JP4553548B2 - 真空システム用フレキシブルチューブ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は真空システムに用いるフレキシブルチューブに関するものである。
真空システムにおいては、真空装置間がフレキシブルチューブによって接続される。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブルチューブは、2つ以上の真空装置間を接続するのに用いられる。従来のフレキシブルチューブは薄い金属シートで構成され、凹凸がある表面を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フレキシブルチューブ表面の凸部に機器や他の硬いものがぶつかった場合、この凸部が変形したり壊れたりして、真空が保たれず、リークしてしまうことがあった。真空システムのフレキシブルチューブは、通常真空下の気圧と大気圧との大きな気圧差のもとで使われることが多い。したがって、このようなフレキシブルチューブは内部と外部の気圧差によって変形したり、壊れたりする。また、フレキシブルチューブが電気配線と偶然接触した場合、ショートが起こりフレキシブルチューブに小さな穴が形成されることもある。
【0004】
この発明の目的は、気圧差に耐えることができ、機械的強度に優れたフレキシブルチューブを提供することにある。
この発明の他の目的、新規な特徴および利点は、一部は詳細に記載され、またその一部はその記載から当業者が明らかになるものであり、この発明を実施することにより理解できる。この発明の目的と利点は、記載された特許請求の範囲に指摘された構成、組み合わせから実現され、達成される。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の真空システム用フレキシブルチューブは、凸部と凹部とを有し、ステンレス金属材料からなる薄い金属シートにより構成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の外部表面にシリコン樹脂を充填することによって設けられ、該チューブ本体の凹部に応じた位置にV型スリットが設けられたカバーとを有する。好ましくは、フレキシブルチューブは真空チャンバーを真空引きする真空ポンプと真空チャンバー間に設けられ、真空状態を維持する働きをする。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な実施例を添付した図面を参照しつつ説明する。なお、記載している好適な実施例は、当業者が実施可能なように詳細に説明している。この実施例以外に、発明の主旨を逸脱しない範囲内において論理的、機械的または電気的な変更を施した他の好適な実施例が存在することは容易に理解できる。しかたがって、以下に記載する事項は、この発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲は特許請求の範囲に記載された事項のみにより定義されるものである。
【0007】
図1はこの発明によるフレキシブルチューブを用いた真空システム12を示す概略図である。真空システム12は、フレキシブルチューブ10、真空引きする真空ポンプ14および真空状態を維持する真空チャンバー16を有する。フレキシブルチューブ10は、真空ポンプ14と真空チャンバー16との間に設けられる。また、フレキシブルチューブ10の両端は、接続ポート18、20に固定されている。
【0008】
図2(A)は、この発明の第1の実施例に係るフレキシブルチューブ10の構造を示す断面図である。また、図2(B)は、図2(A)に示したフレキシブルチューブ10の一部拡大断面図である。
フレキシブルチューブ10は、ステンレス金属材料などの薄い金属シートで構成されるチューブ本体22と弾性カバー24とを有する。図3は、この発明で用いられるチューブ本体22の部分切り欠き断面図である。チューブ本体は柔軟性を得るために、凸部22aと凹部22bとを有する。弾性カバー24は、チューブ本体22の外部表面上に設けられている。弾性カバー24はゴムのような弾性材で形成されており、約1〜2mmの厚さt1を有している。チューブ本体22の厚さt0は、約0.15〜0.3mmである。
【0009】
製造過程において、チューブ本体22は単に弾性カバー24に挿入される。弾性カバー24はシリンダー形状をしており、チューブ本体22の凸部22aと接触するが、凹部22bとは接触しない内部表面を有する。
第1の実施例においては、機器や他の硬いものがフレキシブルチューブ10にぶつかった場合でもフレキシブルチューブ10は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。また、フレキシブルチューブ10の内部および外部の気圧差によっても、フレキシブルチューブ10は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。さらに、フレキシブルチューブ10が電気配線と偶然接触した場合でも、チューブ本体22が絶縁性を有する弾性カバー24で覆われているため、ショートが起こらない。
【0010】
図4(A)は、この発明の第2の実施例に係るフレキシブルチューブ30の構造を示す断面図である。また、図4(B)は、図4(A)に示したフレキシブルチューブ10の一部拡大断面図である。図4(C)は、図4(B)に示したフレキシブルチューブの変形例の構造を示す断面図である。
フレキシブルチューブ30は、図1に示した真空システム12に第1の実施例と同様に用いられる。第2の実施例において、第1の実施例と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0011】
図4(A)及び図4(B)において、フレキシブルチューブ30は、ステンレス金属材料などの薄い金属シートで構成されるチューブ本体22と弾性カバー32とを有する。弾性カバー32は、チューブ本体22の凸部22a及び凹部22bを含む外部表面全体にわたって接触するように形成されている。弾性カバー32はシリコンのような熱収縮性を有する弾性材で形成されている。
図4(C)においても、フレキシブルチューブ30は、ステンレス金属材料などの薄い金属シートで構成されるチューブ本体22を有する。図4(C)において、弾性カバー32aは、チューブ本体22の凸部近傍においてはチューブ本体22と接触している。しかしながら、チューブ本体22の凹部近傍においては、弾性カバー32aはチューブ本体と接触しておらず、空隙34が形成される。
フレキシブルチューブの直径にもよるが、弾性カバー24は約1〜2mmの厚さt1を有している。また、チューブ本体22の厚さt0は、約0.15〜0.3mmである。
【0012】
製造過程においては、チューブ本体の外部直径よりも大きな内部直径を有するシリンダー形状の弾性カバー32が準備される。次に、チューブ本体22が弾性カバー32に挿入される。その後弾性カバー32は均一に熱処理が施され、弾性カバー32が収縮してチューブ本体22の外部表面全体にわたって接触する。
第2の実施例において、機器や他の硬いものがフレキシブルチューブ30にぶつかった場合でもフレキシブルチューブ30は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。また、フレキシブルチューブ30の内部および外部の気圧差によっても、フレキシブルチューブ30は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。さらに、フレキシブルチューブ30が電気配線と偶然接触した場合でも、チューブ本体22が絶縁性を有する弾性カバー32で覆われているため、ショートが起こらない。
【0013】
図5(A)は、この発明の第3の実施例に係るフレキシブルチューブ40の構造を示す断面図である。また、図5(B)は、図5(A)に示したフレキシブルチューブ40の一部拡大断面図である。
フレキシブルチューブ40は、図1に示した真空システム12に第1の実施例と同様に用いられる。第3の実施例において、第1及び第2の実施例と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0014】
フレキシブルチューブ40は、ステンレス金属材料などの薄い金属シートで構成されるチューブ本体22と弾性カバー42とを有する。弾性カバー42は、チューブ本体22の凸部22a及び凹部22bを含む外部表面全体にわたって接触するように形成されている。弾性カバー42はゴムのような弾性材で形成されている。チューブ本体22の厚さt0は、約0.15〜0.3mmである。図5Bに示すように、弾性カバー42の凸部22aにおける厚さt1は約1〜2mmである。
【0015】
製造過程においては、溶融したゴムがチューブ本体22を完全に覆うまで、チューブ本体22の凹部22bに充填される。
第3の実施例において、機器や他の硬いものがフレキシブルチューブ40にぶつかった場合でもフレキシブルチューブ40は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。また、フレキシブルチューブ40の内部および外部の気圧差によっても、フレキシブルチューブ40は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。さらに、フレキシブルチューブ40が電気配線と偶然接触した場合でも、チューブ本体22が絶縁性を有する弾性カバー42で覆われているため、ショートが起こらない。
【0016】
図6(A)は、この発明の第4の実施例に係るフレキシブルチューブ50の構造を示す断面図である。また、図6(B)は、図6(A)に示したフレキシブルチューブ50の一部拡大断面図である。
フレキシブルチューブ50は、図1に示した真空システム12に第1の実施例と同様に用いられる。第4の実施例において、第1ないし第3の実施例と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
フレキシブルチューブ50は、ステンレス金属材料などの薄い金属シートで構成されるチューブ本体22と弾性カバー52とを有する。弾性カバー52は、チューブ本体22の凸部22a及び凹部22bを含む外部表面全体にわたって接触するように形成されている。弾性カバー52はゴムのような弾性材で形成されている。チューブ本体22の厚さt0は、約0.3mmである。図6Bに示すように、弾性カバー52の凸部22aにおける厚さt1は約1mmである。弾性カバー52は、チューブ本体22の凹部22bにおいてV型スリット52aが形成されている。V型スリット52aは、チューブ本体22の外部表面を露出させないよう、チューブ本体22の外部表面までとどかない深さで形成されている。
【0018】
製造過程においては、溶融したゴムがチューブ本体22を完全に覆うまで、チューブ本体22の凹部22bに充填される。その後、V型スリット52aがチューブ本体22の凹部22bに形成される。
第4の実施例において、機器や他の硬いものがフレキシブルチューブ50にぶつかった場合でもフレキシブルチューブ50は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。また、フレキシブルチューブ50の内部および外部の気圧差によっても、フレキシブルチューブ50は、簡単には変形したり、壊れたりはしない。さらに、フレキシブルチューブ50が電気配線と偶然接触した場合でも、チューブ本体22が絶縁性を有する弾性カバー52で覆われているため、ショートが起こらない。
加えて、第4の実施例においては弾性カバー52にV型スリット52aが形成されているので、フレキシブルチューブ50の柔軟性は第3の実施例に比べて改善される。これにより屈曲半径がより小さくなる。
【0019】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明のフレキシブルチューブによれば、外部からの機械的衝撃に強く、内部と外部の気圧差によっても変形、破壊の起こりにくいフレキシブルチューブが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるフレキシブルチューブを用いた真空システムを示す概略図である。
【図2】この発明の第1の実施例に係るフレキシブルチューブの構造を示す断面図で、図2(B)は、図2(A)に示したフレキシブルチューブの一部拡大断面図である。
【図3】チューブ本体の部分切り欠き断面図である。
【図4】この発明の第2の実施例に係るフレキシブルチューブの構造を示す断面図で、図4(B)は、図4(A)に示したフレキシブルチューブの一部拡大断面図、図4(C)は、図4(B)に示したフレキシブルチューブの変形例の構造を示す断面図である。
【図5】この発明の第3の実施例に係るフレキシブルチューブの構造を示す断面図で、図5(B)は、図5(A)に示したフレキシブルチューブの一部拡大断面図である。
【図6】この発明の第4の実施例に係るフレキシブルチューブの構造を示す断面図で、図6(B)は、図6(A)に示したフレキシブルチューブの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
10、30、40、50 フレキシブルチューブ
12 真空システム
22 チューブ本体
22a 凸部
22b 凹部
24、32、42、52 弾性カバー
Claims (5)
- 真空システム用フレキシブルチューブにおいて、
凸部と凹部とを有し、ステンレス金属材料からなる薄い金属シートにより構成されたチューブ本体と、
前記チューブ本体の外部表面にシリコン樹脂を充填することによって設けられ、該チューブ本体の凹部に応じた位置にV型スリットが設けられたカバーと
を有するフレキシブルチューブ。 - 前記チューブ本体の厚さは0.15〜0.3mmであり、前記カバーの厚さは1〜2mmである請求項1記載のフレキシブルチューブ。
- 前記カバーの厚さはチューブ本体の凸部上で計測されたものである請求項2記載のフレキシブルチューブ。
- 前記V型スリットは、チューブ本体の凹部に到達しない請求項1乃至3のいずれか一つに記載のフレキシブルチューブ。
- 前記フレキシブルチューブは真空状態を維持する真空チャンバーと真空チャンバーを真空引きする真空ポンプとの間に設けられる請求項1乃至4のいずれか一つに記載のフレキシブルチューブ。
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