JP2004148400A - 連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部を溶鋼が流れる筒状部11と、筒状部11の底に一体的に連接され、複数の小孔吐出口14を両側に備える第1の吐出部12と、両側に配置された複数の小孔吐出口14を箱状に覆って空間部17を形成し、筒状部11及び第1の吐出部12を介して流れる溶鋼を、空間部17から外側にそれぞれ吐出する大孔吐出口16を備えた第2の吐出部15とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造法を用いて、溶鋼から例えばスラブやブルーム等の鋳片を鋳造する場合に使用する連続鋳造用浸漬ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、連続鋳造においては、タンディッシュに注湯された溶鋼を、浸漬ノズルを介して連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型とも言う)に連続的に供給して冷却し、鋳片を製造している。このように、鋳型内に溶鋼を注湯して凝固シェルを形成するときには、浸漬ノズルからの吐出流に随伴した気泡が鋳片に捕捉されたり、また鋳片内部の一部に集積するため、これが鋳片の表面欠陥の原因になり、鋳片の品質を阻害していた。
そこで、この問題を解消するため、例えば、内部に溶鋼の流路が設けられた筒体の下端部に吐出孔を囲む箱体を嵌装して、空間部を形成し、この空間部に連通する下向き及び横向きの吐出孔を箱体に設け、この下向き及び横向きの吐出孔から溶鋼を鋳型内に注湯する浸漬ノズルがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、筒体の下端部に、多数の横向き孔及び下向き孔を有する箱体を嵌装した浸漬ノズルもある。これにより、箱体内で、溶鋼中の介在物を凝集させて浮上を促進させ、介在物起因の欠陥を防止できる(例えば、特許文献2参照。)。
そして、筒体の先端部に箱体を設け、筒体の下向き吐出孔から吐出する溶鋼を、この箱体に設けられた下堰によって上昇させ、この上昇流を更に下降させてから、箱体の両側に設けられた吐出口から横方向に吐出させて、鋳型内に注湯する浸漬ノズルもある。これにより、凝固シェルの成長を阻害することなく、パウダー等の巻き込みを防止できる(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−76752号公報
【特許文献2】
実開昭60−71462号公報
【特許文献3】
特開昭63−132754号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した浸漬ノズルには、以下の問題がある。
特許文献1に示されているような浸漬ノズルでは、確かに筒体への溶鋼の注湯時における流れの変動を吸収できる可能性はあるが、箱体に下向きの吐出孔が設けられているため、下向きの溶鋼の流れが形成され、この流れに随伴して気泡や介在物が鋳片の深部に侵入し、鋳片の内部欠陥が発生する。しかも、箱体には横向きの吐出孔も設けられているため、筒体の両側に設けられた吐出孔から吐出する溶鋼の流速が十分に減衰されることなく、また溶鋼の流れが整流化されることなく、箱体の吐出孔から吐出する。この溶鋼の吐出流は、鋳型内壁に当り、反転する上向き流が湯面に影響して、パウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招き、表面欠陥の要因になる。
また、特許文献2に示されているような浸漬ノズルでは、箱体内の空間部で、筒体への溶鋼の注湯時における流れの変動を吸収し、更にその変動を横向きの多数の孔で分散させようとしている。しかし、筒体の下端部に設けられた吐出口が大きく、空間部内に溶鋼が充満するので、大きな変動が完全に吸収されず、溶鋼の均一な流れを形成できない。
なお、箱体に設けられた多数の横向き孔からの溶鋼の流れが鋳型内壁に当り、反転して上昇流と下降流を形成し、この上昇流がパウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招き、表面欠陥の要因になる。このとき下降流は、下向きの反転流に加え、箱体に設けられた下向き孔からの溶鋼流と合流するため、下向きの流れが強くなり、気泡や介在物が鋳片の深部に侵入し、内部に集積して鋳片の内部欠陥の要因となる等の問題がある。
【0005】
そして、特許文献3に示されているような浸漬ノズルでは、箱体の内部に下堰を設けることで、筒体の内部を下降する溶鋼の流速を低減させているが、箱体の内部に溶鋼が充満しているため、下堰を設けるのみでは減衰効果が小さく、十分な減衰効果が得られない。また、箱体の横側からの溶鋼の吐出流が鋳型内壁に当るので、上記したように上昇流と下降流が形成される。この溶鋼の流れにより、例えば、上昇流(上向き流)が強くなり、パウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招いて、表面欠陥が発生する。このとき、下向きの流れも強くなるので、気泡や介在物が鋳片の深部に侵入し、内部に集積して鋳片の内部欠陥の要因となる等の問題がある。
上記したように、一般に、浸漬ノズルからの溶鋼の吐出流は、鋳型内壁の凝固シェルに当り、反転して上昇流と下降流が生じるため、この溶鋼流に起因した鋳片の欠陥が発生する。そこで、この欠陥を防止するため、浸漬ノズルの吐出口の角度を変更したり、電磁力を利用して吐出流を減衰することも行われているが、浸漬ノズルの吐出口の角度を可変としても溶鋼流を均一にすることには限界があり、また、電磁力を活用する場合では、設備が複雑、かつ高価になり、消費電力コスト等の鋳造コストが高くなるという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、気泡及び介在物に起因した製品欠陥を防止し、製造した鋳片の品質を良好にする連続鋳造用浸漬ノズルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、内部を溶鋼が流れる筒状部と、筒状部の底に一体的に連接され、複数の小孔吐出口を両側に備える第1の吐出部と、両側に配置された複数の小孔吐出口を箱状に覆って空間部を形成し、筒状部及び第1の吐出部を介して流れる溶鋼を、空間部から外側にそれぞれ吐出する大孔吐出口を備えた第2の吐出部とを有する。このように、第1の吐出部に設けた複数の小孔吐出口により、筒状部の内部に注湯された溶鋼の落下エネルギーを減衰し、その流れを整流化できる。また、整流化された溶鋼は、第1の吐出部の外側に形成された空間部により、その流速が更に減衰され、しかもその流れが均一化された後、第2の吐出部の大孔吐出口から鋳型内に注湯されるので、第2の吐出部からの溶鋼の流れを緩慢な流れにでき、鋳型内に形成される第2の吐出部からの溶鋼の上向き流を抑制して、パウダーの巻込みや、気泡の捕捉を抑制し、且つ下向き流を抑制して、鋳片の深部に侵入する気泡や介在物を防止し、気泡欠陥や介在物欠陥を防止できる。
ここで、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、筒状部の流路の断面積Soと、第1の吐出部の水平断面積に第2の吐出部の空間部の水平断面積を加えた断面積Seとの比So/Seが、0.15〜0.3であることが好ましい。このように、第1の吐出部の水平断面積に第2の吐出部の空間部の水平断面積を加えた断面積を、筒状部の流路の断面積より大きくし、しかもその比を規定することで、筒状部に注湯された溶鋼の落下エネルギーを更に減衰できる。
【0007】
本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、筒状部の内径Doと、大孔吐出口の内径dとの比Do/dが、0.7〜1.0であることが好ましい。このように、筒状部の大きさに応じて、大孔吐出口の大きさを規定しているので、筒状部に注湯された溶鋼の流速を確実に減衰させ、しかもその流れを均一化させた後、第2の吐出部から鋳型内へ溶鋼を注湯できる。
本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、大孔吐出口の内径dと、第1の吐出部の一方側の小孔吐出口の総面積を一つの円とした場合の内径Dhとの比d/Dhが、1を超え2以下であることが好ましい。このように、大孔吐出口の大きさに応じて、第1の吐出部の小孔吐出口の大きさを規定しているので、筒状部に注湯された溶鋼の流速を確実に減衰させ、しかもその流れを均一化させて、第2の吐出部からの溶鋼の流れを安定して緩慢な流れにできる。
本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、溶鋼はステンレス溶鋼であることが好ましい。これにより、介在物による欠陥が発生し易いステンレス溶鋼の鋳造時においても、第2の吐出部からの溶鋼の流れを安定して緩慢な流れにできる。本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、第1及び第2の吐出部は筒状部に対して対称に形成されていることが好ましい。これにより、筒状部に注湯された溶鋼を、第1、第2の吐出部を介して鋳型内へ対称に注湯できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズルの説明図、図2(A)、(B)はそれぞれ同連続鋳造用浸漬ノズルに使用する第1の吐出部の説明図、図1のa−a矢視断面図、図3は同連続鋳造用浸漬ノズルを使用した場合の溶鋼の流れを示す説明図、図4は従来例に係る連続鋳造用浸漬ノズルを使用した場合の溶鋼の流れを示す説明図、図5は本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズル及び従来例に係る連続鋳造用浸漬ノズルをそれぞれ使用した場合のメニスカスからの各距離における気泡の分布を示した説明図である。
【0009】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズル10は、内部を溶鋼が流れる筒状部11と、筒状部11の底部に一体的に連接された第1の吐出部12とを有している。なお、この連続鋳造用浸漬ノズル10の材質は、従来耐火物に使用されている例えば、アルミナ系、炭化ケイ素系、ジルコニア系等である。以下、詳しく説明する。
【0010】
筒状部11の流路は、断面が円形となっており、下部を除く部分は耐火物が配置されて、下部の内径Doより小さい内径Dt、(例えばDoの1/2〜9/10)となっている。
図1、図2(A)に示すように、第1の吐出部12には、両側にそれぞれ板部13が設けられており、この各板部13には、円形で内径が例えば10〜30mmの複数(この実施の形態においては8個)の小孔吐出口14が、2個、1個、2個、1個、2個というように交互(蜂の巣状)に、上下方向に広がった状態でそれぞれ配置されている。なお、複数の小孔吐出口14の各板部13に対する配置位置は、注湯時における溶鋼の落下エネルギーを減衰できるように、少なくとも上下方向に広がった状態であれば、例えば、斜め方向、ランダム等に配置することもできる。
【0011】
図1、図2(B)に示すように、第1の吐出部12には、第1の吐出部12の外側を箱状に覆う、実質的に直方体となった第2の吐出部15が設けられている。なお、第2の吐出部15は、第1の吐出部12に嵌装して固定することが好ましい。ここで、第2の吐出部の底の中央部分が第1の吐出部の底と兼用されることも可能であり、また、第1の吐出部に予め底が設けられている場合には、第2の吐出部の底に、第1の吐出部の下端部が嵌合可能な開口部を設けることも可能である。
この第2の吐出部15の両側下部には、水平面に対して角度θ(例えば、下向き35度から上向き10度の範囲内)に傾斜して外側に突出した断面矩形の大孔吐出口16がそれぞれ設けられている。
これにより、第2の吐出部15内には第1の吐出部12の両側の板部13の外側に空間部17がそれぞれ形成され、筒状部11及び第1の吐出部12を介して流れる溶鋼は、対となる空間部17を通り大孔吐出口16から外部に吐出される。なお、連続鋳造用浸漬ノズル10の第1、第2の吐出部12、15は、それぞれ筒状部11に対して左右対称に形成されている。
【0012】
ここで、図1に示すように、第1の吐出部12の水平断面積に第2の吐出部15の空間部17の水平断面積を加えた断面積Se(図2(B)のxとyで囲まれる領域)は、筒状部11の流路の断面積Soに応じて設定される。即ち、断面積Soと断面積Seとの比So/Seを0.15〜0.3にする。ここで、So/Seが0.15より小さい場合、即ち筒状部11の断面積Soに対して吐出部側の断面積Seが大きすぎる場合、注湯時における溶鋼の落下エネルギーを減衰できるが、第2の吐出部15が大きくなって原料コストがかかり経済的でない。また、So/Seが0.3より大きい場合、即ち筒状部11の断面積Soに対して吐出部側の断面積Seが充分に大きくない場合、注湯時における溶鋼の落下エネルギーを十分に減衰できず、溶鋼の流れを均一にできない。これにより、パウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招き、製造した鋳片に表面欠陥や内部欠陥が発生する。
更に、製品品質をより向上させた鋳片を低コストで製造するためには、筒状部11の断面積Soと、吐出部側の断面積Seとの比So/Seを0.17〜0.27とすることが好ましく、更には0.2〜0.25とすることが好ましい。
【0013】
また、大孔吐出口16の大きさは、筒状部11の流路の大きさに応じて設定され、筒状部11の内径Doと、例えば大孔吐出口16の断面積を1つの真円の面積とした場合の内径dとの比Do/dを0.7〜1.0にする。なお、大孔吐出口16の大きさを1つの真円の面積とした場合の内径dで表わした理由は、大孔吐出口16の形状が必ずしも円形でなく、例えば、楕円形、卵形、矩形、多角形等にもできることに起因する。ここで、Do/dが0.7〜1.0の範囲を外れた場合、筒状部11に注湯された溶鋼の流速を十分に減衰させることができず、しかもその流れを十分に均一化させることができない状態で、第2の吐出部15から鋳型内に溶鋼が注湯される。これにより、パウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招き、製造した鋳片に表面欠陥や内部欠陥が発生する。
更に、製品品質をより向上させた鋳片を製造するためには、筒状部11の内径Doと、大孔吐出口16の内径dとの比Do/dを0.75〜0.95とすることが好ましく、更には0.8〜0.9とすることが好ましい。
【0014】
そして、複数の小孔吐出口14の大きさは、大孔吐出口16の大きさに応じて設定され、例えば、大孔吐出口16の断面積を1つの真円の面積とした場合の内径dと、一方側の板部13に設けられた複数の小孔吐出口14の総面積を1つの真円の面積とした場合の内径Dhとの比d/Dhを1を超え2以下にする。なお、複数の小孔吐出口14の大きさを、1つの真円の面積とした場合の内径Dhで表わした理由は、小孔吐出口14が複数存在し、しかも小孔吐出口14の形状が必ずしも円形でなく、例えば、楕円形、卵形、矩形、多角形等にもできることに起因する。ここで、d/Dhが1を超え2以下の範囲を外れた場合、筒状部11に注湯された溶鋼の流速を十分に減衰できず、しかもその流れを十分に均一化できないため、大孔吐出口16からの溶鋼の流れを緩慢な流れにできない。これにより、パウダーの巻き込みや凝固シェルへの気泡の捕捉を招き、製造した鋳片に表面欠陥や内部欠陥が発生する。
更に、大孔吐出口16からの溶鋼の流れを緩慢な流れにし、製品品質をより向上させた鋳片を製造するためには、大孔吐出口16の断面積を1つの真円の面積とした場合の内径dと、一方側の板部13に設けられた複数の小孔吐出口14の総面積を1つの真円の面積とした場合の内径Dhとの比d/Dhを、1を超え1.7以下とすることが好ましく、更には1を超え1.45以下とすることが好ましい。
【0015】
【実施例】
前記実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズル10を使用し、試験を行った結果について説明する。
連続鋳造用浸漬ノズル10との比較に使用した従来例の浸漬ノズルとしては、図4に示すような、内部を溶鋼が流れる有底の筒体で構成され、この筒体の両側下端部に下向き15度の角度に傾斜した溶鋼の吐出孔がそれぞれ設けられた浸漬ノズルを使用した。
なお、鋳造時における鋳片の引き抜き速度は、0.8m/minで行った。
【0016】
図3に示すように、連続鋳造用浸漬ノズル10を用いた場合、第2の吐出部15の大孔吐出口16から吐出する溶鋼の流れは、湯面(メニスカス)から浅いことが分かる。これにより、鋳型内に形成される上向き、及び下向きの溶鋼流に随伴する気泡や介在物の巻き込みが抑制され、溶鋼中に混入した気泡や介在物の浮上が促進されて浮上し易くなるので、凝固シェルに捕捉される気泡や介在物を減少させることができる。しかも、気泡や介在物が鋳片の深部に侵入しないため、鋳片の内部品質をも向上させることができる。
一方、図4に示すように、従来例の連続鋳造用浸漬ノズルを使用した場合、筒体への溶鋼の注湯時における変動を吸収できず、吐出孔から吐出する溶鋼の下向きの流れは、連続鋳造用浸漬ノズル10を使用した場合よりも、湯面から深いことが分かる。これにより、気泡や介在物が鋳片の深部に侵入し、内部に集積するので、これが製造した鋳片の内部欠陥の要因となる。更に、鋳型内の凝固シェルに当り、反転した上向き流が強くなり、パウダーの巻込みや、湯面変動の要因となり、鋳片の品質を阻害する。
【0017】
図5には、連続鋳造用ノズル10、及び従来例に係る浸漬ノズルをそれぞれ使用した場合のメニスカスからの各距離における鋳片のL面(内表面)の幅方向に付着した気泡の合計の分布を示している。なお、気泡個数(指数)とは、従来例の浸漬ノズルを使用した場合のメニスカスから2000mmまでの気泡の総個数を1とした場合の割合を示している。
図5から明らかなように、連続鋳造用浸漬ノズル10を使用した場合、メニスカスからの距離が約500mmの位置では、気泡個数は0.1を下回っており、1200mmの位置では気泡が殆ど存在していないことが分かる。一方、従来例の浸漬ノズルを使用した場合、メニスカスからの距離が500mmの位置では、気泡個数が0.25で、連続鋳造用浸漬ノズル10の3倍程度であり、1200mmの位置でも殆ど変わらないことが分かる。なお、この浸漬ノズルの場合、メニスカスからの距離が1900mm以上の位置で、気泡の存在を抑制できることが分かる。
以上のことから、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを使用することで、溶鋼の流れを緩慢な流れにして、上向き流によるパウダーの巻込みなどの品質阻害を回避できると共に、下向き流による気泡や介在物の鋳片の深部への侵入や、集積を防止できるので、鋳片の品質向上ができ、しかも歩留りを向上させることができる。
【0018】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。また、前記実施の形態においては、連続鋳造用浸漬ノズルを溶鋼の鋳造に使用した場合について説明したが、この溶鋼としては、例えばステンレス溶鋼を使用できる。
そして、前記実施の形態においては、第1の吐出部に複数の小孔吐出口を有する板部が設けられた場合について説明したが、第1の吐出部を筒状とし、その両側に複数の小孔吐出口を設けることもできる。
更に、前記実施の形態においては、第2の吐出部を第1の吐出部に嵌装して連続鋳造用浸漬ノズルを製造することについて説明したが、嵌装することなくNC工作機械を用いて一体的に連続鋳造用浸漬ノズルを製造することも可能である。
【0019】
【発明の効果】
請求項1〜6記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、第1の吐出部の両側に設けた複数の小孔吐出口により、筒状部の内部に注湯された溶鋼の落下エネルギーを減衰し、その流れを整流化できる。また、整流化された溶鋼は、第1の吐出部の外側に形成された空間部により、その流速が更に減衰され、しかもその流れが均一化された後、第2の吐出部の大孔吐出口から鋳型内に注湯されるので、第2の吐出部からの溶鋼の流れを緩慢な流れにできる。これにより、鋳型内に形成される上向き、及び下向きの溶鋼流に随伴する気泡や介在物の巻き込みが抑制され、溶鋼中に混入した気泡や介在物の浮上が促進されて浮上し易くなるので、凝固シェルに捕捉される気泡や介在物を減少させることができる。従って、上向き流によるパウダーの巻込みなどの品質阻害を回避できると共に、下向き流による気泡や介在物の鋳片の深部への侵入や、集積を防止できるので、鋳片の品質向上ができ、鋳片の手入れや鋳片を圧延した鋼材の手入れを行う必要がなくなり、更には不合格品を減少させ、歩留りを向上させることができる。
特に、請求項2記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、第1の吐出部の水平断面積に第2の吐出部の空間部の水平断面積を加えた断面積を、筒状部の流路の断面積より大きくし、しかもその比を規定することで、筒状部に注湯された溶鋼の落下エネルギーを更に減衰できる。これにより、上向き流によるパウダーの巻込みなどの品質阻害を更に回避できると共に、下向き流による気泡や介在物の鋳片の深部への侵入や、集積を防止できる。
【0020】
請求項3記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、筒状部の大きさに応じて、大孔吐出口の大きさを規定しているので、筒状部に注湯された溶鋼の流速を確実に減衰させ、しかもその流れを均一化させた後、第2の吐出部から鋳型内へ溶鋼を注湯できる。これにより、鋳型内に形成される上向き、及び下向きの溶鋼流に随伴する気泡や介在物の巻き込みが抑制され、溶鋼中に混入した気泡や介在物の浮上が更に促進されて浮上し易くなる。
請求項4記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、大孔吐出口の大きさに応じて、第1の吐出部の小孔吐出口の大きさを規定しているので、筒状部に注湯された溶鋼の流速を確実に減衰させ、しかもその流れを均一化させて、第2の吐出部からの溶鋼の流れを安定して緩慢な流れにできる。これにより、鋳片の深部に侵入する介在物や気泡を減少させ、鋳片の内部品質を向上させることができる。
請求項5記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、介在物による欠陥が発生し易いステンレス溶鋼の鋳造時においても、第2の吐出部からの溶鋼の流れを安定して緩慢な流れにできる。これにより、介在物欠陥の解消が顕著に現れるので、安定した品質のステンレスを提供できる。
請求項6記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいては、第1及び第2の吐出部が筒状部に対して対称に形成され、筒状部に注湯された溶鋼を、第1、第2の吐出部を介して鋳型内へ対称に注湯できるので、その流れを更に安定にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズルの説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同連続鋳造用浸漬ノズルに使用する第1の吐出部の説明図、図1のa−a矢視断面図である。
【図3】同連続鋳造用浸漬ノズルを使用した場合の溶鋼の流れを示す説明図である。
【図4】従来例に係る連続鋳造用浸漬ノズルを使用した場合の溶鋼の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用浸漬ノズル及び従来例に係る連続鋳造用浸漬ノズルをそれぞれ使用した場合のメニスカスからの各距離における気泡の分布を示した説明図である。
【符号の説明】
10:連続鋳造用浸漬ノズル、11:筒状部、12:第1の吐出部、13:板部、14:小孔吐出口、15:第2の吐出部、16:大孔吐出口、17:空間部
Claims (6)
- 内部を溶鋼が流れる筒状部と、
前記筒状部の底に一体的に連接され、複数の小孔吐出口を両側に備える第1の吐出部と、
両側に配置された前記複数の小孔吐出口を箱状に覆って空間部を形成し、前記筒状部及び前記第1の吐出部を介して流れる前記溶鋼を、前記空間部から外側にそれぞれ吐出する大孔吐出口を備えた第2の吐出部とを有することを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。 - 請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記筒状部の流路の断面積Soと、前記第1の吐出部の水平断面積に前記第2の吐出部の空間部の水平断面積を加えた断面積Seとの比So/Seが、0.15〜0.3であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記筒状部の内径Doと、前記大孔吐出口の内径dとの比Do/dが、0.7〜1.0であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記大孔吐出口の内径dと、前記第1の吐出部の一方側の前記小孔吐出口の総面積を一つの円とした場合の内径Dhとの比d/Dhが、1を超え2以下であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記溶鋼はステンレス溶鋼であることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、前記第1及び第2の吐出部は前記筒状部に対して対称に形成されていることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
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