JP2016196032A - 溶融金属中の非金属介在物の捕捉装置および除去方法 - Google Patents

溶融金属中の非金属介在物の捕捉装置および除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融金属中の非金属介在物の除去効果が向上された非金属介在物の除去方法を提供する。
【解決手段】タンディッシュ内の溶融金属中に含まれる非金属介在物を除去する方法。この方法では、タンディッシュ内の溶融金属を鋳型へと注出する注出部の中心軸を囲うように配置された堰であって、堰の内部の溶融金属に旋回流を生じさせる堰が、タンディッシュ内に備えられ、かつ、旋回流の中心部分で、注出部への溶融金属の流路が確保される高さ位置に、捕捉装置が配置された状態で、タンディッシュ内の溶融金属を前記鋳型へ注出する。捕捉装置は、SeおよびTeの少なくとも1種を0.5〜10質量%含有する耐火物からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼などの溶融金属中に含まれる非金属介在物の捕捉装置、および当該非金属介在物の除去方法に関する。
鋼の連続鋳造では、一般的に、溶鋼を、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュ内に移送した後、タンディッシュから浸漬ノズルを介して、鋳型へ注入する。溶鋼中に含まれるAl23などの非金属介在物は、連続鋳造により得られる製品の表面疵の発生原因となることがあり、また、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型に注入する際に使用する浸漬ノズルの閉塞原因となることがある。このため、タンディッシュから鋳型へ溶鋼を注入するまでに、溶鋼中の非金属介在物を、極力多く除去し、非金属介在物のタンディッシュへの流出を極力抑制する必要がある。
溶鋼中の非金属介在物を除去する方法として、タンディッシュ内で少なくとも溶鋼の液面付近に堰を設ける方法、タンディッシュ内に耐火物製のフィルターを設ける方法、旋回流が与えられた溶鋼中に不活性ガスを吹込んで非金属介在物の浮上分離を促進する方法等が提案されている。
タンディッシュ内で、取鍋から溶鋼が注入される領域と、鋳型へ溶鋼を注出する部分(抽出部)との間に、たとえば、特許文献1の方法では、流通口を有する仕切り堰が配置され、また、特許文献2の方法では、下堰、上堰、下堰が順に配置される。これにより、溶鋼中の非金属介在物が除去される。
堰を設けることにより、タンディッシュ内の溶鋼の液面近傍に存在するスラグが、鋳型への溶鋼の注出部まで移動することが阻止される。しかし、堰を設けるだけは、非金属介在物同士が凝集(合体)し大型化して浮上速度が増大することは、ほとんどない。このため、堰が存在しない深さでの微小な非金属介在物が、抽出部へ移動することを阻止できないので、非金属介在物の除去効果は少ない。
ただし、特許文献1では、堰に加えて、不活性ガスの溶鋼中への吹き込みを併用している。吹き込まれた不活性ガスは溶鋼を攪拌するので、非金属介在物同士が接触して合体する機会が増え、非金属介在物が大型化することによる浮上促進が期待できる。しかし、不活性ガスの吹込みは、タンディッシュの底部に配置された煉瓦から行うので、タンディッシュの構造が複雑となり、また、煉瓦の補修も困難であるので、この方法は実用には適さない。
特許文献3では、タンディッシュ内で、取鍋からの溶鋼の注入領域と鋳型への溶鋼の注出部との間に、石灰質耐火物製のフィルターを設置することが提案されている。石灰質耐火物製のフィルターは、溶鋼中の非金属介在物を吸着する。この石灰質耐火物製のフィルターは、非金属介在物の除去効果に優れるが、高額であり、コストの面で、大量生産される炭素鋼の連続鋳造へ適用するのは困難である。
特許文献4では、タンディッシュ内の敷部(底部)および側壁のいずれか一方または両方に、アルミナ系耐火物を設置し、非金属介在物のフィルターとして用いる方法が提案されている。アルミナ系耐火物として、円錐体または円柱体のものが複数個用いられる。このアルミナ系耐火物は、前記石灰質耐火物製のフィルターに比べて安価である。しかし、その構造上、フィルターと溶鋼との接触面積が小さく、また、タンディッシュ内の溶鋼の流速は、一般に、0.1m/秒以下と小さいため、非金属介在物の捕捉効率、すなわち、除去効果は小さい。
特許文献5では、旋回流を付与した溶鋼に不活性ガスを吹き込むことで、不活性ガスの微細な気泡を生成し、この気泡を非金属介在物に付着させて浮上分離する方法が提案されている。この方法では、非金属介在物の捕捉効果は、旋回流によりガス気泡を微細化することで高められている。しかし、溶鋼と非金属介在物との分離は非金属介在物の浮上に任せているので、溶鋼中に懸濁している非金属介在物は、気泡に捕捉されても、溶鋼の液面まで浮上するのに長い時間を要することがあり、非金属介在物の分離効率は高くない。また、溶鋼の流出口および流入口付近の流速が速い領域では、ガス気泡が溶鋼の液面まで浮上する前に下流に流されてしまい、このような領域では、非金属介在物を溶鋼から分離することはできない。
特許文献6では、タンディッシュ内に攪拌機を設けて、溶鋼を攪拌し、非金属介在物の浮上を促進する方法が開示されている。しかし、この方法では、溶鋼を攪拌することで、溶鋼の液面付近にある非金属介在物を溶鋼中に巻き込むおそれがある。溶鋼中に巻き込まれた粗大な非金属介在物は、重大な製品欠陥の原因となるため、この方法を実操業に導入することはできない。
非特許文献1では、溶鋼が0.1質量%未満のSe(セレン)またはTe(テルル)を含有することにより、アルミナに対する溶鋼の接触角が増大することが記載されている。
特開昭63−157745号公報 特許第2938323号公報 特開昭59−156556号公報 特開2010−179340号公報 特開昭60−257955号公報 特開昭58−103946号公報
荻野 和巳 外2名、「溶鋼の表面張力および固体酸化物の濡れ性におよぼすSe, Teの影響」、鉄と鋼、第66巻(1980年)、第2号、p.179−185
以上のように、従来の方法でコスト面で実現可能なものでは、いずれも、非金属介在物の除去効果が十分には高くなかった。
そこで、本発明の目的は、溶融金属中の非金属介在物の除去効果を高くすることができる捕捉装置を提供することである。本発明の他の目的は、溶融金属中の非金属介在物の除去効果が向上された非金属介在物の除去方法を提供することである。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、下記(1)の非金属介在物捕捉装置、および下記(2)の非金属介在物の除去方法を要旨とする。
(1)溶融金属中に含まれる非金属介在物を捕捉する装置であって、
SeおよびTeの少なくとも1種を0.5〜10質量%含有する耐火物からなる、非金属介在物の捕捉装置。
(2)タンディッシュ内の溶融金属中に含まれる非金属介在物を除去する方法であって、
前記タンディッシュ内の溶融金属を鋳型へと注出する注出部の中心軸を囲うように配置された堰であって、当該堰の内部の溶融金属に旋回流を生じさせる堰が、前記タンディッシュ内に備えられ、かつ、
前記旋回流の中心部分で、前記注出部への溶融金属の流路が確保される高さ位置に、上記(1)に記載の捕捉装置が配置された状態で、
前記タンディッシュ内の溶融金属を前記鋳型へ注出する、非金属介在物の除去方法。
本発明の非金属介在物の捕捉装置は、溶融金属中に浸漬されると、この捕捉装置(耐火物)に含有されるSeおよびTeの少なくとも1種が、溶融金属中に溶出する。これにより、溶融金属のうち、捕捉装置近傍の部分では、当該SeおよびTeの少なくとも1種の濃度が高くなる。このような溶融金属に対して、非金属は濡れにくい。したがって、非金属を主体とする耐火物は、溶融金属に対して濡れにくいので、相対的に、非金属介在物が捕捉装置に捕捉されやすくなる。
また、非金属介在物が溶融金属に対して濡れにくいことにより、非金属介在物同士が接触した状態が安定となるので、非金属介在物は凝集して粗大化する。粗大化した非金属介在物は、溶融金属中の浮上速度が大きくなるので、溶融金属から迅速に分離する。
したがって、本発明の捕捉装置により、溶融金属中の非金属介在物の除去効果を高くすることができる。
また、捕捉装置に対して非金属介在物を捕捉されやすくするには、溶融金属のうち捕捉装置近傍の部分のみについて、SeおよびTeの少なくとも1種の濃度を高くすればよい。SeおよびTeの少なくとも1種は、捕捉装置自体から供給されるので、溶融金属のうち捕捉装置近傍の部分のみについて、SeおよびTeの少なくとも1種の濃度を高くすることができる。このため、溶融金属全体について、SeおよびTeの少なくとも1種の濃度を高くする必要はないので、溶融金属から得られる製品の品質に対するSeまたはTeの影響を低くすることができる。
本発明の非金属介在物の除去方法では、上記捕捉装置による効果に加えて、筒状の堰内に溶融金属の旋回流が形成される。これにより、溶融金属中の非金属介在物は、旋回流の中心に集められる。その結果、溶融金属中の非金属介在物は、捕捉装置に接触して捕捉されやすくなる。また、非金属介在物が旋回流の中心に集められると、非金属介在物同士が接触して凝集および粗大化しやすくなる。この場合、非金属介在物の溶融金属中の浮上速度が大きくなるので、非金属介在物は溶融金属から迅速に分離する。
図1は、本発明の非金属介在物の除去方法を実施するため用いることができる連続鋳造装置の構成の一例を模式的に示した断面図である。 図2Aは、図1の連続鋳造装置が備え得る堰の第1の例を示す正面図である。 図2Bは、図2Aに示す堰のA−A断面図である。 図3Aは、図1の連続鋳造装置が備え得る堰の第2の例を示す正面図である。 図3Bは、図3Aに示す堰のB−B断面図である。 図4Aは、図1の連続鋳造装置が備え得る捕捉装置の第1の例を示す縦断面図である。 図4Bは、図1の連続鋳造装置が備え得る捕捉装置の第2の例を示す縦断面図である。
本明細書において、「耐火物」とは、非金属を主体とし(たとえば、非金属の含有率が85質量%以上)、耐火物に接触する溶融金属の温度で安定な材料からなる構造物をいうものとする。
以下、図面を参照して、本発明の非金属介在物の捕捉装置、および本発明の非金属介在物の除去方法について、詳細に説明する。
図1は、本発明の非金属介在物の除去方法を実施するために用いることができる連続鋳造装置の構成の一例を示す断面図である。
この連続鋳造装置は、溶融金属としての溶鋼2を凝固して、鋼の鋳片を鋳造するためのものであり、溶鋼2を収容して移送するための取鍋1と、取鍋1から供給される溶鋼2を収容して保持するタンディッシュ4と、タンディッシュ4から供給される溶鋼2を収容して鋳造する鋳型8とを備えている。
取鍋1の底部からは、ロングノズル3が下方へと延びており、取鍋1内の溶鋼2は、ロングノズル3を介してタンディッシュ4に注入される。タンディッシュ4の底部(敷部)4aで、ロングノズル3の下方の位置から離間した部分には、上ノズル5が嵌め込まれている。上ノズル5の下部には、スライディングゲート6が接続されている。スライディングゲート6の下部には浸漬ノズル7が接続されている。タンディッシュ4内の溶鋼2は、上ノズル5、スライディングゲート6、および浸漬ノズル7を介して、鋳型8に注入される。
上ノズル5は、タンディッシュ4内の溶鋼2の鋳型8への注出部である。上ノズル5と浸漬ノズル7とは、同軸状に配置されている。スライディングゲート6は、上ノズル5から浸漬ノズル7への流路を開閉することができる。したがって、スライディングゲート6の開度を調整することにより、タンディッシュ4から鋳型8への溶鋼2の流量を調整することができる。
鋳型8は、上下に開口を有する。鋳型8に注入された溶鋼2は、鋳型8の内壁から冷却(一次冷却)される。これにより、鋳型8の内壁に沿って、すなわち、溶鋼2の外周に、凝固殻9が形成される。凝固殻9は、鋳型8の下方ほど厚くなる。凝固殻9、およびその内部の溶鋼2は、鋳型8の下部の開口から下方へと引き抜かれ、二次冷却されて完全に凝固し、鋳片となる。
鋳型8内の溶鋼2の液面上には、モールドパウダー10が供給される。モールドパウダー10は、溶融して、鋳型8と凝固殻9との間に入り込み、鋳型8と凝固殻9との間の摩擦を低減する。
タンディッシュ4の底部4a上には、上ノズル5と同軸に、円筒形の堰11が設けられている。すなわち、堰11は、上ノズル5の中心軸を囲うように配置されている。堰11の側壁には、流入口11aが形成されている。
図2Aは、堰11の第1の例を示す正面図であり、図2Bは、図2Aに示す堰11のA−A断面図(堰11の中心軸に垂直な断面図)である。この例では、堰11の軸方向中間部分より下側に、2つの流入口11aが形成されている。図2Bに示すように、堰11の中心軸Cに垂直な断面では、堰11の厚さ方向に関して内面の位置において、流入口の中心軸(図2Bに破線で示す。)は、堰11の中心から放射状に延びる仮想線と角度をなして交わる。2つの流入口11aは、堰11の中心軸Cに対して互いに反対側に、この中心軸Cに点対称に形成されている。
図3Aは、堰11の第2の例を示す正面図であり、図3Bは、図3Aに示す堰11のB−B断面図(堰11の中心軸に垂直な断面図)である。この例では、堰11の軸方向中間部分より下側に、4つの流入口11aが形成されている。図3Bに示すように、堰11の中心軸Cに垂直な断面では、堰11の厚さ方向に関して内面の位置において、流入口の中心軸(図3Bに破線で示す。)は、堰11の中心から放射状に延びる仮想線と角度をなして交わる。4つの流入口11aは、堰11の中心軸Cに対して90°の角度間隔で、この中心軸Cに点対称に形成されている。
これらの例のように流入口11aが形成されていることにより、堰11の外部から内部に流入した溶鋼2には、水平方向の旋回流が形成される。流入口11aの数、形状、開口面積、開口位置、内側壁と堰11の径方向とがなす角度等のパラメータは、溶鋼2に所望の旋回流が形成されるように決定することができる。すなわち、所望の旋回流を形成できるものであれば、上記パラメータは、図2A、図2B、図3A、および図3Bに示されているものに限らない。たとえば、図2A、図2B、図3A、および図3Bでは、堰11に形成された流入口11aの形状は、矩形状であるが、楕円形であってもよい。
また、堰11は、円筒状のものに限られず、筒状であれば、たとえば、円錐台状、角筒状等のものであってもよい。
図1を参照して、堰11の内部で、溶鋼2の旋回流の中心部分には、捕捉装置12が配置される。捕捉装置12は、棒状であり、長手方向が鉛直方向に沿っている。捕捉装置12は、SeおよびTeの少なくとも1種を0.5〜10質量%含有する耐火物からなる。耐火物は、たとえば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、ムライト(3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2)等の酸化物を主体とするものとすることができる。これらの材料のうち、アルミナは安価であるのでコストの面で好ましい。
捕捉装置12は、その下端12aが、上ノズル5への溶鋼2の流路が確保される高さ位置に配置される。捕捉装置12には、図示しない駆動機構が接続されており、捕捉装置12を上下方向に移動できるようになっている。
本発明の一実施形態に係る非金属介在物の除去方法では、堰11、および捕捉装置12が、上述の位置に配置にされた状態で、タンディッシュ4内の溶鋼2を、鋳型8へと注出する。
捕捉装置12に含有されるSeおよびTeの少なくとも1種は、溶鋼2中に溶出する。これにより、溶鋼2のうち、捕捉装置12近傍の部分では、当該SeおよびTeの少なくとも1種の濃度が高くなる。このような溶鋼2に対して、非金属は濡れにくい。捕捉装置12は、非金属を主体とする耐火物からなることにより、SeまたはTeが濃化した溶鋼2に対して濡れにくいので、相対的に、非金属介在物が捕捉装置12に接触した状態が安定となる。すなわち、非金属介在物が捕捉装置12に捕捉されやすくなる。
また、非金属介在物が溶鋼2に対して濡れにくいことにより、非金属介在物同士が接触した状態が安定となるので、非金属介在物は凝集して粗大化する。粗大化した非金属介在物は、溶鋼2中の浮上速度が大きくなるので、溶鋼2から迅速に浮上して分離する。
また、連続連続鋳造を行う(複数ヒートの溶鋼を連続的に鋳造する)際、ヒートの継目で、溶鋼2の清浄度が低下する。この際も、捕捉装置12近傍の溶鋼2が、SeおよびTeの少なくとも1種を含有することにより、当該溶鋼2中の非金属介在物を、安定して捕捉できる。
捕捉装置12のSeおよびTeの合計含有率が0.5質量%未満であると、溶鋼2中に溶出するSeおよびTeの量が少なくなり、非金属介在物の捕捉および分離の上記効果を十分に奏することができない。特に、連続連続鋳造を行う場合、鋳造に用いる溶鋼2のヒートが変わる際、溶鋼2の液面が低下して捕捉装置12において溶鋼2から露出する部分が多くなり、捕捉装置12から溶鋼2へのSeまたはTeの供給量が少なくなる。この場合、非金属介在物が捕捉装置12近傍の溶鋼2に濡れにくい状態を維持することができなくなる。このため、SeおよびTeの合計含有率は、0.5質量%以上とする。
SeおよびTeの合計含有率が10質量%より大きくなると、耐火物、すなわち捕捉装置12の強度が低下する。
SeおよびTeの少なくとも1種は、捕捉装置12自体から供給されるので、溶鋼2のうち捕捉装置12の近傍のみについて、SeおよびTeの少なくとも1種の濃度を高くすることができる。このため、溶鋼2全体について、SeおよびTeの少なくとも1種の濃度を高くする必要はないので、溶鋼2から得られる製品の品質に対するSeまたはTeの影響を低くすることができる。
上述のように、堰11内には、溶鋼2の水平方向の旋回流が形成される。これにより、溶鋼2中の非金属介在物は、旋回流の中心に集められる。その結果、溶鋼2中の非金属介在物は、捕捉装置12に接触して捕捉されやすくなる。また、非金属介在物が旋回流の中心に集められると、非金属介在物同士が接触して凝集および粗大化しやすくなる。この場合、非金属介在物の溶鋼2中の浮上速度が大きくなるので、非金属介在物は溶鋼2から迅速に分離する。
以上の効果により、従来の方法と比べて、溶鋼2中の非金属介在物の除去効果が高くなり、したがって、注出部である上ノズル5から鋳型8へと非金属介在物が流出することを抑制できる。
図4Aは、捕捉装置12の一例の縦断面図である。捕捉装置12の内部には、その中心軸に沿って、捕捉装置12をその長手方向に貫通する孔12bが形成されている。この孔12bは、捕捉装置12の下端で開口している。
この実施形態の非金属介在物の除去方法では、捕捉装置12の開口を介して、溶鋼2中に不活性ガスを吹き込む。不活性ガスとして、たとえば、Ar(アルゴン)を用いることができる。この不活性ガスは、上述の旋回流によって微細化され、非金属介在物とともに攪拌される。この際、乱流効果により、非金属介在物同士が接触しやすくなるとともに、非金属介在物が捕捉装置12に接触しやすくなる。これにより、非金属介在物の凝集体が粗大化し迅速に浮上して、溶鋼2から分離しやすくなるとともに、非金属介在物の捕捉装置12への付着頻度が高くなる。
溶鋼2中に吹き込む不活性ガスの流量は、特に限定されないが、たとえば、10NL(ノルマルリットル)/分以下とすることが好ましい。不活性ガスの流量を10Nリットル/分より大きくすると、上ノズル5を介して浸漬ノズル7へと流れ込む不活性ガスが多くなることがある。この場合、この不活性ガスにより、上ノズル5と浸漬ノズル7との間の圧力損失が大きくなって、鋳造速度を遅くしなければならなくなることがあり、また、浮上せずに鋳型8内へと流出する気泡が多くなる。このような気泡は、凝固シェルに捕捉されて鋳片に取り込まれ、製品の品質を悪化させるなどの問題が生じ得る。
図4Bは、図4Aに示す捕捉装置の代わりに用いることができる捕捉装置の縦断面図である。この捕捉装置12Aは中実であり、捕捉装置12Aの内部には、孔は形成されていない。したがって、この捕捉装置12Aによっては、溶鋼2中に不活性ガスを吹き込むことはできないので、不活性ガスによる上述の効果を得ることはできない。しかし、この場合でも、捕捉装置12Aに非金属介在物を付着させて捕捉することは可能である。
捕捉装置12に非金属介在物が捕捉されると、捕捉装置12の表面には、非金属介在物の付着層が形成される。非金属介在物の捕捉が継続されると、時間とともに、付着層は厚くなり、捕捉装置12の下端12aに形成される付着層と、上ノズル5との間隔が次第に狭くなる。このため、タンディッシュ4から鋳型8へと注出される溶鋼2の流量(以下、「注出流量」という。)が少なくなり、操業に支障をきたすことがある。また、溶鋼2の流量が小さくなると、溶鋼2の旋回流が弱くなり、捕捉装置12の非金属介在物捕捉効果が低減する。
この場合、捕捉装置12を上昇させることにより、捕捉装置12の下端12aに形成される付着層と、上ノズル5との間隔が大きくなり、注出流量を初期の値に回復させることができる。本実施形態の方法では、注出流量を常時測定し、測定された注出流量の値に基づいて、初期の注出流量が維持されるように、捕捉装置12を適宜上昇させる。これにより、操業に支障が出る事態を回避できるとともに、溶鋼2の旋回流による非金属介在物捕捉効果を高く維持することができる。以上は、図4Bに示す捕捉装置12Aを用いた場合でも同様である。
本発明の実施形態の説明は、以上の通りであるが、本発明は、他の形態でも実施できる。たとえば、溶融金属として、溶鋼の代わりに、Sn、Cu等を用いてもよい。
本発明の効果を確認するために、様々な条件で鋳造試験を行った。鋳造試験には、図1に示すものと同様の構造を有する連続鋳造装置を用いて、アルミキルド極低炭素鋼を鋳造した。表1に、鋳造した炭素鋼の化学組成を示す。
Figure 2016196032
鋳造には、複数のバッチの溶鋼を連続して用い、合計約100tの鋳片を連続連続鋳造により製造した。連続鋳造装置に備えられたタンディッシュは、長さが5100mmで、幅が900mmで、高さが1450mmの内寸法を有するものであった。鋳造は、図1に示すように、タンディッシュ内に、堰、および捕捉装置を配置して行った。堰は、図2Aおよび図2Bに示す構造を有し、軸対称の位置に、2つの矩形の流入口が形成されたものであった。捕捉装置は、内部に孔が形成されたもの(図4Aに示す構造を有するもの)と、内部に孔が形成されていないもの(図4Bに示す構造を有するもの)とを用いた。
表2に、用いた捕捉装置の組成(Al23:Se:Te(質量比))と、捕捉装置を介して溶鋼中に吹き込んだArガスの流量、および鋳造を開始してから終了するまでに捕捉装置の表面に付着した非金属介在物の平均厚さを示す。
Figure 2016196032
用いた捕捉装置は、いずれも、Al23、Se、およびTe以外の成分を実質的に含有しないものであった。本発明の実施例の試験に用いた捕捉装置は、SeおよびTeの少なくとも1種を0.5〜10質量%含有するものであった。これに対して、比較例の試験に用いた捕捉装置は、SeおよびTeのいずれも実質的に含有せず、ほぼAl23のみからなるものであった。Arガスの吹き込みを行わなかった試験では、内部に孔が形成されていない捕捉装置を用いた。
いずれの実施例および比較例の試験においても、タンディッシュから鋳型への溶鋼の流量がほぼ一定になるようにした。具体的には、溶鋼の流量が、初期の流量に比べて少なくなり始めたときは、捕捉装置を上昇させて、溶鋼の注出部(上ノズル)と捕捉装置との間隔を大きくすることにより、スライディングゲートの開度を変更することなく、初期の流量を維持することができた。本発明の実施例については、いずれも、捕捉装置を初期の位置から10mm上昇させることで、溶鋼の初期の流量を維持することができた。
表2に示す非金属介在物の平均付着厚さは、捕捉装置の中心軸を挟んで互いに反対側の側面のそれぞれについて、捕捉装置の下端から100mmの高さ位置まで20mm間隔で5点、両側の側面で合計10点、非金属介在物の付着厚さを測定した値を平均したものである。
[実施例1および3と比較例1との対比]
これらの試験では、いずれも、溶鋼中へのArガスの吹き込みを行わなかった。非金属介在物の平均付着厚さは、比較例1では6mmであったのに対して、実施例1では8mmと大きく、実施例3では10mmとさらに大きかった。これは、捕捉装置が、比較例1では、SeおよびTeを実質的に含有しなかったのに対して、実施例1では、Seを10質量%含有し、比較例3では、Teを10質量%含有していたことと関係していると考えられる。すなわち、実施例1および3では、捕捉装置に含有されるSeまたはTeが溶鋼中に溶出して、非金属介在物が溶鋼に対して濡れにくくなったために、溶鋼中の非金属介在物の捕捉装置への付着が促進されたものと推察される。
[実施例5と比較例2との対比]
これらの試験では、いずれも、捕捉装置の下端から10NL/分の流量でArガスを溶鋼中に吹込んだ。非金属介在物の平均付着厚さは、実施例5では11mmであり、比較例2の6mmと比べて大きかった。これは、捕捉装置が、比較例2では、SeおよびTeを実質的に含有しなかったのに対して、実施例5では、Teを10質量%含有していたことと関係していると考えられる。すなわち、捕捉装置がTeを含有することにより、溶鋼中の非金属介在物の捕捉装置への付着が促進されたものと推察される。このことから、Arガスを吹き込んだ場合も、捕捉装置がSeおよびTeを含有するか否かと、非金属介在物の付着厚さとの関係は、Arガスを吹き込まなかった場合と同様であることがわかる。
[実施例2および4と比較例2との対比]
これらの試験では、いずれも、捕捉装置の下端から10NL/分の流量でArガスを溶鋼中に吹込んだ。非金属介在物の平均付着厚さは、比較例2の6mmに対して、実施例2では7mmと大きく、実施例4では8mmとさらに大きかった。
実施例2では、捕捉装置のSe含有率は0.5質量%であり、実施例4では、捕捉装置のTeの含有率は0.5質量%であった。このように、捕捉装置のSeおよびTeの含有率は、実施例2および4では、実施例1、3および5と比べて低かったが、いずれも、SeおよびTeを実質的に含有しない捕捉装置を用いた比較例2と比べると、捕捉装置への非金属介在物の平均付着厚さは大きかった。このことから、捕捉装置のSeおよびTeの含有率が0.5質量%であっても、SeおよびTeが溶鋼中に溶出して、非金属介在物の捕捉装置への付着を促進させる効果は得られているといえる。
[実施例6と比較例1との対比]
これらの試験では、いずれも、溶鋼中へのArガスの吹き込みを行わなかった。比較例6では、捕捉装置が、SeおよびTeを、それぞれ0.5質量%含有していた。非金属介在物の平均付着厚さは、実施例6では7mmであり、比較例1の6mmに比して大きかった。このことから、捕捉装置がSeおよびTeの双方を含有する場合も、SeおよびTeの一方のみを含有する場合と同様に、非金属介在物の捕捉を促進する効果があると考えられる。
[実施例3と実施例5との対比]
これらの試験では、いずれも、同じ組成の捕捉装置を用い、実施例3では、Arガスの吹き込みを行わなかったのに対して、実施例5では、Arガスの吹き込みを行った。非金属介在物の平均付着厚さは、実施例5では、実施例3の10mmより大きかった。このことから、溶鋼中へArガスを吹き込むことによって、非金属介在物の捕捉が促進されることがわかる。
2:溶鋼、 4:タンディッシュ、 8:鋳型、 11:堰、
11a:流入口、 12:捕捉装置、 12a:下端、 13:非金属介在物

Claims (4)

  1. 溶融金属中に含まれる非金属介在物を捕捉する装置であって、
    SeおよびTeの少なくとも1種を0.5〜10質量%含有する耐火物からなる、非金属介在物の捕捉装置。
  2. タンディッシュ内の溶融金属中に含まれる非金属介在物を除去する方法であって、
    前記タンディッシュ内の溶融金属を鋳型へと注出する注出部の中心軸を囲うように配置された堰であって、当該堰の内部の溶融金属に旋回流を生じさせる堰が、前記タンディッシュ内に備えられ、かつ、
    前記旋回流の中心部分で、前記注出部への溶融金属の流路が確保される高さ位置に、請求項1に記載の捕捉装置が配置された状態で、
    前記タンディッシュ内の溶融金属を前記鋳型へ注出する、非金属介在物の除去方法。
  3. 請求項2に記載の非金属介在物の除去方法であって、
    前記捕捉装置には、前記捕捉装置を貫通する孔が形成されており、前記孔は、前記捕捉装置の下端で開口しており、
    前記捕捉装置の前記開口を介して溶融金属中に不活性ガスを吹き込む、非金属介在物の除去方法。
  4. 請求項2または3に記載の非金属介在物の除去方法であって、
    前記タンディッシュから前記注出部を介して前記鋳型へと注出される溶融金属の流量に基づいて、前記捕捉装置を上昇させる、非金属介在物の除去方法。
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JPH11188461A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Nippon Steel Corp 非金属介在物付着用有形物およびその製造法並びにこれを用いた溶鋼中非金属介在物除去方法

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