JP2000129011A - プリプレグの製造方法 - Google Patents

プリプレグの製造方法

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JP2000129011A
JP2000129011A JP10305075A JP30507598A JP2000129011A JP 2000129011 A JP2000129011 A JP 2000129011A JP 10305075 A JP10305075 A JP 10305075A JP 30507598 A JP30507598 A JP 30507598A JP 2000129011 A JP2000129011 A JP 2000129011A
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善彦 中村
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康雄 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の
悪化を低減することができるプリプレグの製造方法を提
供する。 【解決手段】 エポキシ樹脂とこれの硬化剤としてジシ
アンジアミドを含有する実質的に無溶剤のエポキシ樹脂
組成物10を基材20の片面より塗布して浸透させる。
基材20に浸透したエポキシ樹脂組成物10をBステー
ジ化させるプリプレグの製造方法に関する。基材20に
エポキシ樹脂組成物10を塗布する治具の表面温度を1
00〜195℃にする。治具によるエポキシ樹脂組成物
10の加熱によって、エポキシ樹脂組成物10に含有さ
れているジシアンジアミドの一部又は全部を熱溶解させ
てエポキシ樹脂との相溶性を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷配線板用の積
層板などを形成する際に用いられるプリプレグの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷配線板用の積層板を形成する際に用
いられるプリプレグは、従来一般的に、エポキシ樹脂等
の熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解させてエポキシ樹脂溶
液(エポキシ樹脂ワニス)を調製し、これをガラスクロ
ス等の基材に浸透(含浸)させ、この後、加熱して有機
溶剤を除去すると共にエポキシ樹脂をBステージ化(B
ステージにまで硬化させる)ことによって製造されてい
る。しかしこのような方法では有機溶剤を多量に使用
し、その上、除去した有機溶剤を処理する必要があっ
て、作業環境やエネルギーコストの面で問題があった。
【0003】そこで特開平9−263647号公報に
は、無溶剤のエポキシ樹脂組成物を基材の一方の面に均
一に塗布して基材にエポキシ樹脂組成物を浸透させてプ
リプレグを製造する方法が提案されている。この方法で
は有機溶剤を用いていないので、有機溶剤の処理を行う
必要がなく、作業環境やエネルギーコストの問題が軽減
されるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし特開平9−26
3647号公報に記載の方法では、エポキシ樹脂の硬化
剤であるジシアンジアミドを溶解させずに固形(粒状)
のままエポキシ樹脂組成物に配合して分散させているた
めに、エポキシ樹脂組成物を基材に浸透させる際に、ジ
シアンジアミドが基材に浸透せず、基材の表面に付着し
て偏在することがあった。そしてこの結果、積層板に成
形した後に樹脂硬化物の特性(例えば吸水率やガラス転
移温度)が悪化したり、基材のガラスクロス束の中心部
における硬化性が低くて成形後の積層板にミーズリング
(ガラスクロス交点の白化)が生じたりするという問題
があった。尚、積層板にミーズリングが発生するのを防
止するエポキシ樹脂組成物として、本出願人により特願
平10−42481号が出願されており、この出願では
エポキシ樹脂組成物の組成を従来のものと変更すること
が提案されているが、この方法ではエポキシ樹脂(組成
物)の品質が変わるのであまり好ましくなく、またさら
なるミーズリングの低減が望まれていた。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、ミーズリングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化
を低減することができるプリプレグの製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
プリプレグの製造方法は、エポキシ樹脂とこれの硬化剤
としてジシアンジアミドを含有する実質的に無溶剤のエ
ポキシ樹脂組成物10を基材20の片面より塗布して浸
透させ、基材20に浸透したエポキシ樹脂組成物10を
Bステージ化させるプリプレグの製造方法であって、基
材20にエポキシ樹脂組成物10を塗布する治具の表面
温度を100〜195℃にすることを特徴とするもので
ある。
【0007】また本発明の請求項2に係るプリプレグの
製造方法は、請求項1の構成に加えて、エポキシ樹脂の
硬化剤として、1分子内に水酸基を3個以上有するフェ
ノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させること
を特徴とするものである。
【0008】また本発明の請求項3に係るプリプレグの
製造方法は、請求項2の構成に加えて、エポキシ樹脂の
1当量に対して、0.7〜0.2当量のジシアンジアミ
ドと、0.7〜0.1当量のフェノール系硬化剤をエポ
キシ樹脂組成物に含有させることを特徴とするものであ
る。
【0009】また本発明の請求項4に係るプリプレグの
製造方法は、請求項2又は3の構成に加えて、エポキシ
樹脂組成物10の全量に対して5〜13wt%のフェノ
ール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物10に含有させるこ
とを特徴とするものである。
【0010】また本発明の請求項5に係るプリプレグの
製造方法は、請求項2乃至4のいずれかの構成に加え
て、フェノール系硬化剤がフェノールノボラック系化合
物であることを特徴とするものである。
【0011】また本発明の請求項6に係るプリプレグの
製造方法は、請求項5の構成に加えて、フェノールノボ
ラック系化合物がクレゾールノボラックであることを特
徴とするものである。
【0012】また本発明の請求項7に係るプリプレグの
製造方法は、請求項5の構成に加えて、フェノールノボ
ラック系化合物がビスフェノールA型ノボラックである
ことを特徴とするものである。
【0013】また本発明の請求項8に係るプリプレグの
製造方法は、請求項5の構成に加えて、フェノールノボ
ラック系化合物がジシクロペンタジエン共重合型フェノ
ールノボラックであることを特徴とするものである。
【0014】また本発明の請求項9に係るプリプレグの
製造方法は、請求項2乃至4のいずれかの構成に加え
て、フェノール系硬化剤が下記の一般式(1)で示され
る3官能型フェノール化合物であるこを特徴とするもの
である。
【0015】
【化2】 また本発明の請求項10に係るプリプレグの製造方法
は、請求項1乃至9のいずれかの構成に加えて、ジシア
ンジアミドの平均粒径が15μm以下であることを特徴
とするものである。
【0016】また本発明の請求項11に係るプリプレグ
の製造方法は、請求項1乃至10のいずれかの構成に加
えて、エポキシ樹脂組成物10と治具の接触時間が0.
1〜180秒であることを特徴とするものである。
【0017】また本発明の請求項12に係るプリプレグ
の製造方法は、請求項1乃至11のいずれかの構成に加
えて、治具が塗布ロール40であることを特徴とするも
のである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0019】本発明で用いるエポキシ樹脂は、1分子内
に2個以上のエポキシ基を有しているものであって、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を例示する
ことができるが、特にこれらに限定するものではない。
特に常温で液状のものまたは低融点のエポキシ樹脂を用
いると、基材への浸透、プリプレグの均一性が向上する
ので好ましい。
【0020】本発明ではエポキシ樹脂の硬化剤の一つと
してジシアンジアミドを用いることができ、このジシア
ンジアミドを用いることによって、エポキシ樹脂組成物
は高い接着力、高い耐熱性、良好な電気特性を有するも
のとなる。ジシアンジアミドはエポキシ樹脂に対して非
相溶あるいは相溶しにくいものであり、このため、エポ
キシ樹脂組成物にジシアンジアミドを含有させると、エ
ポキシ樹脂組成物を基材の片面に塗布して含浸させる際
に、ジシアンジアミドが基材の内部や塗布側と反対側の
表面側までに浸入しにくく、基材の表面に付着して偏在
化することがあり、この結果、エポキシ樹脂組成物の硬
化性が低くなってミーズリングを生じる恐れがある。そ
こで本発明ではジシアンジアミドとして平均粒径が15
μm以下のものを用いるのが好ましい。これ以上の平均
粒径のものを用いると、上記のような問題が生じる恐れ
がある。尚、ジシアンジアミドは基材への浸入させやす
さを考慮すると、その平均粒径は小さいほど好ましい
が、エポキシ樹脂との反応の制御しやすさを考慮する
と、ジシアンジアミドの平均粒径は0.05μm以上で
あることが好ましい。
【0021】また本発明ではエポキシ樹脂の他の硬化剤
として、1分子内に3個以上の水酸基を有するフェノー
ル系硬化剤を用いることができる。このフェノール系硬
化剤は、エポキシ樹脂と反応性を有する活性水素(水酸
基)を1分子内に平均3個以上有しているものであっ
て、ジシアンジアミドはこのフェノール系硬化剤に加熱
溶解性を有しているものである。従って、エポキシ樹脂
にジシアンジアミドとフェノール系硬化剤を配合してエ
ポキシ樹脂組成物を調製することによって、ジシアンジ
アミドの融点(200℃)以下の比較的低温(約100
℃以上)でフェノール系硬化物に対してジシアンジアミ
ドを溶解させることができ、エポキシ樹脂組成物へのジ
シアンジアミドの溶解性(相溶性)を高くすることがで
きる。よって、エポキシ樹脂組成物を基材に浸透させる
際に、ジシアンジアミドが基材の表面に付着して遍在化
しないようにすることができ、ジシアンジアミドがエポ
キシ樹脂とともに基材に均一に含浸することになって、
エポキシ樹脂(組成物)の反応性や硬化のむらが発生し
ないようにすることができ、積層板にミーズリングが生
じないようにすることができると共に積層板の強度など
の特性が低下しないようにすることができる。
【0022】フェノール系硬化剤の水酸基が1分子内に
平均3個未満であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の
耐熱性などが劣るために積層板などの製造物の硬化むら
や物性むらが生じる恐れがある。またフェノール系硬化
剤の水酸基が1分子内に平均50個を超えると、エポキ
シ樹脂組成物の硬化物の物性が硬くて脆くなる恐れがあ
るが、これは特に大きな問題にはならない。従って、フ
ェノール系硬化剤の水酸基は1分子内に平均50個以下
であることが好ましい。
【0023】このような条件を満たすフェノール系硬化
剤は、フェノールノボラック系化合物を例示することが
でき、さらに具体的には、フェノールノボラック、クレ
ゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ジシ
クロペンタジエン含有フェノールノボラック(ジシクロ
ペンタジエン共重合型フェノールノボラック)などを挙
げることができる。またフェノールノボラック系化合物
の他には、上記条件を満たすフェノール系硬化剤として
上記(1)の式で示される3官能型フェノール化合物な
どを用いることができる。
【0024】特に、フェノールノボラックを用いると、
積層板の電気絶縁性や耐熱性を高くすることができる。
またクレゾールノボラックを用いると、他のフェノール
ノボラックよりも反応性が低いために、エポキシ樹脂組
成物の加熱時(含浸時など)の安定性及びBステージ化
したプリプレグの保存安定性を高くすることができる。
【0025】またビスフェノールAノボラックを用いる
と、クレゾールノボラックと同様に他のフェノールノボ
ラックよりも反応性が低いために、エポキシ樹脂組成物
の加熱時(含浸時など)の安定性及びBステージ化した
プリプレグの保存安定性を高くすることができ、しかも
フェノールノボラック、クレゾールノボラックに比べて
加熱時(エポキシ樹脂との混合時など)に酸化されにく
いので、エポキシ樹脂組成物及びプリプレグの着色や変
色が少なくなって外観が良好となる。
【0026】またジシクロペンタジエン含有フェノール
ノボラックを用いると、クレゾールノボラックと同様に
他のフェノールノボラックよりも反応性が低いために、
エポキシ樹脂組成物の加熱時(含浸時など)の安定性及
びBステージ化したプリプレグの保存安定性を高くする
ことができ、しかもフェノールノボラック、クレゾール
ノボラック、ビスフェノールAノボラックを用いた場合
に比べてエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿性が低くな
ると共にエポキシ樹脂組成物の硬化物の強靱性が優れる
ようになるので、積層板の耐吸湿性や強靱性を高めるこ
とができる。
【0027】さらに上記(1)式の3官能型フェノール
系化合物を用いると、他のフェノール系化合物に比べ
て、エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(T
g)などが高くなって積層板の耐熱性を向上させること
ができるものである。
【0028】本発明では、ジシアンジアミドをエポキシ
樹脂に溶解させて相溶させるので、エポキシ樹脂組成物
及びこれを用いたプリプレグの反応性が高くなり、エポ
キシ樹脂組成物及びプリプレグの保存安定性が低下する
恐れがある。そこで上記のような反応性の低いフェノー
ル系硬化剤を併用することによって、エポキシ樹脂組成
物及びプリプレグの保存安定性が低下しないようにする
のが好ましい。
【0029】また本発明では、必要に応じて難燃剤や品
質向上のための添加剤や硬化促進剤を加えてもよい。難
燃剤としては反応性を有する難燃化フェノール、特に、
エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する活性水素を1分子
内に2個有するテトラブロモビスフェノールAなどを用
いることが好ましく、このことで、エポキシ樹脂組成物
の難燃性を向上して確保すると同時に、低融点のエポキ
シ樹脂組成物を得ることができる。また硬化促進剤とし
ては三級アミン系促進剤、イミダゾール類、リン系促進
剤などを例示することができるが、これらに限定される
ものではない。
【0030】そして本発明のプリプレグを製造するにあ
たっては、次のようにして行う。まず、上記エポキシ樹
脂とフェノール系化合物、及びその他の材料を130℃
程度の温度で混合する。その後、エポキシ樹脂の溶融粘
度が10000〜20000cps程度になるまで冷却
し、この後、ジシアンジアミド及び硬化促進剤などを添
加して混合して無溶剤のエポキシ樹脂組成物を調製す
る。このように調製されるエポキシ樹脂組成物におい
て、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂の1エポキ
シ当量に対して、ジシアンジアミド由来の水酸基当量
(活性水素当量)が0.7〜0.2当量、フェノール系
硬化剤由来の水酸基当量が0.7〜0.1当量となるよ
うに、各硬化剤の配合割合を調節して含有させるのが好
ましい。ジシアンジアミド由来の水酸基当量が0.7当
量を超えると、ジシアンジアミドの活性水素の数(ジシ
アンジアミドの配合量)が多くなって、ジシアンジアミ
ドが基材の内部や塗布側と反対側の表面側までに浸入し
にくく、基材の表面に付着して偏在化する恐れがある。
またジシアンジアミド由来の水酸基当量が0.2当量未
満であれば、ジシアンジアミドの活性水素の数(ジシア
ンジアミドの配合量)が少なくなって、ジシアンジアミ
ドによるエポキシ樹脂組成物(積層板)の電気絶縁性能
の向上やエポキシ樹脂組成物(プリプレグ)の接着性の
向上などの効果を得にくくなる恐れがある。
【0031】またフェノール系硬化剤由来の水酸基当量
が0.7当量を超えると、相対的にジシアンジアミドの
活性水素の数(ジシアンジアミドの配合量)が少なくな
って、ジシアンジアミドによるエポキシ樹脂組成物(積
層板)の電気絶縁性能の向上やエポキシ樹脂組成物(プ
リプレグ)の接着性の向上などの効果を得にくくなる恐
れがある。またフェノール系硬化剤由来の水酸基当量が
0.1当量未満であれば、相対的にジシアンジアミドの
活性水素の数(ジシアンジアミドの配合量)が多くなっ
て、ジシアンジアミドが基材の内部や塗布側と反対側の
表面側までに浸入しにくく、基材の表面に付着して偏在
化する恐れがある。ジシアンジアミド及びフェノール系
硬化剤のより好ましい配合量は、エポキシ樹脂組成物中
の全エポキシ樹脂の1エポキシ当量に対して、ジシアン
ジアミドの水酸基当量が0.5〜0.3当量、フェノー
ル系硬化剤の水酸基当量が0.5〜0.2当量となるよ
うにするものであり、上記の不都合の解決と成形後の積
層板の良好な物性を両立させるために最適な配合量であ
る。
【0032】尚、エポキシ樹脂組成物中に、エポキシ樹
脂のエポキシ基と反応する1分子内に活性水素を平均3
個未満有するフェノール系化合物(例えば、反応性難燃
剤などとして配合されるテトラブロモビスフェノール
A)を用いた場合、1分子内に活性水素を平均3個未満
有するフェノール系化合物の活性水素に相当する(反応
する)エポキシ基は、上記のエポキシ樹脂の1エポキシ
当量から除外し、ジシアンジアミドとフェノール系硬化
剤の水酸基当量を算出するようにするものである。
【0033】またジシアンジアミドをフェノール系硬化
剤及びエポキシ樹脂に溶解させることを考慮すると、フ
ェノール系硬化剤の配合量はエポキシ樹脂組成物の全量
に対して5〜13wt%に設定するのが好ましい。フェ
ノール系硬化剤の配合量が5wt%未満であれば、エポ
キシ樹脂組成物を基材に塗布する前に100℃以上に加
熱してもエポキシ樹脂組成物へのジシアンジアミドの溶
解性(相溶性)をあまり高くすることができなくなる恐
れがあり、またフェノール系硬化剤の配合量が13wt
%を超えると、相対的にジシアンジアミドの配合量が少
なくなって、ジシアンジアミドによるエポキシ樹脂組成
物(積層板)の電気絶縁性能の向上やエポキシ樹脂組成
物(プリプレグ)の接着性の向上などの効果を得にくく
なる恐れがある。
【0034】上記のようにして無溶剤のエポキシ樹脂組
成物を調製した後、ガラスクロスやガラス不織布等のよ
うに繊維からなるシート状の補強用の基材に、その片面
からエポキシ樹脂組成物を60〜260g/m2で塗布
し、この後、基材にエポキシ樹脂組成物を加熱して浸透
(含浸)させると共に、基材に含浸したエポキシ樹脂組
成物を半硬化させてBステージ化することによって、本
発明のプリプレグを製造することができる。エポキシ樹
脂組成物を基材に塗布するにあたっては、ダイコータや
ロールコータなど、基材の表面にエポキシ樹脂組成物を
均一に塗布することができるものであれば良く、例えば
図1に示すような塗工装置を用いることができる。
【0035】図1において、10はエポキシ樹脂組成
物、20は基材、30はエポキシ樹脂組成物10を保留
する容器、40は基材20にエポキシ樹脂組成物10を
塗布するための治具である塗布ロール、50は容器30
にエポキシ樹脂組成物10を補充する供給管である。塗
布ロール40はその略下半分をエポキシ樹脂組成物10
に浸漬された状態で容器30内に配設されており、矢印
イの方向に回転駆動されている。そして塗布ロール40
の上側を基材20が矢印ロの方向に向かって通過する際
に、基材20の下面に塗布ロール40の外周面が接触
し、この接触により塗布ロール40の表面に付着したエ
ポキシ樹脂組成物10が基材20の下面に塗布されるの
である。
【0036】そして本発明では上記の塗布工程の際に、
塗布ロール40の表面を100〜195℃に加熱するこ
とによって、塗布ロール40の表面に付着したエポキシ
樹脂組成物10を加熱して基材20に塗布される直前の
エポキシ樹脂組成物10の温度を塗布ロール40の表面
温度と同程度にするようにしており、この加熱によっ
て、エポキシ樹脂組成物10に含有されているジシアン
ジアミドの一部又は全部を熱溶解させてエポキシ樹脂と
の相溶性を高めるようにしたものである。
【0037】ジシアンジアミドはエポキシ樹脂との溶解
性(相溶性)が低い。そこで従来では、エポキシ樹脂と
ジシアンジアミドの両方に対して溶解性の高い有機溶剤
を用いてエポキシ樹脂組成物を調製するようにしていた
が、無溶剤のエポキシ樹脂組成物を調製する場合はエポ
キシ樹脂にジシアンジアミドを均一に溶解させて混合す
ることが困難であり、このためにエポキシ樹脂組成物中
にジシアンジアミドが固体粒子の状態で残留することに
なる。そしてこの固体粒子のジシアンジアミドが基材の
内部及び基材のエポキシ樹脂組成物を塗布した面と反対
側の面にまで到達しにくくなり、エポキシ樹脂の反応性
の低下や硬化むら、樹脂硬化物の物性むら、基材への含
浸むら、及びエポキシ樹脂の硬化不十分による成形後の
積層板の変色(白化)が起こるものであった。
【0038】そこで本発明では、塗布ロール40の表面
温度を100〜195℃に設定し、この塗布ロール40
の加熱により基材20に塗布される直前のエポキシ樹脂
組成物10の温度を塗布ロール40の表面温度と同程度
にすることによって、エポキシ樹脂組成物10中のジシ
アンジアミドを熱溶解させてエポキシ樹脂との相溶性を
高めるようにしたものであり、このことで、固体粒子の
ジシアンジアミドがほとんどなくなって、基材20の内
部及び基材20のエポキシ樹脂組成物を塗布した面と反
対側の面にまでエポキシ樹脂とジシアンジアミドが到達
することになり、エポキシ樹脂の反応性の低下や硬化む
ら、樹脂硬化物の物性むら、基材への含浸むら、及びエ
ポキシ樹脂の硬化不十分による成形後の積層板の変色
(白化)が起こらないようにすることができるものであ
る。
【0039】塗布ロール40の表面温度が100℃未満
であれば、ジシアンジアミドを十分に熱溶解させること
ができず、基材20の内部及び基材20のエポキシ樹脂
組成物10を塗布した面と反対側の面にまでジシアンジ
アミドを到達させることができなくなる恐れがあり、塗
布ロール40の表面温度が195℃を超えると、基材2
0に塗布する前にエポキシ樹脂組成物10の反応性が高
くなって硬化が進み、粘度が上昇するものであり、基材
20にエポキシ樹脂組成物10を浸透させにくくなって
好ましくない。またエポキシ樹脂組成物10と塗布ロー
ル40の表面の接触時間は、塗布ロール4の表面温度に
よって異なるが、0.1〜180秒に設定するのが好ま
しい。エポキシ樹脂組成物10と塗布ロール40の表面
の接触時間が0.1秒未満であれば、ジシアンジアミド
を十分に熱溶解させることができず、基材20の内部及
び基材20のエポキシ樹脂組成物10を塗布した面と反
対側の面にまでジシアンジアミドを到達させることがで
きなくなる恐れがあり、エポキシ樹脂組成物10と塗布
ロール40の表面の接触時間が180秒を超えると、基
材20に塗布する前にエポキシ樹脂組成物10の反応性
が高くなって硬化が進み、粘度が上昇するものであり、
基材20にエポキシ樹脂組成物10を浸透させにくくな
って好ましくない。
【0040】尚、塗布ロール40はその下側略半分が容
器30内のエポキシ樹脂組成物10に浸漬した状態にあ
るので、塗布ロール40の加熱によって容器30内でエ
ポキシ樹脂組成物10の硬化が進行するが、容器30内
のエポキシ樹脂組成物10は順次基材1に塗布されて消
費されていき、これと同時に供給管50を通じて新しい
(硬化の進んでいない)エポキシ樹脂組成物10が容器
30内に供給されていくので、エポキシ樹脂組成物10
が容器30内で硬化することはない。
【0041】またダイコータとは、基材20にエポキシ
樹脂組成物10を塗布するための治具であるリップ部か
らダイ内部のエポキシ樹脂組成物10を吐出する構造を
備えるコータであって、このようなダイコータにて基材
20の片面に上記無溶剤のエポキシ樹脂組成物10を塗
布することによって、エポキシ樹脂組成物10を基材2
0に均一に一定量塗布することが可能となるものであ
る。すなわち、ダイコータを用いた塗布方法では、一定
量のエポキシ樹脂組成物10をリップ部から吐出するの
で、ロールコータ法や浸漬法に比べて塗布量を一定化す
ることを容易に行うことができる。そしてダイコータを
用いる場合は、リップ部の表面温度(エポキシ樹脂組成
物10と接触する面の温度)を100〜195℃にする
のである。
【0042】尚、本発明では基材の一方の片面にエポキ
シ樹脂組成物を塗布して含浸させるようにするが、必要
に応じて、基材のもう一方の片面にもエポキシ樹脂組成
物を塗布して含浸させるようにしてもよい。またエポキ
シ樹脂組成物10を均一に加熱することができ、加熱後
の基材20へのエポキシ樹脂組成物10の塗布が容易な
ロール加熱方式(図1に示すもの)を採用するのが好ま
しい。すなわち、エポキシ樹脂組成物10を必要量だけ
塗布ロール40に塗り広げ、その塗布ロール40の表面
のエポキシ樹脂組成物10を基材20へ再転写して塗布
する方法が、エポキシ樹脂組成物10の温度及び加熱時
間制御等の点で最も優れている。しかもエポキシ樹脂組
成物10を塗布する塗布ロール40を利用してエポキシ
樹脂組成物10の加熱も行うので、エポキシ樹脂組成物
10の加熱装置を別途設ける必要がなくなって、塗布装
置を簡素化することができるものである。
【0043】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。
【0044】(実施例1乃至12及び比較例1乃至3)
エポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤(2−エチル−4−
メチルイミダゾール試薬)を表1乃至3に示す配合割合
で混合してエポキシ樹脂組成物を調製した。表1乃至3
に示すエポキシ樹脂と硬化剤の種類は次の通りである。
【0045】エポキシ樹脂1:エポキシ当量190のビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名「エピコート828」) エポキシ樹脂2:エポキシ当量210のクレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)
製、商品名「EPICLON N680」) エポキシ樹脂3:エポキシ当量500の臭素化ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂(ダウエポキシ(株)製、商品
名「DER511」) エポキシ樹脂4:エポキシ樹脂1を60重量部、エポキ
シ樹脂2を10重量部、臭素化フェノール(テトラブロ
モビスフェノールA(試薬を使用)、分子量544、理
論活性水素当量(エポキシ基1個との反応当量)=27
2g/eq)を30重量部配合し、130℃にて加熱混
合して相溶させて調製した。このエポキシ樹脂4のエポ
キシ当量は、臭素化フェノールの水酸基当量をエポキシ
当量から除去するため、400g/eqとなる。
【0046】硬化剤1:フェノールノボラック樹脂(大
日本インキ化学工業(株)製、商品名「フェノライトT
D2131」、活性水素当量=約105g/eq、軟化
点=約80℃、温度100℃以上での溶解度100%、
1分子中の活性水素の数は10〜3個で平均5個) 硬化剤2:クレゾールノボラック樹脂(大日本インキ化
学工業(株)製、商品名「フェノライトKA116
0」、活性水素当量=約120g/eq、軟化点=約8
5℃、温度100℃以上での溶解度100%、1分子中
の活性水素の数は10〜3個で平均5個) 硬化剤3:ビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本
インキ化学工業(株)製、商品名「フェノライトVH4
150」、活性水素当量=約120g/eq、軟化点=
約85℃、温度100℃以上での溶解度100%、1分
子中の活性水素の数は10〜3個で平均5個) 硬化剤4:ジシクロペンタジエン含有フェノールノボラ
ック樹脂(日本石油(株)製、商品名「DPP−600
−L」、活性水素当量=約170g/eq、軟化点=9
0℃、温度100℃以上での溶解度100%、1分子中
の活性水素の数は10〜3個で平均5個) 硬化剤5:下記(2)式を有するフェノール系硬化剤
(活性水素当量=約100g/eq、1分子中の活性水
素の数は3個)
【0047】
【化3】 硬化剤6:平均粒径7μmに微細化したジシアンジアミ
ド硬化剤(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピ
キュアDICY7」、分子量84、理論活性水素当量=
21g/eq、1分子中の活性水素の数は4個) 硬化剤7:一般的な芳香族アミン系化合物であるジアミ
ノジフェニルメタン(試薬)(活性水素当量=約50g
/eq、軟化点=約80℃、温度100℃以上での溶解
度100%、一分子中の活性水素の数は4個) 硬化剤8:平均粒径40〜300μmのジシアンジアミ
ド(試薬)(分子量84、理論活性水素当量=21g/
eq、1分子中の活性水素の数は4個) 尚、表1乃至3の「配合したエポキシ基の数」の欄に
は、エポキシ樹脂の配合した重量部当たりのエポキシ基
の数が示されており、重量部/エポキシ当量の式で計算
される。また「エポキシ価」の欄には、全エポキシ樹脂
100重量部当たりのエポキシ基の数が示されており、
配合したエポキシ基の数の合計で計算される。また「配
合した活性水素の数」の欄には、硬化剤の配合した重量
部当たりの活性水素の数が示されており、重量部/活性
水素当量の式で計算される。
【0048】上記実施例1乃至12及び比較例1乃至3
と、基材2として厚さ0.18mmのガラスクロス(旭
シュエーベル(株)製、商品名「7628」)を用いて
プリプレグを製造した。プリプレグを製造するにあたっ
ては、まず、加熱溶融させた上記無溶剤のエポキシ樹脂
組成物(実施例1乃至12及び比較例1乃至3)を、図
1に示す塗布装置(ロールコータ)で基材2の片面(下
面)より170g/m 2塗工し、この後、非接触タイプ
の加熱ユニットにより約180℃で加熱することによ
り、成形に適する硬化レベルにまでBステージ化させて
プリプレグを形成した。
【0049】そしてエポキシ樹脂組成物10の塗布工程
時の塗布ロール40の表面温度を実測した。また塗布ロ
ール40の回転速度を調整することにより、塗布ロール
40によるエポキシ樹脂組成物10の加熱時間(接触時
間)を調整し、エポキシ樹脂組成物10が塗布ロール4
0に接してから基材20に塗布(転写)されるまでの時
間を測定し、これをエポキシ樹脂組成物10の加熱時間
とした。
【0050】次に、上記のようにして製造されたプリプ
レグを用いて積層板を製造した。積層板を製造するにあ
たっては、内層板の両側の表面に上記プリプレグを一枚
ずつ重ねて、170℃、90分の条件で加熱しながら、
約30kgf/cm2 で加熱して成形した。上記内層板
としては、厚さ0.8mmの内層コア両面銅張り板(松
下電工(株)製、商品名「CR1766」、銅箔厚35
μm)に黒化処理を施したものを用いた。黒化処理は、
処理液として亜塩素酸ナトリウム50g/リットルと、
水酸化ナトリウム10g/リットルと、リン酸三ナトリ
ウム10g/リットルとを含む水溶液を用い、この処理
液で95℃、60秒の条件で内層コア両面銅張り板の銅
箔を酸化銅に処理するようにして行った。
【0051】次に、上記積層板及びエポキシ樹脂組成物
及びプリプレグの性能を次の項目で評価した。
【0052】[成形後の白化]上記積層板のミーズリング
(交点白化)を外観検査により目視確認した。この場
合、内層板が黒化処理されているため、プリプレグを形
成して得られる積層板のミーズリングは明確に観察され
る。このレベルを5ランクに分けて次のような評価を付
した。
【0053】◎:ミーズリングが全く見られないもの ○:ミーズリングがほとんど見られないもの △:ミーズリングが少し見られるもの ×:ミーズリングが目立つもの ××:ミーズリングが顕著に目立つもの [エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸水率の測定]上記プリ
プレグを揉みほぐしてエポキシ樹脂組成物の粉を落と
し、その粉を所定の金型に入れて直圧成形し、断面10
×4mm、長さ40mmの曲げ物性評価用の樹脂棒を成
形した。この成形は170℃、90分の加熱条件で行っ
た。次に、樹脂棒を4時間煮沸し、この後、煮沸前後の
樹脂棒の重量から下記の式を用いて吸水率を計算した。
【0054】吸水率(%)={(煮沸後の樹脂棒の重
量)−(煮沸前の樹脂棒の重量)}÷(煮沸前の樹脂棒
の重量)×100 [エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度の測定]
樹脂棒を上記と同様にして作成し、この樹脂棒のtan
δを粘弾性スペクトロメータにより測定し、このピーク
温度からガラス転移温度(Tg)を評価した。
【0055】[プリプレグの保存安定性]上記プリプレグ
を40℃の恒温槽内に放置し、プリプレグに含浸された
エポキシ樹脂組成物の130℃における溶融粘度が、初
期値(40℃の乾燥機内に放置する前)に対して50%
増加する時間を評価した。
【0056】[プリプレグの色調]上記プリプレグの外観
色調を目視で評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】 表1乃至3から明らかなように、実施例1乃至12のも
のは比較例1乃至2のものよりも、成形後の白化が少な
くなった。また比較例3は塗布ロール40の表面温度が
高すぎるために塗布ロール40の表面でエポキシ樹脂組
成物10がゲル化し、基材20に含浸させることができ
なかった。さらにジシアンジアミドのみを用いた実施例
1、2よりも、フェノール系硬化剤を併用した実施例4
乃至12の方が吸水率の低下、ガラス転移温度の上昇、
保存安定性の向上が見られた。
【0060】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1の発明
は、エポキシ樹脂とこれの硬化剤としてジシアンジアミ
ドを含有する実質的に無溶剤のエポキシ樹脂組成物を基
材の片面より塗布して浸透させ、基材に浸透したエポキ
シ樹脂組成物をBステージ化させるプリプレグの製造方
法であって、基材にエポキシ樹脂組成物を塗布する治具
の表面温度を100〜195℃にするので、エポキシ樹
脂組成物に含有されているジシアンジアミドの一部又は
全部を熱溶解させてエポキシ樹脂との相溶性を高めるこ
とができ、基材の内部及び基材のエポキシ樹脂組成物を
塗布した面と反対側の面にまでエポキシ樹脂とジシアン
ジアミドを到達させることができるものであり、ミーズ
リングの発生及び樹脂硬化物の特性の悪化を低減するこ
とができるものである。
【0061】また本発明の請求項2の発明は、エポキシ
樹脂の硬化剤として、1分子内に水酸基を3個以上有す
るフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させ
るので、フェノール系硬化剤でジシアンジアミドを溶解
させることによって、エポキシ樹脂組成物を調製する際
の低温でフェノール系硬化物に対してジシアンジアミド
を溶解させることができ、エポキシ樹脂組成物へのジシ
アンジアミドの溶解性を高くすることができるものであ
り、よって、ジシアンジアミドが基材の表面に付着して
遍在化せずにエポキシ樹脂とともに基材に均一に含浸す
ることになって、ミーズリングがより生じにくくなるも
のである。
【0062】また本発明の請求項3の発明は、エポキシ
樹脂の1当量に対して、0.7〜0.2当量のジシアン
ジアミドと、0.7〜0.1当量のフェノール系硬化剤
をエポキシ樹脂組成物に含有させるので、ジシアンジア
ミドによる電気絶縁性能の向上や接着性の向上などの効
果を損なうことなく、ミーズリングの発生及び樹脂硬化
物の特性の悪化を低減することができるものである。
【0063】また本発明の請求項4の発明は、エポキシ
樹脂組成物の全量に対して5〜13wt%のフェノール
系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有させるので、エポ
キシ樹脂組成物を調製する際の低温でフェノール系硬化
物に対してジシアンジアミドを確実に溶解させることが
でき、ミーズリングがさらに生じにくくなるものであ
る。
【0064】また本発明の請求項5の発明は、フェノー
ル系硬化剤がフェノールノボラック系化合物であるの
で、積層板の電気絶縁性や耐熱性を高くすることができ
るものである。
【0065】また本発明の請求項6の発明は、フェノー
ルノボラック系化合物がクレゾールノボラックであるの
で、エポキシ樹脂組成物の加熱時の安定性及びBステー
ジ化した後の保存安定性を高くすることができるもので
ある。
【0066】また本発明の請求項7の発明は、フェノー
ルノボラック系化合物がビスフェノールA型ノボラック
であるので、エポキシ樹脂組成物の加熱時の安定性及び
Bステージ化した後の保存安定性を高くすることがで
き、しかもフェノールノボラック、クレゾールノボラッ
クに比べて加熱時に酸化されにくいので、エポキシ樹脂
組成物の着色や変色が少なくなって外観が良好となるも
のである。
【0067】また本発明の請求項8の発明は、フェノー
ルノボラック系化合物がジシクロペンタジエン共重合型
フェノールノボラックであるので、エポキシ樹脂組成物
の加熱時の安定性及びBステージ化した後の保存安定性
を高くすることができ、しかもフェノールノボラック、
クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラックを
用いた場合に比べてエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿
性が低くなると共にエポキシ樹脂組成物の硬化物の強靱
性が優れるようになるので、積層板の耐吸湿性や強靱性
を高めることができるものである。
【0068】また本発明の請求項9の発明は、フェノー
ル系硬化剤が上記の一般式(1)で示される3官能型フ
ェノール化合物であるので、エポキシ樹脂組成物の硬化
物のガラス転移温度などが高くなって積層板の耐熱性を
向上させることができるものである。
【0069】また本発明の請求項10の発明は、ジシア
ンジアミドの平均粒径が15μm以下であるので、基材
の内部及び基材のエポキシ樹脂組成物を塗布した面と反
対側の面にまでエポキシ樹脂とジシアンジアミドを確実
に到達させることができ、ミーズリングの発生及び樹脂
硬化物の特性の悪化をさらに低減することができるもの
である。
【0070】また本発明の請求項11の発明は、エポキ
シ樹脂組成物と治具の接触時間が0.1〜180秒であ
るので、基材に塗布する直前のエポキシ樹脂組成物を確
実に昇温させることができ、ジシアンジアミドの熱溶解
を確実に行うことができるものである。
【0071】また本発明の請求項12の発明は、治具が
塗布ロールであるので、エポキシ樹脂組成物を塗布する
塗布ロールを利用してエポキシ樹脂組成物の加熱も行う
ことができ、エポキシ樹脂組成物の加熱装置を別途設け
る必要がなくなって、塗布装置を簡素化することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 エポキシ樹脂組成物 20 基材 40 塗布ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/16 H05K 1/03 610S H05K 1/03 610 B29C 67/14 W (72)発明者 八田 行大 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4F072 AA07 AB09 AB29 AD14 AD15 AD27 AD28 AD29 AE02 AF30 AG03 AH04 AH26 AJ04 AK05 AL13 4F100 AB17B AB17D AB17E AB33B AB33D AB33E AH02A AH02C AH03A AH03C AK53A AK53C BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D BA10E DH01A DH01C EJ17 EJ42 GB43 JK20 4F205 AA39 AB03 AD04 AD16 AG01 AG03 AH36 HA06 HA08 HA14 HA33 HA35 HB01 HC16 HE06 HM04 HT08 HT27 4J002 CC042 CC052 CC062 CC272 CD051 CD061 CD121 CE002 EJ046 ER027 GF00 GQ01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂とこれの硬化剤としてジシ
    アンジアミドを含有する実質的に無溶剤のエポキシ樹脂
    組成物を基材の片面より塗布して浸透させ、基材に浸透
    したエポキシ樹脂組成物をBステージ化させるプリプレ
    グの製造方法であって、基材にエポキシ樹脂組成物を塗
    布する治具の表面温度を100〜195℃にすることを
    特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂の硬化剤として、1分子内
    に水酸基を3個以上有するフェノール系硬化剤をエポキ
    シ樹脂組成物に含有させることを特徴とする請求項1に
    記載のプリプレグの製造方法。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂の1当量に対して、0.7
    〜0.2当量のジシアンジアミドと、0.7〜0.1当
    量のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物に含有さ
    せることを特徴とする請求項2に記載のプリプレグの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂組成物の全量に対して5〜
    13wt%のフェノール系硬化剤をエポキシ樹脂組成物
    に含有させることを特徴とする請求項2又は3に記載の
    プリプレグの製造方法。
  5. 【請求項5】 フェノール系硬化剤がフェノールノボラ
    ック系化合物であることを特徴とする請求項2乃至4の
    いずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  6. 【請求項6】 フェノールノボラック系化合物がクレゾ
    ールノボラックであることを特徴とする請求項5に記載
    のプリプレグの製造方法。
  7. 【請求項7】 フェノールノボラック系化合物がビスフ
    ェノールA型ノボラックであることを特徴とする請求項
    5に記載のプリプレグの製造方法。
  8. 【請求項8】 フェノールノボラック系化合物がジシク
    ロペンタジエン共重合型フェノールノボラックであるこ
    とを特徴とする請求項5に記載のプリプレグの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 フェノール系硬化剤が下記の一般式
    (1)で示される3官能型フェノール化合物であるこを
    特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のプリプレ
    グの製造方法。 【化1】
  10. 【請求項10】 ジシアンジアミドの平均粒径が15μ
    m以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれ
    かに記載のプリプレグの製造方法。
  11. 【請求項11】 エポキシ樹脂組成物と治具の接触時間
    が0.1〜180秒であることを特徴とする請求項1乃
    至10のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  12. 【請求項12】 治具が塗布ロールであることを特徴と
    する請求項1乃至11のいずれかに記載のプリプレグの
    製造方法。
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