JP4550552B2 - 磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気ランダムアクセスメモリ、磁気抵抗効果素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM: Magnetic Random Access Memory)と、それを用いた電子カードおよび電子装置に係り、特にトンネル型磁気抵抗効果により“1”/“0”情報の記憶を行う素子を利用して構成した磁気メモリセルの構造に関する。
近年、新たな原理により情報を記憶するメモリが数多く提案されている。そのうちの1つに、トンネル型磁気抵抗(Tunneling Magneto Resistive)効果を用いて“1”/“0”情報の記憶を行う強磁性トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction : MTJ)素子を利用して構成した磁気メモリセルを行列状に配置したMRAMが提案されている(非特許文献1)。MRAMは、不揮発性、高速性の特徴を併せ持つ。
MTJ素子は、バリア層と2つの磁性層から構成され、一方の磁性層が反強磁性層によって、その磁化方向が固着された形態が良く利用される。他方の磁性層は外部磁界により磁化方向を変えることができる。磁化の向きが可変な磁性層は例えば記録層、磁化の向きが固定された磁性層は例えば固定層などと呼ばれる。
磁性層の磁化反転は、他の磁性層からの漏れ磁界、および磁性層の表面のラフネス(粗さ)等に応じてシフト(変化)する。すなわち、磁界(H)と磁化(M)とからなる平面上で表される、磁性体の磁化曲線のヒステリシスループが本来の位置よりずれる。従来は、記録層の磁化反転シフトは固定層からの漏れ磁界に起因するシフトと積層構造のラフネスに起因するシフトが同時に存在したため、素子間の反転磁界のばらつきが、非常に大きい。記録層の磁化反転シフトの大きさは、1Oe以下にすることが好ましく、概略0にすることがより好ましい。ラフネスを0とすることは、本来的に困難であるため、固定層からの漏れ磁界に起因する記録層の磁化反転シフトとラフネスに起因するものとを、それぞれ同時に概略0にすることはできない。このため、従来は、ラフネスに起因するシフトと漏れ磁界に起因するシフトが互いに相殺するように固定層の膜厚を調整して、磁化反転のシフトが概略0になるように調整されている。しかしながら、この調整方法では膜厚ばらつき、加工ばらつきが発生することにより、記録層の磁化反転およびシフトがばらついてしまう。
特開2004-128237(特許文献1)は、“Effect of finite magnetic film thickness on Neel coupling in spin valves”, J. C. S. Kools et. al., J. Appl. Phys. 85 (1999) p.4466-68を元にして、第1の強磁性層23cの飽和磁化を第2の強磁性層23aの飽和磁化よりも小さくする技術を開示する。すなわち、特許文献1では、第1の強磁性層と第2の強磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの差を大きくして、ラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトのみを概略0にしている。しかしながら、第1の強磁性層と第2の強磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントの差が大きいため、漏れ磁界に起因するシフトは概略0とはならない。また、固定層端部と記録層の距離を離すことにより、膜厚差が大きい場合に、漏れ磁界に起因するシフトを比較的小さくすることができたとしても、微細化には不向きなため、大容量のMRAMを考えた場合、現実的な手法とはいえない。
特開2004-128237号公報 Roy Scheuerlein et.al. "A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell", ISSCC2000 Technical Digest pp.128〜pp.129 J. C. S. Kools et. al. "Effect of finite magnetic film thickness on Neel coupling in spin valves", J. Appl. Phys. 85 (1999) p.4466-68
本発明は、磁化反転のシフトを低減することが可能な磁気抵抗効果素子およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の第1の視点による磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントの値がm1である第1強磁性層と、前記第1強磁性層と接し、前記第1強磁性層との間の界面のラフネスの振幅の値がh1である非磁性層と、前記非磁性層の前記第1強磁性層と反対の面と接し、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントの値がm1より小さいm2であり、前記非磁性層との間の界面のラフネスの振幅の値がh2である第2強磁性層と、前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対の面と接し、前記第2強磁性層との間の界面のラフネスの振幅がh1およびh2より小さいh3であるバリア層と、前記バリア層の前記第2強磁性層と反対の面と面し、磁化方向が可変な第3強磁性層と、を具備することを特徴とする。
本発明の第2の視点による磁気抵抗効果素子の製造方法は、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントがm1である第1強磁性層を形成する工程と、前記第1強磁性層上に非磁性層を形成する工程と、前記非磁性層上に、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントがm1より小さいm2である第2強磁性層を形成する工程と、前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対の面を平滑化する工程と、前記第2強磁性層上にバリア層を形成する工程と、前記バリア層上に、磁化方向が可変な第3強磁性層を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、磁化反転のばらつきを低減することが可能な磁気抵抗効果素子およびその製造方法を提供できる。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(1)実施形態
図1(a)は、本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのMTJ素子を模式的に示す図である。図1(a)に示されるように、MTJ素子1は、磁性層からなる記録層(自由層、フリー層)11と固定層(固定磁化層、固着層、ピン層)12との間にトンネルバリア層13が挟まれた積層構造を有する。このような構造とすることにより、TMR効果を利用することができる。固定層12は、非磁性層22を介して反強磁性的に結合した第1強磁性層21と第2強磁性層23とからなる、いわゆるシンセティック構造になっている。トンネルバリア層13は、第2強磁性層23の上に位置する。固定層12の下方には、反強磁性層14が設けられ、これにより固定層12の磁化の向きは固定されている。一方、記録層(第3強磁性層)11には、このような磁化の向きを固定する機構は設けられておらず、磁化の向きが自由に変化する。MTJ素子1の構造は、これに限らず、例えば図1(b)に示すように、固定層12が、順に積層された第1強磁性層21、第1非磁性層31、第2強磁性層23、第2非磁性層32、第3強磁性層33から構成されていても良い。また、例えば図1(c)に示すように、第2強磁性層23が複数の層23a乃至23cから構成されていても良い。
第1強磁性層21および第2強磁性層23の材料として、Co、Fe、Niの少なくともいずれか1つの元素を含む合金を用いることができる。Co、Fe、Niおよびこれらを含んだ合金の飽和磁化はスレーターポーリング曲線により知る事ができる。また、これらの層をアモルファス材料および微結晶材料により構成することができる。この場合、Co、Fe、Niの少なくともいずれか1つの元素を含む合金に、B、C、N、Si、Ta、Zr、Nb等を添加して形成することができる。また、これらの材料からなる磁性層を2層以上、積層した構成としてもよい。この場合、積層した磁性層はそれぞれ強磁性的に結合しており、磁化方向がほぼ同じ方向を向いている。
非磁性層22の材料として、Ru、Rh、Re、Os、Ir、V、Cr、Cu、Nb、Mo、Ta、W、あるいは少なくともいずれか1元素を含む合金を用いることができる。
反強磁性層14の材料として、Pt、Ir、Pd、Rh、Ru、Crの中の少なくとも1つの元素とMnとの合金を用いることができる。また、反強磁性層14の面方位を(111)に配向させて用いることができる。この場合の下地として、4A程度の格子定数を持つFCC構造、2.8A程度の格子定数を持つBCC構造をもつ材料、例えば、Pt、Rh、Pd、Ir、Cu、Al等を用いることができる。また、Ru、NiFe、NiCr、NiFeCr等を用いても良い。
トンネルバリア層12の材料として、Al−O、Mg−O、Si−O、Al−N、Si−N、CeーO、Hf−O、あるいはそれらの混合物等を用いることができる。その他、トンネル磁気抵抗効果を示す材料であれば何でも良い。
図2、図3は、固定層12と記録層11の磁化の向きの2つの状態を模式的に示している。図2に示すように、固定層12、記録層11の磁化の向き(図中の矢印の向き)が平行(同じ)である場合は、トンネルバリア層13のトンネル抵抗は最も低くなる(トンネル電流が最も大きくなる)。一方、図3に示すように、固定層12、記録層11の磁化の向きが反平行である(異なる)場合は、トンネルバリア層13のトンネル抵抗は最も高くなる(トンネル電流が最も小さくなる)。これら2つの状態を、例えば、“1”情報の記憶状態(“1”状態)および“0”情報の記憶状態(“0”状態)に対応させることにより、MTJ素子1は、2値の情報を記憶できる。
次に、記録層11の反転磁界のシフトを0に近づけるための条件について説明する。上記のように、通常、固定層の磁気的膜厚を調整することにより、界面のラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトと、固定層の漏れ磁界に起因するシフトとを相殺させる。このようにして、記録層の磁化反転のシフトを概略0に調整することが図られる。ところが、固定層からの漏れ磁界はMTJ素子のサイズおよび膜厚により変化するため、加工ばらつきや膜厚ばらつきに対して敏感となり、結果として反転磁界をばらつかせる原因となる。このため、漏れ磁界を概略0にするように固定層の磁気的膜厚を設定したまま、界面のラフネスに起因するシフトを概略0にすることが望ましい。
シンセティックピン構造の場合、以下の条件を満たすことにより、漏れ磁界に起因する記録層の反転磁界のシフトを概略0にすることができる。すなわち、第1強磁性層21の磁気的膜厚(単位面積辺りの磁気モーメント)m1と、第2強磁性層23の磁気的膜厚m2との比(m2/m1)を0.5以上とすることが求められる。好ましくは0.8以上1.0以下程度に調整することが望ましい。
また、漏れ磁界に起因する反転磁界のシフトはMTJ素子の加工方法に依存するが、シンセティックピン構造の場合には第1強磁性層21と第2強磁性層23の膜厚を適切に調整することにより、加工方法の影響を極めて小さくできる。つまり、MTJ素子1を加工した際に、第1強磁性層21と第2強磁性層23から発生する漏れ磁界が記録層11の位置でほぼ0になるような膜厚に調整すれば良い。
図17および図18に示すように、例えば、MTJ素子1の加工方法は記録層11とピン層のサイズが違う2段階のエッチング方法(図17)とそれらのサイズがほぼ同じになる1段階のエッチング方法(図18)がある。このように、加工方法が大きく異なる場合でも、固定層12を構成する第1強磁性層と第2強磁性層の膜厚を調整することにより、固定層12からの漏れ磁界に起因するシフト概略0になる膜厚が存在する。なお、図17および図18では、図1(a)の構造の記録層11上にキャップ層52、上部電極51が設けられ、反強磁性層14の下に下地層53、下部電極54が設けられた状態が示されている。
一例として、図17および図18の形状を仮定してLLGシミュレーションを行った。記録層11の膜厚、飽和磁化、異方性エネルギー密度はそれぞれ3nm、850emu/cc、1×103erg/ccとした。第1強磁性層21の膜厚、飽和磁化、異方性エネルギー密度はそれぞれ1.5nm、1400emu/cc、8×104erg/ccとし、反強磁性層14との交換結合磁界が750Oeとなるように一方向異方性を付与した。第2強磁性層23の飽和磁化、異方性エネルギー密度はそれぞれ1400emu/cc、1×104erg/ccとした。非磁性層22の膜厚は1nmとし、層間の反強磁性結合エネルギー密度の大きさを0.7erg/cm 2 に設定した。バリア層13の膜厚は1nmとした。
これらの条件で記録層11の磁化反転過程を計算したところ、記録層11の磁化反転にシフトが見られた。計算では、各界面はフラットであると仮定しており、ラフネスに起因する記録層11の磁化反転のシフトは現れないため、ここで見られたシフトは漏れ磁界に起因する記録層11の磁化反転のシフトである。
シフト量を第2強磁性層23の膜厚を変えて計算したところ、図17および図18の加工形状でそれぞれ図19のようになった。図19より分かるように、漏れ磁界に起因する記録層11の磁化反転のシフトが0になる第2強磁性層膜厚は、図17および図18の加工形状でそれぞれ1.35nm、1.4nmと見積もることができ、加工形状によらずにほとんど同じ膜厚であることが分かる。ここで、第1強磁性層21と第2強磁性層23の磁気的膜厚(飽和磁化と膜厚の積)m1、m2の比m2/m1は図17および図18の加工形状でそれぞれ0.9、0.93である。実際のMTJ素子の加工では、素子の断面形状がテーパーを引く、MTJ素子相互間での膜厚がばらつく、等の理由により、m2/m1は0.8以上1.0未満、好ましくは、セルの製造ばらつきを考慮すると、0.98以下、さらに好ましくは0.95以下程度にすることがより望ましい。
界面ラフネスに起因するシフトに関しては、" Effect of finite magnetic film thickness on Neel coupling in spin valves", J. C. S. Kools et. al., J. Appl. Phys. 85 (1999) p.4466-68(非特許文献2)に解析式が報告されている。発明者らは、解析式をシンセティックピン構造に拡張し、さらに反転磁界がばらつくというMRAM特有の問題点を考慮して本発明に至った。
シンセティックピン構造では、界面ラフネスと記録層の反転磁界がシフトする方向および大きさは、以下のような関係がある。すなわち、トンネルバリア層13と第2強磁性層23との界面、および第1強磁性層21と反強磁性層14との界面は、第2強磁性層23と非磁性層22との界面、および第1強磁性層21と非磁性層22との界面、と逆方向に記録層11の反転磁界をシフトさせる。より詳しくは、トンネルバリア層13と第2強磁性層23との界面および第1強磁性層21と反強磁性層14との界面は、その界面ラフネスが小さくなるに連れ、記録層11の反転磁界のシフトの大きさが小さくなる。一方、第2強磁性層23と非磁性層22との界面および第1強磁性層21と非磁性層22との界面は、その界面ラフネスが大きくなるに連れ、記録層11の反転磁界のシフトの大きさが小さくなる。
また、記録層11に近い界面の方が、記録層11の反転磁界のシフトに与える影響が大きくなる。第1強磁性層21と反強磁性層14との界面は他の界面に比べて記録層11からの距離が離れているため、記録層11の反転磁界のシフトに対する寄与が最も小さい。この界面が現実的な範囲、例えばラフネスが0.1nm以上1nm以下の範囲で変化したとしても、後述のように、他の界面のラフネスを調整することにより、界面ラフネスおよび漏れ磁界に起因する記録層11のシフトをそれぞれ同時に概略0にすることができる。
また、反強磁性層14はピン特性を向上させるため、結晶成長させることが望ましい。この場合、粒成長に伴ってラフネスは増加する。このため、第1強磁性層21と反強磁性層14の界面は通常、平滑性はあまり良くない。
以上より、トンネルバリア層13により近い界面、すなわちトンネルバリア層13と第2強磁性層23との界面が、第2強磁性層23と非磁性層22との界面および第1強磁性層21と非磁性層22との界面よりも平滑化されることが好ましい。従来は、各界面のラフネスは同じ、または上層の界面のラフネスの方が下層の界面のラフネスより大きい。これに対して、本実施形態では、各界面のラフネスを人為的に調整して各界面から記録層11のシフトへの寄与が全体として相殺されるように個別に調整される。その際、同時に、第1強磁性層21の磁気的膜厚m1と、第2強磁性層23の磁気的膜厚m2との比(m2/m1)が0.5以上であることが好ましい。
以下、界面ラフネスの振幅hおよび周期λとして、図4のように定義されたものが用いられる。すなわち、振幅hは、各層の表面が略一定の振幅で振動していると仮定した場合の、最も隆起している部分と、最も陥没している部分との高さの差により定義される。周期λは、最大(最小)に振幅する位置の間の距離である。
次に、MTJ素子1の各層の界面ラフネスに起因する記録層11の反転磁界のシフトを0に近づける方法をより具体的に説明する。図5は、本発明の実施形態に係る、界面ラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトの第2強磁性層膜厚依存性の、種々の界面ラフネスにおけるシミュレーション結果を示している。ここで、各層が以下に示す特性を有する場合におけるシミュレーションが行われた。まず、第1強磁性層21の膜厚は2.5nm、非磁性22の膜厚は0.9nm、第1強磁性層21の飽和磁化は1500emu/ccであり、第2強磁性層23の飽和磁化は1000emu/ccである。また、記録層11の膜厚は5nm、飽和磁化は800emu/ccである。トンネルバリア層13の膜厚は1.3nmである。また、界面ラフネスの周期は15nmである。
上記した特性を有するサンプルにおいて、まず、MTJ素子1の各層の界面ラフネスの振幅が0.2nmまたは0.7nmと全て一定である場合の結果を一点鎖線、破線によりそれぞれ示す。図5に示すように、界面ラフネスに起因する記録層11の反転磁界のシフトが概略0となる第2強磁性層23の膜厚は0.9nm程度となる。しかしながら、この場合、第1強磁性層21の磁気膜厚m1と、第2強磁性層23の磁気膜厚m2の比(m2/m1)が0.5以上とならない。このため、固定層12からの漏れ磁界による記録層11の反転磁界のシフトは概略0にならない。
そこで、発明者らは、反強磁性層14から、非磁性層22と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスの振幅と、第2強磁性層23とトンネルバリア層13との界面のラフネスの振幅と、を異なる値とした。この結果を実線により示す。この場合、第2強磁性層23とトンネルバリア層13との界面のラフネスの振幅を0.2nm、反強磁性層14から、非磁性層22と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスの振幅を0.7nmとしている。図5に示されるように、界面ラフネスに起因する記録層11の反転磁界のシフトが概略0となる第2強磁性層23の膜厚は3nm程度となる。この場合、第1強磁性層21の磁気膜厚m1と、第2強磁性層23の磁気膜厚m2の比(m2/m1)が0.86程度となり、0.5以上の条件を満たしている。したがって、界面ラフネスおよび固定層12からの漏れ磁界に起因する記録層11の反転磁界のシフトを、ともに概略0とすることができる。
図6は、本発明の実施形態に係る、界面ラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトの第2強磁性層膜厚依存性の実験結果を示している。図6の関係を得るにあたり、まず、以下に示すサンプルを用いて測定されたデータがプロットされている。そのサンプルは、まず、MTJ素子はシード層としての膜厚50nmのTa膜の上に、反強磁性層としての15nmのPtMn膜が設けられている。反強磁性層の上には、第1強磁性層としての膜厚2.4nmのCoFe、非磁性層としての膜厚0.8nmのRu膜が設けられる。非磁性層上には、第2強磁性層、トンネルバリア層としての膜厚1.5nmのAl−O膜、記録層としての膜厚4nmのNiFe膜、キャップ層としての膜厚1nmのRu膜が順次形成されている。
ここで、実験例は第2強磁性層を形成後、逆スパッタによる平滑化処理を行っており、比較例は平滑化処理を行わずに全層を形成した。つまり、実験例は第2強磁性層とトンネルバリア層との界面が、非磁性層と第2強磁性層の界面よりも平滑になっていることが期待できる。第2強磁性層の表面のラフネスを原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy ; AFM)で測定したところ、平均ラフネスは比較例および実験例でそれぞれ0.35nm、0.22nmであった。
次に、上記の実験により得られた値をフィッティングした。図6中の破線は、実験例および比較例の測定データをそれぞれフィッティングしたものである。フィッティングに際し、各層の膜厚は記録層の膜厚を3.7nmに設定した以外はすべて上述した設定値とした。また、記録層の飽和磁化は740emu/ccとし、固定層の飽和磁化は第1強磁性および第2強磁性層ともに1400emu/ccとした。また、ラフネスの周期は18nmに設定した。このとき、実験例は、反強磁性層から、非磁性層と第2強磁性層との界面までに位置する界面のラフネスの振幅を0.52nm、第2強磁性層とトンネルバリア層との界面のラフネスの振幅を0.39nmとしている。一方、比較例は全界面のラフネスの振幅を0.52nmとした。
フィッティングの際に用いられた、界面のラフネスの振幅が、実際に測定された平均ラフネスと概ね一致していることを以下に説明する。原子間力顕微鏡で測定された平均ラフネスRaは、以下のように表される。
Figure 0004550552
但し、Ziはラフネスの各測定ポイント、Zcpは全測定ポイントにおけるラフネスの基準値、Nは測定ポイントの数、hはラフネスの振幅である。ここで、ラフネスZは周期的であると仮定して、
Z=h×sin(2πx/λ)とした。但し、λは振幅の周期である。ここで、xは測定表面の面内方向(任意の方向)の距離(座標)である。
上記のように、実験例および比較例で測定された表面の平均ラフネスRaはそれぞれ0.22nm、0.35nmである。これらを、上の式を用いて、表面ラフネスの振幅に換算すると、それぞれ0.35nm、0.55nmとなる。これらの値は、フィッティング時に用いられた条件、0.39nm、0.52nmとほぼ一致している。すなわち、フィッティングにより得られた結果は、測定データが正しく反映していると言える。
なお、ラフネスの振幅はMTJ素子の断面TEM像から解析しても良い。この場合、各界面を周期関数でフィッティングして周期および振幅を決定すれば良い。
図6から分かるように、ラフネスに起因する磁化反転のシフトが概略0となる第2強磁性層の膜厚が実験例で1.4nm、比較例で0.8nmであることが分かる。これは図4に示した計算結果と同様に、界面のラフネスを制御することにより、漏れ磁界に起因する磁化反転のシフトを概略0に保ったまま、ラフネスに起因するシフトを概略0にすることができることを示している。
図20乃至図24は、本発明の実施形態に係る、第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図である。比m2/m1とラフネス差との関係は図5と同様のシミュレーションを行った結果によるものである。ラフネスに起因する記録層11の反転磁界のシフトが0になる第2強磁性層23の膜厚を計算し、磁気的膜厚m2から比m2/m1を見積もった。図20乃至図23において、第1強磁性層21の膜厚は2.5nm、第1強磁性層21の飽和磁化Ms1は1500emu/cc(図23のみ1000emu/cc)であり、第2強磁性層23の飽和磁化Ms2は500emu/cc乃至2000emu/ccである。また、記録層11の膜厚は5nm、飽和磁化は800emu/ccである。バリア層13の膜厚は1.3nmである。また、界面ラフネスの周期は15nmである。
ここで、反強磁性層14から、非磁性層22と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスの振幅が等しいと仮定し、haとする。第2強磁性層23とトンネルバリア層13との界面から記録層11の上側の界面(図17、図18のキャップ層52との界面)までの各界面のラフネスの振幅を等しいと仮定し、hbとする。ここで、ラフネス差とは、ha−hbで表される。図20はha=0.7nmとした場合の計算結果である。ラフネス差が大きくなるにつれて、比m2/m1が大きくなることが分かる。ラフネス差が同じ場合は、第2強磁性層23の飽和磁化Ms2が大きいほど、比m2/m1が大きくなることが分かる。図20から分かるように、ラフネス差が0.2nm以上0.5nm以下の範囲であれば、多くの場合において比m2/m1が0.5以上1.0未満、好ましくは、セルの製造ばらつきを考慮すると、0.98以下、さらに好ましくは0.95以下の範囲に収まる。すなわち、ラフネス差0.2nm以上0.5nm以下の範囲とすることにより、比m2/m1を0.5以上1.0以下の範囲に設定しやすくなる。
図21、図22はhaをそれぞれ0.6nm、0.4nmにした場合の計算結果であり、図20と同様の傾向にあることが分かる。図23はhaを0.6nmとし、第1強磁性層21の飽和磁化Ms1を1000emu/ccとしたときの計算結果である。第1強磁性層21の飽和磁化Ms1が1500emu/ccである図21と比較すると、ラフネス差および第2強磁性層23の飽和磁化Ms2が同じ場合では、比m2/m1が大きくなる傾向があることが分かる。これは、主に第1強磁性の磁気的膜厚m1が小さくなることに起因している。
図24に図20乃至図22のデータをまとめてプロットした図を示した。比m2/m1を0.8以上1.0未満、好ましくは、セルの製造ばらつきを考慮すると、0.98以下、さらに好ましくは0.95以下に保ちつつ、ラフネスに起因する記録層11の磁化反転のシフトが0となる条件は、第1強磁性層21の飽和磁化Ms1を1500emu/ccとした場合、ラフネス差が0.2nm以上0.5nm以下程度で、且つ第2強磁性層23の飽和磁化Ms2が1000emu/cc以上2000emu/cc以下程度の範囲で実現しやすい事が分かる。ラフネス差が小さい場合は、第2強磁性層23の磁気的膜厚を大きく設定すればよい事がわかる。
界面ラフネスの調整は、非常に弱いパワーでの逆スパッタ、低い酸素ガス圧に暴露するサーファクタント等による平滑化処理により行うことができる。逆スパッタとは、例えば、基板に電圧を印加して基板近傍にプラズマ放電を起こし、Arイオンを基板面に引き込むことにより行うことができる。その一例として、逆スパッタは、“Over 60% TMR at room temperature in MTJ films prepared with surface modification process”, K. Tsunekawa et. al., Digests of 9th joint MMM/Intermag conference, BD-03 (2004)に示されている。サーファクタントは“Low resistance magnetic tunnel junctions and their interface structures”, J. Fujikita et. al., J. Appl. Phys. 89 (2001) p.7558-60、“Improvement of MR ratio and reduction of interlayer coupling field in Current-In-Plane spin valve prepared with oxygen surfactant layer”, M. Nagai et. al., Digests of 9th joint MMM/Intermag conference, FR-07 (2004) に示されている。
以上、述べたように、第1強磁性層21、第2強磁性層23の磁気的膜厚を調整した状態のまま、第2強磁性層23とトンネルバリア層13との界面のラフネスを、反強磁性層14から、非磁性層22と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスより小さくすることによって、固定層12からの漏れ磁界に起因する記録層11の反転磁界のシフトと、界面ラフネスに起因する反転磁界のシフトとを概略0にすることができる。
(2)第1実施例
次に、各種の実施例について、以下に説明する。第1実施例として、以下のMTJ素子を作製した。まず、シード層としての膜厚5nmのTa膜の上に、下地層としての膜厚4nmのNiFeCr膜、反強磁性層14としての膜厚15nmのPtMn膜が形成される。次に、第1強磁性層21としての膜厚2.5nmのCo0.9Fe0.1膜、非磁性層22としての膜厚0.9nmのRu膜、第2強磁性層23としての膜厚2nmのCo0.75Fe0.25膜が形成される。次に、トンネルバリア層としての膜厚1.2nmのAl−O膜、記録層11としての膜厚5nmのNiFe膜、キャップ層としての5nmのTa膜が形成される。なお、逆スパッタ工程を加えられた層の膜厚は、0.2乃至0.4nm減少する。このため、逆スパッタ工程の対象となる層の膜厚は、上記の目的の膜厚(例えば、第2強磁性層23の場合、2nm)に、逆スパッタ工程の前の段階で、0.2乃至0.4nm上乗せした厚さを有している必要がある。以下の他の実施例に関しても同じである。
このような構造により、第1強磁性層21、第2強磁性層23の飽和磁化はそれぞれ1500emu/cc、1700emu/ccとなる。非磁性層22まで形成された段階と第2強磁性層23まで形成された段階でのそれぞれの表面のラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面のラフネスの平均値は、それぞれ0.35nm、0.4nmであった。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面、および第1強磁性層21と非磁性層22との界面のラフネスの平均値は、非磁性層22と第2強磁性層23との界面のラフネスとほぼ同じ0.35nmである。第2強磁性層23が形成された後、連続して(成膜装置から出すことなく)逆スパッタの工程を加えた。この結果、表面のラフネスの平均値が0.4nmから0.2nmに低減した。
確認のため、第2強磁性層23の膜厚を1nmから5nmの範囲で1nm刻みに成膜し、ラフネスに起因する反転磁界のシフトを測定した。その結果、逆スパッタ後の膜厚が2nmでほぼ反転磁界のシフトが0になることが確認できた。このとき、比m2/m1は0.85であった。この際、漏れ磁界による反転磁界のシフトも概略0である。
逆スパッタ後の第2強磁性層23の膜厚を2nmに設定し、0.3μm×0.75μmの楕円形状の素子を作製し、反転磁界を測定した。1000個の素子を測定し、そのばらつきを評価した。また、比較例として、逆スパッタ工程を含まないこと、第2強磁性層23の膜厚を3nmに設定したこと以外は同様の方法で素子を作製した。比較例は、ラフネスに起因するシフトが10Oeあるため、第2強磁性層23を厚くすることにより、漏れ磁界に起因するシフトによってラフネスに起因するシフトを相殺してほぼ0に設定してある。本実施例と比較例を比較した結果、本実施例における反転磁界ばらつきが5%であったのに対し、比較例では10%であった。以上より、ラフネスに起因するシフトと漏れ磁界に起因するシフトを同時に0にすることにより、反転磁界のばらつきを低減できる事が確認できた。
(3)第2実施例
第2実施例として、以下のMTJ素子を作製した。まず、シード層としての膜厚5nmのTa膜上に、下地層としての膜厚1.5nmのNiFe膜、反強磁性層14としての膜厚10nmのIrMnが形成される。次に、第1強磁性層21としての膜厚2.5nmのCo0.6Ni0.3Fe0.1膜、非磁性層22としての膜厚0.9nmのRu膜、第2強磁性層23としての膜厚1.8nmのCo0.9Fe0.1膜が形成される。次に、トンネルバリア層13としての膜厚1.3nmのAl−O膜、記録層11としての膜厚5nmのNiFe膜、キャップ層としての膜厚5nmのTa膜が形成されている。
このような構造により、第1強磁性層21、第2強磁性層23の飽和磁化はそれぞれ1200emu/cc、1500emu/ccとなる。非磁性層22まで形成された段階と第2強磁性層23まで形成された段階でのそれぞれの表面のラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面のラフネスの平均値は、それぞれ0.35nm、0.4nmであった。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面、および第1強磁性層21と非磁性層22との界面のラフネスの平均値は、非磁性層22と第2強磁性層23との界面のラフネスとほぼ同じ0.35nmである。第2強磁性層23が形成された後、低圧の酸素ガスに暴露してサーファクタント効果を利用したところ、表面のラフネスの平均値が0.4nmから0.2nmに低減した。
本実施例においても、第1実施例と同様の方法によって、反転磁界のばらつきの低減効果を確認できた。
(4)第3実施例
第3実施例として、以下のMTJ素子を作製した。まず、シード層としての膜厚5nmのTa膜の上に、下地層としての膜厚4nmのRu膜、反強磁性層14としての膜厚15nmのPtMn膜が形成される。次に、第1強磁性層21としての膜厚2.5nmのCo0.6Ni0.3Fe0.1膜、非磁性層22としての膜厚0.9nmのRu膜、アモルファス材料からなる第2強磁性層23としての膜厚2.5nmのCo0.6Fe0.20.2膜が形成される。次に、トンネルバリア層13としての膜厚1.3nmのAl−O膜、記録層11としての膜厚5nmのNiFe膜、キャップ層としての膜厚5nmのTa膜が形成される。アモルファス材料を用いることにより、非アモルファス材料より平滑な表面の膜を形成できる。
このような構造により、第1強磁性層21、第2強磁性層23の飽和磁化はそれぞれ1000emu/cc、900emu/ccとなる。非磁性層22まで形成された段階と第2強磁性層23まで形成された段階でのそれぞれの表面のラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面のラフネスの平均値はそれぞれ0.4nm、0.15nmに低減した。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面、および第1強磁性層21と非磁性層22との界面のラフネスの平均値は、非磁性層22と第2強磁性層23との界面のラフネスとほぼ同じ0.4nmである。
本実施例においても、第1実施例と同様の方法によって、反転磁界のばらつきの低減効果を確認できた。
(5)第4実施例
第4実施例として、以下のMTJ素子を作製した。まず、シード層としての膜厚5nmのTa膜の上に、下地層としての膜厚4nmのRu膜、反強磁性層14としての膜厚15nmのPtMn膜が形成される。次に、第1強磁性層21としての膜厚2.5nmのCo0.9Fe0.1膜、非磁性層22としての膜厚0.9nmのRu膜、第2強磁性層23としての膜厚1nmのCo0.8Fe0.2膜/膜厚1nmのNi0.8Fe0.2膜の積層構造が形成される。次に、トンネルバリア層13としての膜厚1.3nmのAl−O膜、記録層11としての膜厚5nmのNiFe膜、キャップ層としての膜厚5nmのTa膜が順次形成される。
このような構造により、第1強磁性層21、第2強磁性層23の飽和磁化はそれぞれ1500emu/cc、1300emu/ccとなる。ただし、第2強磁性層23は2層を積層しているが、1層として飽和磁化を計算した。非磁性層22まで形成された段階と第2強磁性層23まで形成された段階でのそれぞれの表面のラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面のラフネスの平均値はそれぞれ0.35nm、0.4nmであった。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面、および第1強磁性層21と非磁性層22との界面のラフネスの平均値は、非磁性層22と第2強磁性層23との界面のラフネスとほぼ同じ0.35nmである。第2強磁性層を形成後、連続して逆スパッタの工程を加えたところ、表面のラフネスが0.4nmから0.2nmに低減した。
本実施例においても、第1実施例と同様の方法によって、反転磁界のばらつきの低減効果を確認できた。
(6)第5実施例
第5実施例として、以下のMTJ素子を作製した。本実施例では、固定層12が、第1乃至第3強磁性層と、第1、第2非磁性層とから構成される。すなわち、図1(b)に示すように、固定層12において、反強磁性層14側から順に、第1強磁性層21、第1非磁性層31、第2強磁性層23、第2非磁性層32、第3強磁性層33が順次積層されている。第3強磁性層33上にトンネルバリア層13が設けられる。この場合、第3強磁性層33とトンネルバリア層13との界面のラフネスの振幅が、これより下に位置する界面のラフネスの振幅より小さくなるように調整される。
まず、シード層としての膜厚5nmのTa膜の上に、下地層としての膜厚の4nmのNiFeCr膜、反強磁性層14としての膜厚15nmのPtMn膜が形成される。次に、第1強磁性層21としての膜厚2nmのCo0.9Fe0.1膜、第1非磁性層31としての膜厚0.9nmのRu膜、第2強磁性層23としての膜厚2nmのCo0.9Fe0.1膜、第2非磁性層32としての膜厚0.9nmのRu膜、第3強磁性層33としての膜厚2nmのCo0.5Fe0.3Ni0.2膜が形成される。次に、トンネルバリア層13としての膜厚の1.2nmAl−O膜、記録層11としての膜厚5nmのNiFe膜、キャップ層としての膜厚5nmのTa膜が順次形成される。第2強磁性層23と第3強磁性層33とは、第2非磁性層32を介して反強磁性的に結合しており、第1強磁性層21と第2強磁性層23とは第1非磁性層31を介して反強磁性的に結合している。
このような構造により、第1強磁性層21、第2強磁性層23、第3強磁性層33の飽和磁化はそれぞれ1500emu/cc、1500emu/cc、1300emu/ccである。第2強磁性層23まで形成された段階と第3強磁性層33まで形成された段階でのそれぞれの表面ラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面ラフネスの平均値はそれぞれ0.4nm、0.5nmであった。第3強磁性層33が形成された後、連続して逆スパッタの工程を加えたところ、表面ラフネスが0.5nmから0.2nmに低減した。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面から第1非磁性層31と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスの平均値は、第2強磁性層23と第2非磁性層32との界面のラフネスとほぼ同じ0.4nmである。本実施例のように、反強磁的に結合した強磁性層を2層から3層にすることにより、界面ラフネスに起因するシフトを0に保ったまま、漏れ磁界に起因するシフトを微調整することができる。
本実施例においても、第1実施例と同様の方法によって、反転磁界のばらつきの低減効果を確認できた。
(7)第6実施例
第6実施例として、以下のMTJ素子を作製した。図1(c)に示すように、第2強磁性層23が膜厚0.75nmのCo0.9Fe0.1膜23a、膜厚1nmのCo0.56Fe0.24Ta0.2膜23b、膜厚0.75nmのCo0.9Fe0.1膜23cが積層されて形成されていること以外は、第1実施例と同様のMTJ素子を作製した。磁性層が3層積層されてなる第2強磁性層23は1つの磁性層として振る舞い、各磁性層23a乃至23cの飽和磁化および膜厚から第2強磁性層23を1つの磁性層として見た場合、膜厚5nm、飽和磁化1200emu/ccとなる。なお、Co0.9Fe0.1膜23a、23c、Co0.56Fe0.24Ta0.2膜23bの飽和磁化はそれぞれ1500emu/cc、550emu/ccである。
非磁性層22まで形成された段階とCo0.56Fe0.24Ta0.2膜23bおよびCo0.9Fe0.1膜23cまで形成された段階でのそれぞれの表面のラフネスを原子間力顕微鏡で測定したところ、表面のラフネスの平均値は、それぞれ0.35nm、0.4nm、0.42mであった。なお、反強磁性層14と第1強磁性層21との界面からCo0.9Fe0.1膜23aとCo0.56Fe0.24Ta0.2膜23bとの界面までの各界面のラフネスの平均値は、非磁性層22とCo0.9Fe0.1膜23aとの界面のラフネスとほぼ同じ0.35nmである。
Co0.56Fe0.24Ta0.2膜23bが形成された後、連続して(成膜装置から出すことなく)逆スパッタの工程を加えた。さらに、Co0.9Fe0.1膜23cが形成された後、連続して逆スパッタの工程を加えた。この結果、Co0.56Fe0.24Ta0.2膜23bの表面のラフネスの平均値が0.4nmから0.2nmに低減し、Co0.9Fe0.1膜23cの表面のラフネスの平均値が0.42nmから0.22nmに低減した。
本実施例においても、第1実施例と同様の方法によって、反転磁界のばらつきの低減効果を確認できた。
(8)適用例
本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリにおいて、メモリセルの構造は種々のタイプに適用できる。
(適用例1)
適用例1は、本実施形態に係るMTJ素子1が磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルに適用された場合に関する。図7は、MRAMのセルアレイの平面レイアウトの一例を模式的に示す。複数の書き込み/読み出し用のビット線BLと、複数のワード線WL(書き込みワード線WWL)と、が相互に異なる方向、典型的には、相互に直交する方向に延びている。ビット線BLとワード線WLの各交点には、MTJ素子1を含んだメモリセルMCが設けられる。MTJ素子1は、長方形の長辺がワード線WLに沿い、短辺がビット線BLに沿い、長辺方向に沿うように磁化の向きが付与されている。各ビット線BLは、同一行(または列)の複数のMTJ素子1の一端と電気的に接続されており、各ワード線WLは同一列(または行)の複数のMTJ素子1の他端に近接して対向するように配置されている。各メモリセルMCは、以下に示すように、例えばいわゆるクロスポイント構造 、またはいわゆる1Tr+1MTJ構造とすることができる。
ビット線BLに、紙面の右から左へ向かう方向に書き込み電流が流れることにより、このビット線BLが通るメモリセルMCに紙面の上から下に向かう磁界Hxが印加される。また、ワード線WLに、紙面の上から下に向かう方向に書き込み電流が流れることにより、このワード線WLが通るメモリセルMCに紙面の右から左へ向かう磁界Hyが印加される。ビット線BLとワード線WLの交点のメモリセルMCのMTJ素子1には2つの磁界が印加されることにより、このMTJ素子1の記録層11の磁化方向が反転する。このようにして、所定のメモリセルMCに情報が書き込まれる。
情報の読み出しは、例えば選択されたメモリセルMCの記録層11および固定層12に電圧を印加し、これを流れる電流から抵抗値を読み取ることにより行われる。または、定電流を選択メモリセルのMTJ素子1に流し、記録層11と固定層12との間の電圧を読み出すことによっても可能である。
図8は、本発明の実施形態に係るMTJ素子1が、いわゆるクロスポイント構造のメモリセルに適用された場合を示している。図8に示すように、メモリセルMCは、MTJ素子1のみから構成される。MTJ素子1の一端は、ビット線41に電気的に接続され、MTJ素子1の他端はワード線42に電気的に接続されている。ビット線41、ワード線42は、ビット線41、ワード線42の所定の方向に電流を流すためのドライバ回路、シンカ回路と接続されている。シンカ回路、ドライバ回路は、デコーダ回路と接続されている。デコーダ回路は、外部から供給されるアドレス信号に応じたMTJ素子に電流が流れるように、シンカ回路およびドライバ回路を制御する。ビット線BLは、また、センスアンプ等の読み出し系の回路と接続される。
図9は、本発明の実施形態に係るMTJ素子1が、いわゆる1Tr+1MTJ構造のメモリセルに適用された場合を示している。図9に示すように、メモリセルMCは、MTJ素子1と、読み出し用のスイッチング素子(例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ)45と、から構成される。MTJ素子1の一端はビット線41に電気的に接続される。MTJ素子1の他端は、導電層43およびコンタクト44を介してスイッチング素子45の一端に電気的に接続され、スイッチング素子45の他端は接地される。ワード線(書き込みワード線)WLは、書き込み時に電流を流すために用いられ、導電層43の下方に、導電層43と離れて位置する。ワード線WLは、ドライバ回路およびシンク回路と接続され、ドライバ回路およびシンク回路はデコーダと接続される。ビット線は、ドライバ回路、シンク回路、センスアンプ等の読み出し系の回路と接続される。
(適用例2)
図10は、本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリがモデムに適用された例を示しており、デジタル加入者線用モデムのデータパス部分を示すブロック図である。図10に示すように、このモデムは、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)100、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ110、デジタル−アナログ(D/A)コンバータ120、送信ドライバ130、および受信機増幅器140などを含んでいる。
図10では、バンドパスフィルタが省略されている。その代わりに回線コードプログラム(DSPで実行される、コード化された加入者回線情報、伝送条件等(回線コード;QAM、CAP、RSK、FM、AM、PAM、DWMT等)に応じてモデムを選択、動作させるためのプログラム)を保持するための種々のタイプのオプションのメモリが設けられる。このメモリとして、上記実施形態および適用例1の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)170を示している。
なお、本適用例では、回線コードプログラムを保持するためのメモリとして磁気ランダムアクセスメモリ170とEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)180の2種類のメモリが用いられているが、EEPROM180がMRAMに置き換えられていてもよい。すなわち、2種類のメモリを用いず、MRAMのみを用いるように構成してもよい。
(適用例3)
図11は、本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリが携帯電話端末に適用された例を示している。図11に示すように、通信機能を実現する通信部200は、送受信アンテナ201、アンテナ共用器202、受信部203、ベースバンド処理部204、音声コーデックとして用いられるDSP205、スピーカ(受話器)206、マイクロホン(送話器)207、送信部208、および周波数シンセサイザ209等を備えている。
また、この携帯電話端末300は、当該携帯電話端末の各部を制御する制御部220を有する。制御部220は、CPU(Central Processing Unit)221、ROM222、上記実施形態および適用例1の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)223、フラッシュメモリ224がCPUバス225を介して接続されて形成されたマイクロコンピュータである。ROM222には、CPU221において実行されるプログラムや表示用のフォント等に関して必要なデータが予め記憶されている。
MRAM223は、主に作業領域として用いられるものであり、CPU221がプログラムの実行中において計算途中のデータなどを必要に応じて記憶したり、制御部220と各部との間でやり取りするデータを一時記憶したりする場合などに用いられる。また、フラッシュメモリ224は、携帯電話端末300の電源がオフされても、例えば直前の設定条件などを記憶しておき、次の電源オン時に同じ設定にするような使用方法をする場合に、それらの設定パラメータを記憶しておくものである。これによって、携帯電話端末の電源がオフにされても、記憶されている設定パラメータを消失してしまうことがない。
また、携帯電話端末300は、音声データ再生処理部211、外部出力端子212、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ213、表示用のLCD214、呼び出し音を発生するリンガ215を有する。音声データ再生処理部211は、携帯電話端末300に入力された音声データ(あるいは後述する外部メモリ240に記憶された音声データ)を再生する。再生された音声データは、外部出力端子212を介してヘッドフォンや携帯型スピーカ等に伝えることにより、外部に取り出される。LCDコントローラ213は、例えばCPU221からの表示情報をCPUバス225を介して受け取り、LCD214を制御するためのLCD制御情報に変換する。この制御情報によって、LCD214が駆動され、情報が表示される。
また、携帯電話端末300は、インターフェース回路(I/F)231、233、235、外部メモリ240、外部メモリスロット232、キー操作部234、外部入出力端子236を有する。外部メモリスロット232にはメモリカード等の外部メモリ240が挿入される。外部メモリスロット232は、インターフェース回路231を介してCPUバス225に接続される。このように、携帯電話端末300にスロット232を設けることにより、帯電話端末300の内部の情報を外部メモリ240に書き込んだり、あるいは外部メモリ240に記憶された情報(例えば音声データ)を携帯電話端末300に入力したりすることが可能となる。キー操作部234は、インターフェース回路233を介してCPUバス225に接続される。キー操作部234から入力されたキー入力情報は、例えばCPU221に伝えられる。外部入出力端子236は、インターフェース回路235を介してCPUバス225に接続され、携帯電話端末300に外部から種々の情報を入力したり、あるいは携帯電話端末300から外部へ情報を出力したりする際の端子として機能する。
なお、本適用例では、ROM222、MRAM223、フラッシュメモリ224が用いられているが、フラッシュメモリ224、ROM222の両方またはいずれか一方をMRAMに置き換えることもできる。
(適用例4)
図12乃至図16は、本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリがスマートメディア等のメディアコンテンツを収納するカード(MRAMカード)に適用された例を示す。
図12に示すように、MRAMカード本体400には、MRAMチップ401が内蔵されている。カード本体400には、MRAMチップ401に対応する位置に開口部402が形成され、MRAMチップ401が露出されている。この開口部402にはシャッター403が設けられており、当該MRAMカードの携帯時にMRAMチップ401がシャッター403で保護されるようになっている。このシャッター403は、外部磁界を遮蔽する効果のある材料、例えばセラミックからなっている。データを転写する場合には、シャッター403を開放してMRAMチップ401を露出させて行う。外部端子404はMRAMカードに記憶されたコンテンツデータを外部に取り出すためのものである。
図13及び図14は、上記MRAMカードにデータを転写するための、カード挿入型の転写装置の上面図及び断面図を示している。エンドユーザの使用する第2MRAMカード450を、矢印で示すように転写装置500の挿入部510より挿入し、ストッパ520で止まるまで押し込む。このストッパ520は第1MRAM550と第2MRAMカード450を位置合わせするための部材としても働く。第2MRAMカード450が所定位置に配置されると、第1MRAMデータ書き換え制御部から外部端子530に制御信号が供給され、第1MRAM550に記憶されたデータが第2MRAMカード450に転写される。
図15には、はめ込み型の転写装置を示す。この転写装置は、矢印で示すように、ストッパ520を目標に、第1MRAM550上に第2MRAMカード450をはめ込むように載置するタイプである。転写方法についてはカード挿入型と同一であるので、説明を省略する。
図16には、スライド型の転写装置を示す。この転写装置は、CD−ROMドライブやDVDドライブと同様に、転写装置500に受け皿スライド560が設けられており、この受け皿スライド560が矢印で示すように移動する。受け皿スライド560が破線の位置に移動したときに第2MRAMカード450を受け皿スライド560に載置し、第2MRAMカード450を転写装置500の内部へ搬送する。ストッパ520に第2MRAMカード450の先端部が当接するように搬送される点、および転写方法についてはカード挿入型と同一であるので、説明を省略する。
本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリによれば、上記したように、第1強磁性層21および第2強磁性層23の磁気的膜厚を調整した状態のまま、第2強磁性層23とトンネルバリア層13との界面のラフネスを、反強磁性層14から、非磁性層22と第2強磁性層23との界面までの各界面のラフネスより小さくする。こうすることによって、シンセティックピン構造において、固定層12からの漏れ磁界に起因する記録層11の反転磁界のシフトと、界面ラフネスに起因する反転磁界のシフトをそれぞれ同時に概略0にすることができる。よって、加工ばらつき、膜厚ばらつきに対して強い積層構造となり、反転磁界ばらつきを低減できる。
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのMTJ素子を模式的に示す図。 固定層と記録層の磁化の向きの状態の1つを模式的に示す図。 固定層と記録層の磁化の向きの状態の1つを模式的に示す図。 界面ラフネスの定義を説明するための図。 本発明の実施形態に係る、界面ラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトの第2強磁性層膜厚依存性の、種々の界面ラフネスにおけるシミュレーション結果を示す図。 本発明の実施形態に係る、界面ラフネスに起因する記録層の磁化反転のシフトの第2強磁性層膜厚依存性の実験結果を示す図。 MRAMのセルアレイの平面レイアウトの一例を模式的に示す図。 クロスポイント構造のメモリセルを示す図。 1Tr+1MTJ構造のメモリセルを示す図。 本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリがモデムに適用された例を示す図。 本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリが携帯電話端末に適用された例を示す図。 本発明の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリをスマートメディア等のメディアコンテンツを収納するカード(MRAMカード)に適用した例を示す上面図。 MRAMカードにデータを転写するための転写装置を示す平面図。 MRAMカードにデータを転写するための転写装置を示す断面図。 MRAMカードにデータを転写するための、はめ込み型の転写装置を示す断面図。 MRAMカードにデータを転写するための、スライド型の転写装置を示す断面図。 MTJ素子の加工例の1つを示す図。 MTJ素子の加工例の1つを示す図。 第2強磁性層膜厚と、漏れ磁界に起因するフリー層の磁化反転のシフト量との関係を示す図。 第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図。 第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図。 第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図。 第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図。 第1、第2強磁性の磁気的膜厚の比m2/m1とラフネス差との関係を示す図。
符号の説明
1…MTJ素子、11…記録層、12…固定層、13…バリア層、14…反強磁性層、21…第1強磁性層、22…非磁性層、23…第2強磁性層、31…第1非磁性層、32…第2非磁性層、33…第3非磁性層、41、BL…ビット線、42、WL…ワード線、43…導電層、44…コンタクト、45…読み出し用スイッチング素子、51…上部電極、52…キャップ層、53…下地層、54…下部電極、100…プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ、110…アナログーデジタルコンバータ、120…デジタルーアナログコンバータ、130…送信ドライバ、140…受信機増幅器、170、223…MRAM、180…EEPROM、200…通信部、201…送受信アンテナ、202…アンテナ共用器、203…受信部、204…ベースバンド処理部、205…DSP、206…スピーカ、207…マイクロホン、208…送信部、209…周波数シンセサイザ、211…音声データ再生処理部、212…外部出力端子、213…LCDコントローラ、214…LCD、215…リンガ、220…制御部、221…CPU、222…ROM、224…フラッシュメモリ、231、233、235…インターフェース回路、232…外部メモリスロット、234…キー操作部、236…外部出力端子、240…外部メモリ、300…携帯電話端末、400…メモリカード、401…MRAMチップ、402…開口部、403…シャッター、404…外部端子、450…第2MRAMカード、500…転写装置、510…挿入部、520…ストッパ、530…外部端子、550…第1MRAM、560…受け皿スライド560。

Claims (7)

  1. 磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントの値がm1である第1強磁性層と、
    前記第1強磁性層と接し、前記第1強磁性層との間の界面のラフネスの振幅の値がh1である非磁性層と、
    前記非磁性層の前記第1強磁性層と反対の面と接し、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントの値がm1より小さいm2であり、前記非磁性層との間の界面のラフネスの振幅の値がh2である第2強磁性層と、
    前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対の面と接し、前記第2強磁性層との間の界面のラフネスの振幅がh1およびh2より小さいh3であるバリア層と、
    前記バリア層の前記第2強磁性層と反対の面と面し、磁化方向が可変な第3強磁性層と、
    を具備し、
    h1とh3との差、およびh2とh3との差が0.2nm以上0.5nm以下の範囲内であり、
    比m2/m1は、0.5以上1.0未満の範囲内にあり、
    前記第3強磁性層の反転磁界のシフトは0である、ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対の面と接し、Mnを含む合金により構成され、結晶面が(111)面に優先的に配向している反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対の面と接し、前記第1強磁性層との間の界面のラフネスの振幅の値がh3より大きいh4である反強磁性層をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2強磁性層がアモルファス材料により実質的に構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第1強磁性層および第2強磁性層の少なくとも一方が2層以上の磁性層を積層した構造であり、前記積層された磁性層はそれぞれ強磁性結合により磁化方向が概略同じ方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を含んだことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  7. 磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントがm1である第1強磁性層を形成する工程と、
    前記第1強磁性層上に非磁性層を形成する工程と、
    前記非磁性層上に、磁化方向が固定され、単位面積当たりの磁気モーメントがm1より小さいm2である第2強磁性層を形成する工程と、
    前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対の面を平滑化する工程と、
    前記第2強磁性層上にバリア層を形成する工程と、
    前記バリア層上に、磁化方向が可変な第3強磁性層を形成する工程と、
    を具備し、
    前記平滑化する工程は、前記第2強磁性層の前記バリア層と面する面のラフネスの振幅h3が前記第1強磁性層の前記非磁性層と面する面のラフネスの振幅h1および前記非磁性層の前記第2強磁性層と面する面のラフネスの振幅h2より小さいことによって前記第3強磁性層の反転磁界のシフトを0にする値を有するように前記第2強磁性層の前記バリア層と接する面を平滑化する工程を含み、
    h1とh3との差、およびh2とh3との差が、0.2nm以上0.5nm以下の範囲内であり、
    比m2/m1は、0.5以上1.0未満の範囲内にある、ことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
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