JP2004209512A - 連続鋳造方法及び浸漬ノズル - Google Patents

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Katsunori Yatabe
勝則 谷田部
Hirohide Uehara
博英 上原
Yoshikazu Kurose
芳和 黒瀬
Haruyuki Okuda
治志 奥田
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Abstract

【課題】浸漬ノズルからモールド内に溶鋼を注入する際に、該溶鋼の吐出流にモールドパウダが巻き込まれることを有効に防止する。
【解決手段】ダンディシュ内の溶鋼を、該タンディシュに連結されている浸漬ノズル12に形成された吐出口12Aからモールド内に注入して連続鋳造する際、前記吐出口12Aの形状を、縦横比(x/y)が、1.01〜1.20である横長の短形にする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、連続鋳造方法及び浸漬ノズル、特に圧延後の板材に発生する表面欠陥及び高速鋳造下での内部介在物を低減する際に適用して好適な連続鋳造方法及び浸漬ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用の内板や外板を初めとする薄板等の鋼板は、鋳片を圧延して製造される。このような圧延に供される鋳片は、連続鋳造設備において、取鍋からタンディシュ内に供給された溶鋼を、該タンディシュに連結されている浸漬ノズルを介してモールド内に注入し、連続鋳造することにより製造されている。
【0003】
通常、上記のようにタンディシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介してモールド内に注入する場合には、高速鋳造時のモールドパウダー巻込み防止の観点から該ノズルに形成された吐出口から溶鋼を斜め下方に吐出させることが行なわれている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−129645号公報
【特許文献2】
特許第3324598号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、連続鋳造中のモールド内溶鋼表面(湯面)上にはモールドパウダが浮遊していることから、吐出孔から出た溶鋼流がモールド短辺に衝突し、その反転流によりモールドパウダーが巻込まれ、このパウダ巻き込みが原因となって鋳片に表面欠陥や内部欠陥が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、浸漬ノズルを介してモールド内に溶鋼を注入する際に、該溶鋼の吐出流にモールドパウダが巻き込まれることを有効に防止でき、パウダ巻き込みに起因する鋳片欠陥の発生を防止でき、結果として圧延される板材に表面欠陥及び内部介在物等が発生することを防止できる連続鋳造方法及びそれに好適な浸漬ノズルを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連続鋳造方法において、タンディシュ内の溶鋼を、該タンディシュに連結されている浸漬ノズルに形成された吐出口からモールド内に注入して連続鋳造する際、前記吐出口の形状を、横長の矩形にすることにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本発明は、又、連続鋳造する際、タンディシュに連結され、該タンディシュ内の溶鋼を吐出口からモールド内に注入する浸漬ノズルにおいて、前記吐出口の形状が、横長の短形であるようにしたことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0009】
本発明は、又、前記連続鋳造方法又は前記浸漬ノズルにおいて、前記矩形の縦横比が、1.01〜1.20になるようにしたものである。
【0010】
即ち、本発明においては、高速鋳造時に最も懸念されるモールドパウダー巻込みによる表面品質悪化と、これに付随すると考えられている浸漬ノズルの折損トラブル防止、及び高速鋳造時のモールド内下降流速増大による内部品質の悪化防止を、浸漬ノズル吐出孔形状を適正化することにより解消することが可能となった。特に、浸漬ノズルの吐出口の形状を横長の矩形にすることにより該吐出孔出側での溶鋼流速が均一化され、その結果として、後に具体例を挙げて説明するように、吐出孔の上端部の負圧をなくすことが可能となり、下端部の平均流速を低下させることが可能となった。
【0011】
なお、モールドパウダーの巻込みは、吐出口から供給された溶鋼がモールド短辺に衝突して発生する反転流により引き起こされることが実験等により認められ、又、主に溶鋼のメニスカス流速が大きい条件で発生すると考えられていることから、溶鋼吐出流速の大きい高速連鋳では無視することができない問題である。
【0012】
又、溶鋼の吐出流にモールドパウダーが巻込まれると、鋳片における内部介在物(内部欠陥)も悪化すると考えられているので、本発明によれば、溶鋼内へのパウダー巻込み量を少なくできる上に、モールド内下降流速(=モールド内部への潜り込み)を減らすことも達成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る一実施形態の連続鋳造方法に適用される設備が有するモールドの湯面近傍を模式的に示す概略断面図である。又、図2は、一実施形態の浸漬ノズルの特徴を模式的に示す部分正面図と部分断面図である。
【0015】
本実施形態では、この図1に示した連続鋳造設備が有するモールド10において、図示しないタンディシュ内の溶鋼を、該タンディシュに連結されている筒状の浸漬ノズル12内を通過させ、その下端部近傍に形成されている吐出口12Aから、該モールド10内に、矢印で示す斜め下方に吐出させ、注入しながら鋳片(図示せず)の連続鋳造を行なう。
【0016】
本発明者は、この連続鋳造設備において、特に高速鋳造する場合に、鋳造中にモールド10内の溶鋼14の表面(湯面)14A上に浮遊しているモールドパウダ16の該溶鋼中への巻き込みを防止するべく、鋭意検討した結果、上記浸漬ノズル12の吐出口の形状を所定の矩形にすることが極めて有効であることを知見した。
【0017】
本発明は、この知見に基づいてなされたもので、以下、本発明の特徴である浸漬ノズルに形成されている吐出口の形状について具体例を挙げて詳述する。
【0018】
前記図2(A)には、吐出口12Aが形成されている側(正面)から見た上記浸漬ノズル12の下端部近傍を拡大して模式的に示した。又、同図(B)にはこの吐出口12Aを通るB−B線位置における半断面図を示した。
【0019】
この図2(A)に示されるように、上記浸漬ノズル12に形成されている吐出口12Aは、正面から見た形状が各コーナー部には若干のRが付されているが、実質的には矩形である。この矩形は、縦、横の寸法をそれぞれy、xとすると、縦横比(x/y)が1.01〜1.20の範囲にある横長である。又、この吐出口12Aは、筒状である浸漬ノズル12の反対側にも形成され、その片側の断面を同図(B)に示したように、上側と下側の端面が下向きの傾斜面で形成されていることから、前述したように、溶鋼は左右対称の吐出口12Aからそれぞれ斜め下方に吐出されるようになっている。
【0020】
吐出口12Aの形状を横長の矩形にしたことによる作用を図3に示す。この図3は、上記図2(B)に(上)及び(下)とそれぞれ併記した上及び下とその中間位置(図中、中央)においてそれぞれ測定した、水モデルによる吐出流速指数を表わしたもので、(A)は従来の縦長(x/y=0.90)の浸漬ノズル、(B)は本発明の横長(x/y≒1.07)の浸漬ノズルを使用し、それぞれ実質的に同一条件の下で実験した結果である。なお、ここで使用した2つの浸漬ノズルは、吐出口12Aの縦横比が異なるだけで、他の構造は実質的に同一である。
【0021】
この図3に示されるように、従来の浸漬ノズルの場合(A)は、吐出口12Aの上部に負圧が生じ、逆流しているのに対し、本発明の浸漬ノズルの場合(B)は、同位置で正方向の流れになっている。即ち、従来は吐出口の上部に逆流が生じ、これによりモールドパウダが巻き込まれ易かったのに対し、本発明の浸漬ノズルの場合は逆流が生じないため、有効にモールドパウダの巻き込みを防止できることが分かる。
【0022】
又、吐出口12Aの下部では、従来の場合は吐出流速指数が220であるのに対して、本発明の場合には150と低くなっており、吐出された溶鋼の下降流速を低減できていることが分かる。なお、吐出流速指数は、大きい程、実際の吐出流速も大きい。
【0023】
従って、本発明の浸漬ノズルによれば、従来の浸漬ノズルに比べ、吐出口出側での溶鋼流速が均一化されるため、モールドパウダを巻き込み難い上に、吐出された溶鋼の下降流速をも小さくできるので、鋳造される鋳片には該パウダが取込まれることに起因する表面欠陥や内部欠陥の発生を大幅に低減することができると考えられる。
【0024】
実際に、上記2つの浸漬ノズルを使って同一条件で連続鋳造し、得られた鋳片について品質検査を行なったところ、図4に示す表面品質結果(欠陥混入指数)と、図5に示す内部欠陥品質結果(内部欠陥指数)がそれぞれ得られ、本発明の浸漬ノズルが非常に有効であることが明らかになった。これらの各指数は、溶融亜鉛めっき鋼板について検査した結果を、所定基準当りに発生している欠陥の数で表したものである。
【0025】
又、図6には、吐出口12Aの縦横比(x/y)が、1.01〜1.20の範囲の場合に特に有効である根拠を示す。
【0026】
下限値が1.01より小さくなると、前記図3(A)に示したようにノズル上端部に負圧が生じると共に、ノズル下端での流速が大きくなり、欠陥が発生することになるため、図4、図5に、それぞれ示した表面欠陥、内部欠陥が発生し易くなる。
【0027】
一方、上限値が1.20より大きい場合には、xを大きくし過ぎると、孔以外のブリッジ部の強度低下により、浸漬ノズルの折損トラブルが発生し易くなり、又、yを小さくすると、吐出孔断面積が小さくなり、高速鋳造に対応できなくなる。従って、図6に示したように、良好な範囲として、x/y=1.01〜1.20が存在する。
【0028】
以上詳述した本実施形態によれば、従来は縦長の短形であった吐出口12Aの形状を、縦横比が所定範囲の横長の矩形としたことにより、浸漬ノズル12からモールド10内に溶鋼を注入する際に、該溶鋼の吐出流にモールドパウダが巻き込まれることを有効に防止でき、その結果、モールド内溶鋼へのパウダ巻き込みに起因する鋳片の表面欠陥や内部欠陥が発生することを有効に防止できた。
【0029】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0030】
例えば、浸漬ノズルに形成される吐出口の形状は、横長の矩形であれば必ずしも前記実施形態に示した数値範囲のものに限定されない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、浸漬ノズルからモールド内に溶鋼を注入する際、該溶鋼の吐出流にモールドパウダが巻き込まれることを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態に適用される連続鋳造設備の要部を模式的に示す部分断面図
【図2】本発明に係る一実施形態の浸漬ノズルの特徴を模式的に示す部分正面図と部分断面図
【図3】上記実施形態の作用を示す線図
【図4】上記実施形態の効果を示す線図
【図5】上記実施形態の効果を示す他の線図
【図6】吐出口の形状に存在する縦横比の有効範囲の根拠を示す線図
【符号の説明】
10…モールド
12…浸漬ノズル
12A…吐出口
14…溶鋼
16…モールドパウダ

Claims (4)

  1. タンディシュ内の溶鋼を、該タンディシュに連結されている浸漬ノズルに形成された吐出口からモールド内に注入して連続鋳造する際、
    前記吐出口の形状を、横長の矩形にすることを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 前記矩形の縦横比が、1.01〜1.20であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 連続鋳造する際、タンディシュに連結され、該タンディシュ内の溶鋼を吐出口からモールド内に注入する浸漬ノズルにおいて、
    前記吐出口の形状が、横長の短形であることを特徴とする浸漬ノズル。
  4. 前記短形の縦横比が、1.01〜1.20であることを特徴とする請求項3に記載の浸漬ノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011121802A1 (ja) 2010-03-31 2011-10-06 黒崎播磨株式会社 浸漬ノズル
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