JP4543407B2 - 振動式杭打抜機 - Google Patents
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Description
ショベルブーム1cの先端にショベルアーム1dが取り付けられ、さらにその先端にエクステンション2が装着されている。
符号aを付して示したのは、バケットピンと呼ばれる2本のピンである。当該油圧ショベルには、本来的にバケット(図示省略)が設けられており、前記2本のバケットピンaによってショベルアーム1dの先端に軸着される。
上記油圧ポンプの吐出圧力油により、ブームシリンダ22を伸縮させてショベルブーム1cを起伏動させたり、アームシリンダ21を伸縮させてショベルアーム1dを回動させたりする。同様にして、バケットシリンダ20を伸縮させて図外のバケットを回動させるようになっている。
本図4のようにエクステンション2がバケットに替えて装着されているときは、前記バケットシリンダ20の伸縮によって該エクステンション2が起伏回動せしめられる。
上記チャック5によって杭6の上端を把持し、地上に立てた杭に振動を与えて地中に打ち込み、または、杭に振動を与えて地中から引き抜く。
前記油圧ショベルの油圧ポンプ16から吐出される圧力油を、油圧操作弁から成る油圧ユニット(7)を介して、かつ、油圧配管8を介して起振機4およびチャック3に送給される。
符号11を付して示したリレーボックス11は、リモートコントローラ9およびフートペダル10からの信号を受けて、油圧ユニット7を制御する。
例えばバケットは、該バケット自体は圧力油の供給を必要としないが、例えばクラッシャやブレーカは圧力油の供給を必要とする。圧力油を必要とする場合は、ブーム1cおよびアーム1dに沿わせて設けられている油圧配管8を経て供給される。
なお、油圧ショベルについて(図4参照)ブーム1cを第1ブームと呼び、アーム1dを第2ブームと呼ぶ等、その名称は必ずしも確定していないが、本発明においては本図4に付記した名称に準拠するものとする。
油圧ユニットとは、起振機およびチャックを制御するための電磁弁、およびその付属機器から成るユニットをいう。
リリーフバルブ7dは調圧弁として機能し、起振機およびチャックに送給される作動油の圧力が定格値となるよう、自動的に制御する。
圧力スイッチ7aは、上記リリーフバルブ7dによる調圧圧力を自動的に監視し、所定値以下になると警報器(図外)を作動させる。
スロットバルブ7eは作動油の流量を制御している。
ソレノイドバルブ7cは、図4に示したリレーボックス11を介して操作され、起振機およびチャックの作動を制御する。
アキュムレータ7bは、チャックを駆動する油圧シリンダの圧力室内の圧力を保持して杭の把持を確実ならしめるためのものである。
油圧ショベル本来の走行機能や旋回機能を妨げることなく利用できるので、高能率の杭打抜作業が可能であり、しかも、1人の作業員でショベル本体部分、ショベル作業機部分、および起振機・チャックの操作を行ない得るという優れた長所を有し、多くのユーザーに賞用されている。
しかし、更なる技術的進歩改良のため、次に述べるような課題を有している。
その結果、油圧ショベルのボンネット内に杭打抜機用の油圧ユニット7を収容する余裕が無く、図4に例示したようにボンネットの上に油圧ユニットを載置せざるを得なくなったのが近況である。
その後、最近は更に油圧ショベルの小形化,軽量化が進み、図4のようにエンジンルームのボンネット上に油圧ユニット7を載置することが困難になった。
(a)エンジンルームボンネット上の余裕空間が狭小な上に、該ボンネットが薄鋼板で構成されているため油圧ユニット7の重力荷重を支持できない。
(b)ボンネット上に油圧ユニット7が搭載されていると、該ボンネットを開いて内部のメンティナンスを行なうことが非常に困難である。
(c)油圧ショベルは汎用性の高いことを長所としていて、各種のフロントアタッチメントと着脱交換して各種の作業を遂行できる機械であるが、ボンネットの上に油圧ユニットが設置されて膨出していると、作業範囲を制約される場合が有る。
(d)油圧ユニットは精密機器であって打撃を受けることは許されない。しかし、該油圧ユニットがボンネット上に突出していると外力を受け易い。しかし乍ら、これに頑丈なプロテクタを設けることができない(エンジンルーム内のメンティナンスが妨げられる)。
(e)起振機を吊持するエクステンション(図4において符号4)を交換しただけでは足りず、油圧ユニット(7)付近の配管も変更しなければならないので、振動杭打作業のための準備作業(改装)に多大の時間を労力とを要する。
(f)図4から容易に理解されるように、油圧ユニットが油圧ショベル本体部に搭載され、起振機やチャックがアーム先端に配置されているので、ブームやアームに沿わしめて振動杭打ち専用の油圧配管を新設しなければならないので設備費用が高額になる。
(g)この油圧ショベルが杭打ち以外の作業をしている場合、油圧ユニット7がボンネットに載せられ、専用の油圧配管8がブームやアームに装着されていることは邪魔なお荷物である。そうかと言って油圧ユニットや油圧配管を着脱することは多大の時間と労力とを費し、その煩に耐えない。
(a)エンジンルームのボンネットに格別の支持強度を必要とせず、
(b)ボンネットの開閉を妨げる虞れ無く、
(c)油圧ショベルが杭打ち以外の作業をする際、杭打専用機器が邪魔にならず、
(d)油圧ユニットを完全にプロテクトすることが容易に可能であり、
(e)エクステンションの着脱交換に伴って、油圧配管が自動的に杭打用に変更され、
(f)ブーム,アームに沿わせた杭打専用の油圧配管を必要とせず、
(g)杭打以外の作業をする際、杭打専用機器が油圧ショベルの荷物にならない、振動杭打機およびその構成方法、並びに、この新規な振動杭打装置を用いる杭打工法を提供しようとするものである。
油圧ショベル(1)のアーム(1d)の先端に、エクステンション(2)を介して起振機(4)を吊持した振動式杭打抜機において、
前記エクステンションがボックス型に構成されており、
前記起振機に供給される圧力油を制御する弁機構(12A)および、前記の起振機に装着されたチャック(5)に供給される圧力油を制御する弁機構(12B)が、前記ボックス型のエクステンション内に収納されており、
前記2つの弁機構(12A,12B)のそれぞれは、油圧ショベル(1)の運転席に設けられた操作用機器から発せられる信号によって操作される構造であることを特徴とする。
従ってボンネットを薄鋼板で軽量に構成することができ、開閉が自在であって内部機器のメンティナンスが容易である。
さらに、弁機構がボンネット上に配置されていないので、当該油圧ショベルによって施工される各種の工事において「杭打抜き用の弁機構」が邪魔になる虞れが無く、油圧ショベルの汎用性を妨げない。
さらに、ボンネット上の位置に在ると外部障害物の衝突を受け易い弁機構がエクステンション内に収納されているので外力による損傷を被る虞れが無い。
その上、エクステンション内に設けられている弁機構を、油圧ショベルの運転席から操作することができる。
しかも、杭の打抜き以外の作業を行なうため、起振機・チャック・エクステンションを油圧ショベルのアームから取り外すと、杭打抜き用の弁機構がエクステンションと一緒に取り外され、母体機であるショベルカーに残留しない。このためショベルカーは軽快に作業することができ、その作業空間を制約されることが無い。
杭打抜き作業を行なわないとき、杭打抜き専用の機器が容易に取り外されて後に残らないということは、その半面、取り外した杭打抜き専用の機器を他の油圧ショベルに装着することが容易であることを意味する。このため、例えば1組の振動式杭打抜き用の機材を準備しておいて、これをアームの長い油圧ショベルに付け替えたり、旋回半径の短い油圧ショベルに付け替えたりして、順応性に優れた作業を遂行することが可能である。
符号1を付して示したのは、当該杭打抜機の母体である油圧ショベル、1cはショベルブーム、1dはショベルアームである。
この油圧ショベルは、駆動源としてエンジン15が搭載されており、該エンジンによって回転駆動される油圧ポンプ16の吐出油が、走行・旋回・土工機駆動用の圧力油を供給するようになっている。
ショベルブーム1cの先端に、1軸関節を形成してショベルアーム1dが取り付けられていて、アームシリンダ21によって駆動される。
さらに、上記ショベルアーム1dの先端には、基本構造としてはバケット(図示省略)が装着され、バケットシリンダ20によって回動操作されるようになっている。
上記バケットシリンダは、リスト(Wrist・手首の意)シリンダなどと呼ばれることもあるが、本発明においてバケットシリンダとは、『ショベルアーム(別称・第2ブーム)の先端に軸着されたフロントアタッチメントを、該ショベルアームに対して回動駆動するシリンダ』をいう。
これは、母機である油圧ショベルのバケット(図外)と交換して装着されたものであって、外観は従来例のエクステンション(図4において符号2を付した部材)と類似であり、バケットシリンダ20によって回動操作される。
上記エクステンション2の先端に、アーチハンガ3を介して起振機4が吊持され、この起振機の下端部に装着されたチャック5が杭6を把持している。
上述のごとく、本実施形態においてエクステンション2よりも先端側の機器は、図外のバケットに代えて、フロントアタッチメントとして装着されたものである。
本実施形態(図1)において、油圧配管8は、フロントアタッチメントとしてのブレーカやクラッシャ(共に図外)を駆動するため、母機である油圧ショベル1に、本来的に配設されていた部材である。
上記の起振機に供給される圧力油を制御する弁機構12Aが、エクステンション2に設置されている(配管系統の詳細については、図3を参照して後に述べる)。
前記のチャック5は、油圧シリンダで杭を挟圧して把持する構造(詳細は図3を参照して後述する)であって、これに供給される圧力油を制御する弁機構12Bも、前記のエクステンション2に設置されている。
本図2から読み取れるように、本例のエクステンション2の本体部はボックス構造をなしており、その中に弁機構12A、同12Bが収納されているので、精密機器である油圧弁機構が外部障害物の衝突から保護されている。すなわち、エクステンション2が油圧弁機構のプロテクタの役目を兼ねているので、本実施形態においては作動油圧系統の信頼性が高い。
従って、この流量制御弁12Cもエクステンション2内に位置し、外部障害物の衝突からプロテクトされている。
起振機は、弁機構12Aによって起動・停止を操作され、かつ、流量制御弁12Cによって振動の周波数を制御される。
周波数制御用の流量制御弁12Cがエクステンション2内に収納されていると、該流量制御弁12Cを操作して振動周波数を随時に変化させる操作が困難である。しかし、最近の起振機は公知のゼロ発進機構(振動周波数を一定に保ったままで、振動エネルギーを任意に調節する装置)が設けられているので、流量制御弁を随時に変化させる操作を必要としない。
本例の電磁比例流量制御弁12Cは、製造工場で調節して出荷された後、定期整備の際に点検すれば足り、調節し直す必要を生じる頻度は極めて小さい。
なお、前記のゼロ発進は弁機構12Aによって自動的に行なわせることも可能である。
本発明を実施する際、運転者によって操作される手段は任意に構成できるが、運転者の意志を電気信号に変換する方式であることが望ましい。
運転席から発せられた操作信号は、リレーボックス11を介して弁機構12A、および弁機構12Bに伝えられて、起振機4の起動・停止、およびチャック5による杭6の把持・解放が行なわれる。
従来例の油圧ショベル型杭打抜機(図4)に本発明を適用して図1のように改良すると、『ボンネット上に搭載されていた操作弁群(油圧ユニット7)』が、エクステンション2に移転されるので、弁機構が運転席から遠くなるとともに、起振機4およびチャック5に近づく。
(a)油圧操作弁機構は、油圧ポンプ16と起振機・チャック(4・5)との中間に設けられる。
油圧操作弁機構が起振機・チャックに近づくことによって、油圧配管系統が基本的に簡素になり「弁とアクチュエータとを結ぶ油圧管路」が短縮される。これにより、配管系の漏油トラブルが激減する。
(b)油圧操作弁機構がエクステンションに移設されることによって、
「当該油圧ショベルに、本来的に設けられていたフロントアタッチメント用の油圧配管8」を利用できる。
これにより、杭打抜機専用の油圧配管が著しく短縮され、起振機架装工事の材料コストが軽減される。
図4の従来例のように、杭打抜機用の油圧ユニット7がボンネット上に載置されていると、杭打抜き以外の作業をするためにフロントアタッチメントを交換するとき、この油圧ユニット7を取り去るか残置するかが一つの問題となる。
イ.かなりの重量,体積を有する油圧ユニットを残しておくと、杭打抜き以外の作業の妨げになることは明らかである。
ロ.杭打抜き以外の作業をするために油圧ユニットを取り外したり、再度杭打抜き作業をするために油圧ユニットを取り付けたりする作業は、高度の知識と熟練とを要する上に多大の時間と労力とを浪費するので不経済である。
上記イ,ロの問題が、本発明の適用によって完全に解消される.
のみならず、この油圧ユニット7には複数本の高圧ホースが接続される.ホースとは言え、高圧ホースは容易に撓まない(剛性が高い)ので、油圧ユニットがボンネット上に設置されていると、エンジンルーム内の点検や整備は著しく困難になる。本実施形態のように、弁機構をエクステンション2に移設することによって、油圧ホースに因るメンティナンス困難が解消される.
従って、高圧作動油配管をエンジンに近づけることは甚だ望ましくない。エンジンの排気系統の部材は、運転中に高温だからである。
こうした観点から、本発明を適用して油圧ユニットをエクステンションに移すことは、防災上の効果も多大である。
上記参考線bcの上方は、振動杭打抜作業を行なうための起振機4、およびその付属機器、並びに概要的な配管である。すなわち、起振機4を制御するために設けた弁機構12A、並びにチャック5、該チャックを制御する弁機構12B、該チャックの把持力を保持せしめるアキュムレータ7b、および油圧配管が参考線bc上に描かれている。
ここで注目すべき点の一つは、参考線bcの下方に位置する(油圧ショベルの本来的な構成部材である)油圧配管8が、そのまま活用されていることである。
従来技術においては、弁機構(12A,12B)から成る油圧ユニット(図4において符号7)が油圧ポンプ16の近くに配設されていたので、該油圧ユニット(7)から起振機4に至る油圧配管を新設しなければならなかった。
上述のように、本発明の適用によって油圧配管が簡素化され、配管材料コストが低減されるのみでなく、配管系統の漏油トラブルが減少する。
本来的油圧系の構成は、油圧ポンプ1eの吐出油をゲートバルブGvによってオンオフ制御した後、操作弁Cv1を介して走行モータ1gに供給して走行体(トラックフレーム)の走行を行なわせるとともに、
操作弁Cv2を介してバケットシリンダ20に供給して、これを伸縮駆動し、
操作弁Cv3を介してアームシリンダ21に供給してショベルアーム(図1において符号1dの部材)を上下に回動させ、
操作弁Cv4を介してブームシリンダ22に供給してショベルブーム(図1において符号1c)を起伏傾動させ、
かつ、操作弁Cv5を介して旋回モータ19に供給し、油圧ショベルの旋回フレーム(図外)を旋回させるようになっているとともに、
当該油圧ショベルのブーム,アームに沿わしめて油圧配管8が設けられて、図外のフロントアタッチメント(例えばブレーカやクラッシャ等)に圧力油を供給できるようになっている。
なお、前記のゲートバルブGvは、(図1,図4参照)フートペダル10によって、リレーボックス11を介してオンオフ制御される。これにより、作動油圧系の運転・休止が切り換えられる。
弁機構12Aを介して起振機4が、弁機構12Bを介してチャック5が、それぞれ接続されている。アキュムレータ7bは、チャック5の油圧シリンダの圧力室に連通されていて、この連通管路d内の作動油流量は無視し得る程度に微小である。
以上に説明した杭打抜油圧系(線bc以上)は、先に述べた本来的油圧系(線bc以下に対して並列に接続配管されている。
これにより、杭打抜油圧系と本来的油圧系とは相互に独立し、油圧ポンプ16の吐出量の範囲内で、相互に干渉することが無い。
杭打抜油圧系の中で大油量を継続的に消費するのは起振機4である。
このため、走行動作と杭打抜動作とは同時実施できない。しかし、杭打抜作業中の杭は地面に対して水平移動しないから、上記双方の動作を同時に実施できないことは別段の不都合を招かない(例えば杭に振動を与えて打ち込みながら、油圧ショベルが走行するといった状態は起こり難い)。
本来的油圧系と杭打抜油圧系とが、実用上、相互に制約を与えることも無く、相互に干渉することも無いのは、双方の油圧系と油圧ポンプ16に対して並列に接続配管したからである。
1c…ショベルブーム
1d…ショベルアーム
2…エクステンション
3…アーチハンガ
4…起振機
5…チャック
6…杭
7…油圧ユニット
7a…圧力スイッチ
7b…アキュムレータ
7c…ソレノイドバルブ
7d…リリーフバルブ
7e…スロットバルブ
8…油圧配管
9…リモートコントローラ
10…フートペダル
11…リレーボックス
12A…起振機制御用の弁機構
12B…チャック操作用の弁機構
16…油圧ポンプ
18…走行モータ
19…旋回モータ
20…バケットシリンダ
21…アームシリンダ
22…ブームシリンダ
Cv1〜Cv2…操作弁
Gv…ゲートバルブ
Claims (1)
- 油圧ショベル(1)のアーム(1d)の先端に、エクステンション(2)を介して起振機(4)を吊持した振動式杭打抜機において、
前記エクステンションがボックス型に構成されており、
前記起振機に供給される圧力油を制御する弁機構(12A)および、前記の起振機に装着されたチャック(5)に供給される圧力油を制御する弁機構(12B)が、前記ボックス型のエクステンション内に収納されており、
前記2つの弁機構(12A,12B)のそれぞれは、油圧ショベル(1)の運転席に設けられた操作用機器から発せられる信号によって操作される構造であることを特徴とする振動式杭打抜機。
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