至るまでの空間部は、不活性ガスによってシールすることが好ましい。
さらに、出口管部からの不活性ガスの吹き込み流量は、溶融金属流量10Nm3/hrあたり0.2〜20NL/minとすることが好ましい。不活性ガスの吹き込み流量が上記範囲の下限値よりも小さいと、気泡による非金属介在物の捕捉作用が低下し、また、逆に、その上限値よりも多い場合には、気泡の合体か進んで、第2の容器内における介在物の捕捉作用が低下する。出口管部からの不活性ガスの吹き込み流量のさらに好ましい範囲は、溶融金属流量10m 3/hrあたり1.0〜10NL/minである。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(4)に示す溶融金属の注入管および(5)に示す溶融金属の注入方法にある。
(1)容器に設けられた注入口を経由してその下方に位置する別の容器内に溶融金属を注入する際に、該容器と容器との間でその管壁が該注入口からの溶融金属流を囲むように配置して用いる耐火物製の円筒状の注入管であって、該注入管は、上部に本体部を、該本体部に続く下部に該本体部よりも内径の小さい出口管部を有し、該本体部の内径が200〜1000mm、該出口管部の最小内径部の内径が40〜200mmであり、該出口管部の最小内径は、該本体部の内径の0.3倍以下であり、かつ、該出口管部の長さがその最小内径の0.3〜2.5倍であって、該出口管部の最小内径部よりも上方の注入管内には、注入管入口に向かって凸のドーム状あるいは円錐状の隔壁により構成される溶融金属の旋回流形成機構が設置され、該旋回流形成機構は、該隔壁の半径方向外周近傍に、円周方向に傾斜した複数の溶融金属通路が、該溶融金属通路を通過することにより形成される溶融金属の旋回流の回転方向が各溶融金属通路で全て同方向になるように設けられ、注入管軸に垂直な面における該溶融金属通路の断面中心を、該溶融金属通路の入口から出口にわたり結ぶ中心線が、注入管軸から隔壁半径の65%以上の位置に存在し、かつ、該中心線が注入管軸方向となす狭角である平均傾斜角度が25°以上である形状を有し、該出口管部には、複数の細孔またはポーラス質耐火物からなる不活性ガス吹き込み部が設けられたことを特徴とする溶融金属の注入管(以下、「第1発明」とも称する)。
(2)容器に設けられた注入口を経由してその下方に位置する別の容器内に溶融金属を注入する際に、該容器と容器との間でその管壁が該注入口からの溶融金属流を囲むように配置して用いる耐火物製の円筒状の注入管であって、該注入管は、上部に本体部を、該本体部に続く下部に該本体部よりも内径の小さい円筒状の出口管部を有し、該本体部の内径が200〜1000mm、該出口管部の最小内径部の内径が40〜200mmであり、該出口管部の最小内径は、該本体部の内径の0.3倍以下であり、かつ、該出口管部の長さがその最小内径の0.3〜2.5倍であって、該出口管部の最小内径部よりも上方の注入管内には、注入管入口に向かって凸のドーム状あるいは円錐状の隔壁および該隔壁の半径方向外周部に沿って配置された円周方向に傾斜した複数のフィンにより仕切られた複数の溶融金属通路を有する溶融金属の旋回流形成機構が設置され、該溶融金属通路は、該溶融金属通路を通過することにより形成される溶融金属の旋回流の回転方向が各溶融金属通路で全て同方向になるように設けられ、注入管軸に垂直な面における該溶融金属通路の断面中心を、該溶融金属通路の入口から出口にわたり結ぶ中心線が、注入管軸から旋回流形成機構の半径の65%以上の位置に存在し、かつ、該中心線が注入管軸方向となす狭角である平均傾斜角度が25°以上である形状を有し、該出口管部には、複数の細孔またはポーラス質耐火物からなる不活性ガス吹き込み部が設けられたことを特徴とする溶融金属の注入管(以下、「第2発明」とも称する)。
(4)前記出口管部の内径が、上部から出口管部下端に向かって拡大しており、前記不活性ガス吹き込み部が少なくとも内径の小さい出口管部上部に設けられたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融金属の注入管(以下、「第4発明」とも称する)。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶融金属の注入管を用いる溶融金属の注入方法であって、さらに、前記注入管上部の本体部内に、不活性ガスを吹き込み、該注入管の上端入口部から、下方の湯落ち部に至る空間を不活性ガスによってシールするとともに、前記出口管部に設けられた不活性ガス吹き込み部から、溶融金属流量10m 3/hr当たり、0.2〜20NL/minの流量で不活性ガスを吹き込むことを特徴とする溶融金属の注入方法(以下、「第5発明」とも称する)。
本発明において、「注入管の本体部」とは、注入管の上端入口部を含み内径の大きな注入管上部の主要部を意味し、例えば、後述の図1および図2においてAにより示される部分を意味する。
「注入管の本体部の内径」とは、上記注入管の本体部の内径(D1)を意味する。
「注入管の出口管部」とは、前記注入管の本体部の下部に位置する出口部を意味し、例えば、後述の図1および図2においてBにより示される部分を意味する。
また、「出口管部の内径」とは、上記の出口管部において最も内径が縮小された部分の内径(D2)を意味する。
さらに、「出口管部の長さ」とは、出口管部の下端から、出口管部の最小内径部を経てさらに上部の、注入管の内径が出口管部の最小内径の1.5倍となる位置に至るまでの管軸方向の長さを意味する。
本発明の溶融金属の注入管は、注入管上部本体部の内径に対する下部出口管部の内径の比率を適正化するとともに、注入管内において円周方向に適正範囲の捩れを有し、流下する溶融金属が通過することにより旋回流を形成する溶融金属通路を有する旋回流形成機構を備えたことにより、簡便な構造でありながら安定した強い旋回流を形成して非金属介在物を捕捉除去し、溶融金属を効果的に清浄化する機能を有する。また、本発明の溶融金属の注入方法によれば、上記注入管内を不活性ガスによりシールするとともに、出口管部から適正量の不活性ガスを吹込みながら溶融金属を注入するので、容器間における溶融金属の移送過程において、容易に溶融金属の清浄化を実現できる。
前述のとおり、本発明は、容器に設けられた注入口を経由してその下方に位置する別の容器内に溶融金属を注入する際に、これらの容器と容器の間に配置して用いる注入管であって、上部に本体部を、下部に本体部よりも内径の小さい出口管部を有し、本体部および出口管部の最小内径部がそれぞれ所定の内径および所定の比率であり、かつ出口管部の長さと最小内径が所定の比率であり、出口管部の最小内径部よりも上方には、注入管内の周辺部近傍に円周方向に適度に傾斜した(すなわち、捩れた)溶融金属通路を有する溶融金属の旋回流形成機構が設置され、出口管部には、複数の細孔またはポーラス質耐火物からなる不活性ガス吹き込み部が設けられた溶融金属の注入管、およびそれを用いた溶融金属の注入方法である。
ここで、上記の旋回流形成機構には、注入管入口に向かって凸のドーム状もしくは円錐状の隔壁の半径方向外周近傍に、円周方向に傾斜した複数の溶融金属通路を有する構成、または、ドーム状もしくは円錐状の隔壁およびその外周部に沿って配置された円周方向に傾斜した複数のフィンにより仕切られた溶融金属通路を有する構成のものが含まれる。
次に、本発明の好ましい態様などを含め、発明の内容についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、上方に位置する第1の容器として「取鍋」を、また、下方に位置する第2の容器として「タンディッシュ」を採用した場合を例にとり記述する。
本発明者は、連続鋳造において、取鍋からタンディッシュへの注湯に用いられる筒状の注入管の内部に旋回流を形成する機構を設け、さらに下部出口管部の内径を縮小することにより、注入管の下部出口部において取鍋内溶融金属のヘッドに影響されない安定した強い旋回流が得られるとの知見を得た。
注入管内の溶融金属には、取鍋からの落下流が巻き込んだ注入管内の雰囲気ガスである不活性ガスや、ガス吹き込み部から吹き込まれた不活性ガスが多数の気泡となって懸濁する。これらの不活性ガスの気泡を含む溶融金属が旋回するので、密度が小さく遠心力の作用が小さい気泡は、旋回流の中心部に集まる。このようにして旋回流の中心部に向けて移動する気泡は、溶融金属流を横切って移動するので、Al2O3などの非金属介在物を捕捉する。これらの気泡は、注入管から流出した後、捕捉した非金属介在物とともにタンディッシュ内において浮上する。また、旋回流によって生じる微細な気泡は、大きな表面積を有するので、非金属介在物の捕捉効率が高い。これらの作用により、旋回流を形成しない場合に比べて溶融金属が効果的に清浄化されるのである。
図1は、本発明の溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。同図において、取鍋6内の溶融金属71は、取鍋6の底部に取り付けられた取鍋ノズル61を経て、溶融金属注入流7となってタンディッシュ4内に注入される。タンディッシュ4内に注入された溶融金属72は、さらに、タンディッシュ底部に取り付けられた浸漬ノズル10を経由して鋳型11内に注入され、冷却されながら鋳型下方に引き抜かれて凝固し、金属鋳片12となる。
溶融金属注入流7は、図1中のAで示される注入管本体部において、注入管内雰囲気調整用に吹き込まれた不活性ガス8を巻き込むので、注入管内の溶融金属には、不活性ガスの気泡が懸濁している。この溶融金属注入流は、注入管本体部Aに配置された旋回流形成機構2を通過する間に、注入管内の円周方向の流速成分を付与され、旋回流を形成しながら流下する。溶融金属注入流7は、さらに、内径が注入管本体部Aの内径の0.3倍以下に縮小された同図中のBで示される注入管出口管部に流下し、ここで、円周方向の流速を一段と加速されて強い旋回流を形成する。
このようにして、旋回流が形成されたことにより、出口管部Bの不活性ガス吹き込み部3から吹き込まれた不活性ガスは微小な気泡となる。さらに、遠心力の作用により旋回流の中心部に向かって溶融金属流を横切って移動する気泡は、非金属介在物を捕捉し、出口管部Bの下端からタンディッシュ4へと流出していく。そして、これらの非金属介在物を捕捉した気泡は、タンディッシュ4内において溶融金属72の浴面に浮上するので、非金属介在物が溶融金属72の本体から分離され、溶融金属72は清浄化される。また、遠心力に基づく低比重物質の分離作用により発生した微小な気泡は、タンディッシュ4内を浮上する途上で効率的に非金属介在物を捕捉し、溶融金属72は清浄化される。
なお本発明において、注入管1の出口管部Bの内径を本体部Aの内径に比較して大幅に縮小し過ぎると、得られる旋回流の強さに応じて必要なヘッドが増大するので、本発明を適用する連続鋳造機の仕様、すなわち注入管1内に形成されるヘッドの大きさと溶融金属の単位時間当たりの流量(スループット)に応じて、内径の縮小度合は制約を受けることとなる。例えば、スループットが大きい条件下において出口管部Bの内径を大きく縮小した注入管を用いると、強い旋回流が得られるものの、得られる旋回流の強さ(角運動エネルギー)に応じて大きなヘッド(位置エネルギー)が必要となるので、タンディッシュ4内湯面から注入管1の上端までの高さが十分でない場合には、溶融金属が注入管1の上端から溢れ出すというトラブルが発生し、好ましくない。
1)注入管の全長
注入管1の全長(図1中のL1)は、タンディッシュの浴深さやタンディッシュ蓋5からタンディッシュ内湯面までの距離、または取鍋底部から注入管蓋までの距離によって、一定の範囲内に制約されるが、600mm〜1700mm程度の範囲とするのが一般的である。本発明においては、注入管内に旋回流形成機構を配置することから、注入管の全長は800mm〜1700mmの範囲とするのが好ましい。
2)旋回流形成機構の形状およびその設置位置
旋回流形成機構としては、例えば、前述の特許文献2や特許文献3に開示されたとおり、回転磁場を利用する方式がある。しかしながら、電磁気力を利用する方式は、大がかりな設備と高い設備コストを必要とすることから、本発明においては有効な手段とはいえない。したがって、本発明における旋回流形成機構2としては、実施例にて詳述するとおり、注入管1の内部に、注入管入口に向かって凸のドーム状もしくは円錐状の隔壁の半径方向外周近傍に、注入管軸方向に貫通し円周方向に傾斜した複数の溶融金属通路を有する構成、または、ドーム状もしくは円錐状の隔壁およびその外周部に沿って配置された円周方向に傾斜した複数のフィンにより仕切られた溶融金属通路を有する構成の構造物を配置し、溶融金属のヘッド(位置エネルギー)を利用して溶融金属に旋回力を付与し、旋回流を形成させる方式が適切である。
注入管入口に向かって凸のドーム状あるいは円錐状の旋回流形成機構2の上面は、その頂点から周辺部に向かって下降する傾斜面となる。この傾斜面を円錐状に形成する場合、その水平面(注入管軸に垂直な面)に対する傾斜角度は、15°以上、可能であれば25°以上であることが好ましい。これは、旋回流形成機構2の上面の傾斜は、取鍋6からの注入流7を注入管内壁近傍に分配し、注入管内壁に近い領域において旋回流を形成させることによって、高い角運動量を得るという機能を有するからである。なお、この傾斜面の傾斜角度が大き過ぎると旋回流形成機構の形状が注入管軸方向に長くなり過ぎるので、45°程度以下とするのが好ましい。旋回流形成機構2の上面の傾斜面をドーム状(球面状、放物面状、双曲面状など)に形成する場合にも、同様の理由により、その平均傾斜角度が上記範囲になるように形成することが好ましい。
次に、旋回流形成機構2の設置位置は、注入管内の湯面よりも低い場所に設置することが好ましい。上記の位置に設置することにより、旋回流形成機構2に溶融金属の凝固した地金が付着することを防止し、したがって、付着地金が上部に向かって成長することにより発生するトラブルを回避することができるからであり、さらに、取鍋ノズル61からの溶融金属の落下流7による旋回流形成機構の衝撃破損や溶損を軽減することができるからである。
ここで、注入管1内の溶融金属の湯面レベルとタンディッシュ内における溶融金属の湯面レベルとの差は、注入管1内での溶融金属の流動抵抗、旋回流の角運動エネルギーおよび溶融金属のスループットにより決定される。したがって、注入管1内とタンディッシュ6内との溶融金属の湯面レベルの差におよぼす旋回流形成機構2の構造および注入管出口管部Bの内径の縮小割合およびスループットの影響を実験的に把握しておくことにより、注入管1内の湯面レベルを予測することができ、旋回流形成機構2の好ましい設置位置を決定することができる。
3)注入管内への不活性ガス吹き込み方法
注入管1内への具体的な不活性ガス吹き込み方法としては、例えば、注入管1の管壁内に設けられた不活性ガス導入流路13により不活性ガスを注入管の出口管部Bまで導き、不活性ガス吹き込み部3から注入管1内に吹き込めばよい。不活性ガス9を吹き込む位置として下部の出口管部Bが好ましいのは、以下の理由による。すなわち、内径が大きく注入管内の溶融金属の流速が低い注入管本体部Aから不活性ガスを吹き込んだ場合には、吹き込まれた不活性ガス9の大部分は、短時間で注入管内の湯面レベルにまで浮上するので、溶融金属中に不活性ガス気泡として巻き込まれにくく、したがって、溶融金属中に多量の不活性ガスを懸濁させる効果が得られにくい。それに対して、例えば、図1に示すように、注入管下部出口管部の下端から管軸方向にL3の位置に、不活性ガス吹き込み部3を設け、不活性ガス9を吹き込んだ場合には、この領域での溶融金属の流速は比較的大きい。それ故、気泡を旋回流に引き込み、遠心力の作用により微小な気泡を形成し旋回流の中心に移動させる効果も大きく、吹き込まれた不活性ガス9は、効率よく溶融金属中に巻き込まれ、懸濁して非金属介在物を捕捉しやすいからである。
4)円周方向に連続配置した吹込み部からの不活性ガスの吹込み
図5は、注入管下部の出口管部の内壁部に円周方向に配置したリング状の吹き込み部から不活性ガスを吹き込んだ場合の気泡膜の形成を説明するための概略図である。例えば同図に示すように、タンディッシュ用注入管1の下部出口管部Bの内壁部に円周方向にリング状の吹き込み部31を配置し、この吹き込み部から不活性ガス9を吹き込んだ場合には、出口管部Bから吹き込まれた不活性ガスの気泡は、遠心力の作用により、それぞれ図中の実線、破線、一点鎖線、ドット線などで示されるように螺旋状の軌跡を描いて旋回運動をしながら旋回流の中心部に移動しながら下部に降下し、逆円錐状の気泡膜14を形成する。
このとき、リング状吹き込み部の注入管軸方向の長さ(L4)は、特に規定する必要がない。吹き込み部は、例えば、管軸方向に10mm程度の薄いリング状の多孔質耐火物により構成してもよいし、また、管軸方向に100mm程度の厚いリング状の多孔質耐火物により構成してもよい。あるいは、管軸方向に20mm程度のリング状耐火物を50mm程度の間隔をおいて管軸方向に複数個配置するなどしてもよい。
さらに、これらの多孔質耐火物に替えて、直径0.2mm〜1mm程度の貫通孔を多数有する耐火物を用いることもできる。遠心力による低比重物質の分離作用により形成される気泡径を小さく保つには、多孔質耐火物を用いるよりもむしろ、後述したような直径0.2mm〜1mm程度の貫通孔を一定の間隔、例えば10〜20mmの間隔をおいて管軸方向に1段あるいは複数段配置する方が、生成した気泡の合体が抑制されるので、好ましい。
5)注入管出口管部の形状
注入管出口管部Bの内径の拡大形状は、直線的に拡大する形状であってもよいし、いくつかの段差をもって拡大する形状であってもよい。あるいは、下端部101の注入管軸方向の切断面が曲率半径(R)を有する丸みを帯びた形状あるいは、放物線形状であってもよい。これら形状のうち、最も好ましいのは、内径が放物線状に連続的に変化し、出口に向かってその変化率が徐々に大きくなるラッパ状の形状である。このような形状が好ましい理由は、上記の形状とすることにより、注入管1から流出する溶融金属の流れが注入管出口管部Bの内壁から剥離しにくくなり、また、流れに淀みや渦が生じにくくなって、出口管部Bへの非金属介在物の付着が抑制されるからである。
また、注入管軸方向の切断面が曲率半径(R)の丸みを有する形状の場合には、曲率半径(R)の大きさは、100〜350mm程度が好ましい。上記Rの値が100mm未満では、出口端部の直近において内径が急激に拡大するので、出口管部長さに占める内径拡大部位の割合が小さくなり、逆に内径の小さい部位の管軸方向割合が増加するので、旋回流に対する流通抵抗が増大し、強い旋回流を得ることが難しくなる。一方、Rの値が350mmを超えて大きくなると、出口端部における耐火物の肉厚が薄くなり、出口端部の強度が低下するので好ましくない。
6)注入管内雰囲気調整用の不活性ガス吹込量およびガスシール方法
注入管本体部A内の雰囲気調整用不活性ガス8の吹き込み量は、200〜1300NL/minの範囲が好ましい。吹き込み量が200NL/min未満では、注入管内に大気が混入しやすくなり、大気酸化による非金属介在物の増大を招きやすい。一方、吹き込み量が1300NL/minを超えて多くなると、必要以上の不活性ガスの消費により溶融金属の精錬および金属製品の製造コストの増大を招くからである。
さらに、注入管内の雰囲気を維持するための注入管上部と取鍋下部との間の好ましいシール方法について説明する。図6は、注入管上部と取鍋下部との間のシール部材付近の縦断面を表す概略図である。取鍋6の下部に設置された流量調整機構であるスライディングゲート金物20の下部に、例えば、厚さが100mm、直径が550mm程度で、中心に取鍋ノズル61が通る直径150mm程度の孔を配し、Al2O3−SiO2系多孔質耐火物23の周囲および上部を鉄板22により被覆したシール部材24を設置する。その中心孔と取鍋ノズル61との隙間にAl2O3−SiO2系ガラス繊維状耐火物25を充填してシールし、その下にはAl2O3−SiO2系ガラス繊維状耐火物からなるクッション材26を配置して注入管1の上面との間をシールするのが好ましい。
本発明の溶融金属の注入管およびそれを用いた注入方法について、実施例によりさらに詳述するとともに、本発明の効果を確認するために行った鋳造試験の結果についても説明する。
(実施例1)
はじめに、溶融金属の注入管の実施例について説明する。前述のとおり、図1は、第1発明で規定する条件を満足する本発明例の溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。なお、実施例においては、タンディッシュに注湯するための注入管を対象としたので、これらをタンディッシュ用注入管とも記す。
同図における注入管(以下、「注入管番号1の注入管」と称する)には、後述の図3に示すドーム状隔壁からなる旋回流形成機構が設置され、注入管内への不活性ガス9の吹き込み部3が管径の縮小された注入管下部出口管部上部Bに設けられており、また、注入管下部出口部の下端部101の内径が出口下端に向かって一定の曲率半径(R)を有する丸みをともなって拡大している。
注入管番号1の注入管の寸法諸元の一例を下記に示す。注入管本体部Aの内径(D1)は480mm、注入管出口管部の最小内径(D2)は100mm、注入管の全長(L1)は1350mm、注入管出口管部Bの長さ(L2)は150mm、注入管出口管部下端から不活性ガス吹き込み部上端までの長さ(L3)は120mmである。
また、不活性ガス吹き込み部3は、注入管の出口管部管壁の肉厚方向内部に注入管軸方向の長さ(L4)が25mm、出口管部の半径方向厚さが2mmのリング状の空間(以下、「スリット」と記す)を配し、スリット上端高さ位置および下端高さ位置から内壁面に達する直径0.3mmの貫通孔を、円周方向に等間隔に20個づつ高さ方向に2段(すなわち、上段は出口管部下端から120mm上の位置、下段は出口管部下端から95mm上の位置)配置する構造とした。さらに、注入管出口管部の縦断面の形状は、上記の上段の貫通孔から出口管部下端までの間が曲率半径(R)が280mmの丸みを有して、出口管部下端に向かって徐々に内径が拡大する形状であり、出口管部下端における内径は154mmである。
注入管1の肉厚(t)は30mmであり、本体部はAl2O3−C耐火物により構成されている。また、旋回流形成機構であるドーム状隔壁2は、肉厚60〜77mmのAl2O3−ムライト質の耐火物により構成されている。
図2は、第2発明において規定する条件を満たす別の本発明例の溶融金属の注入管(以下、「注入管番号2の注入管」と称する)を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。同図に示された注入管番号2の注入管が前記注入管番号1の注入管と相違する主な点は、下記のとおりである。
すなわち、図2に示された注入管番号2の注入管には、後述の図4に示す旋回流形成機構が設置され、不活性ガス9の吹き込み部3が出口管部Bの下部に設けられており、また、注入管出口管部の内径が出口管部下端直近を除いて一定である点で、それぞれ相違する。さらに、注入管番号2の注入管は、タンディッシュ蓋5よりも上部に位置する上部注入管102と、下部に位置する下部注入管103の2つの部分から構成されている。
注入管番号2の注入管の寸法諸元の一例を示せば、下記のとおりである。注入管の本体部Aの内径(D1)は600mm、注入管出口管部の最小内径(D2)は120mm、注入管の全長(L1)は1200mm、注入管出口管部Bの長さ(L2)は180mm、注入管出口管部下端から不活性ガス吹き込み部までの長さ(L3)は70mmである。また、不活性ガス吹き込み部3は、注入管出口管部管壁の肉厚内部に注入管軸方向の長さ(L4)が30mm、出口管部の半径方向厚さが1.5mmのリング状の空間(スリット)を配し、そのスリットの下端位置から内壁表面に達する直径0.5mmの貫通孔を注入管軸方向に1段、円周方向に等間隔に48個設けた構造とした。
注入管出口管部の縦断面形状は、ほぼ一定の内径(D2)であるが、下端部近傍においては肉厚と同じ40mmの曲率半径(R)を有して出口に向かって拡管しており、出口管部下端における内径は180mmである。ここで、ほぼ一定の最小内径(D2)としたのは、注入管の製造上、内径に換算して0.5mm程度の型抜きテーパーを出口管部高さ方向中央から上下に振り分けて配しているからである。すなわち厳密には、最小内径(D2)であるのは、出口管部高さ方向中央のみである。
注入管番号2の注入管は、下部注入管103が肉厚(t)35mmのAl2O3−C耐火物により、不活性ガス吹き込み部3のポーラス質耐火物もAl2O3−C耐火物により、そして、上部注入管102は、外周部を鉄板で被覆した肉厚35mmのMgO質耐火物により構成されている。また、旋回流形成機構2は、中心部が肉厚75mmのAl2O3−C耐火物により、また、周辺部が同じAl2O3−C耐火物の厚み15mmのフィンにより構成されている。
これらに対して、図9は、比較例として、従来のタンディッシュ用注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示した縦断面の概略図であり、すでに述べたものである。同図に示される注入管(以下、「注入管番号3の注入管」と称する)は、上部注入管102および下部注入管103からなり、注入管の内径(D1)は400mmであり、注入管の全長(L1)は1000mmである。雰囲気調整用不活性ガス8は吹き込まれるが、不活性ガス9の吹き込み部は有しない。
上記の注入管番号3の注入管は、下部注入管103が肉厚30mmのMgO−C耐火物により、また、上部注入管102は、外周部を鉄板で覆われた肉厚30mmのハイアルミナ質耐火物により構成されている。
上述のとおり、注入管番号1〜2の注入管は、いずれも第1発明および第2発明で規定する条件を満足する本発明例の注入管であり、溶融金属の旋回流が得られない比較例の注入管番号3の注入管を用いる場合に比べて、安定した強力な旋回流が得られることによる非金属介在物の捕捉および分離効果に優れている。
注入管番号1の注入管は、さらに出口管部Bの内径拡大形状が第4発明で規定する条件も満足しているので、非金属介在物を浮上分離させ、溶融金属を清浄化する極めて優れた効果を有する。
注入管番号2の注入管は、出口管部が出口下端近傍を除いては上部から下部までほぼ一定の内径であり、かつ不活性ガス吹き込み部が下部のみにある点において、第4発明を満たしていないので、非金属介在物の捕捉効果においてやや劣るものの、満足する清浄化効果を有する。
次に、タンディッシュ用注入管の内部に設置する旋回流形成機構の実施例について説明する。
図3は、本発明で用いる旋回流形成機構を示す図であり、同図(b)は平面図を、同図(a)は同図(b)におけるD−D断面における縦断面図を、そして同図(c)は同図(b)における円周方向の曲線efghijklによる縦切断面の円周方向展開図をそれぞれ表す。同図に示される旋回流形成機構(以下、「機構番号1の旋回流形成機構」と称する)は、厚みを有する円錐の側面に円周方向に4個の開孔部を設けておき、円錐側面の上面を円錐の中心軸の周りに反時計方向に、また、円錐側面の下面を時計方向に回転させて、円錐側面を捩った形状を有する。
図3(b)において、傾斜面イロヘホは円錐状隔壁の上面を、傾斜面イロニハは円錐状隔壁上面の母線イロから円錐状隔壁下面の母線ハニに向かって円周方向に傾斜した下向きの面を、傾斜面ハニチトは円錐状隔壁下面を、そして、傾斜面ホヘチトは円錐状隔壁上面の母線ホヘから円錐状隔壁下面の母線トチに向かって円周方向に傾斜した上向きの面を表す。そして、区画トチヌリは水平面への開孔部の射影部分である。
また、曲面リヌカワは円錐状隔壁の上面を、曲面リヌオルは円錐状隔壁の上面の母線リヌから円錐状隔壁の下面の母線ルオに向かって円周方向に傾斜した下向きの面を、曲面ルオタヨは円錐状隔壁の下面を、そして、曲面ワカタヨは円錐状隔壁上面の母線ワカから円錐側面の下面の母線ヨタに向かって円周方向に傾斜した上向きの面を表す。区画ヨタソレは水平面への開孔部の射影部分である。同様にして、円錐状隔壁の残りの半円周部分についても、曲面が構成されている。
したがって、図3(c)に示されるとおり、円錐状隔壁の縦切断面を円周方向に展開すると、縦切断面efhgおよびijlkの間に開孔部ghjiが存在する配置となる。
タンディッシュ用注入管の上部から流下した溶融金属は、図3(c)の開孔部ghjiなどを通過する際に、矢印F1およびF2で示される方向に旋回力を付与され(すなわち、図3(b)では、時計方向の旋回力を付与され)、旋回流形成機構を通過後は、旋回流となってタンディッシュ用注入管の下部に流下していく。
図3(a)および(b)において、溶鋼通路の中心線は、注入管軸から半径150mm(直径300mm)の溶鋼通路内周側の壁面と注入管軸から半径240mm(直径480mm)の溶鋼通路外周側の壁面(すなわち、注入管本体部の内壁面)との中間値である注入管軸から半径195mm(直径390mm)の螺旋形のラインとなる。これは旋回流形成機構である隔壁の半径240mm(直径480mm)の81%に相当し、第1発明における規定値である「中心線が注入管軸から隔壁半径の65%以上の位置に存在すること」を満足している。
なお、図3(a)および(b)において、溶鋼通路の中心線が注入管軸方向となす狭角である平均傾斜角度は、58°である。これは、例えば、溶鋼通路の傾斜面ホヘチトあるいは傾斜面イロニハの外周部が中心角22.5°に対応する円周方向(水平方向)周長すなわちπ×480×(22.5/360)=94.2mmに対して、注入管軸方向に60mm下降する傾斜面であることから、その傾斜角度は、tan-1(94.2/60)≒58°なる計算により求められる。図4(a)および(b)における溶鋼通路の上下の傾斜面は捩れのない平面である。
図4は、第2発明で用いる別の旋回流形成機構を示す図であり、同図(b)は平面図を、同図(a)は同図(b)の側面図を、そして同図(c)は同図(b)における円周方向の曲線egfhikjlによる縦切断面の円周方向展開図をそれぞれ表す。同図に示される旋回流形成機構(以下、「機構番号2の旋回流形成機構」と称する)は、図3に示した機構番号1の旋回流形成機構に比べ、溶鋼通路の数が12個と多く、フィン状の隔壁21で溶鋼通路間が仕切られている点において相違するが、基本的な作用は同様である。
すなわち、図4(b)において、平面イロヘホはフィン状隔壁21の最上面であって、フィン状隔壁21の略厚さ方向の切断面に相当し、注入管軸に垂直な面内にある。傾斜面ホヘチトはフィン状隔壁21の上向きの曲面を表し、注入管軸方向の上方の稜線ホヘから下方の稜線トチに向かって円周方向に傾斜し、注入管の半径方向に対して管軸方向に傾斜を有しない曲面である。傾斜面イロニハはフィン状隔壁21の下向きの曲面を表し、注入管軸方向の上方の稜線イロから下方の稜線ハニに向かって円周方向に傾斜し、注入管の半径方向に対して管軸方向に傾斜を有しない曲面である。平面ハニチトはフィン状隔壁21の最下面であって、フィン状隔壁21を厚さ方向に傾斜を以て切断した切断面に相当し、注入管軸に垂直な面内にある。そして、区画トチヌリは水平面への開孔部の射影部分である。
また、平面リヌカワはフィン状隔壁の最上面であって、フィン状隔壁21の略厚さ方向の切断面に相当し、注入管軸に垂直な面内にある。傾斜面ワカタヨはフィン状隔壁21の上向きの曲面を表し、注入管軸方向の上方の稜線ワカから下方の稜線ヨタに向かって円周方向に傾斜し、注入管の半径方向に対して管軸方向に傾斜を有しない曲面である。傾斜面リヌオルはフィン状隔壁21の下向きの曲面を表し、注入管軸方向の上方の稜線リヌから下方の稜線ルオに向かって円周方向に傾斜し、注入管の半径方向に対して管軸方向に傾斜を有しない曲面である。平面ルオタヨはフィン状隔壁21の最下面であって、フィン状隔壁21を厚さ方向に傾斜を以て切断した切断面に相当し、注入管軸に垂直な面内にある。
円錐状隔壁の残りの外周部に沿って配置されたフィン状隔壁21により仕切られた溶融金属通路についても、同様にして、構成されている。
したがって、図4(c)に示されるとおり、円錐状隔壁の外周部に配置されたフィン状隔壁21により構成される溶融金属通路の縦切断面を円周方向に展開すると、縦切断面efhgおよびijlkの間に開孔部ghjiが存在する配置となる。
タンディッシュ用注入管の上部から流下した溶融金属は、図4(c)の開孔部ghjiなどを通過する際に、矢印F1およびF2で示される方向に旋回力を付与され(すなわち、図4(b)では、注入管の入口から見て時計方向の旋回力を付与され)、旋回流形成機構を通過後は、旋回流となってタンディッシュ用注入管の下部に流下していく。
図4(a)および(b)において、溶鋼通路の中心線は、注入管軸から半径190mm(直径380mm)の溶鋼通路内周側の壁面と注入管軸から半径300mm(直径600mm)の溶鋼通路外周側の壁面(すなわち、注入管本体部の内壁面)との中間値である注入管軸から半径245mm(直径490mm)の螺旋形(ただし、フィンの上面および下面が曲面であることから、流路の管軸方向のピッチが徐々に変化する螺旋形)のラインとなる。これは旋回流形成機構である隔壁の半径300mm(直径600mm)の82%に相当し、第2発明における規定値である「中心線が注入管軸から隔壁半径の65%以上の位置に存在すること」を満足している。
また、図4(a)および(b)において、溶鋼通路の中心線が注入管軸方向となす狭角である平均傾斜角度は、下記のとおり求められる。溶鋼通路の外周側では、直径600mmの外周部壁面において、中心角25°に対応する壁面の円周方向(水平方向)周長、すなわち130.9mmからフィン状隔壁の厚さ15mmを差し引いた115.9mmの水平方向周長に対して、注入管軸方向に75mm降下する傾斜面であることから、その傾斜角度はtan-1(115.9/75)≒57°である。それに対し、溶鋼通路の内周側では、直径380mmの内周部壁面においてが中心角25°に対応する壁面の円周方向周長、すなわち82.9mmからフィン状隔壁の厚さ15mmを差し引いた67.9mmの水平方向周長に対して、注入管軸方向に75mm降下する傾斜面であることから、その傾斜角度はtan-1(67.9/75)≒42°である。これは、溶鋼通路の上下の傾斜面が捩れた曲面であることを示している。溶鋼通路全体の鉛直方向に対する平均傾斜角は、外周部の平均傾斜角と、内周部の平均傾斜角との平均値50°である。
以上、機構番号1および2の旋回流形成機構の構造について述べたが、旋回流形成機構に求められる要件は、下記の3点である。すなわち、(1)鋳造初期などのタンディッシュ内湯面位置が低い時期に、取鍋からの溶融金属の落下流が旋回流形成機構に直接衝突しても割れなどの破損を生じない強度および耐久性を有すること、(2)取鍋から流出する焼結詰砂やスラグ、溶融金属中の非金属介在物により閉塞しない程度の流路断面積が確保されていること、および(3)鋳造初期などのタンディッシュ内湯面位置が低い時期に、取鍋からの落下流が旋回流形成機構に直接衝突する際の溶融金属の飛散が少ない形状であること、である。上記の中で、特に(2)の要件を満たすためには、使用初期の状態で、少なくとも直径50mm程度の球体が通過できる大きさの流路を確保することが好ましい。
(実施例2)
本発明の溶融金属の注入管の効果を確認するために、鋳造試験を行ってその結果を評価した。図1に示した注入管番号1の本発明例の溶融金属の注入管を用い、溶融金属としては溶鋼を用いて連続鋳造試験を行った。なお、注入管内には、前記の図3に示した機構番号1の旋回流形成機構を設置した。
連続鋳造は、溶鋼量20トン(t)のタンディッシュに、下記の表1に示す成分組成を有する炭素含有率:0.50質量%のAlキルド溶鋼を供給しつつ、4ストランドの鋳片断面サイズ410mm×530mmの湾曲型ブルーム連続鋳造機を用いて、引き抜き速度を0.45m/minとして鋳片を鋳造した。このとき、取鍋からタンディッシュに注入される溶鋼流量は、平均26m 3/hrであった。
取鍋中の非金属介在物含有率が変動しないように取鍋精錬条件を揃えて連続鋳造を行い、鋳造定常部における矩形鋳片の天側幅中央の(1/4)厚さ部から採取したサンプル中の非金属介在物の含有率を測定し、比較した。
図7は、溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯しながら連続鋳造を行った試験結果を示す図であり、同図(a)は図1に示す注入管番号1の溶融金属の注入管(機構番号1の旋回流形成機構を設置)を用いた試験結果を表し、同図(b)は図2に示す注入管番号2の溶融金属の注入管(機構番号2の旋回流形成機構を設置)を用いた試験結果を表す。
なお、介在物含有率は、下記の方法により評価した。すなわち、従来の注入管番号3と同形状で、注入管の内径(D1)および全長(L1)を注入管番号1と同一とした注入管番号4の注入管(L1=1350mm、D1=480mm)を用いて鋳造した比較例の鋼中介在物含有率を全酸素含有率(T.[O])により求め、これを基準(100)として、本発明例における鋼中介在物含有率を全酸素含有率指数(T.[O]指数)により指数化し、この値を図7中に表示した。
ここで、注入管番号4の注入管による比較例の試験(基準)においては、雰囲気調整用Arガス8を500NL/min流しながら鋳造を行い、本発明例の注入管番号1および2の注入管を用いた試験においては、雰囲気調整用Arガス8を490NL/min流しながら鋳造を行った。本発明の注入管番号1および2の注入管を用いた試験では、雰囲気調整用Arガス8に加えて、さらに、注入管のガス吹き込み部3からArガスを10NL/min吹き込みながら鋳造を行った。このArガス流量10NL/minは、第5発明で規定する条件を満たすものである。
図7の結果より、本発明例の注入管番号1の注入管を用いた試験および本発明例の注入管番号2の注入管を用いた試験ともに、比較例の注入管番号4の注入管を用いた試験に比較して、鋼中の全酸素含有率指数(T.[O]指数)が低くなっており、鋼中非金属介在物の捕捉除去効果が確認された。特に、注入管番号1の注入管を用いた試験では、さらに一段と優れた鋼の清浄化が達成され、より一層介在物含有率の低い鋳片が得られた。
本発明の溶融金属の注入管は、注入管上部本体部の内径に対する下部出口管部の内径の比率を適正化するとともに、注入管内において円周方向に適正範囲の捩れ有し、流下する溶融金属が通過することにより旋回流を形成する溶融金属通路を有する旋回流形成機構を備えたことにより、簡便な構造でありながら安定した強い旋回流を形成して非金属介在物を捕捉除去し、溶融金属を効果的に清浄化する機能を有する。また、本発明の溶融金属の注入方法によれば、上記注入管内を不活性ガスによりシールするとともに、出口管部から適正量の不活性ガスを吹込みながら溶融金属を注入するので、容器間における溶融金属の移送過程において、容易に溶融金属の清浄化を実現できる。したがって、本発明の注入管および注入方法は、安価な設備と方法により高清浄度溶融金属および金属製品の製造を要求される金属精錬分野、とりわけ連続鋳造分野において広く適用できる技術である。
本発明の溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。
本発明の別の溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。
本発明で用いる旋回流形成機構を示す図であり、同図(b)は平面図を、同図(a)は同図(b)におけるD−D断面における縦断面図を、そして同図(c)は同図(b)における円周方向の曲線efghijklによる縦切断面の円周方向展開図をそれぞれ表す。
本発明で用いる別の旋回流形成機構を示す図であり、同図(b)は平面図を、同図(a)は同図(b)の側面図を、そして同図(c)は同図(b)における円周方向の曲線egfhikjlによる縦切断面の円周方向展開図をそれぞれ表す。
注入管下部出口部の内壁部に円周方向に配置したリング状の吹き込み部から不活性ガスを吹き込んだ場合の気泡膜の形成を説明するための概略図である。
注入管上部と取鍋下部との間のシール部材付近の縦断面を表す概略図である。
溶融金属の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯しながら連続鋳造を行った試験結果を示す図であり、同図(a)は図1に示す溶融金属の注入管を用いた試験結果を表し、同図(b)は図2に示す溶融金属の注入管を用いた試験結果を表す。
ロングノズルを用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。
従来のタンディッシュ用注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注湯し、連続鋳造を行う状況を示す縦断面の概略図である。
符号の説明
1:溶融金属の注入管(タンディッシュ用注入管)、 101:注入管出口管部下端部、 102:上部注入管、 103:下部注入管、 2:旋回流形成機構、 21:フィン状隔壁、 3:流下溶融金属への不活性ガス吹き込み部、 31:リング状吹き込み部、 4:第2の容器(タンディッシュ)、 5:タンディッシュ蓋、 6:第1の容器(取鍋)、 61:取鍋ノズル、 62:ロングノズル、 7:溶融金属注入流、 71:取鍋内溶融金属、 72:タンディッシュ内溶融金属、 8:注入管内雰囲気調整用不活性ガス、 9:流下溶融金属への吹き込み用不活性ガス、 10:浸漬ノズル、 11:鋳型、 12:金属鋳片、 13:不活性ガス導入流路、 14:逆円錐状の気泡膜、 20:スライディングゲート金物、 21:スライディングゲート作動用油圧シリンダー、 22:鉄板、 23:多孔質耐火物、 24シール部材、 25:綿状耐火物、 26:クッション材、 A:注入管本体部、 B:注入管出口管部