JP4549256B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車等の車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置に関する。
この種の車輪用軸受装置の一例(例えば特許文献1)を図9に示す。この車輪用軸受装置は、第1世代に分類される複列外向きアンギュラ玉軸受型のものであり、内周に複列の軌道面24を有する外輪21と、これら軌道面24にそれぞれ対向する軌道面25を有する内輪22と、これら複列の軌道面24,25間に介在する複列のボール23とを備える。内輪22は2つの個別内輪22Aを軸方向に並べたものであり、ボール23は各列毎に保持器26で保持されている。外輪21と内輪22の間に形成される環状空間の両端は一対のシール27,28で密封される。
このように、転動体としてボールを用いた車輪用軸受装置では、搬送途中および自動車メーカの組立工程において、内輪の分離しない非分離構造が採用される。上記車輪用軸受装置の場合、非分離構造として、
(1)外輪21および内輪22に軌道面24,25に隣接して軌道面24,25の溝底径よりも突出したカウンタボア部29,30が設けられ、軌道面24,25間に介在するボール23が軸方向に抜脱するのをカウンタボア部29で阻止するようにしている。
車輪用軸受装置の非分離構造の他の例として、
(2)外輪に上記形状のカウンタボア部を設けると共に、保持器の内径面に設けた爪を内輪に係合させ、ボールを介在させることにより非分離としたもの、
(3)軸方向に並んで内輪を構成する2つの個別内輪を連結リングで止めることで非分離としたもの、
等も知られている。これらの非分離構造のうち、(1)や(2)の構造が、経済性、組立性の観点から広く採用されている。
上記(1),(2)の非分離構造を採用するには外輪に段差状のカウンタボア部を設けることが不可欠の条件となる。この場合は軸受組立工程において、ボール・保持器のアッセンブリが外輪カウンタボア部を通過して軸受軌道部に挿入される。すなわち、図9の車輪用軸受装置の場合、軸受組立工程は以下の通りである。
a)外輪21の内径面側にボール23と保持器26のアッセンブリを挿入。
b)軸受内輪22Aを挿入。
c)グリースを封入。
d)シール27,28を圧入。
特開平10−260195号公報
ところで、図9の車輪用軸受装置において、外輪21の内径面のカウンタボア部29の外輪端部側には、例えば同外輪21の左端側を拡大して示す図10のように、カウンタボア部29に隣接してシール取付用面21aが設けられる。カウンタボア部29とシール取付用面21aとの間の段面29bは軸心に対して略垂直に内径側に延びている。また、前記段面29bからカウンタボア部29の内径面29aに続く角部は、図11(A)のような極小さい平坦状の面取り部29cとしたり、図11(B)のような極小さい断面円弧状の面取り部29dとされる。その結果、上記した軸受組立工程において、ボール・保持器アッセンブリを外輪21の内径面側に挿入する場合、図12に拡大して示すようにボール23が外輪21のカウンタボア部29に接触して通過する際に、その接触部に過大な応力がかかり、ボール表面に傷が発生する可能性がある。この傷は、軸受回転時に軌道輪に対して有害であり、軸受短寿命の原因となる。
この発明の目的は、運搬中や取り扱い時に内輪が外輪に対して分離しない非分離構造としながら、組立時にボールに傷が発生するのを防止して軸受長寿命化を可能とする車輪用軸受装置を提供することである。
この発明車輪用軸受装置は、内外輪の複列の軌道面間に、複列のボールを介在させた複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、外輪の両軌道面の外輪端部側にそれぞれ隣接して、内径面が外輪軌道面の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部を有し、これらカウンタボア部の外輪端部側に隣接して前記カウンタボア部の内径よりも大径のシール取付用面を有する車輪用軸受装置において、前記各カウンタボア部とシール取付用面との間の段面における内径側部分を、それぞれテーパ状に切除された形状のテーパ状切除面とし、これらテーパ状切除面とカウンタボア部の内径面との角部に断面円弧状の面取り部を設け、前記テーパ状切除面は、軸受組立工程における前記ボールと保持器のアッセンブリを外輪の内径側へ挿入するときにボールをガイドする面であって、この各テーパ状切除面の入口径は外輪軌道面の溝底径よりも大径でシール取付用面よりも小径であり、前記テーパ状切除面、面取り部、およびカウンタボア部の内径面が研削加工面であり、前記内輪の外径面に、内輪の各列の軌道面の、複列の列間側にそれぞれ隣接して、これら軌道面の溝底径よりも外径側に突出したカウンタボア部を設けたことを特徴とする。
この構成によると、カウンタボア部が外輪軌道面の溝底径よりも内径側に突出しているため、運搬時等に内輪が外輪に対して分離しない非分離構造とできる。カウンタボア部が外輪軌道面の溝底径よりも内径側に突出しているが、カウンタボア部とシール取付用面との間の段面における内径側部分がテーパ状切除面とされ、このテーパ状切除面とカウンタボア部内径面との角部に断面円弧状の面取り部が設けられている。そのため、組立工程におけるボール・保持器アッセンブリの外輪内径側への挿入において、ボールと外輪の接触面積が広くなってボールに過大な応力が発生せず、ボールに傷が発生するのを防止できる。したがって、組み立て時に傷が発生したボールが起因となる車輪用軸受装置の短寿命化を回避することができる。
この発明において、前記テーパ状切除面は、外径が外輪の軌道面の溝底径よりも大径であっても良い。この構成の場合、組立工程におけるボール・保持器アッセンブリの外輪内径側への挿入において、ボールが確実にテーパ状切除面でガイドされてカウンタボア部を通過するので、ボールの傷発生を確実に防止できる。
この発明における上記各構成の場合に、外輪の軌道面、カウンタボア部の面取り部、およびシール取付用面を、互いに同時研削された研削面としても良い。
カウンタボア部の面取り部を研削加工面とすることで、旋削仕上げの場合と異なり、旋削加工痕でボールが傷付くという問題が生じない。また、カウンタボア部の面取り部を、外輪の軌道面、およびシール取付用面と同時研削することにより、研削加工時に各面の相互間で軸心等のずれが生じることが回避されて、各面の相互間の精度が高精度化される。また、同時研削によると、カウンタボア部の面取り部を研削するための専用の加工工程を付加しなくて済み、コスト増となるのを回避できる。
この発明車輪用軸受装置は、複列のボールを介在させた複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、外の両軌道面の外輪端部側にそれぞれ隣接して、内径面が外輪軌道面の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部を有し、これらカウンタボア部の外輪端部側に隣接して前記カウンタボア部の内径よりも大径のシール取付用面を有する車輪用軸受装置において、前記各カウンタボア部とシール取付用面との間の段面における内径側部分を、それぞれテーパ状に切除された形状のテーパ状切除面とし、これらテーパ状切除面とカウンタボア部の内径面との角部に断面円弧状の面取り部を設け、前記テーパ状切除面は、軸受組立工程における前記ボールと保持器のアッセンブリを外輪の内径側へ挿入するときにボールをガイドする面であって、この各テーパ状切除面の入口径は外輪軌道面の溝底径よりも大径でシール取付用面よりも小径であり、前記テーパ状切除面、面取り部、およびカウンタボア部の内径面が研削加工面であり、前記内輪の外径面に、内輪の各列の軌道面の、複列の列間側にそれぞれ隣接して、これら軌道面の溝底径よりも外径側に突出したカウンタボア部を設けたため、運搬中や取り扱い時に内輪が外輪に対して分離しない非分離構造としながら、組立時にボールに傷が発生するのを防止して軸受長寿命化が可能となる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図5と共に説明する。この実施形態の車輪用軸受装置Aは、第1世代に分類される複列外向きアンギュラ玉軸受型のものである。この車輪用軸受装置Aは、内周に複列の軌道面4を有する外輪1と、これら軌道面4にそれぞれ対向する軌道面5を有する内輪2と、これら複列の軌道面4,5間に介在する複列のボール3とを備える。内輪2は、2つの個別内輪2Aを軸方向に並べたものである。ボール3は、各列毎に保持器6で保持されている。内外輪2,1間に形成される環状空間の両端は一対のシール7,8で密封されている。
外輪1の内径面の各列の軌道面4に隣接して軌道面4の溝底径より内径側に突出したカウンタボア部9が設けられ、かつ内輪2の外径面に、各列の軌道面5に隣接して軌道面5の溝底径よりも外径側に突出したカウンタボア部39が設けられている。各カウンタボア部9,39は、一般的なアンギュラ玉軸受で設けられている各軌道面4,5の溝底と同径のカウンタボア部よりも、内径側または外径側へそれぞれ突出する段差部として設けられたものである。これらカウンタボア部3,39により、軌道面4,5間に介在するボール3が軸方向に抜脱するのを阻止するようにしている。
具体的には、カウンタボア部9の内径は、軌道面4の溝底径よりもボール径の10〜20%分だけ小さくされている。また、図1における外輪1の左端側を拡大して示す図2のように、各カウンタボア部9の外輪端部側には、カウンタボア部9に隣接してカウンタボア部9の内径よりも大径のシール取付用面1aが形成されている。
カウンタボア部9とシール取付用1aとの間の段面9bにおける内径側部分は、テーパ状に切除された形状のテーパ状切除面9baとされている。さらに、前記テーパ状切除面9baとカウンタボア部9の内径面9aとの角部には、断面円弧状の面取り部9cが設けられている。前記テーパ状切除面9ba、面取り部9c、およびカウンタボア部内径面9aは、研削加工により形成される。また、前記テーパ状切除面9baの入口径つまり外径aは、外輪軌道面4の溝底径bよりも大径(a>b)とされている。図1における右列側のカウンタボア部9とシール取付用面1aの関係については拡大図を省略するが、前記した左列側と同様の構造とされている。
なお、図の右側のシール8は、シール部材8Aと、このシール部材8Aが摺接するスリンガ8Bとでなり、シール部材8Aが外輪1の前記シール取付用面1aに取付けられている。スリンガ8Bは軸受内輪2Aの外径面に取付けられ、回転検出用の磁気エンコーダ40が一体に設けられている。
この構成の車輪用軸受装置Aは、上記のように外・内輪1,2のカウンタボア部9,39により、軌道面4,5間に介在するボール3が軸方向に抜脱するのが阻止され、これにより、搬送途中および自動車メーカの組立工程において、内輪2が外輪1に対して分離しない非分離構造とされる。
この車輪用軸受装置Aの組立は、ボール3と保持器6のアッセンブリを外輪1の各列の軌道面4に挿入してから、各列に対応する各軸受内輪2Aを挿入する。ついで、グリースを封入した後に、シール7,8を圧入するという工程で行われる。この組立工程におけるボール・保持器アッセンブリの外輪内径側への挿入では、例えば外輪1の左端側からの挿入例を示す図3のように、ボール3が外輪1のカウンタボア部9を通過する。このとき、カウンタボア部9とシール取付用面1aとの間の段面9bにおける内径側部分がテーパ状切除面9baとされ、このテーパ状切除面9baとカウンタボア部内径面9aとの角部に断面円弧状の面取り部9cが設けられているので、ボール3と外輪1の接触面積が広くなってボール3に過大な応力が発生せず、ボール3に傷が発生するのを防止できる。このように、組立工程でのボール3の傷発生を無くすことで、軸受装置Aが短寿命化するのを回避することができる。
また、この実施形態では、前記テーパ状切除面9baの外径aを、外輪軌道面4の溝底径bよりも大径(a>b)としているので、組立工程におけるボール・保持器アッセンブリの外輪内径側への挿入において、ボール3が確実にテーパ状切除面9baでガイドされてカウンタボア部9を通過でき、ボール3の傷発生を確実に防止できる。
さらに、この実施形態では、前記テーパ状切除面9ba、面取り部9c、カウンタボア部内径面9aを研削加工面としているので、これら各面の粗さが旋削加工の場合に比べて改善されることになり、組立工程でのボール3の傷発生を無くす上で効果がある。
図4は、外輪1の前記テーパ状切除面9ba、カウンタボア部9の面取り部9cおよび内径面9aを研削加工面とする加工方法の一例を示す。この加工方法では、テーパ状切除面9ba、カウントボア部9の面取り部9cおよび内径面9aを、軌道面4、およびシール取付用面1aと共に、同じ砥石20の各部分で同時研削する。砥石20は、これら面取り部9c、内径面9a、軌道面4、およびシール取付用面1aの仕上がり状態の断面形状に沿う断面形状の外径面を持つものである。このように、同じ砥石20でカウンタボア部9の面取り部9cを、軌道面4、およびシール取付用面1aと共に同時研削することにより、各面9c,9a,4,1aの相互間で軸心等のずれが生じることが回避され、各面9c,9a,4,1aの相互間の精度が高精度化される。また、面取り部9cを研削するための専用の加工工程を付加しなくて済み、コスト増となるのを回避できる。
なお、外輪1における段面9bの内径側部分を前記テーパ状切除面9baとするのに代えて、図5に示す参考提案例では、前記段面9bと、カウンタボア部内径面9aとの間に、これら段面9bおよびカウンタボア部内径面9aに滑らかに続く断面円弧状の面取り部9dを設けている。
この場合に、外輪1の前記面取り部9dを、図4の場合と同様に、軌道面4、およびシール取付用面1aと共に、同じ砥石の各部分で同時研削しても良い。このように、前記面取り部9dを、軌道面4、およびシール取付用面1aと同時研削することにより、各面4,1a,9dの相互間の精度が向上し、かつ面取り部9dを研削するための専用の加工工程を付加しなくて済み、コスト増となるのを回避できる。
図6は、この発明の他の実施形態を示す。この車輪用軸受装置Bは、第2世代に分類される複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、外輪回転タイプでかつ従動輪支持用のものである。この車輪用軸受装置Bは、内周に複列の軌道面4を有するハブ輪兼用の外輪1と、これら軌道面4にそれぞれ対向する軌道面5を有する内輪2と、これら複列の軌道面4,5間に介在する複列のボール3とを備える。ハブ輪兼用外輪1は、外周に車輪取付用のフランジ1bを有する。車両への組付けにおいて、前記フランジ1bには、そのボルト挿通孔12に圧入固定したるハブボルト13、およびこのハブボルト13に螺合するハブナット(図示せず)により、ブレーキ装置のブレーキロータと車輪(いずれも図示せず)とが重ねて取付けられる。内輪2が2つの個別内輪2Aを軸方向に並べたものであることは、先の実施形態の場合と同じである。この内輪2の内径面に車軸(図示せず)が固定される。ボール3は、各列毎に保持器6で保持されている。内外輪2,1間に形成される環状空間の両端は一対のシール7,8で密封されている。
この車輪用軸受装置Bにおいても、内輪非分離構造とするために、外輪1の軌道面4に隣接して、軌道面4の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部9が設けられ、また内輪2の軌道面5に隣接して、軌道面5の溝底径よりも外径側に突出したカウンタボア部39が設けられる。外輪1のカウンタボア部9およびその近傍の構造は、図2の場合と同じである。
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の車輪用軸受装置Cは、第3世代に分類される複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、内輪回転タイプでかつ駆動輪支持用のものである。この車輪用軸受装置Cは、内周に複列の軌道面4を有する外輪1と、これら各軌道面4に対向する軌道面5を有する内輪2と、これら内外輪2,1の軌道面4,5間に介在した複列のボール3とを備える。ボール3は、各列毎に保持器6で保持されている。内外輪2,1間の軸受空間の両端は、シール7,8によりそれぞれ密封されている。
外輪1は固定側の部材となるものであって、車体取付フランジ(図示せず)を外周に有し、その車体取付フランジが車体に設置されたナックルにボルト(いずれも図示せず)で締結される。内輪2は回転側の部材となるものであって、外周に車輪取付用のフランジ10aを有するハブ輪10と、このハブ輪10のインボード側端の外周に嵌合した片側内輪11とでなり、前記複列の軌道面5におけるアウトボード側列の軌道面5がハブ輪10に、インボード側列の軌道面5が片側内輪11にそれぞれ形成されている。ハブ輪10はインボード側端の外周に段差部とされた内輪嵌合面10bを有し、この内輪嵌合面10bに片側内輪11が嵌合する。ハブ輪10のフランジ10aには、そのボルト挿通孔12に圧入固定したハブボルト13、およびこのハブボルト13に螺合するハブナット(図示せず)により、ディスクブレーキ装置のブレーキロータと車輪(いずれも図示せず)とが重ねて取付けられる。
ハブ輪10は中央孔19を有し、この中央孔19に、等速ジョイント14の片方の継手部材となる外輪15のステム部15aが挿通されてスプライン嵌合され、ステム部15aの先端に螺合するナット16の締め付けにより、等速ジョント外輪15が内輪2に結合される。このとき、等速ジョイント外輪15に設けられたアウトボード側に向く段面15bが、片側内輪11のインボード側に向く端面11aに押し付けられ、等速ジョイント外輪15とナット16とで内輪2が幅締めされる。
この車輪用軸受装置Cにおいては、外輪1に挿入したボール保持器アセンブリが軸受組立工程で外輪1から脱落しないように、外輪1の軌道面4に隣接して、軌道面4の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部9が設けられる。カウンタボア部9,およびその近傍の構造は図2の場合と同じである。
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の車輪用軸受装置Dは、第4世代に分類される複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、内輪回転タイプでかつ駆動輪支持用のものである。この車輪用軸受装置Dは、内周に複列の軌道面4を有する外輪1と、これら各軌道面4に対向する軌道面5を有する内輪2と、これら内外輪2,1の軌道面4,5間に介在した複列のボール3とを備える。ボール3は、各列毎に保持器6で保持されている。内外輪2,1間の軸受空間の両端は、シール7,8によりそれぞれ密封されている。
外輪1は固定側の部材となるものであって、車体取付フランジ1cを外周に有し、その車体取付フランジ1cのボルト挿通孔17を貫通するナックルボルト(図示せず)により、車体取付フランジ1cが車体に設置されたナックル(図示せず)に締結される。
内輪2は回転側の部材となるものであって、アウトボード側端に車輪取付用のフランジ10aを有するハブ輪10と、このハブ輪10の中央孔19に挿入されて嵌合する等速ジョイント外輪15とでなり、前記複列の軌道面5におけるアウトボード側列の軌道面5がハブ輪10に、インボード側列の軌道面5が等速ジョイント外輪15にそれぞれ形成されている。ハブ輪10のフランジ10aには、そのボルト挿通孔12を貫通するハブボルト13、およびこのハブボルト13に螺合するハブナット(図示せず)により、ブレーキ装置のブレーキロータと車輪(いずれも図示せず)とが重ねて取付けられる。
この車輪用軸受装置Dでも、車軸用軸受装置Cと同様に、外輪1に挿入したボール保持器アセンブリが軸受組立工程で外輪1から脱落しないように、外輪1の軌道面4に隣接して、軌道面4の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部9が設けられる。カウンタボア部9,およびその近傍の構造は図2の場合と同じである。
この発明の第1の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。 同車輪用軸受装置における外輪の一端部の拡大断面図である。 同車輪用軸受装置の組立工程における外輪へのボール・保持器アッセンブリの挿入説明図である。 外輪内径面の研削加工方法の説明図である。 参考提案例に係る外輪の例を示す部分拡大断面図である。 この発明の他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。 従来例の断面図である。 同従来例における外輪の一端部の拡大断面図である。 (A)は同従来例における外輪のカウンタボア部の一例を示す部分拡大断面図、(B)はカウンタボア部の他の例を示す部分拡大断面図である。 同従来例の組立工程における外輪へのボール・保持器アッセンブリの挿入説明図である。
符号の説明
1…外輪 1a…シール取付用面
4…外輪軌道面
9…カウンタボア部
9a…カウンタボア部の内径面
9b…段面
9ba…テーパ状切除面
9c…面取り部
9d…面取り部
20…砥石

Claims (3)

  1. 内外輪の複列の軌道面間に、複列のボールを介在させた複列外向きアンギュラ玉軸受型であり、外輪の両軌道面の外輪端部側にそれぞれ隣接して、内径面が外輪軌道面の溝底径よりも内径側に突出したカウンタボア部を有し、これらカウンタボア部の外輪端部側に隣接して前記カウンタボア部の内径よりも大径のシール取付用面を有する車輪用軸受装置において、
    記各カウンタボア部とシール取付用面との間の段面における内径側部分を、それぞれテーパ状に切除された形状のテーパ状切除面とし、これらテーパ状切除面とカウンタボア部の内径面との角部に断面円弧状の面取り部を設け、前記テーパ状切除面は、軸受組立工程における前記ボールと保持器のアッセンブリを外輪の内径側へ挿入するときにボールをガイドする面であって、この各テーパ状切除面の入口径は外輪軌道面の溝底径よりも大径でシール取付用面よりも小径であり、前記テーパ状切除面、面取り部、およびカウンタボア部の内径面が研削加工面であり、
    前記内輪の外径面に、内輪の各列の軌道面の、複列の列間側にそれぞれ隣接して、これら軌道面の溝底径よりも外径側に突出したカウンタボア部を設けたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 請求項1において、前記テーパ状切除は、外径が外輪の軌道面の溝底径よりも大径である車輪用軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、外輪の軌道面、カウンタボア部の面取り部、およびシール取付用面を、互いに同時研削された研削面とした車輪用軸受装置。
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