JP4543511B2 - 水平pll回路 - Google Patents

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信夫 竹谷
正弘 竹島
宏 毛利部
久雄 森田
竜一 澁谷
晃司 松平
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機やその他映像受信機に関する水平PLL回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビジョン受像機の大型化・大画面化により、VTRなどの水平周波数が乱れやすいソースでは画面の乱れが大きく目立つことより、より安定した水平出力を得るための水平PLL回路が必要不可欠である。
【0003】
従来の水平PLL回路として例えば、特開平4−326624や特開平8−139964などが提案されている。このような回路の構成について図3に示す。
図3において符号101は映像ソースにおける水平同期信号入力、符号102は前記101と後で述べる分周後の信号とを比較して位相誤差情報を発生する位相比較器、符号103は前記102から出力された位相誤差情報を平均化するループフィルタ、符号104は前記103からの出力を入力として発振周波数を制御する発振回路、符号105は前記101に入力される水平同期信号との位相比較のために前記104からの入力を分周して水平出力信号を発生する分周回路、符号106は前記105から出力される水平出力信号である。
【0004】
以上のように構成された水平PLL回路について、以下その動作について説明する。前記101に水平同期信号が入力されると前記102で位相誤差情報が発生され、前記103で平滑された後、前記104の発振器を動かし前記105の出力を得、前記102で位相誤差情報が最小になるようにループが働く。
【0005】
図4にその概念図を示す。図4(a)は入力された水平同期信号、図4(c)は発振回路の出力、図4(b)は分周回路から出力される位相比較用基準出力と、図4(d)は前記(a)と(b)の誤差情報出力でループフィルタによって平均化され、図4(f)のように発振周波数を変え、図4(e)のように誤差が最小になるように制御する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこういった構成では安定した水平同期入力が得られた際は安定動作を続けるが、様々な乱れた映像ソース、例えばVTRの様に機構系の問題などから水平周波数が垂直期間(以下フィールドと呼ぶ)で一瞬でも大きく乱れた場合では、ループフィルタの応答性の問題などから、例えば図5(a)の映像入力信号に対して、垂直同期信号期間で水平周期が変わり、それによる位相誤差の発生によって図5(b)のように水平PLL出力がずれ、収束するまでに時間がかかる時があり、そのため図5(c)のように画面上部の縦線曲がりを起こすことがある。
【0007】
これを解決するには前記103のループフィルタのゲインを上げて、周波数変動に対する応答性を早くすると、図5(d)のように早く収束して目立ちにくくなる。逆にゲインを下げると応答性が悪くなり、図5(e)のように曲がりが大きく目立つ。しかしあるソースでは図6(a)のようにランダムノイズが多い入力映像信号に対して、同期分離がエラーを起こし、図6(b)のように水平PLL出力がばたついているという場合もある。このときは逆に前記103のループフィルタのゲインを下げて、周波数変動に対する応答性を遅くすると、図6(d)のようにばたつきが少なくなり目立ちにくくなる。逆にゲインを上げるとばたつきは大きくなり図6(e)のように大きく目立ち、縦線ノイズ(以下ジッタと呼ぶ)を強調してしまうことになる。従来はこういった問題を両立するために縦線曲がりかジッタをある程度見切ってループフィルタのゲインを設定していた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために本発明の水平PLL回路は、位相誤差情報を1フィールドないし数フィールドで比較し、その情報をもとにループフィルタのゲインを制御する構成とし、縦線曲がり時にもジッタ時にも最適な応答を行い、水平出力の安定度を増すことができ、受信機における映像の品位を向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、入力される信号の状態に応じてループフィルタのゲインを切り替えることで、特殊な信号に対しても最適な発振特性を得られるPLL回路であり、入力信号の周波数状態に応じてフィルタのゲインを最適化する事で、水平出力信号の安定化を図れるという作用を有する。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、映像を受像するための水平同期信号と水平出力信号を入力とした水平PLL用位相比較器と、前記位相比較器から出力された位相誤差情報を平均化しかつそのゲインが可変できるゲイン可変ループフィルタと、前記ゲイン可変ループフィルタからの出力を入力として発振周波数を制御する発振回路と、前記発振回路からの入力を分周して水平出力信号を発生する分周回路と、前記ゲイン可変ループフィルタからの出力をある一定期間検出しその状態によってフィルタゲインを切り替える制御を行うフィルタ制御回路を備えた水平PLL回路で、入力水平信号の状態によってループフィルタのゲインを切り替えて安定した水平出力を得ることができるという作用を有する。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態)
以下に、本発明の請求項1及び請求項2に記載された発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0013】
図1は特性切り替え可能なループフィルタを有する水平PLL回路のブロック構成図を示し、図1において符号1は映像ソースにおける水平同期信号入力、符号2は前記1と後で述べる分周後の信号とを比較して位相誤差情報を発生する位相比較器、符号3は前記2から出力された位相誤差情報を平滑化するループフィルタ、符号4は前記3からの出力である符号7の平均化後の位相比較結果出力を入力として発振周波数を制御する発振回路、符号5は前記1に入力される水平同期信号との位相比較のために前記4からの入力を分周して水平出力信号を発生する分周回路、符号6は前記5から出力される水平出力信号、符号8は前記3のループフィルタからの出力をある一定期間検出しその状態によってフィルタゲインを切り替える制御を行うフィルタ制御回路である。
【0014】
図2に前記図1の符号8で行うフィルタ切り替え制御のアルゴリズム例を示す。位相比較結果の情報を用いてフィルタ制御の判断を行う。図5にあるように縦線曲がりの現象が起きる時には画面上部か下部においてどちらかの位相誤差は小さく、どちらかは大きいという結果が得られる。その条件の場合、フィルタ応答が遅すぎて画面の水平期間のどこかで位相が大きく乱され、それが回復するまでに時間がかかると判断でき、フィルタの応答性が遅いと思われるのフィルタ応答を早くする。また図6のようにジッタの現象が起きる場合には上部も下部も位相誤差情報が大きい場合になり、全画面において位相誤差が大きいものと判断され、フィルタ応答性が早いとジッタを強調してしまうことになるのでフィルタ応答を遅くすることで対応する。
【0015】
またそのいずれでも無い場合はフィルタ特性が適当と考え、前の状態を維持する。このフローチャートでは初期値をSTATE0としてそこから判定をスタートし、STATE1、STATE2、STATE3と状態を表現しているがSTATE2では前の状態から応答を早くする、STATE2では前の状態から応答を遅くする、STATE1では前の状態を維持するというルーチンで制御を行うことで入力された映像信号の状態に応じたフィルタ特性が選択できる。また判断の条件を増やしてやる事でさらに細かに制御する事も可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明は、入力同期信号の状態によってPLL回路のループフィルタのゲインを切り替えることで、テレビ受信機や映像受信機においてVTR入力時によく発生する縦線曲がりやジッタを誘発する水平周波数が乱された信号に対しても最適なフィルタ特性を選択することで水平同期信号の安定度を向上させ、見やすい映像を受像できる効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における水平PLL回路のブロック構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるフィルタ特性制御のアルゴリズムを示す図
【図3】従来例における水平PLL回路のブロック構成図
【図4】(a)入力水平同期信号を示す図
(b)PLLがロックする前の水平出力を示す図
(c)PLLがロックする前の発振回路の出力を示す図
(d)誤差情報信号を示す図
(e)誤差を補正された後のロックした水平出力を示す図
(f)誤差を補正された後のロックした発振回路の出力を示す図
【図5】(a)垂直帰線期間を含む入力映像同期信号を示す図
(b)PLLのかかった水平同期信号出力を示す図
(c)縦線曲がりのCRT管面の状態を示す図
(d)ループフィルタの応答性を早く変えたときの応答性の変化を示す図
(e)ループフィルタの応答性を遅く変えたときの応答性の変化を示す図
【図6】(a)ランダムノイズの乗った入力水平映像同期信号を示す図
(b)PLLのかかった水平同期信号出力を示す図
(c)ジッタの起きた状態でのCRT管面の状態を示す図
(d)ループフィルタの応答性を遅く変えたときの応答性の変化を示す図
(e)ループフィルタの応答性を早く変えたときの応答性の変化を示す図
【符号の説明】
1、101 水平同期信号入力
2、102 位相比較器
3、103 ループフィルタ
4、104 発振回路
5、105 分周回路
6、106 水平出力信号
7 平均化後の位相比較結果出力
8 フィルタ制御回路

Claims (1)

  1. 映像の水平同期信号と水平出力信号を比較して位相誤差情報を発生する位相比較器と、前記位相比較器から出力された前記位相誤差情報を平滑化するループフィルタと、前記ループフィルタから平均化後の位相比較結果出力を入力として発振周波数を制御変化させる発振回路と、前記発振回路からの入力を分周して前記水平出力信号を発生する分周回路と、前記ループフィルタからの前記平均化後の位相比較結果出力を一定期間検出しその状態によって前記ループフィルタのフィルタゲインを切り替える制御を行うフィルタ制御回路を備え、前記フィルタ制御回路は、前記一定期間の検出結果において画面上部及び画面下部の位相誤差が、一方が小さく他方が大きい場合はフィルタ応答を早くし、両方が大きい場合はフィルタ応答を遅くし、またそのいずれでもない場合は前の状態を維持するように前記ループフィルタのフィルタゲインを切り替える制御を行うことを特徴とした水平PLL回路。
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