JP4543681B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
現在、主に普及しているインクジェット方式の出力機器に、記録用紙を搬送しながら記録ヘッドを往復運動させて1ラインずつ印字を行うシリアルスキャンと呼ばれる印字方式のものがある。
この方式は小型・低コストであるが、用紙全体にわたって画像を形成するために記録ヘッドのスキャンが複数回必要となり、印字速度が遅いという欠点がある。この問題を解決するために、紙幅の記録ヘッドで印字を行なう非走査の印字方式として、固定された記録ヘッドに対して記録用紙が移動することによって記録が行われるインクジェット記録装置が用いられている。
ところで、一般にインクジェット記録装置では、たとえば、いわゆるダミージェットを行ってノズルの詰まりを解消したり、ノズル周囲をキャッピングしてインク乾燥に伴う増粘を防止したりする等、ノズルに対する回復動作を行うヘッド回復装置(メンテナンス装置)がインクジェット記録装置内に設けられている。
例えば、特許文献1には、メンテナンス時は、記録ヘッド全体を印字面から水平に移動させ、この移動した記録ヘッドの位置までメンテナンス装置を移動させるインクジェット記録装置が記載されている。しかし、記録ヘッド全体を印字面に対して平行にスライドさせるため、記録ヘッドが退避するスペースがインクジェット記録装置内に必要となり、インクジェット記録装置が大型化してしまう。
また、記録ヘッドを印字面から水平に移動させる駆動装置と、メンテナンス装置を記録ヘッド側へ移動させる駆動装置の二つの駆動装置が必要となり、構造が複雑となることで、コストアップ及び故障の発生回数増加の要因となる。
これに対して、特許文献2には、搬送ベルトにメンテナンス装置が通過可能な大きさの開口部を形成すると共に、開口部を挟んでインクジェット記録ヘッドと対向するように搬送ベルト内にメンテナンス装置を配置したインクジェット記録装置が記載されている。メンテナンス装置は、インクジェット記録ヘッドの方向に移動して、インク吐出面を覆ってインクを吸引する。そして、クリーニング部材でインクジェット記録ヘッドのインク吐出面をクリーニングする。
また、特許文献3には、周面に用紙媒体を巻き付けて搬送する円筒状の搬送ドラムの周囲に沿って記録ヘッドを配置し、搬送ドラムの内部の記録ヘッドと対向する位置にメンテナンス装置を有するインクジェット記録装置が記載されている。
特許文献2及び特許文献3の構成では、記録ヘッド全体を固定して、メンテナンス装置を記録ヘッドに対して垂直に移動させるので、記録ヘッドの退避スペースを必要としないため、インクジェット記録装置が大型にならない。
しかし、記録ヘッドを固定してメンテナンス装置を移動させることでメンテナンスを行うので、搬送ベルト又は搬送ドラムの搬送面の上方でメンテナンスが行われることになる。これによって、メンテナンス時にノズルからキャップ部材を取り外したときに飛び散ったインクが、搬送ベルトや搬送ドラムに付着してしまい、記録用紙を汚損してしまう。また、記録ヘッドのノズル面をワイピングする際にも、インクが飛び散って搬送ベルト又は搬送ドラムを汚損することがある。
特開平2−179754号公報 特許第2693224号 特開平5−330030号公報
本発明は上記事実を考慮し、メンテナンス時に記録ヘッドを移動させることで、メンテナンス時にノズルからキャップ部材を取り外したとき、又は、ノズル面のワイピング時に飛び散ったインクによる搬送手段の搬送面の汚損をなくすことを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、所定の間隔で記録媒体の搬送方向と直交する方向に沿って設けられた複数の上流側単位記録ヘッドと、上流側単位記録ヘッドの非印字領域をカバーするように下流側に搬送方向と直交する方向に沿って設けられた下流側単位記録ヘッドとで構成されて記録媒体幅の吐出領域を持ち、前記記録媒体に対してインク滴を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのインク滴吐出面と対向する位置に設置され、前記記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス装置と、前記記録ヘッドと前記メンテナンス装置の間に配置され、一対のローラと、該ローラに巻き掛けられたベルトを、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に、前記上流側単位記録ヘッド及び前記下流側単位記録ヘッドが通過可能な間隔を空けて複数設けられ、前記記録媒体を前記記録ヘッドの吐出領域へ搬送する搬送手段と、メンテナンス時に、前記記録ヘッドをメンテナンス装置側へ移動させる移動手段と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドとメンテナンス装置の間に配置された搬送手段によって、記録媒体は記録ヘッドの吐出領域に搬送されて、記録ヘッドから記録媒体にインク滴が吐出される。一方、記録ヘッドのインク滴吐出面に対向する位置には、メンテナンス装置が設置されており、記録ヘッドが搬送手段に形成された空間を通過してメンテナンス装置側に移動することで、メンテナンス装置によって記録ヘッドのメンテナンスが行われる。
このように、記録ヘッドをメンテナンス装置側へ移動させてメンテナンスを行うことで、メンテナンス時に記録ヘッドから吐出されるインク滴が搬送手段に付着することを防止できる。これにより、メンテナンス時に発生するインク滴の飛び散り、例えば、記録ヘッドにキャップを押接する構成のメンテナンス装置の場合には、記録ヘッドからキャップを外すとき、記録ヘッドのノズルのインクを吸引するとき、また、記録ヘッドのインク滴を吐出する面をワイピングする際、などにインク滴が飛び散ることがあるが、この飛び散ったインク滴が搬送手段に付着することを防止できる。さらに、上流側単位記録ヘッドが搬送方向と直交する方向に沿って所定の間隔で複数備えられ、この上流側単位記録ヘッドの印字領域をカバーするように、下流側には下流側単位記録ヘッドが設けられ、記録ヘッドを構成している。この上流側単位記録ヘッド又は下流側単位記録ヘッドは、一対のローラと、このローラに巻き掛けられたベルトの間隔を通過可能とされている。これにより、上流側単位記録ヘッド及び下流側単位記録ヘッドのメンテナンスは、ベルトよりもメンテナンス装置側で行われるので、メンテナンス時に発生するインク滴の飛び散り等によってベルトが汚損されることがない。さらに、単価の安い単位記録ヘッドを複数組み合わせて記録ヘッドを構成することによって、低コストで記録ヘッドを構成することができる。
請求項2に記載の本発明は、前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記搬送手段の裏側まで移動させることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、移動手段によって、搬送手段の下方へ記録ヘッドを移動させることで、メンテナンスは搬送手段の下方で行われる。従って、例えば、搬送手段がベルトで構成されているとき、ベルトの下面にインク滴が付着しない。
請求項3に記載の本発明は、前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記搬送手段の搬送方向に対して垂直に移動することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、記録媒体を水平方向に搬送する搬送手段を有するインクジェット記録装置において、移動手段は記録ヘッドを垂直方向に移動して、記録ヘッドのメンテナンスが行われる。記録ヘッドを搬送方向に対して垂直となるように移動させることで、インク滴が収容されているインクタンクと記録ヘッドとの水頭差によってインクタンク内で発生する負圧を減らすことができる。これにより、メンテナンス時に記録ヘッドからインクを吸引する際に発生する負圧によって、ノズルから気泡を巻き込むリスクを低減できる。
さらに、インクを吸引するタイプのメンテナンス装置の場合、メンテナンス時(インク吸引時)に、記録ヘッドをインクタンクよりも下方へ移動させることで、記録ヘッドのノズルのインクには、インク吐出方向に圧力がかかる。これに、記録ヘッドのノズルからインクを吸引する吸引力が加わり、ノズルに詰まったゴミなどを大きな力で除去することができる。
請求項4に記載の本発明は、前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記メンテナンス装置のインク滴を受けるキャップ部材へ押接することを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、移動手段によって、メンテナンス装置のキャップ部材を押接するように記録ヘッドを移動させることで、メンテナンス装置を移動させる必要がなくなり、構成が簡単になる。
請求項5に記載の本発明は、前記搬送手段は、前記記録媒体の搬送方向にも複数設けられていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、ローラに巻き掛けられたベルトが、記録媒体の搬送方向に記録ヘッドが通過可能な空間を空けて複数設けられており、この空間を記録ヘッドが通過するようになっている。これにより、メンテナンス時には記録ヘッドはこの空間を通過して、ベルトよりもメンテナンス装置側でメンテナンスが行われる。従って、メンテナンス時に発生するインク滴の飛び散り等によってベルトが汚損されることがない。
請求項に記載の本発明は、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置された複数の前記ベルトの前記記録媒体を搬送する上側の搬送面と下側の搬送面の間に設置され、前記キャップから漏れたインク滴を受ける受板が前記記録媒体の幅方向に架け渡されていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置された複数のベルトの記録媒体を搬送する上側の搬送面と下側の搬送面の間に設置され記録媒体の幅方向に架け渡された受け板によって、メンテナンス時のキャップから漏れたインク滴が受けられるので、ベルトにインク滴が付着しない。
請求項に記載の本発明は、前記記録ヘッドと前記メンテナンス装置の間には、ダミージェット時に前記記録ヘッドから吐出されるインク滴を受け、前記記録ヘッドが移動する動作に伴って退避するダミージェット受け手段が配置されたことを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、記録ヘッドとメンテナンス装置の間には、ダミージェット受け手段が配置されており、このダミージェット受け手段によって記録ヘッドから吐出されるダミージェットを受ける。これにより、メンテナンス装置近傍まで記録ヘッドを移動させなくても、ダミージェット時のインク滴をダミージェット受け手段で受けることができるので、ダミージェットを噴出後にすぐに印字を行う状態に入れる。従って、ダミージェット時に記録ヘッドをメンテナンス装置近傍に移動させる構造に比べて、タイムロスがないので、生産性が高くなる。
また、ダミージェット受け手段は、記録ヘッドが移動する時には退避するので、ダミージェット受け手段を記録ヘッドとメンテナンス装置の間に配置しても、記録ヘッドのメンテナンス作業を妨げることがない。
請求項に記載の本発明は、前記ダミージェット受け手段は、前記搬送手段の間に設けられた支軸と、一端が前記支軸に支持されたダミージェット受け板と、で構成されており、前記ダミージェット受け板が前記支軸を中心として前記記録ヘッドに押されて回動することを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、搬送手段の間には支軸が掛け渡されており、この支軸にはダミージェット受け板の端部が支持されている。ダミージェット受け板は、メンテナンス時に支軸を軸として記録ヘッドに押されて回動し、記録ヘッドがメンテナンス装置側へ移動する。このような構成によって、メンテナンス時を搬送面に対して水平方向へスライドさせるスペースを必要としないので、インクジェット記録装置が大型にならない。
請求項に記載の本発明は、前記ダミージェット受け手段には、吸収部材が設けられたことを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、ダミージェット受け手段には吸収部材が設けられており、この吸収部材によって、ダミージェット受け手段に向けて記録ヘッドから噴出されたインク滴が吸収される。従って、ダミージェット時にダミージェット受け手段に向けて噴出されたインク滴が、ダミージェット受け手段で跳ね返り、搬送ベルトに付着することが防止できる。
請求項10に記載の本発明は、前記ダミージェット受け手段には、前記記録ヘッドから吐出されるインク滴の着弾状態を検出する検出装置が設けられたことを特徴としている。
請求項10に記載の発明によれば、ダミージェット受け手段に設けられた検出装置によって、ダミージェットから吐出されるインク滴の吐出状態が調べられる。例えば、複数のノズルからインク滴が吐出される記録ヘッドにおいて、全てのノズルからインク滴が吐出されているかを、ダミージェット受け手段に設けられた電極にインク滴が着弾したときに通電するか否かで検出される。このように、インク滴が吐出されないノズルを検出するなど、記録ヘッドの吐出状態が常時管理されるので、記録媒体に画像乱れが生じることがない。
請求項11に記載の本発明は、前記検出装置は、前記記録ヘッドのノズルと同数の電極と、該電極に通電し、前記記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴の着弾の有無を判定する判定手段と、から構成されたことを特徴としている。
請求項11に記載の発明によれば、ダミージェット受け手段には記録ヘッドのノズルと同数の電極が設置されており、この電極に接続された判定手段によって電極が通電したか否かが判定される。そして、記録ヘッドの全てのノズルからのインク滴の着弾の有無が検出されるようになっている。
これにより、ダミージェット時に、記録ヘッドのノズルの状態が正常かを調べることができるので、記録媒体の画像の乱れを事前に防ぐことができる。
本発明は上記構成としたので、メンテナンス時に記録ヘッドを移動させることで、メンテナンス時にノズルからキャップ部材を取り外したとき、又は、ノズル面のワイピング時に飛び散ったインクによる搬送手段の搬送面の汚損をなくすことができる。
本発明の第1実施例に係るインクジェット記録装置10について説明する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置10の全体構成について簡単に説明する。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、記録媒体としての用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから構成される。
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
レジ調整部14は、用紙がループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
記録部20には、記録ヘッド38、メンテナンス装置64及び記録ヘッド38とメンテナンス装置64の間へ用紙を搬送する搬送ベルト58が設けられており、搬送ベルト58で連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。
また、排出部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト32を介してトレイ34に排出するものである。
(記録ヘッドの構成)
次に、記録ヘッド38について、図2を参照して詳細に説明する。
用紙搬送方向(矢印X方向、以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向、以下、幅方向という場合がある)に対して、単位記録ヘッド36が複数配置された記録ヘッド38が、用紙搬送方向に一定間隔で各色ごとに配設されている。
単位記録ヘッド36は、図3(A)に示すように、ノズル40が二次元状に配設されており、ピエゾインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。この単位記録ヘッド36を、用紙搬送方向に対して斜めに傾けて連続して配置することにより、用紙幅をカバーする印字領域を確保する。このように、単価の安い単位記録ヘッド36をノズル配列方向に連続して配置することによって、低コストで記録ヘッド38を構成することができる。
記録ヘッド38の印字領域は、図4に示すように、印字される用紙Pのうち用紙最大幅PWに対応して設定されている。ここで、印字領域とは、用紙の両端から印字しないマージンを引いた印字領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる最大用紙幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
記録ヘッド38は、図2に示すように、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成となっている。なお、並べる色の順はこれに限らない。
図5に示すように、記録ヘッド38の長手方向両端部には、チャンネル状のガイドレール41が立設している。このガイドレール41には、記録ヘッド38に取り付けられた支持板39の端部がスライド可能にはめ込まれている。この支持板39には記録ヘッド38が固定されており、ガイドレール41に沿って垂直方向にスライドできるようになっている。
支持板39の上面には、後述する昇降装置48の偏心カム54を囲むようにして、四本のコイルばね56の一端が取り付けられている。コイルばね56の他端は、ガイドレール41から水平方向に延設されたアーム部材43に取り付けられており、コイルばね56によって支持板39は懸架されている。
また、支持板39は、昇降装置48の偏心カム54によって後述するメンテナンス装置64側へ押し下げられる。昇降装置48は、駆動モータ50と、駆動モータ50の駆動軸52に取りつけられ、支持板39に当接する偏心カム54とから構成されている。駆動モータ50を駆動すると、偏心カム54が回転して支持板39を押し下げ、記録ヘッド38をメンテナンス装置64側へ下降させる構成となっている。
上記構成により、キャッピング動作時には記録ヘッド38を下降させて、記録ヘッド38のノズル面40Aがキャップ部材66を押接すると、ノズル40(図3参照)を含むノズル面40Aが密閉され、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作も、記録ヘッド38を下降させた状態で行われる。
(メンテナンス装置の構成)
上流側の搬送ベルト58と下流側の搬送ベルト58の間の空間(記録ヘッド38に対向した位置)には、メンテナンス装置64が配置されている。メンテナンス装置64は、キャップ部材66とワイピング部材68から構成されている。
キャップ部材66は、図6に示すように、箱状の受け部70と、受け部70の開口周縁部に取り付けられたパッキン71(例えば、シリコンゴム)とから構成されている。
受け部70の底面にはインク吸収体72が設けられ、記録ヘッド38(図5参照)から吐出されたインク滴を、インク吸収体72で保持する構成となっている。インク吸収体72の材料としては、ポリエステル系繊維材料等が用いられる。
なお、キャップ部材66の底面にチューブを接続し、吸引装置で負圧を発生させ、押接時に記録ヘッド38のノズル面40Aのインクやゴミおよびノズルに溜まったインク滴を強制的に回収する構成とすることもできる。
また、図5に示すように、キャップ部材66の長手方向に沿って、記録ヘッド38のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材68が設けられている。ワイピング部材68とキャップ部材66は、共通基盤74の上に載置されている。共通基盤74の下面には、図示しないガイド溝が形成されており、用紙の搬送方向に沿って敷設されたレールとスライド可能に係合している。レールの端部には押しばねが設けられており、共通基盤74に当接して共通基盤74を偏心カム82に向かって押し当てている。
共通基盤74の側面には、移動装置76の偏心カム82が当接されている。偏心カム82は駆動モータ78の駆動軸80に取りつけられ、駆動モータ78を駆動することによって回転し、共通基盤74を押しばねの付勢力と抗する方向にスライドさせる。
ワイピング部材68は生ゴムで形成されており、移動装置76によってワイピング部材68が記録ヘッド38のノズル面40Aに摺接しながらノズル面40Aの幅方向に移動することによって、ノズル面40A全体を清掃するものである。
なお、本実施形態では、ワイピング部材68を生ゴムで形成する場合について説明したが、ワイピング部材68を形成する部材は生ゴムに限られない。生ゴム以外のゴムやエラストマー等、各種弾性部材を使用することができる。
ここで、ダミージェットの動作について説明する。
ダミージェットは、非印字時、あるいは複数の用紙を連続印字中に所定枚数の印字が終了する度に、後続の用紙先端が到達する前に行なう。すなわち、任意のノズル40(図3参照)からキャップ部材66に向かってインク滴の吐出(いわゆるダミージェット)が行なわれる。このとき、昇降装置48の偏心カム54が回転し、記録ヘッド38をキャップ部材66近傍まで下降させる。そして、記録ヘッド38のノズル40からキャップ部材66に向かってインク滴を吐出する。
なお、ダミージェットを行なうのは、全単位記録ヘッド36の全ノズルでも良いし、選択された単位記録ヘッド36、あるいは、所定時間インク滴の吐出を行なっていないノズル40のみでも良い。
例えば、単位記録ヘッド36の全ノズル40からインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能の変化を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、印字によって記録ヘッド38内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面40Aに付着したゴミの除去を行なうことができ、ノズル40のインク滴の吐出性能を初期化することができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る作用について説明する。
図7に示すように、印字時には、記録ヘッド38のノズル面40Aに対向する位置に、キャップ部材66が設置されており、記録ヘッド38が上流側の搬送ベルト58と下流側の搬送ベルト58の間に形成された空間を通過してキャップ部材66側に移動することで、記録ヘッド38のメンテナンス動作が行われる。
キャッピング動作は、非印字状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等に行なうものである。図7の状態から、昇降装置48の偏心カム54を回転して記録ヘッド38を下降させ、図8に示すように、記録ヘッド38のノズル面40Aをキャップ部材66のパッキン71に押接させる。この結果、ノズル面40Aの気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止されると共に、ノズル面40Aへのゴミの付着を防止する。
このように、記録ヘッド38をキャップ部材66側へ移動させてキャッピング動作を行うことで、記録ヘッド38をキャップ部材66から外すときに飛び散るインク滴が搬送ベルト58に付着することがない。
キャッピング動作が終了すると、図9に示すように、偏心カム54を反時計回りへ回転させる。これにより、コイルばね56(図5参照)の付勢力によって、記録ヘッド38をワイピング部材68の先端が当接する位置まで上昇する。
次に、図10に示すように、移動装置76の駆動モータ78が駆動され、偏心カム82の回転によって共通基盤74が搬送方向へ移動する。これによって、ワイピング部材68は先端をノズル面40Aに当接しながら搬送方向へ移動して、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等を除去する。
ワイピング部材68がノズル面40Aの下部から抜け出し、ワイピング動作を終了すると、移動装置76の偏心カム82を回転させて、押しばねのばね力でワイピング部材68が載置された共通基盤74を、図7に示すように、ホームポジションに復帰させる。また、昇降装置48の偏心カム54を回転させると、記録ヘッド38はコイルばね56(図5参照)の付勢力によって上昇し、記録ヘッド38はホームポジションに復帰する。そして、記録ヘッド38は印字開始状態になる。
このように、ワイピング動作時にも記録ヘッド38をメンテナンス装置64側へ移動させることで、ワイピング部材68によってワイピングされたときに飛び散るインク滴が、搬送ベルト58に付着することを防止できる。
また、記録ヘッド38をメンテナンス装置64側に移動させる構成にすることで、記録ヘッド38がインク滴を収容するインクタンクを備えている場合には、インクタンクと記録ヘッド38との水頭差によってインクタンク内で発生する負圧を減じることができる。これにより、メンテナンス時に記録ヘッド38からインクを吸引する際に発生する負圧によるノズル40からの気泡巻き込みのリスクを低減できる。さらに、メンテナンス時(インク吸引時)に、記録ヘッド38をインクタンクよりも下方へ移動させることで、記録ヘッド38のノズル40のインクには、インク吐出方向に圧力がかかる。これに、記録ヘッド38のノズル40からインクを吸引する吸引力が加わり、ノズル40に詰まったゴミなどを大きな力で除去することができる。
なお、本実施形態においては、駆動モータ50によって偏心カム54を駆動させることで記録ヘッド38を移動させる構成としたが、ラックアンドピニオン、ホールねじ、ソレノイド、リニアアクチュエータ等で記録ヘッド38を移動させることもできる。記録ヘッド38を移動させる方法については、上記構成に限定されない。
次に、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については、説明を割愛する。
図11(A)に示すように、上流側の搬送ベルト58と下流側の搬送ベルト58で形成される空間を用紙の搬送方向と直交する方向に、支軸92が掛け渡されている。支軸92には、記録ヘッド38から吐出されるインク滴の吐出領域よりも大きい面積を有する板状のダミージェット受け板94の端部が接続されており、支軸92が接続された端部を軸として回動するようになっている。また、支軸92は、図示しないトーションばねで矢印Hと反対方向に付勢されている。
また、ダミージェット受け板94の軸部には、図示しないストッパーが設けられており、トーションばねに押されて水平の姿勢でダミージェット受け板94を保持する構成である。なお、ダミージェット受け板94は、水平姿勢のとき、搬送ベルト58の搬送面より下方にあり、用紙と触れないようになっている。
また、ダミージェット受け板94の記録ヘッド38側の面には、吸収部材96が設けられている。吸収部材96は、ポリエステル系繊維材料で形成されており、この吸収部材96によってダミージェット受け板94に向けて記録ヘッド38から吐出されたインク滴が吸収される。従って、ダミージェット時にダミージェット受け板94に向けて吐出されたインク滴が、ダミージェット受け板94で跳ね返り、搬送ベルト58に付着することが防止できる。
なお、本実施形態においては、ダミージェット受け板94に、インク滴を吸収させるための吸収部材96を設ける構成としたが、ダミージェット受け板94自体を、ポリエステル系繊維材料等の吸収体で形成しても、ダミージェット時に記録ヘッド38から吐出されるインク滴をダミージェット受け板94で吸収することができる。また、吸収部材96は、ポリエステル系繊維材料だけでなく、インク滴を吸収する部材であれば、種々の部材で形成することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。
図11(A)に示すように、ダミージェット時に、記録ヘッド38から吐出されるインク滴は、記録ヘッド38とキャップ部材66の間に配設されたダミージェット受け板94によって受けられる。これにより、記録ヘッド38をキャップ部材66側まで移動させなくても、ダミージェット時のインク滴をダミージェット受け板94で受けることができるので、ダミージェットを行ってすぐに印字を行う状態に入ることができる。従って、ダミージェット時に記録ヘッド38をキャップ部材66側へ移動させ、印字時には記録ヘッド38をホームポジションまで戻す構造に比べてタイムロスが少ないので、印字速度が速くなる。
一方、メンテナンス時には、図11(B)に示すように、昇降装置48の偏心カム54を回転させて記録ヘッド38を下降させる。このとき、ダミージェット受け板94は、記録ヘッド38によってメンテナンス装置64側に押され、支軸92を軸として矢印H方向に回動する。これにより、上流側の搬送ベルト58と下流側の搬送ベルト58の空間が開放された状態となる。そして、記録ヘッド38は、上流側の搬送ベルト58と下流側の搬送ベルト58の空間を下降して、ノズル面40Aをキャップ部材66のパッキン71(図6参照)を押接し、メンテナンス動作が行われる。
このようにして、メンテナンス時にダミージェット受け板94をキャップ部材66側へ回動させることで、メンテナンス時にダミージェット受け板94を搬送面に対して水平方向へスライドさせるスペースを必要としないので、インクジェット記録装置が大型にならない。
メンテナンス動作が終了すると、偏心カム54を回動させてコイルばね56(図5参照)の付勢力によって記録ヘッド38を上昇させる。これによって、ダミージェット受け板94は、支軸92に取り付けられたトーションばねの付勢力によって、図11(A)に示すように水平姿勢に戻るようになっている。
次に、本発明の第3の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の部分については、説明を割愛する。
図12に示すように、ダミージェット受け板142には、電極144が設けられている。電極144は、記録ヘッド38のノズル40と同数設けられている。電極144には、図示しない判定装置が接続されており、判定装置は図示しない制御装置に接続されている。
次に、本発明の第3の実施形態の作用について説明する。
記録ヘッド38のノズル40からインク滴が吐出されたとき、インク滴はノズルと対向した位置にあるダミージェット受け板142に設けられた電極144に当接する。電極144はインク滴が付着すると、電極144に接続された判定装置によって電極144の通電が確認され、判定装置に接続された制御装置に信号が送られる。制御装置では、判定装置からすべての電極144で通電したとの信号を受けると、記録ヘッド38のノズル40のインク滴の吐出状態は正常と判断し、記録ヘッド38へ印字開始の信号を送る。また、一部の電極144が通電していないという信号を判定装置から受け取ると、ノズルのインク滴の吐出状態は異常と判断して、記録ヘッド38へ印字中止の信号を送り、インクジェット記録装置の表示部にエラーメッセージを表示させるようになっている。
このように、インク滴が吐出されないノズル40をダミージェット受け板94に設けられた電極144によって検出することで、記録ヘッド38のノズル40のインク滴の吐出状態が常時管理されるので、用紙に画像乱れが生じることがない。
次に、本発明の第4の実施形態に係るインクジェット記録装置150について説明する。
図13に示すように、インクジェット記録装置150には、用紙の搬送方向と直交する方向の上流側に、所定の間隔で単位記録ヘッド160が設けられている。下流側には、上流側の単位記録ヘッド160の非印字領域をカバーするようにして、単位記録ヘッド160が設けられている。上流側の単位記録ヘッド160と下流側の単位記録ヘッド160は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック色の4色で構成されている。
上流側の単位記録ヘッド160及び下流側の単位記録ヘッド160で印字されない領域(非印字領域)には、搬送ベルト162が架け渡されている。非印字領域は印字領域と交互に配置されているので、搬送ベルト162も交互に配置され、いわゆる千鳥状となっている。
上流側の単位記録ヘッド160と下流側の単位記録ヘッド160の間には、駆動ローラ164が設けられており、上流側の搬送ベルト162と下流側の搬送ベルト162の一端が交互に巻き掛けられている。また、駆動ローラ164の上流側と下流側には、従動ローラ166が設けられており、上流側の搬送ベルト162と下流側の搬送ベルト162の他端が巻き掛けられている。
そして、駆動ローラ164には、図示しないドライブモータが接続されており、ドライブモータの駆動によって駆動ローラ164が回転し、搬送ベルト162が動く構成となっている。
一方、搬送される用紙Pを挟んで単位記録ヘッド160と対向する位置、すなわち、搬送ベルト162の間の印字領域には、単位記録ヘッド160と一対一で対応するメンテナンス装置180が、単位記録ヘッド160の数と同数だけ配置されている。
メンテナンス装置180は、図14(A)に示すように、単位記録ヘッド160に対向して開口したキャップ部材182を備えている。キャップ部材182の構成は、第1の実施形態のキャップ部材66(図6参照)と同様である。
また、キャップ部材182の搬送方向と直交する側に沿って、単位記録ヘッド160のノズル面をクリーニングするためのワイピング部材184が隣接されている。キャップ部材182とワイピング部材184は一枚の基盤186上に載置されている。基盤186の下面からはポール188が突設されており、ポール188の先端が共通基盤190に支持されている。
さらに、第1実施形態と同様に、共通基盤190の下面には図示しないガイド溝が形成されており、用紙の搬送方向に沿って敷設されたレールとスライド可能に係合している。レールの端部には押しばねが設けられており、押しばねが共通基盤190に当接して、共通基盤190を移動装置192の偏心カム193に向かって押し当てている。これにより、偏心カム193が回転することで、共通基盤190は搬送方向に移動する。なお、共通基盤190には全てのメンテナンス装置180がポール188を介して接続されており、偏心カム193が回転して共通基盤190が搬送方向に移動すると、全てのメンテナンス装置180が同時に搬送方向に移動するようになっている。
一方、上流側の単位記録ヘッド160及び下流側の単位記録ヘッド160は、それぞれ一枚の支持板196で接続されており、支持板196の上面には昇降装置194の偏心カム195が当接されている。偏心カム195の回転によって、支持板196に接続された単位記録ヘッド160は、下降するようになっている。なお、昇降装置194の構成は、第1の実施形態の昇降装置48(図5参照)と同様である。
なお、図示は省略するが、第1の実施形態と同様に、支持板196の端部は、長手方向端部に立設されたガイドレールにスライド可能にはめ込まれており、支持板196はガイドレールに沿って垂直方向にスライドできるようになっている。また、支持板196の上面には、一端がガイド部材に取り付けられたコイルばねの他端が取り付けられており、このコイルばねによって支持板196は懸架されている。
次に、本発明の第4の実施形態の作用について説明する。
キャッピング動作を行うとき、図15(B)に示すように、昇降装置194の偏心カム195を回転させ、単位記録ヘッド160を下降させる。これにより、単位記録ヘッド160のノズル面がキャップ部材182に押接され、単位記録ヘッド160のキャッピング動作が行われる。このように、キャッピング動作をキャップ部材182側へ移動させて行うことで、単位記録ヘッド160からキャップ部材182を外すときに飛び散るインク滴が、搬送ベルト162に付着するのを防止できる。
キャッピング動作が終了すると、図15(C)に示すように、偏心カム195を回転させる。すると、図示しないコイルばねの付勢力によって単位記録ヘッド160はワイピング動作が行われる位置まで上昇する。そこで、図15(D)に示すように、移動装置192の偏心カム193を回転させ、共通基盤190を搬送方向へ移動させることによって、ワイピング部材184で単位記録ヘッド160のノズル面がワイピングされる。
ワイピング動作が終了すると、図15(A)に示すように、偏心カム193を回転させ、共通基盤190をホームポジションに復帰させる。そして、偏心カム195を回転さると、単位記録ヘッド160はコイルばねの付勢力によって上昇し、ホームポジションに復帰する。このようにして、単位記録ヘッド160は印字開始状態になる。
このように、ワイピング動作時も単位記録ヘッド160をメンテナンス装置180側へ移動させることで、ワイピング部材184によってワイピングが行われたときに飛び散るインク滴が、搬送ベルト162に付着することを防止できる。
次に、本発明の第5の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。なお、第4の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
図16に示すように、駆動ローラ204及び従動ローラ202は、第4の実施形態の駆動ローラ164、従動ローラ166よりも径が大きいものが用いられている。この駆動ローラ204と従動ローラ202には、第4の実施形態と同様に、搬送ベルト206が用紙の幅方向に等間隔で巻き掛けられており、上流側の搬送ベルト206と下流側の搬送ベルト206とは、用紙幅方向に交互に配置されているので、全体として千鳥状になっている。
搬送ベルト206の間には、メンテナンス装置180が配置されており、メンテナンス装置180のキャップ部材182の下方には、受け板210が架け渡されている。受け板210は、用紙の幅方向に配列されたキャップ部材182で形成される投影面積よりも大きな面積を有しており、搬送ベルト206の上側の搬送面と下側の搬送面の間に設置されている。
次に、本発明の第5の実施形態の作用について説明する。
大きい径の駆動ローラ204及び従動ローラ202に巻き掛けられた搬送ベルト206で搬送装置が構成されたインクジェット記録装置において、メンテナンス装置180のキャップ部材182の下方に、キャップ部材182よりも大きな幅を有する受け板210を架け渡すことで、メンテナンス時に発生するインク液滴は、この受け板210によって受けられ、搬送ベルト206の上側の面だけでなく、下側の面にも付着することがない。
次に、本発明の第6の実施形態に係るインクジェット記録装置220について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
本実施例に係るインクジェット記録装置220では、図17に示すように、搬送系を静電吸着ドラム222(以下、単にドラムという場合がある)が使用されている。
ドラム222は、外周面の用紙保持領域に半導電性あるいは絶縁性のシートが配設されており、搬送方向上流側の帯電ロール224によって帯電され、押圧ロール226によってドラム222上に押接されることによりドラム222に静電吸着され、ドラム222の回転によってドラム222と共に回転搬送されると共に、搬送方向下流側に配設された剥離部材228によってドラム222の外周面から剥離される構成である。
なお、ドラム222の外周面において用紙保持領域と異なる位置には、開口部222Aが設けられている。この開口部222Aは、メンテナンス(ダミージェット、キャッピング)時に用いられるものである。
一方、ドラム222の外周面の回転方向に沿って、4色の記録ヘッド38Y〜38Kが配設されている。各記録ヘッド38の構成は、第1実施例と同様である。図18に示すように、各記録ヘッド38は、それぞれ昇降機構230によって、ドラム222の中心に向かって移動する構成となっている。
ここで、昇降機構230について説明する。昇降機構230は、駆動モータ232を備えており、駆動モータ232の駆動力が駆動ギア234に伝わるようになっている。駆動ギア234にはラック236が噛合されており、駆動モータ232の駆動によって駆動ギア234が回転すると、ラック236はドラム222の中心に向かって移動する。このラック236の先端は記録ヘッド38の上面と接続されている。一方、記録ヘッド38の四隅には、図示しないガイドレールが上方から放射状に垂下されており、記録ヘッド38の四隅をスライド可能に支持している。これにより、ラック236が移動することで記録ヘッド38はドラム222の中心に向かって移動するようになっている。
一方、図17に示すように、ドラム222の内側には、各記録ヘッド38に対向する位置にキャップ部材240を備えたメンテナンス装置238が配設されている。なお、キャップ部材240の構成は、第1の実施形態にキャップ部材66と同様である。
キャッピング動作を行う場合、図19(A)に示すように、開口部222Aが全記録ヘッド38に対向する位置でドラム222の回転を停止させる。そして、図19(B)に示すように、昇降機構230の駆動ギア234を反時計回りに回転させ、記録ヘッド38をキャップ部材240側に移動させる。記録ヘッド38は、開口部222Aからドラム222内部に入り込み、記録ヘッド38のノズル面をキャップ部材240に押接する。このようにして、キャッピング動作が行われる。
キャッピング動作が終了すると、駆動ギア234を時計回りに回転させ、記録ヘッド38をホームポジションまで上昇させる。そして、印字開始状態となる。
また、ダミージェット時は、ドラム222の用紙保持領域が通過後に、開口部222Aが記録ヘッド38に対向する位置にきたタイミングで、駆動ギア234が時計回りに回転する。そして、図19(B)に示すように、記録ヘッド38を下降させて開口部222Aからドラム222内部に入り込ませ、キャップ部材240近傍に移動させる。そこで、キャップ部材240に向かってインク滴を吐出する。ダミージェット動作が終了すると、駆動ギア234(図18参照)が反時計回りに回転し、図19(A)に示すように記録ヘッド38をホームポジションまで上昇させる。
次に、本発明の第6の実施形態の作用について説明する。
搬送手段が、外周に用紙を巻き付けて印字時に用紙を搬送するドラム222であり、このドラム222には記録ヘッド38が通る開口部222Aが形成されている。図19(B)に示すように、この開口部222Aを記録ヘッド38が通り抜けて、キャップ部材240によって記録ヘッド38のメンテナンス及び、ダミージェットが行われる。従って、記録ヘッド38のメンテナンスは、ドラム222の内部で行われるので、用紙が搬送される搬送面がインク液滴で汚損されることがない。
なお、本実施形態では、メンテナンス装置180としてキャップ部材182のみ説明したが、第1の実施形態と同様に、ワイピング部材を設ける構成としてもよい。このとき、ワイピング部材は、第1の実施形態と同様に動作する。
本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の記録部の概略平面図である。 (A)本発明の第1の実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図であり、(B)記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の印字領域の説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドの昇降機構及びメンテナンス装置の移動機構の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るキャップ部材の斜視図である。 (A)本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図であり、(B)側面図である。 (A)本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図であり、(B)側面図である。 (A)本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図であり、(B)側面図である。 (A)本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図であり、(B)側面図である。 (A)、(B)本発明の第2の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る記録ヘッドを示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 (A)、(B)本発明の第4の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図である。 (A)〜(D)本発明の第4の実施形態に係る記録ヘッドのメンテナンス状態を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る記録ヘッドの駆動機構を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成図である。 本発明の第6の実施形態に係る記録ヘッドの昇降機構を示す斜視図である。 (A)、(B)本発明の第6の実施形態に係る記録ヘッドのメンテナンス状態を示す図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
38 記録ヘッド
48 昇降装置(移動手段)
58 搬送ベルト(搬送手段)
60 ローラ
62 無端ベルト
64 メンテナンス装置
92 支軸(ダミージェット受け手段)
94 ダミージェット受け板(ダミージェット受け手段)
96 吸収部材
142 ダミージェット受け板(ダミージェット受け手段)
144 電極(検出装置)
150 インクジェット記録装置
160 単位記録ヘッド
162 搬送ベルト(搬送手段)
180 メンテナンス装置
194 昇降装置(移動手段)
208 メンテナンス装置
210 板(受板)
220 インクジェット記録装置
222 ドラム
222A 開口部(穴部)
230 昇降装置
238 メンテナンス装置

Claims (11)

  1. 所定の間隔で記録媒体の搬送方向と直交する方向に沿って設けられた複数の上流側単位記録ヘッドと、上流側単位記録ヘッドの非印字領域をカバーするように下流側に搬送方向と直交する方向に沿って設けられた下流側単位記録ヘッドとで構成されて記録媒体幅の吐出領域を持ち、前記記録媒体に対してインク滴を吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドのインク滴吐出面と対向する位置に設置され、前記記録ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス装置と、
    前記記録ヘッドと前記メンテナンス装置の間に配置され、一対のローラと、該ローラに巻き掛けられたベルトを、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に、前記上流側単位記録ヘッド及び前記下流側単位記録ヘッドが通過可能な間隔を空けて複数設けられ、前記記録媒体を前記記録ヘッドの吐出領域へ搬送する搬送手段と、
    メンテナンス時に、前記記録ヘッドをメンテナンス装置側へ移動させる移動手段と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記搬送手段の裏側まで移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記搬送手段の搬送方向に対して垂直に移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記移動手段は、前記記録ヘッドを前記メンテナンス装置のインク滴を受けるキャップ部材へ押接することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記搬送手段は、前記記録媒体の搬送方向にも複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置された複数の前記ベルトの前記記録媒体を搬送する上側の搬送面と下側の搬送面の間に設置され、前記キャップから漏れたインク滴を受ける受板が前記記録媒体の幅方向に架け渡されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録ヘッドと前記メンテナンス装置の間には、ダミージェット時に前記記録ヘッドから吐出されるインク滴を受け、前記記録ヘッドが移動する動作に伴って退避するダミージェット受け手段が配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記ダミージェット受け手段は、前記搬送手段の間に設けられた支軸と、一端が前記支軸に支持されたダミージェット受け板と、で構成されており、前記ダミージェット受け板が前記支軸を中心として前記記録ヘッドに押されて回動することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記ダミージェット受け手段には、吸収部材が設けられたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記ダミージェット受け手段には、前記記録ヘッドから吐出されるインク滴の着弾状態を検出する検出装置が設けられたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記検出装置は、前記記録ヘッドのノズルと同数の電極と、該電極に接続され、前記記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴の着弾の有無を判定する判定手段と、から構成されたことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
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