JP5052861B2 - 弾性組成物およびそれを用いた補修工法 - Google Patents

弾性組成物およびそれを用いた補修工法 Download PDF

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Description

本発明は、主に土木・建築分野において使用される弾性組成物に関するものである。
トンネルや下水管などの地下構造物の周囲には、地下水の移動によって空洞が生じる。空洞は構造物内への地下水侵入の経路となるほか、地震や地山の圧力による応力集中の要因となり、構造物が破壊されやすくなるため、対策としてトンネルや下水管などの周囲の空洞に裏込材を注入することが有効である。
従来、セメント系材料や水ガラス系材料が主に使用されており、コンクリートポンプ等でトンネルや下水管背面に充填されている(特許文献1)。また、地下水の移動によって充填した材料が施工中に流されるのを防止するため、急結性を付与した材料の開発が進められている(特許文献2)。さらに、高分子系材料を注入することも検討されている(特許文献3、4、5)。一方、弾力性を有する組成物としてポリビニルアルコールを用いたゲル組成物に関する検討も行われている(特許文献6、7、8)。
特開平11−61123号公報 特許第3600155号公報 特開2002−294014号公報 特開2002−371278号公報 特開平11−256138号公報 特開平06−207071号公報 特開平05−117003号公報 特開2005−162984号公報
地下構造物周囲に存在する空洞や土壌中に従来の材料を注入する場合、セメント系材料や水ガラス系材料では弾性がないためひび割れが生じやすく、再び地下水が侵入することがある。また、高分子系材料では物理的強度が小さいため、地下における特有の応力に対して充分とは言えない。さらにポリビニルアルコール系材料では、ポリビニルアルコールを架橋する目的で使用される架橋剤がアルデヒドやホルマリンなど環境負荷の大きい成分を含んでいるという課題があった。また、高分子系材料と無機系材料を複合させたものについても耐水性などが充分とは言えなかった。
また、一般細菌や大腸菌はpHが5〜9の中性領域で繁殖しやすいこと、アルカリ性領域では繁殖し難いことが知られているが、従来、ゲル化後のpHが酸性〜中性領域のものが多かった。
本発明は、適度な遮水性、弾力性、物理的強度(圧縮強度)、耐水性を有する弾性組成物およびそれを用いた補修工法を提供する。
すなわち、本発明は、(1)平均重合度が500〜3000で鹸化度が80mol%以上であるポリビニルアルコール、水、チタンペルオキソ化合物、およびCaO/Al モル比が0.4〜2.5であるカルシウムアルミネート化合物を含有してなり、ポリビニルアルコール、水、チタンペルオキソ化合物、およびカルシウムアルミネート化合物の合計100質量部中、ポリビニルアルコールが2〜15質量部、水が45〜80質量部、チタンペルオキソ化合物が2〜30質量部、カルシウムアルミネート化合物が2〜40質量部である、ゲル化前のpHが8未満で、ゲル化後のpHが9以上を示す弾性組成物、(2)()の弾性組成物を地下構造物周囲に注入することを特徴とする補修工法、である。
本発明の弾性組成物をトンネルおよび下水管などの地下構造物周囲に存在する空洞や土壌中に注入することで、構造物の耐久性を向上させることができる。
本発明で使用するポリビニルアルコール(以下、PVAと略記)は、完全ケン化型PVA、部分ケン化型PVAをはじめとして、水酸基を有し実質的に水溶性を保持しているものであればアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、アクリルアミドなどを付加した各種変性PVAを用いることもできる。
本発明に使用するPVAの平均重合度は、500〜3000が好ましく、1000〜2000がより好ましい。また、PVAの鹸化度は80mol%以上のものが好ましく、90mol%以上がより好ましい。PVAの重合度や鹸化度が前記範囲外の場合には、硬化前の流動性、硬化後の物理的強度、弾力性、遮水性、耐水性に影響する場合がある。
本発明で使用されるPVAは、あらかじめ水溶液として調製しておくことが好ましい。その固形分濃度は用途によって適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、3〜20質量%程度とすることが好ましい。3質量%未満では硬化体の弾性が不足する場合があり、20質量%を超えると水溶液の粘性が高くなる。
本発明で使用するチタンペルオキソ化合物の合成方法は、特開平2000-159786号公報や特開2004-43353公報などに示されている。チタンの配位子としてクエン酸、リンゴ酸、グリコール酸など種々のタイプが知られており、水に安定に溶けることが明らかとなっている。またアンモニウム塩やナトリウム塩などの粉体のものも知られている。本発明ではこれら種々の形態のチタンペルオキソ化合物を利用することが可能である。
本発明で使用するカルシウムアルミネート化合物は、石灰石や石灰や消石灰などのカルシウム原料、ボーキサイトやアルミ残灰などのアルミニウム原料を所定の割合で配合し、熱処理した後、粉砕したものである。
熱処理温度は、1200〜2000℃が好ましく、1400〜1600℃の範囲がより好ましい。1200℃未満では、所定の化合物が得られない場合があり、2000℃を超えると不経済になる場合がある。焼成中の雰囲気は酸化雰囲気でも還元雰囲気でも構わない。また、焼成設備はロータリーキルンや電気炉などが使用可能である。原料としては、主成分であるCaO、AlのほかにSiO、Fe、MgO、TiO、P、NaO、KO、フッ素、塩素、重金属類等の不純物を含む場合があるが、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲では特に問題とはならない。
本発明で使用するカルシウムアルミネート化合物のCaO/Alモル比は、特に限定されるものでは無いが、0.4〜2.5であることが好ましい。0.4未満では弾性体の圧縮強度が低くなる場合があり、2.5を超えるとゲル化時間が短くなる場合がある。なお、本発明の弾性組成物は、ゲル化後にアルカリ性を呈する。
カルシウムアルミネート化合物の粉末度は、ブレーン比表面積で1500〜8000cm/gが好ましく3000〜6000cm/gがより好ましい。1500cm/g未満の粗粒では充分な強度が得られない場合があり、8000cm/gを超える微粉末では反応性が高くなるため充分な可使時間を確保できない場合がある。ただし、有機酸などを併用して可使時間を調整する場合はこの限りではない。
カルシウムアルミネート化合物のガラス化率は、特に限定されるものではなく、結晶質でも非晶質でも本発明には使用可能である。結晶質のカルシウムアルミネート化合物としては、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、3CaO・5Al、CaO・2Al、CaO・6Alが挙げられる。これらのうち2種以上を併用することも可能である。
なお、本発明では、次に示すX線回折リートベルト法によってガラス化率の測定を行った。粉砕した試料に酸化アルミニウムや酸化マグネシウムなどの内部標準物質を所定量添加し、めのう乳鉢で充分混合したのち、粉末X線回折測定を実施する。測定結果を定量ソフトで解析し、ガラス化率を求める。定量ソフトには、Sietronics社の「SIROQUANT」を用いた。
本発明におけるPVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合は、用途によって異なるため特に限定されるものではないが、PVA、水、チタンペルオキソ化合物、およびカルシウムアルミネート化合物の合計100質量部中、PVAは2〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。水は45〜80質量部が好ましく、55〜70質量部がより好ましい。チタンペルオキソ化合物は、2〜30質量部が好ましく、6〜15質量部がより好ましい。カルシウムアルミネート化合物は、2〜40質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。これら範囲外では硬化前の流動性や、硬化後の弾力性、強度、耐水性に影響する場合がある。
本発明の弾性組成物は、弾力性を確保するために、硬化体の弾性係数が0.01〜10N/mm程度の範囲にあることが好ましい。
本発明の弾性組成物は、水酸基やカルボキシル基の架橋剤として従来から使用されているものを、本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
従来の架橋剤としては、脂肪族アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、トリメチロールメラミンなどのメチロール基を有する化合物、ホウ砂やホウ酸などのホウ素化合物、Zr、Alなどが有機物質と結合した金属アルコキシド類、イソシアネート基を有する化合物などが挙げられる。
本発明の弾性組成物の硬化速度を制御する目的で、クエン酸、酢酸、グルコン酸、シュウ酸、ギ酸、乳酸などの有機酸を用いることもできる。施工条件によって最適な硬化速度が異なるため有機酸の使用量は、特に限定されるものではないが、弾性組成物100質量部に対して0.25〜2質量部が好ましく、0.5〜1質量部がより好ましい。2質量部を超えると硬化体の強度が低下する場合がある。
本発明の弾性組成物は、硬化体の強度や弾性率、密度をコントロールする目的でフィラーを併用することができる。フィラーは、特に限定されることはなく、無機系や有機系のものが使用可能である。無機系としては、珪石、石灰石などの骨材、ベントナイトなどの粘土鉱物、ゼオライトなどのイオン交換体などが挙げられ、有機系材料としては、ビニロン繊維、アクリル繊維、炭素繊維などの繊維状物質、イオン交換樹脂、吸水性ポリマーなどが挙げられる。これらを本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
本発明における弾性組成物の混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、ナウタミキサなどが挙げられる。
混合順序は特に限定されるものではなく、PVA水溶液にチタンペルオキソ化合物を添加して混合し、その後カルシウムアルミネート化合物を添加しても良いし、PVA水溶液にカルシウムアルミネートを混合しておき、注入の直前にチタンペルオキソ化合物を添加することも可能である。
本発明の弾性組成物は、カルシウムアルミネート化合物の水和反応に伴って酸性領域からアルカリ性領域へと変化しゲル化する。チタンペルオキソ化合物は、カルシウムアルミネート化合物の水和遅延剤として働き、混合からしばらくの間pH8未満に保つことができる。弾性組成物は、その粘度および作業の安全性の観点から、酸性〜中性領域、具体的にはpHで5〜8程度であることが好ましい。pHが8以上では皮膚に付着した際アルカリ薬傷を起す場合がある。カルシウムアルミネート化合物の代わりに普通セメントを使用した場合は、混合直後にpHが9を超える。
本発明のゲル化前の弾性組成物の粘度は、10000mPa・s以下であり、好ましくは5000mPa・s以下であることが好ましい。ゲル化前の弾性組成物の粘度が10000mPa・sを超えると、地盤への注入や土砂との混合が難しくなる場合がある。また、弾性組成物の粘度が10000mPa・s未満から50000mPa・s以上に変化する時間は短いことが好ましい。長すぎると地下水によって弾性組成物が拡散され地盤を改良できない場合がある。
ゲル化前の弾性組成物の粘度測定方法は種々あるが、本発明では、東機産業社製、TV−10型粘度計を用いた。ローターはH6を使用し、ローター回転速度は20rpmで評価した。混合した組成物500mlを容量500mlのビーカーに入れ、ローターが浸漬マーク(ローター軸が細くなっている部分)まで浸漬するように高さを調整した。環境温度は20℃とし、測定粘度の単位はmPa・sで表示した。
本発明の弾性組成物を用いて、トンネルおよび下水管などの地下構造物周囲の空洞や土壌中に注入して補修する工法は、特に限定されるものではない。例えば、空洞や漏水が見られるコンクリート壁にドリルで穴を開け、注入プラグをセットした後、本発明の弾性組成物を各種ポンプを用いて注入し、空洞部を充填しコンクリート背面に遮水層を形成する。また、地上から空洞部や構造物周囲に注入管を挿入して、各種注入ポンプを用いて注入することも可能である。
以下、実施例で詳細に説明する。
「実施例1」
重合度1700、鹸化度98.7mol%のPVAと水道水を表1に示す割合となるように配合して80℃に加温し、種々の固形分濃度のPVA水溶液を調製した。このPVA水溶液に表1に示す割合となるようにチタンペルオキソ化合物を混合し、その後カルシウムアルミネート化合物(a)をさらに配合して、ゲル化時間、pH、圧縮強度、弾性係数、弾力性、遮水性、耐水性を評価した。結果を表1に示す。
「使用材料」
ポリビニルアルコール:電気化学工業社製、商品名「K17」、重合度1700、鹸化度98.7mol%
チタンペルオキソ化合物:チタンペルオキソクエン酸アンモニウム(化学式(NH[Ti(C(O]・4HO、フルウチ化学社製、商品名「TAS−fine」)を50質量%水溶液となるように純水で溶解し、チタン濃度を7.1質量%とした。
カルシウムアルミネート化合物(a):試作品、CaO36質量%、Al57質量%、SiO4質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比1.1、ガラス化率30%、ブレーン比表面積5000cm/g、密度3.00g/cm
水:水道水
「測定方法」
ゲル化時間:混合した弾性組成物を透明なスチロール瓶に流し込み、容器を傾けても液面が変動しなくなるまでの時間を計測した。
pH:弾性組成物100mlにpH電極を差しこみ、混合終了時と1日後に測定を行った。弾性組成物がゲル化している場合は、弾性組成物に穴を開け電極を差し込んだ。圧縮強度:混合した弾性組成物を4×4×4cmの型枠に流し込み、材齢1日で脱型後、JIS R 5201に準拠して測定を行った。荷重をかけても供試体が降伏しない場合には、供試体が50%変位した時の荷重から圧縮強度を算出した。
弾性係数:混合した弾性組成物を3×3×3cmの型枠に流し込み、7日間20℃の環境下で養生して供試体を作製した。測定は市販の万能試験機(オートグラフ)を用い、供試体に載荷した時の応力とひずみの関係を測定し、5mm変位させた時の応力と変位から弾性係数を算出した。
弾力性:混合した弾性組成物を5×5×5cmの型枠に流し込み、材齢1日で脱型し、市販の耐圧試験機を用いて上部から1cm裁荷した後除荷した。除荷後の供試体の高さ(xcm)を測定して復元率を測定した。復元率は[1−(5−x)]×100(%)で算出し、弾力性の指標とした。
遮水性:模擬試験体に弾性組成物を注入し、注入から24hr後の模擬試験体重量を測定して、漏水量を算出することで遮水性を評価した。模擬試験体は、容量3Lの直方体状ポリプロピレン製容器の側面の下部に直径2mmの穴を開け、川砂2.7kgを充填し、さらに漏水させるため、上部より水道水600mlを加えた。その直後、容量10mlのシリンジを用いて、模擬試験体の穴から弾性組成物を毎秒1mlの速度で合計10ml注入を行った。注入穴はテープで塞ぎ、注入から3hr後に取り外した。
耐水性:圧縮強度用のサンプルと同じ条件で作製した弾性組成物20gを純水100mlに1ヶ月間浸漬し、浸漬水中の有機態炭素濃度を測定した。弾性組成物20g中の有機態炭素量をxg、浸漬水に溶け出した有機態炭素量をygとした場合、不溶化率(%)=(1-y/x)×100と定義する。不溶化率が高いほど耐水性に優れるといえる。測定には市販の全有機体炭素自動測定装置を用い、測定値から浸漬水に溶け出した有機態炭素量を算出した。
Figure 0005052861
表1に示すように、本発明の弾性組成物は、適度な圧縮強度、弾性係数、弾力性、遮水性を有し耐水性に優れることが分かる。
「実施例2」
PVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.2質量部、64.4質量部、8.4質量部、20.0質量部に固定し、カルシウムアルミネートの種類を変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
「使用材料」
カルシウムアルミネート化合物(b):試作品、ブレーン比表面積8000cm/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(C):試作品、ブレーン比表面積3000cm/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(d):試作品、ブレーン比表面積:1500cm/gのカルシウムアルミネート化合物(a)
カルシウムアルミネート化合物(e):試作品、CaO52質量%、Al38質量%、SiO3質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比2.5、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度2.92g/cm
カルシウムアルミネート化合物(f):試作品、CaO46質量%、Al44質量%、SiO3質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比1.9、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度2.91g/cm
カルシウムアルミネート化合物(g):試作品、CaO50.0質量%、Al40質量%、SiO3質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比2.3、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度2.92g/cm
カルシウムアルミネート化合物(h):試作品、CaO29質量%、Al65質量%、SiO3質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比0.8、ガラス化率30%、ブレーン比表面積5000cm/g、密度3.05g/cm
カルシウムアルミネート化合物(i):試作品、CaO45質量%、Al38質量%、SiO13質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比2.2、ガラス化率98%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度2.95g/cm
カルシウムアルミネート化合物(j):試作品、CaO50質量%、Al40質量%、SiO3質量%、TiO3質量%、CaO/Alモル比2.3、ガラス化率0%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度2.93g/cm
カルシウムアルミネート化合物(k):試作品、CaO18質量%、Al79質量%、SiO1質量%、TiO0質量%、CaO/Alモル比0.4、ガラス化率0%、ブレーン比表面積6000cm/g、密度3.30g/cm
普通ポルトランドセメント:市販品
消石灰:市販品
Figure 0005052861
表2に示すように、本発明の弾性組成物は適度な圧縮強度、弾性係数、遮水性を有し耐水性に優れることが分かる。また、カルシウムアルミネート化合物の代わりに、普通セメントなどの水硬性物質を加えると、組成物の強度は低く、弾性体が得られない。また、耐水性も充分ではない。
「実施例3」
PVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.2質量部、64.4質量部、8.4質量部、20.0質量部に固定し、PVAの重合度とケン化度を変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 0005052861
表3に示すように、本発明の弾性組成物は適度な圧縮強度、弾性係数、遮水性を有し耐水性に優れることが分かる。
「実施例4」
PVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物の配合割合を、それぞれ7.2質量部、64.4質量部、8.4質量部、20.0質量部に固定し、有機酸をPVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物の合計100質量部に対し、表4に示すように配合した以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。なお、有機酸はPVA水溶液にあらかじめ混合し、その後チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物を配合した。
「使用材料」
有機酸:昭和化工社製、商品名「クエン酸(無水)」
Figure 0005052861
表4に示すように、本発明の弾性組成物はゲル化時間が調整可能であり、適度な圧縮強度、弾性係数、遮水性を有し耐水性に優れることが分かる。
「実施例5」
実施例1と同様に、PVA、水、チタンペルオキソ化合物、カルシウムアルミネート化合物(a)を表5に示すように配合して弾性組成物を調製し、pH、ゲル化時間、圧縮強度を測定した。さらに、調製した弾性組成物を4×4×16cmの型枠に流し込み、材齢1日で100gの質量となるようにカットして供試体とした。この供試体を20℃環境下で水中に浸漬して弾性組成物の質量を継続的に測定した。なお、比較例として、有機チタン化合物(イ)または有機チタン化合物(ロ)を用い、カルシウムアルミネートを配合せずに調製したゲル組成物についても検討を行った。結果を表5に示す。
「使用材料」
有機チタン化合物(イ):乳酸チタン化合物、化学式TiC10、松本製薬工業社製、商品名「TC−315」、チタン濃度8.2質量%の水溶液
有機チタン化合物(ロ):ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、松本製薬工業社製、商品名「TC−400」、チタン濃度8.3質量%の3倍希釈品
Figure 0005052861
表5に示すように、本発明の弾性組成物は混合直後pH6〜7を示し作業性の観点から安全である。また、弾性組成物を水中養生しても吸水膨潤による質量増加が少ないことから、水分を取り込み難く遮水性能に優れることが分かる。
本発明の弾性組成物をトンネルおよび下水管などの地下構造物周囲に存在する空洞や土壌中に注入することで、適度な遮水性、弾力性、物理的強度を発現させ、構造物の耐久性を向上させることができるため、土木・建築分野などで幅広く適用できる。

Claims (2)

  1. 平均重合度が500〜3000で鹸化度が80mol%以上であるポリビニルアルコール、水、チタンペルオキソ化合物、およびCaO/Al モル比が0.4〜2.5であるカルシウムアルミネート化合物を含有してなり、ポリビニルアルコール、水、チタンペルオキソ化合物、およびカルシウムアルミネート化合物の合計100質量部中、ポリビニルアルコールが2〜15質量部、水が45〜80質量部、チタンペルオキソ化合物が2〜30質量部、カルシウムアルミネート化合物が2〜40質量部である、ゲル化前のpHが8未満で、ゲル化後のpHが9以上を示す弾性組成物。
  2. 請求項1に記載の弾性組成物を地下構造物周囲に注入することを特徴とする補修工法。
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