JP4552976B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置に関する。
用紙等の記録媒体にインク滴を吐出することによって記録媒体上に画像を記録するインクジェットプリンタとして、搬送機構を有するものが知られている(特許文献1参照)。搬送機構は、2つのローラと、当該ローラに架け渡された無端の搬送ベルトとを含み、ローラを介して搬送ベルトを駆動させることによって搬送ベルトに載置された記録媒体を搬送する。
特開2006−131353号公報
インクジェットプリンタにおいては、印刷の高速化の要望により、記録媒体の搬送速度の高速化、即ち、搬送ベルトの駆動速度の高速化が図られている。しかしながら、印刷時における搬送ベルトの駆動速度の目標値を高くするに伴って、搬送ベルトの駆動速度が目標値に到達するまでの時間が長くなる。このため、印刷要求に応じて搬送ベルトが駆動し始めてから記録媒体が搬送ベルトに載置されるまでの時間が長くなり、印刷速度に関するユーザの体感速度が低下してしまう。
本発明の目的は、記録速度に関するユーザの体感速度が向上する記録装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置は、複数のローラ、前記ローラに架け渡されており且つ外周面に記録媒体が載置される無端の搬送ベルト、及び、前記搬送ベルトを駆動する駆動部を有する搬送機構と、前記記録媒体を前記搬送ベルトの前記外周面に載置する載置部と、前記搬送機構によって搬送された前記記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記搬送機構、前記載置部、及び前記記録ヘッドを制御する制御部と、を備え、前記制御部が、記録時における前記搬送ベルトの駆動速度の目標値である目標速度を、所定の第1速度、及び、前記第1速度より低い第2速度のいずれかに決定し、前記搬送ベルトが駆動し始めて前記目標速度で定速駆動するように前記搬送機構を制御し、前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達した後に前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されるように前記載置部を制御し、前記目標速度で定速駆動する前記搬送ベルトによって前記記録媒体が搬送されているときに当該記録媒体に画像を記録するように前記記録ヘッドを制御し、1の記録要求において記録されるべき1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定可能であることを特徴とする。
上記構成によると、制御部が、目標速度を第1速度及び第2速度のいずれかに決定する。そして、1の記録要求において記録されるべき1番目の記録媒体に対する目標速度を第2速度に決定することで、1番目の記録媒体に対する目標速度を第1速度に決定する場合に比べて、記録要求に応じて搬送ベルトが駆動し始めてから記録媒体が搬送ベルトに載置されるまでの時間を短くすることができ、記録速度に関するユーザの体感速度を向上させることができる。
前記制御部は、連続記録数がq(q:所定の正の整数)以下の連続記録において、1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定してよい。
前記制御部は、連続記録数がq以下の連続記録において、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第2速度に決定することが好ましい。この場合、連続記録において途中で目標速度の切り換えを行わないことで、制御の簡略化を実現しつつ、記録速度に関するユーザの体感速度を向上させることができる。
前記制御部は、連続記録数がqを超える連続記録において、1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定してよい。
前記制御部は、連続記録数がqを超える連続記録において、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第1速度に決定してよい。
前記制御部は、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第2速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてから最後の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第2速度総数記録時間が、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第1速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてから最後の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第1速度総数記録時間より短くなるように、前記第2速度を決定することが好ましい。この場合、連続記録数がq以下であれば、記録に係る時間が実質的に短くなるため、記録速度に関するユーザの体感速度を確実に向上させることができる。
互いに異なる複数の連続記録数と、前記連続記録数のそれぞれに対応する前記目標速度とを含むテーブルが記憶されたテーブル記憶部をさらに備え、前記制御部が、前記テーブル記憶部に記憶された前記テーブルを参照して、前記目標速度を決定することが好ましい。この場合、制御部は、テーブルを参照することで、連続記録数に対応する目標速度を素早く決定することができる。
前記制御部は、前記目標速度を前記第2速度とした記録が完了する前に新たな記録要求を受信し、当該新たな記録要求に含まれる記録数n(n:記録要求に応じて連続して記録されるべき前記記録媒体の数・正の整数)と前の記録要求において記録が未だ行われていない記録媒体の数との合計がqを超える場合、前記目標速度を前記第2速度から前記第1速度に切り換え、且つ、前記新たな記録要求を受信してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することが好ましい。この場合、新たな記録要求を受信した後に搬送ベルトを一時停止する場合に比べて、新たな記録要求に係る記録を開始するタイミングが早くなり、記録速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
前記制御部は、前記新たな記録要求を受信してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することが好ましい。これにより、新たな記録要求に係る記録を行う際に、記録媒体のジャムや記録の不具合が生じるのを防止することができる。
前記制御部は、連続記録が行われる際、1番目からm番目(m:2以上の所定の整数)までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定し、m+1番目以降の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定することが好ましい。このように、第2速度での記録と第1速度での記録とを組み合わせることで、短時間で効率よく記録を行うことができる。
前記制御部は、m番目の前記記録媒体に対する記録が完了してから前記搬送ベルトの駆動速度が前記第1速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することが好ましい。この場合、m番目の記録媒体に対する記録が完了した後に搬送ベルトを一時停止する場合に比べて、m+1番目の記録媒体に対する記録を開始するタイミングが早くなり、記録速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
前記制御部は、m番目の前記記録媒体に対する記録が完了してから前記搬送ベルトの駆動速度が前記第1速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することが好ましい。これにより、記録中に、記録媒体のジャムや記録の不具合が生じるのを防止することができる。
前記制御部は、1番目からm番目までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてからm番目の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第2速度記録時間が、1番目からm番目までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてからm番目の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第1速度記録時間より短くなるように、前記第2速度を決定することが好ましい。この場合、記録に係る時間が実質的に短くなるため、記録速度に関するユーザの体感速度を確実に向上させることができる。
前記制御部は、互いに異なる複数の前記第2速度のそれぞれについて前記第2速度記録時間を算出し、当該算出された時間のうち最も短い時間に対応する第2速度を採用することが好ましい。この場合、第2速度の値が効率よく決定され、記録に係る時間をより短くすることが可能である。
前記制御部は、前記目標速度を前記第2速度とした記録が完了する前に新たな記録要求を受信し、当該新たな記録要求に含まれる記録数n(n:記録要求に応じて連続して記録されるべき前記記録媒体の数・正の整数)がq(q:所定の正の整数)を超える場合、前記目標速度を前記第2速度から前記第1速度に切り換え、且つ、前の記録要求に係る記録が完了してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することが好ましい。この場合、前の記録要求に係る記録が完了した後に搬送ベルトを一時停止する場合に比べて、新たな記録要求に係る記録を開始するタイミングが早くなり、記録速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
前記制御部は、前の記録要求に係る記録が完了してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することが好ましい。これにより、新たな記録要求に係る記録を行う際に、記録媒体のジャムや記録の不具合が生じるのを防止することができる。
前記搬送ベルトの駆動速度を検知するセンサをさらに備えていることが好ましい。これにより、制御部は、センサが検知した搬送ベルトの駆動速度を参照することで、搬送ベルトが目標速度で駆動するように、確実に制御を行うことができる。
前記制御部は、前記センサによって検知される速度が前記目標速度に到達した後に、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されるように前記載置部を制御することが好ましい。このようにセンサを利用することで、搬送ベルトの駆動速度が目標速度に到達する前に記録媒体が搬送ベルトの外周面に載置されるような事態を確実に回避することができる。
前記記録ヘッドはインクジェットヘッドであってよい。
前記搬送ベルトの前記外周面が、前記載置部と、前記記録媒体を前記搬送ベルトの前記外周面から剥離する剥離部との間において、水平に延在していることが好ましい。これにより、搬送ベルトの外周面への記録媒体の載置、搬送ベルトによる記録媒体の搬送、及び、搬送ベルトの外周面からの記録媒体の剥離を、円滑に効率よく行うことができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ101の概略側面図である。インクジェットプリンタ101は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ101は、インクジェットプリンタ101全体の動作を制御する制御装置16を有する。インクジェットプリンタ101には、図中左方に給紙部11、図中右方に排紙トレイ12がそれぞれ設けられている。
インクジェットプリンタ101の内部には、給紙部11から排紙トレイ12に向かって用紙Pが搬送される経路が形成されている。給紙部11は、用紙ストッカ11a及びピックアップローラ11cを有する。用紙ストッカ11aは、上方に開口が形成された箱形であって、図中右方、即ち用紙搬送方向下流側に向かって傾斜するように配置されている。用紙ストッカ11a内には、用紙ストッカ11aの底から開口に向かって付勢された支持板11bが配置されており、支持板11b上に多数の用紙Pが積層されている。ピックアップローラ11cは、載置モータ11d(図2参照)によって駆動され、用紙ストッカ11a内に積層された用紙Pを上から一枚ずつピックアップし、ピックアップした用紙Pを搬送方向下流側に送り出す。給紙部11のすぐ下流側には、用紙センサ59が配置されている。用紙センサ59は、ピックアップローラ11cによって送り出された用紙Pが搬送ベルト8のすぐ上流側に位置する印刷待機位置Aに到達したか否を検知するものであり、印刷待機位置Aにある用紙Pの先端を検知できるように調整されている。ピックアップローラ11cによって用紙ストッカ11aから送り出された用紙Pは、印刷待機位置Aを通過して搬送ベルト8の外周面8aに載置される。
用紙搬送経路の中間には搬送機構13が設けられている。搬送機構13は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7の間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8と、ベルトローラ6を回転させる搬送モータ19と、搬送ベルト8によって囲まれた領域内においてインクジェットヘッド1と対向する位置に配置されたプラテン15とを含む。プラテン15は、インクジェットヘッド1と対向する領域において搬送ベルト8が下方に撓まないように搬送ベルト8を支持する。ベルトローラ7と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、ピックアップローラ11cによって用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されたとき、用紙Pを外周面8aに押さえ付ける。搬送モータ19がベルトローラ6を回転させると、搬送ベルト8が駆動する。これにより、搬送ベルト8が、ニップローラ4によって外周面8aに押さえ付けられた用紙Pを粘着力により保持しつつ排紙トレイ12に向けて搬送する。
搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離板14が設けられている。剥離板14は、搬送ベルト8の外周面8a上に保持されている用紙Pを、外周面8aから剥離し、排紙トレイ12へと送る。
4つのインクジェットヘッド1は、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のインクにそれぞれ対応し、用紙Pの搬送方向に沿って並列されている。各インクジェットヘッド1は、搬送方向と直交する方向(図1の紙面に垂直な方向)に関して用紙Pを跨ぐように、固定されている。つまり、インクジェットプリンタ101は、ライン式プリンタである。各インクジェットヘッド1の下端には、搬送方向に直交する方向(図1の紙面に垂直な方向)に細長い直方体形状を有するヘッド本体2が設けられている。ヘッド本体2の底面は、搬送ベルト8の外周面8aに対向するインク吐出面2aとなっている。搬送ベルト8によって搬送される用紙Pが4つのヘッド本体2のすぐ下方を順次通過する際、制御装置16の指示に基づいて、用紙Pの上面に向けてインク吐出面2aから各色のインク滴が吐出されることで、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
次に、図2を参照しつつ、インクジェットプリンタ101の電気的構成について詳細に説明する。図2においては、4つのインクジェットヘッド1のうちの1つのみを模式的に示している。制御装置16は、印刷データ記憶部63、目標速度決定部70、ヘッドコントローラ64、搬送モータコントローラ68、及び載置コントローラ69を有する。
印刷データ記憶部63は、ホストコンピュータ(図示せず)から転送された印刷要求、ユーザにより設定された所定の数m(m:2以上の整数)等を記憶する。1の印刷要求は、当該印刷要求に応じて連続して印刷されるべき用紙Pの数である印刷数n(n:正の整数)、及び、各用紙Pに形成すべき画像に関する画像データを含む。
以下、1の印刷要求又は連続的に送信された2以上の印刷要求に基づいて、搬送ベルト8の駆動速度の低下及び停止のいずれも行うことなく、複数の用紙Pに連続的に印刷を行うことを、「連続印刷」と称す。連続印刷が行われる場合としては、(A)1の印刷要求に応じて連続して印刷されるべき用紙Pの数である印刷数nが複数である場合と、(B)1の印刷要求に応じた用紙Pへの印刷が終了する前に次の印刷要求を受信することによってこれら2つの印刷要求に応じて複数の用紙Pへの印刷が行われる場合とがある。
目標速度決定部70は、印刷時における搬送ベルト8の駆動速度の目標値、即ち目標速度を、用紙P毎に決定する。本実施形態において、目標速度決定部70は、連続印刷が行われる際、連続印刷完了数(即ち、連続印刷開始時から現時点までに印刷完了した用紙Pの数)がm未満の時点で印刷数nがq(q:所定の正の整数)を超える印刷要求を受信した場合を除き、1枚目からm枚目までの用紙Pに対して、目標速度を通常速度より低い速度(以下、単に「低速度」と称す)に決定し、m+1枚目以降の用紙Pに対しては、目標速度を通常速度に決定する。連続印刷されるべき用紙Pの数、即ち連続印刷数がm以下の場合、連続印刷完了数がm未満の時点で印刷数nがqを超える印刷要求を受信した場合を除き、全ての用紙Pに対して、目標速度が低速度に決定される。mは、後に詳述する低速印刷時間X2が通常速度印刷時間X1より短くなるような低速度を決定することができる範囲で、ユーザによって任意に設定される可変数である。通常速度は、搬送ベルト8の駆動速度の上限値であり、本実施形態では搬送ベルト8の回転速度が60rpm(revolutions per minute)の場合に対応する。
ヘッドコントローラ64は、インクジェットヘッド1のヘッド本体2を制御する。具体的には、ヘッドコントローラ64は、目標速度決定部70によって決定された目標速度で搬送ベルト8が定速駆動しているとき、当該搬送ベルト8によって搬送されている用紙Pに画像が形成されるように、ヘッド本体2からのインク滴の吐出を制御する。
搬送モータコントローラ68は、搬送モータ19、及び、搬送ベルト8の駆動速度を検知する速度センサ18と接続されている。搬送モータコントローラ68は、速度センサ18が検知した搬送ベルト8の駆動速度を参照し、搬送ベルト8が目標速度決定部70によって決定された目標速度で定速駆動するように、搬送モータ19を制御する。
載置コントローラ69は、載置モータ11dを制御することによって、ピックアップローラ11cの駆動を制御する。載置コントローラ69は、用紙センサ59からの出力結果に基づいて、ピックアップローラ11cによって送り出された用紙Pが印刷待機位置A(図1参照)に到達したか否かを判断し、用紙Pが印刷待機位置Aに到達したときにピックアップローラ11cの駆動を一旦停止させる。そして、目標速度決定部70によって決定された目標速度で搬送ベルト8が定速駆動した後に、所定のタイミングで、用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに載置させる。
次に、図3、図4、及び図5を参照しつつ、制御装置16により実行される印刷制御について説明する。
先ず、制御装置16は、図3に示すように、印刷要求をホストコンピュータ(図示せず)から受信したか否かを判断する(S1)。印刷要求を受信していない場合(S1:NO)、S1が繰り返し行われる。印刷要求を受信した場合(S1:YES)、目標速度決定処理が行われる(S2)。
制御装置16は、例えば印刷数n=1の印刷要求を、次から次へと受信する。また、インクジェットプリンタ101がファクシミリとして機能する場合、印刷数n≧1(例えばn=100)の印刷要求を1つ受信することがある。
ここで、図4を参照しつつ、目標速度決定処理について説明する。先ず、目標速度決定部70は、印刷データ記憶部63から、所定の数mを取得する(S11)。そして目標速度決定部70は、互いに異なる低速度(本実施形態では搬送ベルト8の回転速度が10,20,30,40,50rpmの5つの場合)のそれぞれについて、当該速度を目標速度として1枚目からm枚目までの用紙Pの連続印刷が完了するまでの時間、即ち低速印刷時間X2(図6参照)を算出する(S12)。
図6は、低速印刷時及び通常速度印刷時における搬送ベルト8の駆動速度の経時的変化を示すグラフであり、縦軸に搬送ベルト8の駆動速度、横軸に時間をそれぞれ示す。低速印刷時の搬送ベルト8の駆動速度を実線で、通常速度印刷時の搬送ベルト8の駆動速度を破線で、それぞれ示している。低速印刷時間X2は、搬送ベルト8が駆動し始めてからその駆動速度が低速度V2に到達するまでの時間と、搬送ベルト8の駆動速度が低速度V2に到達した後に、1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されてからm枚目の用紙Pに対する印刷が完了するまでの時間との合計である。低速印刷時間X2は、通常速度印刷時間X1よりtだけ短い。通常速度印刷時間X1は、通常速度V1を目標速度として1枚目からm枚目までの用紙Pの連続印刷が完了するまでの時間のことであり、搬送ベルト8が駆動し始めてからその駆動速度が通常速度V1に到達するまでの時間と、搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に達した後に、1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されてからm枚目の用紙Pに対する印刷が完了するまでの時間との合計である。
図4に戻って、S12の後、目標速度決定部70は、S12で算出された低速印刷時間X2のうち最も短い時間に対応する低速度V2を目標速度に決定する(S13)。これにより、搬送ベルト8の回転速度10,20,30,40,50rpmの5つの場合のいずれかが選択される。
その後、図3に戻って、搬送モータコントローラ68が、搬送モータ19の駆動を開始させる(S3)。そして、搬送モータコントローラ68は、速度センサ18からの検知信号に基づいて、搬送ベルト8の駆動速度がS2で決定された目標速度に到達したか否かを判断する(S4)。搬送ベルト8の駆動速度が目標速度に到達すると(S4:YES)、搬送モータコントローラ68は、搬送ベルト8が目標速度で定速駆動するように搬送モータ19を制御する。そして、載置コントローラ69が載置モータ11dを制御し、用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに載置させる。つまり、給紙が開始される(S5)。そして、ヘッドコントローラ64がインクジェットヘッド1のヘッド本体2を制御することによって、搬送ベルト8によって搬送されている1枚の用紙Pに画像が形成される(S6)。
1枚の用紙Pへの印刷が完了した後、制御装置16は、次頁印刷の要否を判断する(S7)。このとき制御装置16は、印刷データ記憶部63に記憶されている印刷数nを参照し、現在使用している印刷要求に基づく印刷開始時から現時点までに印刷完了した用紙Pの数がn未満の場合、次頁の印刷を行うと判断する。制御装置16は、新たな印刷要求をホストコンピュータ(図示せず)から受信した場合にも、次頁の印刷を行うと判断する。次頁の印刷を行う場合(S7:YES)、後述の目標速度切換処理が行われる(S8)。次頁の印刷を行わない場合(S7:NO)、制御装置16は、用紙Pが排紙トレイ12に搬送されたか否かを判断する(S9)。用紙Pが排紙トレイ12に搬送された場合(S9:YES)、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を停止させる(S10)。これにより、搬送ベルト8の駆動が停止する。その後、S1の時点から現時点までに印刷完了した用紙Pの数、即ち連続印刷完了数をリセットし、S1に戻る。
ここで、図5を参照しつつ、目標速度切換処理について説明する。先ず、現時点における搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1であるか否かが判断される(S21)。搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1である場合(S21:YES)、目標速度が切り換えられることなく、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1でない場合(S21:NO)、連続印刷完了数がmと等しいか否かが判断される(S22)。連続印刷完了数がmと等しい場合(S22:YES)、目標速度決定部70は、目標速度を低速度V2から通常速度V1に切り換える(S25)。
連続印刷完了数がmと等しくない場合(S22:NO)、新たな印刷要求をホストコンピュータ(図示せず)から受信したか否かが判断される(S23)。新たな印刷要求を受信していない場合(S23:NO)、目標速度が切り換えられることなく、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
新たな印刷要求を受信した場合(S23:YES)、当該新たな印刷要求に含まれる印刷数nがq以下であるか否かが判断される(S24)。印刷数nがq以下の場合(S24:YES)、目標速度が切り換えられることなく、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
印刷数nがq以下でない場合(S24:NO)、目標速度決定部70は、目標速度を低速度V2から通常速度V1に切り換える(S25)。そして、載置コントローラ69が載置モータ11dを制御し、用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されないようにする。つまり、給紙が一時停止される(S26)。その後、搬送モータコントローラ68が、搬送モータ19の回転速度を最大値に変更する(S27)。
S27の後、搬送モータコントローラ68は、速度センサ18からの検知信号に基づいて、搬送ベルト8の駆動速度が目標速度である通常速度V1に到達したか否かを判断する(S28)。搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達すると(S28:YES)、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
したがって、図3〜図5に示す印刷制御によると、連続印刷が行われる際、連続印刷完了数がm未満の時点で印刷数nがqを超える印刷要求を受信した場合を除き、1〜m枚目の用紙Pに対する目標速度が低速度V2に決定され、m+1枚目以降の用紙Pに対する目標速度が通常速度V1に決定される(図7参照)。
具体的には、1枚目からm枚目までの用紙Pに対して連続印刷を行う際には、図7において時点0からT2の区間に示すように、搬送ベルト8が駆動し始めてから低速度V2で定速駆動するように、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を制御する。時点T1において搬送ベルト8の駆動速度が低速度V2に到達した後に1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されるように、載置コントローラ69が載置モータ11dを制御する。図7において時点T1からT2の区間に示すように低速度V2で定速駆動する搬送ベルト8によって用紙Pが搬送されているときに当該用紙Pに画像が形成されるように、ヘッドコントローラ64がヘッド本体2を制御する。このように、1枚目からm枚目までの用紙Pに対して、低速印刷を行う。
m+1枚目以降の用紙Pに対して連続印刷を行う際には、時点T2においてm枚目の用紙Pに対する低速印刷が完了した後に、搬送ベルト8が低速度V2から駆動し始めて通常速度V1で定速駆動するように、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を制御する。時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1となった後にm+1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されるように、載置コントローラ69が載置モータ11dを制御する。時点T3以降において通常速度V1で定速駆動する搬送ベルト8によって用紙Pが搬送されているときに当該用紙Pに画像が形成されるように、ヘッドコントローラ64がヘッド本体2を制御する。このように、m+1枚目以降の用紙Pに対して、通常速度印刷を行う。
連続印刷数がm以下の場合は、連続印刷完了数がm未満の時点で印刷数nがqを超える印刷要求を受信した場合を除き、全ての用紙Pに対して、目標速度が低速度V2に決定される。この場合、図7における時点T2以降の部分は省略される。
目標速度を低速度V2とした印刷が完了する前に新たな印刷要求を受信し(S23:YES)、当該新たな印刷要求に含まれる印刷数nがqを超える場合(S24:NO)、目標速度は低速度V2から通常速度V1に切り換えられ、新たな印刷要求に係る印刷が開始される。この場合、図7の時点T2において前の印刷要求に係る印刷が完了し、その後、搬送モータ19の回転速度の上昇に伴って搬送ベルト8の駆動速度が上昇し、時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達した後に、新たな印刷要求に係る1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置される。
目標速度を低速度V2とした印刷が完了する前に新たな印刷要求を受信し(S23:YES)、当該新たな印刷要求に含まれる印刷数nがq以下の場合(S24:YES)、目標速度は低速度V2のまま、新たな印刷要求に係る印刷が開始される。この場合、図7における時点T2以降の部分は省略される。
以上に述べたように、本実施形態によると、制御装置16が、目標速度を通常速度V1及び低速度V2のいずれかに決定する。そして、1の印刷要求において印刷されるべき1枚目の用紙Pに対する目標速度を、低速度V2に決定する。この場合、1枚目の用紙Pに対する目標速度を通常速度V1に決定する場合に比べて、印刷要求に応じて搬送ベルト8が駆動し始めてから用紙Pが搬送ベルト8に載置されるまでの時間を短くすることができ、印刷速度に関するユーザの体感速度を向上させることができる。
連続印刷が行われる際、1枚目からm枚目までの用紙Pに対する目標速度を低速度V2に決定し、m+1枚目以降の用紙Pに対する目標速度を通常速度V1に決定する。このように、低速印刷と通常速度印刷とを組み合わせることで、短時間で効率よく印刷を行うことができる。
m枚目の用紙Pに対する印刷が完了してから搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間(図7の時点T2から時点T3までの間)、搬送ベルト8が駆動し続けるように、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を制御する。この場合、m枚目の用紙Pに対する印刷が完了した後に搬送ベルト8を一時停止する場合に比べて、m+1枚目の用紙Pに対する印刷を開始するタイミングが早くなり、印刷速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
また、m枚目の用紙Pに対する印刷が完了してから搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間(図7の時点T2から時点T3までの間)、給紙が一時停止される(図5のS26参照)。これにより、印刷中に、用紙Pのジャムや印刷の不具合が生じるのを防止することができる。
低速印刷時間X2が通常速度印刷時間X1より短くなるように、低速度V2が決定される(図6参照)。これにより、印刷に係る時間が実質的に短くなるため、印刷速度に関するユーザの体感速度を確実に向上させることができる。
しかも本実施形態では、目標速度決定処理において、互いに異なる低速度V2のそれぞれについて低速印刷時間X2を算出し(S12)、当該算出された低速印刷時間X2のうち最も短い時間に対応する低速度V2を目標速度に決定する(S13)。これにより、低速度V2の値が効率よく決定され、印刷に係る時間をより短くすることが可能である。
目標速度を低速度V2とした印刷が完了する前に新たな印刷要求を受信し(S23:YES)、当該新たな印刷要求に含まれる印刷数nがqを超える場合(S24:NO)、目標速度が低速度V2から通常速度V1に切り換えられる。そして、図7の時点T2において前の印刷要求に係る印刷が完了してから時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間、搬送ベルト8が駆動し続けるように、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を制御する。この場合、前の印刷要求に係る印刷が完了した後に搬送ベルト8を一時停止する場合に比べて、新たな印刷要求に係る印刷を開始するタイミングが早くなり、印刷速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
また、図7の時点T2において前の印刷要求に係る印刷が完了してから時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間、給紙が一時停止される(図5のS26参照)。これにより、新たな印刷要求に係る印刷を行う際に、用紙Pのジャムや印刷の不具合が生じるのを防止することができる。
インクジェットプリンタ101は、搬送ベルト8の駆動速度を検知する速度センサ18を有している。搬送モータコントローラ68は、速度センサ18が検知した搬送ベルト8の駆動速度を参照することで、搬送ベルト8が目標速度で定速駆動するように、確実に制御を行うことができる。
制御装置16は、速度センサ18によって検知される速度が目標速度に到達した後に(S4:YES)、用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されるように載置モータ11dを制御する(S5)。このように速度センサ18を利用することで、搬送ベルト8の駆動速度が目標速度に到達する前に用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されるような事態を確実に回避することができる。
搬送ベルト8の外周面8aは、ピックアップローラ1cと剥離板14との間において、水平に延在している。これにより、搬送ベルト8の外周面8aへの用紙Pの載置、搬送ベルト8による用紙Pの搬送、及び、搬送ベルト8の外周面8aからの用紙Pの剥離を、円滑に効率よく行うことができる。
次いで、図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態に係るインクジェットプリンタは、制御装置116以外の構成要素は第1実施形態と同様である。したがって、制御装置116のみについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成要素については同一の参照番号を付し、説明を省略する。図8は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。制御装置116は、印刷データ記憶部63、目標速度決定部170、ヘッドコントローラ64、搬送モータコントローラ68、及び載置コントローラ69を有している。
目標速度決定部170は、第1実施形態の目標速度決定部70と同様、目標速度を決定するものであるが、テーブル記憶部170aを有している点において第1実施形態の目標速度決定部70と異なっている。テーブル記憶部170aには、互いに異なる複数の連続印刷数kと、連続印刷数kのそれぞれに対応する目標速度とを含むテーブル(図9参照)が記憶されている。
ここで、図10及び図11を参照しつつ、制御装置116により実行される印刷制御について説明する。本実施形態に係る印刷制御においても、第1実施形態と同様、連続印刷が行われ、当該連続印刷は上記(A),(B)の両方の場合を含む。本実施形態における印刷制御は、目標速度決定処理S2及び目標速度切換処理S8の内容以外については第1実施形態における印刷制御(図3参照)と同様である。したがって、以下、目標速度決定処理S2及び目標速度切換処理S8の内容について説明する。
図10に示すように、本実施形態の目標速度決定処理では、目標速度決定部170が、S1で受信した印刷要求に含まれる印刷数nを、印刷データ記憶部63から取得する(S31)。その後、テーブル記憶部170aに記憶されたテーブル(図9参照)を参照し、S31で取得した印刷数nを連続印刷数kと読み替えて、目標速度を決定する(S32)。つまり、この時点においては、これから連続印刷されるべき用紙Pの数、即ち連続印刷数kは、S1で受信した印刷要求に含まれる印刷数nと等しいとみなされる。
図9のテーブルにおいて、目標速度は、搬送ベルト8の回転速度で示されており、その単位はrpmである。本実施形態において、所定の数qは5である。連続印刷数kがq+1以上、即ち6以上の場合、目標速度は通常速度V1(搬送ベルト8の回転速度が60rpm)である。一方、連続印刷数kがq以下、即ち5以下の場合、目標速度は低速度V2(搬送ベルト8の回転速度が10〜50rpm)である。
連続印刷数k=1,2,3,4,5のそれぞれに対応する低速度V2は、低速総数印刷時間(例えば、図12においてk=2の場合の低速総数印刷時間Y2)が通常速度総数印刷時間(例えば、図12においてk=2の場合の通常速度総数印刷時間Z2)より短くなるように、決定されている。低速総数印刷時間は、低速度V2を目標速度として1枚目からk枚目までの用紙Pの連続印刷が完了するまでの時間のことであり、搬送ベルト8が駆動し始めてからその駆動速度が低速度V2に到達するまでの時間と、搬送ベルト8の駆動速度が低速度V2に到達した後に、1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されてからk枚目の用紙Pに対する印刷が完了するまでの時間との合計である。通常速度総数印刷時間は、通常速度V1を目標速度として1枚目からk枚目までの用紙Pの連続印刷が完了するまでの時間のことであり、搬送ベルト8が駆動し始めてからその駆動速度が通常速度V1に到達するまでの時間と、搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に達した後に、1枚目の用紙Pが搬送ベルト8の外周面8aに載置されてからk枚目の用紙Pに対する印刷が完了するまでの時間との合計である。図12においては、k=2の場合について低速総数印刷時間Y2が通常速度総数印刷時間Z2より短いことを示しているが、k=1,3,4,5の場合でも同様である。
図11に示すように、本実施形態の目標切換決定処理では、先ず、図5のS21と同様の処理が行われ、現時点における搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1であるか否かが判断される(S21)。搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1である場合(S21:YES)、目標速度が切り換えられることなく、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1でない場合(S21:NO)、新たな印刷要求をホストコンピュータ(図示せず)から受信したか否かが判断される(S41)。新たな印刷要求を受信していない場合(S41:NO)、目標速度が切り換えられることなく、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。
新たな印刷要求を受信した場合(S41:YES)、図10に示す目標速度決定処理S2を行う。S2では、新たな印刷要求に含まれる印刷数nを、印刷データ記憶部63から取得する(S31)。そして、前の印刷要求において印刷が未だ行われていない頁数(即ち、前の印刷要求に含まれる印刷数n−印刷済みページ数)を、S31で取得した印刷数nに加算する。これにより連続印刷数kを算出し、当該連続印刷数kに対応する目標速度を、テーブル(図9参照)を参照して決定する決定する(S32)。
その後、目標速度が変更されたか否かが判断される(S42)。目標速度が変更されていない場合(S42:NO)、目標速度切換処理が終了し、図3のS5に戻る。目標速度が変更された場合(S42:YES)、給紙が一時停止される(S26)。そして、搬送モータコントローラ68が、搬送モータ19の回転速度を変更し(S27)、速度センサ18からの検知信号に基づいて、搬送ベルト8の駆動速度が目標速度に到達したか否かを判断する(S28)。その後、図3のS5に戻る。
本実施形態の印刷制御によると、図12に示すように、連続印刷数kがq+1以上、即ち6以上の場合、1〜k枚目の全用紙Pに対する目標速度が通常速度V1(搬送ベルト8の回転速度が60rpm)に決定され、連続印刷数kがq以下、即ち5以下の場合、1〜k枚目の全用紙Pに対する目標速度が低速度V2(搬送ベルト8の回転速度が10〜50rpm)に決定される。また、連続印刷数kが5以下の場合、連続印刷数kが大きくなるに伴って、目標速度が高くなる。
以上に述べたように、本実施形態によると、制御装置116が、上述の第1実施形態と同様、目標速度を通常速度V1及び低速度V2のいずれかに決定する。本実施形態では、連続印刷数kがq以下、即ち5以下の場合、1枚目の用紙Pに対する目標速度を低速度V2に決定する。これにより、印刷要求に応じて搬送ベルト8が駆動し始めてから用紙Pが搬送ベルト8に載置されるまでの時間を短くすることができ、印刷速度に関するユーザの体感速度を向上させることができるという第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、連続印刷数kがq以下、即ち5以下の場合、1枚目からk枚目までの全ての用紙Pに対する目標速度が低速度V2に決定される。これにより、連続印刷において途中で目標速度の切り換えを行わないことで、制御の簡略化を実現しつつ、印刷速度に関するユーザの体感速度を向上させることができる。
連続印刷数kがq以下、即ち5以下の場合に目標速度として決定される各低速度V2の値は、低速総数印刷時間が通常速度総数印刷時間より短くなるように、決定される(図12参照)。これにより、連続印刷数kがq以下、即ち5以下であれば、印刷に係る時間が実質的に短くなるため、印刷速度に関するユーザの体感速度を確実に向上させることができる。
本実施形態のインクジェットプリンタは、テーブル記憶部170aを有している。テーブル記憶部170aには、互いに異なる複数の連続印刷数kと、連続印刷数kのそれぞれに対応する目標速度とを含むテーブル(図9参照)が記憶されている。これにより、目標速度決定部170は、テーブル記憶部170aに記憶されたテーブルを参照して、連続印刷数kに対応する目標速度を素早く決定することができる。
目標速度を低速度V2とした印刷が完了する前に新たな印刷要求を受信した場合(S41:YES)、当該新たな印刷要求に含まれる印刷数nと前の印刷要求において印刷が未だ行われていない用紙Pの数との合計が、連続印刷数kとして算出される。当該連続印刷数kがqを超える場合、目標速度が低速度V2から通常速度V1に切り換えられる。そして、図7の時点T2において新たな印刷要求を受信してから時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間、搬送ベルト8が駆動し続けるように、搬送モータコントローラ68が搬送モータ19を制御する。この場合、新たな印刷要求を受信した後に搬送ベルト8を一時停止する場合に比べて、新たな印刷要求に係る印刷を開始するタイミングが早くなり、印刷速度に関するユーザの体感速度をさらに向上させることができる。
また、図7の時点T2において新たな印刷要求を受信してから時点T3において搬送ベルト8の駆動速度が通常速度V1に到達するまでの間、給紙が一時停止される(図5のS26参照)。これにより、新たな印刷要求に係る印刷を行う際に、用紙Pのジャムや印刷の不具合が生じるのを防止することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
例えば、第1実施形態に係る目標速度決定部70は、所定の互いに異なる低速度V2(搬送ベルト8の回転速度が10,20,30,40,50rpmの5つの場合)のそれぞれについて低速印刷時間X2を算出し(S12)、当該算出された低速印刷時間X2のうち最も短い時間に対応する低速度V2を目標速度に決定する(S13)。しかしながら、これに限定されず、低速度V2の値は、低速印刷時間X2が通常速度印刷時間X1より短くなる限り、様々な方法により決定されてよい。また、目標速度決定部70は、低速印刷時間X2が通常速度印刷時間X1以上となるように、低速度V2を決定してもよい。
第2実施形態に係る目標速度決定部170は、低速総数印刷時間が通常速度総数印刷時間以上となるように、低速度V2を決定してもよい。この場合、全体的な印刷時間、即ち、印刷要求に応じて搬送ベルト8が駆動し始めてから印刷が完了するまでの時間は長くなるが、印刷要求に応じて搬送ベルト8が駆動し始めてから用紙Pが搬送ベルト8に載置されるまでの時間が短くなる。このため、印刷速度に関するユーザの体感速度を向上させることができる。
第2実施形態に係る目標速度決定部170は、テーブル記憶部170aに記憶されたテーブルを参照して目標速度を決定するが、これに限定されない。例えば第2実施形態において、テーブル記憶部170aを省略し、目標速度決定部170が、テーブルを参照することなく、連続印刷数kに対応する目標速度を算出してよい。
搬送ベルト8は、外周面8aがピックアップローラ1cと剥離板14との間において水平に延在していなくてもよい。
速度センサ18を省略してもよい。
上述したインクジェットプリンタ101はヘッド1が固定されたラインプリンタであるが、本発明はヘッドが往復移動するシリアルプリンタにも適用可能である。また、上述の実施形態においては、用紙Pにインク滴を吐出するインクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ101に本発明を適用した例について説明したが、用紙Pにインクを熱転写するサーマルヘッドを備えたプリンタ等、他の種類の記録装置にも本発明は適用可能である。
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等、その他様々な記録装置に適用可能である。
本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略側面図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。 印刷制御のフローチャートである。 目標速度決定処理を示すフローチャートである。 目標速度切換処理を示すフローチャートである。 低速印刷時及び通常速度印刷時における搬送ベルトの駆動速度の経時的変化を示すグラフである。 連続印刷時における搬送ベルトの駆動速度の経時的変化を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。 テーブル記憶部に記憶されているテーブルを示す概略図である。 第2実施形態に係る目標速度決定処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る目標速度切換処理を示すフローチャートである。 各連続印刷数における、搬送ベルトの駆動速度の経時的変化を示すグラフである。
符号の説明
P 用紙(記録媒体)
1 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
6,7 ベルトローラ(ローラ)
8 搬送ベルト
8a 外周面
11c ピックアップローラ(載置部)
13 搬送機構
14 剥離板(剥離部)
16,116 制御装置(制御部)
18 速度センサ(センサ)
19 搬送モータ(駆動部)
101 インクジェットプリンタ(記録装置)
170a テーブル記憶部

Claims (20)

  1. 複数のローラ、前記ローラに架け渡されており且つ外周面に記録媒体が載置される無端の搬送ベルト、及び、前記搬送ベルトを駆動する駆動部を有する搬送機構と、
    前記記録媒体を前記搬送ベルトの前記外周面に載置する載置部と、
    前記搬送機構によって搬送された前記記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
    前記搬送機構、前記載置部、及び前記記録ヘッドを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部が、
    記録時における前記搬送ベルトの駆動速度の目標値である目標速度を、所定の第1速度、及び、前記第1速度より低い第2速度のいずれかに決定し、
    前記搬送ベルトが駆動し始めて前記目標速度で定速駆動するように前記搬送機構を制御し、前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達した後に前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されるように前記載置部を制御し、前記目標速度で定速駆動する前記搬送ベルトによって前記記録媒体が搬送されているときに当該記録媒体に画像を記録するように前記記録ヘッドを制御し、
    1の記録要求において記録されるべき1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定可能であることを特徴とする記録装置。
  2. 前記制御部は、連続記録数がq(q:所定の正の整数)以下の連続記録において、1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記制御部は、連続記録数がq以下の連続記録において、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第2速度に決定することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記制御部は、連続記録数がqを超える連続記録において、1番目の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定することを特徴とする請求項2又は3に記載の記録装置。
  5. 前記制御部は、連続記録数がqを超える連続記録において、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第1速度に決定することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記制御部は、
    連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第2速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてから最後の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第2速度総数記録時間が、連続記録されるべき前記記録媒体全てに対する前記目標速度を前記第1速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてから最後の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第1速度総数記録時間より短くなるように、前記第2速度を決定することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の記録装置。
  7. 互いに異なる複数の連続記録数と、前記連続記録数のそれぞれに対応する前記目標速度とを含むテーブルが記憶されたテーブル記憶部をさらに備え、
    前記制御部が、前記テーブル記憶部に記憶された前記テーブルを参照して、前記目標速度を決定することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の記録装置。
  8. 前記制御部は、前記目標速度を前記第2速度とした記録が完了する前に新たな記録要求を受信し、当該新たな記録要求に含まれる記録数n(n:記録要求に応じて連続して記録されるべき前記記録媒体の数・正の整数)と前の記録要求において記録が未だ行われていない記録媒体の数との合計がqを超える場合、前記目標速度を前記第2速度から前記第1速度に切り換え、且つ、前記新たな記録要求を受信してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  9. 前記制御部は、前記新たな記録要求を受信してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 前記制御部は、連続記録が行われる際、1番目からm番目(m:2以上の所定の整数)までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定し、m+1番目以降の前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  11. 前記制御部は、m番目の前記記録媒体に対する記録が完了してから前記搬送ベルトの駆動速度が前記第1速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
  12. 前記制御部は、m番目の前記記録媒体に対する記録が完了してから前記搬送ベルトの駆動速度が前記第1速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することを特徴とする請求項10又は11に記載の記録装置。
  13. 前記制御部は、
    1番目からm番目までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第2速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてからm番目の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第2速度記録時間が、1番目からm番目までの前記記録媒体に対する前記目標速度を前記第1速度に決定した場合の、前記搬送ベルトが駆動し始めてからm番目の前記記録媒体に対する記録が完了するまでの第1速度記録時間より短くなるように、前記第2速度を決定することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の記録装置。
  14. 前記制御部は、
    互いに異なる複数の前記第2速度のそれぞれについて前記第2速度記録時間を算出し、当該算出された時間のうち最も短い時間に対応する第2速度を採用することを特徴とする請求項13に記載の記録装置。
  15. 前記制御部は、前記目標速度を前記第2速度とした記録が完了する前に新たな記録要求を受信し、当該新たな記録要求に含まれる記録数n(n:記録要求に応じて連続して記録されるべき前記記録媒体の数・正の整数)がq(q:所定の正の整数)を超える場合、前記目標速度を前記第2速度から前記第1速度に切り換え、且つ、前の記録要求に係る記録が完了してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記搬送ベルトが駆動し続けるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の記録装置。
  16. 前記制御部は、前の記録要求に係る記録が完了してから当該新たな記録要求において前記搬送ベルトの駆動速度が前記目標速度に到達するまでの間、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されないように前記載置部を制御することを特徴とする請求項15に記載の記録装置。
  17. 前記搬送ベルトの駆動速度を検知するセンサをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の記録装置。
  18. 前記制御部は、前記センサによって検知される速度が前記目標速度に到達した後に、前記記録媒体が前記搬送ベルトの前記外周面に載置されるように前記載置部を制御することを特徴とする請求項17に記載の記録装置。
  19. 前記記録ヘッドがインクジェットヘッドであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の記録装置。
  20. 前記搬送ベルトの前記外周面が、前記載置部と、前記記録媒体を前記搬送ベルトの前記外周面から剥離する剥離部との間において、水平に延在していることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の記録装置。
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