以下、本発明に係る小型油圧ショベルの実施の形態を、超小旋回型の小型油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図10を参照しつつ詳細に説明する。
図1、図2において、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、例えば市街地における道路脇の側溝掘り作業などの狭い場所での掘削作業に用いられ、一般的なトラックによって搬送できるように、例えば機械重量が0.8〜4トン程度に設定されている。この小型油圧ショベル1は、トラックフレーム2Aの左,右両側にクローラ式の走行装置2Bを備えた自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に支持された上部旋回体4と、下部走行体2の前側に設けられた排土板5と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられたオフセットフロント装置6と、上部旋回体4の後側に位置してオフセットフロント装置6との重量バランスをとるためのカウンタウエイト28とを含んで構成されている。
旋回装置3は、下部走行体2と上部旋回体4との間に設けられた旋回輪7と、上部旋回体4を旋回駆動する旋回モータ8(図4参照)とにより構成されている。図2に示すように、旋回輪7は、後述する旋回フレーム9のセンタフレーム10に取付けられる外輪7Aと、外輪7A内に外輪7Aと同軸に配置され複数個の鋼球(いずれも図示せず)を介して回転自在に接続され、下部走行体2のトラックフレーム2A上に取付けられた内筒7Bとにより構成されている。内筒7Bの内周側には、内歯(図示せず)が形成され、この内歯には、後述する旋回モータ8のピニオン8Bが噛合している。
また、外輪7Aには、軸方向に貫通するボルト挿通孔(図示せず)が周方向に列設されている。外輪7Aは、各ボルト挿通孔に挿通されたボルト(図示せず)をセンタフレーム10の旋回輪取付孔群17に螺着することにより、センタフレーム10に取付けられている。
一方、旋回モータ8は、後述するセンタフレーム10上に固着された旋回モータ取付座19に取付けられている。具体的には、図10に示すように、旋回モータ8は、上,下方向に延びる段付筒状のモータケース8Aと、モータケース8Aに設けられた油圧モータ、減速装置、出力軸(いずれも図示せず)と、出力軸に設けられたピニオン8Bとを含んで構成されている。
旋回モータ8は、モータケース8Aの下部に水平方向に延びて設けられた複数のブラケット8A1が旋回モータ取付座19上に載置される。この状態で、複数本のボルト8Cを各ブラケット8A1に挿通し、各ボルト8Cを旋回モータ取付座19のねじ孔19Bに螺着する。これにより、旋回モータ8は、旋回モータ取付座19(センタフレーム10)上に取付けられている。
オフセットフロント装置6は、後述する旋回フレーム9の左,右の前縦板11,12にブームフート部6A1が俯仰動可能に取付けられたロアブーム6Aと、ロアブーム6Aの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム6Bと、アッパブーム6Bの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアーム支持体6Cと、アーム支持体6Cの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたアーム6Dと、アーム6Dの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット6Eと、ロアブーム6Aとアーム支持体6Cとの間を連結するリンク6Fと、これらを動作させるためのブームシリンダ6G、オフセットシリンダ6H、アームシリンダ6J、バケットシリンダ6Kとにより構成されている。
一方、図3、図4に示すように、ロアブーム6Aのブームフート部6A1は、左,右の前縦板11,12の前側に位置するブラケット11A,12Aに連結ピン(図示せず)を介して回動可能に結合されている。さらに、各シリンダ6G〜6Kは、それぞれ後述の制御弁群26に各油圧ホース43を介して接続されている。
オフセットフロント装置6は、オフセットシリンダ6Hが伸長、縮小することにより、アーム6Dをロアブーム6Aに対して左,右方向に平行移動させる。この状態でロアブーム6Aを俯仰動させつつアーム6D、バケット6Eを回動させることにより、側溝等の掘削作業を行うことができる。
ここで、図2に示すように、オフセットフロント装置6は、ロアブーム6Aの先端側を最も後方まで仰動させ、かつアーム6Dをロアブーム6A側に折り畳むことにより、超小旋回姿勢をとることができる。オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢とした状態(上方に立上げた状態)では、上部旋回体4を旋回させたときに、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とが、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回することができる構成となっている。この場合、図3に示すように、下部走行体2の車幅寸法は、左,右の走行装置2B間の幅寸法Lによって設定されている。
上部旋回体4は、後述する旋回フレーム9、カウンタウエイト28、エンジン29、油圧ポンプ30、熱交換器31、運転席台座32、足置き部材33を含んで構成されている。
ここで、図3に示すように、上部旋回体4は、下部走行体2の車幅寸法(左,右の走行装置2B間の幅寸法L)とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有している。一方、カウンタウエイト28の外周面28Aは、上部旋回体4の旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C1内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を上方に立上げた超小旋回姿勢の状態で、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回中心Oを中心として旋回したときに、上部旋回体4がオフセットフロント装置6と共にほぼ下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内に収まる超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
次に、上部旋回体4の支持構造体をなす旋回フレーム9の構成について、図4〜図10を参照しつつ説明する。
旋回フレーム9は、上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体を形成している。図7、図9等に示すように、旋回フレーム9は、旋回装置3を構成する旋回輪7の外輪7Aが取付けられる平板状のセンタフレーム10と、センタフレーム10の前,後方向の中間部から前側に位置してセンタフレーム10上に左,右方向に一定の間隔を保った状態で前,後方向に延びて立設された左前縦板11、右前縦板12と、センタフレーム10の前,後方向の中間部に位置する右前縦板12の後端から左,右方向の左側に延びて立設された中間横板13と、センタフレーム10の左端近傍に位置して中間横板13から後方に延びて立設された左後縦板14と、右前縦板12の後側に連続するように中間横板13から後方に延びて立設された右後縦板15と、左,右の後縦板14,15の後端に亘って左,右方向に延びて立設された後横板16と、後述する制御弁ユニット24とを含んで構成されている。
センタフレーム10は、例えば厚肉な鋼板からなり、前,後方向に長尺な長方形状に形成されている。また、図7に示すように、センタフレーム10には、上部旋回体4の旋回中心Oを中心として旋回輪取付孔群17が円形状に列設されている。この旋回輪取付孔群17は、旋回装置3を構成する旋回輪7の外輪7Aを取付けるための複数個のねじ孔17Aからなり、各ねじ孔17Aは、旋回中心Oを中心とする仮想円C2上に配置されている。この場合、大きな旋回輪7によって上部旋回体4を安定的に支持できるように、旋回輪取付孔群17は、センタフレーム10の全幅に近い位置まで大きく形成されている。
この上で、センタフレーム10は、旋回輪取付孔群17よりも左側で、中間横板13よりも前側が切欠かれており、この切欠端縁10Aには、後述の傾斜フレーム23が設けられている。また、センタフレーム10の前端縁10Bは、各前縦板11,12の前部よりも旋回輪取付孔群17側に後退した位置に配置されている。この前端縁10Bには、後述の右前フレーム20、左前フレーム21が設けられている。さらに、切欠端縁10Aから左側部分は、センタフレーム10の左側部分を省略することにより、空間状の切欠部位10Cとなっている。この切欠部位10Cによって旋回フレーム9の軽量化が図られている。
図10に示すように、センタフレーム10には、旋回装置3を構成する旋回モータ8のピニオン8Bを挿通するための旋回モータ挿通孔18が設けられている。この旋回モータ挿通孔18は、旋回輪取付孔群17による仮想円C2の内側で、左前縦板11から左側に離間し、かつ旋回中心Oよりも前側に穿設された円形孔として形成されている。旋回モータ挿通孔18は、旋回モータ8のピニオン8Bが挿通されるものであるから、旋回輪7(仮想円C2)の近傍に配置されている。
左,右の前縦板11,12は、上部旋回体4の旋回中心Oよりも左,右方向の右側に片寄った位置に配置されている。左,右の前縦板11,12のうち旋回中心Oよりも前側となる部位は、センタフレーム10から上方に突出した山形のブラケット11A,12Aとなっている。これらブラケット11A,12Aには、ロアブーム6Aのブームフート部6A1が俯仰動可能に取付けられる。ここで、左前縦板11は、後述する居住領域47の右側の端縁を構成している。
中間横板13は、旋回中心Oよりも後側に位置して左前縦板11よりも左側に延び、センタフレーム10の切欠端縁10Aから左方向に突出している。中間横板13は、後述するエンジン29と制御弁ユニット24との間を仕切ると共に、後述する運転席台座32の前側を支持するものである。
次に、旋回フレーム9の一部を構成すると共に、本実施の形態の特徴部分に関連する旋回モータ取付座19について述べる。
旋回モータ取付座19は、旋回モータ8が取付けられるもので、旋回モータ挿通孔18を取囲んでセンタフレーム10上に固着されている。図10に示すように、旋回モータ取付座19は、略長方形状(略六角形状)の厚板の中央に、旋回モータ挿通孔18と連通する旋回モータ取付孔19Aを有している。ここで、旋回モータ取付座19は、旋回輪取付孔群17の各ねじ孔17Aの中心軸を通る仮想円C2の接線方向が長尺となるように配置されている。これにより、旋回モータ取付座19は、旋回輪取付孔群17が列設された周方向、即ち、センタフレーム10に対して旋回輪7の外輪7Aが取付けられる方向で、この取付部分を旋回モータ取付座19によって長い距離で補強することができる。
また、旋回モータ取付座19には、旋回モータ取付孔19Aの周囲、具体的には、角部の4箇所にねじ孔19Bが形成されている。図8に示すように、旋回モータ取付座19は、例えば、全周がセンタフレーム10の上面に溶接手段を用いて固着されている。そして、旋回モータ取付座19には、旋回モータ取付孔19Aにピニオン8Bが挿通されつつ、モータケース8Aの各ブラケット8A1が載置される。この状態で、各ブラケット8A1に挿通したボルト8Cを、旋回モータ取付座19のねじ孔19Bに螺着する。これにより、旋回モータ取付座19上に旋回モータ8を取付けることができる。
次に、本実施の形態の特徴部分となる旋回フレーム9の右前フレーム20、左前フレーム21、左後フレーム22、傾斜フレーム23の構成について述べる。
旋回フレーム9には、左前縦板11の左側に位置して左前縦板11に沿うようにセンタフレーム10の前端縁10Bから前側に延びた右前フレーム20と、右前フレーム20から左側に離間しセンタフレーム10の左部位から前側に延びた左前フレーム21と、中間横板13に沿うようにセンタフレーム10から切欠端縁10Aから左側に延びた左後フレーム22と、後述の傾斜フレーム23が設けられている。
図8に示すように、左,右の前フレーム20,21は、断面C字状の鋼材からなり、その上面側には、後述する制御弁ユニット24の取付台25の前側部分を取付けるためのボルト27が挿通されるボルト挿通孔20A,21Aが、例えば前,後方向に離間して2個形成されている。一方、左後フレーム22には、取付台25の後側部分を取付けるためのボルト27が螺着されるねじ孔22Aが、例えば左,右方向に離間して2個形成されている。
傾斜フレーム23は、センタフレーム10の左前部分に設けられている。傾斜フレーム23は、センタフレーム10の左前部分から左斜め前側に延びて設けられている。即ち、傾斜フレーム23は、基端側がセンタフレーム10の切欠端縁10Aの前部位置に取付けられ、先端側が自由端となって径方向の外側に向けて延びている。
傾斜フレーム23は、長尺な台形状の上面板部23Aと、この上面板部23Aの長辺から立下った一対の立下り板部23Bとにより、断面C字状の強度部材として形成されている。上面板部23Aには、取付台25の左前側部分を取付けるためのボルト27が挿通されるボルト挿通孔23Cが、例えば左,右方向に離間して2個形成されている。
ここで、図7に示すように、傾斜フレーム23は、上部旋回体4の旋回中心O、旋回装置3の旋回モータ8および後述する制御弁ユニット24の重心位置Gを通る斜めの直線B−Bに沿うように延びている。
これにより、傾斜フレーム23は、センタフレーム10の左側を大きく切欠いた状態でも、制御弁ユニット24の取付台25を支持するための支持面積を確保している。また、傾斜フレーム23は、制御弁ユニット24の重心位置Gを通る斜めの直線B−Bに沿って形成されているから、制御弁ユニット24をバランスよく安定的に支持している。
さらに、傾斜フレーム23の基端側が取付けられているセンタフレーム10の左前側部位には、近傍に位置して旋回モータ取付座19が取付けられている。これにより、傾斜フレーム23の取付強度を担うセンタフレーム10の左前側部位の剛性を高めることができる。しかも、旋回モータ取付座19は、旋回輪取付孔群17による仮想円C2の接線方向が長尺となるように配置しているから、旋回モータ取付座19の長辺側でセンタフレーム10を効果的に補強することができる。この結果、傾斜フレーム23の強度がより一層高まる。
次に、各フレーム20〜23の上側に設けられる制御弁ユニット24の構成について述べる。
制御弁ユニット24は、旋回フレーム9の左前縦板11よりも左側で、中間横板13よりも前側に配置されている。制御弁ユニット24は、センタフレーム10と切欠部位10Cの上側に位置する取付台25と、この取付台25上に搭載される制御弁群26とにより構成されている。また、制御弁ユニット24に後述の走行操作レバー37、操作ペダル38,39等を組付けることにより、図5に示すサブ組立体を組立てることができる。制御弁ユニット24は、後述するオペレータの居住領域47の下方位置に配置されている。
図8に示すように、取付台25は、左端側が上部旋回体4の仮想円C1に沿って円弧状に湾曲した略扇状の平板からなる下板25Aと、下板25Aの前側位置に立設された縦板からなる支柱25Bと、支柱25Bの上部に左,右方向に延びて設けられたレバー・ペダル取付板25Cとを含んで構成されている。ここで、レバー・ペダル取付板25Cは、居住領域47の最前部分を構成している。
下板25Aの右前側には、右前フレーム20の各ボルト挿通孔20Aに対応する位置にねじ孔25A1(溶接ナット)が設けられている。下板25Aの中央前側には、左前フレーム21の各ボルト挿通孔21Aに対応する位置にねじ孔25A2が設けられている。下板25Aの左後側には、左後フレーム22の各ねじ孔22Aに対応する位置にボルト挿通孔25A3が設けられている。さらに、下板25Aの前,後方向の中間部の左寄り位置には、傾斜フレーム23の各ボルト挿通孔23Cに対応する位置にねじ孔25A4が設けられている。
制御弁群26は、取付台25の下板25A上に搭載されている。制御弁群26は、レバー・ペダル取付板25Cの後側近傍に位置し、複数個の制御弁を左,右方向に連ねることにより構成されている。制御弁群26は、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ8および油圧ポンプ30に後述の油圧ホース43を介して接続されている。
このように構成された制御弁ユニット24は、取付台25の下板25A上に制御弁群26を搭載する。図7に示すように、このときに、制御弁ユニット24の重心位置Gは、制御弁群26の上部のほぼ中央に位置している。そこで、重心位置Gが傾斜フレーム23上に位置するように、制御弁ユニット24を、右前フレーム20、左前フレーム21、左後フレーム22、傾斜フレーム23上に載置する。
図8に示すように、右前フレーム20の各ボルト挿通孔20Aに下側から挿通したボルト27を、下板25Aのねじ孔25A1に螺着する。また、左前フレーム21の各ボルト挿通孔21Aに下側から挿通したボルト27を、下板25Aのねじ孔25A2に螺着する。一方、下板25Aの各ボルト挿通孔25A3に上側から挿通したボルト27を、左後フレーム22の各ねじ孔22Aに螺着する。さらに、傾斜フレーム23の各ボルト挿通孔23Cに下側から挿通したボルト27を、下板25Aのねじ孔25A4に螺着する。従って、右前フレーム20、左前フレーム21および左後フレーム22は、傾斜フレーム23と一緒に制御弁ユニット24の取付台25を支持している。
これにより、制御弁ユニット24は旋回フレーム9の左前側位置に一体的に取付けることができる。このときに、制御弁ユニット24の取付台25は、左前側部位が傾斜フレーム23に支持されている。
次に、小型油圧ショベル1に設けられたカウンタウエイト28、エンジン29、運転席台座32、足置き部材33等の部材について述べる。
図2、図3等に示すように、カウンタウエイト28は、オフセットフロント装置6との重量バランスをとるために旋回フレーム9の後側に取付けられている。カウンタウエイト28は、左,右方向の中央が後方に突出する円弧状の重量物として形成されている。これにより、カウンタウエイト28の外周面28Aは、前述した旋回半径Rの仮想円C1内にほぼ収まる円弧面として形成されている。
エンジン29は、カウンタウエイト28の前側に位置して旋回フレーム9上に搭載されている。エンジン29は、旋回フレーム9の中間横板13と後横板16との間に位置して各後縦板14,15上に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン29の左側には、後述する油圧ポンプ30が取付けられている。一方、エンジン29の右側には、冷却ファン(図示せず)が設けられている。
油圧ポンプ30は、エンジン29の左側に取付けられ、エンジン29により回転駆動される。この油圧ポンプ30は、後述の作動油タンク42内から油液を吸込みつつ、この油液を高圧な圧油として吐出する。油圧ポンプ30から吐出された圧油は、制御弁群26、各油圧ホース43を介してオフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6K等に供給される。
熱交換器31は、エンジン29の冷却ファンに対面するように旋回フレーム9上に設けられている。この熱交換器31は、ラジエータ、オイルクーラ等を含んで構成されている。
運転席台座32は、旋回フレーム9を構成する左前縦板11の左側に位置し、エンジン29の上側を覆うように旋回フレーム9上に設けられている。この運転席台座32は、上部旋回体4の旋回中心Oを通る前,後方向の中心線をA−A(図3参照)としたときに、この中心線A−Aを越えて左前縦板11まで達する領域が、後述するオペレータの居住領域47として設定されている。このように、本実施の形態による小型油圧ショベル1では、運転席台座32上を居住領域47の後側部分として利用している。一方、運転席台座32の前側には、制御弁ユニット24、足置き部材33等が配置されている。
ここで、図6に示すように、運転席台座32は、旋回フレーム9の中間横板13上に位置して左,右方向に延びて立設された前面部位32Aと、前面部位32Aの上部から後側に延びた運転席取付部位32Bと、運転席取付部位32Bの後部から後側に向けて斜め上側に傾斜した背板部位32Cと、背板部位32Cの上部(後部)から後側に延びたウエイト取付部位32Dとを含んで構成されている。
運転席台座32は、前面部位32Aの下部が旋回フレーム9の中間横板13の上部に取付けられ、ウエイト取付部位32Dがカウンタウエイト28の上面に取付けられている。これにより、運転席台座32は、エンジン29、油圧ポンプ30の前側と上側を覆っている。運転席台座32の運転席取付部位32Bには、後述の運転席34、左,右のフロント操作装置35,36等が取付けられている。
足置き部材33は、運転席台座32の前側に位置して旋回フレーム9に設けられている。足置き部材33は、左,右方向に延びる長方形の平板によって形成されている。足置き部材33は、前側が取付台25のレバー・ペダル取付板25Cに取付けられ、後側が運転席台座32の前面部位32Aの下部に取付けられている。足置き部材33は、取付台25のレバー・ペダル取付板25Cと運転席台座32との間に配置され、レバー・ペダル取付板25Cと一緒に居住領域47の前側部分を構成している。この足置き部材33の下方には、制御弁ユニット24の制御弁群26が配置されている。
次に、運転席台座32上に搭載される運転席34、左,右のフロント操作装置35,36の構成について説明する。
図1ないし図3に示すように、運転席34は、運転席台座32の運転席取付部位32Bに取付けられ、オペレータが着席するものである。運転席34の左,右両側には、旋回装置3、オフセットフロント装置6を操作するための左,右のフロント操作装置35,36が設けられている。
走行操作レバー37は、運転席34の前方となる取付台25のレバー・ペダル取付板25Cに設けられている。この走行操作レバー37は、前,後方向に傾転操作することにより、下部走行体2の走行を操作するものである。また、レバー・ペダル取付板25Cには、走行操作レバー37の左,右両側に位置して、操作ペダル38,39が配置されている。これら各操作ペダル38,39は、例えばオフセットフロント装置6のオフセット操作、オプションとして取付けられる付属機器の操作等を行うものである。
図4に示すように、センタジョイント40は、上部旋回体4の旋回中心Oに設けられている。センタジョイント40は、下部走行体2と上部旋回体4との間で圧油を流通させるものである。このセンタジョイント40は、下部走行体2を構成するトラックフレーム2Aの中央位置に取付けられている。
燃料タンク41は、オフセットフロント装置6のブームフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム9に搭載されている。燃料タンク41は、貯油タンクを構成するもので、エンジン29に供給される燃料を貯溜している。
作動油タンク42は、燃料タンク41と共に貯油タンクを構成するもので、オフセットフロント装置6のブームフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム9に搭載されている。作動油タンク42は、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ8等の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。
複数本の油圧ホース43は、オフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6K等と制御弁群26と油圧ポンプ30とセンタジョイント40とを接続するものである。本実施の形態では、圧油を給排するための各種管体を総称して油圧ホースと述べている。即ち、油圧ホースには、可撓性の耐圧ホース、金属管等を含むものである。
次に、上部旋回体4の周囲を覆うために設けられた外装カバー44の構成について述べる。
図1ないし図3に示すように、外装カバー44は、旋回フレーム9を構成する制御弁ユニット24の取付台25の前側から左側を覆う左前カバー部44Aと、左前カバー部44Aとカウンタウエイト28との間を覆う左後カバー部44Bと、燃料タンク41、作動油タンク42等を覆うタンクカバー部44Cと、タンクカバー部44Cの後側に位置して熱交換器31等を覆う熱交換器カバー部44Dと、エンジン29のメンテナンス用にカウンタウエイト28に開閉可能に設けられたエンジンカバー部44Eとを含んで構成されている。
ここで、左前カバー部44Aによって覆われている制御弁ユニット24の取付台25は、センタフレーム10の上側に重なるように配置されている。この場合、左前カバー部44Aは、その下側部位を取付台25の下板25Aを越えて下側まで延ばすことにより、周囲の左後カバー部44Bと下側の端縁部を揃えることができ、見栄えを良好にできる。しかも、取付台25の下板25Aと下部走行体2の走行装置2B(履帯)との間に形成される隙間を小さくでき、乗降時に足が引っ掛からないようにすることができる。
キャノピ45は、運転席34の上方と右側方を覆うように旋回フレーム9、カウンタウエイト28の上側に設けられている。このキャノピ45は、例えば3柱式のキャノピとして構成されている。また、フロアマット46は、取付台25のレバー・ペダル取付板25Cと足置き部材33の上側を覆うように敷説されている。
図2、図6等に示すように、オペレータの居住領域47は、小型油圧ショベル1を操作(運転)するときにオペレータが居住するスペースである。オペレータの居住領域47は、制御弁ユニット24の上側に位置し、カウンタウエイト28との間に設けられている。具体的には、運転席台座32と足置き部材33とによって居住領域47が形成されている。
ここで、オペレータの居住領域47は、エンジン29の上側を覆う運転席台座32、制御弁ユニット24の取付台25を形成するレバー・ペダル取付板25C、制御弁群26の上側を覆う足置き部材33等の上側空間を使用している。即ち、居住領域47の下方には、取付台25の下板25A、制御弁群26、右前フレーム20、左前フレーム21、左後フレーム22、傾斜フレーム23が配置されている。これにより、上部旋回体4のうちオフセットフロント装置6の左側に形成される限られた領域を最大限に有効利用することができる。従って、居住領域47は、小型油圧ショベル1においても、可能な限り大きく確保することができる。
本実施の形態による超小旋回型の小型油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、足置き部材33に搭乗し、運転席34に着座する。運転席34に着座したオペレータが、走行操作レバー37を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。一方、オペレータが、左,右のフロント操作装置35,36をレバー操作することにより、上部旋回体4の旋回動作、オフセットフロント装置6による土砂の掘削作業等を行うことができる。
この場合、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を図2に示す超小旋回姿勢とすることにより、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とを、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回させることができる。これにより、小型油圧ショベル1は、市街地等の狭い作業現場においても、周囲の障害物に干渉することなく、オフセットフロント装置6を用いて側溝掘り作業等を円滑に行うことができる。
かくして、本実施の形態によれば、旋回フレーム9のセンタフレーム10は、旋回装置3の旋回輪7を取付けるために円形状に列設された旋回輪取付孔群17よりも左側で中間横板13よりも前側が切欠かれている。また、旋回フレーム9の左前縦板11よりも左側で中間横板13よりも前側には、センタフレーム10と切欠部位10Cの上側に位置する取付台25上に制御弁群26が取付けられている制御弁ユニット24が設けられている。さらに、制御弁ユニット24の上側位置には、カウンタウエイト28との間にオペレータが居住する居住領域47が設けられている。
この上で、上部旋回体4の旋回中心O、旋回モータ8および制御弁ユニット24の重心位置Gを通る斜めの直線B−Bに沿うように切欠部位10Cを左斜め前側に延びると共に基端側がセンタフレーム10に取付けられ先端側が自由端となった傾斜フレーム23が設けられている。従って、制御弁ユニット24の取付台25は、左前側部位を傾斜フレーム23によって支持することができる。
これにより、傾斜フレーム23は、センタフレーム10の左側を大きく切欠いた状態でも、制御弁ユニット24の取付台25を支持するために十分な支持面積を確保することができる。また、傾斜フレーム23は、制御弁ユニット24の重心位置Gを通る斜めの直線B−Bに沿って形成されているから、制御弁ユニット24をバランスよく安定的に支持することができる。
さらに、傾斜フレーム23の基端側が取付けられているセンタフレーム10の左前側部位には、その近傍に位置して旋回モータ取付座19が取付けられている。これにより、傾斜フレーム23の取付強度を担うセンタフレーム10の左前側部位の剛性を、旋回モータ取付座19によって高めることができる。
この結果、傾斜フレーム23の剛性、この傾斜フレーム23による制御弁ユニット24の支持強度を高めることができる。これにより、旋回フレーム9の強度を高めつつ、旋回フレーム9を軽量化することができる。
また、センタフレーム10の旋回モータ取付座19は、旋回モータ挿通孔18と連通する旋回モータ取付孔19Aを有する長方形状の板体からなっている。旋回モータ取付座19は、旋回輪取付孔群17による仮想円C2の接線方向が長尺となるように配置されている。従って、旋回モータ取付座19は、その長辺側でセンタフレーム10を効果的に補強することができる。
旋回フレーム9は、左前縦板11に沿うようにセンタフレーム10から前側に延びた右前フレーム20と、右前フレーム20から左側に離間し傾斜フレーム23の基端部位の近傍から前側に延びた左前フレーム21と、中間横板13に沿うようにセンタフレーム10から左側に延びた左後フレーム22とを備えている。この上で、右前フレーム20、左前フレーム21および左後フレーム22は、傾斜フレーム23と一緒に制御弁ユニット24の取付台25を支持している。これにより、傾斜フレーム23は、センタフレーム10の左側を大きく切欠いた状態でも、各フレーム20〜23によって制御弁ユニット24の取付台25を確実に支持することができる。
さらに、旋回フレーム9の後側には、オフセットフロント装置6との重量バランスをとるためのカウンタウエイト28が設けることができる。カウンタウエイト28の前側には、旋回フレーム9上に位置してエンジン29を設けることができる。また、旋回フレーム9には、上部旋回体4の旋回中心Oを通る前,後方向の中心線A−Aを越えて左前縦板11の近傍位置まで延び中間横板13とカウンタウエイト28との間でエンジン29を覆った状態で運転席台座32を設けることができる。さらに、運転席台座32の前側には、制御弁ユニット24の上側に位置して足置き部材33が設けられている。これにより、運転席台座32と足置き部材33とによってオペレータの居住領域47を形成することができる。
なお、実施の形態では、運転席34の上方と右側方を覆うキャノピ45が設けられたキャノピ仕様の小型油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席の上方と周囲を覆うキャブが設けられたキャブ仕様の小型油圧ショベルに適用してもよい。