JP4200298B2 - 苗移植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畑用の苗移植機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下記特許文献1に示されるような、昇降動及び開閉動するクチバシ状の苗植付け体を自走可能な機体に設け、機体を前進走行させながら苗植付け体を昇降動させて、苗植付け体の昇降軌跡上位側で閉じ状態の苗植付け体の内側に上方から苗を受入れ、苗植付け体の昇降軌跡下位側で苗植付け体を下方に開放するように開いて内側に受入れた苗を外側に放出して苗を圃場に植付ける構成とした苗移植機において、苗植付け体の機体に対する昇降軌跡を、機体側面視で縦長楕円状軌跡に設定したものがある。また、下記特許文献2には、下部が二股状に左右に分かれ、その二股状の左右下端部が前後にずれた形状に形成し、且つ、該二条千鳥植え用の苗植付け体を前後に開閉する構成とした苗植付け体が記載されている。下記特許文献3には、1条植え用の苗植付け体を左右に開閉する構成とした苗植付け体が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−60238号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−65009号公報
【0005】
【特許文献3】
実用新案登録第2511414号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1記載の苗移植機は、苗植付け体の機体に対する昇降軌跡を、機体側面視で縦長楕円状軌跡に設定したものなので、苗植付け体下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡は、下降軌跡では下降開始点(軌跡上端)から機体前方側に位置する下降終了点(軌跡下端)に向かって機体前方側に膨らんだ軌跡を経て下降し、上昇軌跡では上昇開始点(軌跡下端)から機体前方側に位置する上昇終了点(軌跡上端)に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て上昇するものとなる。
【0007】
このため、例えば、ネギの苗などのように上下に長い苗で、機体前進方向の苗植付け間隔、即ち、株間が狭い状態で植付ける場合には、苗の上下長が苗植付け体の昇降軌跡の上下長より長くなり、苗植付け体が軌跡上端位置まで上昇しても苗植付け体の下端部は植付けた苗の上端部より高く上昇しないことがある。ここで、上記特許文献1記載の苗移植機のように苗植付け体が昇降すると、軌跡上端位置まで上昇した苗植付け体の下端部は、植付けた苗の上端部より低い位置でしかも植付けた苗の前方近くに位置する。このため、苗の上端部が苗植付け体の中から抜け出ないうちに、苗植付け体が次の苗の植付け動作を開始してしまうことがあり、これにより前に植付けた苗を前方に倒してしまうことがある。
【0008】
ところで、上下に長い苗でも苗植付け体の昇降軌跡の上下長の方が長くなるように上下に大きく苗植付け体を昇降動する構成とすれば上記のような問題は生じにくくなるが、苗植付け体が上下に大きく昇降する構成となるため、機体が大型化し、また、植付動作速度の高速化が図り難く作業能率を向上させにくい。
【0009】
また、植付ける苗が上下に長いため、苗植付け体内側の苗収容部に苗を受入れたとき苗が苗植付け体の上方に突出する状態になっていると、苗植付け体の下方が開放されて苗が圃場に放出され植付けられるときに、苗植付け体の上方に突出する部分が苗植付け体の上部に引っ掛かって苗が適正な姿勢で放出されず、苗の植付け姿勢が乱れる場合がある。しかし、これについては、苗植付け体内側の苗収容部の上下長を、植付ける苗の最大上下長に、或は、それよりも大きい長さに設定することで、上記問題を回避できる。
【0010】
更にまた、ネギなどの苗の植付けでは、植付け苗の間隔が互いに近い二条千鳥植え(例えば、条間が5cm、株間が10cmでの千鳥状の植付け)を行う場合があるが、このような二条千鳥植えは、上記特許文献2に記載の二条千鳥植え用の苗植付け体を用いれば、簡易な構成で行えるようになる。しかし、この苗植付け体は二条千鳥植え用の苗植付け体を前後に開閉する構成なので、植え付けた苗の上端部が上昇する苗植付け体の後側部分に引っかかって機体後方に抜け出にくく、このため苗植付け体の後側部分が植付けた苗を前方に倒してしまうことがある。
【0011】
そこで、本発明は、ネギの苗などのように上下に長い苗で且つ株間が狭い状態で植付ける場合に、苗植付け体が前に植付けた苗を前方に倒してしまうことができるだけ生じないようにして、苗の植付け姿勢を良好にすることを課題とする。また、苗植付け体の昇降軌跡の上下長を小さくして機体の小型化、植付動作の高速化による作業能率の向上を容易にし、苗植付け体内側の苗収容部の上下長を苗の上下長に対応した長さに設定して、苗の植付け姿勢を良好にすることを課題とする。更に、上記のような二条千鳥植えを、簡易な構成で、且つ、適正な姿勢で植え付けられるようにすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のような構成のものとした。
請求項1記載の発明は、昇降動及び開閉動するクチバシ状の苗植付け体4を自走可能な機体に設け、機体を前進走行させながら苗植付け体4を昇降動させて、苗植付け体4の昇降軌跡上位側で閉じ状態の苗植付け体4の内側に上方から苗を受入れ、苗植付け体4の昇降軌跡下位側で苗植付け体4を下方に開放するように開いて内側に受入れた苗を外側に放出して苗を圃場に植付ける構成とした苗移植機において、前記苗植付け体4下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡MT1,MT2が、下降軌跡d1、d2では下降開始点から機体後方側に位置する下降終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て下降し、上昇軌跡u1,u2では上昇開始点から機体前方側に位置する上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て上昇するように、苗植付け体4の機体に対する昇降軌跡ST1,ST2と作業走行時の機体前進速度vを設定し、前記苗植付け体4内側の苗収容部4Lr,4Rrの上下長を苗植付け体4の昇降軌跡ST1,ST2の上下長よりも長く形成するとともに、該苗植付け体4を左右方向に開閉動して苗植付け体4内側の苗収容部4Lr,4Rrを下方に開放可能に構成したことを特徴とする苗移植機とした。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記苗植付け体4が開き状態で上昇した後に閉じる箇所Yを、前記苗植付け体4下端部の作業走行時昇降軌跡MT1,MT2にあって該昇降軌跡MT1,MT2下端箇所より機体前方側箇所に設定したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とした。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記苗植付け体4を、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右に備えるとともに、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの下部は、二股状に左右に分かれ前後にずれた状態に形成し、その上側部は左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rが互いに接合した状態に形成し、該苗植付け体4を左外側苗植付け体4aと左右中央側苗植付け体4bと右外側苗植付け体4cとに左右に三分割に構成し、左右中央側苗植付け体4bは、苗植付け体4内を左右に仕切って苗植付け体4内の苗収容部を左側苗植付け部4L側の苗収容部4Lrと右側苗植付け部4R側の苗収容部4Rrを形成するように構成し、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとは、左右中央側苗植付け体4bに対して互いに近接する位置から左右外方側に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1或は請求項2記載の苗移植機とした。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【作用】
本発明の苗移植機は、機体を前進走行させながらクチバシ状の苗植付け体4を昇降動及び開閉動させる。苗植付け体4の昇降軌跡上位側で閉じ状態の苗植付け体の内側に上方から苗を受入れ、苗植付け体4の昇降軌跡下位側で苗植付け体を下方に開放するように開いて内側に受入れた苗を外側に放出して苗を圃場に植付ける。
【0022】
そして、請求項1記載の苗移植機においては、苗植付け体4の機体に対する昇降軌跡ST1,ST2と作業走行時の機体前進速度vの設定により、作業走行中、苗植付け体4の下端部は、昇降軌跡MT1,MT2上端となる下降開始点から機体後方側に位置する下降終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て下降し、続いて、昇降軌跡MT1,MT2下端となる上昇開始点から機体前方側に位置する上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て上昇する。また、植付ける苗の上下長に対応して苗植付け体4内側の苗収容部4Lr,4Rrを上下に長く形成しながらも、苗植付け体4の昇降軌跡ST1,ST2の上下長が短いものとなり、また、苗植付け体4は植付けた苗の上端部より高く上昇しない場合はあるものの、苗植付け体4は左右方向に開いて苗を下方に放出して上昇するので、植付けた苗の上部は、苗植付け体4の左右方向への開き動作によって形成された隙間をすり抜けて出て行く。
【0023】
請求項2記載の苗移植機においては、請求項1記載の苗移植機の作用を生じるとともに、苗植付け体4下端部の作業走行時昇降軌跡MT1,MT2にあって昇降軌跡下端箇所より機体前方側箇所で、開き状態で上昇した苗植付け体が閉じる。
【0024】
請求項3記載の苗移植機においては、請求項1或は請求項2記載の苗移植機の作用を生じるとともに、上記構成とした苗植付け体4によって、二条千鳥状に苗を植付けられる。また、この苗植付け体4は、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rとが左右に接合した状態に設けたものでありながら、苗植付け体4を左外側苗植付け体4aと左右中央側苗植付け体4bと右外側苗植付け体4cとに左右に三分割に構成し、左右中央側苗植付け体4bは、苗植付け体4内を左右に仕切って苗植付け体4内の苗収容部を左側苗植付け部4L側の苗収容部4Lrと右側苗植付け部4R側の苗収容部4Rrを形成するように構成し、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとは、左右中央側苗植付け体4bに対して互いに近接する位置から左右外方側に移動可能として、左右に開閉する構成としたので、苗植付け体4が植付けた苗Nの機体前方側に上昇していくとき、植付けられた左右の苗N,Nの上部は、左右中央側苗植付け体4bと、左外側苗植付け体4a及び右外側苗植付け体4cの左右間に形成された隙間を機体後方側にすり抜けて出て行く。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の発明により、昇降軌跡下端で苗を放出して植付けた苗植付け体が、従来よりも植付けた苗から前方に大きく離れた個所に上昇するようになるので、ネギの苗などのように上下に長い苗で且つ株間が狭い状態で植付ける場合に、苗植付け体が前に植付けた苗を前方に倒してしまうことが生じにくくなり、苗の植付け姿勢が良好になる。また、ネギなどの上下に長い苗を適確に植付けるのに対応して苗植付け体内側の苗収容部を上下に長く形成しながらも、苗植付け体の昇降軌跡の上下長が短いものとなり、機体の小型化、植付動作の高速化による作業能率の向上が容易となる。しかも、苗植付け体は植付けた苗の上端部より高く上昇しない場合はあるものの、苗植付け体は左右方向に開いて苗を下方に放出して上昇するので、植付けた苗の上部は、苗植付け体の左右方向への開き動作によって形成された隙間をすり抜けて出て行くので、一層、苗の植付け姿勢が良好になる。
【0032】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明が奏する効果に加え、苗植付け体が前に植付けた苗を挟んで閉じることが生じにくくなり、苗の植付け姿勢が更に良好になる。
請求項3記載の発明では、請求項1或は請求項2記載の発明が奏する効果に加え、二条千鳥植えを簡易な構成で行え、しかも、苗植付け体が植付けた苗の機体前方側に上昇していくとき植付けられた左右の苗の上部は、仕切り部と左右開閉体との左右間に形成された隙間を機体後方側にすり抜けて出て行くので、苗を引っかけて前方に倒すようなことが生じ難く、苗の植付け姿勢が良好になる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態としての苗移植機を以下に説明する。尚、以下の図示例についての説明で前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン5を配置した側を前とする。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側を左とする。
【0038】
苗移植機は、走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に、昇降駆動する昇降リンク機構3と連結して昇降動作する開閉可能なクチバシ状の苗植付け体4を備えた構成としている。
走行装置1は、図示例では、エンジン5と、該エンジン5の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪6,6と、該車輪6,6の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪7,7とを備えたものとしている。
【0039】
エンジン5の後部には、ミッションケース8を配置し、そのミッションケース8は、その左側部からエンジン5の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン5の左側部と連結している。このケース部分にエンジン5の出力軸が入り込んでミッションケース8内の伝動機構(走行部系変速伝動部C1と作業部系変速伝動部C2)に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース8の左右両側部に伝動ケース9,9を回動自在に取り付け、この伝動ケース9,9の回動中心にミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース8内の走行部系変速伝動部C1を経た走行用の動力が伝動ケース9,9内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース9,9内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側側方に突出する車軸10,10に伝動し、後輪6,6が駆動回転するようになっている。
【0040】
また、伝動ケース9,9のミッションケース8への取付部には、上方に延びるアーム11,11を一体的に取り付けていて、これがミッションケース8に固定された昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆13の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド14で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ15で連結している。
【0041】
昇降用油圧シリンダ12が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム11,11は後方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ12のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム11,11は前方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ12は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサーSの検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した操作具Lの人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう作動する構成ともしている。
【0042】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ15が伸縮作動すると、前記天秤杆13が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース9,9を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ15は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0043】
前記左右前輪7,7は、エンジン5下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム16の左右両側部の下方に延びるアーム部分の下端部側方に固定した車軸17,17に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪7,7は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0044】
前記操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム2bの後端部に取り付けている。機体フレーム2bは、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム2bの後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0045】
尚、上記走行装置1は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成とすることも可能であり、前輪の替わりに畝上面を転動する鎮圧体を設ける構成とすることもできる。また、クローラー式の走行装置としてもよい。
次に、昇降リンク機構3及び苗植付け体4について説明する。
【0046】
昇降リンク機構3は、ミッションケース8内の作業部系変速伝動部C2を経た苗移植作業部駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース18に装着している。図例のように植付け伝動ケース18は、その前部がミッションケース8の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部18aと、この第一ケース部18aの上部左側部に固定されそこから左側方に伸びる第二ケース部18bと、第二ケース部18bの左外端部に固定されてそこから後方に延びる第三ケース部18cと、第三ケース部18cの後部左側部に固定されそこから左側方に伸びる第四ケース部18dと、第四ケース部18dの左外端部に固定されてそこから後方に延びる第五ケース部18eを有するものとしている。これら第一〜第五ケース部18a〜 18e内に昇降リンク機構3を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。なお、第一ケース部18a内に内装した伝動機構には、昇降リンク機構3及び苗植付け体4をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で間欠的に停止させる間欠駆動機構Kと、昇降リンク機構3及び苗植付け体4の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備える。間欠駆動機構Kは、苗植付け体4を一サイクル植付け動作させて自動的に設定位置で停止させる一回転停止機構と、この一回転停止機構による苗植付け体4を一サイクル植付け動作の開始操作を行う一回転開始機構を備えて、その一回転開始機構の作動タイミングが前記株間変更用変速部C3によって調節される構成として、この調節によって苗植付け体4の停止間隔が調節されて苗植付株間が変更調節されるようになっている。また、一回転停止機構による苗植付け体4の一サイクル植付け動作は、株間変更用変速部C3を経ないで伝動した動力によって駆動回転される構成としている。従って、株間変更用変速部C3によって苗植付株間が変更されても、機体前進速度に対する苗植付け体4の昇降駆動速度は変更されず、苗植付け体4は作業走行時において地面に対して設定した軌跡で昇降動するようになっている。
【0047】
そして、昇降リンク機構3は、左右の苗植付け体4の前側に設けた左右方向の連結軸19の左右二個所で回動自在に連結する第一昇降アーム20と、苗植付け体4の後側に設けた左右方向の連結軸21の左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム22とを備える。そして、第一昇降アーム20の下端部は、第三ケース部18cの下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第一揺動アーム23の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の下端部は、第五ケース部18eの後部側下部にから右側に延びる取付軸に揺動自在に取り付けた第二揺動アーム24の先端部と回動自在に連結する。また、第一昇降アーム20の中間部は、第三ケース部18cの右側部から突出し駆動回転する第一駆動軸25に固定されて駆動回転する第一駆動アーム26の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム22の中間部は、第五ケース部18eの後部側右側部から突出し駆動回転する第二駆動軸27に固定されて駆動回転する第二駆動アーム28の先端部と回動自在に連結する。従って、第一駆動アーム26と第二駆動アーム28とが植付け伝動ケース18内の伝動機構によって動力が伝達されて駆動回転すると、第一昇降アーム20と第二昇降アーム22が揺動しながら昇降動し、その結果、苗植付け体4の下端部は、図示のような軌跡T1、T2を機体に対して描いて昇降動する。クチバシ状の苗植付け体4は、その昇降軌跡下端まで下降すると開き作動して苗植付け体4内の苗を圃場の土壌に放出する。
【0048】
本例の苗移植機の苗植付け体4下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡MTは、以下のような軌跡となるように、苗植付け体4の機体に対する昇降軌跡STと作業走行時の機体前進速度vを設定している。即ち、図15(a)に示すように、この苗植付け体4の下端部の作業走行時昇降軌跡MTは、その昇降軌跡MT上端となる下降開始点から機体後方側に移動しながら昇降軌跡MT下端となる下降終了点に向かって機体後方側に膨らんだ下降軌跡dを描きながら下降し、昇降軌跡MT下端となる上昇開始点から機体前方側に移動しながら昇降軌跡MT上端となる上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ上昇軌跡uを描きながら上昇するというような昇降軌跡に設けている。
【0049】
一方、前記特許文献1等に記載されるような従来の苗移植機においては、図15(b)に示すように、苗植付け体4’は、苗植付け体4’の機体に対する昇降軌跡ST’を機体側面視で上下に長い楕円状軌跡とし、作業走行時の機体前進速度v’を適宜設定して、苗植付け体4’の下端部の作業走行時昇降軌跡MT’が、その昇降軌跡MT’上端となる下降開始点から機体前方側に移動しながら昇降軌跡MT’下端となる下降終了点に向かって機体前方側に膨らんだ下降軌跡d’を描きながら下降し、昇降軌跡MT’下端となる上昇開始点から機体前方側に移動しながら昇降軌跡MT’上端となる上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ上昇軌跡u’を描きながら上昇するというような昇降軌跡に設けている。
【0050】
図15及び図9に示した昇降軌跡MT,MT’,MT1,MT2におけるS,S’,S1,S2の区間は、前記間欠駆動機構によって苗植付け体の昇降動が停止して苗植付け体が上下移動しないで機体前進走行によって前方に移動する区間である。また、図中符号Nは植え付けた苗を示し、Gは苗Nを植え付ける圃場面を示す。
【0051】
図15(b)の苗植付け体4’下端部の作業走行時昇降軌跡MT’とした場合には、苗を植付ける昇降動作が一サイクル終了して苗植付け体4’が昇降軌跡MT’の上端部或はその付近に上昇したとき、苗植付け体4’は植付けた苗Nの前方にあるが植付けた苗Nとの前後間隔w’が小さくなるような個所に上昇移動する。このため、ネギの苗などのように上下に長い苗で且つ狭い株間で植付ける苗の場合には、苗植付け体4’が植付けた苗Nの上部側に前後に接近した位置に上昇して次の苗を植付けるための下降動作が始まるようになり、苗植付け体4’が植付けた苗Nの上部側を引っかけて前方に倒したり、苗植付け体4’が次の苗の植付けのために閉じるときに前に植付けた苗Nの上部側を挟んでしまってそのまま下降し苗を倒してしまうことがある。しかも、苗植付け体4’が前後に開閉する構成としていた場合には、前後に開いた苗植付け体4’の後側部分が、植付けた苗Nに一層接近することになり、このような現象は更に生じやすくなる。
【0052】
しかし、図15(a)の苗植付け体4下端部の作業走行時昇降軌跡MTとした場合には、苗を植付ける昇降動作が一サイクル終了して苗植付け体4が昇降軌跡MTの上端部或はその付近に上昇したとき、苗植付け体4は植付けた苗Nの前方で植付けた苗Nとの前後間隔wが大きくなるような個所まで上昇移動する。このため、ネギの苗などのように上下に長い苗で且つ狭い株間で植付ける苗の場合でも、苗植付け体4は植付けた苗Nの上部側から前方に大きく離れた位置に上昇して次の苗を植付けるための下降動作が始まるようになり、苗植付け体4が植付けた苗Nの上部側を引っかけて苗を前方に倒してしまうことが生じにくくなり、苗の植付け姿勢が良好になる。
【0053】
図15においては、通常の1条植え用のクチバシ状苗植付け体4についての作業走行時昇降軌跡MTを示したが、このような昇降軌跡は、図1〜図14に示した二条千鳥植え用の苗植付け体4において実施しても、同じ効果を奏する。具体的には、図9に示すように、二条千鳥植え用の苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡MT1、MT2は、以下のような軌跡となるように、苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの機体に対する昇降軌跡ST1、ST2と作業走行時の機体前進速度vを設定している。即ち、図9に示すように、この苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの下端部の作業走行時昇降軌跡MT1、MT2は、前後にずれた状態で、ともに、その昇降軌跡MT1、MT2上端となる下降開始点から機体後方側に移動しながら昇降軌跡MT1、MT2下端となる下降終了点に向かって機体後方側に膨らんだ下降軌跡d1,d2を描きながら下降し、昇降軌跡MT1、MT2下端となる上昇開始点から機体前方側に移動しながら昇降軌跡MT1、MT2上端となる上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ上昇軌跡u1,u2を描きながら上昇するというような昇降軌跡に設ける。
【0054】
また、図15(a)に示した苗植付け体4が開き状態で上昇した後に閉じる箇所Yは、苗植付け体4の下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡MTにあって該昇降軌跡下端箇所より機体前方側箇所に設定している。これにより、苗植付け体4が植付けた苗Nの上端部を挟んで下降して苗を前方に倒してしまうことが一層生じにくくなり、苗の植付け姿勢が更に良好になる。また、このような設定は、二条千鳥植え用の苗植付け体4で実施しても同じ効果を奏するものとなる。
【0055】
図1〜図14に示す二条千鳥植え用の苗植付け体4は、左側条を植付けるクチバシ状の左側苗植付け部4Lと右側条を植付けるクチバシ状の右側苗植付け部4Rを備え、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの下部は、二股状に左右に分かれ前後にずれた状態に形成し、その上側部は、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rが互いに接合した状態に形成している。左右に分かれ前後にずれた左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各下端部は、二条千鳥植えの左右の条の条間隔と一致する左右間隔となるように設定し、且つ、左右の条の植付け苗の前後方向のズレ巾と一致する前後間隔に設定している。
【0056】
そして、上記のように形成した二条千鳥植え用の苗植付け体4は、左右方向に開閉する構成としている。具体的には、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右に備える苗植付け体4を左外側苗植付け体4aと左右中央側苗植付け体4bと右外側苗植付け体4cとに左右に三分割に構成し、左右中央側苗植付け体4bは、苗植付け体4内を左右に仕切って苗植付け体4内の苗収容部を左側苗植付け部4L側の苗収容部4Lrと右側苗植付け部4R側の苗収容部4Rrを形成し、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとを、左右中央側苗植付け体4bに対して互いに近接する位置から左右外方側に移動可能に構成し、二条千鳥植え用の苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右方向に開閉可能に構成している。これにより、この二条千鳥植え用の苗植付け体4は、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各苗収容部4Lr,4Rr内に苗を収容して圃場に下降し、その各苗収容部4Lr,4Rr内に収容した苗を圃場に放出して苗を圃場に植付け、これを機体の前進走行中に定期的に繰り返すことで二条千鳥植えが行えるものとなる。
【0057】
苗植付け体4の上部に、内側に形成した上下開放した筒状の苗案内通路35R,35Lによって苗を上方から苗植付け体4内の左右の苗収容部4Lr,4Rrに案内する苗案内体35を設けている。この苗案内体35の内側には左右に仕切る仕切り部材35Cを設け、該苗案内体35の仕切り部材35Cと苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各苗収容部4Lr,4Rrを左右に仕切る左右中央側苗植付け体4bとを一体的に形成或は連結し、前記苗植付け体4内側の左右の苗収容部4Lr,4Rrの上方に続く苗案内体35の左右の苗案内通路35R,35L内を苗植付け体4内側の左右の苗収容部4Lr,4Rrの一部として構成し、苗植付け体4内側の苗収容部4Lr,4Rrとその上方に続く苗案内体35の苗案内通路35R,35Lとを合わせた上下長を苗植付け体4の昇降軌跡の上下長よりも長く形成するとともに、該苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右方向に開閉動して左右の苗収容部4Lr,4Rrを下方に開放可能に構成している。これにより、二つの苗が苗案内体35の左右の苗案内通路35R,35L内に入れられると、苗案内体35の左右の苗案内通路を落下し、更に、苗植付け体4内側の左右の苗収容部4Lr,4Rr内まで落下して収容される。入れられた苗が上下に長い苗の場合は、苗植付け体4内側の左右の苗収容部4Lr,4Rrとその上方に続く苗案内体35の左右の苗案内通路35R,35L内とにわたって苗がそれぞれ収容された状態となる。
【0058】
この二条千鳥植え用の苗植付け体4を、図13に示すように、苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rとが下側で二股に分かれはじめる箇所Xが地表面Gより下方に位置するまで下降する構成とするとともに、前記二条千鳥植え用の苗植付け体4の左右下端部から放出された左右の苗の左右外側方近傍箇所を鎮圧する左右の鎮圧体36,36を設けた構成としている。従って、苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rから放出されて植付けられた左右の苗の左右間の土壌は、苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rが下側で二股に分かれはじめる箇所が土中に突入して下方に押し固められ、一方、左右の苗の左右外側方近傍の土壌は、左右の鎮圧体36,36で鎮圧されて、二条千鳥植えで植付けられた苗の周囲の土壌を簡易な構成で適確に鎮圧でき、しかも、二条千鳥植えの狭い条間部を植付け後に鎮圧体を作用させようとすると、機体の左右の位置ズレ等によって鎮圧体が苗を押し倒したりしやすくなるが、土中に突入する苗植付け体4の一部によって植付け時に押し固めるものなので、このような問題も回避できる。
【0059】
また、二条千鳥植え用の苗植付け体4が開き状態で上昇した後に閉じる箇所Yは、二条千鳥植え用の苗植付け体4の後側の苗植付け体(右側苗植付け部4R)の下端部の作業走行時昇降軌跡MT2にあって二条千鳥植え用の苗植付け体4の前側(左側苗植付け部4L)の下端部の作業走行時昇降軌跡MT1の下端個所より機体前方側箇所に設定している。従って、二条千鳥植え用の苗植付け体4が前に植付けた苗N,Nを前方に倒してしまうことが生じにくくなり、二条千鳥植えの苗の植付け姿勢が更に良好になる。
【0060】
苗植付け体4の左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cのそれぞれの開閉回動支点となる前後方向の回動軸4r,4rを苗植付け体4の上部左右両側方に設けるとともに、苗植付け体4を昇降駆動する前後一対の昇降アーム20,22のそれぞれに苗植付け体4を回動自在に連結する左右方向の連結軸19,21を苗植付け体4の上部前後両側方に設けた構成としている。従って、苗植付け体4の前後で前後一対の昇降アーム20,22と連結して苗植付け体4を適正な前後姿勢で昇降でき、しかも、苗植付け体4を左右方向に開閉可能にできて、苗植付け体4の前後姿勢の乱れによる苗の押し倒し等が生じ難くなり、且つ、苗植付け体4の左右方向への開き作動によって苗植付け体4の苗の引っかけも生じ難くなり、苗の植付け姿勢が一層良好になる。
【0061】
また、苗植付け体4を昇降アーム20,22に連結する左右方向の前記連結軸19,21と左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cの前後方向の回動軸4r,4rとを前記苗案内体35に支持させた構成としている。従って、苗案内体35を苗植付け体4の支持部材として兼用できて、苗植付け体4の構成簡易化及び軽量化が図れ、苗植付け体4を一層適確に昇降駆動できて苗の植付け姿勢が一層良好になる。
【0062】
なお、左外側苗植付け体4aは、その上部前後両側が右方にアーム状にのびてその各先端部が右側の回動軸4rに回動自在に連結し、右外側苗植付け体4cは、その上部前後両側が左方にアーム状にのびてその各先端部が左側の回動軸4rに回動自在に連結する。そして、左外側苗植付け体4aの上部前後両側の右方にのびるアーム状部と右外側苗植付け体4cの上部前後両側の左方にのびるアーム状部とは、それぞれ左右の回動軸4r,4rの左右中央位置に設けた長孔に前後方向の軸部を有するナットを嵌めて連結し、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとは、一方側が他方側の動作に連動して回動し両者が同時に左右に開閉動作するようになっている。また、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとはスプリングにて苗植付け体4を閉じる方向に互いに連結している。更に、第二昇降アーム22の基部側部分に、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cを開閉動作させるための開閉アーム31を回動自在に連結し、その開閉アーム31の先端部と左外側苗植付け体4aの上部後側から延びるアーム部とを連結ロッド32で連結している。開閉アーム31の中間部には、苗植付け体4がその昇降軌跡下端まで下降したときに、第二昇降アーム22を回動自在に連結している第二駆動アーム28の先端部に固定の軸に固定したカム34と該カム34に開閉アーム31を圧接させるスプリングの作用によって開閉アーム31が上下に回動し、開閉アーム31が上方に回動すると左外側苗植付け体4aが右側の回動軸4r周りに上方回動し、これに連動して右外側苗植付け体4cが左側の回動軸4r周りに上方回動して、二条千鳥植え用の苗植付け体4が開く。そして、苗植付け体4が昇降軌跡上端に達する直前にカム34による開き作用から開放されて二条千鳥植え用の苗植付け体4が閉じる。なお、上記のカム34、開閉アーム31、連結ロッド32等は、苗植付け体4の開閉機構を構成するが、公知の別の開閉機構を採用してもよい。
【0063】
鎮圧体36,36は、苗植付け体4の下降下端個所の左右両外側近傍位置に配置した接地体であり、本例では、接地転動輪で構成している。この鎮圧体36,36は、機体フレーム2bの途中部に前部が左右軸回りに回動自在に取付けた左右の支持フレーム37,37の後部側にそれぞれ横軸回りに回転自在に取付けている。左右の支持フレーム37,37の後部は互いに連結する連結部38を有し、該連結部38と、機体後部側に設けた支持部材39に下降下限位置を設定して上下動自在に取付けた後部支持ロッド40の下端部を横軸回りに取付けている。この後部支持ロッド40には、鎮圧体36,36の鎮圧力を増大させるためのウエイト41を装着している。
【0064】
上記構成の苗移植機は、苗植付け体4に上方から苗を落下させて供給する苗供給装置42を備える。
即ち、機体を自走させる走行装置1と、上下動するよう設けて上位で上方から苗を受入れて下位で受入れた苗を圃場に放出する苗植付け体4と、該苗植付け体4に上方から苗を落下させて供給する苗供給装置42とを備え、前記苗供給装置42には、上下に開口する筒状体43…と該筒状体43…の下側の開口部43a…を開閉する底蓋44…とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体45…と、該苗収容体45…を前記苗植付け体4の上方を通過する状態で機体平面視非円形のループ状の軌跡で周回動させる苗収容体移動機構46と、前記苗収容体45…の底蓋44…を苗植付け体4の上方位置で開放する底蓋開放機構47を設けた構成としている。
【0065】
この苗移植機は、以下のように作用するものとなる。走行装置1によって機体が自走する。走行中、苗植付け体4は上下動し、上位に位置するときに苗供給装置42から落下供給された苗を上方から苗を受入れて、下位に位置するときに受入れた苗を圃場に放出して苗を圃場に移植する。苗供給装置42は、上下に開口する筒状体43…と該筒状体43…の下側の開口部43a…を開閉する底蓋44…とを有した苗収容体45…が複数備えられて互いにループ状に連結し、苗収容体移動機構46によって苗植付け体4の上方を通過する状態で機体平面視非円形のループ状の軌跡で周回動する。そして、底蓋開放機構47により苗植付け体4の上方位置で苗収容体45…の底蓋44…が開放される。従って、苗収容体45…の中に収容された苗は、苗収容体45…の周回動によって苗植付け体4の上方位置まで移送されそこで落下し苗植付け体4に供給される。よって、この苗移植機は、苗供給作業を余裕をもって行え、作業能率の向上が図れる。
【0066】
そして、苗供給装置42は、前記苗収容体45…の外周に円筒外周部43c…を形成し、該円筒外周部43c…に外側から回動自在に係合する係合部48を有して二つの苗収容体45,45を連結する連結体49を複数設け、該連結体49…の前記係合部48…を苗収容体45…の前記円筒外周部43c…に回動自在に係合し該円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動自在に連結する状態として前記複数の苗収容体45…を互いに連結した構成としている。これにより、この苗移植機は、苗収容体45…は、苗収容体45…の円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動しながら周回動することになって、苗収容体45…の間隔の変動が生じ難いものとなり、よって、苗植付け体4に対する苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができ、また、苗収容体45…の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体の上側開口部43b…を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体45…への苗供給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0067】
また、苗供給装置42は、前記苗収容体45…の筒状体43…に底蓋44…を開閉回動可能に取付け、該苗収容体45…のそれぞれに前記連結体49…を一つづつ一体的に取付け、該連結体49…の前記係合部48を隣の苗収容体45…の前記円筒外周部43c…に回動自在に係合させて苗収容体45…を互いに連結した構成としている。これにより、この苗移植機は、苗収容体45…は、苗収容体45…の円筒外周部43c…を回動軸として隣の苗収容体45…が回動しながら周回動し、しかも、苗収容体45…が周回動するとき、連結体49…が周回方向に沿う姿勢で移動するとともに、連結体49…を筒状体43…に一体的に取付けた苗収容体45…も、底蓋44…の取付部50…が周回方向に対し設定方向に位置する状態を維持しながら移動することになる。よって、苗収容体45…の底蓋44…は、苗植付け体4の上方位置においていつも同じ方向に開放動作するものとなり、底蓋開放機構47による底蓋44…の開放が適確に作動するようになり、苗植付け体4に対する苗供給が一層適正に行われて適確な苗の移植ができるものとなる。
【0068】
そしてまた、この苗移植機は、前記苗植付け体4を、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右に備えて二条植え可能に構成し、前記苗供給装置42は、苗収容体45…が機体平面視で左右方向に直線的に移動する区間SSを有する軌跡で周回動する構成とし、且つ、苗収容体45…が左右方向に直線的に移動する区間SSで左右に並列する苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各苗収容部4Lr,4Rrの上方を通過するように配置した構成として、圃場に苗を2条同時に移植されるものとしている。よって、2条植付け可能な苗植付け体4に対して苗を供給する苗供給装置42を簡略に構成でき、また、苗収容体45…に対して苗を供給しやすくするために苗収容体45…が連続的に移動するように苗収容体移動機構46を駆動しても、苗植付け体4の左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの各苗収容部4Lr,4Rr内に対しそれぞれ同様な落下軌跡で苗を苗収容体45…から落下供給できて、2条植付け可能な苗植付け体4に対する苗の供給が適確に行え、2条条同時の苗移植が適確に行える。
【0069】
ところで、本例のように、苗植付け体4に左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右に並設して同時に二条植付け可能に構成した場合は、右側苗植付け部4Rに落下供給する苗収容体45と左側苗植付け部4Lに落下供給する苗収容体45とが交互になるように連結し、且つ、右側苗植付け部4Rに落下供給する苗収容体45が右側苗植付け部4Rの上方に位置するとき、左側苗植付け部4Lに落下供給する苗収容体45が丁度左側苗植付け部4Lの上方に位置する状態となるように構成し、更に、苗植付け体4の植付昇降動作が一サイクル動作する間に苗収容体45が2個分周回移動するように構成する。これにより、苗収容体45…が左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの上方を左右方向に直列的に通過しながら左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rに対して苗供給漏れが生じることなく同時に苗を供給でき、且つ、左右の苗植付け体4の上方を通過した後に苗が供給されなかった苗収容体45…が生じないよう余すことなく左右両方の苗植付け体4に対して苗を供給できるものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ、左右に並ぶ左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rに対して確実に苗を供給できて二条植えが適確に行える。
【0070】
以下に、苗供給装置42の苗収容体移動機構46の構成について説明する。即ち、ループ状に連結した苗収容体45…を巻き掛ける移動作用体51,51を機体の左右に設け、該移動作用体51,51を駆動回転する構成として、ループ状に連結した苗収容体45…を機体平面視で左右に長い長円軌跡を描かせて周回移動する構成としている。移動作用体51,51の外周には、その外周に巻き掛けられた苗収容体45…の円筒外周部52…に係合する凹部を苗収容体45…の連結間隔に対応する間隔で複数形成して、苗収容体45…を確実に移動させられるように設けている。移動作用体51,51の駆動構成は、苗植付け体4を間欠駆動する前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で前記株間変更用変速部C3の伝動下手側の伝動経路から動力を取出して移動作用体51,51を連続回転駆動し、苗収容体45…を連続的に周回移動させるように構成している。具体的は、植付け伝動ケース18の第一ケース部18aの左側部から連続回転する回転軸53aを突出させ、該回転軸53aに自在継ぎ手を介して伝動軸53bを連結し、該伝動軸53bにて機体左側に設けた伝動ケース54に伝動し、該伝動ケース54から上方に突出させた回転軸55に一体回転するように取付けた左側の移動作用体51を駆動回転する構成としている。また、回転軸55にはスプロケット56も一体回転するように取付け、該スプロケット56と、右側の移動作用体51の回転軸57に一体回転するように取付けたスプロケット58とに伝動チェン59を巻き掛けて、左右の移動作用体51,51の両方を駆動回転する構成としている。ところで、一方側の移動作用体を駆動回転する構成の場合、駆動回転する移動作用体に取り込まれていく側の苗収容体の列は緊張した連結状態となるが、駆動回転する移動作用体から繰出される側の苗収容体の列は弛緩した連結状態となる。このため、駆動回転する移動作用体から苗収容体が繰出される個所で、移動作用体が苗収容体に係合する部位から苗収容体が外れることがあり、また、駆動回転する移動作用体から苗収容体が繰出された後の苗収容体の列が乱れて、苗収容体の列の下側を支持する部材等との摩擦が大きくなって突然引っかかったようになり、苗収容体の移動が円滑に行われなくなることが生じる。しかしながら、上記のように左右の移動作用体51,51の両方を駆動回転する構成としたので、移動作用体51,51から苗収容体45…が外れたり苗収容体45…の列が乱れたりすることが生じにくくなって苗収容体45…が円滑に移動するものとなり、これにより苗植付け体4への苗の供給が良好に行われて苗移植作業を良好に継続できるものとなった。
【0071】
なお、前記伝動ケース54内の伝動機構は、該伝動ケース54の前側に突出する入力軸60が、その前端部が前記伝動軸53の後端部と自在継ぎ手を介して連結して伝動回転し、伝動ケース54内で、入力軸60の後端部に形成したベベルギヤ61が、前記移動作用体51の回転軸55と一体回転するように取付けたベベルギヤ62と噛み合うように設けている。従って、前記伝動軸53を介して伝動されてきた回転動力は、この伝動ケース54内で上下方向の前記回転軸55回りの回転に変換されて前記移動作用体51を伝動回転する構成としている。本例では、苗供給装置42の後側に移動してきた苗収容体45…が右側に移動する方向となるように苗収容体45…の周回移動方向Dを設定していて、操縦ハンドル2の左側方で苗供給装置42の後側位置に立って苗収容体45…に右手で供給する苗供給作業形態で作業者が苗を供給しやすいようになっている。
【0072】
本例では、機体の左右一方側に2条植え可能な苗植付け体4を配置し、その左右反対側に、苗供給装置42の移動作用体51,51を駆動回転する動力を入力して左右一方側の移動作用体51の回転軸55に伝動する上記伝動要素60,61,62を備え該回転軸55を上方に突出させて駆動回転可能に支持する上記伝動ケース54を設けた構成としている。従って、仮に、上記伝動ケース54を苗植付け体4を配置した側に設けた場合には、苗植付け体4と苗収容体45…との間に上記伝動ケース54が入り込んで、苗供給装置42が高い位置に配置されてしまうことになったり、また、それを回避するために、外側方に苗供給装置42が突出したものとなってしまう。しかしながら、本例では、上記のように左右に振り分けて構成したので、機体の左右重量バランスが良好になり、苗供給装置42の左右幅を過大に広く構成することなく必要充分な幅を有しつつコンパクトに構成でき、尚且つ、苗供給装置42から苗植付け体4への苗の落下距離ができるだけ短くなるよう苗供給装置42を低く配置できて、苗植付け体4への苗の落下供給が適確に行え、また、苗供給装置42への苗の供給が容易に行える高さに設定しやすくなる。従って、上記のように構成したことにより、機体の左右重量バランスが良好になるとともに、機体の構成をできるだけコンパクトに構成でき、しかも、苗植付け体4への苗の落下供給が適確に行え、且つ、苗供給装置42への苗供給が容易に行える高さに設定しやすい構成のものとなる。
【0073】
苗供給装置42を駆動する動力は、前記のとおり、苗植付け体4を間欠駆動する前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で、前記株間変更用変速部C3の伝動下手側の伝動経路から取出している。これにより、苗植付け体4は間欠的に駆動し、苗供給装置42は連続的に駆動する構成とした苗移植機にあって、苗植付け体4が昇降軌跡Tの上位において間欠的に停止する時間を変更して苗植付株間を変更可能とするよう株間変更用変速部C3を間欠駆動機構Kの伝動上手側に設けた構成において、上記のように苗供給装置42を駆動する動力を取出す構成としたので、間欠駆動する苗植付け体4の間欠停止時間を変更して苗植付株間を変更しても、それに対応して、連続的に駆動される苗供給装置42の動作速度も変更されるので、苗供給装置42から苗植付け体4への苗の供給が良好に行われ、作物等の種類に応じて、適宜、苗植付株間を変更調節しても良好に苗移植作業が行えるものとなる。
【0074】
また、苗供給装置42への伝動を入り切りするクラッチ手段CL1を、苗供給装置42を駆動する動力を前記間欠駆動機構Kの伝動上手側で、前記株間変更用変速部C3の伝動下手側から移動作用体51を回転駆動する回転軸55への伝動経路に設け、一方、苗植付け体4への伝動を継続して切ることを可能とするクラッチ手段CL2を前記間欠駆動機構Kに設けている。そして、苗供給装置42側のクラッチ手段CL1と苗植付け体4側のクラッチ手段CL2は、操縦ハンドル2側に設けた一つの人為操作具(例えば操作レバー等)によって同時に切り操作及び入り操作されるように構成している。前記間欠駆動機構Kには、苗植付け体4を一サイクル植付け動作させて自動的に停止させる一回転停止機構とこの一回転停止機構による苗植付け体4を一サイクル植付け動作の開始操作を行う一回転開始機構を備えて、その一回転開始機構の作動タイミングが前記株間変更用変速部C3によって調節される構成となる。従って、前記一回転開始機構の作用部と一回転停止機構の非作用部との位置関係を作用しあわない位置に変更操作するだけで、苗植付け体4を設定位置で継続的に停止できる。このように、間欠駆動機構Kを利用して前記クラッチ手段CL2を構成すれば、苗植付け体4を設定位置で停止でき、且つ、構成の簡略化が図れる。一方、苗供給装置42は連続的に駆動するため、前記クラッチ手段CL1は間欠駆動機構Kの伝動上手側に設けることになり、苗植付け体4側の前記クラッチCL2を上記ように間欠駆動機構Kを利用すると当該クラッチCL2と共用できない。しかしながら、苗供給装置42側のクラッチ手段CL1と苗植付け体4側のクラッチ手段CL2を一つの人為操作具によって同時に切り操作及び入り操作するように構成することによって、苗植付け体4側の前記クラッチCL2を上記ように間欠駆動機構Kを利用する利点を生かしながら、連続的に駆動される苗供給装置42の停止及び駆動再開を、苗植付け体4の停止及び駆動再開のタイミングに合わせて行うことができる。
【0075】
なお、前記苗供給装置42側のクラッチ手段CL1は、伝動負荷が設定値以上になると自動的に動力を切断する機構を備えている。また、苗植付け体4側と苗供給装置42側とに動力が分岐する前の作業部系伝動経路にも、伝動負荷が設定値以上になると自動的に動力を切断する機構を有するクラッチ手段CL3を設けている。そして、該クラッチ手段CL3において自動的に動力を切断する伝動負荷の設定値は、前記苗供給装置42側のクラッチ手段CL1において自動的に動力を切断する伝動負荷の設定値よりも高い値に設定している。これにより、前記苗供給装置42への苗供給作業中に作業者等が誤って接触して苗収容部45…の周回移動を強制的に停止させるような過負荷状態が苗供給装置42の駆動系に生じても、前記クラッチ手段CL1が作動して苗供給装置42の駆動系の破損を適宜回避できるようになる。この苗供給装置42への伝動を自動的に遮断するのを苗植付け体4側と苗供給装置42側とに動力が分岐する前の作業部系伝動経路に設けた前記クラッチ手段CL3にて動作させようとすると、圃場に苗を植付けるために土壌中に突入するために伝動負荷が苗供給装置42の駆動系よりも大きいものとなる苗植付け体4の駆動が適確に継続することができなくなる。しかしながら、上記のように構成したことにより、苗植付け体4と苗供給装置42の駆動を適確に継続できるようにし、且つ、苗植付け体4に対して生じた過負荷と苗供給装置42に対して生じた過負荷をそれぞれ前記クラッチ手段CL1,CL3にて適確に解放できて、苗植付け体4と苗供給装置42の両駆動系を適確に保護することができる。
【0076】
上記苗供給装置42の支持構成は、以下のように構成している。左右の車輪6,6;7,7の間にエンジン5とミッションケース8を配置した機体前部側から、機体下部側を後方に向って延びて後部側を後上がり状態に形成した機体フレーム2bを設けて該機体フレーム2bの後端部に操縦ハンドル2を装着するとともに、前記機体前部側から機体上部側を後方に向って延びる第一支持フレーム63を設けて該第一支持フレーム63の後部側を前記機体フレーム2bと連結し、該支持フレーム63から左右両外側方に延びる第二支持フレーム64を設け、該第二支持フレーム64の左右両側部で、ループ状に連結した苗収容体45…を機体平面視で左右に長い長円軌跡を描かせて周回移動させる左右の移動作用体51,51の回転軸を支持する構成とした。従って、第一支持フレーム63が、操縦ハンドル2を装着する機体フレーム2bとともに機体の中央部寄りに配置されるとともに機体フレーム2bと連結して機体の左右バランスが良好で且つ強硬なフレーム構造を形成するものとなり、そして、このように構成した第一支持フレーム63から左右両外側方に第二支持フレーム64を延ばして、その左右両側で苗収容体45…を周回移動させる左右の移動作用体51,51の回転軸を支持するので、苗供給装置42の支持構造が簡潔且つ充分な強度を有したものとなり、機体のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0077】
また、第二支持フレーム64を、第一支持フレームと連結する側の基部側フレーム部64aと、移動作用体51,51の回転軸を支持する側の支持部側フレーム部64bとで分割構成し、基部側フレーム部64aに対して支持部側フレーム部64bを左右方向に移動調節可能に設けている。これにより、左右の移動作用体51,51の外周に巻き掛けられるループ状に連結した苗収容体45…の緊張状態を適宜調節することが容易に行え、組み立てやメンテナンスが容易になる。
【0078】
苗供給装置42には、苗収容体45…を、その周回移動軌跡に沿う移動を案内するガイド体65,65,65を苗収容体45…の周回移動軌跡の内側と外側とに設けている。一方、苗収容体45…には、周回移動軌跡の内側と外側に突出する突出部66を形成し、前記ガイド体65,65,65が前記突出部66の上側に位置し且つ苗収容体45…を周回移動軌跡の内外から挟み込むように配置した構成にしている。これにより、苗収容体45…の周回移動が適確且つ円滑に行われ、苗収容体45…が左右方向に直線的に移動する区間SSで苗植付け体4の上方を通過するように配置した構成にあって、周回移動中に苗収容体45…が前後に揺動して、苗植付け体4の上方を通過するときに苗収容体45…が前後にずれて苗植付け体4に対する苗供給が適確に行われなくなるのを防止できる。しかも、苗収容体45…に形成した突出部66の上側に前記ガイド体65,65,65が位置するので、周回移動中に苗収容体45…の浮き上がりも防止されて、苗収容体45…の周回動が適確に行われるようになる。苗収容体45…の周回移動軌跡の下方には、苗収容体45…の周回移動中で且つ苗植付け体4の上方位置以外で、苗収容体45…を、下方回動により開放動作する底蓋44が閉じた状態となるようにして支持する支持体67を周回移動軌跡に沿って設けている。従って、前記ガイド体65,65,65と前記突出部66の上記構成は、苗収容体45…の底部に設けた底蓋44が周回移動中に開いて苗収容体45…内に収容した苗が底蓋44が開いて生じた隙間からはみ出て苗を傷めることも防止するものとなる。また、本例では、苗収容体45…のそれぞれに一体的に設けた連結体39…に上記突出部66を形成したので、構成の簡略化が図れている。なお、前記支持体66と前記ガイド体65,65,65は、第一支持フレーム63に取付けた取付部材68に取付けて支持している。
【0079】
苗供給装置42の苗収容体45…の周回移動軌跡の内側部位には、苗供給装置42に供給する苗を載置して置く苗置部69を設けている。この苗置部69は、苗供給装置42の苗収容体45…の周回移動軌跡の内側を覆うカバーも兼ねている。従って、作業者が苗供給装置42の後側から苗収容体45…に苗を供給するときに、この苗置部69の上に苗を一時的に置け、しかも、この苗置部69上に置いた苗は、苗収容体45…に苗供給する作業者から取出すのも容易であり、従って、苗供給作業が容易に行え、作業能率の向上が図れる。本例の苗置部69は、苗収容体45…の周回移動軌跡の内側ほぼ全域を覆うように構成しているので、苗置部69の上に置いた苗が落下することが生じ難い。また、苗置部69は、ネギなどの苗を多数本まとめて縦方向に立てて収納できるように深底に構成し、また、左右複数箇所に仕切り壁70…を設けて、収納本数が少ない場合でも立てて収納した苗が倒れ難くなって、苗の容易な取り出しが作業中長く継続し、作業能率が向上する。なお、この苗置部69には、別の独立した苗収納箱を用意し、苗を収納させたその苗収納箱を苗置部69上に載置するようにもでき、このようにすれば、苗の取扱いが迅速に行え、作業能率が向上する。
【0080】
尚、苗供給装置42に供給する苗を予備的に置いておくための苗台80を機体上部で苗供給装置42の前側位置に取付けている。
以下に、苗供給装置42の苗収容体45…の底蓋44…を苗植付け体4の上方位置で開放する底蓋開放機構47について説明する。
【0081】
まず、前記のとおり、苗収容体45…の周回移動軌跡の下方には、苗収容体45…の周回移動中で且つ苗植付け体4の上方位置以外で、苗収容体45…を、下方回動により開放動作する底蓋44が閉じた状態となるようにして支持する支持体67を周回移動軌跡に沿って設けている。この支持体67は、苗植付け体4の上方位置では、底蓋44が下方回動して開放動作可能となるように底蓋44の下方領域から退避或は排除している。また、底蓋44を下方回動可能に取付けている取付部50を苗収容体45…の周回移動方向Dの上手側になるように構成している。
【0082】
更に、この支持体67は、苗収容体45…の周回移動上手側となる右側苗植付け部4Rに落下供給するよう設定した苗収容体45が右側苗植付け部4R(苗案内体35の右側苗案内通路35R)の上方を通過するときにその苗収容体45の底蓋44が開放されるようにし、且つ、回転下手側となる左側苗植付け部4Lに落下供給するよう設定した苗収容体45が左側苗植付け部4L(苗案内体35の左側苗案内通路35L)の上方を通過するときにのみその苗収容体45の底蓋44が開放されるように設けている。このため、底蓋44に苗収容体45…の周回移動軌跡に対して外側に突出する突出部44aを設けたものと、内側に突出する突出部44bを有するものを設け、外側突出部44aを設けた底蓋44と内側突出部44bを設けた底蓋44とを互いに連結する苗収容体45…に対して交互に設ける。そして、苗収容体45…の周回移動下手側となる左側苗植付け部4Lに落下供給するよう設定した苗収容体45が右側苗植付け部4Rの上方を通過するときには、周回内側に偏位した支持体67がその苗収容体45の底蓋44の周回内側に突出する突出部44bの下方に位置して底蓋44が開放されないように支持する。そして、その苗収容体45が左側苗植付け部4Lの上方まで移動すると、支持体67がなくなって底蓋44が開放される。一方、苗収容体45…の周回移動上手側となる右側苗植付け部4Rに落下供給するよう設定した苗収容体45が右側苗植付け部4Rの上方を通過するとき、その苗収容体45の底蓋44の突出部は周回内側に突出していないので、周回内側に偏位した支持体67によって底蓋44が支持されなくなるので、その苗収容体45の底蓋44はここで開放する。なお、開放した底蓋44…は、苗植付け体4の上方を通過した後で、再び支持体67が苗収容体45の下方に現れるように設けているので、これにより、閉じられる。よって、右側苗植付け部4Rと左側苗植付け部4Lが左右に並ぶ2条植え用の苗植付け体4に対して適確に苗を落下供給でき、良好に苗移植作業が行える。なお、底蓋44…には、支持体67による支持状態がなくなると直ちに開放されるように、開放方向に付勢するスプリング等で構成した付勢体を設けている。
【図面の簡単な説明】
【図1】苗移植機の側面図。
【図2】苗移植機の平面図。
【図3】苗移植機の伝動構成を示す説明図。
【図4】苗収容体の連結構成を示す斜視図。
【図5】苗供給装置の一部を示す平面図。
【図6】苗供給装置の一部を示す断面側面図。
【図7】苗供給装置から苗植付け体への苗供給部を示す正面図。
【図8】苗供給装置から苗植付け体への苗供給部を示す平面図。
【図9】二条千鳥植え用の苗植付け体の作業走行時昇降軌跡を示す側面図。
【図10】二条千鳥植え用の苗植付け体の側面図。
【図11】二条千鳥植え用の苗植付け体の背面図。
【図12】二条千鳥植え用の苗植付け体の断面平面図。
【図13】二条千鳥植え用の苗植付け体の植付け状態を示す背面図。
【図14】苗案内体と左右中央側苗植付け体の構成を示す断面背面図。
【図15】一条植え用の苗植付け体の作業走行時昇降軌跡を示す側面図。
【符号の説明】
1:走行装置
4:苗植付け体
4L:左側苗植付け部
4R:右側苗植付け部
4a:左外側苗植付け体
4b:左右中央側苗植付け体
4c:右外側苗植付け体
4Lr:左側苗植付け部内の苗収容部
4Rr:右側苗植付け部内の苗収容部
4r,4r:回動軸
19,21:連結軸
20:第一昇降アーム
22:第二昇降アーム
35L:左側の苗案内通路
35R:右側の苗案内通路
35:苗案内体
35C:苗案内体内の仕切り部材
36,36:鎮圧体
42:苗供給装置
ST,ST1,ST2:苗植付け体の機体に対する昇降軌跡
MT,MT1,MT2:苗植付け体の作業走行時昇降軌跡
d,d1,d2:下降軌跡
u,u1,u2:上昇軌跡
v:作業走行時の機体前進速度
X:左側苗植付け部と右側苗植付け部とが二股に分かれはじめる箇所
Y:苗植付け体が開き状態で上昇した後に閉じる箇所

Claims (3)

  1. 昇降動及び開閉動するクチバシ状の苗植付け体を自走可能な機体に設け、機体を前進走行させながら苗植付け体を昇降動させて、苗植付け体の昇降軌跡上位側で閉じ状態の苗植付け体の内側に上方から苗を受入れ、苗植付け体の昇降軌跡下位側で苗植付け体を下方に開放するように開いて内側に受入れた苗を外側に放出して苗を圃場に植付ける構成とした苗移植機において、前記苗植付け体下端部の機体前進による前方移動を含む作業走行時昇降軌跡MT1,MT2が、下降軌跡d1、d2では下降開始点から機体後方側に位置する下降終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て下降し、上昇軌跡u1,u2では上昇開始点から機体前方側に位置する上昇終了点に向かって機体後方側に膨らんだ軌跡を経て上昇するように、苗植付け体の機体に対する昇降軌跡ST1,ST2と作業走行時の機体前進速度を設定し、前記苗植付け体内側の苗収容部4Lr,4Rrの上下長を苗植付け体の昇降軌跡ST1,ST2の上下長よりも長く形成するとともに、該苗植付け体を左右方向に開閉動して苗植付け体内側の苗収容部4Lr,4Rrを下方に開放可能に構成したことを特徴とする苗移植機。
  2. 前記苗植付け体が開き状態で上昇した後に閉じる箇所を、前記苗植付け体下端部の作業走行時昇降軌跡MT1,MT2にあって該昇降軌跡MT1,MT2下端箇所より機体前方側箇所に設定したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  3. 前記苗植付け体を、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rを左右に備えるとともに、左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rの下部は、二股状に左右に分かれ前後にずれた状態に形成し、その上側部は左側苗植付け部4Lと右側苗植付け部4Rが互いに接合した状態に形成し、該苗植付け体を左外側苗植付け体4aと左右中央側苗植付け体4bと右外側苗植付け体4cとに左右に三分割に構成し、左右中央側苗植付け体4bは、苗植付け体内を左右に仕切って苗植付け体内の苗収容部を左側苗植付け部4L側の苗収容部4Lrと右側苗植付け部4R側の苗収容部4Rrを形成するように構成し、左外側苗植付け体4aと右外側苗植付け体4cとは、左右中央側苗植付け体4bに対して互いに近接する位置から左右外方側に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1或は請求項2記載の苗移植機。
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