JP4545338B2 - 車両用引出し収容装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内装設備として車両センターコンソール部またはインパネ部に組み込まれて、飲料カップや小物類等をホルダ状収容部に入れて保持するのに用いられる車両用引出し収容装置に係り、より詳細には、非使用時ではこの装置は車両内部に組み込まれて格納され、前面しか見えない状態であるが、使用時には装置のホルダが引き出されて、コップや小物等の収容物品を略水平面に載置して保持する構成を有する車両用引出し収容装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からある車両用引出し収容装置の構造を見ると、車両に組み込まれる装置の固定本体部と、これと連結されて出し入れにより開閉動作を行なうホルダ等の移動側部材とを備えて構成される。この装置は、使われない時は、車両のインスツルメントパネル(インパネ)やコンソールボックスの中に格納されているので、普段はホルダの開口部外面側しか見えない。この装置は、使用される時にはホルダは外側に引き出されて突設する状態にされ、ホルダ内に飲料コップ等の収容物を略水平に載置して保持できる構造を有する。
【0003】
図5の(1)と(2)は、従来の車両用引出し収容装置の例を示す横面概観図である。この装置の構成要素を大きく見ると、車両内部に埋設されるように設置される固定本体部Aと、スライド移動して引出されて物品を収容するための可動ホルホルダ部Bとに区別される。
従来の装置は可動ホルダ部Bの構造から見て、2種類のタイプがある。すなわち、一方は(1)に示すとおり、固定本体部Aは車両水平面方向に設置され、この固定本体部Aからその延長水平面方向に可動ホルダ部Bが出し入れされるタイプである。また他方は(2)に示すとおり、固定本体部Aは斜め下方に傾斜を持つよう設置されており、固定本体部A内に収納されていた可動ホルダ部Bは、引出されるとその角度を変えて、車両の水平面方向に設定されるタイプである。
【0004】
(1)の装置においては、四角箱形の固定本体部A(60)は車両内部に水平に配置され、開口部60aを車両フロントパネル側に向け、固定本体部A(60)の多くの部分は車両内に埋設されるように据え付けられる。可動ホルダ部Bは上部ホルダ61と下部ホルダ62とからなり、二つのホルダは共通の枢支連絡部63で連結されて一体に構成されていて、非使用時には、本体部A(60)内部に収納される構造となっている。使用時には、上部ホルダ61がユーザーらにより引出されて水平方向に移動して開口部60aから外に出てくるが、このとき連結されている下部ホルダ62も下側に開口しながら一緒に出てくる。
この下部ホルダ62は、物品を収容する平板状の収容部62aを有し、この収容部62aは水平面方向に位置が定まるような位置決定構造を備えていて、収容する物品として例えば飲料容器Cをここに載置して収容できる。この位置決定構造に関しては、例えば、下部ホルダ62が本体部60の開口部60aと当接する箇所を位置決め部64として設定して、これを下部ホルダ62の位置設定に利用することができる。
なお、この図5(1)での矢印(⇒)は、▲1▼は下部ホルダ62を、▲2▼は上部ホルダ61を収納する動作の方向を示すものである。
【0005】
また他方(2)の装置においては、四角箱形の固定本体部A(70)は車両内部に傾斜をつけて配置され、開口部70aは車両フロントパネル側に向け、(1)と同様に本体部A(70)の多くは車両内に埋設されるように据え付けられる。可動ホルダ部Bは、上部ホルダ72・中間支持部71・下部ホルダ73の3部材が連結して構成される。この構成で、上部ホルダ72は枢支連絡部75を介して中間支持部71と連結されており、また下部ホルダ73も中間支持部71とは別の枢支連絡部74を介して連結されていて、三者が一体的に動作させられるように可動ホルダ部Bは構成されている。この図でも、下部ホルダ73が本体部70の開口部70aと当接する箇所を位置決め部76として設定して、これを下部ホルダ73の位置設定に利用することができる。
【0006】
図5(2)において、可動ホルダ部Bについては、非使用時には固定本体部A(60)内部に三部材が一体的に収納される構造となっている。また、使用時には、可動ホルダ部Bはユーザーらにより引き出されて移動され、開口部70aから外に出てくる。このとき、上部ホルダ72と下部ホルダ73とは車両水平方向面にくるよう位置設定がなされるが、中間支持部71は固定本体部Aの延長方向に移動されて出てくる構造となっている。このような構造では、固定本体部A(70)は、上部ホルダ72と下部ホルダ73とはある角度をもって位置設定がなされる構造であり、この固定本体部A(70)は取付けにあたっては車両の水平面と角度をもたせて設置される。
なお、この図5(2)での矢印(⇒)は、▲1▼は下部ホルダ72と上部ホルダ72との角度を変えて収納する動作の方向を示し、▲2▼は固定本体部A側へ収納動作の方向を示すものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来からある車両用引出し収容装置の例として挙げた図5(1)および(2)においては、装置をオープン状態にするため、可動ホルダ部を移動させてきてホルダ部材を展開させる。そのとき、その設計構造上等の都合により、下部ホルダの自重に頼って展開させるか、またはスプリング等の他の機構を組み合せて展開させるか、の二つのやり方がよく用いられていた。しかしながら、これら従来のオープン構造によれば、オープン状態・クローズ状態で各部材にフリーの部分が多くあると動作の安定性に欠ける場合が生じるし、また、スプリング機構等を採用すると部品の点数が多くなり構造が複雑になる。具体的には、車両の振動・装置の据え付け状態等によっては、装置にガタツキが出たり、その動作がスムーズにいかない、などの不具合要因が生じることがある。
【0008】
さらに、従来の車両用引出し収容装置では、下部ホルダをできるだけ薄厚にしてケース本体に収納する構造とするのがよいため、下部ホルダを液体収容の容器として想定したとき、多くの液体量を蓄える余裕がなかった。よって、車両の揺れや振動等のため、収容してある飲料用容器の液体がこぼれて出てしまい、下部ホルダ内に収まりきれずに車両内に流出してしまう、という不具合を生じる虞がある。
本発明による車両用引出し収容装置は、従来装置の上記した問題点に鑑みなされたもので、装置の組み立て構造を安定化させ、車両振動等の影響によってもガタつきを生じることがなく、また、収容してある飲料用容器からこぼれて出る液体が車両内に流出しにくいという、新規な車両用引出し収容装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両用引出し収容装置は、上述の課題を解決するために、次のような手段を用いる。以下、請求項に対応させながら、その手段の具体的内容を図面に示した実施の形態を参照して説明する。
(1)車両内に組み込まれ、必要時に引出されて使用される物品収容のための車両用引出し収容装置において、
前方端面側を開口部11として車両内に据え付けられる四角箱形のケース本体10と
ケース本体10内に収納され、開口部11からスライド移動により出し入れされる引出し状のスライダ20と、
装置側面側でスライダ20と連動し、物品を載置して収容する収容部30Aを有する下部ホルダ30および物品収容を補佐するホルダ補佐部40Aを有する上部ホルダ40と、を備え、
下部ホルダ30と上部ホルダ40とは、第1の支軸回動手段(下部ホルダ30側の回動軸部32・上部ホルダ40側の回動軸部42)により出し入れ方向に回動自在に連携され、
下部ホルダ30とスライダ20とは、第2の支軸回動手段(下部ホルダ30側の回動軸部34・スライダ20側の回動軸部23)により出し入れ方向に回動自在に連携され、
上部ホルダ40とスライダ20とは、第1のスリット連係動作手段(上部ホルダ40側突起部41とスライダ20側ガイド溝部21)により、出し入れ移動が自在で、ホルダの位置設定を可能にして連携され、
下部ホルダ30とケース本体10とは、第2のスリット連係動作手段(下部ホルダ30側突起部33とケース本体10側面12内側のガイド溝部13)により、出し入れ移動自在で、ホルダの位置設定およびホルダの本体ケースへの収納を可能にして連携され、一体的に装置構成される車両用引出し収容装置とした。
ここで、前記支軸回動手段は、支軸を中心に二部材による回動動作を行なうが、支軸における連携する二部材の相互移動は伴なわない。また、スリット連係動作手段は、ガイド溝部内を突起部がスライド(摺動)移動し、連携する二部材の相互移動を行なう。
【0010】
(2)(1)の車両用引出し収容装置において、スリット連係動作手段は、出し入れ方向に配設される断面凹形等の移動用のガイド溝部と、このガイド溝部に遊嵌掛合される断面凸形等のスライド移動用の突起部と、を備えて構成される。
上部ホルダ40の突起部41は、スライダ20のガイド溝部21と掛合され連携して動作する。また、下部ホルダ30の突起部33は、ケース本体10の側面12内側の長いガイド溝13と掛合され連携して動作する。
【0011】
(3)(1)または(2)の車両用引出し収容装置において、装置は、引出される下部ホルダ30が所定位置にくるよう設定する位置設定手段を備えて構成される。
ここでの引出される下部ホルダ30の位置設定は、1)下部ホルダ30と上部ホルダ40との第1の支軸回動手段、2)下部ホルダ30とスライダ20との第2の支軸回動手段、3)上部ホルダ40とスライダ20との第1のスリット連係動作手段、4)下部ホルダ30とケース本体10との第2のスリット連係動作手段、の4つの手段と、各構成部材の寸法・本体ケース10の傾斜角度、各動作手段の配設位置や寸法等の関係により、決定がなされる。
【0012】
(4)(3)の車両用引出し収容装置において、この位置設定手段は、下部ホルダ30が最大引出し位置で略水平面になる設定をするよう構成される。
図3(2)において、ケース本体10の側面12内側にある長いガイド溝13は、その開口部11側の端部に下向きの位置決定部13aを備え、下部ホルダ30の突起部33をここに受入れて係止させることにより、ここで位置決めすることが可能である。
【0013】
(5)(1)〜(4)に記載の車両用引出し収容装置において、ケース本体10は、車両が位置する水平面(L)から傾斜する角度(α)をもって設定がなされ、このとおりに据え付けがなされる。(図3(2)参照)
【0014】
(6)(1)〜(5)に記載の車両用引出し収容装置において、下部ホルダ30の収容部30Aは、収容する物品の位置ずれ・液体流出等を防止し、安定収容するための容器形保持構造(30a)を備えて構成される。
【0015】
(7)(1)〜(6)に記載の車両用引出し収容装置において、
上部ホルダ40は、収容する物品の位置ずれ・転倒等を防止し、安定収容を補佐する物品周設形保持構造(40a)を備えて構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して、本発明による車両用引出し収容装置の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる外観斜視図であり、(1)は装置のホルダ側が引き出された状況を示す図であり、また(2)は装置の主要な各構成部材を分解した図である。
【0017】
本発明にかかる車両用引出し収容装置は、車両内のインパネ部等に組み込まれていて、必要な時にユーザーらにより引き出されて使用される物品収容用の装置である。この車両用引出し収容装置は、主な構成要素として、車両内に埋め込まれて据え付けられる四角箱形のケース本体10と、ケース本体10内に開口部11を通して収納されていてスライド移動により出し入れされる3つの主要構成部材としてスライダ20・下部ホルダ30・上部ホルダ40とを備えている。
【0018】
図1(1)は、ケース本体10とホルダ側の三部材(スライダ20・下部ホルダ30・上部ホルダ40)からなる主要4点の構成部材が組み合わされた車両用引出し収容装置を示している。ここでは、上部開放で有底形の引出し状のスライダ20と、装置側面側でスライダ20と連係連動して物品を載置収容する下部ホルダ30および物品収容を補佐する上部ホルダ40とが連結されて組み合わされ、連携して動作するよう一体構成されている。
【0019】
図1(2)は、装置の主要構成4部材を分解して示す。この図で、ケース本体10は扁平で長方形状のマッチ箱形状の外形をなし、前方面を残して大部分を車両にインパネ部等に埋設して据え付けられる構造である。そして、左右両側にガイド溝13のある側面部12と、ホルダ部材(30、40)やスライダ20の収納・引出しの際の移動口となる開口部11を有し、また、上面部14、底面部13をも有する。
【0020】
スライダ20は、ケース本体10内に収納される構造を有し、必要時には他の部材と連動して摺動移動して引き出されてくる。左右の側面部22には、ガイド溝部21と突起部23を備えて、他の構成部材と連携して動作する構成となっている。このスライダ20の形状としては、上部側は開放でも閉鎖でもよく、また底部側も有底形でも無底形でもよく、また内部に種々の段差を設けても設けなくても良い。また、スライダ20は、ケース本体10・下部ホルダ30・上部ホルダ40との組み合わせにより連携して動作できる構造とするなら、図に示した構造のほかにも様々な設計が可能である。
【0021】
下部ホルダ30は、ケース本体10内に収納され、蓋無し方形体の引出し状の構造をして、内部には物品を載置して収容するための収容部30Aを形成するために、フロント面部36・左右の側面部31・後方壁面部35、を有して容器形状をなしている。また、この左右の側面部22側には、他の構成部材と連携して動作するに用いられる回動軸部や突起部が配設される。
この下部ホルダ30は、第1の支軸回動手段に関して、上部ホルダ40側回動軸部42と関係する回動軸部32を備える。また、第2の支軸回動手段に関して、スライダ20側の回動軸部23と関係する下部ホルダ30側の回動軸部34を備える。さらに、第2のスリット連係動作手段に関して、ケース本体10側の側面12内側のガイド溝部13と関係する突起部33を備える。
【0022】
そして、下部ホルダ30においては、物品を載置収容するための収容部30Aは、物品を安定して収容するように容器形保持構造30aを備えているとなおのことよい。この容器形保持構造30aは、収容する物品の位置ずれ・液体流出等を防止しながら、実際の物品をホルダに載置して安定して収容することができる。例えば、収容する物品が飲料用容器Cであるなら、容器Cからこぼれた液体内容物が、装置のホルダに収まりきれずに車両内に漏れたりすることが無くなる。
この容器形保持構造30aは、受け皿形、蓋無し箱形など種々の容器状構造のものを適宜採用すればよい。
【0023】
上部ホルダ40は、ホルダ補佐部40Aを備えていて、下部ホルダ30に収容された物品の位置ずれや転倒等を防止し、安定して収容できるよう補佐する役目をする。ホルダ補佐部40Aは、物品を把持・支持・挟持・包囲等ができる形状にするとよく、収容する物品(飲料カップ、携帯電話機、小物類など)に合わせて、フック形・リング形の適宜の形状を選択して採用すればよい。
そして、このホルダ補佐部40Aは、物品を囲繞するように周囲から取り囲んで収容補佐する形状構造、すなわち周設形保持構造40aとするならばさらに好適な装置となり、収容する物品が飲料用容器である場合にも安定した保持が期待できる。
この上部ホルダ40の構造については、第1の支軸回動手段に関して、下部ホルダ30側の回動軸部32と関係する回動軸部42を側面側に備える。また、第1のスリット連係動作手段に関して、スライダ20側ガイド溝部21と関係する突起部41を側面側に備える。
【0024】
図2は、本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる断面による説明図であり、下部ホルダ30・上部ホルダ40・スライダ20の三構成部材が連結されて連携動作をする様子を示す。図2(1)は装置が閉じられて三構成部材が折り畳まれ薄厚形にコンパクト化されて、傾斜して設置してあるケース本体10(図示せず)内に収納された状態である。
また、図2(2)は、装置が開けられ三構成部材が引き出されて容器Cが収容されている状態を示すが、このとき、スライダ20はケース本体10の向きのまま移動させられ、下部ホルダ30と上部ホルダ40とは、両者が水平な平行面をもって開口する位置となるよう設定される。
【0025】
図2に明らかなように、下部ホルダ30と上部ホルダ40とは、第1の支軸回動手段「下部ホルダ30側の回動軸部32・上部ホルダ40側の回動軸部42」により、また、下部ホルダ30とスライダ20とは、第2の支軸回動手段「下部ホルダ30側の回動軸部34・スライダ20側の回動軸部23」により、そしてまた、上部ホルダ40とスライダ20とは、第1のスリット連係動作手段「上部ホルダ40側突起部41とスライダ20側ガイド溝部21」により、互いに連結され連動がなされている。
この図2でのガイド溝部21は、引出し方向に鉛直する面上にあり、上部ホルダ40側突起部41を受け入れている。このガイド溝部21の両端部に、上部ホルダ40側突起部41を当接・係止・停止させる等により、収納状態と引出し状態の位置設定を行なうこともできる。なお、この図2(2)での矢印(⇒)は、下部ホルダ30と上部ホルダ40とが、収納時に畳まれて位置移動する様子を示す。
【0026】
図3は、本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる断面による別の説明図であり、ケース本体10・下部ホルダ30・スライダ20の三構成部材が連結されて連携動作をする様子を示す。
図3(1)は傾斜して設置された装置が閉じられて、二構成部材がケース本体10内に収納された状態である。また、図3(2)は、装置が開けられ二構成部材が引き出され、容器Cが収容されている状態を示し、このとき、スライダ20はケース本体10方向のまま移動させられるものの、下部ホルダ30は水平な位置にくるよう設定される。ここで、ケース本体10の設置傾斜角度は、例えば水平面Lからの角度αとして規定することができる。
【0027】
図3(2)で明らかなように、下部ホルダ30とケース本体10とは、第2のスリット連係動作手段「下部ホルダ30の突起部33とケース本体10側面12内側のガイド溝部13」により、また、下部ホルダ30とスライダ20とは、第2の支軸回動手段「下部ホルダ30の回動軸部34・スライダ20側の回動軸部23」により、互いに連結され連動がなされる。
ガイド溝部13は、引出し方向に鉛直する面であるケース本体10の側面12にあって、下部ホルダ30の突起部33を受け入れて引出しルートを案内する長いスリット状の溝である。このガイド溝部13は、長手方向両端部側において、下部ホルダ30の移動コースの設定、および収納状態と引出し状態の位置設定を行なうことができる。例えば、このガイド溝部13の両端部に下部ホルダ30の突起部33を当接・係止・停止させる等により、収納状態と引出し状態との位置設定ができる。
【0028】
このように、位置設定手段によれば、下部ホルダ30が最大引出し位置で水平面になるよう位置設定させる構成とすることができる。具体的には、ガイド溝部13は、その開口部11の端部側に下向きの位置決定部13aを備えることにより、下部ホルダ30の突起部33をここに受入れて、下部ホルダ30自重の鉛直荷重によりここで係止させる構造とすることができる。またここでは、収容物品の荷重が加わることとなるので、突起部33の中心軸が、位置決定部13aによる袋小路に入るような構造となるため、装置を閉じる方向への動作はますます起こし難くなる。この構造によれば、ユーザーらは下部ホルダ30を単に最大に引き出せる位置にするだけで、その位置において下部ホルダ30は水平となって停止し、位置が設定できる。
【0029】
図1〜図3から明らかなように、本発明の車両用引出し収容装置は、出し入れされるホルダ側の構成部材として、スライダ20・下部ホルダ30・上部ホルダ40の3部材と、ケース本体10を含めて4つの基本構成部材があり、これらの各部材が互いに連結し連携し合って、装置の開閉や位置設定等の動作をスムーズに行なう構成とされる。そして、本実施の形態では、第1の支軸回動手段・第2の支軸回動手段・第1のスリット連係動作手段・第2のスリット連係動作手段は、全て4つの基本構成部材の両側面側に左右均等配置で配設するという構成としたが、これに限るものではない。これらの手段は、側面側のみならず内部側に配設することも可能であり、両側面側ではなく片側側面に配設してもよい。さらに、支軸回動手段とスリット連係動作手段については、従来からある周知の技術手段を適宜採用して用いればよい。
【0030】
図4は、本発明にかかる車両用引出し収容装置の車両内での据え付け状況を説明する図である。本発明の車両用引出し収容装置100は、車両のフロントパネル部60にある取り付け部61に、ケース本体10が挿入されて据え付け設置がなされる。なお、フロントパネル部60の取り付け部61は、車両の種別や仕様等により車両の水平面からそれぞれ異なった角度を有する構造となっているが、本発明によれば、いかなる角度をもつ取り付け部61であっても対応できる構造として形成することができる。
【0031】
【発明の効果】
このように本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。つぎの効果の記載は請求項に対応する。
(1)本発明の車両用引出し収容装置は、ケース本体10・スライダ20・下部ホルダ30・上部ホルダ40の基本的な4構成部材と、第1第2の支軸回動手段・第1第2のスリット連係動作手段の基本的な4つの機構により、部材が連結して連結動作するように構成されているので、従来装置に比べて、装置構造や機構が簡明となり、スプリングなど他の複雑な機構は必要なく、部品点数を減らすことが可能となり、装置のガタツキ等をなくす構造とすることができる。
【0032】
(2)(1)の車両用引出し収容装置において、スリット連係動作手段は、出し入れ方向に配設される移動用のガイド溝と、このガイド溝に遊嵌掛合されるスライド移動用の突起部と、を備えて構成されるので、装置構造や連携機構を簡明化することができ、確実で安定した動作を可能とする装置が提供できる。
【0033】
(3)(1)または(2)の車両用引出し収容装置において、装置は、引出される下部ホルダ30が所定位置にくるよう設定する位置設定手段を備えて構成されるので、下部ホルダ30の位置決め構造が容易に形成できる。
【0034】
(4)(3)の車両用引出し収容装置において、この位置設定手段は、下部ホルダ30が最大引出し位置で水平面になる設定をするよう構成されるので、飲料容器に適する下部ホルダ30の位置決め構造が容易に形成できる。
【0035】
(5)(1)〜(4)の車両用引出し収容装置において、ケース本体10は、車両が位置する水平面(L)から傾斜する角度(α)をもって据え付けられ構成されるので、車両内にあるインパネ等の装置取付け部が傾いている場合でも容易に装置の設置対応をすることができる。
【0036】
(6)(1)〜(5)の車両用引出し収容装置において、下部ホルダ30の収容部30Aは、安定収容するための容器形保持構造(30a)を備えて構成されるので、収容する物品が飲料容器であっても、こぼれた液体が容器がたまり、液体の車両内流出を容易に防止できる構造とすることができ、市場価値が高められる。
【0037】
(7)(1)〜(6)の車両用引出し収容装置において、上部ホルダ40は、安定収容を補佐する物品周設形保持構造(40a)を備えて構成されるので、収容する物品の位置ずれ・転倒等を確実に防止できる構造を備えた装置とすることができ、市場価値が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる外観斜視図であり、(1)は装置でホルダが引き出された状況を示す図であり、また(2)は装置の主要構成部材を分解した図である。
【図2】本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる断面による説明図であり、下部ホルダ30・上部ホルダ40・スライダ20の三構成部材の連係動作関係を示す図である。
【図3】本発明による車両用引出し収容装置の一実施の形態にかかる断面による説明図であり、下部ホルダ30・ケース本体10・スライダ20の三構成部材の連係動作関係を示す図である。
【図4】本発明にかかる車両用引出し収容装置の車両内での据え付け状況を説明する図である。
【図5】従来の車両用引出し収容装置を示す側面外観図であり、(1)は、本体ケースは水平でホルダも水平に引き出されるタイプの装置、また、(2)は、本体ケースは斜めに設置されて、ホルダは水平に引き出されるタイプの装置を示す。
【符号の説明】
10 ケース本体
11 開口部
12 側面部
13 ガイド溝部
13a 位置決定部
20 スライダ
21 ガイド溝部
22 側面部
23 回動軸部
30 下部ホルダ
30A 収容部
30a 容器形保持構造
31 側面部
32 回動軸部
33 突起部
40 上部ホルダ
40A ホルダ補佐部
40a 物品周設形保持構造
41 突起部
42 回動軸部
L 車両が位置する水平面
α 本体ケースの傾斜する角度

Claims (7)

  1. 車両内に組み込まれ、必要時に引出されて使用される物品収容のための車両用引出し収容装置において、
    前方端面側を開口部として車両内に据え付けられる四角箱形のケース本体と
    前記ケース本体内に収納され、前記開口部からスライド移動により出し入れされる引出し状のスライダと、
    装置側面側で前記スライダと連動し、物品を載置して収容する収容部を有する下部ホルダおよび物品収容を補佐するホルダ補佐部を有する上部ホルダと、を備え、
    前記下部ホルダと前記上部ホルダとは、第1の支軸回動手段により出し入れ方向に回動自在に連携され、
    前記下部ホルダと前記スライダとは、第2の支軸回動手段により出し入れ方向に回動自在に連携され、
    前記上部ホルダと前記スライダとは、第1のスリット連係動作手段により、出し入れ移動自在で、相互の位置設定を可能にして、連携され、
    前記下部ホルダと前記ケース本体とは、第2のスリット連係動作手段により、出し入れ移動自在で、相互の位置設定および本体ケース収納を可能にして連携され、
    一体的に構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  2. 請求項1に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記スリット連係動作手段は、出し入れ方向に配設されるスライド移動用のガイド溝部と、このガイド溝部に遊嵌掛合されるスライド移動用の突起部と、を備えて構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記装置は、引出された前記下部ホルダが所定位置にくるよう設定する位置設定手段を備えて構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  4. 請求項3に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記位置設定手段は、前記下部ホルダが最大引出し位置で略水平面に設定するよう構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  5. 請求項1乃至4いずれか1項に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記ケース本体は、車両内に傾斜をもって据え付けられて構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  6. 請求項1乃至5いずれか1項に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記下部ホルダの収容部は、収容する物品を安定収容するための容器形保持構造を備えて構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
  7. 請求項1乃至6いずれか1項に記載の車両用引出し収容装置において、
    前記上部ホルダは、収容する物品の安定収容を補佐する物品周設形保持構造を備えて構成されることを特徴とする車両用引出し収容装置。
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