JP2010064124A - 溶融金属流への旋回付与方法 - Google Patents

溶融金属流への旋回付与方法 Download PDF

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Abstract

【課題】注入管内において、溶融金属を旋回させ、清浄化作用を強化しつつ、溶融金属の跳ね上がりを防止することが可能な、溶融金属流への旋回付与方法を提供する。
【解決手段】溶融金属を容器に注入するに際して、本体部と内径縮小部とを備える耐火物製の注入管内の、内径縮小部の上方にドームブレードを設置して、ドームブレードの有する羽根を通過する溶融金属に旋回を付与し、羽根の下流側に位置する注入管の内径縮小部において溶融金属の旋回流の流速を高める溶融金属流への旋回付与方法であって、ドームブレードは、中心部のドーム部およびその周辺部に複数枚の羽根を有する形状の耐火物により構成され、羽根が水平面となす角度は上部から下部に向かうにつれて減少しており、かつ、隣接する羽根の間等に形成される溶融金属の流路の水平横断面における断面積も減少することを特徴とする方法である。
【選択図】図8

Description

本発明は、連続鋳造における取鍋からタンディッシュへの溶融金属の注入など、高低差を利用した溶融金属の注入過程において、内部に旋回流形成機構であり、ドーム部の周囲に複数の羽根を有するドームブレードを備える円筒状の注入管を用いて溶融金属中の非金属介在物を除去する方法に関する。
連続鋳造における取鍋からタンディッシュへの溶融金属の注入のように、上方に配置された容器から、下方に配置された容器に高低差を利用して溶融金属を注入する方法として、従来から注入管を用いる方式が採用されている。
図1は、従来の注入管の縦断面図である。注入管1は、内径が均一な円筒形の耐火物からなる構造体であり、その内径d11は300〜1500mm程度であり、長さL10は500〜1500mm程度である。図1では、注入管1の上端に配置されるシール構造である、シールリング11を併せて示す。
図2は、従来の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注入し、連続鋳造を行う状況を示す連続鋳造装置の部分構成図である。同図に示されるとおり、注入管を用いる方式では、タンディッシュ蓋5に、筒状の注入管1を、その下端部がタンディッシュ4内の溶融金属72に浸漬するように設置し、取鍋6の下部に設けられた取鍋ノズル61を注入管1の上端にシールリング11を介して密着させ、注入管1の内部をArなどの不活性ガス8で満たす。そして、取鍋6内の溶融金属71を、取鍋ノズル61から溶融金属注入流7として、注入管1内の溶融金属72の湯面に叩き付けるように注入する。タンディッシュ4内に注入された溶融金属72は、タンディッシュ4の底部に設けられた浸漬ノズル12を経由して鋳型13内に注入され、冷却されながら鋳型13の下方に引き抜かれて凝固し、鋳片14となる。
注入管を用いる方式では、取鍋からの落下流が溶融金属の湯面に叩き付けられる際に雰囲気中の不活性ガスを巻き込み、巻き込まれたArなどの不活性ガスが溶融金属中の非金属介在物を捕捉しつつ上昇流を形成するので、溶融金属の清浄化に効果的である。
本発明者らは、注入管を用いる方式において溶融金属の清浄化の効果を向上させるため、特許文献1および2において、注入管の内部に旋回流形成機構を設けるとともに、注入管の下部の内径を縮小して、溶融金属に旋回を付与する方法を提案している。
旋回を付与して旋回流を形成することにより、不活性ガスと溶融金属との混合が促進され、溶融金属中の非金属介在物が不活性ガスに捕捉されやすくなり、溶融金属の清浄化の効果を向上させることができる。
特開2005−254245号公報(特許請求の範囲および段落[0038]〜[0040]) 特開2007−44731号公報(特許請求の範囲、段落[0041]および[0042])
従来の注入管の内部に旋回流形成機構を設けることにより、溶融金属に旋回を付与する方法には、2点の問題点があった。第1の問題点は、溶融金属の旋回速度が不十分であり、溶融金属の清浄化効果を十分に向上させることができないことである。第2の問題点は、取鍋から注入管内に落下した溶融金属が旋回流形成機構に衝突して上方に跳ね上がること、および注入管内に多量に溶融金属が溜まって溢れることにより、安全上の問題を生じる可能性があることである。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、取鍋からタンディッシュに溶融金属を注入する際に用いる注入管内において、溶融金属の旋回速度を増大させて清浄化の効果を向上させるとともに、溶融金属の跳ね上がりや溢れを防止することが可能な溶融金属流への旋回付与方法を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明者らは、溶鋼の連続鋳造試験および電子計算機を用いた数値解析によって、ドーム部の周囲に複数の羽根を有する旋回流形成機構である、ドームブレードの形状について検討を行った。
その結果、上記目的の実現には、ドームブレードの羽根を特定の形状とすることが有効であるとともに、注入管内部においてこの羽根の上部に十分な高さの溶融金属を保持可能な領域が必要であるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は下記の溶融金属流への旋回付与方法にある。
(1)溶融金属を容器に注入するに際して、本体部と、前記本体部の下部に位置し、上部から下部に向かうにつれて内径が縮小する部分を有する内径縮小部とを備える耐火物製の注入管内の、前記内径縮小部の上方にドームブレードを設置して、前記ドームブレードの有する羽根の間を通過する溶融金属に旋回を付与し、前記羽根の下流側に位置する前記注入管の内径縮小部において前記溶融金属の旋回流の流速を高める溶融金属流への旋回付与方法であって、前記ドームブレードは、半径方向中心部に配置された上に凸のドーム状の形状を有するドーム部および前記ドーム部の半径方向周辺部に複数枚の羽根を有する形状の耐火物により構成され、前記ドーム部の肉厚は10〜150mmであり、前記羽根の厚さは10〜50mmであり、前記羽根が水平面となす角度は、前記羽根の上部から下部に向かうにつれて減少しており、かつ、前記ドーム部の外面と、互いに隣接する前記羽根と、前記注入管本体部の内壁とにより囲まれて形成される前記溶融金属の流路の水平横断面における前記注入管の半径方向の幅は、前記流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって前記流路の水平横断面における断面積も減少することを特徴とする、溶融金属流への旋回付与方法。
(2)前記ドームブレードを構成する前記羽根が、1個以上の3次曲面、2個以上の2次曲面、3個以上の平面またはこれらを複合した形状を有し、任意の鉛直断面において前記羽根が水平面となす第1の角度は、前記羽根の上端において最大であり、かつ前記羽根の下端において最小であって、前記第1の角度は、前記羽根の上端において25〜90°であり、下端において5〜45°であって、任意の水平横断面において前記注入管の中心を通る直線である半径線と前記羽根とのなす第2の角度は、前記羽根の前記ドーム部との接続点において最小であり、かつ前記羽根の外周部において最大であって、前記羽根の上端における前記第2の角度は、前記ドーム部との接続点において0〜45°であり、前記羽根の外周部において30〜80°であることを特徴とする、前記(1)に記載の溶融金属流への旋回付与方法。
前記(1)および(2)に記載の溶融金属流への旋回付与方法において、前記注入管本体部の水平横断面における前記注入管の断面積から、前記水平横断面への前記ドームブレードの投影面積を減じた残りの面積が、前記ドームブレードの投影面積の20%以下であると、溶融金属に効率良く旋回を付与することができ、好ましい。また、前記溶融金属の流路を、直径40mmの球体が通過できるようにすると、流路の非金属介在物による閉塞を防止できるため、好ましい。
さらに、前記注入管本体部内に滞留させることが可能な溶融金属の湯面高さの上限の位置が、前記ドームブレードの羽根の上端から上方に400mm以上の高さにあることが、溶融金属の溢れを防ぐために好ましい。また、前記注入管本体部の内径が300〜1500mm、前記内径縮小部の最小内径が60〜300mmであり、前記ドームブレードの外径に対する前記内径縮小部の最小内径の比率が1/15〜1/3であり、前記内径縮小部の内径が上記比率である部分の鉛直方向の長さが前記最小内径の0.5〜4.0倍であることが、溶融金属に含まれる凝固した金属または非金属介在物による注入管の閉塞を抑制するとともに旋回を効率的に付与する観点から好ましい。
また、前記注入管の内径縮小部のうち、前記ドームブレードの外径に対する前記内径縮小部の内径の比率が1/15〜1/3である部分の内壁から、1〜50NL/minの流量で不活性ガスを吹き込むことが、気泡により非金属介在物を効率良く捕捉するために好ましい。
本明細書等において、「ドーム状の形状」とは、上部から下部に向かうにつれて直径が増加する丸屋根形状または傘型形状であり、釣鐘のように底面に開口部を有する形状を意味する。
「注入管の断面積」とは、水平横断面において、注入管の内壁により囲まれる部分の面積を意味する。
また、「2次曲面」とは、平面上に描かれた曲線を直線運動させた時に軌跡として描かれる曲面を意味し、その一例として、長方形の紙を、対向する一対の辺を平行に保ったまま曲げた場合に得られる曲面が挙げられる。「3次曲面」とは、曲線を曲線運動させることにより描ける曲面を意味し、その一例として、球面や地形の凹凸が挙げられる。
本発明の溶融金属流への旋回付与方法によれば、注入される溶融金属の跳ね上がりおよび溢れを防止しながら、効率良く旋回流を形成することにより、非金属介在物を除去し、溶融金属の清浄化効果を向上させることができる。また、不活性ガス吹き込み等を組み合わせることによって、非金属介在物の除去効果をより向上させることができる。
本発明の溶融金属流への旋回付与方法は、前記のとおり、溶融金属を容器に注入するに際して、本体部と、前記本体部の下部に位置し、上部から下部に向かうにつれて内径が縮小する部分を有する内径縮小部とを備える耐火物製の注入管内の、前記内径縮小部の上方にドームブレードを設置して、前記ドームブレードの有する羽根の間を通過する溶融金属に旋回を付与し、前記羽根の下流側に位置する前記注入管の内径縮小部において前記溶融金属の旋回流の流速を高める溶融金属流への旋回付与方法であって、前記ドームブレードは、半径方向中心部に配置された上に凸のドーム状の形状を有するドーム部および前記ドーム部の半径方向周辺部に複数枚の羽根を有する形状の耐火物により構成され、前記ドーム部の肉厚は10〜150mmであり、前記羽根の厚さは10〜50mmであり、前記羽根が水平面となす角度は、前記羽根の上部から下部に向かうにつれて減少しており、かつ、前記ドーム部の外面と、互いに隣接する前記羽根と、前記注入管本体部の内壁とにより囲まれて形成される前記溶融金属の流路の水平横断面における前記注入管の半径方向の幅は、前記流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって前記流路の水平横断面における断面積も減少することを特徴とする、溶融金属流への旋回付与方法である。以下、本発明の溶融金属流への旋回付与方法について詳細に説明する。
図3は、本発明の溶融金属流への旋回付与方法を用いて連続鋳造を行う状況を示す連続鋳造装置の構成図である。図3に示す連続鋳造装置は、注入管の構成以外は図2に示す連続鋳造装置と同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図3において、取鍋6内の溶融金属71は、取鍋6の底部に取り付けられた取鍋ノズル61を経て、溶融金属注入流7となってタンディッシュ4内に注入される。タンディッシュ4内に注入された溶融金属72は、さらに、タンディッシュ4の底部に設けられた浸漬ノズル12を経由して鋳型13内に注入され、冷却されながら鋳型13の下方に引き抜かれて凝固し、鋳片14となる。
溶融金属注入流7は、図3中の1Aで示される注入管1の本体部において、注入管内に雰囲気調整を目的として吹き込まれた不活性ガス8を巻き込むので、注入管1内の溶融金属72には不活性ガスの気泡が懸濁している。この溶融金属注入流7は、注入管1の本体部1Aの内部に配置されたドームブレード2を通過する間に、注入管1内部の円周方向の流速成分(旋回)を付与され、旋回流を形成しながら流下する。溶融金属注入流7は、本体部1Aの下部に配置され、本体部1Aよりも内径が縮小された内径縮小部1Bに流下し、ここで円周方向の流速がさらに加速されて強い旋回流を形成する。
このようにして、旋回流が形成されたことにより、内径縮小部1Bの不活性ガス吹き込み部3から吹き込まれた不活性ガスは微小な気泡となる。さらに、遠心力(低密度相に対しては求心力)の作用により旋回流の中心部に向かって溶融金属注入流7を横切って移動する気泡は、非金属介在物を捕捉し、内径縮小部1Bの下端からタンディッシュ4へと流出していく。
そして、非金属介在物を捕捉した気泡は、タンディッシュ4内において溶融金属72の液面に浮上するので、非金属介在物が溶融金属72から分離され、溶融金属72は清浄化される。また、遠心力に基づく低比重物質の分離作用により発生した微小な気泡は、タンディッシュ4内を浮上する途上で非金属介在物を捕捉するため、これによっても溶融金属72は清浄化される。
1.ドームブレードについて
図4〜図7は、それぞれ本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いるドームブレードの概観図、平面図、底面図および側面図である。ドームブレード2は、耐火物製の構造体であり、これらの図に示すように、中央のドーム部21と、その周囲に設けられた複数の羽根22を備える。ドームブレード2は注入管1の内部に固定されており、互いに隣接する羽根22の間の流路23を通過する溶融金属に角運動量を付与し、旋回流を形成させる。
1−1.ドーム部について
ドーム部21は、中心部が上に凸のドーム状の形状であり、図6に示すとおり、釣鐘のように底面に開口部(凹部)21aを有する。このようなドーム部21の形状は、ドームブレード2の上方から注入される溶融金属の荷重に耐えるのに好適であるとともに、注入された溶融金属を注入管1の中心側から内壁側へと導いて、羽根22の形状と相まって旋回流速を注入管1の内壁近傍において高めることができるため、溶融金属に大きな角運動量を付与するのに好適である。また、ドーム部21の直径は、下方ほど大きいことが、旋回半径の大きな旋回流を形成し、溶融金属に大きな角運動量を付与する観点からより好ましい。
ドーム部21の肉厚は、10〜150mmと規定する。これは、肉厚が10mm未満であると、強度が不足するからである。また、肉厚が150mmを超える場合や、ドーム部21が平坦な底面を有する中実構造である場合には、必要以上の質量増大を招くのみならず熱衝撃に弱くなるからである。
ドーム部21は、衝突する溶融金属による損耗に対する耐久性を高めるため、その上部において、他の部位に比べて大きな肉厚を有することが望ましい。具体的には、上部の最大肉厚が20〜100mm、その他の部位の肉厚が10〜50mmであることが望ましい。ここでいうドーム部21の上部とは、図7の側面図において羽根22よりも上部に露出している部位を、また、図5の平面図においては羽根22よりも中心側に位置する部位を指す。
1−2.羽根について
ドームブレード2の羽根22を、ドーム部21の周囲に設けるのは、溶融金属に大きな角運動量を付与する観点から、溶融金属の旋回流の半径を大きくできる位置、すなわちドームブレード2の外周側において溶融金属を旋回させることが有効だからである。
また、羽根22を複数枚設けるのは、羽根22が1枚では形成される旋回流の流速が円周方向に不均等になるとともに、ドームブレード2の強度および溶融金属流による負荷に円周方向の偏りが生じるからである。羽根22の枚数は、4〜10枚が好適である。
羽根22の肉厚は、10〜50mmと規定する。これは、肉厚が10mm未満であると、強度が不足するからである。また、肉厚が50mmを超えると、必要以上の質量増大や流路23の減少を招くのみならず熱衝撃に弱くなるからである。ここで、羽根22の肉厚とは、羽根22の表面(流路形成面)に垂直な方向の厚みをいう。
また、羽根22が水平面となす角度は、羽根22の上部から下部に向かうにつれて減少するように変化し、かつ、ドーム部21の外面と、互いに隣接する羽根22と、注入管1の本体部1Aの内壁とにより囲まれて形成される溶融金属の流路の水平横断面における注入管1の半径方向の幅は、当該流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって当該流路の水平横断面における断面積も減少する。図5および図6では、当該流路のうち、互いに隣接する羽根22の間に形成される流路23の一部をハッチングにて示す。
羽根22が水平面となす角度および溶融金属の流路23を上記のように調整することによって、注入された溶融金属7が互いに隣接する羽根22の間に形成される流路23内に溜まりやすくなり、注入された溶融金属7が羽根22に当たる流速を、溜まった溶融金属が緩和することによって溶融金属の跳ね上がりを抑制することができ、操業の安全性を向上させることができる。
また、溶融金属の流路の注入管1の半径方向の幅を減少させるに際して、当該流路の注入管中心側の壁の位置が上部から下部に向かうにつれて、注入管1の中心側から外側へ移動するように形成することが好ましい。このように構成することにより、当該流路の中心を、上部から下部に向かうにつれて外側へ移動させ、旋回流の半径を大きくし、溶融金属により大きな角運動量を付与することができるからである。これは、ドーム部21の直径が上部から下部に向かうにつれて増加する形状とすることにより実現できる。
1−3.羽根の角度について
羽根22の形状は、図7に示す角度θおよび図5に示す角度φ、すなわち任意の鉛直断面において羽根22が水平面となす角度θおよび任意の水平横断面において注入管1の中心(本実施形態ではドームブレード2の中心と略同一)を通る直線である半径線と羽根22とのなす角度φが次の条件を満たすことが好ましい。角度θおよび角度φは、溶融金属の流動への影響が大きい羽根22の上面側(凹面側)において規定する。ここで、角度θは、水平面を基準とし、鉛直下向きを正方向とする。角度φは、上記半径線の外向き方向を基準とし、溶融金属の旋回方向を正方向とする。なお、図7に示す角度θは、斜め方向から見たものであり、正確な角度を図示したものではない。
角度θは、羽根22の上端において最大であり、かつ羽根22の下端において最小であって、角度φは、羽根22のドーム部21との接続点において最小であり、かつ羽根22の外周部において最大であることが好ましい。この場合、角度θは、羽根22の上端において25〜90°であり、下端において5〜45°であることが好ましい。また、羽根22の上端における角度φは、ドーム部21との接続点において0〜45°であり、羽根22の外周部において30〜80°であることが好ましい。この条件を満たす形状の羽根22は1個以上の3次曲面、2個以上の2次曲面、3個以上の平面またはこれらの面を複合させることにより得ることができる。より滑らかな面を形成する観点から、羽根22は、1個の3次曲面で構成することが最も好ましい。
角度θを、羽根22の上端において最大とし、下端において最小とするのは、上述のとおり、流路23の断面積を上部から下部に向かうにつれて減少させて溶融金属の溜まりを形成し、羽根22の下部に当たった溶融金属注入流の飛散を抑制するためである。また、この角度θは、羽根22の上端において直角に近いほど、すなわち羽根22の上端近傍が鉛直に近いほど注入した溶融金属が羽根22の上部に当たった際の飛散は抑制される。また、角度θは、羽根22の下端において小さいほど、すなわち羽根22の下端近傍が水平に近いほど強い旋回流を得ることができるからである。
羽根22の上端における角度θの好ましい範囲を25〜90°に規定したのは、羽根22の上端において角度θが25°未満であると注入した溶融金属の飛散が多くなりやすいからである。また、角度θが90°を超えることは旋回流形成の観点から意味がないとともに、旋回流の形成を妨げる要因となるからである。すなわち、角度θが90°のとき羽根22の上面および下面(背面)の上部には鉛直な注入流はほとんど当たることはないので、溶融金属飛散の観点からは羽根22の上端における角度θは90°が最適であり、角度θが90°を超えると背面側に鉛直な注入流が当たるので逆効果となる。羽根22の上端における角度θのより好ましい範囲は、45〜90°である。
羽根22の下端における角度θの好ましい範囲を5〜45°に規定したのは、羽根22の下端において角度θが小さいほど強い旋回を付与することができるものの、5°未満であると羽根22が円周方向に長くなりすぎて、流路23が狭まるからである。また、角度θが45°を超えると、溶融金属に十分な旋回を付与することが困難であるからである。羽根22の下端における角度θのより好ましい範囲は、10〜30°である。
角度φを、羽根22のドーム部21との接続点において最小とし、かつ羽根22の外周部において最大とするのは、注入管1の中心部における溶融金属が、ドームブレード2の中心のドーム部21に当たった後、周辺部の羽根22に向かう流れ、すなわち注入管1の中心部から周辺部への半径方向外向きの流れを、羽根22に沿ってスムーズに周方向の流速成分を有する流れに変化させることにより、溶融金属に効率良く旋回を付与することができるからである。つまり、このように溶融金属の流れを導くことにより、溶融金属流の有する運動エネルギーを角運動エネルギーに効率良く変換することができるからである。
このように溶融金属流を導くには、羽根22を平面図に投影した形状を、図5の平面図に示す角度φが、ドームブレード2の中心側では小さく、外周側へ移行するにつれて徐々に大きくなるように湾曲した形状とすることが望ましい。
羽根22の上端における角度φを、ドーム部21との接続点すなわちドームブレード2の中心側において0〜45°に規定したのは、この部分において角度φが0°よりも小さいと、羽根22の傾きが溶融金属流の旋回方向と逆方向となり、旋回流を弱めることとなるからである。また、角度φが45°よりも大きいと、ドーム部21から羽根22に向かう、注入管1の中心部から周辺部への半径方向の流れを急激に円周方向に変更することとなり、溶融金属の飛散の要因や、発生したエネルギーロスによって効率の良い旋回を付与できなくなる要因となるからである。
羽根22の上端における角度φを、羽根22の外周部において30〜80°に規定したのは、この部分において角度φが30°よりも小さいと、注入管1の中心部から周辺部に向かう溶融金属流の方向を、円周方向に変える作用が小さく、溶融金属に効率良く旋回を付与することができないからである。また、角度φが80°よりも大きいと、羽根22が円周方向に長くなりすぎて互いに隣接する羽根22の間に形成される溶融金属の流路23が狭まるからである。この場合、羽根22の厚みを薄くすれば流路23を確保することができるものの、その場合には羽根22の強度が低下するという問題がある。
1−4.注入管内水平横断面におけるドームブレードの非占有率について
注入管1の本体部1Aの水平横断面において、注入管1の断面積から、この水平横断面へのドームブレード2の投影面積を減じた残りの面積の、ドームブレード2の投影面積に対する割合を、注入管内水平横断面におけるドームブレードの非占有率とする。本実施形態において、このドームブレードの非占有率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
上記の範囲が好ましい理由は、上記の注入管内水平横断面におけるドームブレードの非占有率が大きくなると、ドームブレード2の羽根22によって旋回を付与されることなく鉛直に流下する流路が拡大するため、溶融金属に効率良く旋回を付与することができなくなるからである。
また、ドームブレード2の互いに隣接する羽根22を、上記水平横断面に投影したとき、互いに重複する場合には、その重複する部分の面積の合計がドームブレード2の投影面積の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。これは、羽根22が重複する部分の面積が大きいと、羽根22の間を通過する溶融金属の流動抵抗が高まり、溶融金属に効率良く旋回を付与することができないからである。
1−5.溶融金属の流路について
ドーム部21の外面と、互いに隣接する羽根22と、注入管1の本体部1Aの内壁とにより囲まれた領域には、溶融金属の流路が形成される。この溶融金属の流路は、溶融金属とともに流入した非金属介在物の塊が詰まらずに通過できるようにするため、少なくとも直径40mmの球体が通過できるように形成することが好ましい。
2.注入管について
図8は、本発明に係る注入管の縦断面図である。一般に、注入管とは、前記図1に示すような円筒状の耐火物製構造体である。これに対して、本発明における注入管1は、図8に示すように、上部の本体部1Aと下部の内径縮小部1Bとを備え、注入管1の本体部1Aの内部の、内径縮小部1Bの上方には、ドームブレード2が配置されている。
本体部1Aは内径が一定の円筒形である。本体部1Aの上部の壁面には貫通孔であるオーバーフロー孔9が設けられており、本体部1Aの外面にはオーバーフロー孔9に接続されるようにオーバーフロー樋10が設けられている。オーバーフロー孔9により、注入管1の内部に滞留させることが可能な溶融金属の湯面高さの上限の位置が規定されるとともに、万一、溶融金属の湯面高さが異常に上昇してオーバーフロー孔9から溶融金属が溢れた場合にもオーバーフロー樋10から安全に排出される。
内径縮小部1Bは、上端において内径が本体部1Aと同一であり、下方に向かって内径が縮小する部分を有する形状である。内径縮小部1Bの下部に位置する狭径部の内面には不活性ガス吹き込み部3が設けられており、これについては後出する2−3.にて詳述する。
2−1.湯溜め領域について
注入管1内部の、ドームブレード2に設けられた羽根22の上端からオーバーフロー孔9の下端までの領域は、溶融金属を滞留させることが可能な領域(以下、「湯溜め領域」ともいう)である。当該湯溜め領域の高さL11は、400mm以上であることが好ましく、600mm以上であることがより好ましい。湯溜め領域の高さL11が400mm未満であると、操業中に注入管1内に滞留した溶融金属の湯面高さが変動した際に、溶融金属が注入管1の本体部1Aの上部から溢れ出る危険性があるからである。湯溜め領域の高さL11の上限値は特に規定しないが、注入管1を無用に大きくしないという観点からは、1000mmまたは1500mm程度が実質的な上限値である。
湯溜め領域の上限位置は、図8に示す注入管1ではオーバーフロー孔9の下端である。しかし、注入管1内の湯面高さの異常な上昇の可能性が十分に小さい場合には、オーバーフロー孔9を設けず、注入管1の上端を湯溜め領域の上限位置としてもよい。また、注入管1の上端の一部に高さの低い部分を設け、この部分にオーバーフロー樋を連接してもよい。注入管1の本体部1Aの側面にオーバーフロー孔9を設ける場合には、不活性ガスによる注入管1内部の雰囲気調整効果および大気遮断効果を保持する観点から、通常の操業時にはオーバーフロー孔9を耐火クロス等で閉塞しておくことが望ましい。
2−2.本体部と内径縮小部の寸法について
注入管1の本体部1Aの内径d11は300〜1500mmが好ましく、400〜1000mmがより好ましい。内径縮小部1Bの最小内径d12は60〜300mmであり、かつ、最小内径d12のドームブレード2の外径に対する比率、すなわち絞り比が、1/15〜1/3であることが好ましい。最小内径d12は、80〜150mmであり、かつ、上記絞り比は、1/10〜1/4であることがより好ましい。
このように注入管1の寸法を規定する理由は、本体部1Aの内径d11および内径縮小部1Bの最小内径d12が上記範囲の下限未満であると、溶融金属に含まれる凝固した金属または非金属介在物による注入管1の閉塞が生じる可能性が高いからである。また、本体部1Aおよび内径縮小部1Bの内径が上記範囲の上限を超える場合には、注入管1が必要以上に大きくなり、コストの上昇を招くからである。
また、上記絞り比が1/15〜1/3であることが好ましいのは、絞り比が1/15よりも小さいと注入管1内に滞留する溶融金属の湯面高さが増大し、湯溜め領域の高さL11が、本発明で規定する長さでは不足するからであり、また、絞り比が1/3よりも大きいと、得られる旋回流の流速が不足するからである。
内径縮小部1Bのうち、絞り比が1/15〜1/3(より好ましくは1/10〜1/4)である部分1C(以下、「狭径部」という)の鉛直方向の長さL12が、内径縮小部1Bの最小内径d12の0.5〜4.0倍が好ましく、0.8〜2.5倍がより好ましい。
このように内径縮小部1Bおよび狭径部1Cの寸法を規定する理由は、この部分が短すぎると得られた旋回流中で作用する遠心力(低密度相に対しては求心力)によって気泡や非金属介在物が衝突、合体する領域の長さが不足するため、旋回流を利用した清浄化効果が低下するからである。一方、この部分が長すぎると、この部分の内壁面との摩擦抵抗によって旋回流の流速が減衰し、この場合も旋回流を利用した清浄化効果が低下するからである。
2−3.不活性ガス吹き込み部について
注入管1の狭径部1Cの内壁には、不活性ガス吹き込み部3が設けられている。不活性ガス吹き込み部3へは、注入管1の管壁内に設けられた図示しない不活性ガス導入路により、注入管1の外部から不活性ガスが導かれる。ドームブレード2において形成された旋回流に対して、狭径部1Cの不活性ガス吹き込み部3から不活性ガスを吹き込むと、小さな気泡が多数発生する。これらの気泡は遠心力によって溶融金属の旋回流を横切りながら中心方向へ移動する際に、非金属介在物を捕捉するフィルターの役割を果たす。
この気泡フィルターが、狭径部1Cの水平断面に占める比率を上昇させるため、不活性ガス吹き込み部3は、狭径部1Cの内壁の全周に設けるのが好ましい。また、不活性吹き込み部は、狭径部1Cを構成する耐火物に穿った、直径0.3〜1.5mm程度の細孔により構成してもよいし、狭径部1Cの内壁に設けた多孔質耐火物により構成してもよい。
なお、発生する気泡の径が小さいほど介在物捕捉に有利であるので、不活性ガス吹き込み部3は、狭径部1Cの内でも最も旋回流の流速が大きい部位である内径最小部位に設けることが好ましい。
この不活性ガス吹き込み部3から吹き込まれる不活性ガスの流量は、1〜50NL/minとすることが好ましい。これは、この流量が1NL/min未満であると、気泡の総量が不足し、非金属介在物を捕捉する作用が低下するからである。また、50NL/minを超えると、溶融金属中に占める気泡の割合が増して、溶融金属の流動抵抗が増加し、溶融金属を流動させるために必要以上に多くのエネルギー(注入管1内外のヘッド差)が必要となるからである。
3.ドームブレードおよび注入管の別の形態について
図9〜図12は、それぞれ本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別のドームブレードの概観図、平面図、底面図および側面図である。このドームブレード2は、羽根22を10枚有する形状である。
図4〜図7に示したドームブレード2は、ドーム部21の下端と羽根22の下端が同一平面上にある形状であったが、羽根22の形状は前記課題を解決するための手段に記載した規定条件を満たすものとする限り、図9〜図12に示すように、羽根22の下端がドーム部の底面よりも下方に位置する形状であってもよい。
図13は、上記別のドームブレードを配置した、本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる注入管の断面図である。図13に示すように、内径縮小部1Bおよび狭径部1Cの形状を上述の条件を満たすものとする限りにおいて、注入管1の上部にシールリング11を配置し、注入管1の壁面にオーバーフロー孔9を設けない形態としてもよい。
本発明の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行うとともに、得られた鋳片の性状を評価した。
1.鋳造条件
鋳造方式:湾曲型の4ストランド連続鋳造機による鋳造。
鋼種:下記表1に記載の成分組成を有するAlキルド鋼。
溶鋼温度:タンディッシュ内温度を1550〜1600℃とした。
取鍋容量:200t。
タンディッシュ容量:20t。
雰囲気調整用Arガス吹き込み量:1000NL/min
非金属介在物捕捉用Arガス吹き込み量:5NL/min
鋳片寸法:厚さ410mm×幅530mm。
鋳片引抜速度:0.5m/min。
Figure 2010064124
2.注入管およびドームブレードの形状
本発明例1は、図4〜図7に示す形状のドームブレードを設置した図8に示す形状の注入管を使用し、図3に示す構成の連続鋳造装置を用いて実施した。また、本発明例2は、図9〜図12に示す形状のドームブレードを設置した図13に示す形状の注入管を用いて実施した。本発明例2で用いた連続鋳造装置は、注入管およびドームブレード以外は図3に示す連続鋳造装置と同様の構成とした。比較例は、図1に示す形状の注入管を使用し、図2に示す連続鋳造装置を用いて実施した。また、注入管の寸法等は下記表2に、ドームブレードの寸法等は下記表3に示す通りとした。
Figure 2010064124
Figure 2010064124
〈本発明例1〉
本発明例1では、静水圧プレス成形されたアルミナ−グラファイト質耐火物製の注入管の内部に、流し込み成形されたアルミナ−マグネシア質耐火物製の旋回流形成機構であるドームブレードを配置した。
注入管は、全高L10が1200mm、本体部の内径d11が480mmであり、肉厚が40mmである。本体部の上部には直径120mmのオーバーフロー孔を設けた。内径縮小部の最小内径d12は96mmであり、最小内径部分の外径は160mmである。ドームブレードの外径d21の480mmに対する内径縮小部の最小内径d12の比率は1/5であり、1/15〜1/3の範囲内である。内径縮小部のうち、内径がドームブレードの外径の1/15〜1/3、すなわち32〜160mmである部分である狭径部の長さL12は200mmであり、最小内径d12の2.1倍であり、0.4〜4.0倍の範囲内である。図8には、内径がドームブレードの外径の1/3である部分をd13として示した。注入管の下端の溶融金属の排出口の130mm上方には、直径0.5mmの非金属介在物捕捉用の不活性ガスの吹き込み孔を周方向に均等に12個設けた。
ドームブレードは、ドーム部と羽根を合わせた全体の外径d21が475mmである。ドーム部は、外径の最も大きな下端部において外径d22が305mmであり、肉厚は20mmで均一である。ドーム部の周辺には、3次曲面で構成され、厚さ20mm、高さh21が140mmの羽根が8枚、均等に配置されている。羽根の下端の高さはドーム部の下端の高さと同一であり、羽根の上端の高さはドーム部の上端の高さよりも60mm低い(h22)。
互いに隣接する羽根の間およびドームブレードと注入管との間に形成される溶融金属の流路の水平横断面における注入管の半径方向の幅は、流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって前記流路の水平横断面における断面積も減少している。
また、任意の鉛直断面において羽根が水平面となす角度θは、羽根の上端において最大であり、かつ羽根の下端において最小となっている。角度θは、羽根の上端の全ての点において90°であり、下端ではドーム部との接続点側と外周部とで若干異なるものの、概ね20°である。
任意の水平横断面において注入管の中心を通る直線である半径線と羽根とのなす角度φは、羽根のドーム部との接続点において最小であり、かつ羽根の外周部において最大となっている。羽根の上端における角度φは、ドーム部との接続点において20°であり、羽根の外周部において60°である。
注入管内水平横断面におけるドームブレードの非占有率は、0.2%であり、20%以下の条件を満たしている。
また、図6に図示したように、互いに隣接する羽根の間隔が最も狭い羽根の下端部においても、溶融金属の流路を直径40mmの球体が通過可能である。
〈本発明例2〉
本発明例2では、静水圧プレス成形されたマグネシア−グラファイト質耐火物製の注入管の内部に、流し込み成形されたマグネシア−アルミナ質耐火物製の旋回流形成機構であるドームブレードを配置した。
注入管は、全高L10が1100mm、本体部の内径d11が540mmであり、肉厚が30mmである。内径縮小部の最小内径d12は110mmであり、最小内径部分の外径は180mmである。ドームブレードの外径540mmに対する内径縮小部の最小内径の比率は1/4.9であり、1/15〜1/3の範囲内である。内径縮小部のうち、内径がドームブレードの外径の1/15〜1/3、すなわち36〜180mmである部分である狭径部の長さL12は220mmであり、最小内径の2.0倍である。
また、ドームブレードの羽根の上端から注入管本体部の湯溜め領域の上限までの距離L11は、380mmであり、注入管の上部には、高さL20が330mmのシールリングを載置し、モルタルで固定している。
ドームブレードは、ドーム部と羽根を合わせた全体の外径d21が535mmである。ドーム部は、外径の最も大きな下端部において外径d22が376mmであり、肉厚は50mmで均一である。ドーム部の周辺には、3次曲面で構成された厚さ20mm、高さh21が155mmの羽根が10枚、均等に配置されている。羽根の上端の高さはドーム部の上端の高さよりも65mm低く(h22)、羽根の下端の高さはドーム部の下端の高さよりも70mm低い(h23)。
互いに隣接する羽根の間およびドームブレードと注入管との間に形成される溶融金属の流路の水平横断面における注入管の半径方向の幅は、流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって前記流路の水平横断面における断面積も減少している。
また、角度θは、羽根の上端において最大であり、かつ羽根の下端において最小となっている。羽根の上端における角度θは、ドーム部との接続点において最大の60°であり、外周部において最小の35°である。また、羽根の下端における角度θは、ドーム部との接続点において最大の40°であり、外周部において最小の20°である。
角度φは、羽根のドーム部との接続点において最小であり、かつ羽根の外周部において最大となっている。羽根の上端における角度φは、ドーム部との接続点において0°であり、羽根の外周部において10°である。
また、図11に示すように、互いに隣接する羽根の間隔が最も狭い羽根の下端部においても、溶融金属の流路を直径40mmの球体が通過可能である。
〈比較例〉
比較例で用いた注入管は、静水圧プレス成形されたアルミナ−グラファイト質耐火物製の円筒状のものであり、旋回流形成機構を有しないものである。その形状は、内径d11が480mm、全高L10が860mm、肉厚が30mmである。注入管の上部には高さL20が210mmのシールリングを載置することにより、注入流を大気から遮断した。
3.試験結果
本発明例1の鋳造装置を用いて、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入しながら、注入管の上部の空間に雰囲気調整用のArガスを1000NL/min、注入管下端の不活性ガス吹き込み孔から非金属介在物捕捉用のArガスを5NL/minの流量で吹き込み、上記表1に示す組成のAlキルド鋼を鋳造した。また、比較例の鋳造装置を用いて、注入管の上部の空間に雰囲気調整用のArガスを1000NL/minの流量で吹き込みながら、同様の組成のAlキルド鋼を鋳造した。
これらのAlキルド鋼中の介在物濃度を、鋳片から切り出したサンプルについて全酸素濃度を測定することによって評価した。サンプルは、鋳片の横断面における、連続鋳造機の天側1/4厚、1/2幅位置から直径3mmのピンサンプルとして切り出した。
その結果、旋回流を利用しない、比較例において得られた鋳片の全酸素濃度を100とした場合、本発明例1において得られた鋳片の全酸素濃度は75と、大幅に低下しており、本発明の溶融金属流への旋回付与方法による溶融金属の清浄化効果を確認することができた。
本発明の溶融金属流への旋回付与方法によれば、注入される溶融金属の跳ね上がりや溢れを防止しながら、効率良く旋回流を形成することにより、非金属介在物を除去し、溶融金属を極めて効果的に清浄化することができる。また、不活性ガス吹き込み等を組み合わせることによって、非金属介在物の除去効果をより向上させることができる。これにより、本発明の溶融金属流への旋回付与方法は、簡便な設備を使用することにより、清浄度の高い、高品質の鋳片を得ることができる経済性に優れた方法として、広範に適用できる。
従来の注入管の縦断面図である。 従来の注入管を用いて取鍋からタンディッシュに溶融金属を注入し、連続鋳造を行う状況を示す連続鋳造装置の部分構成図である。 本発明の溶融金属流への旋回付与方法を用いて連続鋳造を行う状況を示す連続鋳造装置の構成図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いるドームブレードの概観図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いるドームブレードの平面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いるドームブレードの底面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いるドームブレードの側面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる注入管の縦断面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別のドームブレードの概観図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別のドームブレードの平面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別のドームブレードの底面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別のドームブレードの側面図である。 本発明に係る溶融金属流への旋回付与方法において用いる別の注入管の縦断面図である。
符号の説明
1:注入管、 1A:本体部、 1B:内径縮小部、 1C:狭径部、
2:ドームブレード、 21:ドーム部、 21a:開口部 22:羽根、
23:流路、 3:不活性ガス吹き込み部、 4:タンディッシュ、
5:タンディッシュ蓋、 6:取鍋、 61:取鍋ノズル、 7:溶融金属注入流、
71:溶融金属、 72:溶融金属、 8:雰囲気調整不活性ガス、
9:オーバーフロー孔、 10:オーバーフロー樋、 11:シールリング、
12:浸漬ノズル、 13:鋳型、 14:鋳片

Claims (7)

  1. 溶融金属を容器に注入するに際して、本体部と、前記本体部の下部に位置し、上部から下部に向かうにつれて内径が縮小する部分を有する内径縮小部とを備える耐火物製の注入管内の、前記内径縮小部の上方にドームブレードを設置して、前記ドームブレードの有する羽根の間を通過する溶融金属に旋回を付与し、前記羽根の下流側に位置する前記注入管の内径縮小部において前記溶融金属の旋回流の流速を高める溶融金属流への旋回付与方法であって、
    前記ドームブレードは、半径方向中心部に配置された上に凸のドーム状の形状を有するドーム部および前記ドーム部の半径方向周辺部に複数枚の羽根を有する形状の耐火物により構成され、
    前記ドーム部の肉厚は10〜150mmであり、前記羽根の厚さは10〜50mmであり、前記羽根が水平面となす角度は、前記羽根の上部から下部に向かうにつれて減少しており、かつ、前記ドーム部の外面と、互いに隣接する前記羽根と、前記注入管本体部の内壁とにより囲まれて形成される前記溶融金属の流路の水平横断面における前記注入管の半径方向の幅は、前記流路の上部から下部に向かうにつれて減少し、それにともなって前記流路の水平横断面における断面積も減少することを特徴とする、溶融金属流への旋回付与方法。
  2. 前記ドームブレードを構成する前記羽根が、1個以上の3次曲面、2個以上の2次曲面、3個以上の平面またはこれらを複合した形状を有し、
    任意の鉛直断面において前記羽根が水平面となす第1の角度は、前記羽根の上端において最大であり、かつ前記羽根の下端において最小であって、
    前記第1の角度は、前記羽根の上端において25〜90°であり、下端において5〜45°であって、
    任意の水平横断面において前記注入管の中心を通る直線である半径線と前記羽根とのなす第2の角度は、前記羽根の前記ドーム部との接続点において最小であり、かつ前記羽根の外周部において最大であって、
    前記羽根の上端における前記第2の角度は、前記ドーム部との接続点において0〜45°であり、前記羽根の外周部において30〜80°であることを特徴とする、請求項1に記載の溶融金属流への旋回付与方法。
  3. 前記注入管本体部の水平横断面における前記注入管の断面積から、前記水平横断面への前記ドームブレードの投影面積を減じた残りの面積が、前記ドームブレードの投影面積の20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属流への旋回付与方法。
  4. 前記溶融金属の流路が、直径40mmの球体が通過できることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属流への旋回付与方法。
  5. 前記注入管本体部内に滞留させることが可能な溶融金属の湯面高さの上限の位置が、前記ドームブレードの羽根の上端から上方に400mm以上の高さにあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融金属流への旋回付与方法。
  6. 前記注入管本体部の内径が300〜1500mm、前記内径縮小部の最小内径が60〜300mmであり、前記ドームブレードの外径に対する前記内径縮小部の最小内径の比率が1/15〜1/3であり、前記内径縮小部の内径が上記比率である部分の鉛直方向の長さが前記最小内径の0.5〜4.0倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融金属流への旋回付与方法。
  7. 前記注入管の内径縮小部のうち、前記ドームブレードの外径に対する前記内径縮小部の内径の比率が1/15〜1/3である部分の内壁から、1〜50NL/minの流量で不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項6に記載の溶融金属流への旋回付与方法。
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