JP4547740B2 - 苗植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、苗植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平10ー178830号公報には、苗案内筒、及び切刃を有した植付嘴の構成が記載されている。ただし、該苗案内筒は植付嘴の上方に設けられる。又該切刃は植付嘴の開口下端縁まで形成されて、これより下方には形成されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
苗を収容した苗植付嘴を前後乃至左右に二つ割形態に開いて土壌面に植付ける形態では、この苗植付嘴内の開きによって苗が土壌面へ植付けられる間に、苗の支持が安定せず、乱れることが多い。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車体7の前部にエンジン12を搭載し、左右両側に駆動車輪10と補助輪11を配置し、後方にハンドル13を設け、苗植リンク機構15を構成する前後一対のクランクアーム25,26の後端間を連結し水平姿勢を維持して昇降する前後水平状の取付リンク31に前後一対の取付ブラケット32を介して、下端部が植付軌跡線Dの作動軌跡で昇降すると共に開閉する前後一対の植付嘴2を設け、該植付嘴2は植付軌跡線Dの作動軌跡の上部位置で閉じた状態で該苗供給テーブル16からの苗Aを受け、植付軌跡線Dの作動軌跡の下部位置で土壌面Cに植付穴を形成して前後に開いて苗Aを植付ける苗植機において、該植付嘴2は上端口径を大きく下端側を小さくした円錘形状に形成し、前後一対の植付嘴2が閉じた状態で苗供給テーブル16から受けた苗Aの苗床部Bの下面を支持する苗受片1を下端開口部近くの内面に水平状に形成して設け、上端口部を大径とし下端口部を小径とした円錐形状の苗案内筒3を植付嘴2の内部に設け、該苗案内筒3の上部を前記取付けリンク31に取付け、その下端部を植付嘴2の下端開口部近くに設けた苗受片1の上側に接近させて設けると共に、前後一対の植付嘴2の外側に該植付嘴2の開口下端縁4よりも下方まで切刃5を形成し、該切刃5を下端から上側に亘って前後に傾斜して設けた苗植機としたものである。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、車体7の前部にエンジン12を搭載し、左右両側に駆動車輪10と補助輪11を配置し、後方にハンドル13を設け、苗植リンク機構15を構成する前後一対のクランクアーム25,26の後端間を連結し水平姿勢を維持して昇降する前後水平状の取付リンク31に前後一対の取付ブラケット32を介して、下端部が植付軌跡線Dの作動軌跡で昇降すると共に開閉する前後一対の植付嘴2を設け、該植付嘴2は植付軌跡線Dの作動軌跡の上部位置で閉じた状態で該苗供給テーブル16からの苗Aを受け、植付軌跡線Dの作動軌跡の下部位置で土壌面Cに植付穴を形成して前後に開いて苗Aを植付ける苗植機において、該植付嘴2は上端口径を大きく下端側を小さくした円錘形状に形成し、前後一対の植付嘴2が閉じた状態で苗供給テーブル16から受けた苗Aの苗床部Bの下面を支持する苗受片1を下端開口部近くの内面に水平状に形成して設け、上端口部を大径とし下端口部を小径とした円錐形状の苗案内筒3を植付嘴2の内部に設け、該苗案内筒3の上部を前記取付けリンク31に取付け、その下端部を植付嘴2の下端開口部近くに設けた苗受片1の上側に接近させて設けたので、植付嘴2が植付軌跡線Dの作動軌跡の上部位置で閉じた状態で苗供給テーブル16から受けた苗Aは植付嘴2内の苗案内筒3に案内されて苗Aの苗床部Bが苗受片1に支持された状態で、この植付嘴2と共に下降する。この植付嘴2が土壌面に差込まれて開かれると、この植付嘴2の開きによって苗受片1で支持されていた苗Aは苗身乃至苗葉部が苗案内筒3に案内されて落下し土壌面に植付けられる。植付後の植付嘴2は開いた状態で上昇する。このため、植付嘴2が開かれても土壌面に植付けられる苗Aは、苗案内筒3によって案内支持されている。更にこの植付嘴2が土壌面から上昇しても、苗Aの高さまではこの苗Aの植付姿勢の苗葉部を苗案内筒3が支持して、苗植時の倒伏を少くすることができ、安定した苗の植付けを行うことができる。
【0009】
また、前後一対の植付嘴2の外側に該植付嘴2の開口下端縁4よりも下方まで切刃5を形成し、該切刃5を下端から上側に亘って前後に傾斜して設けたので、苗植付時に植付嘴2の外周面から開口下端縁4よりも下方にまで形成された切刃5が土壌面Cに打込まれるために、わら屑やマルチフィルム、土塊等のような異物があっても、この植付嘴2が苗Aを収容して閉じた状態で土壌面Cに差込まれるときに切断乃至破砕して、この植付嘴2の土壌面Cへの嵌入を円滑に行わせることができ、苗植穴を正確に形成することができ、苗植付姿勢を安定させることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
育苗ポットで育苗される苗床部を有したポット苗を用いる苗植機として有効に実施しうる。このようなポット苗乃至土付苗は、苗床部を崩さないように植付嘴に収容させて、土壌面に植付穴を形成しながら植付け、又は、すでに土壌面に形成されている植付溝に植付けられる。植付嘴は、昇降しながら上部で収容した苗を下部で開いて土壌面の植付穴へ落下させて植付ける。この苗植後は苗を開放した状態で上昇する。このように苗植付を行うときの苗植付を円滑に行わせて、植付姿勢を安定させるものである。
【0013】
下端部内に苗床部を支持する苗受片を形成して昇降しながら上部で収容した苗を下部で開いて土壌面に植付ける植付嘴の内部に、収容苗を植付案内する漏斗状苗案内筒の下端部を位置させて、乃至は該苗受片上に接近させて設けた苗植機の苗植付嘴の構成として、苗植付時に植付嘴が開いた後も植付苗の苗葉部を苗案内筒で案内支持して、苗倒伏をなくする。
【0014】
該苗案内筒は、開閉する植付嘴の内側に位置されるが、下端部をできるだけ下方へ位置させて、前記苗受片近くに位置させている。また、この苗受片上の支持苗の苗床部上縁近くに位置させるもよい。
【0015】
昇降しながら上部で収容した苗を下部で開いて土壌面に植付ける植付嘴の下端部内に、該収容苗床部を支持すると共にこの植付嘴の苗植付位置では下動する苗受片を設けてなる苗植機の苗植付嘴の構成として、植付嘴内の苗を支持していた苗受片を、苗植付時に下動することによって、苗の落下開放を速かに行わせる。
【0016】
苗受片を下動させる構成として、植付嘴の外側に突出させる抵抗片を、苗植時の土壌面への差込みによる抵抗で作動させて、苗受片を下動させる形態としている。これに代えて、苗植付嘴の作動と連動されるカム機構等を用いて、苗植付のタイミングに合せてこの苗受片を下動する形態とすることもできる。
【0017】
昇降しながら上部で収容した苗を下部で開いて土壌面に植付ける植付嘴の外周部からこの開口下端縁よりも下方に亘って切刃を形成してなる苗植機の苗植付嘴の構成として、植付嘴の土壌面への差込みによる苗植付時に、この植付嘴の開口下端縁よりも下方に亘る切刃によって、土壌面が切り裂かれるために、異物があっても破砕されて、苗植穴を正確に形成させる。
【0018】
昇降しながら上部で収容した苗を下部で開いて土壌面に植付ける植付嘴内に、掃除用の流体を噴出するノズルをのぞませてなる苗植機の苗植付嘴の構成として、植付嘴は苗を収容保持する内周面がノズルからの流体によって掃除されるため、苗植付を円滑で的確に行うことができる。
【0019】
該ノズルによって噴出する流体は、圧縮エアーや、ポンプによって送られる圧水等が用いられる。これら流体の噴出は、植付嘴が苗を保持していない上昇工行において、各植付作動毎に、又は所定植付作動回数毎に一回の割合で行わせることができる。
【0020】
【実施例】
この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
第一実施例を図1〜図4に基づいて説明する。車体7の左右両側には、アクスルハウジング8の回りに上下回動可能の車輪伝動ケース9に駆動車輪10を軸装し、この前方には補助輪11を配置している。車体7の前部に搭載のエンジン12によって駆動車輪10を伝動して走行できる。車体7の後方にはハンドル13を有し、上部には苗載台14、及び後端に植付嘴2を有して昇降する苗植リンク機構15等を設け、この後部に苗供給テーブル16を設けている。該苗植リンク機構15を前記エンジン12から伝動することによって、植付嘴2を昇降しながら、上部位置では該苗供給テーブル16からの苗を受けて、下部位置では土壌面Cに植付穴を形成して苗を植付ける。
【0022】
17は駆動車輪10を上下動するピッチングシリンダ、18は土壌面Cの高さを検出する接地センサで、該ピッチングシリンダ17の油圧回路の昇降制御弁を連動して車体7の土壌面C上の高さを一定に維持制御する。19はローリングシリンダで、車体7の左右の傾斜を検する傾斜センサと連動して、車体7を左右水平状に制御する。20は培土ディスクで、土壌面Cに植付けられた苗の根元に培土して苗の植付け姿勢を維持する。
【0023】
前記苗供給テーブル16には多数の苗ホッパー21が配置されて、運転者が苗載台14から取出す野菜苗を苗ホッパー21に供給する。この苗供給テーブル16は、苗植リンク機構15の昇降作動毎に一定角度間欠的に旋回して、各苗ホッパー21を植付嘴2の苗受位置上へ対向させる。
【0024】
前記苗植リンク機構15は、車体7側の定位置に取付けられた伝動ケース22,23,24に、前後一対のクランクアーム25,26がそれぞれダブルクランク形態に上下揺動するように構成されて、このクランクアーム25,26の後端部間に亘って植付嘴2が取付けられる。前部のクランクアーム25は、クランク軸27の回転によって上下揺動される。この基部は揺動アーム28に連結される。また後部のクランクアーム26は、クランク軸29の回転によって上下揺動される。この基部は揺動アーム30に連結される。
【0025】
これら両クランクアーム25,26の後端間に前後水平状の取付リンク31が連結される。該クランク軸27,29が同位回転することによって、クランクアーム25,26が上下に揺動されて、連結リンク31が水平姿勢を維持して昇降される。
【0026】
該連結リンク31両端のクランクアーム25,26との連結ピン39,40回りに前後一対の取付ブラケット32が取付けられる。この取付ブラケット32は、前後中央部の長孔間に亘ってピン33を通して連結ピン39,40回りの回動を規制している。前記一対の植付嘴2はボルト穴35に挿通のボルト34で各取付ブラケット32に取付けられて、この取付ブラケット32の回動によって前後に回動開閉できる。
【0027】
この植付嘴2を開閉する機構は、前記クランク軸29と一体に回転されるカム36と、このカム36によって押されて前記クランクアーム26の揺動アーム30に対する連結部の回りに揺動される揺動リンク37と、この揺動リンク37及び前記取付ブラケット32の間を連結するリンク38と等によって構成される。前記クランクアーム25,26の昇降によって、上部ではカム36によって植付嘴2が閉鎖されて、苗Aを収容支持できる。また下部では土壌面に突入して植付穴を形成すると共に、前後に開いて、収容している苗Aをこの植付穴内に落下させて植付ける。Dは植付嘴2下端部の作動軌跡を示す植付軌跡線である。
【0028】
前記植付嘴2は、上端口径を大きく下端側を小さくした円錘形状に形成し、下端開口部近くの内面に苗受片1を水平状に形成している。この苗受片1で前記苗ホッパー21から落下される苗Aの苗床部Bの下面を支持する。この植付嘴2の開口下端縁4はこの苗受片1よりも下位に亘る形態に形成され、土壌面Cへの差込みを行い易くし、植付穴を形成し易い形態としている。
【0029】
苗案内筒3は、円錐形状で上端口部を大径とし下端口部を小径としている。この苗案内筒3の上部を取付けリンク31部に取付け、下端部は該苗受片1部近くに位置させて、苗植付時において、苗Aの案内姿勢を維持する。この苗案内筒3の下端部は該苗受片1からこれに受けられる苗床部Bの上端部との間の間隔部に位置させて、植付嘴2が開かれてもこの苗案内筒3によりできるだけ長く苗Aを支持案内させるように設定している。
【0030】
第二実施例を図5〜図7に基づいて、上例と異なる点を説明する。前記植付嘴2の苗受片1Aを、ピン41の回りに下方へ回動するように設け、この前後外側に作動片42を突出させて、土壌面Cに作用しうる形態としている。この苗受片1Aにはばね(図面省略)が設けられて、常時水平状態を維持するように構成され、苗床部Bの下面を支持できる(図5)。苗植付時に植付嘴2が土壌面Cに差込まれて植付穴を形成すると、この土壌面Cとの抵抗を受けて作動片42が上方へ回動されて、苗受片1Aが該ばねに抗して下動される。
【0031】
このようにして植付嘴2が土壌面Cに打込まれると、苗受片1Aが下動して、支持していた苗Aが落下される(図6)。続いてこの植付嘴2が前後に開かれると、苗Aが植付穴に落下されて植付けられる(図7)。植付嘴2は開いた状態で上昇されて、前記苗ホッパー21からの苗Aの供給を受ける位置に戻る。
【0032】
前記苗Aが植付穴に落下されるときは苗受片1Aが下動して前後に退くために、苗Aの落下が円滑に行われる。又、苗植付から植付嘴2が上昇するときも苗A抵抗を小さくして、苗Aを倒したり、上方へ持ち上げて抜き出すこともなくできる。
【0033】
第三実施例を図8〜図10に基づいて、上例と異なる点を説明する。前記前後一対の植付嘴2の外側には、切刃5を形成して、土壌面Aに打込まれるとき、異物を切り裂いて、この植付嘴2の土壌面Cへの打込みを円滑に行わせ、植付穴の形成や、苗植付を安定させる。切刃5は植付嘴2の前後面において、開口下端縁4よりも下方に亘って形成される。切刃5はこの下端から上側に亘って前後に傾斜して、切り裂くときの抵抗を小さくしている。
【0034】
また、土壌面Cをマルチフィルムで被覆されている場合の苗植では、該切刃5の突き刺しによって、このマルフィルムを切り裂いてから植付嘴2部を押し込んで植付穴を正確に形成できる。
【0035】
第四実施例を図11、図12に基づいて、上例と異なる点を説明する。前記植付嘴2の上側にノズル6をのぞませて、エアコンプレッサ43からエアホース44、バルブ45を介して送られるエアーを、この植付嘴2内に下方に向けて噴出して、掃除する。エアコンプレッサ43は、伝動ケース22内の伝動機構によって駆動される。バルブ45は前記クランク軸27から伝動によって間欠的に開閉する。植付嘴2が植付を終って上昇する工程で、開放状態にあるとき(図12)、このバルブ45を開いて、圧縮エアーをノズル6から噴出しうる関係に連動構成される。ノズル6は前記リンク31に取付けている。
【0036】
なお、該エアーに代えて水を噴出する形態とするときは前記車体7に水タンクを搭載する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施例を示す植付嘴部の一部分解している側面図。
【図2】 その一部の作用を示す側面図。
【図3】 苗植機の側面図。
【図4】 その平面図。
【図5】 第二実施例の植付嘴部の側面図。
【図6】 その作用を示す側面図。
【図7】 その作用を示す側面図。
【図8】 第三実施例の植付嘴部の側面図。
【図9】 その作用を示す側面図。
【図10】 その底面図。
【図11】 第四実施例の植付嘴部の側面図。
【図12】 その作用を示す側面図。
【符号の説明】
1 苗受片
2 植付嘴
3 苗案内筒
4 開口下端縁
5 切刃
6 ノズル
7 車体
10 駆動車輪
11 補助輪
12 エンジン
13 ハンドル
15 苗植リンク機構
16 苗供給テーブル
A 苗
B 苗床部
C 土壌面
D 植付軌跡線
Claims (1)
- 車体(7)の前部にエンジン(12)を搭載し、左右両側に駆動車輪(10)と補助輪(11)を配置し、後方にハンドル(13)を設け、苗植リンク機構(15)を構成する前後一対のクランクアーム(25,26)の後端間を連結し水平姿勢を維持して昇降する前後水平状の取付リンク(31)に前後一対の取付ブラケット(32)を介して、下端部が植付軌跡線(D)の作動軌跡で昇降すると共に開閉する前後一対の植付嘴(2)を設け、該植付嘴(2)は植付軌跡線(D)の作動軌跡の上部位置で閉じた状態で該苗供給テーブル(16)からの苗(A)を受け、植付軌跡線(D)の作動軌跡の下部位置で土壌面(C)に植付穴を形成して前後に開いて苗(A)を植付ける苗植機において、該植付嘴(2)は上端口径を大きく下端側を小さくした円錘形状に形成し、前後一対の植付嘴(2)が閉じた状態で苗供給テーブル(16)から受けた苗(A)の苗床部(B)の下面を支持する苗受片(1)を下端開口部近くの内面に水平状に形成して設け、上端口部を大径とし下端口部を小径とした円錐形状の苗案内筒(3)を植付嘴(2)の内部に設け、該苗案内筒(3)の上部を前記取付けリンク(31)に取付け、その下端部を植付嘴(2)の下端開口部近くに設けた苗受片(1)の上側に接近させて設けると共に、前後一対の植付嘴(2)の外側に該植付嘴(2)の開口下端縁(4)よりも下方まで切刃(5)を形成し、該切刃(5)を下端から上側に亘って前後に傾斜して設けたことを特徴とする苗植機。
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