JP4545562B2 - ヘッジトリマ - Google Patents
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Description
ヘッジトリマでは、モータの回転動力をシャーブレードの往復運動に変換するために、シャーブレードに係合しているとともにモータによって回転するカムを備えている。一対のシャーブレードの両者を駆動するヘッジトリマでは、一対のシャーブレードが対称的に往復運動するように、一方のシャーブレード用のカムの回転位置と他方のシャーブレード用のカムの回転位置の位相差が180度に維持されている。
カムとシャーブレードの係合部では、カムとシャーブレードがスムーズに運動するように、クリアランスが設けられている。その結果、カムとシャーブレードの係合部は若干のあそびを持つこととなり、シャーブレードの運動方向が反転する際に、カムとシャーブレードは刹那的に離反する。両者は再び接触することとなるが、その際に衝突音を発生する。この衝突音が、ヘッジトリマが発生する騒音を増大させている。
上記の問題に対して、特許文献1では、シャーブレードをカム側に押し続けるばね部材を設けたヘッジトリマを提案している。このヘッジトリマでは、ばね部材によってシャーブレードをカム側に常に押し付けておき、上述した衝突音が発生しないようにしている。
本発明は、上記の課題を解決する。本発明では、シャーブレードを付勢しないで、ヘッジトリマが発生する騒音を低減する技術を提供する。
カムとシャーブレードが非接触の状態となると、カムは無負荷の状態となる。カムが無負荷の状態となることで、モータがカムの回転速度を増速させてしまう。従って、カムがシャーブレードと常に接触していれば、カムの増速を避けることができる。しかしながら、そのためにはカムとシャーブレードの係合部にクリアランスを設けることができなくなってしまう。
従来の構成であると、各シャーブレードの運動方向が反転する時点が一致する。即ち、第1カムが無負荷の状態となる期間と、第2カムが無負荷の状態となる期間が一致することとなる。その期間において、モータが第1カムと第2カムの回転速度を増速してしまう。
このヘッジトリマによると、ヘッジトリマの構成を複雑にすることなく、ヘッジトリマが発生する騒音を低減することができる。
それにより、第1カムと第2カムの両者が無負荷となる期間を無くすことができ、ヘッジトリマが発生する騒音をより低減することが可能となる。
(形態1) ヘッジトリマは、円板形状の第1偏心カムと円板形状の第2偏心カムを備えている。各偏心カムは、自身の中心軸と異なる位置の軸によって、偏心回転可能に軸支されている。
(形態2) ヘッジトリマは、第1カムの回転と第2カムの回転の位相差を、180度から所定角度だけオフセットした角度に維持する動力伝達部を備えている。
(形態3) シャーブレードは、偏心カムを遊嵌可能な係合孔を備えている。この係合孔は長円形状をしている。その長円形状の長手方向は、シャーブレードの往復運動方向に対して直交している。
本体10は、外部の電源に接続するための電源コード12と、利用者が把持するための第1把持部14と第2把持部20と、第1把持部14に設けられているトリガスイッチ16と、動力源であるモータ18と、モータ18の動力をシャーブレードアセンブリ30側に伝達する動力伝達部80等を備えている。電源コード12から供給される電源電力は、トリガスイッチ16を介してモータ18に供給される。
偏心カム88a、88bは、シャフト86の中心軸Xを回転軸として、図3中の矢印Dで示される方向に回転する。この回転方向に回転する場合、第1偏心カム88aの回転運動に対して、第2偏心カム88bの回転運動は、位相が角度θだけ進むこととなる。あるいは、第2偏心カム88bの偏心回転運動に対して、第1偏心カム88aの偏心回転運動は、位相が角度360度−θだけ進むともいえる。
第1偏心カム88aと第2偏心カム88bでは、それぞれの円板形状の寸法が互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、それぞれの中心Ca、Cbが中心軸Xからオフセットする距離が同一であってもよいし、異なっていてもよい。本実施例のヘッジトリマ2では、第1偏心カム88aと第2偏心カム88bの寸法は略同一である。また、それぞれの中心Ca、Cbがシャフト86の中心軸Xからオフセットする距離は略同一である。
上記の構成によって、第1偏心カム88aが偏心回転運動を行うと、上側シャーブレード40は往復運動を行う。同様に、第2偏心カム88bが偏心回転運動を行うと、下側シャーブレード50は往復運動を行う。第1偏心カム88aと第2偏心カム88bは位相差を持って回転することから、上側シャーブレード40と下側シャーブレード50の往復運動の間にも位相差が現れる。それにより、一対のシャーブレード40、50は相対的に進退する。図3に示すように、上側シャーブレード40には櫛状に並ぶ刃部42が形成されており、下側シャーブレード50にも櫛状に並ぶ刃部52が形成されている。一対のシャーブレード40、50が相対的に進退することにより、刃部42、52が枝葉等を切断する。
図4(a)は、上側シャーブレード40が上死点(本体10に対する突出限)に位置する時点を示している。この時点において、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は接触点Ta1で接触している。第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は接触点Tb1で接触している。
この時点の直後、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は離反するが、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は接触し続ける。
この時点の直後、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は離反するが、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は接触し続ける。
この時点の直後、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は離反するが、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は接触し続ける。
図4(d)の時点から、両偏心カム88a、88bがD方向に角度θだけ回転すると、図4(a)の状態に戻ることとなる。図4(d)の時点から図4(a)の状態に戻る時点の間で、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は刹那的に離反するが、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は接触し続けている。
従来のヘッジトリマでは、第1偏心カムと上側シャーブレードが離反している状態と、第2偏心カムと下側シャーブレードが離反している状態が、必ず同時に発生する構成となっている。それにより、両偏心カムが無負荷の状態(即ちモータに負荷がかからない状態)となってしまい、両偏心カムの回転速度が急激に増大する。その結果、各偏心カムが各シャーブレードに再び接触する際に、大きな衝突音を発生する。この衝突音が、ヘッジトリマが発生する騒音を増大させている。
一方、本実施例のヘッジトリマ2では、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40が接触している状態と、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50が接触している状態の少なくとも一方の状態が、常に実現されている。それにより、両偏心カム88a、88bが無負荷の状態となることがなく、モータ18が両偏心カム88a、88bの回転速度を増大することが抑制される。その結果、各偏心カム88a、88bと各シャーブレード40、50の再接触に伴う衝突音は小さく抑えられ、ヘッジトリマ2が発生する騒音が比較的に静かである。この騒音が低減される度合は、特にヘッジトリマ2を空運転(剪定していない状態)しているときに顕著である。
この位相差の角度θは、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40の係合孔46とのクリアランスGaや、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50の係合孔56とのクリアランスGbに基づいて設定するとよい。それにより、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40が接触している状態と、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50が接触している状態の少なくとも一方の状態を常に実現することができる。
先に説明したように、図4(a)の時点の直後、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は離反する。続いて、図4(b)の時点の直後、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は離反する。図4(a)の時点の直後に離反した第1偏心カム88aと上側シャーブレード40が、図4(b)の時点までに再接触していれば、両偏心カム88a、88bが無負荷となることを避けることできる。即ち、第2偏心カム88bが下死点に到達する時までに、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40が再接触すればよい。
図5に示すように、図4(a)の時点から図4(b)の時点の間で、第1偏心カム88aは角度Δθ(=180度−θ)だけ回転する。このとき、第1偏心カム88aの中心点Caは、図中の位置Ca1から位置Ca2に移動する。第1偏心カム88aの偏心回転の半径をrとすると、位置Ca1と位置Ca2の図面上下方向の距離は、r・(1−cosΔθ)となる。即ち、第1偏心カム88aは、距離r・(1−cosΔθ)だけ図面下方に移動する。従って、クリアランスGaの大きさをGaと表すと、
r・(1−cosΔθ)≧Ga ;
即ち、
r・(1+cosθ)≧Ga ・・(1);
の関係を満たしていると、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は、第2偏心カム88bが下死点に到達する時までに再接触する。
第1偏心カム88aと上側シャーブレード40は、図4(c)の時点から図4(d)の時点においても、刹那的に離反する。この場合も、上記と同様に(1)式を満たせばよい。
図4(b)の時点から図4(c)の時点の間で、第2偏心カム88bは角度θだけ回転する。このとき、第2偏心カム88bは、図面上方にr・(1−cosθ)だけ移動する。従って、クリアランスGbの大きさをGbと表すと、
r・(1−cosθ)≧Gb ・・(2);
の関係を満たしていると、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は、第1偏心カム88aが下死点に到達する時までに再接触する。
第2偏心カム88bと下側シャーブレード50は、図4(d)の時点から図4(a)の状態に戻る時点においても、刹那的に離反する。この場合も、上記の(2)式を満たせばよい。
以上から、上記の(1)式、(2)式を満たすように角度θを設定するとよい。それにより、第1偏心カム88aと上側シャーブレード40が接触している状態と、第2偏心カム88bと下側シャーブレード50が接触している状態の少なくとも一方の状態を常に実現することができる。なお、一対のシャーブレード40、50を相対的に進退させるという本来の目的から、角度θは180度に近いほど好ましい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10・・ヘッジトリマ本体
12・・電源コード
14・・第1把持部
16・・トリガスイッチ
18・・モータ
18a・・モータの出力軸
20・・第2把持部
30・・シャーブレードアセンブリ
32・・ガイドプレート
34・・プレッシャプレート
38・・締結部材
40・・上側シャーブレード
42・・上側シャーブレードの刃部
44・・上側シャーブレードの基部
46・・上側シャーブレードの係合孔
50・・下側シャーブレード
52・・下側シャーブレードの刃部
54・・下側シャーブレードの基部
56・・下側シャーブレードの係合孔
80・・動力伝達部
82・・回転ギヤ
86・・シャフト
88a・・第1偏心カム
88b・・第2偏心カム
Ca・・第1偏心カムの中心点
Cb・・第2偏心カムの中心点
Ta・・第1偏心カムと上側シャーブレードの接触点
Tb・・第2偏心カムと下側シャーブレードの接触点
θ・・位相差の角度
Claims (2)
- 一対のシャーブレードと、
一対のシャーブレードの一方と係合しているとともに回転可能に軸支されている第1カムと、
一対のシャーブレードの他方と係合しているとともに回転可能に軸支されている第2カムと、
第1カムの回転位置と第2カムの回転位置の位相差を、180度から所定角度だけオフセットした角度に維持する手段と、
第1カムと第2カムを駆動するモータと、
を備えるヘッジトリマ。 - 前記所定角度は、前記第1カムと前記一方のシャーブレードが接触している状態と、前記第2カムと前記他方のシャーブレードが接触している状態の、少なくとも一方の状態を常に実現する角度であることを特徴とする請求項1のヘッジトリマ。
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