JP4556323B2 - プリプレグの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷配線板用の積層板などを形成する際に用いられるプリプレグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷配線板用の積層板を形成する際に用いられるプリプレグは、従来一般的に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解させてエポキシ樹脂溶液(エポキシ樹脂ワニス)を調製し、これをガラスクロス等の基材に浸透(含浸)させ、この後、加熱して有機溶剤を除去すると共にエポキシ樹脂をBステージ化することによって製造されている。しかしこのような方法では有機溶剤を多量に使用し、その上、除去した有機溶剤を処理する必要があって、作業環境やエネルギーコストの面で問題があった。
【0003】
そこで特開平9−263647号公報には、無溶剤のエポキシ樹脂組成物を基材の一方の面に均一に塗布して基材にエポキシ樹脂組成物を浸透させてプリプレグを製造する方法が提案されている。この方法では有機溶剤を用いていないので、有機溶剤の処理を行う必要がなく、作業環境やエネルギーコストの問題が軽減されるのである。
【0004】
しかし上記特開平9−263647号公報に記載の方法では、エポキシ樹脂の硬化剤であるジシアンジアミドを溶解させずに固形(粒状)のままエポキシ樹脂組成物に配合して分散させているために、エポキシ樹脂組成物を基材に浸透させる際に、ジシアンジアミドが基材に浸透せず、基材の表面に付着して偏在することがあった。そしてこの結果、積層板に成形した後に樹脂硬化物の特性(例えば吸水率やガラス転移温度)が悪化したり、基材のガラスクロス束の中心部における硬化性が低くて成形後の積層板にミーズリング(ガラスクロス交点の白化)が生じたりするという問題があった。
【0005】
そこで、かかる問題を解決するために特開2000−129011号公報においては、基材にエポキシ樹脂組成物を塗布する治具の表面温度を100〜195℃にすることによって、エポキシ樹脂組成物に含有されているジシアンジアミドの一部又は全部を熱溶解させてエポキシ樹脂との相溶性を高め、上記のようなミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化を低減するようにしているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開2000−129011号公報に記載のように、基材にエポキシ樹脂組成物を塗布する治具の表面温度を100℃以上に加熱してしまうと、エポキシ樹脂組成物の反応性を著しく高めることとなり、連続的にプリプレグを製造するにあたって、高温に加熱された治具上に滞留したエポキシ樹脂組成物がゲル化したり、エポキシ樹脂組成物の反応が進行し過ぎてプリプレグを安定に得ることができない可能性がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化を低減することができると共に製造安定性に優れたプリプレグの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るプリプレグの製造方法は、エポキシ樹脂と、これの硬化剤としてジシアンジアミド及び1分子内に水酸基を3個以上有するフェノール系硬化剤とを含有する無溶剤のエポキシ樹脂組成物1を、基材2の片面より塗布して浸透させ、基材2に浸透したエポキシ樹脂組成物1をBステージ化させるプリプレグの製造方法であって、上記エポキシ樹脂として少なくとも融点が60℃以下のものを用い、上記フェノール系硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂又はジシクロペンタジエン含有フェノールノボラック樹脂を用い、上記ジシアンジアミドと上記フェノール系硬化剤の質量比(ジシアンジアミド/フェノール系硬化剤)が0.15以下であると共に、エポキシ樹脂組成物1を基材2に塗布する治具の表面温度を60〜95℃、エポキシ樹脂組成物1と治具の接触時間を0.1〜7秒にすることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、分子量が180〜600かつ1分子内に水酸基を平均1.5〜2.3個有するフェノール系架橋剤がエポキシ樹脂組成物1中に配合されていることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、エポキシ樹脂の1当量に対して、0.7〜0.2当量のジシアンジアミドと、0.7〜0.1当量のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物1に含有させることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、エポキシ樹脂組成物1の全量に対して5〜13質量%のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物1に含有させることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、ジシアンジアミドの平均粒径が15μm以下であることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、フェノール系架橋剤がビスフェノールAであることを特徴とするものである。
【0020】
また請求項7の発明は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、フェノール系架橋剤がテトラブロモビスフェノールAであることを特徴とするものである。
【0022】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、治具が塗布ロール4であることを特徴とするものである。
【0023】
また請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、長尺の基材2を連続して送りながらエポキシ樹脂組成物を塗布、浸透させることによってプリプレグ22を連続的に製造するにあたって、治具として転写ロール6を用い、この転写ロール6の表面に膜状に形成された無溶剤のエポキシ樹脂組成物を溶融状態で転写ロール6から基材2の片面に転写して塗布し、このエポキシ樹脂組成物を基材2に浸透させ、次に基材2のエポキシ樹脂組成物が塗布された側に配置された付回りロール7を基材2の片面に押圧してエポキシ樹脂組成物を基材2の塗布面と反対側に付回らせ、この後に、このエポキシ樹脂組成物を塗布・浸透した基材2を非接触タイプの加熱ユニット14で加熱してエポキシ樹脂組成物をBステージ化させることを特徴とするものである。
【0024】
また請求項10の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、長尺の基材2を連続して送り出す巻出しユニット8と、基材2の切り替え時に作動されるアキュムレータユニット9と、主剤と硬化剤を混合して無溶剤のエポキシ樹脂組成物を送り出す樹脂送り出しユニット10と、樹脂送り出しユニット10から送られたエポキシ樹脂組成物を溶融状態で供給するレジンガン11と、外周面にレジンガン11から供給される溶融状態のエポキシ樹脂組成物を基材2の片面に転写して塗布する治具である転写ロール6と、転写ロール6の外周面にレジンガン11から供給された溶融状態のエポキシ樹脂組成物を均一に拡げるメータリングロール12と、基材2を転写ロール6の外周面に押し付けるバックアップロール13と、基材2の片面に塗布されたエポキシ樹脂組成物を基材2に浸透されたエポキシ樹脂組成物を加熱してBステージ化させる非接触式の加熱ユニット14とを具備して成るプリプレグ22の製造装置を用いてプリプレグ22を製造することを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
本発明においてエポキシ樹脂としては、融点が60℃以下であり、1分子内に2個以上のエポキシ基を有しているものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂で、融点が60℃以下のものを用いることができる。このように低融点のエポキシ樹脂又は常温で液状のエポキシ樹脂を用いると、基材へ均一に浸透してプリプレグを均一化することができるものである。
そしてこのようなエポキシ樹脂は、1種のみを用いたり2種以上のものを混合して用いたりすることができる。さらに融点60℃以下のエポキシ樹脂に、融点が60℃を超えるエポキシ樹脂を混合して用いることもできる。この場合、融点が60℃を超えるエポキシ樹脂は全エポキシ樹脂に対して50質量%以下となるように配合することが好ましく、これによってエポキシ樹脂組成物の粘度を低温で低下させることができるものである。一方、エポキシ樹脂として、融点が60℃を超えるもののみが用いられている場合は、エポキシ樹脂組成物の粘度を低下させるために高温に加熱しなければならなくなり、これに伴ってエポキシ樹脂組成物がゲル化したり、反応が進行し過ぎてプリプレグを安定に得ることができなくなるものである。
【0027】
本発明ではエポキシ樹脂の硬化剤の一つとしてジシアンジアミドを用いるものであり、このジシアンジアミドを用いることによって、エポキシ樹脂組成物は高い接着力、高い耐熱性、良好な電気特性を有するものとなる。ジシアンジアミドはエポキシ樹脂に対して非相溶あるいは相溶しにくいものであり、このため、エポキシ樹脂組成物にジシアンジアミドを含有させると、エポキシ樹脂組成物を基材の片面に塗布して含浸させる際に、ジシアンジアミドが基材の内部や塗布側と反対側の表面側までに浸入しにくく、基材の表面に付着して偏在化することがあり、この結果、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低くなってミーズリングを生じる恐れがある。そこで本発明ではジシアンジアミドとして平均粒径が15μm以下のものを用いるのが好ましい。平均粒径が15μmを超えるものを用いると、上記のような問題が生じる恐れがある。尚、ジシアンジアミドは基材への浸入させやすさを考慮すると、その平均粒径は小さいほど好ましいが、エポキシ樹脂との反応の制御しやすさを考慮すると、ジシアンジアミドの平均粒径は0.05μm以上であることが好ましい。
【0028】
また本発明ではエポキシ樹脂の他の硬化剤として、1分子内に3個以上の水酸基を有するフェノール系硬化剤を用いるものである。このフェノール系硬化剤は、エポキシ樹脂と反応性を有する活性水素を持つ水酸基を1分子内に平均3個以上有しているものであって、ジシアンジアミドはこのフェノール系硬化剤に加熱溶解性を有しているものである。従って、エポキシ樹脂にジシアンジアミドとフェノール系硬化剤を配合してエポキシ樹脂組成物を調製することによって、ジシアンジアミドの一部又は全部を60〜95℃程度の低温でフェノール系硬化剤に対して溶解させることができ、エポキシ樹脂組成物へのジシアンジアミドの溶解性、すなわちエポキシ樹脂とジシアンジアミドとの相溶性を高くすることができる。よって、エポキシ樹脂組成物を基材に浸透させる際に、ジシアンジアミドが基材の表面に付着して偏在化しないようにすることができ、ジシアンジアミドがエポキシ樹脂とともに基材に均一に含浸することになって、エポキシ樹脂の反応性や硬化のむらが発生しないようにすることができ、積層板にミーズリングが生じないようにすることができると共に積層板の強度などの特性が低下しないようにすることができる。
【0029】
尚、フェノール系硬化剤の水酸基が1分子内に平均3個未満であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性などが劣るために積層板などの製造物の硬化むらや物性むらが生じる恐れがある。またフェノール系硬化剤の水酸基が1分子内に平均50個を超えると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性が硬くて脆くなる恐れがあるが、これは特に大きな問題にはならない。従って、フェノール系硬化剤の水酸基は1分子内に平均50個以下であることが好ましい。
【0030】
このような条件を満たすフェノール系硬化剤は、フェノールノボラック系化合物を例示することができ、さらに具体的には、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、ジシクロペンタジエン含有フェノールノボラック(ジシクロペンタジエン共重合型フェノールノボラック)などを挙げることができる。またフェノールノボラック系化合物の他には、上記条件を満たすフェノール系硬化剤として上記(1)の式で示される3官能型フェノール化合物などを用いることができる。
【0031】
特に、フェノールノボラックを用いると、積層板の電気絶縁性や耐熱性を高くすることができる。またクレゾールノボラックを用いると、他のフェノールノボラックよりも反応性が低いために、エポキシ樹脂組成物の含浸時などの加熱時の安定性及びBステージ化したプリプレグの保存安定性を高くすることができる。
【0032】
またビスフェノールA型ノボラックを用いると、クレゾールノボラックと同様に他のフェノールノボラックよりも反応性が低いために、エポキシ樹脂組成物の含浸時などの加熱時の安定性及びBステージ化したプリプレグの保存安定性を高くすることができ、しかもフェノールノボラック、クレゾールノボラックに比べてエポキシ樹脂との混合時などの加熱時に酸化されにくいので、エポキシ樹脂組成物及びプリプレグの着色や変色が少なくなって外観が良好となる。
【0033】
またジシクロペンタジエン含有フェノールノボラックを用いると、クレゾールノボラックと同様に他のフェノールノボラックよりも反応性が低いために、エポキシ樹脂組成物の含浸時などの加熱時の安定性及びBステージ化したプリプレグの保存安定性を高くすることができ、しかもフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラックを用いた場合に比べてエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿性が低くなると共にエポキシ樹脂組成物の硬化物の強靱性が優れるようになるので、積層板の耐吸湿性や強靱性を高めることができる。
【0034】
さらに上記(1)式の3官能型フェノール系化合物を用いると、他のフェノール系化合物に比べて、エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)などが高くなって積層板の耐熱性を向上させることができるものである。
【0035】
本発明では、ジシアンジアミドをエポキシ樹脂組成物に溶解させて、ジシアンジアミドとエポキシ樹脂とを相溶させているので、エポキシ樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグの反応性が高くなり、エポキシ樹脂組成物及びプリプレグの保存安定性が低下する恐れがある。そこで上記のような反応性の低いフェノール系硬化剤を併用することによって、エポキシ樹脂組成物及びプリプレグの保存安定性が低下しないようにしているものである。
【0036】
ここで、さらに上記のようなエポキシ樹脂及び硬化剤に加えて、分子量が180〜600かつ1分子内に水酸基を平均1.5〜2.3個有するフェノール系架橋剤を用いると、比較的低分子量のエポキシ樹脂を用いることが可能となり、エポキシ樹脂組成物の粘度が低下し、基材への含浸性が良好となるものである。すなわち、基材への塗布時においてはエポキシ樹脂、硬化剤、フェノール系架橋剤が未反応であるために、エポキシ樹脂組成物としては60〜95℃程度の低温においても低粘度となるものであり、その後のBステージ化工程において高分子量化が進み、適正な特性及び含浸性を有するプリプレグを得ることができるものである。尚、フェノール系架橋剤の分子量が180未満であると、架橋剤としての効果が無くなり接着力等の特性が悪化する恐れがあり、逆に600を超えると、基材への塗布時におけるエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させることができなくなる恐れがある。またフェノール系架橋剤の水酸基が平均1.5個未満であると、硬化時において十分に架橋することができなくなり、硬化物の特性を向上させることができなくなる恐れがあり、逆に平均2.3個を超えると、耐熱性やガラス転移温度が低下する恐れがある。
【0037】
このような条件を満たすフェノール系架橋剤は、特に限定されるものではないが、例えばビスフェノールAや、難燃性を付与することができるテトラブロモビスフェノールA等を挙げることができる。特に上記ビスフェノールAやテトラブロモビスフェノールAは、加熱混合することによってエポキシ樹脂と相溶させることができ、相溶して得られるエポキシ樹脂組成物を低粘度とすることができるものである。
【0038】
また本発明では、必要に応じて難燃剤や品質向上のための添加剤や硬化促進剤を加えてもよい。硬化促進剤としては三級アミン系促進剤、イミダゾール類、リン系促進剤などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
そして、エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては、次のようにして行うことができる。まず、上記エポキシ樹脂及びフェノール系硬化剤等を80〜150℃に加熱して熱溶解し、相溶させる。上記フェノール系架橋剤を用いる場合は、このとき一緒に相溶させる。ここで、フェノール系硬化剤及びフェノール系架橋剤は、80〜150℃で熱溶解し易いものであり、しかも短時間の加熱であれば反応は進行し過ぎることはなく、低粘度のまま各成分が均一に分散することができるものである。その後、ジシアンジアミド、必要に応じて硬化促進剤などを添加することによって、エポキシ樹脂組成物を調製することができるものであるが、この際にジシアンジアミドを分散させるにあたっては、可能な限り低温で行うことが好ましく、例えば、加熱装置を備えたスタティックミキサー、インラインミキサー、ニーダー等を用いることによって行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
このように調製されるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂の1エポキシ当量に対して、ジシアンジアミド由来の水酸基当量(活性水素当量)が0.7〜0.2当量、フェノール系硬化剤由来の水酸基当量が0.7〜0.1当量となるように、各硬化剤の配合割合を調節して含有させるのが好ましい。ジシアンジアミド由来の水酸基当量が0.7当量を超えると、ジシアンジアミドの活性水素の数、すなわちジシアンジアミドの配合量が多くなって、ジシアンジアミドが基材の内部や塗布側と反対側の表面側までに浸入しにくく、基材の表面に付着して偏在化する恐れがある。またジシアンジアミド由来の水酸基当量が0.2当量未満であれば、ジシアンジアミドの活性水素の数、すなわちジシアンジアミドの配合量が少なくなって、ジシアンジアミドによる積層板の電気絶縁性能の向上やプリプレグの接着性の向上などの効果を得にくくなる恐れがある。
【0041】
またフェノール系硬化剤由来の水酸基当量が0.7当量を超えると、相対的にジシアンジアミドの活性水素の数、すなわちジシアンジアミドの配合量が少なくなって、ジシアンジアミドによる積層板の電気絶縁性能の向上やプリプレグの接着性の向上などの効果を得にくくなる恐れがある。またフェノール系硬化剤由来の水酸基当量が0.1当量未満であれば、相対的にジシアンジアミドの活性水素の数、すなわちジシアンジアミドの配合量が多くなって、ジシアンジアミドが基材の内部や塗布側と反対側の表面側までに浸入しにくく、基材の表面に付着して偏在化する恐れがある。ジシアンジアミド及びフェノール系硬化剤のより好ましい配合量は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂の1エポキシ当量に対して、ジシアンジアミドの水酸基当量が0.5〜0.3当量、フェノール系硬化剤の水酸基当量が0.5〜0.2当量となるようにするものであり、上記の不都合の解決と成形後の積層板の良好な物性を両立させるために最適な配合量である。
【0042】
尚、エポキシ樹脂組成物中に、分子量が180〜600かつ1分子内に水酸基を平均1.5〜2.3個有するフェノール系架橋剤(例えば、反応性難燃剤などとして配合されるテトラブロモビスフェノールA)を含有する場合は、このフェノール系架橋剤の活性水素と反応するエポキシ基は、上記のエポキシ樹脂の1エポキシ当量から除外して、ジシアンジアミドとフェノール系硬化剤の水酸基当量を算出するようにするものである。
【0043】
またジシアンジアミドをフェノール系硬化剤及びエポキシ樹脂に溶解させることを考慮すると、フェノール系硬化剤の配合量はエポキシ樹脂組成物の全量に対して5〜13質量%に設定するのが好ましい。フェノール系硬化剤の配合量が5質量%未満であれば、エポキシ樹脂組成物を基材に塗布する前に60〜95℃に加熱してもエポキシ樹脂組成物へのジシアンジアミドの溶解性、すなわちエポキシ樹脂とジシアンジアミドとの相溶性をあまり高くすることができなくなる恐れがあり、またフェノール系硬化剤の配合量が13質量%を超えると、相対的にジシアンジアミドの配合量が少なくなって、ジシアンジアミドによる積層板の電気絶縁性能の向上やプリプレグの接着性の向上などの効果を得にくくなる恐れがある。
【0044】
上記のようにして無溶剤のエポキシ樹脂組成物を調製した後、ガラスクロスやガラス不織布等のように繊維からなるシート状の補強用の基材に、その片面からエポキシ樹脂組成物を60〜260g/m2で塗布し、この後、基材にエポキシ樹脂組成物を加熱して浸透させると共に、基材に含浸したエポキシ樹脂組成物を半硬化させてBステージ化することによって、本発明のプリプレグを製造することができる。エポキシ樹脂組成物を基材に塗布するにあたっては、ダイコータやロールコータなど、基材の表面にエポキシ樹脂組成物を均一に塗布することができるものであれば良く、例えば図1に示すような塗布装置を用いることができる。
【0045】
すなわち図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、1はエポキシ樹脂組成物、2は基材、3はエポキシ樹脂組成物1を保留する容器、4は基材2にエポキシ樹脂組成物1を塗布するための治具である塗布ロール、5は容器3にエポキシ樹脂組成物1を補充する供給管である。塗布ロール4はその略下半分をエポキシ樹脂組成物1に浸漬された状態で容器3内に配設されており、矢印イの方向に回転駆動されている。そして塗布ロール4の上側を基材2が矢印ロの方向に向かって通過する際に、基材2の下面に塗布ロール4の外周面が接触し、この接触により塗布ロール4の表面に付着したエポキシ樹脂組成物1が基材2の下面に塗布されるのである。
【0046】
そして本発明では上記の塗布工程の際に、塗布ロール4の表面を60〜95℃に加熱することによって、塗布ロール4の表面に付着したエポキシ樹脂組成物1を加熱して基材2に塗布される直前のエポキシ樹脂組成物1の温度を塗布ロール4の表面温度と同程度にするようにしており、この加熱によって、エポキシ樹脂組成物1に含有されているジシアンジアミドの一部又は全部を熱溶解させてエポキシ樹脂との相溶性を高めるようにしたものである。
【0047】
ジシアンジアミドはエポキシ樹脂組成物に対する溶解性、すなわちエポキシ樹脂との相溶性が低い。そこで従来では、エポキシ樹脂とジシアンジアミドの両方に対して溶解性の高い有機溶剤を用いてエポキシ樹脂組成物を調製するようにしていたが、無溶剤のエポキシ樹脂組成物を調製する場合はエポキシ樹脂にジシアンジアミドを均一に溶解させて混合することが困難であり、このためにエポキシ樹脂組成物中にジシアンジアミドが固体粒子の状態で残留することになる。そしてこの固体粒子のジシアンジアミドが基材の内部及び基材のエポキシ樹脂組成物を塗布した面と反対側の面にまで到達しにくくなり、エポキシ樹脂の反応性の低下や硬化むら、樹脂硬化物の物性むら、基材への含浸むら、及びエポキシ樹脂の硬化不十分による成形後の積層板の変色(白化)が起こるものであった。
【0048】
そこで本発明では、塗布ロール4の表面温度を60〜95℃に設定し、この塗布ロール4の加熱により基材2に塗布される直前のエポキシ樹脂組成物1の温度を塗布ロール4の表面温度と同程度にすることによって、エポキシ樹脂組成物1中のジシアンジアミドを熱溶解させてエポキシ樹脂との相溶性を高めるようにしたものであり、このことで、固体粒子のジシアンジアミドがほとんどなくなって、基材2の内部及び基材2のエポキシ樹脂組成物1を塗布した面と反対側の面にまでエポキシ樹脂とジシアンジアミドが到達することになり、エポキシ樹脂の反応性の低下や硬化むら、樹脂硬化物の物性むら、基材への含浸むら、及びエポキシ樹脂の硬化不十分による成形後の積層板の変色(白化)が起こらないようにすることができるものである。
【0049】
ここで、塗布ロール4の表面温度が60℃未満であれば、ジシアンジアミドを十分に熱溶解させることができず、基材2の内部及び基材2のエポキシ樹脂組成物1を塗布した面と反対側の面にまでジシアンジアミドを到達させることができなくなるものである。逆に塗布ロール4の表面温度が95℃を超えると、基材2への含浸性は良好になるものの、基材2に塗布する前にエポキシ樹脂組成物1の反応性が高くなって硬化が進み、粘度が上昇するものであり、プリプレグを安定に製造することができなくなるものである。
【0050】
また、エポキシ樹脂組成物1と塗布ロール4の表面の接触時間、すなわちエポキシ樹脂組成物1が塗布ロール4の表面に接触し始めてからこのエポキシ樹脂組成物1が基材2の表面に塗布され始めるまでの時間は、塗布ロール4の表面温度によって異なるが、0.1〜7秒に設定する。エポキシ樹脂組成物1と塗布ロール4の表面の接触時間が0.1秒未満であれば、ジシアンジアミドを十分に熱溶解させることができず、基材2の内部及び基材2のエポキシ樹脂組成物1を塗布した面と反対側の面にまでジシアンジアミドを到達させることができなくなる恐れがあり、エポキシ樹脂組成物1と塗布ロール4の表面の接触時間が180秒を超えると、基材2に塗布する前にエポキシ樹脂組成物1の反応性が高くなって硬化が進み、粘度が上昇するものであり、基材2にエポキシ樹脂組成物1を浸透させにくくなって好ましくない。
【0051】
尚、塗布ロール4はその下側略半分が容器3内のエポキシ樹脂組成物1に浸漬した状態にあるので、塗布ロール4の加熱によって容器3内でエポキシ樹脂組成物1の硬化が進行するが、容器3内のエポキシ樹脂組成物1は順次基材2に塗布されて消費されていき、これと同時に供給管5を通じて、硬化の進んでいない新しいエポキシ樹脂組成物1が容器3内に供給されていくので、エポキシ樹脂組成物1が容器3内で硬化することはない。
【0052】
またダイコータとは、基材2にエポキシ樹脂組成物1を塗布するための治具であるリップ部からダイ内部のエポキシ樹脂組成物1を吐出する構造を備えるコータであって、このようなダイコータにて基材2の片面に上記無溶剤のエポキシ樹脂組成物1を塗布することによって、エポキシ樹脂組成物1を基材2に均一に一定量塗布することが可能となるものである。すなわち、ダイコータを用いた塗布方法では、一定量のエポキシ樹脂組成物1をリップ部から吐出するので、ロールコータ法や浸漬法に比べて塗布量を一定化することを容易に行うことができる。
そしてダイコータを用いる場合は、リップ部の表面温度、すなわちエポキシ樹脂組成物1と接触する面の温度を60〜95℃にするのである。
【0053】
尚、本発明では基材2の一方の片面にエポキシ樹脂組成物1を塗布して含浸させるようにするが、必要に応じて、基材2のもう一方の片面にもエポキシ樹脂組成物1を塗布して含浸させるようにしてもよい。またエポキシ樹脂組成物1を均一に加熱することができ、加熱後の基材2へのエポキシ樹脂組成物1の塗布が容易なロール加熱方式(図1に示すもの)を採用するのが好ましい。すなわち、エポキシ樹脂組成物1を必要量だけ塗布ロール4に塗り広げ、その塗布ロール4の表面のエポキシ樹脂組成物1を基材2へ再転写して塗布する方法が、エポキシ樹脂組成物1の温度及び加熱時間制御等の点で最も優れている。しかもエポキシ樹脂組成物1を塗布する塗布ロール4を利用してエポキシ樹脂組成物1の加熱も行うので、エポキシ樹脂組成物1の加熱装置を別途設ける必要がなくなって、塗布装置を簡素化することができるものである。
【0054】
また、上記のエポキシ樹脂組成物1を基材2に塗布するにあたっては、図2や図3に示すような塗布装置を用いて行うことがより好ましく、以下ではこれらの塗布装置を用いてプリプレグを製造する方法について説明する。
【0055】
図2は請求項15の発明の実施の形態の一例を示すものである。基材2は既述したものと同様にガラスクロス等の繊維からなるシート状に形成されるものであり、連続して矢印方向に送られている。この基材2はバックアップロール13の外周に回して折り返すように送られるものであり、基材2を介してバックアップロール13と対向させて転写ロール6が配置してある。本実施形態においては、この転写ロール6がエポキシ樹脂組成物を基材2に塗布する治具として用いられる。この転写ロール6は基材2の送り方向と逆方向(基材2と転写ロール6の対向面の移動方向が逆方向)に回転駆動されるものであり、またこの転写ロール6の外周には転写ロール6の回転方向とリバース方向(転写ロール6とメータリングロール12の対向面の移動方向が逆方向)に回転駆動されるメータリングロール12が配置してある。また、転写ロール6の配置位置よりも基材2の進行方向側の位置において付回りロール7が配置してある。この付回りロール7は基材2の送り方向と逆方向又は同一方向(基材2と付回りロール7の対向面の移動方向が逆方向又は順方向)に回転駆動することができるものである。そしてさらに、付回りロール7の配置位置よりも基材2の進行方向側の位置において、加熱ユニット14が配置してある。加熱ユニット14は例えば内部に加熱空気を循環して非接触で加熱することができるものとして形成してある。
【0056】
エポキシ樹脂組成物としては、既述したものと同様に無溶剤型のエポキシ樹脂などが用いられるものであり、このエポキシ樹脂を主成分とする組成物(主剤)を貯蔵するタンク20aと硬化剤を主成分とする組成物を貯蔵するタンク20bからそれぞれ、ギアポンプなどで形成される計量ポンプ21a,21bによって所定量の各組成物を送り出して混合する樹脂送り出しユニット10が設けてある。このように各組成物を混合して調製される無溶剤型のエポキシ樹脂組成物は溶融状態で転写ロール6に供給されるようにしてある。溶融状態のエポキシ樹脂組成物が転写ロール6の外周面に供給されると、このエポキシ樹脂組成物はメータリングロール12によって転写ロール6の外周表面に均一に拡げられ、転写ロール6の外周面で均一な膜状に形成される。このとき転写ロール6の表面温度は60〜95℃に設定されており、この転写ロール6の加熱により基材2に塗布される直前のエポキシ樹脂組成物の温度が転写ロール6の表面温度と同程度になっているものである。
【0057】
このように溶融状態のエポキシ樹脂組成物が均一な膜状に形成される転写ロール6の外周面には、バックアップロール13によって基材2の片面が押し付けられており、エポキシ樹脂組成物は転写ロール6から基材2の片面の表面に転写されて均一に塗布される。このように基材2の片面に塗布されたエポキシ樹脂組成物は溶融状態にあるので、エポキシ樹脂組成物は自然に基材2内に浸透して含浸していく。基材2へのエポキシ樹脂組成物の塗布は、このようにして転写ロール6による転写で行うことができ、従来のようにダイコーターを用いる必要が無くなるものであり、ダイコーター内にエポキシ樹脂組成物が固着する場合のような問題が無くなるものである。尚、エポキシ樹脂組成物と転写ロール6の表面の接触時間、すなわち溶融状態のエポキシ樹脂組成物が転写ロール6の表面に接触し始めてからこのエポキシ樹脂組成物が基材2の表面に塗布され始めるまでの時間は、既述の実施形態と同様の理由により、0.1〜7秒に設定しておく。
【0058】
次に、溶融状態のエポキシ樹脂組成物が塗布・含浸された基材2は付回りロール7の位置に連続して送られる。付回りロール7は基材2のエポキシ樹脂組成物を塗布した側の面に押し付けられるように配置されているものであり、基材2が付回りロール7の外周に接触して通過する際に、基材2に塗布・含浸された溶融状態のエポキシ樹脂組成物は付回りロール7に押圧されて、基材2の塗布面と反対側の面に押出されて付回ることになる。このようにして、基材2の片面に転写ロール6でエポキシ樹脂組成物を塗布するだけで、基材2にはその両面に均一にエポキシ樹脂組成物を付回らせると共にその内部に均一にエポキシ樹脂組成物を含浸させることができるものであり、従来のように基材2の片面と他方の片面にそれぞれダイコーターを配置して各面にエポキシ樹脂組成物を塗布するような必要が無くなるものである。また、基材2への転写ロール6によるエポキシ樹脂組成物の塗布や、付回りロール7による塗布面と反対側へのエポキシ樹脂組成物の付回りの操作は、いずれも基材2の同じ片面において行われるので、基材2内の空気は他方の片面から容易に逃げて封じ込められることがなく、ボイドが発生することを防ぐことができるものである。
【0059】
このようにしてエポキシ樹脂組成物が塗布・含浸された基材2は加熱ユニット14に送られ、加熱ユニット14内を非接触で通過する間にエポキシ樹脂組成物が加熱され、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態に半硬化させてシート状のプリプレグ22を得ることができるものである。このプリプレグ22は搬送ロール23で送られ、巻き取るか、あるいは一定長さに切断して、次工程に送られるものである。
【0060】
図3は請求項16の発明の実施の形態の一例を示すものである。図3において8は巻出しユニットであって、長尺の基材2を巻いた一対の巻出しロール28a,28bを設けて形成してあり、一方の巻出しロール28aから繰り出した基材2がアキュムレータユニット9に送り出されるようになっている。アキュムレータユニット9は上下方向に移動駆動される複数の可動ロール29,29…を具備して形成されるものであり、基材2は各可動ロール29,29…に折り返して蛇行するように懸架してある。上記の一方の巻出しロール28aから他方の巻出しロール28bに基材2を切り替える際に、アキュムレータユニット9を作動させることによって装置の連続運転が可能になるものである。また、基材2の送り方向に沿って、既述のバックアップロール13、転写ロール6、付回りロール7、スムージングロール25、加熱ユニット14が配置してある。尚、本実施形態においても、転写ロール6がエポキシ樹脂組成物を基材2に塗布する治具として用いられる。さらに、樹脂送り出しユニット10はレジンガン11に接続してあり、溶融したエポキシ樹脂組成物を混合しながらレジンガン11から転写ロール6に供給することができるようにしてある。そして既述のように、エポキシ樹脂組成物が塗布・含浸された基材2を加熱ユニット14で加熱することによって、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態に半硬化させてシート状のプリプレグ22を得ることができるものである。このプリプレグ22は搬送ロール23で送られ、コンパクションロール30でプリプレグ22の表面を加圧して圧縮した後、巻き取りユニット31の巻き取りロール32にプリプレグ22を巻き取るようになっている。尚、このようにプリプレグ22を巻き取る他に、カッターユニットと積載装置を具備して、プリプレグ22を所定の定寸にカッターユニットで切断すると共に、切断した定寸のプリプレグ22を積載装置に積み上げるようにしてもよい。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0062】
(実施例1乃至7及び比較例1乃至3)
エポキシ樹脂と硬化剤とフェノール系架橋剤と硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール試薬)を表1に示す配合割合で混合してエポキシ樹脂組成物を調製した。使用したエポキシ樹脂、硬化剤、及びフェノール系架橋剤の種類は次の通りである。
【0063】
エポキシ樹脂1:エポキシ当量190のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピコート828」、融点=約0℃)
エポキシ樹脂2:エポキシ当量210のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「EPICLON N680」、融点=約100℃)
ジシアンジアミド:平均粒径40μm以上の試薬ジシアンジアミド(分子量84、理論活性水素当量=21g/eq)
硬化剤1:フェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「フェノライトTD2131」、活性水素当量=約105g/eq、軟化点=約80℃、1分子中の水酸基の数は10〜3個で平均5個)
硬化剤2:クレゾールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「フェノライトKA1160」、活性水素当量=約120g/eq、軟化点=約85℃、1分子中の水酸基の数は10〜3個で平均5個)
硬化剤3:ビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「フェノライトVH4150」、活性水素当量=約120g/eq、軟化点=約85℃、1分子中の水酸基の数は10〜3個で平均4個)
硬化剤4:ジシクロペンタジエン含有フェノールノボラック樹脂(日本石油(株)製、商品名「DPP−600−L」、活性水素当量=約170g/eq、軟化点=90℃、1分子中の水酸基の数は10〜3個で平均5個)
硬化剤5:下記(2)式を有するフェノール系硬化剤(活性水素当量=約100g/eq、1分子中の水酸基の数は3個)
【0064】
【化3】
【0065】
硬化剤6:平均粒径7μmに微細化したジシアンジアミド硬化剤(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピキュアDICY7」、分子量84、理論活性水素当量=21g/eq、1分子中の水酸基の数は4個)
フェノール系架橋剤1:ビスフェノールA(試薬を使用)(分子量228、理論活性水素当量=114g/eq、1分子中の水酸基の数は平均2個)
フェノール系架橋剤2:テトラブロモビスフェノールA(試薬を使用)(分子量544、理論活性水素当量=272g/eq、1分子中の水酸基の数は平均2個)
表1に示す組成物A及びBは、次のようにして調製した。
【0066】
組成物A:エポキシ樹脂1を60質量部、エポキシ樹脂2を10質量部、フェノール系架橋剤1(テトラブロモビスフェノールA)を30質量部配合し、130℃に加熱し相溶させたものを組成物Aとした。この組成物Aは、フェノール系架橋剤1の水酸基当量をエポキシ当量から除去するためエポキシ当量400g/eqとなる。
【0067】
組成物B:エポキシ樹脂1を70質量部、エポキシ樹脂2を11質量部、フェノール系架橋剤2(ビスフェノールA)を19質量部配合し、110℃に加熱し相溶させたものを組成物Bとした。この組成物Bは、フェノール系架橋剤2の水酸基当量をエポキシ当量から除去するためエポキシ当量約400g/eqとなる。
【0068】
尚、表1の「配合したエポキシ基の数」の欄には、エポキシ樹脂の配合した質量部当たりのエポキシ基の数が示されており、質量部/エポキシ当量の式で計算される。また「エポキシ価」の欄には、全エポキシ樹脂100質量部当たりのエポキシ基の数が示されており、配合したエポキシ基の数の合計で計算される。また「配合した活性水素の数」の欄には、硬化剤の配合した質量部当たりの活性水素の数が示されており、質量部/活性水素当量の式で計算される。
【0069】
[プリプレグの製造]
上記実施例1乃至7及び比較例1乃至3について、プリプレグの製造は次の製造方法A及びBに基づいて行った。いずれの製造方法についても基材2としては、厚さ0.18mmのガラスクロス(旭シュエーベル(株)製、商品名「7628」)を使用した。
【0070】
製造方法A:加熱溶融させた上記無溶剤のエポキシ樹脂組成物1(実施例1乃至7及び比較例1乃至3)を、図1に示す塗布装置(ロールコータ)で基材2の片面(下面)より170g/m2塗布し、この後、非接触タイプの加熱ユニットにより約180℃で加熱することにより、成形に適する硬化レベルにまでBステージ化させてプリプレグを製造した。
【0071】
そしてエポキシ樹脂組成物1の塗布工程時の塗布ロール4の表面温度を実測した。また、塗布ロール4の回転速度を調整することにより、塗布ロール4によるエポキシ樹脂組成物1の加熱時間(接触時間)を調整し、エポキシ樹脂組成物1が塗布ロール4に接してから基材2に塗布されるまでの時間を測定し、これをエポキシ樹脂組成物1の加熱時間とした。
【0072】
製造方法B:加熱溶融させた上記無溶剤のエポキシ樹脂組成物(実施例1乃至7及び比較例1乃至3)を、図3に示す塗布装置で基材2の片面より約145g/m2塗布し、この後、非接触タイプの加熱ユニット14により約180℃で加熱することにより、成形に適するレベルまでBステージ化させてプリプレグを製造した。
【0073】
そしてエポキシ樹脂組成物の塗布工程時の転写ロール6の表面温度を実測した。また、転写ロール6の回転速度を調整することにより、転写ロール6によるエポキシ樹脂組成物の加熱時間(接触時間)を調整し、エポキシ樹脂組成物が転写ロール6に接してから基材2に転写されるまでの時間を測定し、これをエポキシ樹脂組成物の加熱時間とした。
【0074】
[積層板の製造]
次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて積層板を製造した。積層板を製造するにあたっては、内層板の両側の表面に上記プリプレグを一枚ずつ重ねて、170℃、90分の条件で加熱しながら、約2.94MPa(約30kgf/cm2)で加熱して成形した。上記内層板としては、厚さ0.8mmの内層コア両面銅張り板(松下電工(株)製、商品名「CR1766」、銅箔厚35μm)に黒化処理を施したものを用いた。黒化処理は、処理液として亜塩素酸ナトリウム50g/リットルと、水酸化ナトリウム10g/リットルと、リン酸三ナトリウム10g/リットルとを含む水溶液を用い、この処理液で95℃、60秒の条件で内層コア両面銅張り板の銅箔を酸化銅に処理するようにして行った。
【0075】
次に、上記積層板、エポキシ樹脂組成物、及びプリプレグの性能を次の項目で評価した。
【0076】
[成形後の白化]
上記積層板のミーズリング(交点白化)を外観検査により目視確認した。この場合、内層板が黒化処理されているため、プリプレグを用いて製造される積層板のミーズリングは明確に観察される。このレベルを5ランクに分けて次のような評価を付した。
【0077】
◎:ミーズリングが全く見られないもの
○:ミーズリングがほとんど見られないもの
△:ミーズリングが少し見られるもの
×:ミーズリングが目立つもの
××:ミーズリングが顕著に目立つもの
[エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸水率の測定]
上記プリプレグを揉みほぐしてエポキシ樹脂組成物の粉を落とし、その粉を所定の金型に入れて直圧成形し、断面10×4mm、長さ40mmの曲げ物性評価用の樹脂棒を成形した。この成形は170℃、90分の加熱条件で行った。次に、樹脂棒を4時間煮沸し、この後、煮沸前後の樹脂棒の質量から下記の式を用いて吸水率を計算した。
【0078】
吸水率(%)={(煮沸後の樹脂棒の質量)−(煮沸前の樹脂棒の質量)}÷(煮沸前の樹脂棒の質量)×100
[エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度の測定]
樹脂棒を上記と同様にして作成し、この樹脂棒のtanδを粘弾性スペクトロメータにより測定し、このピーク温度からガラス転移温度(Tg)を評価した。
【0079】
[プリプレグの保存安定性]
上記プリプレグを40℃の恒温槽内に放置し、プリプレグに含浸されたエポキシ樹脂組成物の130℃における溶融粘度が、初期値(40℃の乾燥機内に放置する前の値)に対して50%増加する時間を評価した。
【0080】
[プリプレグの製造安定性]
上記プリプレグを40時間以上連続して製造した場合の塗布ロール4や転写ロール6等の汚れを見てプリプレグの製造安定性を評価した。塗布ロール4等の表面でエポキシ樹脂組成物の一部がゲル化したものを不安定なものとし、これ以外のものを安定なものとした。
【0081】
【表1】
【0084】
表1にみられるように、実施例1乃至7のものは比較例1及び3のものよりも、成形後の白化が少ないことが確認される。これは、比較例1においては塗布ロールの表面温度が低すぎるためであると考えられ、また比較例3においては硬化剤としてジシアンジアミドのみが用いられているためであると考えられる。しかも比較例3においては、他のものより吸水率が増加していることが確認される。
【0085】
また比較例2のものは、塗布ロールの表面温度が高すぎるため、プリプレグを安定して製造できないことが確認される。
【0087】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るプリプレグの製造方法は、エポキシ樹脂と、これの硬化剤としてジシアンジアミド及び1分子内に水酸基を3個以上有するフェノール系硬化剤とを含有する無溶剤のエポキシ樹脂組成物を、基材の片面より塗布して浸透させ、基材に浸透したエポキシ樹脂組成物をBステージ化させるプリプレグの製造方法であって、上記エポキシ樹脂として少なくとも融点が60℃以下のものを用い、上記フェノール系硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂又はジシクロペンタジエン含有フェノールノボラック樹脂を用い、上記ジシアンジアミドと上記フェノール系硬化剤の質量比(ジシアンジアミド/フェノール系硬化剤)が0.15以下であると共に、エポキシ樹脂組成物を基材に塗布する治具の表面温度を60〜95℃、エポキシ樹脂組成物と治具の接触時間を0.1〜7秒にするので、フェノール系硬化剤でジシアンジアミドを溶解させることによって、エポキシ樹脂組成物を調製する際に低温でフェノール系硬化剤に対してジシアンジアミドを溶解させることができ、エポキシ樹脂組成物へのジシアンジアミドの溶解性を高くすることができるものであり、よって、ジシアンジアミドが基材の表面に付着して偏在化せずにエポキシ樹脂とともに基材に均一に含浸することになって、ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化を低減することができるものである。
【0088】
また請求項2の発明は、請求項1において、分子量が180〜600かつ1分子内に水酸基を平均1.5〜2.3個有するフェノール系架橋剤がエポキシ樹脂組成物中に配合されているので、比較的低分子量のエポキシ樹脂を用いてエポキシ樹脂組成物を調製することが可能となり、粘度が低下し、基材への含浸性が良好となるものである。
【0089】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、エポキシ樹脂の1当量に対して、0.7〜0.2当量のジシアンジアミドと、0.7〜0.1当量のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させるので、ジシアンジアミドによる電気絶縁性能の向上や接着性の向上などの効果を損なうことなく、ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化を低減することができるものである。
【0090】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、エポキシ樹脂組成物の全量に対して5〜13質量%のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させるので、エポキシ樹脂組成物を調製する際の低温でフェノール系硬化物に対してジシアンジアミドを確実に溶解させることができ、ミーズリングがさらに生じにくくなるものである。
【0096】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、ジシアンジアミドの平均粒径が15μm以下であるので、基材の内部及び基材のエポキシ樹脂組成物を塗布した面と反対側の面にまでエポキシ樹脂とジシアンジアミドを確実に到達させることができ、ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化をさらに低減することができるものである。
【0097】
また請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、フェノール系架橋剤がビスフェノールAであるので、加熱混合することによってエポキシ樹脂と相溶させることができ、相溶して得られるエポキシ樹脂組成物を低粘度とすることができるものである。
【0098】
また請求項7の発明は、請求項2乃至5のいずれかにおいて、フェノール系架橋剤がテトラブロモビスフェノールAであるので、難燃性を付与することができると共に、加熱混合することによってエポキシ樹脂と相溶させることができ、相溶して得られるエポキシ樹脂組成物を低粘度とすることができるものである。
【0100】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、治具が塗布ロールであるので、エポキシ樹脂組成物を塗布する塗布ロールを利用してエポキシ樹脂組成物の加熱も行うことができ、エポキシ樹脂組成物の加熱装置を別途設ける必要がなくなって、塗布装置を簡素化することができるものである。
【0101】
また請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、長尺の基材を連続して送りながらエポキシ樹脂組成物を塗布、浸透させることによってプリプレグを連続的に製造するにあたって、治具として転写ロールを用い、この転写ロールの表面に膜状に形成された無溶剤のエポキシ樹脂組成物を溶融状態で転写ロールから基材の片面に転写して塗布し、このエポキシ樹脂組成物を基材に浸透させ、次に基材のエポキシ樹脂組成物が塗布された側に配置された付回りロールを基材の片面に押圧してエポキシ樹脂組成物を基材の塗布面と反対側に付回らせ、この後に、このエポキシ樹脂組成物を塗布・浸透した基材を非接触タイプの加熱ユニットで加熱してエポキシ樹脂組成物をBステージ化させるので、基材へのエポキシ樹脂組成物の塗布は転写ロールによる転写で行うことができ、従来のようにダイコーターを用いる場合のような清掃やメンテナンスに手間を要することがなくなると共に、ダイコーターに比較して安価な転写ロールによって安価な設備コストで製造を行うことができるものである。また基材に塗布・浸透されたエポキシ樹脂組成物は付回りロールによって塗布面と反対側の面にも付回らせられるものであり、基材の片面に転写ロールでエポキシ樹脂組成物を塗布すると共に付回りロールを押圧するだけで、基材の両面及び内部にエポキシ樹脂組成物を浸透させることができ、従来のように基材の片面と他方の片面にそれぞれダイコーターを配置して各面にエポキシ樹脂組成物を塗布するような必要が無くなって、設備コストをさらに安価にすることができると共に、基材内の空気は他方の片面から容易に逃げて封じ込められることがなく、ボイドが発生することを防ぐことができるものである。
【0102】
また請求項10の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、長尺の基材を連続して送り出す巻出しユニットと、基材の切り替え時に作動されるアキュムレータユニットと、主剤と硬化剤を混合して無溶剤のエポキシ樹脂組成物を送り出す樹脂送り出しユニットと、樹脂送り出しユニットから送られたエポキシ樹脂組成物を溶融状態で供給するレジンガンと、外周面にレジンガンから供給される溶融状態のエポキシ樹脂組成物を基材の片面に転写して塗布する治具である転写ロールと、転写ロールの外周面にレジンガンから供給された溶融状態のエポキシ樹脂組成物を均一に拡げるメータリングロールと、基材を転写ロールの外周面に押し付けるバックアップロールと、基材の片面に塗布されたエポキシ樹脂組成物を基材に浸透されたエポキシ樹脂組成物を加熱してBステージ化させる非接触式の加熱ユニットとを具備して成るプリプレグの製造装置を用いてプリプレグを製造するので、上記と同様にミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化が低減されたプリプレグを製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の更に他例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エポキシ樹脂組成物
2 基材
4 塗布ロール
6 転写ロール
7 付回りロール
8 巻出しユニット
9 アキュムレータユニット
10 樹脂送り出しユニット
11 レジンガン
12 メータリングロール
13 バックアップロール
14 加熱ユニット
22 プリプレグ
Claims (10)
- エポキシ樹脂と、これの硬化剤としてジシアンジアミド及び1分子内に水酸基を3個以上有するフェノール系硬化剤とを含有する無溶剤のエポキシ樹脂組成物を、基材の片面より塗布して浸透させ、基材に浸透したエポキシ樹脂組成物をBステージ化させるプリプレグの製造方法であって、上記エポキシ樹脂として少なくとも融点が60℃以下のものを用い、上記フェノール系硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂又はジシクロペンタジエン含有フェノールノボラック樹脂を用い、上記ジシアンジアミドと上記フェノール系硬化剤の質量比(ジシアンジアミド/フェノール系硬化剤)が0.15以下であると共に、エポキシ樹脂組成物を基材に塗布する治具の表面温度を60〜95℃、エポキシ樹脂組成物と治具の接触時間を0.1〜7秒にすることを特徴とするプリプレグの製造方法。
- 分子量が180〜600かつ1分子内に水酸基を平均1.5〜2.3個有するフェノール系架橋剤がエポキシ樹脂組成物中に配合されていることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- エポキシ樹脂の1当量に対して、0.7〜0.2当量のジシアンジアミドと、0.7〜0.1当量のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリプレグの製造方法。
- エポキシ樹脂組成物の全量に対して5〜13質量%のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- ジシアンジアミドの平均粒径が15μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- フェノール系架橋剤がビスフェノールAであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- フェノール系架橋剤がテトラブロモビスフェノールAであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- 治具が塗布ロールであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- 長尺の基材を連続して送りながらエポキシ樹脂組成物を塗布、浸透させることによってプリプレグを連続的に製造するにあたって、治具として転写ロールを用い、この転写ロールの表面に膜状に形成された無溶剤のエポキシ樹脂組成物を溶融状態で転写ロールから基材の片面に転写して塗布し、このエポキシ樹脂組成物を基材に浸透させ、次に基材のエポキシ樹脂組成物が塗布された側に配置された付回りロールを基材の片面に押圧してエポキシ樹脂組成物を基材の塗布面と反対側に付回らせ、この後に、このエポキシ樹脂組成物を塗布・浸透した基材を非接触タイプの加熱ユニットで加熱してエポキシ樹脂組成物をBステージ化させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- 長尺の基材を連続して送り出す巻出しユニットと、基材の切り替え時に作動されるアキュムレータユニットと、主剤と硬化剤を混合して無溶剤のエポキシ樹脂組成物を送り出す樹脂送り出しユニットと、樹脂送り出しユニットから送られたエポキシ樹脂組成物を溶融状態で供給するレジンガンと、外周面にレジンガンから供給される溶融状態のエポキシ樹脂組成物を基材の片面に転写して塗布する治具である転写ロールと、転写ロールの外周面にレジンガンから供給された溶融状態のエポキシ樹脂組成物を均一に拡げるメータリングロールと、基材を転写ロールの外周面に押し付けるバックアップロールと、基材の片面に塗布されたエポキシ樹脂組成物を基材に浸透されたエポキシ樹脂組成物を加熱してBステージ化させる非接触式の加熱ユニットとを具備して成るプリプレグの製造装置を用いてプリプレグを製造することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
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