以下、本発明の実施の形態について、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、実施の形態では、油圧ショベルの走行方向を前,後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
図中、建設機械を代表する油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の本体(車体)を構成している。油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場を走行し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前端に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト4Aと、スイングポスト4Aに回動可能に取付けられたブーム4Bと、ブーム4Bの先端に回動可能に取付けられたアーム4Cと、アーム4Cの先端に回動可能に取付けられた後述のバケット4Dとを備えている。スイングポスト4Aとブーム4Bとの間には、ブーム4Bを駆動するブームシリンダ4Eが設けられ、ブーム4Bとアーム4Cとの間には、アーム4Cを駆動するアームシリンダ4Fが設けられている。また、アーム4Cとバケット4Dとの間には、バケット4Dを駆動するバケットシリンダ4Gが設けられている。さらに、旋回フレーム5とスイングポスト4Aとの間には、スイングポスト4Aを左,右方向に揺動させるスイングシリンダ(図示せず)が設けられている。
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5を有している。旋回フレーム5は、強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。図2および図3に示すように、旋回フレーム5は、後述のセンタフレーム6、左サイドフレーム12、右サイドフレーム14等により構成されている。
センタフレーム6は、旋回フレーム5の左,右方向の中央部に配置されている。このセンタフレーム6は、底板7と、左縦板8と、右縦板9とを含んで構成されている。底板7は、厚肉な鋼板材を用いて形成され、前,後方向に延びている。底板7の前,後方向の中間部には、旋回モータ(図示せず)を取付けるためのモータ取付孔7Aが設けられている。底板7の前端側には突起部7Bが設けられ(図1参照)、突起部7Bの上側には後述の上板10が配置されている。
左縦板8は、モータ取付孔7Aの左側に位置して底板7上に立設され、前,後方向に延びている。左縦板8の前,後方向の中間部には屈曲部8Aが設けられている。右縦板9は、モータ取付孔7Aの右側に位置して底板7上に立設され、左縦板8と左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びている。左縦板8と右縦板9との左,右方向の間隔は、屈曲部8Aから前側の間隔に比較して屈曲部8Aから後側の間隔の方が大きく設定されている。左縦板8の後端にはウエイト取付部8Bが設けられ、右縦板9の後端にはウエイト取付部9Aが設けられ、これら左,右のウエイト取付部8B,9Aには、後述のカウンタウエイト23が取付けられている。
左縦板8の前側の上端と右縦板9の前側の上端との間は、上板10によって連結されている。上板10は、底板7の突起部7Bと上,下方向で対面し、上板10と底板7の突起部7Bとの間には、上,下方向に延びる円筒状のスイングブラケット11が固定されている。スイングブラケット11は、作業装置4のスイングポスト4Aを揺動可能に支持している(図1参照)。
左サイドフレーム12は、センタフレーム6の左側に配置され、旋回フレーム5の左側の外周部分を構成している。左サイドフレーム12は、左縦板8から左方向に延びる横フレーム部12Aと、横フレーム部12Aの左端から後方に延びる縦フレーム部12Bとにより、上方から見てL字状に形成されている。横フレーム部12Aの右端は、左縦板8に接続され、横フレーム部12Aの左端は、縦フレーム部12Bの前端に接続されている。縦フレーム部12Bは、左張出しビーム13を介してセンタフレーム6に取付けられている。左張出しビーム13は、前左張出しビーム13Aと後左張出しビーム13Bとを有している。前左張出しビーム13Aの基端(右端)は、底板7の左端縁に固定され、前左張出しビーム13Aの先端(左端)は、縦フレーム部12Bの長さ方向の中間部に固定されている。後左張出しビーム13Bの基端(右端)は、左縦板8の屈曲部8Aよりも前側部位に固定され、後左張出しビーム13Bの先端(左端)は、縦フレーム部12Bの後部に固定されている。
右サイドフレーム14は、センタフレーム6の右側に配置され、旋回フレーム5の右側の外周部分を構成している。右サイドフレーム14は、円弧状に湾曲しつつ前,後方向に延び、右張出しビーム15を介してセンタフレーム6に取付けられている。右張出しビーム15は、前右張出しビーム15Aと、中間右張出しビーム15Bと、後右張出しビーム15Cとを有している。これら前右張出しビーム15A、中間右張出しビーム15B、後右張出しビーム15Cの基端(左端)は、それぞれ底板7および右縦板9に固定されている。また、前右張出しビーム15A、中間右張出しビーム15B、後右張出しビーム15Cの先端(右端)は、右サイドフレーム14に固定されている。
左サイドフレーム12の横フレーム部12Aと縦フレーム部12Bとが交わる角部には、左前キャブ支持板16が設けられている。左サイドフレーム12の横フレーム部12Aと左縦板8との間には、右前キャブ支持板17が設けられている。これら左前キャブ支持板16、右前キャブ支持板17、後左張出しビーム13Bには、マウント部材(図示せず)を介して後述するキャブ30が取付けられている。
センタフレーム6の後側には、4個のエンジン取付ブラケット18が設けられている。これら4個のエンジン取付ブラケット18は、前,後方向と左,右方向とに間隔をもって左縦板8及び右縦板9の近傍に配置されている。各エンジン取付ブラケット18は、マウント部材(図示せず)を介して後述のエンジン26を支持している。また、左縦板8と左サイドフレーム12との間には、後左張出しビーム13Bの後側に位置して熱交換器台座19が設けられ、この熱交換器台座19には、後述の熱交換器29が取付けられている。
底板7の右端縁と右サイドフレーム14との間には、後右張出しビーム15Cの後側に位置して平板状のサポート取付板20が設けられている。サポート取付板20の上面には、右サイドフレーム14の後端14Aの近傍に位置する前側ブラケット21と、右縦板9のウエイト取付部9Aの近傍に位置する後側ブラケット22とが上向きに突設されている。前側ブラケット21には、後述するサポート部材51の第1脚部52が取付けられ、後側ブラケット22には、サポート部材51の第2脚部53が取付けられている。
カウンタウエイト23は、旋回フレーム5の後端側に設けられ、作業装置4との重量バランスをとっている。カウンタウエイト23は、左縦板8のウエイト取付部8Bおよび右縦板9のウエイト取付部9Aに取付けられ、カウンタウエイト23の後面は、上部旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。図2および図4に示すように、カウンタウエイト23は、左,右向の中央部に位置する中央ウエイト部23Aと、左,右向の左側に位置する左ウエイト部23Bと、左,右向の右側に位置する右ウエイト部23Cとを有し、例えば鋳造等の手段を用いて一体形成されている。
ここで、右ウエイト部23Cは、中央ウエイト部23Aの右端から前方に張出している。右ウエイト部23Cの高さ寸法は、中央ウエイト部23Aの高さ寸法よりも小さく形成されている。中央ウエイト部23Aの上面23Dは、後述する建屋カバー34の上面カバー34Aと等しい高さに設定されている。上面カバー34Aと右ウエイト部23Cとの間には、後述の機械室35に開口する右点検開口24が形成され、この右点検開口24は、後述の右側面カバー34Cによって開閉可能に覆われている。
一方、左ウエイト部23Bは、中央ウエイト部23Aの左端から前方に張出している。左ウエイト部23Bの高さ寸法は、中央ウエイト部23Aの高さ寸法よりも小さく形成されている。上面カバー34Aと左ウエイト部23Bとの間には、機械室35に開口する左点検開口25が形成され、この左点検開口25は、後述の左側面カバー34Bによって開閉可能に覆われている(図1参照)。
エンジン26は、カウンタウエイト23の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されている。図2に示すように、エンジン26は、旋回フレーム5の後側に設けられた4個のエンジン取付ブラケット18に防振マウント(図示せず)を介して支持され、左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。エンジン26の左側には、機械室35内に冷却風を供給する冷却ファン27が設けられ、エンジン26の右側には油圧ポンプ28が設けられている。
油圧ポンプ28は、メインポンプ28Aとパイロットポンプ28Bとにより構成され、エンジン26によって駆動される。メインポンプ28Aは、後述する各種の油圧アクチュエータ50に向けて圧油を吐出する。パイロットポンプ28Bは、後述する操作レバー装置33の操作に応じてコントロールバルブ46の油圧パイロット部にパイロット圧油を供給する。これにより、メインポンプ28Aから吐出した圧油が、操作レバー装置33の操作に応じて所望の油圧アクチュエータ50に供給される。
熱交換器29は、エンジン26の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載されている。熱交換器29は、例えばラジエータ29A、オイルクーラ29B等を含んで構成され、旋回フレーム5の熱交換器台座19に取付けられている。ラジエータ29Aは、機械室35内に供給された冷却風によってエンジン冷却水を冷却することにより、エンジン26を冷却する。オイルクーラ29Bは、油圧アクチュエータ50等から作動油タンク37に戻る戻り油(作動油)を冷却風によって冷却する。
キャブ30は、旋回フレーム5の前部左側に設けられている。キャブ30は、旋回フレーム5の左前キャブ支持板16、右前キャブ支持板17、および後左張出しビーム13Bにマウント部材(図示せず)を介して支持され、オペレータが搭乗する運転室を画成している。キャブ30の内部には、オペレータが座る運転席31、下部走行体2の走行動作を制御する走行用の操作レバー装置32、上部旋回体3の旋回動作および作業装置4の動作を制御する作業用の操作レバー装置33等が設けられている。
建屋カバー34は、カウンタウエイト23の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。建屋カバー34の内部は機械室35となり、機械室35内には、エンジン26、油圧ポンプ28、熱交換器29等の搭載機器が収容されている。図1および図4に示すように、建屋カバー34は、機械室35を上方から覆って左,右方向に延びた上面カバー34Aと、左側面カバー34Bと、右側面カバー34Cとを含んで構成されている。上面カバー34Aは、カウンタウエイト23の中央ウエイト部23Aの上面23Dと等しい高さ位置に配置されている。また、上面カバー34Aのうち油圧ポンプ28の上側に位置する右端側には、複数の長孔状の通気口34Dが設けられている。
左側面カバー34Bは、上面カバー34Aの左端とカウンタウエイト23の左ウエイト部23Bとの間に設けられている。左側面カバー34Bは、サポート部材にヒンジ(いずれも図示せず)を介して回動可能に支持され、左点検開口25を開閉可能に閉塞している。右側面カバー34Cは、上面カバー34Aの右端とカウンタウエイト23の右ウエイト部23Cとの間に設けられている。右側面カバー34Cは、後述するサポート部材51にヒンジ(図示せず)を介して回動可能に支持され、右点検開口24を開閉可能に覆っている。また、左側面カバー34Bには、外気を取込むための通気口34Eが設けられている。従って、冷却ファン27の回転によって左側面カバー34Bの通気口34Eを通じて機械室35内に供給された外気(冷却風)は、熱交換器29、エンジン26等を冷却した後、上面カバー34Aの通気口34Dを通じて機械室35の外部に排出される。
燃料タンク36は、カウンタウエイト23の右ウエイト部23Cの前側に位置して旋回フレーム5の右端側に搭載されている。燃料タンク36は、上,下方向に延びる直方体の箱体として形成され、エンジン26に供給される燃料を蓄えている。燃料タンク36は、右サイドフレーム14、右張出しビーム15の中間右張出しビーム15Bおよび後右張出しビーム15Cの上面に取付けられている。
作動油タンク37は、燃料タンク36と右縦板9との間に位置して旋回フレーム5に搭載されている。作動油タンク37は、上,下方向に延びる直方体の箱体として形成され、各種の油圧アクチュエータ50に供給される作動油を蓄えている。作動油タンク37は、燃料タンク36の左側に隣接した状態で、右張出しビーム15の中間右張出しビーム15Bおよび後右張出しビーム15Cの上面に取付けられている。
燃料フィルタ38は、後述のフィルタ取付部材55に取付けられた状態で、機械室35内に設けられている。図7に示すように、燃料フィルタ38は、エンジン26および燃料タンク36を含む燃料回路内に設けられ、エンジン26に供給される燃料中の異物を捕捉する。ここで、燃料フィルタ38は、燃料ポンプ39と、プレフィルタ40と、メインフィルタ41とを含んで構成されている。
燃料ポンプ39は、燃料タンク36とエンジン26の燃料供給口との間を接続する燃料供給管路42Aに設けられ、燃料タンク36内の燃料を吸込んでエンジン26へと送出す。プレフィルタ40は、燃料タンク36と燃料ポンプ39との間に位置して燃料供給管路42Aに設けられ、燃料ポンプ39に吸込まれる燃料中の異物を捕捉する。メインフィルタ41は、燃料ポンプ39とエンジン26との間に位置して燃料供給管路42Aに設けられ、エンジン26に供給される燃料中の異物を捕捉する。このように、燃料フィルタ38は、燃料タンク36からエンジン26へと送り出される燃料中の異物を捕捉し、エンジン26に清浄な燃料を供給する。
そして、エンジン26で消費されなかった余剰の燃料は、エンジン26の燃料排出口と燃料タンク36との間を接続する燃料戻り管路42Bを通じて燃料タンク36に還流する。燃料戻り管路42Bには、燃料クーラ43が設けられ、エンジン26で消費されなかった余剰の燃料は、燃料クーラ43で冷却された後、燃料タンク36に還流する。
作動油フィルタ44は、燃料フィルタ38と共にフィルタ取付部材55に取付けられた状態で、機械室35内に設けられている。図8に示すように、作動油フィルタ44は、油圧ポンプ28を構成するパイロットポンプ28B、走行用および作業用の操作レバー装置32,33、作動油タンク37を含む作動油回路内に設けられている。作動油フィルタ44は、パイロットポンプ28Bからのパイロット圧油(作動油)が、パイロット圧供給管路45を通じてコントロールバルブ46の油圧パイロット部に供給されるときに、このパイロット圧油に含まれる異物を捕捉する。このように、作動油フィルタ44は、作動油タンク37からパイロット圧供給管路45を通じてコントロールバルブ46へと送り出されるパイロット圧油中の異物を捕捉し、コントロールバルブ46に清浄なパイロット圧油を供給する。
そして、操作レバー装置32,33が操作されずにコントロールバルブ46に供給されなかったパイロット圧油は、作動油戻り管路47を通じて作動油タンク37に還流する。作動油戻り管路47には、オイルクーラ29Bが設けられ、コントロールバルブ46に供給されなかったパイロット圧油は、オイルクーラ29Bで冷却された後、作動油タンク37に還流する。
なお、コントロールバルブ46は、下部走行体2の走行油圧モータ(図示せず)、旋回油圧モータ(図示せず)、作業装置4のブームシリンダ4E、アームシリンダ4F、バケットシリンダ4Gを含む各種の油圧アクチュエータ50に主管路48,49を介して接続されている。コントロールバルブ46は、操作レバー装置32,33によって選択された所望の油圧アクチュエータ50に対し、メインポンプ28Aから突出した圧油を供給する。この場合、油圧アクチュエータ50からの戻り油は、オイルクーラ29Bによって冷却された後、作動油戻り管路47を通じて作動油タンク37に還流する。
次に、本実施の形態に用いられるサポート部材51、およびフィルタ取付部材55について説明する。
サポート部材51は、旋回フレーム5の右後側に位置してサポート取付板20上に立設されている。サポート部材51は、建屋カバー34を構成する上面カバー34Aの右側部位、および右側面カバー34Cを支持している。なお、建屋カバー34の上面カバー34A、左側面カバー34Bは、他のサポート部材(図示せず)によって支持されている。図5および図6に示すように、サポート部材51は、第1脚部52と、第2脚部53とにより構成されている。
第1脚部52は、例えば帯状の鋼板材をL字型に折曲げることにより形成され、旋回フレーム5のサポート取付板20から鉛直上向きに延びる縦板部52Aと、縦板部52Aの上端からサポート取付板20に対して水平を保ちつつ左方向に延びた横板部52Bとを有している。
第2脚部53は、例えば帯状の鋼板材をJ字型に折曲げることにより形成され、サポート取付板20から鉛直上向きに延びる縦板部53Aと、縦板部53Aの上端からサポート取付板20に対して水平を保ちつつ前方向に延びた横板部53Bと、横板部53Bの先端からサポート取付板20に向けて垂下した垂下部53Cとを有している。第2脚部53の縦板部53Aには、L字状に屈曲した板状のねじ座53Dが、上,下方向に離間して2個固着されている。
第1脚部52の縦板部52Aの下端側は、サポート取付板20の前側ブラケット21にボルト54Aを用いて固定され、縦板部52Aはサポート取付板20から鉛直上向きに立上っている。第2脚部53の縦板部53Aの下端側は、サポート取付板20の後側ブラケット22にボルト54Bを用いて固定され、縦板部53Aはサポート取付板20から鉛直上向きに立上っている。第1脚部52の横板部52Bと第2脚部53の横板部53Bとは油圧ポンプ28の上方で直交し、これら横板部52B,53Bはボルト54Cを用いて締結されている。
このように、サポート部材51は、旋回フレーム5のサポート取付板20上に立設され、第1脚部52の横板部52Bと第2脚部53の横板部53Bとによって、上面カバー34Aの右側を支持する。また、第1脚部52の縦板部52Aには、ヒンジ(図示せず)を介して右側面カバー34Cが回動可能に取付けられている。これにより、右側面カバー34Cは、上面カバー34Aと右ウエイト部23Cとの間に形成された右点検開口24を開閉可能に覆っている。従って、図4に示すように、右側面カバー34Cを開いて右点検開口24を開放することにより、機械室35内に収容された油圧ポンプ28、燃料フィルタ38、作動油フィルタ44等に対するメンテナンスを行うことができる。
フィルタ取付部材55は、油圧ポンプ28の上側に位置してサポート部材51に取付けられている。フィルタ取付部材55には、燃料フィルタ38を構成する燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と、作動油フィルタ44とが取付けられる。図5および図6に示すように、フィルタ取付部材55は、燃料フィルタ38の燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と作動油フィルタ44とを、左側方から覆う側面板56、上方から覆う上面板57、前方から覆う前面板58を含んで構成されている。
フィルタ取付部材55の側面板56は、サポート部材51を構成する第2脚部53の縦板部53Aと垂下部53Cとの間を前,後方向に延びて設けられている。側面板56は、台形状に屈曲しつつ上,下方向に延びた台形面56Aと、台形面56Aの上端から上面カバー34Aの通気口34Dに向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面56Bとを有している。側面板56は、エンジン26を挟んで冷却ファン27と左,右方向で対面し、冷却ファン27によって機械室35に供給される冷却風の流れ方向(図2中の矢印F方向)に対して、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44よりも上流側に配置されている。これにより、側面板56は、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44を冷却風に対して遮蔽している。
フィルタ取付部材55の上面板57は、側面板56の上端56Cよりも僅かに下側となる部位に配置されている。上面板57は、前,後方向に延びる長方形の平板からなり、上面カバー34Aと上,下方向で一定の間隔をもって対面しつつ、第2脚部53の縦板部53Aと第1脚部52の縦板部52Aとの間に配置されている。
フィルタ取付部材55の前面板58は、上面板57の前端から下向きに延びて設けられている。前面板58は、上,下方向に延びる長方形の平板からなり、燃料タンク36の後面36Aと対面しつつ垂下している。ここで、上面板57と前面板58とは、例えば1枚の平板をL字型に折曲げることにより一体形成され、上面板57と前面板58の左端縁は、側面板56に溶接等の手段を用いて固着されている。この状態で、側面板56の上端56Cは、上面板57の上面よりも上方に突出している。
このように、フィルタ取付部材55は、台形面56Aおよび傾斜面56Bを有する側面板56に対し、L字型に屈曲した上面板57と前面板58とが溶接されることにより、強固な枠体として形成されている。そして、側面板56の後端は、サポート部材51を構成する第2脚部53の2個のねじ座53Dにそれぞれボルト59Aを用いて取付けられている。また、前面板58の右端は、第1脚部52の縦板部52Aに2個のボルト59Bを用いて取付けられ、前面板58の左端は、第2脚部53の垂下部53Cにボルト59Cを用いて取付けられている。
そして、図3に示すように、燃料フィルタ38のメインフィルタ41は、側面板56に固定されたブラケット60に取付けられ、燃料ポンプ39は、側面板56に固定されたブラケット61に取付けられている。作動油フィルタ44は、側面板56と前面板58とに固定されたブラケット62に取付けられている。
このように、フィルタ取付部材55に燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44を取付けた状態で、フィルタ取付部材55の側面板56は、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44を、機械室35内に供給される冷却風に対して遮蔽する。これにより、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44が、熱交換器29、エンジン26等を冷却することにより暖められた冷却風に晒されるのを防止できる構成となっている。
一方、フィルタ取付部材55の上面板57は、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44を上方から覆う。これにより、上面カバー34Aの通気口34Dを通じて機械室35内に雨水が浸入した場合でも、この雨水が燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44に飛散するのを抑えることができる構成となっている。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
オペレータは、キャブ30に搭乗して運転席31に座る。この状態で、エンジン26を始動させて走行用の操作レバー装置32を操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、オペレータが作業用の操作レバー装置33を操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
油圧ショベル1の作動時において、燃料タンク36から燃料ポンプ39によってエンジン26へと送り出された燃料は、プレフィルタ40、メインフィルタ41によって異物が捕捉された後に、エンジン26に供給される。エンジン26に供給された燃料の余剰分は、燃料クーラ43で冷却された後に燃料タンク36に還流する。一方、作動油タンク37から吐出したパイロット圧油(作動油)は、作動油フィルタ44によって異物が捕捉された後に、操作レバー装置32,33の操作に応じてコントロールバルブ46の油圧パイロット部に供給される。操作レバー装置32,33が操作されずにコントロールバルブ46に供給されなかったパイロット圧油は、オイルクーラ29Bで冷却された後に作動油タンク37に還流する。
油圧ショベル1の作動時には、エンジン26によって冷却ファン27が駆動され、左側面カバー34Bの通気口34Eを通じて機械室35内に外気(冷却風)が供給される。この冷却風は、機械室35内に収容された熱交換器29、エンジン26等を冷却した後、上面カバー34Aの通気口34Dを通じて機械室35の外部に排出される。
この場合、本実施の形態では、サポート部材51に設けられたフィルタ取付部材55に、燃料フィルタ38を構成する燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と、作動油フィルタ44とが取付けられ、フィルタ取付部材55の側面板56は、燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44を冷却風に対して遮蔽している。これにより、熱交換器29、エンジン26等を冷却することにより暖められた冷却風が、燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44に当たるのを抑えることができる。この結果、燃料ポンプ39およびメインフィルタ41を流れる燃料が冷却風によって加温されるのを抑え、エンジン26に供給される燃料を適温に保つことができる。同様に、作動油フィルタ44を流れる作動油が冷却風によって加温されるのを抑え、コントロールバルブ46に供給されるパイロット圧油を適温に保つことができる。
しかも、側面板56の上側部位には、上面カバー34Aの通気口34Dに向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面56Bが設けられている。これにより、エンジン26を通過して暖められた冷却風を、側面板56の傾斜面56Bに沿って上面カバー34Aの通気口34Dへと導くことにより、機械室35の外部に速やかに排出することができる。これにより、暖められた冷却風がフィルタ取付部材55の周囲に滞留するのを抑え、燃料ポンプ39およびメインフィルタ41を流れる燃料、あるいは作動油フィルタ44を流れる作動油が加温されるのを抑えることができる。
また、フィルタ取付部材55の上面板57は、燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44を上方から覆うことができる。これにより、上面カバー34Aの通気口34Dを通じて機械室35内に雨水が浸入した場合でも、この雨水が燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44に飛散するのを抑えることができる。この結果、燃料ポンプ39、メインフィルタ41および作動油フィルタ44の防錆を促進し、これらの耐久性を高めることができる。
さらに、フィルタ取付部材55の側面板56の上端56Cは、上面板57の上面よりも上方に突出している。これにより、上面カバー34Aの通気口34Dを通過した雨水が、上面板57上に落下したとしても、この雨水が側面板56の傾斜面56Bに沿って油圧ポンプ28側に流れ込むのを、側面板56の上端56Cによって抑えることができる。
かくして、実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体3に搭載されたエンジン26と、エンジン26によって駆動される油圧ポンプ28と、サポート部材51によって支持され機械室35を覆って上部旋回体3に設けられた建屋カバー34と、エンジン26に供給される燃料を貯える燃料タンク36と、エンジン26および燃料タンク36を含む燃料回路内に設けられた燃料フィルタ38と、油圧ポンプ28に供給される作動油を蓄える作動油タンク37と、油圧ポンプ28および作動油タンク37を含む作動油回路内に設けられた作動油フィルタ44とを備えている。
そして、サポート部材51には、油圧ポンプ28の上側に位置して燃料フィルタ38の燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と作動油フィルタとが取付けられるフィルタ取付部材55が設けられ、フィルタ取付部材55は、燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と作動油フィルタ44とを側方から覆い機械室35内を流れる冷却風に対して遮蔽する側面板56と、側面板56の上側に配置され燃料ポンプ39およびメインフィルタ41と作動油フィルタ44とを上方から覆う上面板57とを備えている。
この構成によれば、油圧ショベル1の作動時に冷却ファン27によって機械室35内に冷却風が供給され、この冷却風が熱交換器29、エンジン26等を冷却することにより暖められたとしても、この暖められた冷却風が燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44に当たるのを抑えることができる。この結果、燃料ポンプ39およびメインフィルタ41を流れる燃料が冷却風によって加温されるのを抑え、エンジン26に供給される燃料を適温に保つことができる。また、作動油フィルタ44を流れる作動油が冷却風によって加温されるのを抑え、コントロールバルブ46に供給されるパイロット圧油を適温に保つことができる。
しかも、フィルタ取付部材55の上面板57は、メインフィルタ41、燃料ポンプ39および作動油フィルタ44を上方から覆っている。これにより、上面カバー34Aの通気口34Dを通じて機械室35内に雨水が浸入した場合でも、この雨水が燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44に飛散するのを抑えることができる。この結果、燃料ポンプ39、メインフィルタ41、作動油フィルタ44が錆を発生するのを抑え、これらの耐久性を高めることができる。
実施の形態によれば、建屋カバー34の上面カバー34Aには、油圧ポンプ28の上側に位置して機械室35に開口する通気口34Dが設けられ、フィルタ取付部材55を構成する側面板56の上側部位には、機械室35内を流れる冷却風を通気口34Dへと導く傾斜面56Bが設けられている。この構成によれば、エンジン26を通過して暖められた冷却風を、側面板56の傾斜面56Bに沿って上面カバー34Aの通気口34Dへと導くことにより、機械室35の外部に速やかに排出することができる。この結果、暖められた冷却風がフィルタ取付部材55の周囲に滞留するのを抑え、燃料ポンプ39およびメインフィルタ41を流れる燃料、あるいは作動油フィルタ44を流れる作動油が加温されるのを抑えることができる。
実施の形態によれば、フィルタ取付部材55の側面板56の上端56Cは、上面板57よりも上方に突出している。この構成によれば、上面カバー34Aの通気口34Dを通過した雨水が、上面板57上に落下したとしても、この雨水が側面板56の傾斜面56Bに沿って油圧ポンプ28側に流込むのを、側面板56の上端56Cによって抑えることができる。
なお、実施の形態では、フィルタ取付部材55の上面板57と前面板58とを、1枚の板体をL字型に折曲げることにより一体形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば上面板に対応する1枚の板体と、前面板に対応する他の1枚の板体とをL字型に接合する構成としてもよい。
また、実施の形態では、フィルタ取付部材55を、側面板56と、上面板57と、前面板58とにより構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば側面板と上面板とによってフィルタ取付部材を構成してもよい。
さらに、実施の形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。