JP4554462B2 - 弾性組成物およびそれを用いた補修工法 - Google Patents
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Description
従来、セメント系材料や水ガラス系材料が主に使用されており、コンクリートポンプ等でトンネルや下水管背面に充填されている(特許文献1)。また、地下水の移動によって充填した材料が施工中に流されるのを防止するため、急結性を付与した材料の開発が進められている(特許文献2)。さらに、高分子系材料を注入することも検討されている(特許文献3、4、5)。一方、弾力性を有する組成物として水溶性ポリビニルアルコールを用いたゲル組成物に関する検討も行われている(特許文献6、7)。
そこで、本発明は、地下構造物の耐久性を向上させる弾性組成物およびそれを用いた補修工法を提供する。
本発明に使用するPVAの平均重合度は、500〜3000が好ましく、1000〜2000がより好ましい。また、PVAの鹸化度は80mol%以上のものが好ましく、90mol%以上がより好ましい。PVAの重合度や鹸化度が前記範囲外の場合には、硬化前の流動性、硬化後の強度、弾性、遮水性に影響する場合がある。
熱処理温度は、1200〜2000℃が好ましく、1400〜1600℃の範囲がより好ましい。1200℃未満では、所定の化合物が得られない場合があり、2000℃を超えると不経済になる場合がある。焼成中の雰囲気は酸化雰囲気でも還元雰囲気でも構わない。また、焼成設備はロータリーキルンや電気炉などが使用可能である。原料としては、主成分であるCaO、Al2O3のほかにSiO2、Fe2O3、MgO、TiO2、P2O5、Na2O、K2O、フッ素、塩素、重金属類などの不純物を含む場合があるが、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲では特に問題とはならない。
なお、本発明では、次に示すX線回折リートベルト法によってガラス化率の測定を行った。粉砕した試料に酸化アルミニウムや酸化マグネシウムなどの内部標準物質を所定量添加し、めのう乳鉢で充分混合したのち、粉末X線回折測定を実施する。測定結果を定量ソフトで解析し、ガラス化率を求める。定量ソフトには、Sietronics社の「SIROQUANT」を用いた。
従来の架橋剤としては、脂肪族アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、トリメチロールメラミンなどのメチロール基を有する化合物、ホウ砂やホウ酸などのホウ素化合物、Zr、Alなどが有機物質と結合した金属アルコキシド類、イソシアネート基を有する化合物などが挙げられる。
重合度1700、鹸化度98.7mol%のPVAと水道水を用いて、表1に示す割合となるように種々の固形分濃度のPVA水溶液を調製した。このPVA水溶液を用いて、表1に示す割合となるように有機チタン化合物、カルシウムアルミネート化合物(a)を配合して混合し、ゲル化時間、圧縮強度、弾性係数、遮水性を評価した。結果を表1に示す。
PVA:電気化学工業社製、商品名「K17」、重合度1700、鹸化度98.7mol%
有機チタン化合物:チタンラクテート、松本製薬工業社製、商品名「TC−310」
カルシウムアルミネート化合物(a):試作品、CaO50.0質量%、Al2O340質量%、SiO23質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比2.3、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm2/g、密度2.92g/cm3
水:水道水
ゲル化時間:混合した弾性組成物を透明なスチロール瓶に流し込み、容器を傾けても液面が変動しなくなるまでの時間を計測した。
圧縮強度:混合した弾性組成物を4×4×4cmの型枠に流し込み、材齢1日で脱型後、JIS R 5201に準拠して測定を行った。荷重をかけても供試体が降伏しない場合には、供試体が50%変位した時の荷重から圧縮強度を算出した。
弾性係数:混合した弾性組成物を3×3×3cmの型枠に流し込み、7日間、20℃の環境下で養生して供試体を作製した。測定は市販の万能試験機(オートグラフ)を用い、供試体に載荷した時の応力とひずみの関係を測定し、5mm変位させた時の応力と変位から弾性係数を算出した。
遮水性:模擬試験体に弾性組成物を注入し、注入から24hr後の模擬試験体重量を測定して、漏水量を算出することで遮水性を評価した。模擬試験体は、容量3Lの直方体状ポリプロピレン製容器の側面の下部に直径2mmの穴を開け、川砂2.7kgを充填し、さらに漏水させるため、上部より水道水600mlを加えた。その直後、容量10mlのシリンジを用いて、模擬試験体の穴から弾性組成物を毎秒1mlの速度で合計10ml注入を行った。
PVA、水、有機チタン化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.6質量部、69.2質量部、3.8質量部、19.4質量部に固定し、カルシウムアルミネート化合物の種類を変えたこと以外は実施例1と同様に行った。また、比較例として、カルシウムアルミネート化合物の替わりに普通ポルトランドセメントと消石灰を使用して実験を行った。結果を表2に示す。
カルシウムアルミネート化合物(b):試作品、ブレーン比表面積8000cm2/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(C):試作品、ブレーン比表面積3000cm2/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(d):試作品、ブレーン比表面積1500cm2/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(e):試作品、CaO52質量%、Al2O338質量%、SiO23質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比2.5、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm2/g、密度2.92g/cm3
カルシウムアルミネート化合物(f):試作品、CaO46質量%、Al2O344質量%、SiO23質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比1.9、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm2/g、密度2.91g/cm3
カルシウムアルミネート化合物(g):試作品、CaO36質量%、Al2O357質量%、SiO24質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比1.2、ガラス化率30%、ブレーン比表面積5000cm2/g、密度2.91g/cm3
カルシウムアルミネート化合物(h):試作品、CaO29質量%、Al2O365質量%、SiO24質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比0.8、ガラス化率30%、ブレーン比表面積5000cm2/g、密度2.95g/cm3
カルシウムアルミネート化合物(i):試作品、CaO45質量%、Al2O338質量%、SiO213質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比2.2、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm2/g、密度2.95g/cm3
カルシウムアルミネート化合物(j):試作品、CaO50質量%、Al2O340質量%、SiO23質量%、TiO23質量%、CaO/Al2O3モル比2.3、ガラス化率0%、ブレーン比表面積6000cm2/g、密度2.93g/cm3
普通ポルトランドセメント:市販品
消石灰:市販品
PVA、水、有機チタン化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.6質量部、69.2質量部、3.8質量部、19.4質量部に固定し、PVAの重合度とケン化度を変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
PVA、水、有機チタン化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.6質量部、69.2質量部、3.8質量部、19.4質量部に固定し、有機酸をPVA、水、有機チタン化合物、カルシウムアルミネート化合物の合計100質量部に対し、表4に示すように配合した以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
有機酸:昭和化工社製、商品名「クエン酸(無水)」
Claims (3)
- ポリビニルアルコール、水、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、チタントリエタノールアルミネート、シュウ酸チタンから選ばれる有機チタン化合物、およびCaO/Al 2 O 3 モル比が0.8〜2.5であるカルシウムアルミネート化合物を含有してなり、ポリビニルアルコール、水、有機チタン化合物、およびカルシウムアルミネート化合物の合計100質量部中、ポリビニルアルコールが2.2〜15.3質量部、有機チタン化合物が1.0〜20.0質量部、カルシウムアルミネート化合物が2.4〜48.8質量部、水が43.9〜83.7質量部である弾性組成物。
- ポリビニルアルコールと有機チタン化合物が水溶性であることを特徴とする請求項1に記載の弾性組成物。
- 請求項1または2に記載の弾性組成物を地下構造物周囲に注入することを特徴とする補修工法。
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