JP4556368B2 - 変速機のシフト制御装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される変速機のシフト状態が電気的な制御で実現される変速機のシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される自動変速機では、シフト装置のシフトレバーのシフト操作位置をシフト検出センサによって電気的に検出し、この検出信号に基づいてシフト用モータを駆動して自動変速機のマニュアルバルブを切り替えることにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等のシフトポジションを切り替える、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式のシフト制御装置が、特開2000−74211公報において提案されている。このようなシフト制御装置を搭載した車両において、電気的フェールによって車両の停車時に変速機をパーキングポジションへシフトすることができなくなるのを回避するため、パーキングポジションへのシフト操作においてシフトレバーをマニュアルバルブに機械的に駆動連結可能に設けることが考えられる。このようなシフト制御装置では、通常時にはシフトレバーのPポジションへのシフト検出信号に基づいてシフト用モータを駆動することにより変速機のPポジションへの切替及び解除を行い、電気フェール時には機械的に駆動連結してPポジションへの切替及び解除を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記シフト制御装置では、変速機とシフトレバーとはPポジションにて機械的に連結するため、配索スペースが必要となり、車両搭載性が制限される。また、車両の輸送時において、振動による変速機の破損を防止するために変速機のシフト状態をPポジションから解除することが必要となる。ところで、内燃機関を始動するイグニションキーの非装着時には変速機はPポジションにシフトされていることが法規要件とされており、イグニションキーの非装着時には変速機をPポジションから解除することができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、車両搭載性を向上することができるとともに、イグニションキーの非セット状態においても変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えることができる変速機のシフト制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両に搭載された変速機のシフト状態を選択するシフト操作を電気的に検出するシフト装置と、前記シフト装置のシフト操作信号に基づいて前記変速機のシフト状態を切り替える切替制御手段とを備えた変速機のシフト制御装置において、前記車両に搭載された内燃機関を始動するためのイグニションキーの状態を検出するキー検出手段と、前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるための指示信号を出力する切替スイッチと、前記キー検出手段により前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチの指示信号に基づいて前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるように前記切替制御手段を制御するパーキング制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
内燃機関を始動するためのイグニションキーが非セット状態のときには切替制御手段には動作電源が供給されていないため、変速機のシフトポジションを切り替えることはできない。この点に関して、請求項1の構成によれば、キー検出手段によりイグニションキーの非セット状態が検出されたとき、切替スイッチの指示信号に基づいてパーキング制御手段によって切替制御手段が制御され、変速機のシフトポジションがパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えられる。そのため、車両の輸送時において、イグニションキーの非セット状態であっても変速機のシフトポジションをパーキング解除ポジションに切り替えることができ、振動による変速機の破損を防止することができるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記切替スイッチの指示信号は前記切替制御手段の動作電源であり、前記切替スイッチは操作される毎に動作電源の供給及び切断を交互に行うものであることを特徴とする。
【0008】
請求項2の構成によれば、パーキング制御手段が変速機のシフトポジションを切り替えた後、切替スイッチを操作すると切替制御手段への動作電源が遮断されるので、無駄な動作電源をなくすことができ、省電力化を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1及び2のいずれかにおいて、前記パーキング制御手段は、前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチが2回操作される毎に前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えるように前記切替制御手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3の構成によれば、イグニションキーの非セット状態において、必要に応じて切替スイッチを2回操作する毎に切替制御手段が活性化されて変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記パーキング制御手段は、前記切替スイッチの指示信号に基づいて前記切替制御手段に動作電源を供給して活性化することにより前記変速機のシフトポジションの切替を行わせ、前記変速機のシフトポジションを切り替えた後、前記切替制御手段への動作電源を遮断することを特徴とする。
【0012】
請求項4の構成によれば、パーキング制御手段は変速機のシフトポジションを切り替えた後、切替制御手段への動作電源を遮断するので、無駄な動作電源をなくすことができ、省電力化を図ることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1及び4のいずれかにおいて、前記パーキング制御手段は、前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチが操作される毎に前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えるように前記切替制御手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項5の構成によれば、イグニションキーの非セット状態において、必要に応じて切替スイッチを操作する毎に切替制御手段が活性化されて変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を、図1,図2を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、内燃機関としてのエンジン1の出力軸(図示略)は、トルクコンバータ2に連結されている。このトルクコンバータ2は、入力された回転を流体(オイル)を媒介して伝達する流体継ぎ手の一種であり、流体を媒介することによってエンジン出力軸の回転トルクを適宜に調整して自動変速機(以下、「A/T」と称す)3に伝達する。
【0017】
A/T3の油圧制御部(図示略)には電動アクチュエータとしての切替用モータ4が設けられている。切替用モータ4は電子制御装置(以下、「ECU」という。)5によって駆動制御される。切替用モータ4は前記油圧制御部において制御油圧の供給先を切り替える、すなわちA/T3のシフトポジションを切り替えるマニュアルバルブ(図示略)に連結されている。従って、切替用モータ4が回転駆動されると、マニュアルバルブのポジションが切り替えられ、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)ポジション等への切替が行われる。
【0018】
車室内には例えばフロア上に前記A/T3のシフトポジションの切替操作を行うためのシフト装置6が設けられている。シフト装置6はパーキング選択ボタン7及びシフトレバー8を備えている。パーキング選択ボタン7はPポジションへのシフト操作を設定するためのものである。シフトレバー8はRポジション、Nポジション、Dポジションの間を傾動操作可能に設けられるとともに、Dポジション以外の前進走行ポジション(3,2,L)を選択するためのシフトアップポジション及びシフトダウンポジションを設定することができる。
【0019】
また、車室には例えばステアリングシャフトの側方にイグニションキー10を挿入するためのキーシリンダ11が設けられている。キーシリンダ11のハウジング12内には、キーロータ13が回動可能に支持されるとともに、キーロータ13とともに一体回転する連結ロータ14が支持されている。連結ロータ14はハウジング12の後部に設けられたイグニションスイッチ15に連結されている。
【0020】
ハウジング12上には前記ECU5によって制御されるキーインターロックソレノイド16が設けられている。キーインターロックソレノイド16の係合ピン16aが突出して前記連結ロータ14の係合溝14aに係合することにより、前記キーロータ13がロックされて回動が阻止される。逆に、係合ピン16aが後退して前記連結ロータ14の係合溝14aから離脱することにより、前記キーロータ13のロックが解除されて回動が許容される。
【0021】
また、キーシリンダ11にはキー検出センサ17が前記ハウジング12及びキーロータ13を貫通するように設けられている。キー検出センサ17はイグニションキー10がキーシリンダ11に挿入(セット)されているかどうかを検出し、その検出信号を前記ECU5に送出する。
【0022】
さらに、車室内には前記A/T3のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるための指示信号を出力する切替スイッチ20が設けられている。切替スイッチ20の指示信号は前記ECU5に送出されている。
【0023】
図2は上記のように構成されたシフト制御装置の電気的構成を示す。
シフト装置6はパーキング選択ボタン7のシフト操作を電気的に検出するパーキングスイッチ21が設けられるとともに、シフトレバー8のシフト操作を電気的に検出するシフトスイッチ22A,22Bが設けられている。パーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bのシフト検出信号はECU5に送出されている。
【0024】
ECU5はマイクロコンピュータ25、モータ駆動回路26及び通信用IC27を備えている。マイクロコンピュータ25はイグニションスイッチ15及びダイオード23を介してバッテリ30に接続されている。切替スイッチ20は前記イグニションスイッチ15及びダイオード23と並列に接続されている。切替スイッチ20はバッテリ30からマイクロコンピュータ25の動作電源IGを指示信号して出力するものであり、操作される毎に動作電源IGの供給及び切断を交互に行うようになっている。イグニションキー10がキーシリンダ11に挿入されている状態では、マイクロコンピュータ25にはイグニションスイッチ15を介してバッテリ30から動作電源IGが供給されてマイクロコンピュータ25は活性化する。イグニションキー10がキーシリンダ11に挿入されていない状態では、マイクロコンピュータ25にはバッテリ30からバックアップ電源BPSが供給される。
【0025】
マイクロコンピュータ25の活性状態において、各種センサの検出信号等に基づいて燃料噴射弁あるいはイグナイタ、その他のアクチュエータ類を駆動することにより、エンジン1を好適に制御する。また、マイクロコンピュータ25はエンジン1の運転状態においてパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号を入力している。マイクロコンピュータ25はパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号に基づいてモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のポジション切替を実行する。また、マイクロコンピュータ25はパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号に基づいて通信用IC27に制御信号を出力してシフトインジケータ28によりシフトポジションの表示を行わせる。
【0026】
このように構成されたシフト制御装置において、エンジン1を停止する際には、マイクロコンピュータ25はパーキング選択ボタン7の操作に伴うパーキングスイッチ21のシフト検出信号に基づいてA/T3のシフトポジションをPポジションに切り替える。
【0027】
エンジン1が停止されてイグニションキー10がキーシリンダ11から抜かれた状態では、マイクロコンピュータ25はバッテリ30から供給されるバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。この状態において、マイクロコンピュータ25はキー検出センサ17によるイグニションキー10の非挿入状態を監視している。このとき、切替スイッチ20が操作されて動作電源IGが供給されるとマイクロコンピュータ25は活性化するとともに、A/T3のパーキング解除ポジションへの切替指示がなされたと判定する。そして、マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをパーキング解除ポジション(Nポジション)に切り替えるようになっている。このとき、切替用モータ4からNポジションに応じた駆動量検出信号fmがモータ駆動回路26に入力されると、マイクロコンピュータ25は制御信号の出力を停止してNポジションへのシフト切替を終了する。
【0028】
切替スイッチ20が再度操作されると動作電源IGの供給が遮断され、マイクロコンピュータ25はバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。
【0029】
A/T3のシフトポジションのNポジションへの切替が終了した後、切替スイッチ20が操作されて動作電源IGが供給されるとマイクロコンピュータ25は活性化するとともに、A/T3のパーキングポジションへの切替指示がなされたと判定する。そして、マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをPポジションに切り替えるようになっている。このとき、切替用モータ4からNポジションに応じた駆動量検出信号fmがモータ駆動回路26に入力されると、マイクロコンピュータ25は制御信号の出力を停止してPポジションへのシフト切替を終了する。
【0030】
この後、切替スイッチ20が再度操作されると動作電源IGの供給が遮断され、マイクロコンピュータ25はバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。
【0031】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・ 本実施形態では、キー検出センサ17によりイグニションキー10の非挿入状態が検出されたとき、切替スイッチ20の操作に基づいて動作電源IGが供給されてマイクロコンピュータ25が活性化するとともに、A/T3のNポジションへの切替指示がなされたと判定する。そして、マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをNポジションに切り替える。このため、車両の輸送時において、イグニションキー10の非挿入状態であってもA/T3のシフトポジションをNポジションに切り替えることができる。よって、車両の輸送時等には振動が車輪を介してA/T3に伝達されることになるが、この振動によるA/T3の破損を防止することができるようになる。
【0032】
・ 本実施形態では、A/T3のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに切り替える切替スイッチ20は操作される毎にマイクロコンピュータ25への動作電源IGの供給及び切断を交互に行うようにしている。そのため、マイクロコンピュータ25がA/T3のシフトポジションを切り替えた後、切替スイッチ20を操作すると25への動作電源IGの供給が遮断されるので、無駄な動作電源をなくすことができ、省電力化を図ることができる。
【0033】
・ 本実施形態では、イグニションキー10の非挿入状態において、必要に応じて切替スイッチ20を2回操作する毎にマイクロコンピュータ25が活性化されてA/T3のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えることができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図3に従って説明する。本実施形態において自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置は第1実施形態と同様である。本実施形態において第1実施形態と同様の要素については同じ参照番号を付し、その説明を一部省略する。
【0035】
図3は本実施形態のシフト制御装置の電気的構成を示す。本実施形態のシフト制御装置においては、エンジン1を始動するためのイグニションキーとして個人情報を記憶したIDカード31が用いられている。IDカード31は、運転免許証や所定のICカード等を採用することができる。ICカードとして個人情報を無線にて送信するものを採用することもできる。ECU5はIDカード31がセットされる電源分配器32を介してバッテリ30に接続されている。
【0036】
電源分配器32は、IDカード31がセットされているかどうかを検出する。
IDカード31がセットされている状態とは、IDカード31の個人情報を読み取ることができる状態であればよく、必ずしもIDカード31が電源分配器32に装着されていなくてもよい。
【0037】
電源分配器32はIDカード31がセットされている場合にはバッテリ30からマイクロコンピュータ25に動作電源IGを供給しマイクロコンピュータ25を活性化する。電源分配器32はIDカード31がセットされていない場合にはマイクロコンピュータ25への動作電源IGの供給を遮断する。
【0038】
マイクロコンピュータ25の活性状態において、各種センサの検出信号等に基づいて燃料噴射弁あるいはイグナイタ、その他のアクチュエータ類を駆動することにより、エンジン1を好適に制御する。また、マイクロコンピュータ25はエンジン1の運転状態においてパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号を入力している。マイクロコンピュータ25はパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号に基づいてモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のポジション切替を実行する。また、マイクロコンピュータ25はパーキングスイッチ21及びシフトスイッチ22A,22Bの検出信号に基づいて通信用IC27に制御信号を出力してシフトインジケータ28によりシフトポジションの表示を行わせる。
【0039】
切替スイッチ20はマイクロコンピュータ25と接地との間に接続されており、操作される毎にA/T3のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるためのパルス状の指示信号を出力する。
【0040】
このように構成されたシフト制御装置において、エンジン1を停止する際には、マイクロコンピュータ25はパーキング選択ボタン7の操作に伴うパーキングスイッチ21のシフト検出信号に基づいてA/T3のシフトポジションをPポジションに切り替える。
【0041】
エンジン1が停止されてIDカード31が電源分配器32にセットされていない状態では、マイクロコンピュータ25はバッテリ30から供給されるバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。この状態において、マイクロコンピュータ25はIDカード31の非セット状態を監視している。
【0042】
このとき、切替スイッチ20の操作に基づく指示信号がマイクロコンピュータ25に入力されると、マイクロコンピュータ25はA/T3のパーキング解除ポジションへの切替指示がなされたと判定し、電源分配器32に対して制御信号cpを出力する。この制御信号cpに基づいて電源分配器32からマイクロコンピュータ25に動作電源IGが供給される。動作電源IGが供給されるとマイクロコンピュータ25は活性化する。マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをパーキング解除ポジション(Nポジション)に切り替える。このとき、切替用モータ4からNポジションに応じた駆動量検出信号fmがモータ駆動回路26に入力されると、マイクロコンピュータ25は制御信号の出力を停止してNポジションへのシフト切替を終了する。
【0043】
A/T3のシフトポジションのNポジションへの切替が終了すると、マイクロコンピュータ25は電源分配器32に対して制御信号cpを出力して電源分配器32からマイクロコンピュータ25への動作電源IGの供給を遮断する。この状態ではマイクロコンピュータ25はバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。
【0044】
この後、IDカード31が電源分配器32にセットされていない状態において切替スイッチ20の操作に基づく指示信号がマイクロコンピュータ25に入力されると、マイクロコンピュータ25はA/T3のPポジションへの切替指示がなされたと判定し、電源分配器32に対して制御信号cpを出力する。この制御信号cpに基づいて電源分配器32からマイクロコンピュータ25に動作電源IGが供給される。動作電源IGが供給されるとマイクロコンピュータ25は活性化する。マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをPポジションに切り替える。このとき、切替用モータ4からPポジションに応じた駆動量検出信号fmがモータ駆動回路26に入力されると、マイクロコンピュータ25は制御信号の出力を停止してPポジションへのシフト切替を終了する。
【0045】
A/T3のシフトポジションのPポジションへの切替が終了すると、マイクロコンピュータ25は電源分配器32に対して制御信号cpを出力して電源分配器32からマイクロコンピュータ25への動作電源IGの供給を遮断する。この状態ではマイクロコンピュータ25はバックアップ電源BPSに基づいてその一部のみが活性化する。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・ 本実施形態では、電源分配器32によりIDカード31の非セット状態が検出されたとき、切替スイッチ20の操作に基づいて電源分配器32から動作電源IGが供給されてマイクロコンピュータ25が活性化するとともに、A/T3のNポジションへの切替指示がなされたと判定する。そして、マイクロコンピュータ25はモータ駆動回路26に制御信号を出力して切替用モータ4の駆動制御を行い、マニュアルバルブの位置を切り替えることによりA/T3のシフトポジションをNポジションに切り替える。このため、車両の輸送時において、IDカード31の非セット状態であってもA/T3のシフトポジションをNポジションに切り替えることができる。よって、車両の輸送時等には振動が車輪を介してA/T3に伝達されることになるが、この振動によるA/T3の破損を防止することができるようになる。
【0047】
・ 本実施形態では、マイクロコンピュータ25は、切替スイッチ20の指示信号に基づいて電源分配器32から動作電源IGを供給してA/T3のシフトポジションの切替を行わせた後、電源分配器32からマイクロコンピュータ25への動作電源IGを遮断するようにしている。そのため、無駄な動作電源IGをなくすことができ、省電力化を図ることができる。
【0048】
・ 本実施形態では、IDカード31の非セット状態において、必要に応じて切替スイッチ20を操作する毎にマイクロコンピュータ25が活性化されてA/T3のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えることができる。
【0049】
なお、実施の形態は以下のように変更することも可能である。
・ 上記各実施形態では変速機を自動変速機(A/T)3としたが、無段変速機としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図。
【図2】第1実施形態のシフト制御装置の電気的構成を示す回路図。
【図3】第2実施形態のシフト制御装置の電気的構成を示す回路図。
【符号の説明】
3…自動変速機、4…切替用モータ、5…ECU、6…シフト装置、7…パーキング選択ボタン、8…シフトレバー、10…イグニションキー、17…キー検出センサ、20…切替スイッチ、21…パーキングスイッチ、22A,22B…シフトスイッチ、25…マイクロコンピュータ、31…IDカード、32…電源分配器。
Claims (5)
- 車両に搭載された変速機のシフト状態を選択するシフト操作を電気的に検出するシフト装置と、前記シフト装置のシフト操作信号に基づいて前記変速機のシフト状態を切り替える切替制御手段とを備えた変速機のシフト制御装置において、
前記車両に搭載された内燃機関を始動するためのイグニションキーの状態を検出するキー検出手段と、
前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるための指示信号を出力する切替スイッチと、
前記キー検出手段により前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチの指示信号に基づいて前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションのいずれかに切り替えるように前記切替制御手段を制御するパーキング制御手段と
を備えた変速機のシフト制御装置。 - 請求項1において、
前記切替スイッチの指示信号は前記切替制御手段の動作電源であり、前記切替スイッチは操作される毎に動作電源の供給及び切断を交互に行うものである変速機のシフト制御装置。 - 請求項1及び2のいずれかにおいて、
前記パーキング制御手段は、前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチが2回操作される毎に前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えるように前記切替制御手段を制御する変速機のシフト制御装置。 - 請求項1において、
前記パーキング制御手段は、前記切替スイッチの指示信号に基づいて前記切替制御手段に動作電源を供給して活性化することにより前記変速機のシフトポジションの切替を行わせ、前記変速機のシフトポジションを切り替えた後、前記切替制御手段への動作電源を遮断する変速機のシフト制御装置。 - 請求項1及び4のいずれかにおいて、
前記パーキング制御手段は、前記イグニションキーの非セット状態が検出されたとき、前記切替スイッチが操作される毎に前記変速機のシフトポジションをパーキングポジション及びパーキング解除ポジションに交互に切り替えるように前記切替制御手段を制御する変速機のシフト制御装置。
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