以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図12に従って詳細に説明する。なお、本実施の形態では、上部旋回体の前,後方向に対し、この前,後方向に直交した水平方向を左,右方向とし、各機器、部材の構成、配置等について説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前部に俯仰の動作が可能に設けられたスイング式の作業装置5とにより構成されている。作業装置5は、土砂の掘削作業等を行う。
油圧ショベル1は、例えば、建物の内部や市街地のような狭い場所での作業に用いられる後方超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。この後方超小旋回型の油圧ショベル1は、上部旋回体4を旋回動作したときに後部が周囲の障害物と干渉しないように、後述するカウンタウエイト11が上部旋回体4の旋回中心に近い位置に配置されている。これにより、後方超小旋回型の油圧ショベル1は、旋回したときのカウンタウエイト11の外周面11Aの軌跡が、下部走行体2の幅寸法(左,右方向の寸法)の120%の範囲に収まるようになっている。
作業装置5は、後述する旋回フレーム6の前側位置にスイング(揺動)可能かつ俯仰の動作が可能に取付けられたブーム5Aと、ブーム5Aの先端部に回動可能に取付けられたアーム5Bと、アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、ブーム5Aを動作させるブームシリンダ5Dと、アーム5Bを動作させるアームシリンダ5Eと、バケット5Cを動作させるバケットシリンダ5Fとによって構成されている。
上部旋回体4は、旋回装置3の旋回モータ3A(図12参照)を駆動することにより、下部走行体2上で旋回動作するものである。また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、キャブ12、作業用の左操作レバー13、右操作レバー14、制御弁15A〜15D、パターン切換弁20、パイロットホース21A〜21D,22A〜22D、左側ブラケット23、右側ブラケット26を含んで構成されている。
旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体を構成している。図2に示すように、旋回フレーム6は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる平板状の底板6Aと、底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B、右縦板6Cと、底板6A、左縦板6Bから左側に向けて張出し、前,後方向に間隔をもって複数本、例えば2本設けられた左張出しビーム6D,6Eと、底板6A、右縦板6Cから右側に向けて張出し、前,後方向に間隔をもって複数本、例えば3本設けられた右張出しビーム6F,6G,6Hと、左縦板6Bの左側に間隔をもって前,後方向に延び、各左張出しビーム6D,6Eの先端部に取付けられた左サイドフレーム6Jと、右縦板6Cの右側に間隔をもって前,後方向に延び、右張出しビーム6F,6G,6Hの先端部に取付けられた右サイドフレーム6Kとを含んで構成されている。
左縦板6Bと右縦板6Cの前部には、作業装置5を支持する支持部6Lが設けられている。また、後述するキャブ12の後側となる旋回フレーム6の後部左側には、アンダカバー6Mが設けられている。アンダカバー6Mは、底板6Aよりも薄い板体として形成され、前端縁が左張出しビーム6Eの後部に固着され、左端縁が左サイドフレーム6Jに固着され、右端縁が底板6Aの左部に固着されている。さらに、旋回フレーム6には、後述の切換弁取付部7と下部メンテナンス開口部8が設けられている。
切換弁取付部7は、旋回フレーム6の一部として設けられている。この切換弁取付部7は、キャブ12の後側、即ち、アンダカバー6Mの前側寄りに配置されている。切換弁取付部7には、後述する各ブラケット23,26を介してパターン切換弁20が取付けられる。切換弁取付部7の左側には、前,後方向に間隔をもって2個の左側ねじ孔7Aが設けられている。一方、切換弁取付部7の右側には、前,後方向に間隔をもって2個の右側ねじ孔7Bが設けられている。各左側ねじ孔7Aと各右側ねじ孔7Bは、例えば溶接ナットを用いて形成されている。各左側ねじ孔7Aは、下部メンテナンス開口部8の左側端部を前,後方向で跨ぐように配置されている。各右側ねじ孔7Bは、下部メンテナンス開口部8の右側端部に接近した位置に配置されている。
切換弁取付部7には、各左側ねじ孔7Aよりも左側で、下部メンテナンス開口部8の左側端部に接近した位置に2個の左側ボルト挿通孔7Cが設けられている。また、切換弁取付部7には、各右側ねじ孔7Bよりも左側で、下部メンテナンス開口部8の右側部分を前,後方向で跨ぐように2個の右側ボルト挿通孔7Dが設けられている。さらに、切換弁取付部7には、各右側ねじ孔7Bの間に位置して2個の奥側ボルト挿通孔7Eが設けられている。
各左側ボルト挿通孔7Cには、後述の左側ブラケット23を切換弁取付部7に取付けるためのボルト25がそれぞれ挿通される。各右側ボルト挿通孔7Dには、後述する右側ブラケット26のフレーム側取付部材28を切換弁取付部7に取付けるためのボルト25がそれぞれ挿通される。各奥側ボルト挿通孔7Eには、後述する右側ブラケット26の弁側取付部材27を切換弁取付部7に取付けるためのボルト25がそれぞれ挿通される。
下部メンテナンス開口部8は、キャブ12の後側、即ち、切換弁取付部7に設けられている。下部メンテナンス開口部8は、パターン切換弁20を下側からメンテナンスするための開口で、パターン切換弁20を挿通することができる大きさを有している。下部メンテナンス開口部8は、左サイドフレーム6Jに近い左側寄りに位置し、左,右方向に長尺な略長方形状の開口として形成されている。具体的には、図5に示すように、下部メンテナンス開口部8には、周囲に複数本のパイロットホース21A〜21D,22A〜22Dが取付けられたパターン切換弁20が、切換レバー20B側を下側に傾けた状態で挿通される。
図6に示すように、開口部カバー9は、下部メンテナンス開口部8をアンダカバー6M(切換弁取付部7)の下面側から覆っている。一方で、開口部カバー9は、パターン切換弁20のメンテナンスを行うときには取外すことができる。開口部カバー9は、各ボルト挿通孔7C,7D,7Eを避けた形状の板体として形成されている。開口部カバー9の長さ方向の左側位置には、切換弁取付部7の各左側ねじ孔7Aに対応する2箇所にボルト挿通孔9Aが設けられている。また、開口部カバー9の長さ方向の右側位置には、切換弁取付部7の各右側ねじ孔7Bに対応する2箇所にボルト挿通溝9Bが設けられている。
そして、開口部カバー9は、下部メンテナンス開口部8を覆うように切換弁取付部7の下面側に配置したら、ボルト挿通孔9Aに挿通したボルト10を左側ねじ孔7Aに締着し、ボルト挿通溝9Bに挿通したボルト10を右側ねじ孔7Bに締着する。これにより、開口部カバー9は、切換弁取付部7の下面側に着脱可能に取付けられている。
図1に示すように、カウンタウエイト11は、作業装置5との重量バランスをとるために、旋回フレーム6の後部位置に設けられている。カウンタウエイト11は、左,右方向の中間部が後方に突出した円弧形状の重量物として形成されている。この上で、後方超小旋回型の油圧ショベル1では、カウンタウエイト11を上部旋回体4の旋回中心に近付けて配置している。これにより、カウンタウエイト11は、その外周面11Aの軌跡が、下部走行体2の幅寸法(左,右方向の寸法)の120%の範囲に収まるようになっている。
キャブ12は、旋回フレーム6の前部左側に設けられている。キャブ12は、オペレータが乗り込むもので、前面部12A、後面部12B、左面部12C、右面部、底面部(いずれも図示せず)および天面部12Dによってボックス状に形成されている。キャブ12の内部には、底面部の上側にオペレータが着座する運転席が設けられている。また、キャブ12の内部には、運転席の左,右両側に位置して後述の左操作レバー13、右操作レバー14が設けられている。
キャブ12の後面部12Bは、上,下方向の中間部から下側部位を前側に向けて凹陥させることによりクランク状の段差面として形成されている。これにより、後面部12Bの下側部位は、前側にオフセットされた凹面部位12B1となり、この凹面部位12B1は、左面部12Cの後端縁よりも前側に位置している。また、凹面部位12B1の下部には、後述のパイロットホース21A〜21D,22A〜22Dが通るホース挿通口12Eが設けられている。
さらに、凹面部位12B1には、外気を取り入れるための空調用のダクト12Fが後方に突出して設けられている。このダクト12Fは、外気に含まれる虫、塵埃等の異物を捕捉するためのフィルタ(図示せず)を有しており、このフィルタは定期的に交換される。このために、ダクト12Fは、フィルタを容易に交換できるように、後述する側部メンテナンス開口部12Hに近い左寄りに配置されている。
左,右方向の外側に位置する左面部12Cには、前側寄りに位置して乗降口を開閉するドア12Gが設けられている。また、図3ないし図5に示すように、左面部12Cには、後面部12Bの凹面部位12B1よりも後側に位置して、側部メンテナンス開口部12Hが設けられている。側部メンテナンス開口部12Hは、後述のパターン切換弁配置空間19に対応した位置に配置されている。側部メンテナンス開口部12Hは、ダクト12Fのフィルタ着脱作業、パターン切換弁20に対する各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dの増し締め作業を行うときに手が差し入れられる。
左面部12Cには、側部メンテナンス開口部12Hを開閉するメンテナンス用ドア12Jが設けられている。図4に示すように、メンテナンス用ドア12Jを開いた状態では、側部メンテナンス開口部12Hを通じてダクト12F、パターン切換弁20等を露出させることができる。
作業用の左操作レバー13は、キャブ12内に位置して運転席の左側に設けられている。図12に示すように、左操作レバー13は、減圧弁型の油圧パイロット弁13Aをレバー部13Bによって操作する。油圧パイロット弁13Aは、パイロットホース21A〜21Dを介して後述する制御弁群15の各制御弁15A〜15Dのうち、2個の制御弁に接続されている。左操作レバー13は、レバー部13Bを前,後方向、左,右方向に傾転操作することにより、油圧パイロット弁13Aから各制御弁15A〜15Dの油圧パイロット部にパイロット圧を供給し、旋回装置3の旋回モータ3A、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fのうち、いずれか2つを操作することができる。
一方、作業用の右操作レバー14は、キャブ12内に位置して運転席の右側に設けられている。作業用の右操作レバー14は、前述した左操作レバー13とほぼ同様に、減圧弁型の油圧パイロット弁14A、レバー部14Bにより構成されている。油圧パイロット弁14Aは、パイロットホース22A〜22Dを介して各制御弁15A〜15Dのうち、残りの2個の制御弁に接続されている。これにより、右操作レバー14は、旋回装置3の旋回モータ3A、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fのうち、残りの2つを操作することができる。
制御弁群15は、旋回フレーム6に搭載されている。この制御弁群15は、左操作レバー13、右操作レバー14等の操作に応じて駆動する油圧パイロット部を備えた複数個の油圧パイロット式スプール弁により形成されている。制御弁群15は、旋回装置3の旋回モータ3Aを制御する旋回制御弁15Aと、作業装置5のアームシリンダ5Eを制御するアーム制御弁15Bと、ブームシリンダ5Dを制御するブーム制御弁15Cと、バケットシリンダ5Fを制御するバケット制御弁15Dとを含んで構成されている。そして、制御弁群15は、主管路16を介して油圧ポンプ17に接続され、それぞれの油圧パイロット部には、パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dが接続されている。
ここで、カウンタウエイト11の前側となる旋回フレーム6の後部には、エンジン(図示せず)が左,右方向に延在する横置き状態で設けられている。このエンジンの右側(キャブ12と反対側)には、油圧ポンプ17が取付けられている。油圧ポンプ17は、下部走行体2、旋回装置3、作業装置5等に設けられたアクチュエータに供給する圧油を吐出する。油圧ポンプ17には、図示しないパイロットポンプが設けられている。
熱交換装置18は、エンジンの左側、具体的には、キャブ12の後面部12Bとカウンタウエイト11との間に位置して旋回フレーム6上に設けられている(図1、図4参照)。熱交換装置18は、枠体18Aと、枠体18A内に収められたラジエータ、オイルクーラ等(いずれも図示せず)とにより構成されている。熱交換装置18は、カウンタウエイト11が上部旋回体4の旋回中心に近付けて配置されていることから、枠体18Aの前側部分が後述するパターン切換弁配置空間19に張出している。
パターン切換弁配置空間19は、キャブ12の後面部12Bのうち上,下方向の中間部から下側部位、即ち、凹面部位12B1を前側に向けて凹陥させることにより形成されている。パターン切換弁配置空間19は、キャブ12の後面部12Bと熱交換装置18の枠体18Aとの間の空間である。パターン切換弁配置空間19は、下側が下部メンテナンス開口部8を通じて外部に開口し、左側が側部メンテナンス開口部12Hを通じて外部に開口している。
パターン切換弁20は、パターン切換弁配置空間19に位置して旋回フレーム6の下部メンテナンス開口部8の上側に取付けられている。パターン切換弁20は、左操作レバー13および右操作レバー14の操作パターンと各制御弁15A〜15Dとの組合せパターンを切換える。また、パターン切換弁20は、オペレータが操作し易い操作パターンに選択的に切換えられるように、複数の操作パターンの組合せを有している。パターン切換弁20は、左操作レバー13と右操作レバー14の操作方向に応じて、旋回装置3の旋回モータ3A、作業装置5のブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fからなる各アクチュエータの操作パターンの組合せを切換える。
図3に示すように、パターン切換弁20は、方向切換弁(図示せず)を内蔵した略円柱状の弁ケーシング20Aと、弁ケーシング20Aの軸方向の一方に回動可能に設けられた切換レバー20Bとにより構成されている。弁ケーシング20Aの外周面には、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dが締結手段を用いて接続されている。そして、パターン切換弁20は、後述の左側ブラケット23が弁ケーシング20Aの一方となる左端面に取付けられ、右側ブラケット26が弁ケーシング20Aの他方となる右端面に取付けられることによって切換弁取付部7上に固定されている。
パターン切換弁20は、弁ケーシング20Aの軸方向の両端部が各ブラケット23,26に支持された状態では、切換レバー20Bが左側に位置するように左,右方向に延びた状態(図3に示す水平状態)で切換弁取付部7の上側に配置されている。一方、パターン切換弁20は、弁ケーシング20Aから左側ブラケット23と右側ブラケット26のフレーム側取付部材28が外されることにより、切換レバー20B側が低くなるように傾斜した状態(図5に示す傾斜状態)に姿勢を変更することができる。
複数本のパイロットホース21A〜21Dは、左操作レバー13とパターン切換弁20と制御弁15A〜15Dとを接続している。また、複数本のパイロットホース22A〜22Dは、右操作レバー14とパターン切換弁20と制御弁15A〜15Dとを接続している。
ここで、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dは、キャブ12内から後面部12Bのホース挿通口12Eを通ってパターン切換弁配置空間19に延び、それぞれの端部がパターン切換弁20の弁ケーシング20Aの外周側に締着されている。この場合、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dは、パターン切換弁20からホース挿通口12Eに向けて同じ方向を向くように束になって延びている。これにより、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dは、パターン切換弁20の姿勢変更に応じて容易に曲げることができる。
次に、本発明の特徴部分となる左側ブラケット23と右側ブラケット26の構成について述べる。
左側ブラケット23は、パターン切換弁20を構成する弁ケーシング20Aの切換レバー20B側の端面に下側に延びるように取付けられている。図6、図9に示すように、左側ブラケット23は、長方形状の板体をL字状に折曲げることにより、上,下方向に延びた縦板部23Aと、縦板部23Aの下部から切換弁取付部7に対面するように横方向に延びた取付板部23Bとにより形成されている。取付板部23Bには、切換弁取付部7の各左側ボルト挿通孔7Cに対応する位置にねじ孔23Cが設けられている。このねじ孔23Cは、例えば溶接ナットを用いて形成されている。また、縦板部23Aの上部には、複数個、例えば2個のボルト挿通孔23Dが設けられている。このボルト挿通孔23Dには、弁ケーシング20Aの切換レバー20B側を支持するためのボルト24(図4中に図示)が挿通される。さらに、縦板部23Aの上部には、パターン切換弁20の切換レバー20Bの回動範囲を規定する2本のストッパ23Eが左側に突出して設けられている。
取付板部23Bを切換弁取付部7の上面に配置し、切換弁取付部7の左側ボルト挿通孔7Cに挿通したボルト25をねじ孔23Cに締着することにより、左側ブラケット23は、切換弁取付部7に取付けられている。また、パターン切換弁20の弁ケーシング20Aの左端面を縦板部23Aの上部に押し付け、この状態で、ボルト挿通孔23Dに挿通したボルト24を弁ケーシング20Aに締着する。これにより、左側ブラケット23に弁ケーシング20Aの切換レバー20B側を取付けることができる。
ここで、左側ブラケット23を旋回フレーム6の切換弁取付部7に固定しているボルト25は、旋回フレーム6の下側から着脱される。これにより、作業者は、旋回フレーム6の下側の広いスペースを利用し、ボルト25に容易に工具を係合させることができ、また、工具を容易に操作することができる。
右側ブラケット26は、切換レバー20Bと反対側に取付けられてパターン切換弁20から下側に延びて設けられている。右側ブラケット26は、弁ケーシング20Aのうち、切換レバー20Bと反対側となる右側の部位を支持する。右側ブラケット26は、弁側取付部材27とフレーム側取付部材28とにより構成されている。右側ブラケット26は、旋回フレーム6との固定位置を変えることにより、パターン切換弁20を切換弁取付部7と平行な水平状態と、切換レバー20B側が低くなるように切換弁取付部7に対して傾斜した傾斜状態との2位置に保持する機能を有している。この場合、旋回フレーム6との固定位置を変えるとは、弁側取付部材27をフレーム側取付部材28に取付けるか、旋回フレーム6に取付けるかの取付対象の変更となる。
右側ブラケット26の弁側取付部材27は、パターン切換弁20の弁ケーシング20Aの右端面に対面する縦板部27Aと、縦板部27Aから右側に延びつつ下向きに屈曲して延びた腕部27Bと、腕部27Bの下部に取付けられた傾斜取付面部27Cとにより構成されている。図7、図10に示すように、縦板部27Aには、複数個、例えば2個のボルト挿通孔27Dが設けられている。このボルト挿通孔27Dには、弁ケーシング20Aの右端面側を支持するためのボルト24が挿通される。傾斜取付面部27Cには、切換弁取付部7の各奥側ボルト挿通孔7Eおよび後述するフレーム側取付部材28の各ボルト挿通孔28Cに対応する位置にねじ孔27Eが設けられている。このねじ孔27Eは、例えば溶接ナットを用いて形成されている。
傾斜取付面部27Cは、縦板部27Aの直立状態で、縦板部27A側が高く、縦板部27Aから離れた側が低くなるように傾斜している。即ち、図8に示すように、傾斜取付面部27Cは、切換弁取付部7に取付けられたときに、縦板部27Aおよび腕部27Bが左側(下部メンテナンス開口部8側)に倒れるように配置する。
これにより、図5に示すように、弁側取付部材27は、傾斜取付面部27Cが旋回フレーム6の切換弁取付部7に取付けられた状態では、縦板部27Aに取付けられたパターン切換弁20を、切換レバー20B側が低くなるように傾斜状態に保持する。このパターン切換弁20の傾斜状態では、パターン切換弁20および各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dは、その一部が下部メンテナンス開口部8を通って外部に突出している。従って、パターン切換弁20の上側、即ち、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dとキャブ12のダクト12Fとの間と、パターン切換弁20の下側とにそれぞれメンテナンス用のスペース(工具を差し入れたり、工具を操作したりするための空間)を確保することができる。
フレーム側取付部材28は、弁側取付部材27の下側に位置して切換弁取付部7に取付けられている。フレーム側取付部材28は、弁側取付部材27の傾斜取付面部27Cが取付けられる傾斜受面部28Aと、傾斜受面部28Aの前,後方向の両端からそれぞれ下向きに延びた脚部28Bとにより構成されている。傾斜受面部28Aには、弁側取付部材27の各ねじ孔27Eに対応する位置にボルト挿通孔28Cが設けられている。また、各脚部28Bには、切換弁取付部7の各右側ボルト挿通孔7Dに対応する位置にねじ孔28Dが設けられている。傾斜受面部28Aの角度は、弁側取付部材27の傾斜取付面部27Cが取付けられたときに、縦板部27Aが直立状態となる角度に設定されている。
フレーム側取付部材28は、傾斜受面部28Aに弁側取付部材27の傾斜取付面部27Cを対面させ、ボルト挿通孔28Cに挿通したボルト25を弁側取付部材27のねじ孔27Eに締着することにより、傾斜受面部28Aに弁側取付部材27を取付けることができる。また、フレーム側取付部材28は、各脚部28Bを旋回フレーム6の切換弁取付部7上に配置し、切換弁取付部7の右側ボルト挿通孔7Dに挿通したボルト25をねじ孔28Dに締着する。これにより、右側ブラケット26に弁ケーシング20Aの右側部分を取付けることができる。
ここで、右側ブラケット26のフレーム側取付部材28を切換弁取付部7に固定しているボルト25と、フレーム側取付部材28に対して弁側取付部材27を固定しているボルト25は、旋回フレーム6の切換弁取付部7の下側から着脱される。これにより、作業者は、旋回フレーム6の下側の広いスペースを利用してボルト25を容易に着脱できる。
なお、図12に示すように、作動油タンク29は、作動油を貯え、主管路16に接続されている。また、外装カバー30は、カウンタウエイト11とキャブ12との間に設けられ、エンジン、油圧ポンプ17、熱交換装置18等の機器を覆っている。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、パターン切換弁20による切換パターンの確認作業と、このパターン切換弁20のパターン切換作業とについて説明する。
まず、切換パターンの確認作業では、オペレータは、図4に示すように、乗降側となる油圧ショベル1の左側方に立ち、キャブ12のメンテナンス用ドア12Jを開くことにより、側部メンテナンス開口部12Hを通してパターン切換弁20を露出させることができる。この状態で、パターン切換弁20の切換レバー20Bの位置を目視することにより、左操作レバー13および右操作レバー14の操作パターンが自分の好みに合っているか否かを確認することができる。
このときに、各操作レバー13,14の操作パターンが自分の好みに合っていない場合には、側部メンテナンス開口部12Hから手を差し入れて、パターン切換弁20の切換レバー20Bを回動し、操作パターンを自分の好みのものに合わせる。
次に、各操作レバー13,14の操作パターンを自分の好みに合わせたら、油圧ショベル1を動作させて掘削作業等を行う。
オペレータは、キャブ12に乗込んで運転席に着座して走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。一方、左,右の操作レバー13,14のレバー部13B,14Bを操作することにより、旋回装置3によって上部旋回体4を旋回動作させたり、作業装置5によって土砂の掘削作業等を行ったりすることができる。
ここで、後方超小旋回型の油圧ショベル1は、上部旋回体4の設置スペースが限られている。このために、キャブ12と熱交換装置18との間のパターン切換弁配置空間19に配置されたパターン切換弁20の周囲には、作業スペースを確保することが困難となっている。これにより、パターン切換弁20のメンテナンス、例えば、弁ケーシング20Aに接続された各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dに緩みがないかを確認する増し締め作業では、作業スペースを確保するのに手間を要してしまう。
然るに、本実施の形態によれば、旋回フレーム6には、キャブ12の後側に位置してパターン切換弁20を下側からメンテナンスするための下部メンテナンス開口部8が設けられている。この上で、パターン切換弁20は、切換レバー20Bが配置された左端部に取付けられて下側に延びた左側ブラケット23と、切換レバー20Bと反対側の右端部に取付けられて下側に延びた右側ブラケット26とを用いて旋回フレーム6の下部メンテナンス開口部8の上側に取付けられている。さらに、左側ブラケット23と右側ブラケット26を旋回フレーム6に固定している各ボルト25は、旋回フレーム6の下側から着脱される構成となっている。
従って、旋回フレーム6の下側から各ボルト25を緩めることにより、左側ブラケット23と右側ブラケット26とを旋回フレーム6から容易に取外すことができ、また、容易に取付けることができる。そして、左側ブラケット23と右側ブラケット26とを取外した状態では、図5に示すように、パターン切換弁20と各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dとを下部メンテナンス開口部8を通して外部に突出させることができる。これにより、パターン切換弁20と各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dの上側と下側の両方にメンテナンス用の作業スペースを確保することができる。
この結果、パターン切換弁20を狭い場所に配置した場合でも、パターン切換弁20に対する各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dの増し締め作業を容易に行うことができ、メンテナンス時の作業性を向上することができる。しかも、左側ブラケット23と右側ブラケット26を旋回フレーム6に固定している各ボルト25は、旋回フレーム6の下側から着脱できるから、旋回フレーム6に対し各ブラケット23,26を容易に着脱することができる。
右側ブラケット26は、旋回フレーム6との固定位置を変えることにより、パターン切換弁20を水平状態と切換レバー20B側が低くなった傾斜状態との2位置に保持することができる。従って、通常時は、パターン切換弁20を水平状態に保持することにより、パターン切換弁20の切換レバー20Bを容易に操作することができる。一方、増し締め作業時には、パターン切換弁20を傾斜状態に保持することにより、パターン切換弁20に対して各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dを確実に締付けることができる。
右側ブラケット26は、パターン切換弁20に取付けられた弁側取付部材27と、弁側取付部材27の下側に位置して旋回フレーム6に取付けられたフレーム側取付部材28とからなる。弁側取付部材27の下部は、フレーム側取付部材28または旋回フレーム6に取付けられる傾斜取付面部27Cとなっている。また、弁側取付部材27は、傾斜取付面部27Cがフレーム側取付部材28に取付けられたときにパターン切換弁20を水平状態に保持している。一方、弁側取付部材27は、傾斜取付面部27Cが旋回フレーム6に取付けられたときに切換レバー20B側が低くなるようにパターン切換弁20を傾斜状態に保持している。
従って、通常時は、フレーム側取付部材28に弁側取付部材27を取付けることで、各ブラケット23,26間にパターン切換弁20を水平状態に保持することができる。これにより、パターン切換弁20の切換レバー20Bを容易に操作することができる。また、増し締め作業時には、弁側取付部材27を介してパターン切換弁20を旋回フレーム6に保持(固定)することができる。これにより、各パイロットホース21A〜21D,22A〜22Dを増し締めするときの締付け力を効果的に作用させることができ、作業性を向上することができる。
さらに、キャブ12の後側には、当該キャブ12の後面部12Bのうち上,下方向の中間部から下側部位を前側に向けて凹陥させることによりパターン切換弁配置空間19が設けられている。キャブ12の左面部12Cには、パターン切換弁配置空間19に対応した位置に側部メンテナンス開口部12Hおよび側部メンテナンス開口部12Hを開閉するメンテナンス用ドア12Jが設けられている。
これにより、キャブ12のメンテナンス用ドア12Jを開くことにより、側部メンテナンス開口部12Hを通してパターン切換弁20によるパターンの切換状態を確認することができる。また、側部メンテナンス開口部12Hを通して切換レバー20Bに手を延ばすことにより、操作パターンを自分の好みのものに合わせることができる。
なお、実施の形態では、右側ブラケット26を、弁側取付部材27とフレーム側取付部材28とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、右側ブラケットを単一の部材として形成し、この右側ブラケットに、当該右側ブラケットを垂直に配置する第1取付面と、右側ブラケットを傾けて配置する第2取付面との2つの取付面を設ける構成としてもよい。
実施の形態では、スイング式の作業装置5を備えた後方超小旋回型の油圧ショベル1に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、超小旋回型の油圧ショベル等の他の形態の油圧ショベルに適用してもよい。また、スイング式以外にもオフセット式、モノブーム式の作業装置としてもよい。
実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、ホイール式の油圧ショベル等の他の建設機械にも広く適用することができる。