JP2002205154A - タンディッシュおよび連続鋳造方法 - Google Patents

タンディッシュおよび連続鋳造方法

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JP2002205154A
JP2002205154A JP2001122962A JP2001122962A JP2002205154A JP 2002205154 A JP2002205154 A JP 2002205154A JP 2001122962 A JP2001122962 A JP 2001122962A JP 2001122962 A JP2001122962 A JP 2001122962A JP 2002205154 A JP2002205154 A JP 2002205154A
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gas
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flow passage
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Seiji Furuhashi
誠治 古橋
Toshihiko Murakami
敏彦 村上
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶鋼中の微小な酸化物を一層確実に浮上させ除
去することができるタンディッシュおよびそのタンディ
ッシュを用いる連続鋳造方法の提供。 【解決手段】受湯部5と給湯部6とが通流路7で接続さ
れ、通流路の外周部に溶鋼を旋回させる電磁力発生装置
9を配置し、通流路周上の下方1/2の範囲内の1カ所
または2カ所以上にガス量を独立に制御できるガス吹き
込み口8を配置するタンディッシュ1。給湯部内の通流
路の出口〜鋳型内への給湯孔までの距離は、給湯部内湯
面〜通流路の出口の下端までの距離以上とするのがよ
い。通流路内の溶鋼の旋回速度を1m/s以上とし、通
流路周上の2カ所以上からガスを吹き込む際、下方に相
当する吹き込み口からのガス量を上方より多くし、か
つ、合計の吹き込みガス量を0.1〜10リットル(No
rmal)/分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非金属介在物が少
なく清浄性に優れた鋳片を得るためのタンディッシュお
よびそのタンディッシュを用いる連続鋳造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼材の性能向上に対する要望が高
まり、鋼の清浄性の向上が強く要望され、鋳片の微小な
非金属介在物、すなわち、溶鋼中の微小な酸化物まで除
去することが要求されている。
【0003】溶鋼中の微小な酸化物の除去方法として、
RH式などの環流型真空処理装置における処理時間の延
長、タンディッシュの大型化、鋳型への電磁ブレーキ装
置の配置などの方法が従来から採られている。いずれも
溶鋼中の酸化物の浮上を促進し、これら酸化物を溶鋼系
外に除去する方法である。しかし、たとえばRHでの処
理時間の延長は生産性を低下させ、製造コストを高くす
る。また、タンディッシュを単に大型化しても、溶鋼中
の微小な酸化物まで効果的に除去するのは困難であり、
また製造コストが高くなる。さらに、電磁ブレーキ装置
による鋳型内の溶鋼の安定的な流動制御にも限界があ
る。
【0004】また近年では、タンディッシュ内で溶鋼中
の酸化物を除去する方法として、タンディッシュ内に配
置した通流路を通過する溶鋼を誘導加熱方式で加熱し、
溶鋼中の酸化物を浮上しやすくするとともに、ピンチ効
果により、溶鋼中の酸化物をその通流路内面の耐火物に
付着させて除去する方法が採られている。しかし、通流
路内面が酸化物付着により詰まり、長時間の鋳造が困難
である。さらに、誘導加熱装置として1MW級の高出力
の装置が必要であり、設備費が過大となるとともに、製
造コストも高くなる。
【0005】他の方法として、タンディッシュ内の溶鋼
中にガスを吹き込み、溶鋼中の酸化物の浮上を促進する
方法が採られている。特開平4−365809号公報に
は、タンディッシュ内を仕切壁で分割し、片側の溶鋼を
水平方向に旋回させながら、タンディッシュ底部からガ
スを吹き込む方法が提案されている。しかし、この方法
では、微細なガスの気泡を溶鋼中に生成させるのは困難
である。なぜなら、タンディッシュ底部近傍の溶鋼の旋
回速度は遅く、溶鋼と耐火物の濡れ性が悪いため、ガス
吹き込み口から溶鋼中に生成する気泡は大きくなりやす
いからである。大きな気泡が生成すると、溶鋼中の微小
な酸化物を捕捉しにくいので、微小な酸化物は溶鋼中を
浮上しにくくなる。また、タンディッシュ底部近傍の溶
鋼の旋回速度を速くすると、旋回する溶鋼の表面に渦が
発生するので、気泡とともに浮上した酸化物が再び溶鋼
中に巻き込まれやすく、むしろ鋼の清浄性が悪くなりや
すい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、特開平1
1−179497号公報において、タンディッシュを取
鍋からの受湯部と鋳型内への給湯部と、これら受湯部と
給湯部とをつなぐ通流路とで構成し、通流路の外周部に
回転磁場を印加できる電磁力発生装置を、さらに通流路
にガス吹き込み口をそれぞれ配置し、通流路内を通過す
る溶鋼を旋回させながら溶鋼中にガスを吹き込む方法を
提案した。この方法によれば、通流路内を旋回しながら
通過する溶鋼の中心部には、微小な酸化物が集まりやす
く、その後酸化物は肥大化する。また、吹き込んだガス
の気泡は、吹き込み口において旋回する溶鋼によって剪
断されるので、微細な気泡が生成しやすい。そのため、
溶鋼中の微小な酸化物が捕捉されて溶鋼中を浮上し、溶
鋼系外に除去されるという効果が得られる。
【0007】本発明は、通流路内を通過する溶鋼を旋回
させる条件、ガスの吹き込み口を配置する条件、吹き込
みガス量、通流路の出口から鋳型内への給湯孔までの水
平方向の距離などの条件を規定することにより、より一
層確実に、溶鋼中の微小な酸化物を浮上させて除去する
ことができるタンディッシュおよびそのタンディッシュ
を用いる連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)に示すタンディッシュ、ならびに下
記(3)に示す連続鋳造方法にある。 (1)溶鋼の受湯部と、受湯した溶鋼を鋳型内へ供給す
るための給湯部と、受湯部および給湯部を接続する通流
路とを有するタンディッシュであって、上記通流路の外
周部に通流路内を通過する溶鋼を旋回させるための回転
力を付与する電磁力発生装置と、上記通流路の横断面の
周上の下方1/2の範囲内の1カ所に吹き込みガス量を
制御できるガス吹き込み口または上記通流路の横断面の
周上の2カ所以上に吹き込みガス量を独立に制御できる
ガス吹き込み口とが配置されているタンディッシュ。 (2)給湯部における通流路の出口から鋳型内への給湯
孔までの溶鋼の流れに沿った水平方向の距離が、給湯部
内の目標の湯面から通流路の出口の下端までの鉛直方向
の距離以上である上記(1)に記載のタンディッシュ。 (3)上記(1)または(2)に記載のタンディッシュ
を用いる連続鋳造方法であって、通流路の外周部に設け
た電磁力発生装置を用いて通流路内を通過する溶鋼を旋
回させる際、下記(A)式で定義される溶鋼の旋回速度
Vr(m/s)が1m/s以上となる条件で溶鋼を旋回
させ、上記通流路の横断面の周上の下方1/2の範囲内
の1カ所に配置したガス吹き込み口からの吹き込みガス
量を0.1〜10リットル(Normal)/分とするか、ま
たは上記通流路の横断面の周上の2カ所以上に設けたガ
ス吹き込み口のうち、下方に相当する位置に設けたガス
吹き込み口からの吹き込みガス量を、上方に相当する位
置に設けたガス吹き込み口からの吹き込みガス量よりも
多くし、かつ、これら2カ所以上のガス吹き込み口から
の合計の吹き込みガス量を0.1〜10リットル(Norm
al)/分とする条件で鋳造する連続鋳造方法。 Vr=0.95×R×B×{(σ×N)/ρ}1/2・・・(A) ここで、R:溶鋼が通過する通流路内部の半径(m) B:通流路の軸心部での磁束密度(T) σ:溶鋼の電気伝導率(S/m) N:磁束密度の回転数(rpm) ρ:溶鋼の密度(kg/m) 本発明のタンディッシュで規定する「通流路の横断面の
周上の2カ所以上に配置する吹き込みガス量を独立に制
御できるガス吹き込み口」において、通流路の周上の2
カ所以上に配置するガス吹き込み口の内の少なくとも1
カ所は、周上の下方1/2の範囲内に配置するものとす
る。また、これら周上の下方1/2の範囲内に配置され
たガス吹き込み口を本発明の方法で規定する「下方に相
当する位置に設けたガス吹き込み口」とする。その他の
周上の1カ所以上に配置するガス吹き込み口を本発明の
方法で規定する「上方に相当する位置に設けたガス吹き
込み口」とする。
【0009】また、本発明のタンディッシュで規定する
「給湯部における通流路の出口から鋳型内への給湯孔ま
での溶鋼の流れに沿った水平方向の距離」とは、後述す
る図3中に示すL2またはL3の距離を意味する。L2
の距離は、通流路の出口と鋳型内への給湯孔とが直線上
に存在する場合の上記水平方向の距離である。また、L
3の距離は、給湯部内に堰などを設けて、通流路の出口
と鋳型内への給湯孔とを直線上に存在させず、その間の
水平方向の距離を長くする場合の上記水平方向の距離で
あって、通流路の出口から流れ出た溶鋼が鋳型内への給
湯孔に達するまでの、溶鋼の流れに沿った水平方向の距
離のことである。溶鋼の流れに沿った距離は、溶鋼が給
湯部内の空間の中心部を直線的に流れると仮定して描く
ことができる各直線の線分の長さを繋いで合計した距離
として求めることができる。
【0010】さらに、本発明のタンディッシュで規定す
る「給湯部内の目標の湯面」とは、通常の操業で目標と
する給湯部内の湯面高さの位置を意味し、その目標の湯
面の位置は、給湯部内面における底部から頂部までの全
高さの70〜90%程度の範囲内の位置に設定されるの
が通常である。
【0011】本発明の方法で規定する上記(A)式は、
つぎのようにして求めることができる。すなわち、通流
路の外周部に設けた電磁力発生装置により通流路内を通
過する溶鋼に回転力を付与する際の溶鋼の旋回速度Vr
は、一般的に知られている乱流記述の一モデルである方
程式を用いた解析方法を用い、連続の方程式、ナビエ・
ストークスの方程式および乱流エネルギーの方程式を解
くことにより求まる。上記(A)式におけるVrは、こ
のようにして求めた溶鋼の最大の旋回速度の式である。
ここで、溶鋼の電気伝導率σは7.2×10 S/
m、また溶鋼の密度ρは7×10 kg/m の値
を用いることができる。その他の溶鋼が通過する通流路
内部の半径R(m)、通流路の軸心部での磁束密度B
(T)および磁束密度の回転数N(rpm)は、設ける通流
路および電磁力発生装置により決まる数値である。
【0012】本発明者らは、前述の課題を、下記のとお
り解決した。なお、明細書において微小な酸化物とは、
粒子直径が50μm程度以下の酸化物を意味する。
【0013】(a)タンディッシュの受湯部と給湯部と
をつなぐ通流路の外周部に備える電磁力発生装置によ
り、通流路内を通過する溶鋼を旋回させ、通流路を通過
する溶鋼中に、通流路の横断面の全周からガスを吹き込
む場合には、通流路の下方の地側に配置したガス吹き込
み口よりも、通流路の上方の天側に配置したガス吹き込
み口から溶鋼中にガスが吹き込まれやすい。なぜなら、
通流路内を通過する溶鋼にはタンディッシュの受湯部お
よび給湯部の溶鋼ヘッドに相当する溶鋼静圧が作用し、
通流路の下方の地側内壁近傍を通過する溶鋼に作用する
溶鋼静圧は、通流路の上方の天側内壁近傍を通過する溶
鋼に作用する溶鋼静圧よりも大きいので、通流路の上方
の天側に備えるガス吹き込み口から溶鋼中にガスが吹き
込まれやすくなるからである。
【0014】また、通流路の天側内壁近傍にあるガス吹
き込み口において、溶鋼中にガスの気泡が生成する際に
は、気泡が生成する方向と気泡に働く浮力の方向が逆方
向になるので、気泡がガス吹き込み口から離脱しにくく
なり、大きな気泡となってから離脱しやすい。したがっ
て、通流路の下方内壁近傍にあるガス吹き込み口から
は、溶鋼中にガスが吹き込まれにくく、主として、通流
路の上方の天側内壁近傍のガス吹き込み口から溶鋼中に
ガスが吹き込まれやすくなり、かつ大きな気泡が生成し
やすくなる。このため、溶鋼中の微小な酸化物を捕捉す
る機会が少なくなる。
【0015】さらに、通流路内を通過する溶鋼の旋回速
度が弱い場合には、ガス吹き込み口から気泡を離脱させ
る力が弱くなり、大きな気泡が生成しやすい。また、溶
鋼の旋回速度が弱いと、溶鋼中に生成した気泡が通流路
の天側近傍の溶鋼中に集積しやすく、通流路内を通過す
る溶鋼中に広く分散して溶鋼中の微小な酸化物を捕捉す
る機会が少なくなる。
【0016】ところで、通流路内で吹き込まれたガスの
気泡は、溶鋼中の酸化物を捕捉しながら通流路内を通過
し、給湯部において溶鋼中を浮上する。湯面に達した溶
鋼中の酸化物は、たとえば湯面上に添加されたフラック
スなどに捕捉されて、溶鋼系外に除去される。その際、
給湯部における通流路の出口から鋳型内への給湯孔まで
の水平方向の距離が短い場合に、溶鋼中の酸化物を捕捉
した気泡が湯面に達する時間を確保できずに、溶鋼中の
酸化物を捕捉した気泡の一部が鋳型内の溶鋼中に持ち込
まれ、鋳片表面に気泡性欠陥、非金属介在物欠陥などが
発生する場合がある。 (b)本発明のタンディッシュでは、通流路の外周部に
通流路内を通過する溶鋼に回転力を付与する電磁力発生
装置と、この通流路の横断面の周上の下方1/2の範囲
内の1カ所に吹き込みガス量を制御できるガス吹き込み
口とを配置したタンディッシュとするので、通流路内を
通過する溶鋼中に微細な気泡を生成させ、溶鋼中の微小
な酸化物まで捕捉することができる。
【0017】さらに、本発明のタンディッシュでは、給
湯部における通流路の出口から鋳型内への給湯孔までの
溶鋼の流れに沿った水平方向の距離を、給湯部内の湯面
から通流路の出口の下端までの鉛直方向の距離以上とす
るので、溶鋼中の微小な酸化物まで捕捉した気泡を、鋳
型内の溶鋼中に持ち込ませることなく、給湯部におい
て、より効果的に浮上させることができる。 (c)本発明の連続鋳造方法では、通流路内を旋回しな
がら通過する溶鋼の旋回速度を、1m/s以上の適正な
速い速度とするので、ガス吹き込み口から生成する気泡
の大きさが微細な気泡の間に、気泡をガス吹き込み口か
ら離脱させることができる。また、ガス吹き込み口で生
成し離脱した微細な気泡を通流路内を通過する溶鋼中に
広く分散させることができる。
【0018】さらに、通流路の横断面の周上の下方1/
2の範囲内の1カ所に配置したガス吹き込み口から、
0.1〜10リットル(Normal)/分の適正な吹き込み
ガス量で吹き込むか、または、通流路の横断面の周上の
2カ所以上に設けたガス吹き込み口のうち、下方に相当
する位置に設けるガス吹き込み口からの吹き込みガス量
を多くし、かつ、0.1〜10リットル(Normal)/分
の適正な合計の吹き込みガス量で吹き込むので、いずれ
の場合にも、溶鋼中に微細なガスの気泡を広く分散させ
ることができる。また、微細なガスの気泡が適正量だけ
生成するので、溶鋼中の微小な酸化物を効率よく浮上さ
せて、除去させることができ、余分の気泡が鋳型内の溶
鋼中にまで持ち込まれ、鋳片表面に捕捉されて鋳片表面
欠陥となることもない。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のタンディッシュ
の例を示す模式図であり、図2は、本発明のタンディッ
シュにおける通流路に備えるガス吹き込み口近傍の横断
面の例を示す模式図であり、図1の拡大図中に示す通流
路のA1−A2線の位置の横断面図である。図2(a)
は通流路の横断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ所
にガス吹き込み口がある例、図2(b)はガス吹き込み
口が2カ所、図2(c)はガス吹き込み口が3カ所、図
2(d)はガス吹き込み口が4カ所の例を示す。
【0020】図3は、本発明のタンディッシュの給湯部
の例を示す模式図であり、図1に示す給湯部6のB1−
B2線における水平断面を示す模式図である。図3
(a)は、給湯部6における通流路の出口16と鋳型内
への給湯孔17とを直線で結ぶ状態とした例を示す。ま
た、図3(b)は、給湯部6内に堰15を設け、給湯部
における通流路の出口16から鋳型内への給湯孔17ま
での溶鋼の流れに沿った水平方向の距離を長くした例を
示す。
【0021】本発明のタンディッシュは、溶鋼の受湯部
と、受湯した溶鋼を鋳型内へ供給するための給湯部と、
受湯部および給湯部を接続する通流路とを有するタンデ
ィッシュであって、通流路の外周部に通流路内を通過す
る溶鋼に回転力を付与する電磁力発生装置と、通流路の
横断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ所に吹き込み
ガス量を制御できるガス吹き込み口または通流路の横断
面の周上の2カ所以上に吹き込みガス量を独立に制御で
きるガス吹き込み口とが配置されているタンディッシュ
とする。
【0022】図1に示すように、取鍋2から注入される
溶鋼3の受湯部5と、浸漬ノズル10を経て鋳型11内
に溶鋼3を供給する給湯部6と、これら受湯部5と給湯
部6とをつなぐ通流路7とを有し、この通流路7には、
吹き込みガス量を独立に制御できるガス吹き込み口8
を、通流路の横断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ
所または通流路の横断面の周上の2カ所以上に設け、ま
た通流路7の外周部には、通流路内を通流する溶鋼を旋
回させる電磁力発生装置9を配置する。図1では、通流
路7の長手方向の1カ所の位置の通流路の横断面の周上
にガス吹き込み口8を設ける例を示す。なお、図1、2
には、ガス吹き込み口8を多孔質耐火物で構成した例を
示してある。
【0023】通流路の横断面形状は、通過する溶鋼を旋
回させるので、溶鋼が旋回しやすいように円形とするの
がよい。通流路の横断面形状を円形にする場合、その内
径はとくに限定しないが、鋳造する鋳片の断面サイズ、
目標の鋳造速度などに応じて決めるのがよい。通流路の
横断面形状を、たとえば多角形にする場合には、内接す
る円の直径を、上記通流路の内径とすればよい。また配
置する通流路の数は、とくに限定しないが1つが望まし
い。設備の保守点検および操業が容易だからである。1
つの通流路のとき、50〜500mm程度の内径とする
のが望ましい。通流路の長さは600〜2000mm程
度が好ましい。600mm未満では溶鋼中の微小な酸化
物の肥大化が起こりにくい。また、2000mmを超え
ると、通流路の取り付け施工性が悪くなる。
【0024】通流路の内張は、高アルミナ質、マグネシ
ア質、ジルコニア質などの一般的な耐火物で構成するの
がよい。また、通流路は、受湯部および給湯部の底部に
近い位置に設けるのが望ましい。これにより、連続鋳造
作業を終了する際、受湯部に溶鋼が残りにくい。
【0025】配置するガス吹き込み口を説明する。ま
ず、通流路の横断面の周上に配置するガス吹き込み口の
通流路の長手方向の位置は、図1に示すように1カ所で
もよいし、複数カ所でも構わない。その際、ガス吹き込
み口を配置する通流路の長手方向の位置は、とくにこだ
わらない。以下の説明では、図1に示すように、通流路
の長手方向における受湯部側の1カ所の位置に、通流路
の横断面の周上に配置したガス吹き込み口の例で説明す
る。
【0026】図1中に示す拡大図は、通流路の長手方向
におけるガス吹き込み口近傍の構造の例を示す図であ
る。ガス吹き込み口8、タンディッシュの外部からガス
を導入するための配管12、および空間部13を示す。
配管から導入したガスは、いったん空間部13に入り、
そこからガス吹き込み口8を経て、通流路7内を通過す
る溶鋼3中に吹き込まれる。ガスとして後述するガスを
用いると、吹き込まれたガスは溶鋼中で気泡4となる。
通流路7の長手方向におけるガス吹き込み口8の長さ
は、通流路全体の長さにもよるが、10mm〜500m
mが望ましい。500mmを超えると、ガス吹き込み口
近傍の通流路の強度が低下する。
【0027】つぎに、通流路の横断面におけるガス吹き
込み口近傍の構造の例を、図2に基づいて説明する。図
2(a)に、通流路の横断面の周上の下方1/2の範囲
内の地側の1カ所に吹き込み口を配置する例を示す。図
2(b)に、ガス吹き込み口を通流路の横断面の周上の
上方の天側および下方の地側の2カ所に配置する例を示
す。図2(c)に、周上の天側を除く上方(上方の天側
と下方の地側の中間の位置)の2カ所と下方の地側の1
カ所の合計3カ所にガス吹き込み口を配置する例を示
す。また、図2(d)に、天側、地側を含む周上の4カ
所にガス吹き込み口を配置する例を示す。
【0028】これらの例では、通流路7に設けたガス吹
き込み口8が仕切用耐火物14で区切られている構造の
例を示す。仕切られたそれぞれのガス吹き込み口には、
タンディッシュの外部からガスを導入するための配管
(図示していない)を配置する。このようにガス吹き込
み口8を仕切用耐火物で仕切り、それぞれにガスを導入
する配管を配置するので、それぞれのガス吹き込み口か
らの吹き込みガス量を独立に制御できる。図2(a)、
図2(b)、図2(c)および図2(d)において、符
号3は溶鋼、符号4は気泡、符号7は通流路、符号13
は空間部をそれぞれ示す。
【0029】ガス吹き込み口8の材料として、通気性の
ある多孔質耐火物を用いてもよく、また内径が0.1〜
1mm程度の細孔を多数有する耐火物を用いこともでき
る。それぞれの耐火物には、前述の通流路と同じ、高ア
ルミナ質、マグネシア質、ジルコニア質などの一般的な
耐火物を用いればよい。
【0030】通流路内を通過する溶鋼を旋回させるため
の電磁力発生装置を、通流路の外周部に配置する際、そ
の配置位置は、図1に示すように、通流路の長手方向中
心部より受湯部側とするのがよい。作用させる電磁力の
大きさは、通流路の断面積などにより決めればよいが、
通流路の軸心部で0.01〜0.15テスラ(T)程度
が望ましい。
【0031】タンディッシュの受湯部および給湯部の湯
面高さは、通流路の内径の2倍以上が望ましい。また、
通流路の軸心の位置は、給湯部の高さの1/2以下の位
置とするのが望ましい。溶鋼中の微小な酸化物を捕捉し
た微細な気泡が効果的に浮上できるからである。
【0032】本発明のタンディッシュは、給湯部におけ
る通流路の出口から鋳型内への給湯孔までの溶鋼の流れ
に沿った水平方向の距離が、給湯部内の湯面から通流路
の出口の下端までの鉛直方向の距離以上であるタンディ
ッシュとするのが望ましい。
【0033】通流路内を通過する溶鋼中に吹き込まれた
ガスによって生成した気泡は、通流路の出口に達した
後、溶鋼中を浮上する。給湯部内の溶鋼の流れなどの影
響により、浮上する気泡は溶鋼中を広がり、気泡が湯面
に達した時点での広がりの距離は、ほぼ溶鋼中を浮上す
る距離に等しい。したがって、通流路の出口から鋳型内
への給湯孔までの水平方向の距離が通流路の出口の下端
から湯面までの距離より短く、気泡が溶鋼中を浮上して
湯面に達するだけの十分な時間がない場合には、気泡の
一部が鋳型内の溶鋼中に持ち込まれやすい。本発明のタ
ンディッシュでは、上記のとおり、通流路の出口から鋳
型内への給湯孔までの距離を長くするので、気泡が鋳型
内の溶鋼中に持ち込まれ、鋳片表面に気泡性欠陥などが
発生することを、効果的に防止できる。
【0034】給湯部の大きさを設備配置の制約から十分
確保できない場合には、前述の図3(b)に示すよう
に、給湯部内に堰15を設け、溶鋼の流れを迂回させる
ことで、給湯部における通流路の出口16から鋳型内へ
の給湯孔17までの溶鋼の流れに沿った水平方向の距離
を確保することができる。給湯部を大きくできる場合に
は、図3(a)に示すように、通流路の出口16と給湯
孔17とを直線上に配置できる。
【0035】本発明の連続鋳造方法は、上記タンディッ
シュを用いる方法であって、通流路の外周部に設けた電
磁力発生装置を用いて通流路内を通過する溶鋼を旋回さ
せる際、前述の(A)式で定義される溶鋼の旋回速度V
rが1m/s以上となる条件で溶鋼を旋回させ、通流路
の横断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ所に配置し
たガス吹き込み口からの吹き込みガス量を0.1〜10
リットル(Normal)/分とするか、または通流路の横断
面の周上の2カ所以上に設けたガス吹き込み口のうち、
下方に相当する位置に設けたガス吹き込み口からの吹き
込みガス量を、上方に相当する位置に設けたガス吹き込
み口からの吹き込みガス量よりも多くし、かつ、これら
2カ所以上のガス吹き込み口からの合計の吹き込みガス
量を0.1〜10リットル(Normal)/分とする条件で
鋳造する方法である。
【0036】溶鋼の旋回速度Vrを以下に説明する。前
述の(A)式で定義される溶鋼の旋回速度Vrは、溶鋼
に電磁力を作用させる際の溶鋼の最大の旋回速度であ
る。通流路の内壁の近傍の溶鋼の旋回速度Vrが最大速
度であり、この旋回速度Vrが1m/s以上では、ガス
吹き込み口から気泡を離脱させる溶鋼の作用が大きい。
したがって、微細な気泡が得られる。ただし、溶鋼の旋
回速度を大きくするには過大な電磁力発生装置が必要と
なるので、旋回速度Vrは2m/s以下とするのが望ま
しい。
【0037】具体的に、旋回速度Vrを1m/s以上と
する方法として、たとえば、内径Rが0.2mの通流路
を配置する場合に、通流路の軸心部での磁束密度Bを
0.07Tおよび磁束密度の回転数Nを400rpm程
度とすることにより、旋回速度Vrを1m/s以上とす
ることができる。旋回速度Vrを計算する際に、前述の
とおり、溶鋼の電気伝導率σは7.2×10 S/
m、また溶鋼の密度ρは7×10 kg/m の値
を用いることができる。
【0038】ガス吹き込みの条件を以下に説明する。通
流路の横断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ所に配
置したガス吹き込み口からガスを吹き込むか、または、
通流路の横断面の周上の2カ所以上に設けたガス吹き込
み口のうち、下方に相当する位置に設けるガス吹き込み
口からの吹き込みガス量を、上方に相当する位置に設け
るガス吹き込み口からの吹き込みガス量よりも多くす
る。これらにより、溶鋼中に微細なガスの気泡を生成さ
せることができ、生成したガスの気泡を溶鋼中に広く分
散させることができる。
【0039】合計の吹き込みガス量が0.1リットル
(Normal)/分未満では、生成する微細な気泡が少な
く、溶鋼中の微小な酸化物を捕捉する効果が小さくな
る。合計の吹き込みガス量が10リットル(Normal)/
分を超えると、生成する気泡が多すぎて、気泡の一部が
鋳型内の溶鋼中に持ち込まれ、鋳片表面に気泡性欠陥が
発生しやすい。さらに、給湯部の溶鋼表面が乱れ、浮上
した酸化物などを巻き込みやすくなる。
【0040】事前の鋳造試験により、タンディッシュの
受湯部、給湯部、通流路などの大きさ、鋳片サイズ、鋳
造速度などに応じて、受湯部および給湯部の溶鋼の全酸
素量などを調査して、ガス吹き込み口のそれぞれの具体
的な吹き込みガス量および合計の吹き込みガス量を決め
るのがよい。また、溶鋼中に吹き込むガスには、窒素ガ
スまたはArなどの不活性ガスを用いるのがよい。
【0041】図1では、タンディッシュの下方に鋳型を
有する例を示しているが、本発明のタンディッシュおよ
び連続鋳造方法は、通常の垂直曲げ型または湾曲型の連
続鋳造機以外に、たとえば、水平式連続鋳造機などにも
適用できる。
【0042】
【実施例】(実施例1)前述の図1に示す構成の装置
で、受湯部、給湯部および通流路で構成されるタンディ
ッシュを用い、通流路にはガス吹き込み口を配置し、ま
た通流路の外周部には回転磁界を発生する電磁力発生装
置を配置して、受湯部から給湯部に到る間の溶鋼の清浄
化の試験を行った。
【0043】受湯部および給湯部の大きさは、それぞれ
同じ大きさで、高さを1200mm、通流路の長手方向
に相当する水平断面における横長さを2300mm、幅
長さを900mmとした。給湯部の底部には、溶鋼を排
出するための直径60mmの鋳型内への給湯孔を設け
た。また、前述の図3(a)中のL2に相当する給湯部
における通流路の出口から鋳型内への給湯孔までの水平
方向の距離を1.5mとした。この距離は、後述する給
湯部内の湯面から通流路の出口の下端までの鉛直方向の
距離の2倍以上である。
【0044】通流路は、内径200mm、長さ1000
mmとし、1本の通流路を受湯部および給湯部の底部に
配置した。給湯部の底部と通流路の出口の下端との鉛直
方向の距離を50mmとした。後述するように、給湯部
の湯面高さを750mmとしたので、給湯部内の湯面か
ら通流路の出口の下端までの鉛直方向の距離は0.7m
である。また、通流路は、高アルミナ質の耐火物製とし
た。
【0045】通流路の長手方向には1カ所で、前述の図
2(a)〜図2(d)に示すように、通流路の横断面の
周上の下方の地側の1カ所にガス吹き込み口、または、
仕切用耐火物を用いて2〜4カ所に分割したガス吹き込
み口を配置し、溶鋼中にガスを吹き込む試験を行った。
また、仕切用耐火物を用いず通流路の横断面の全周から
溶鋼中にガスを吹き込む試験も行った。いずれも、通流
路の長手方向のガス吹き込み口の長さはそれぞれ50m
mとした。ガス吹き込み口は、高アルミナ質で0.1m
mの細孔をそれぞれ15個有する耐火物とした。
【0046】これら上記タンディッシュは、本発明のタ
ンディッシュで規定する条件を満足するタンディッシュ
である。また、給湯部における通流路の出口から鋳型内
への給湯孔までの水平方向の距離の条件が、本発明のタ
ンディッシュで規定する望ましい条件を満たしている。
【0047】C含有率が0.001質量%の極低炭素鋼
の溶鋼を0.7t/分の流量でタンディッシュの受湯部
に供給するとともに、給湯部内の鋳型内への給湯孔から
溶鋼を排出した。各試験では、約150分間溶鋼を供給
した。その間、受湯部および給湯部の湯面の高さは75
0mmで一定とした。受湯部と給湯部の合計の溶鋼量は
約22tである。
【0048】各試験では、通流路の軸心部での磁束密度
Bを0.07テスラ(T)の一定とし、また磁束密度の回
転数Nは200rpmまたは400rpmとして、通流
路内を通過する溶鋼を旋回させた。前述の(A)式にお
ける溶鋼の電気伝導率σを7.2×10 S/m、ま
た溶鋼の密度ρを7×10 kg/m とするの
で、磁束密度の回転数Nが200rpmの条件は、溶鋼
の旋回速度Vrが0.95m/sに、また磁束密度の回
転数Nが400rpmの条件は、溶鋼の旋回速度Vrが
1.34m/sにそれぞれ相当する。
【0049】また、各試験では、吹き込みガスはArガ
スを用い、合計の吹き込みガス量を6リットル(Norma
l)/分、または11リットル(Normal)/分の一定と
した。また、後述するように、各ガス吹き込み口からの
吹き込みガス量を変更した。
【0050】各試験では、受湯部の溶鋼表面および給湯
部の鋳型内への給湯孔から、直径30mm、長さ100
mmの容量の溶鋼試料をボンブ法により採取し、得られ
たサンプルの全酸素量を分析した。各試験条件および各
試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】 本発明例の試験No.1では、ガス吹き込み口を前述の
図2(b)に示す2カ所に配置し、上方の天側の1カ所
からの吹き込みガス量を1リットル(Normal)/分と少
なくし、下方の地側の1カ所からの吹き込みガス量を5
リットル(Normal)/分と多くしてArガスを溶鋼中に
吹き込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/
sとした。これらガス吹き込みおよび溶鋼の旋回速度の
条件は、本発明の方法で規定する条件の範囲内である。
受湯部の溶鋼の全酸素量が45ppmであったが、給湯
部では15ppmにまで低下した。通流路内を旋回しな
がら通過する溶鋼中で、微小な酸化物が凝集、肥大化
し、給湯部でこれら肥大化した酸化物が浮上したためで
ある。
【0052】本発明例の試験No.2では、ガス吹き込
み口を前述の図2(c)に示す3カ所に配置し、下方の
地側の1カ所からの吹き込みガス量を4リットル(Norm
al)/分と多くし、その上方の2カ所からは各1リット
ル(Normal)/分としてArガスを溶鋼中に吹き込ん
だ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/sとし
た。これらガス吹き込みおよび溶鋼の旋回速度の条件
は、本発明の方法で規定する条件の範囲内である。受湯
部の溶鋼の全酸素量が43ppmであったが、給湯部で
は10ppmにまで低下した。通流路の上方の天側から
のガス吹き込みを行わなかったので、試験No.1より
もさらに効果的に溶鋼中の微小な酸化物が除去できた。
【0053】本発明例の試験No.3では、ガス吹き込
み口を前述の図2(d)に示す4カ所に配置し、下方の
地側の1カ所からの吹き込みガス量を4リットル(Norm
al)/分と多くし、その上方の左右の2カ所からの吹き
込みガス量は各0.5リットル(Normal)/分と少なく
し、さらにその上方の天側の1カ所からの吹き込みガス
量は1リットル(Normal)/分として、Arガスを溶鋼
中に吹き込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34
m/sとした。これらガス吹き込みおよび溶鋼の旋回速
度の条件は、本発明の方法で規定する条件の範囲内であ
る。受湯部の溶鋼の全酸素量が44ppmであったが、
給湯部では15ppmにまで低下した。通流路の下方の
地側の吹き込みガス量を多くしたので、効果的に溶鋼中
の微小な酸化物が除去できた。
【0054】本発明例の試験No.4では、ガス吹き込
み口を前述の図2(a)に示す地側の1カ所に配置し、
そこからの吹き込みガス量を6リットル(Normal)/分
とし、Arガスを溶鋼中に吹き込んだ。また、溶鋼の旋
回速度Vrは1.34m/sとした。これらガス吹き込
みおよび溶鋼の旋回速度の条件は、本発明の方法で規定
する条件の範囲内である。受湯部の溶鋼の全酸素量が4
4ppmであったが、給湯部では13ppmにまで低下
した。通流路の地側からガスを適正流量で吹き込んだの
で、効果的に溶鋼中の微小な酸化物が除去できた。
【0055】比較例の試験No.5では、試験No.1
と同じガス吹き込み口の配置で、上方の天側の1カ所か
らの吹き込みガス量を5リットル(Normal)/分と多く
し、下方の地側の1カ所からの吹き込みガス量を1リッ
トル(Normal)/分と少なくしてArガスを溶鋼中に吹
き込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/s
とした。溶鋼の旋回速度の条件は、本発明の方法で規定
する条件の範囲内であるが、上方の天側の吹き込みガス
量を、下方の地側の吹き込みガス量より多くしている点
が、本発明の方法で規定する条件を外れている。受湯部
の溶鋼の全酸素量が43ppmで、給湯部では32pp
mにまでしか低下しなかった。下方の地側のガス吹き込
み口から吹き込むArガス量が少ないので、微細な気泡
の生成が少なかったことによる。
【0056】比較例の試験No.6では、試験No.1
と同じガス吹き込み口の配置で、上方の天側の1カ所か
らの吹き込みガス量を1リットル(Normal)/分と少な
くし、下方の地側の1カ所からの吹き込みガス量を5リ
ットル(Normal)/分と多くしてArガスを溶鋼中に吹
き込んだ。溶鋼の旋回速度Vrは0.95m/sとし
た。ガス吹き込みの条件は、本発明の方法で規定する条
件の範囲内であるが、旋回速度Vrの値は、本発明の方
法で規定する条件を外れて小さな値である。受湯部の溶
鋼の全酸素量が41ppmで、給湯部では27ppmに
までしか低下しなかった。溶鋼の旋回速度が小さいの
で、微細な気泡の生成が少なかったことによる。
【0057】比較例の試験No.7では、通流路の横断
面の全周からArガスを6リットル(Normal)/分のガ
ス量で溶鋼中に吹き込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vr
は1.34m/sとした。溶鋼の旋回速度の条件は、本
発明の方法で規定する条件の範囲内であるが、このよう
に通流路の横断面の全周からガスを吹き込むのは、本発
明の方法で規定する条件を外れている。受湯部の溶鋼の
全酸素量が42ppmで、給湯部では32ppmにまで
しか低下しなかった。主に通流路の天側から溶鋼中にA
rガスが吹き込まれたものと推定され、そのため、微細
な気泡が生成されず、溶鋼中の微小な酸化物の除去が困
難であった。
【0058】比較例の試験No.8では、ガス吹き込み
口を前述の図2(c)に示す3カ所に配置し、下方の地
側の1カ所からの吹き込みガス量を6リットル(Norma
l)/分と多くし、その上方の2カ所からは各2.5リ
ットル(Normal)/分とし、合計の吹き込みガス量を1
1リットル(Normal)/分としてArガスを溶鋼中に吹
き込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/s
とした。溶鋼の旋回速度の条件は、本発明の方法で規定
する条件の範囲内であるが、この吹き込みガス量は、本
発明の方法で規定する条件を外れて多い量である。受湯
部の溶鋼の全酸素量が42ppmで、給湯部では32p
pmにまでしか低下しなかった。吹き込みガス量が多す
ぎて、給湯部の溶鋼表面を乱し、給湯部の溶鋼の清浄性
が悪化したためである。 (実施例2)前述の図1に示す給湯部を、前述の図3
(a)および図3(b)に示す構成の給湯部に置き換え
たタンディッシュを用い、通流路にはガス吹き込み口
を、また通流路の外周部には回転磁界を発生する電磁力
発生装置をそれぞれ配置して、受湯部から給湯部におい
て溶鋼の清浄化を図る試験を行った。
【0059】受湯部および給湯部の大きさはそれぞれ同
じ大きさで、高さを1200mm、通流路の長手方向に
相当する水平断面における横長さを900mm、幅長さ
を900mmとした。給湯部の底部には、溶鋼を排出す
るための直径60mmの鋳型内への給湯孔を設けた。
【0060】図3(a)に相当する構成の給湯部を用い
る場合には、L2に相当する給湯部における通流路の出
口から鋳型内への給湯孔までの水平方向の距離を0.7
mとした。この距離は、後述する給湯部内の湯面から通
流路の出口の下端までの鉛直方向の距離よりも短いの
で、本発明のタンディッシュで規定する望ましい条件を
満たしていない。また、図3(b)に相当する構成の給
湯部を用いる場合には、L3に相当する給湯部における
通流路の出口から鋳型内への給湯孔までの水平方向の距
離を1.5mとした。この距離は、後述する給湯部内の
湯面から通流路の出口の下端までの鉛直方向の距離の2
倍以上であるので、本発明のタンディッシュで規定する
望ましい条件を満たしている。給湯部に設ける堰の高さ
は、後述する給湯部の湯面の高さより高い1100mm
とした。
【0061】通流路は、内径200mm、長さ1000
mmとし、1本の通流路を受湯部および給湯部の底部に
配置した。給湯部の底部と通流路の出口の下端との鉛直
方向の距離は50mmとした。後述するように、給湯部
の湯面高さを950mmとしたので、給湯部内の湯面か
ら通流路の出口の下端までの鉛直方向の距離は0.9m
である。また、通流路は、高アルミナ質の耐火物製とし
た。ガス吹き込み口の構造は実施例1と同じとした。
【0062】質量%で、Cr含有率が18%、Ni含有
率が8%のオーステナイト系ステンレス鋼を0.4t/
分の流量でタンディッシュの受湯部に供給するととも
に、給湯部の鋳型内への給湯孔から溶鋼を排出した。各
試験では、約150分間溶鋼を供給した。その間、受湯
部および給湯部の溶鋼の高さは約950mmで一定とし
た。受湯部と給湯部の合計の溶鋼量は約12tである。
【0063】各試験では、通流路の軸心部での磁束密度
Bを0.07テスラ(T)の一定とし、また磁束密度の回
転数Nは400rpmとして、通流路内を通過する溶鋼
を旋回させた。前述の(A)式における溶鋼の電気伝導
率σを7.2×10 S/m、また溶鋼の密度ρを7
×10 kg/m としたので、磁束密度の回転数
Nが400rpmの条件は、溶鋼の旋回速度Vrが1.
34m/sにそれぞれ相当する。
【0064】また、各試験では、吹き込みガスはArガ
スを用い、合計の吹き込みガス量を4リットル(Norma
l)/分の一定とした。また、後述するように、各ガス
吹き込み口からの吹き込みガス量を変更した。
【0065】各試験では、受湯部の溶鋼表面および給湯
部の鋳型内への給湯孔から、直径30mm、長さ100
mmの容量の溶鋼試料をボンブ法により採取し、得られ
たサンプルの全酸素量を分析した。各試験条件および各
試験結果を表2に示す。
【0066】
【表2】 本発明例の試験No.9では、本発明のタンディッシュ
で規定する条件を満足する、図3(b)に相当する構成
の給湯部を有するタンディッシュを用いて試験した。ま
た、このタンディッシュは、通流路の出口から鋳型内へ
の給湯孔までの水平方向の距離の条件が、本発明のタン
ディッシュで規定する望ましい条件を満たしている。ガ
ス吹き込み口を図2(c)に示す3カ所に配置し、下方
の地側の1カ所からの吹き込みガス量を3リットル(No
rmal)/分と多くし、その上方の2カ所からは各0.5
リットル(Normal)/分としてArガスを溶鋼中に吹き
込んだ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/sと
した。これらガス吹き込みおよび溶鋼の旋回速度の条件
は、本発明の方法で規定する条件の範囲内である。受湯
部の溶鋼の全酸素量が44ppmであったが、給湯部で
は11ppmにまで低下した。
【0067】本発明例の試験No.10では、本発明の
タンディッシュで規定する条件を満足する、前述の図3
(a)に相当する構成の給湯部を有するタンディッシュ
を用いて試験した。ただし、このタンディッシュは、通
流路の出口から鋳型内への給湯孔までの水平方向の距離
の条件が、本発明のタンディッシュで規定する望ましい
条件を満たしていない。ガス吹き込み口、吹き込みガス
量および溶鋼の旋回速度の条件は、試験No.9と同
じ、本発明の方法で規定する条件の範囲内とした。受湯
部の溶鋼の全酸素量が45ppmで、給湯部では18p
pmにまで低下した。ただし、試験No.9に比べて全
酸素量の低下は少なかった。
【0068】比較例の試験No.11では、本発明のタ
ンディッシュで規定する条件を満足する、前述の図3
(b)に相当する構成の給湯部を有するタンディッシュ
を用いて試験した。また、このタンディッシュは、通流
路の出口から鋳型内への給湯孔までの水平方向の距離の
条件が、本発明のタンディッシュで規定する望ましい条
件を満たしている。ガス吹き込み口を前述の図2(b)
に示す2カ所に配置し、上方の天側の1カ所からの吹き
込みガス量を3リットル(Normal)/分と多くし、下方
の地側の1カ所からの吹き込みガス量を1リットル(No
rmal)/分と少なくしてArガスを溶鋼中に吹き込ん
だ。また、溶鋼の旋回速度Vrは1.34m/sとし
た。溶鋼の旋回速度の条件は、本発明の方法で規定する
条件の範囲内であるが、上方の天側の吹き込みガス量
を、下方の地側の吹き込みガス量より多くしていること
が、本発明の方法で規定する条件を外れている。受湯部
の溶鋼の全酸素量が44ppmで、給湯部では25pp
mにまでしか低下しなかった。
【0069】比較例の試験No.12では、本発明のタ
ンディッシュで規定する条件を満足する、前述の図3
(a)に相当する構成の給湯部を有するタンディッシュ
を用いて試験した。ただし、このタンディッシュは、通
流路の出口から鋳型内への給湯孔までの水平方向の距離
の条件が、本発明のタンディッシュで規定する望ましい
条件を満たしていない。また、ガス吹き込み口、吹き込
みガス量および溶鋼の旋回速度の条件は、試験No.1
1と同じ条件とし、溶鋼の旋回速度の条件は、本発明の
方法で規定する条件の範囲内であるが、上方の天側の吹
き込みガス量を、下方の地側の吹き込みガス量より多く
している点が、本発明の方法で規定する条件を外れてい
る。受湯部の溶鋼の全酸素量が45ppmで、給湯部で
は30ppmにまでしか低下しなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明のタンディッシュおよび連続鋳造
方法の適用により、安価な設備費および低い製造コスト
で、溶鋼中の微小な酸化物まで除去でき、清浄性に優れ
た鋳片を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタンディッシュの例を示す模式図であ
る。
【図2】本発明のタンディッシュにおける通流路に備え
るガス吹き込み口近傍の横断面の例を示す模式図であ
る。
【図3】本発明のタンディッシュの給湯部の例を示す模
式図である。
【符号の説明】
1:タンディッシュ 2:取鍋 3:溶鋼 4:気泡 5:受湯部 6:給湯部 7:通流路 8:ガス吹き込み口 9:電磁力発生装置 10:浸漬ノズル 11:鋳型 12:配管 13:空間部 14:仕切用耐火物 15:堰 16:給湯部への通流路
の出口 17:鋳型内への給湯孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶鋼の受湯部と、受湯した溶鋼を鋳型内へ
    供給するための給湯部と、受湯部および給湯部を接続す
    る通流路とを有するタンディッシュであって、上記通流
    路の外周部に通流路内を通過する溶鋼を旋回させるため
    の回転力を付与する電磁力発生装置と、上記通流路の横
    断面の周上の下方1/2の範囲内の1カ所に吹き込みガ
    ス量を制御できるガス吹き込み口または上記通流路の横
    断面の周上の2カ所以上に吹き込みガス量を独立に制御
    できるガス吹き込み口とが配置されていることを特徴と
    するタンディッシュ。
  2. 【請求項2】給湯部における通流路の出口から鋳型内へ
    の給湯孔までの溶鋼の流れに沿った水平方向の距離が、
    給湯部内の目標の湯面から通流路の出口の下端までの鉛
    直方向の距離以上であることを特徴とする請求項1に記
    載のタンディッシュ。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載のタンディ
    ッシュを用いる連続鋳造方法であって、通流路の外周部
    に設けた電磁力発生装置を用いて通流路内を通過する溶
    鋼を旋回させる際、下記(A)式で定義される溶鋼の旋
    回速度Vr(m/s)が1m/s以上となる条件で溶鋼
    を旋回させ、上記通流路の横断面の周上の下方1/2の
    範囲内の1カ所に配置したガス吹き込み口からの吹き込
    みガス量を0.1〜10リットル(Normal)/分とする
    か、または上記通流路の横断面の周上の2カ所以上に設
    けたガス吹き込み口のうち、下方に相当する位置に設け
    たガス吹き込み口からの吹き込みガス量を、上方に相当
    する位置に設けたガス吹き込み口からの吹き込みガス量
    よりも多くし、かつ、これら2カ所以上のガス吹き込み
    口からの合計の吹き込みガス量を0.1〜10リットル
    (Normal)/分とする条件で鋳造することを特徴とする
    連続鋳造方法。 Vr=0.95×R×B×{(σ×N)/ρ}1/2・・・(A) ここで、R:溶鋼が通過する通流路内部の半径(m) B:通流路の軸心部での磁束密度(T) σ:溶鋼の電気伝導率(S/m) N:磁束密度の回転数(rpm) ρ:溶鋼の密度(kg/m)
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