JPH0523885Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、セレクタレバーの操作により指定さ
れたシフト段にクラツチ、トランスミツシヨン及
びアクセルを制御してシフトチエンジを行なう制
御ユニツトを備えた車両用自動変速装置に関す
る。

〔従来の技術〕

イージドライブと省燃費を両立させるオートマ
チツクシステムとして、従来のメカニカルクラツ
チ、トランスミツシヨンにエンジン回転数検出手
段即ちエンジン回転センサ、車速検出手段即ち車
速センサ等のセンサとクラツチ及びトランスミツ
シヨンを操作するアクチユエータを付加して、こ
れらを電子的に制御するメカニカルオートマチツ
クシステムが知られている。更に、発進時のクラ
ツチ操作だけはマニユアルで行ない、他の変速装
置をすべてオートマチツクに行なうセミオートマ
チツクシステムも知られている。このシステムに
おいては、走行中の変速はドライバがセレクタレ
バーで希望するレンジを指定するだけで、あとの
クラツチ、トランスミツシヨンの操作はすべて電
子制御により最適に行ない変速を行なうようにし
ている。また、オートレンジ指定のときは、車速
の増加に伴つて予め記憶されたマツプに従つてシ
フトアツプ、シフトダウンを行なう機能もあわせ
持つている。更に、マツプ書替えボタンをオンに
した状態でセレクタによりシフト段を指定してシ
フトチエンジを行なう場合にメモリにシフトチエ
ンジ時の車速を読み込んでマツプを書き替える学
習回路を備えた車両用自動変速装置が本出願人に
より提案さている（実願昭59−70610号）。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、従来のシステムにおいては、制御ユ
ニツトの中にバツクアツプ用のCPUを有し、該
CPUが常時メインCPUを監視してメインCPUが
異常になつたときにはバツクツプ用CPUによつ
て制御ができるようになつているが、CPU以外
の電子部品、例えばCPU内のCPU以外の論理回
路素子、配線、抵抗、コンデンサ、ダイオード等
が故障した場合には変速制御ができないという不
具合があつた。

従来、このようなシンプルな構成のトランスミ
ツシヨン駆動機構はなかつた。また、コンピユー
タ使用の自動変速装置の故障時、バツクアツプ手
段（故障時にこのような回路に切換える方式）と
して従来存在していたものは、特定の低速段に固
定的にギヤセツトし、クラツチは、主動スイツチ
等で単純に接、断して何とか自走だけではできる
ようにしたものであつた。

本考案は前記従来の課題に鑑みて為されたもの
であり、その目的は電子部品で構成された制御ユ
ニツトが故障しても配線中のコネクタの差し換え
操作、切換スイツチの切換操作とその操作後のセ
レクタレバーの手動操作によつて変速制御ができ
る車両用自動変速装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために本考案は、セレクタ
レバーの各シフト操作位置を検出するシフト検出
手段と、セレクタレバーの各セレクト操作位置を
検出するセレクト検出手段と、シフト検出手段の
出力により閉成して制御ユニツトを介さない通電
回路を形成してトランスミツシヨンのシフトアク
チユエータを相異なる方向へそれぞれ駆動する一
対のシフト駆動手段と、セレクト検出手段の出力
により閉成して制御ユニツトを介さない通電回路
を形成してトランスミツシヨンのセレクトアクチ
ユエータ群をそれぞれ駆動する複数のセレクト駆
動手段とを含む車両用自動変速装置を構成したも
のである。

〔作用〕

自動変速装置のコンピユータを中心とするコン
トロール装置が故障した場合に、故障時専用の配
線（コネクタ）の繋ぎ換え、または故障対応回路
への切換スイツチの作動等により従来のコンピユ
ータによる制御回路からセレクタレバーの動作で
直接トランスミツシヨンのアクチユエータを電気
的に駆動する回路に切換える。

そして、制御ユニツトが故障した場合にセレク
タレバーを指定の位置へ操作すると、セレクト検
出手段の出力により閉成して制御ヌニツトを介さ
ないセレクト駆動手段の通電回路が形成されたセ
レクトアクチユエータが駆動する。これによりト
ランスミツシヨンがセレクタセツトされる。更
に、シフト検出手段の出力により閉成して制御ユ
ニツトを介されないシフト駆動手段の通電回路が
形成され、いずれかのシフトアクチユエータが駆
動する。これによりギアが所望の位置にセツトさ
れる。

上記構成によれば、コンピユータを介しさない
簡単な構成となり、また通常の運転操作に極めて
近い状態を再現でき、車両用自動変速装置の信頼
性も高まる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図及び第２図は本考案を実施した自動変速
装置を備えたデイーゼルエンジンのハードウエア
構成図である。第２図において，エンジン１０に
はメカニカルクラツチ２０を介してトランスミツ
シヨン３０が取り付けられ、その出力軸はプロペ
ラシヤフト３４を介して図示しないリアアクスル
に連結されており、エンジン１０には電子ガバナ
１１を備えた燃料噴射ポンプ１２が設けられてい
る。

クラツチ２０には、クラツチを断接操作するク
ラツチアクチユエータ２１と、クラツチのストロ
ーク量を検出するクラツチストロークセンサ２２
が設けられている。

トランスミツシヨン３０には、トランスミツシ
ヨンをシフトするトランスミツシヨンアクチユエ
ータ３１と、その内部に設けられシフトポジシヨ
ンを検出するシフトポジシヨンセンサ３２と、出
力軸の回転速度を検出する車速センサ３３とが設
けられている。４０は運転室内に設けられたシフ
トチエンジの際にシフト段を指定するセレクタ
で、内部にセレクト位置検出スイツチ及びシフト
位置検出スイツチを備えている。４１はアクセル
ペダル、４２はアクセル切換装置、４３は警報装
置例えばブザーである。制御ユニツト５０には、
セレクタ４０、車速センサ３３、シフトポジシヨ
ンセンサ３２、クラツチストロークセンサ２２か
らの信号が供給されており、制御ユニツト５０は
各センサからの信号に基づいてトランスミツシヨ
ン３０のギアを自動変速できるようになつてい
る。

トランスミツシヨン３０には、第１図に示され
るようにシフトアクチユエータ５２を相異なる方
向へ駆動するシフト駆動手段としてのシフトバル
ブ５４，５６が設けられていると共に、セレクト
駆動手段としてのセレクトバルブ５８，６０，６
２が設けられている。シフトアクチユエータ５２
はシフトバルブ５４の通電回路が形成されたとき
フオークシヤフト６４の矢印Ｘ方向に移動し、シ
フトバルブ５６の通電回路が形成されるときフオ
ークシヤフト６４を矢印Ｙ方向へ移動させるよう
になつている。また、セレクトバルブ５８はその
通電回路が形成されたときギア段を４速または５
速にセレクトするようになつており、セレクトバ
ルブ６０はその通電回路が形成されたときギア段
を３速または２速にセレクトさせるようになつて
いる。また、更にセレクトバルブ６２はその通電
回路が形成されたときギア段を１速またはリバー
ス段へセレクトするようになつている。そして各
シフトバルブ５４，５６、セレクトバルブ５８，
６０，６２には、メインリレー６６、クラツチス
イツチ６８を介して電力が供給するようになつて
いる。なお、メインリレー６６はイグニツシヨン
スイツチがオンになつたとき接点を閉じ、クラツ
チスイツチ６８はクラツチが遮断されたとき接点
を閉じるように構成されている。

セレクタ４０には、シフト検出手段としてのシ
フトスイツチ７０，７２，７４が設けられている
と共にセレクト検出手段としてのセレクトスイツ
チ７６，７８，８０が設けられている。シフトス
イツチ７０，７４はそれぞれ切換手段としてのリ
レー８２を介してシフトバルブ５４，５６に接続
され、シフトスイツチ７２はリレー８４、ダイオ
ード８６，８８、リレー８２を介してシフトバル
ブ５４，５６に接続されている。また、セレクト
スイツチ７６はセレクトバルブ６２に接続され、
セレクトスイツチ７８はセレクトバルブ６０に接
続され、セレクトスイツチ８０はセレクトバルブ
５８に接続されている。そしてこれらシフトスイ
ツチ７０，７２，７４とセレクトスイツチ７６，
７８，８０の一端はそれぞれ接地されている。

リレー８４はメインリレー６６、クラツチスイ
ツチ６８、シフトスイツチ７２がオンになつたと
き接点を閉じるように構成されており、リレー８
２はメインリレー６６、クラツチスイツチ６８、
セレクトスイツチ８０がオンになつたとき接点８
２ａ，８２ｂを閉じ、かつ接点８２ｃ，８２ｄを
開くようになつている。即ち、リレー８２は、オ
フのときにはシフトスイツチ７０をシフトバルブ
５４に接続し、かつシフトスイツチ７４をシフト
バルブ５６に接続し、オンとなつたときにはシフ
トスイツチ７０をシフトバルブ５６に接続し、か
つシフトスイツチ７４をシフトバルブ５４に接続
するように構成されている。即ち、リレー８２は
セレクタレバーが４速たは５速の位置に操作され
たときオンになるようになつている。そしてギア
段が２速、５速及びリバース段になつたときシフ
トバルブ５４の通電回路を形成し、１速、３速及
び４速のギア段が選択されたときシフトバルブ５
６の通電回路を形成するようになつている。

これによつて多くのトランスミツシヨンがそう
であるように、高速段でのシフト駆動方向が他の
段と反対方向になつていても正常に機能させるこ
とができる。

以上の構成において、制御ユニツト５０の電子
部品が故障したときイグニツシヨンスイツチをオ
ンにすると共にクラツチペダルを踏み込むと、メ
インリレー６６とクラツチスイツチ６８が共にオ
ンになる。このときセレクタレバーによつて１速
が選択されるとセレクタスイツチ７６、シフトス
イツチ７４がオンになり、セレクトバルブ６２及
びシフトバルブ５６の通電回路が形成され、ギア
段が１速にシフトされる。このあとセレクタレバ
ーが５速の位置に操作されるとセレクトスイツチ
８０、シフトスイツチ７４が共にオンになり、セ
レクトバルブ５８の通電回路が形成されると共に
リレー８２の作動によりシフトバルブ５４の通電
回路が形成され、ギア段が５速にシフトされる。

このように本実施例においては、制御ユニツト
５０の電子部品が故障した場合でも、配線中のコ
ネクタの差し換え操作、切換スイツチの切換操作
とその操作後のセレクタ４０のセレクタレバーを
手動操作することによつて変速操作が可能にな
り、電子部品の故障があつても十分走行が可能と
なる。

また、本実施例によれば、セレクタレバーが４
速の位置に操作されたとき１速及び３速のときと
同じ方向にシフトアクチユエータ５２が駆動し、
セレクタレバーが５速の位置に操作されたとき２
速及びリバース段と同じ方向にシフトアクチユエ
ータ５２が駆動するため、変速操作に違和感を感
じることはない。

また、更に本実施例によれば、クラツチが遮断
状態になつたときにのみシフトバルブ５４，５
６、セレクトバルブ６０，６２の通電回路が形成
されるため、セレクタレバーが不用意に操作され
てもギアシフトがなされることはなく、安全性の
向上を図ることができると共に、各バルブの耐久
性の向上を図ることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、制御ユニ
ツトの電子部品が故障しても配線中のコネクタの
差し換え操作、切換スイツチの切換操作とその操
作後のセレクタレバーの操作によつてギアシフト
が可能となるため、制御ユニツト故障時のバツク
アツプを確実に行なうことができる。

また、コンピユータを介さない簡単な構成であ
り、然も通常の運転操作に極めて近い状態で再現
でき、車両用自動変速装置の信頼性も高まる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す回路構成図、
第２図は本考案に係る装置の全体構成図である。 ４０……セレクタ、５０……制御ユニツト、５
４，５６……シフトバルブ、５８，６０，６２…
…セレクトバルブ、６８……クラツチスイツチ、
７０，７２，７４……シフトスイツチ、７６，７
８，８０……セレクトスイツチ、８２，８４……
リレー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) セレクタレバーの各シフト操作位置を検出す
   るシフト検出手段と、 セレクタレバーの各セレクト操作位置を検出
   するセレクト検出手段と、 シフト検出手段の出力により閉成して制御ユ
   ニツトを介さない通電回路を形成してトランス
   ミツシヨンのシフトアクチユエータを相異なる
   方向へそれぞれ駆動する一対のシフト駆動手段
   と、 セレクト検出手段の出力により閉成して制御
   ユニツトを介さない通電回路を形成してトラン
   スミツシヨンのセレクトアクチユエータ群をそ
   れぞれ駆動する複数のセレクト駆動手段とを含
   むことを特徴とする車両用自動変速装置。 (2) 各シフト駆動手段と各セレクト駆動手段の通
   電回路中に、クラツチが遮断状態にあるときに
   のみ通電回路を閉成するスイツチ手段を設けた
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の車両用自動変速装置。 (3) 各シフト駆動手段と各セレクト駆動手段の通
   電回路中に、ギヤ段のうち高速側偶数段と高速
   側奇数段を選択する位置にセレクタレバーが操
   作されたとき、高速側偶数段のシフト駆動手段
   として低速側奇数段と同じシフト駆動手段を選
   択し、高速側奇数段のシフト駆動手段として低
   速側偶数段と同じシフト駆動手段を選択する切
   換手段を設けたことを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項または第２項記載の車両用自
   動変速装置。