JP4542727B2 - 高意匠性シート状積層構造体およびその利用 - Google Patents

高意匠性シート状積層構造体およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、審美性および意匠性に優れたシート状の熱可塑性樹脂よりなる積層構造体およびその利用に関する。さらに詳しくは外側から観察したとき、シート表面に沿って連続した色調の変化が認められるシート状積層構造体およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製品の高付加価値化を図るための製品設計、特に樹脂成形品の高意匠化が要望されている。連続した色調の変化(グラデーション色彩)による高意匠化もその中の1つである。かかる意匠化の方法の1つとしてはグラデーション模様の印刷等を施したフィルムやシートなどを金型内にあらかじめ装着して射出成形するインサート成形法などの成形法が用いられている。しかしながらこれら成形法はシート作成、印刷、トリミングなどの多数の工程を必要とする他、意匠性についても十分に魅力的とは言い難い。
【0003】
一方、特開昭53−83884号公報や特開昭56−123235号公報には外層と内層との肉厚を変化させ、外層は着色剤を含有する樹脂で構成された、上下方向にグラデーション色彩を施した容器およびその成形方法が提案されている。しかしながら、前記公報記載の方法によって得られた成形品(容器)は、その構成上グラデーション色彩の変化の方向が上下方向であって、上部もしくは下部が濃い着色をした比較的単純な色調の容器に限られ、さらに層の界面部分に立体的なパターン(文字や図形など)を施したものは、困難であった。
かくして高い意匠性を有し、連続した色調の変化が一方向のみならず多岐の方向を有することができ、また層の界面部分に明瞭な立体的パターンを有することができ、比較的肉厚の平板状の積層構造体は従来提供されてはいなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の第1の目的は、審美性および意匠性に優れた、連続した色調の変化を有する、熱可塑性樹脂より形成された複数の層より構成されたシート状積層構造体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、連続した色調の変化がシート面に沿って一方向のみならず、多岐の方向であることができ、また数種の色を組合せることが可能なシート状積層構造体を提供することにある。
本発明の第3の目的は、連続した色調の変化を有するシート面状において、明瞭な文字や図形のごとき立体的パターンを有するシート状積層構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、十分な形態保持性を有する厚みを有し、透明もしくは半透明な、連続した色調の変化を有するシート状積層構造体を提供することにある。
【0005】
本発明のさらに他の目的は、装飾ガラス窓、インテリア部材、ショーケース用ガラス窓、パーティション、扉、車輌用窓ガラス、車輌外板、ランプカバー、オーナメント、車輌用インストルメンタルパネルやセンターパネル、車輌用内外装のモールおよびガーニッシュ、表示装置、表示板、導光板、標識板、防風板、屋根材、家具、コンピューターおよび携帯端末などの各種OA機器におけるハウジングの部材、携帯電話および携帯音響機器などの各種電気機器におけるハウジングの部材、スロットマシーン等の電飾用パネル、並びに雑貨類などの材料として有利に利用することができる実用的強度を有するシート状積層構造体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、透明もしくは半透明な連続した色調の変化を利用した高意匠性の照明具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、前記本発明の目的は、
(1)熱可塑性樹脂より形成された層の少なくとも2種の層より構成されたシート状積層構造体であり、
(2)該積層構造体の少なくとも片方の面の外層は、透明の樹脂より形成された層(B)であり、
(3)該積層構造体を構成する少なくとも1種の層は、染料、顔料または光拡散剤を含有しかつ積層構造体のシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、
(4)該積層構造体は、透明の樹脂より形成された層(B)の外側の面から目視観察したときシート面に沿って連続した色調の変化が認められ、そして
(5)2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字もしくは図形が施されている、
ことを特徴とする高意匠性シート状積層構造体によって達成されることが見出された。
【0007】
以下本発明の積層構造体についてさらに詳細に説明する。
本発明の積層構造体は、それを構成する層の数、各々の層の形状、各々の層の着色の有無あるいは着色の色彩などにより多くの組合せが存在し、その上積層構造体の目視の方向および光源の方向によって審美性や意匠性が変化する。これらのことが本発明の積層構造体の特徴と利点を発現している源であるが、本発明の積層構造体の理解のために図面を用いて以下説明する。
【0008】
図1は、本発明のシート状積層構造体のシート面における直角断面の形状を示す模式図である。図1の構造体は、説明のために基本的でかつシンプルな形状の構造体の一例を示すものである。図1における積層構造体1は、2つの層(2および3)より構成され、2つの層は各々透明な樹脂により形成されている例である。また図1は、2つの層の厚みの変化が直線的である積層構造体である。また図1の場合、文字または図形(4)が施された積層構造体を有している。かかる図1の積層構造体の場合、下記の態様1〜5が含まれる。
【0009】
態様1
層2(層(A))は染料または顔料(以下これらを“着色剤”と略称することがある)を含有する透明な樹脂で形成され、着色剤は樹脂中にある一定濃度でほぼ均一に含有されている。一方層3(層(B))は、着色剤を含まない透明な樹脂で形成されている。
この態様1の積層構造体の場合、矢印の方向から観察すると、層2の厚みに依存して色調の変化が認められる。すなわち層2の最も厚い端部(図1の右側)から最も薄い端部(図1の左側)にかけて、連続的(直線的)に色調が次第に濃から淡へ変化する。
文字または図形(以下これらを“図柄”と略称することがある)を示す4は、局所的に層2の厚みが増加しているので、図柄は相対的に濃い色調で認識される。
この態様において、着色剤として蛍光着色剤を使用した場合、一層鮮やかな色調の変化を有する積層構造体が得られる。
【0010】
態様2
態様1に対して、層2および層3を形成する樹脂が逆に構成される。すなわち層2は着色剤を含有しない樹脂で形成され、層3は着色剤を含有する樹脂で形成されている。
この態様2の積層構造体の場合、色調の変化が態様1とほぼ同じであるが、濃淡の方向が逆になる。しかし、図柄4は局所的に着色剤を含有しない層2の厚みが増加しているので、相対的に淡い色調(白抜きの状態)で認識されることになる。
【0011】
態様3
層2および層3を形成する樹脂中には、それぞれ着色剤が含有されているが、層2と層3とは異なる色彩の着色剤が含有されている。例えば層2と層3に含有される着色剤の色彩の種類と組合せによって色調のみならず色彩の変化が左右に連続的に認められる。その一例を下記表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0004542727
【0013】
上記表1における各層の着色剤の色は、赤色、黄色および青色の3色の組合せであるが、この例に何ら制限されない。また層2と層3とは組合せが逆であってもよい。
この態様3における好ましい態様の1つは、1つの層が蛍光染料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が前記層とは異なる色彩を有する染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されているシート状積層構造体である。
【0014】
態様4
層2は、光拡散性粒子(光拡散剤)を含有する樹脂で形成され、層3は着色剤を含有する樹脂で形成されている。この態様4の積層構造体は全体として半透明である。その透明性は、層2の薄い部分から厚い部分(左側から右側)へ連続的に低下する。この態様4の積層構造体は、光拡散性粒子の作用により全体が幻想的な(スケルトン調)イメージを感じさせるものとなる。着色剤の種類によってもそのイメージ感は幅広く変化する。
【0015】
態様5
層2は、光高反射性粒子(光高反射剤)を含有する樹脂で形成され、層3は着色剤を含有する樹脂で形成されている。この態様5の積層構造体は層2が光高反射剤を含有する樹脂で形成されているため、全体として不透明であり、層3の着色剤の色彩が乳白色を呈して連続的に変化するものとなる。
また前記態様4および態様5において、層2および層3の界面に図柄を施した場合、図柄が強調され、立体的なイメージを呈するものとなる。殊に態様5においては立体的な図柄が発現する。さらに後述するが前記態様1(蛍光着色剤の場合)および態様4および態様5において、光源の位置および着色剤の種類(特に蛍光着色剤)や光拡散性粒子や光高反射性粒子などの作用によっても図柄の立体的イメージが一層顕著なものとなったり、幻想的なイメージを感じさせるものとなる。この場合、光源の位置は目視の方向に対してバックライトであるよりも、積層構造体の側面(図1における左側または右側)にあるエッジライトの方が顕著な立体的イメージや幻想的イメージを達成する。つまり厚みの変化する方向に対して平行に光を入射する場合が本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
【0016】
本発明の積層構造体は、複数の層から構成され、少なくとも1つの層が染料、顔料または光拡散剤を含有していることかつ構造体のシート面に沿って少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有していることによって、連続した色調の変化が発現され、形成されている。以下の説明で“着色層”という言葉はこの染料、顔料または光拡散剤を1種以上含有している層を意味する。
この着色層は、単調な厚みの変化を有していることが必要であり、単調な厚みの変化とは、積層構造体を目視観察した場合、シート面に沿って連続した色調の変化が認知されるものをいう。従って厚みの変化は階段的でなく、なだらかなあるいは直線的な厚みの変化であることが望ましい。ただし文字や図形のような図柄を形成させる場合は、その部分は局所的に、細かい凹凸が形成されることになるが、この図柄を形成させるための表面凹凸は、単調な厚みの変化の範疇から除外される。
【0017】
次に本発明の積層構造体における着色層の単調な厚みの変化の形態について説明する。説明を簡単にするために、積層構造体がある一定の厚みを有する矩形(すべての角が直角である四辺形)である場合を例にとって説明する。矩形における4つの角を順次A、B、CおよびDとする。かくして辺A−Bと辺C−Dは互いに平行であり、また辺B−Cと辺D−Aも互いに平行である。着色層の厚みの変化の例を下記に列挙する。
(i)図1に示したように、1つの辺から相対する他の辺に向かって(例えば辺A−Bから辺C−Dに向かって)、単調な厚みの変化を有する。
(ii)角Aから角Cに向かって対角線方向に単調な厚みの変化を有する。
(iii)矩形の中心部(2つの対角線の交叉する部分)から辺A−B、辺B−C、辺C−Dおよび辺D−Aに単調な厚みの変化を有する(四角錐状または逆四角錐状)。
(iv)矩形の中心線(例えば辺A−Bと辺C−Dに平行する中心線部)から相対する辺(例えば辺A−Bおよび辺C−D)に向かって単調な厚みの変化を有する(V字形または逆V字形)。
(v)矩形のある一つの対角線を中心線とし、その中心線から相対する2つの角に向かって(例えば角Aと角Cを結ぶ中心線から角Bおよび角Dに向かって)、単調な厚みの変化を有する。
【0018】
前記した(i)〜(v)の例は、説明のためであって、これらの改変された形態であってもよい。例えば中心部または中心線は正確であることは必ずしも必要がなく、ずれていても何ら差支えがない。さらに前記(i)〜(v)の適当な組合せであってもよく、部分的に厚みの変化が存在しない部分が含まれていてもよい。本発明の積層構造体はシート状であればよく、前記説明の矩形状に限定されるわけでもない。ここでシート状とは平板状を基本とするが、そこから変形して得られる各種の形態も含むものである。
【0019】
本発明の積層構造体は、均一な厚さであることは必ずしも必要ではないが、ほぼ同じ厚さであることが実用的であり好ましい。厚さは1〜50mm、好ましくは2〜20mm、特に好ましくは3〜15mmの範囲が適当である。形態としては、平板状の他、半円球状や半円筒状などを挙げることができる。また半円球の組合せによる球状の形態および円筒の形態などを取ることもできる。平板状の形態は、表面の直角断面において、両表面がほぼ平行した直線を形成する板状体であるか、湾曲した平板あるいは曲率半径が5cm以上、好ましくは15cm以上、特に好ましくは30cm以上の曲面を有する平板であることができる。さらに厚み変化が多少存在する平板であってもよい。いずれの形態においても表面は平滑な場合の他、いずれかの表面に微小な凹凸が設けられ、光を拡散する効果を付与したものであってもよい。積層構造体の層の数は2〜5、好ましくは2または3であるが、2であるのが特に好ましい。
【0020】
積層構造体は2層で構成される場合、各層の厚みの変化の比率としては、積層構造体全体の厚みを1としたとき、各層の厚みの比が0.02〜0.98、好ましくは0.1〜0.9の範囲が有利である。
本発明の積層構造体は、透明の樹脂で各層を形成し、全体が透明または半透明であることが、連続的な色調の変化による美観および意匠を一層発現させるために効果的である。その上文字や図形による図柄が施されている場合には、その図柄が連続した色調の変化した面の中から、幻想的または立体的に観察される。この図柄は見る方向や光源の位置などによって、立体感や鮮明性を変化させたものとすることが可能となる。殊に1つの層中に蛍光着色剤、光拡散剤または光高反射剤が配合されている場合、光源が積層構造体の側面(シート面の端部直角面)に位置するときには、その立体感は一層顕著なものとなる。
【0021】
特に態様1〜4において、蛍光着色剤や光拡散剤(特に蛍光着色剤)が配合されている場合、本発明のシート状積層構造体は、光源位置を目視方向に対してバックライトにすることで、図柄が平面的になり、一方光源位置を積層構造体の側面にすることにより図柄が立体的または幻想的になる。このことを利用して例えば2つの光源(バックライトおよびエッジライト)を切り替えることで、図柄を平面的乃至立体的、または平面的乃至幻想的に交互に表示することができる。
【0022】
本発明の積層構造体は、構成する各層が透明な樹脂で形成されていることが好ましく、積層構造体全体が透明性を有していることで意匠性に優れるものとなる。積層構造体全体が透明性を有する場合、全光線透過率は、10〜90%、好ましくは20〜70%の範囲であるのが望ましく、またヘーズは0.1〜15%、好ましくは0.15〜10%の範囲であるのが有利である。
次に本発明の積層構造体は形成する熱可塑性樹脂について説明する。前述したように本発明の積層構造体は着色層が少なくとも透明の樹脂で形成されている限り、他の層を形成する樹脂の種類は任意に選択される。しかし全ての層は比較的透明な樹脂で形成されていることが望ましい。また積層される複数の層は同じ樹脂であってもよく異なる樹脂であってもよい。しかし、同じ樹脂により形成されていることが加工、物性および用途の面で好ましい。
【0023】
ここで透明な樹脂としては、JIS K7105に準拠して測定された表面の平滑な厚み2mmの板状成形品における全光線透過率が10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上の樹脂を挙げることができる。
染料または顔料を含有する透明な樹脂においては、かかる染料または顔料の組成割合としては、熱可塑性樹脂100重量部当り、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.5重量部である。
高い意匠性を発現する蛍光着色剤を含有する透明な樹脂の場合も同様に、その組成割合としては、熱可塑性樹脂100重量部当り、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.5重量部である。
【0024】
また光拡散剤を含有する透明な樹脂としては、JIS K7105に準拠して測定された表面の平滑な厚み2mmの板状成形品における全光線透過率が10〜93%およびヘーズが20〜90%であるものが好ましい。より好ましい全光線透過率は30〜90%、特に50〜90%であり、より好ましいヘーズは30〜90%である。
さらに光高反射剤を含有する樹脂としては、波長450〜800nmにおける表面の平滑な厚み2mmの板状成形品における全光線反射率が80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であるものが挙げられる。
【0025】
本発明の積層構造体において使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1(TPX樹脂)、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)などに代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどに代表される各種熱可塑性ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものも用いることができる。さらにスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも用いることができる。
【0026】
上記の熱可塑性樹脂を混合して用いることは、組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。
本発明では少なくとも一つの層が透明性を有する必要があり、したがって何れか一つの層を形成する樹脂が透明の熱可塑性樹脂であるものが好ましい。透明の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、さらにスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
【0027】
これらの中でも透明性に優れるポリメチルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂などを好ましく挙げることができる。
アルキルメタクリレート樹脂としては、メチルメタクリレートを主な構成単位として含むものが挙げられる。通常アルキルアクリレートとの共重合体が使用されるが、他の共重合体成分としては耐熱性を向上させるためアクリルイミド構成単位やメチルシクロヘキシルメタクリレート構成単位などが共重合されたものであってもよい。さらにα−メチルスチレンが共重合されたものを使用することもできる。
【0028】
環状ポリオレフィン樹脂としては、三井化学(株)製のAPO樹脂、JSR(株)製のアートン、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、および水添−α−オレフィン−ジシクロペンタジエン共重合体などを挙げることができる。
本発明の積層構造体を構成する少なくとも1層がポリカーボネート樹脂より形成されることが、積層構造体の機械的強度、耐熱性などの点から好ましく挙げられる。最も好ましいのは全ての層がポリカーボネート樹脂で形成された積層構造体である。
ポリカーボネート樹脂について以下具体的に説明する。ポリカーボネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法、溶融重合法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0029】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0030】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。最も好ましいのはビスフェノールAの単独重合体である。
【0031】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
【0032】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化を防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0033】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノールなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0034】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融重合法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。なお、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0035】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドなどの第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0036】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0037】
【化1】
Figure 0004542727
【0038】
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0039】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0040】
【化2】
Figure 0004542727
【0041】
(式中、Xは、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
かかる一般式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。
【0042】
また、一般式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0043】
末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましい。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0044】
溶融重合法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点などにより異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0045】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0046】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0047】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートなどの化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0048】
さらに溶融重合法においては、失活剤を用いて重合後残存する触媒の活性を中和しておくことが望ましい。かかる失活剤としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル−スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどの化合物を挙げることができるが、これらに限定されず、またこれらの化合物は2種以上併用することもできる。
【0049】
中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0050】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、粘度平均分子量が10,000未満であると高温特性などが低下し、一方40,000を超えると成形加工性が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して10,000〜40,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものが特に好ましい。また、ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0051】
特に粘度平均分子量が40,000を超えるポリカーボネート樹脂との混合物は、ブロー成形などに重要なドローダウン性能、難燃性を向上させるドリップ防止性能、および射出成形時のジェティングなどを防止する溶融特性改質性能に優れた効果を発揮するため、かかる目的に応じて適宜混合することができる。より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、さらに好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの方法により2ピーク以上の分子量分布を有するものが好ましく使用できる。
【0052】
本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。
【0053】
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(ただし[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
本発明の熱可塑性樹脂には離型剤を配合することができ、こうすることは離型時の歪みを抑制できる点で好ましい結果を与える。離型剤としては飽和脂肪酸エステルが一般的であり、例えばステアリン酸モノグリセライドなどのモノグリセライド類、ジグリセライド類、ステアリン酸トリグリセライドなどのトリグリセライド類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。その他芳香族基を有するオルガノシロキサン化合物などが樹脂組成物の透明性も良好で耐熱性にも優れることから好ましく使用できる。離型剤は熱可塑性樹脂100重量部当り0.01〜1重量部用いられる。
【0054】
また、本発明の熱可塑性樹脂には必要に応じてリン系熱安定剤を加えることができる。リン系熱安定剤としては、ホスファイト化合物およびホスフェート化合物が好ましく使用される。ホスファイト化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト化合物が挙げられる。これらのうち、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
【0055】
一方、熱安定剤として使用されるホスフェート化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、なかでもトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0056】
さらにその他のリン系熱安定剤としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイトなどのホスホナイト化合物も好ましく使用することができる。
【0057】
前記リン系熱安定剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を組合せて使用してもよい。リン系熱安定剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部の範囲で使用するのが適当である。
【0058】
熱可塑性樹脂には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜0.5重量部である。
【0059】
耐候性の向上および有害な紫外線をカットする目的で、熱可塑性樹脂にさらに紫外線吸収剤や光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、および例えば2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールに代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示される。さらに例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物も好ましく例示される。またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系の光安定剤も使用することが可能である。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。これら紫外線吸収剤および光安定剤の好ましい添加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。
【0060】
また、本発明の透明性を有する熱可塑性樹脂には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。特にポリカーボネート樹脂に対して有用である。具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名Solvent Violet31[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]、一般名Solvent Blue87[商標名 有本化学工業(株)製「プラストブルー8580」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テラゾールブルーRLS」]、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社のマクロレックスバイオレットやテラゾールブルーRLS等が挙げられ、特に、マクロレックスバイオレット、テラゾールブルーRLS、マクロレックスブルーRRおよびプラストブルー8580が好ましい。
【0061】
熱可塑性樹脂には、さらに慣用の他の添加剤、例えば補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、シリコン系、フッ素系、金属水和物系など)、耐熱剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、フタロシアニン化合物やカーボンブラックに代表される赤外線吸収剤、フォトクロミック剤を配合することができる。
【0062】
これらの中でも、特に樹脂との屈折率差を低下させることにより透明性を維持できるガラス系充填剤が好適であり、かかるガラス系充填剤は広く知られたものである。かかるガラス系充填剤はその樹脂との屈折率差が0.015以下、好ましくは0.010以下であるものが好ましい。かかる充填剤により高度な透明性と共に、高剛性および高強度を有するシート状積層構造体を得ることが可能となる。
【0063】
さらに本発明における熱可塑性樹脂は、製品または部品として形成済みの樹脂、いわゆるリサイクル材を使用することも可能である。かかるリサイクル材には着色のための塗装、耐摩耗性、帯電防止性、熱線吸収などの各種機能性コーティング、蒸着、スパッタリング、メッキなどによる金属膜などの積層膜が形成されている場合も多いが、これらは積層膜をつけたままでの使用も、積層膜の一部または全部を除去しての使用もいずれも可能である。
【0064】
例えばポリカーボネート樹脂を基板とする光情報記録媒体(CD、DVD、MDなど)をリサイクル材として使用する場合、これらは粉砕処理などをしてそのまま使用すること、およびかかる粉砕処理したものと、他の熱可塑性樹脂材料および/または他の熱可塑性樹脂材料のリサイクル材と混合することにより使用することができる。
一方該光情報記録媒体から情報記録層、反射層や保護コート層を樹脂基板から選択的に除去し、樹脂自体を回収して使用することも可能であり、かかる除去方法として従来提案された方法を使用することができる。
【0065】
次に本発明の積層構造体を構成する少なくとも1つの層に配合される染料、顔料、および光拡散剤並びに光高反射剤について説明する。これらはそれ自体樹脂の着色剤または添加剤として知られたものが使用され、樹脂の種類、樹脂への分散性、加工温度などから選択され、所望の色彩を決定することができる。着色剤は2種あるいはそれ以上組合せて使用することもできる。
【0066】
着色を施すための剤としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、フタロシアニン系染料等の有機系色剤やカーボンブラックが挙げられ、これらの中でも透明性の有機系色剤が好ましい。さらに好ましくは、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料およびチオインジゴ系染料を挙げることができる。
【0067】
染料の具体例としては、CI Solvent Red 52、CI Solvent Red 149、CI Solvent Red 150、CI Solvent Red 191、CI Solvent Red 151、CISolvent Red 135、CI Solvent Red 168、CI Disperse Red 22、CI Solvent Blue 94、CI Solvent Blue 97、CI Solvent Blue87、CI Solvent Violet 13、CI Solvent Violet 14、CI Disperse Violet 28、CI Solvent Green 3、CI Solvent Green 28として知られるアンスラキノン系染料、キノリン系染料としては、CI Solvent Yellow 33、CI Solvent Yellow 157、CI Disperse Yellow 54、CI Disperse Yellow 160などを挙げることができる。ペリノン系染料としては、CI Solvent Red 135、CI Solvent Red 179、CISolvent Orange 60などを挙げることができる。これらは1種または2種以上を併用でき、目的に応じた着色を行うことが可能である。
【0068】
蛍光着色剤を使用することもできその例としては、蛍光染料、並びにフタロシオニン錯体やナフタロシアニン錯体などの蛍光有機顔料を使用することができる。
【0069】
蛍光染料としては各種のものが使用できる。例えば、ペリレン系蛍光染料、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。
かかる中でも蛍光持続性(耐候性)の観点からペリレン系蛍光染料、クマリン系蛍光染料、およびベンゾピラン系蛍光染料を蛍光染料全量100重量%中、5重量%以上含有することが好ましい。
【0070】
ここでクマリン系染料としては、各種のものが使用可能であるが、その具体例としては例えば、バイエル社製MACROLEX Fluorescent Yellow 10GN(CI Solvent Yelllow 160:1)、およびMACROLEX Fluorescent Red Gなどを挙げることができる。
ベンゾピラン系蛍光染料としては、各種のものが使用可能であるが、その具体例としては例えば、BASF社製FluorolシリーズとしてRed BKおよびRed GKなどを挙げることができる。
【0071】
ペリレン系蛍光染料としては、各種のものが使用可能であるが、その具体例としては例えば、CI Vat Red 15、CI Vat Orange 7、CI Solvent Green 5およびBASF社製LUMOGENシリーズとして F Orange240、F Red300、F Yellow083、F Red339、F Violet570などを挙げることができる。
上記の中でも、特にペリレン系蛍光染料を蛍光染料全量100重量%中5重量以上含有するものが好ましく使用できる。
ペリレン系蛍光染料、クマリン系蛍光染料、およびベンゾピラン系蛍光染料以外の蛍光染料としては具体的には、例えば次のものを挙げることができる。
【0072】
アンスラキノン系染料としては、CI Vat Orange 9、CI Vat Orange 2、CI Vat Orange 4として知られるピランスロン類アンスラキノン系染料、CI Vat Blue 20、CI Vat Blue 19、CI Vat Blue 22、CI Vat Green 4、およびCI Vat Green 12として知られているジベンザンスロン類アンスラキノン系染料、CI Vat Violet 1、CI Vat Violet 9、CI Vat Violet 10、およびCI Vat Green 1として知られているイソジベンザンスロン類アンスラキノン系染料、CI Vat Orange 1、CI Vat Yellow 4として知られるジベンズピレンキノン類アンスラキノン系染料などを挙げることができる。またアンスラキノン系染料としては、CI Vat Blue 6、CI Vat Violet 13なども挙げることができる。
【0073】
チオインジゴ系染料としてはCI Vat Red 1、CI Vat Red 2、CI Vat Red 41、CI Vat Red 47、CI Vat Violet 2、CI Vat Violet 3などを挙げることができる。
【0074】
蛍光有機顔料としては、CI PIGMENT GREEN 7、CI PIGMENT BLUE 15:3などのフタロシアニン系有機顔料、およびナフタロシアニン系有機顔料などを挙げることができる。
本発明で用いることができる光拡散剤としては、周知の無機微粒子および高分子微粒子のいずれも使用することができる。光拡散剤の形状は特に限定されるものではなく、粒状、球状、板状、中空状、針状、紡錘状などの各種の形状を取ることが可能である。かかる光拡散剤の平均粒子径としては、0.01〜50μmのものが好ましく使用できる。より好ましくは0.1〜10μmの平均粒子径であり、さらに好ましくは0.1〜8μmの平均粒子径のものである。また粒子径の分布については狭いものが好ましく、より好ましくは平均粒子径±2μmである粒子が全体の70重量%以上の範囲である分布を有するものが挙げられる。
【0075】
光拡散剤は、マトリックス樹脂との屈折率差の絶対値が0.02〜0.2であることが好ましい。光拡散剤を使用する場合には光拡散性と光線透過率を高いレベルで両立することが求められるからである。透明性の点からより好ましくは、光拡散剤の屈折率がマトリックス樹脂の屈折率よりも低い場合である。
無機微粒子としては例えば以下のものを挙げることができる。すなわち、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マグネシア、マイカ、タルク、水酸化アルミニウム、酸化チタン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、粉砕ガラス、ガラスミルドファイバー、ガラスビーズ、極薄ガラスフレーク、ガラスバルーン、アルミナバルーン、およびケイ酸カルシウムなどである。またこれらの粒子は、粒子の表面を粒子内部の組成とは異なる化合物で被覆するものであってもよい。
【0076】
本発明の高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーを重合して得られる有機架橋粒子を挙げることができる。非架橋性モノマーとしてはアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、オレフィン系モノマーなどを挙げることができる。これらは単独でも2種以上を混合して使用することもできる。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。他の有機架橋粒子としては、シリコン系架橋粒子を挙げることができる。
【0077】
一方、ポリエーテルサルホン粒子等の耐熱ポリマーの粒子も本発明の高分子微粒子として挙げることができる。すなわち、マトリックス樹脂の加熱溶融状態であっても微粒子の形態が損われることがないものは架橋性モノマーを必要としない。
さらに高分子微粒子としては、各種のエポキシ樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、およびフェノール樹脂粒子などの熱硬化性樹脂類も使用可能である。
光拡散剤としてはより好ましくは有機架橋粒子を挙げることができる。かかる粒子は、粒子径や粒子形状の制御性が高くより高度な光拡散性の制御が可能である。さらに特にマトリックス樹脂がポリカーボネート樹脂などの場合には、高温での成形加工時における熱変色などが生じにくい利点を有する。
【0078】
かかる有機架橋粒子において使用されるアクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート等を単独でまたは混合して使用することが可能である。この中でも特にメチルメタクリレートが特に好ましい。
【0079】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、エチルスチレン等のアルキルスチレン、ブロモ化スチレン等のハロゲン化スチレンを使用することができ、この中でも特にスチレンが好ましい。アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルを使用することができる。またオレフィン系モノマーとしてはエチレン、各種ノルボルネン型化合物等を使用することができる。さらに他の共重合可能な他のモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、N−メチルマレイミド、無水マレイン酸等を例示でき、また結果としてN−メチルグルタルイミド等の単位を有することもできる。
【0080】
一方かかるビニル系非架橋性モノマーに対する架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0081】
アクリル系モノマー等からなる有機架橋粒子の製造方法としては、一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法においても、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法なども可能である。
【0082】
シリコン系架橋粒子は、シロキサン結合を主骨格としてケイ素原子に有機置換基を有するものであり、ポリメチルシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いものと、メチルシリコンゴム粒子に代表される架橋度の低いものがあるが、本発明ではポリメチルシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いものが好ましい。かかるシリコン系架橋粒子のケイ素原子に置換する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルカン基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等の他、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基等を使用することができる。
【0083】
かかるシリコン系架橋粒子の製造法としては、3官能性のアルコキシシラン等を水中で加水分解と縮合反応によってシロキサン結合を成長させながら3次元架橋した粒子を形成させる方法が一般的であり、かかる粒子径は例えば触媒のアルカリ量や攪拌工程等により制御可能である。
一方、有機架橋粒子以外の高分子微粒子の製造方法としては、スプレードライ法、液中硬化法(凝固法)、相分離法(コアセルベーション法)、溶媒蒸発法、再沈殿法等の他、これらを行う際にノズル振動法等を組合せたものを挙げることができる。
【0084】
さらに高分子微粒子の形態としては、単相重合体の他、コア−シェル重合体の形態、また2種以上の成分が相互に絡み合った構造を有するIPN構造をとることも可能である。また無機微粒子のコアとし有機架橋粒子の成分をシェルとする、または有機架橋粒子をコアとしエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等をシェルとする等の複合型粒子も使用することができる。
【0085】
上記の光拡散剤は各種の表面処理剤で被覆されているものであってもよい。特に無機微粒子においては表面処理剤で被覆されているものが、熱劣化などによる材料の変色などを抑制できるため好ましい。かかる表面処理剤としては、脂肪酸、樹脂酸、マレイン酸、ソルビン酸などの有機酸化合物、これらの有機酸と一価または多価アルコールとのエステル化合物、スルホン酸系の界面活性剤、有機チタネート系カップリング剤、有機アルミネート系カップリング剤、ホスフェート系カップリング剤、有機シラン系カップリング剤、Si−H基を含有するシラン化合物およびポリブタジエンやポリイソプレンなどのジエン系ポリマーなどを挙げることができる。
【0086】
光高反射剤としては、二酸化チタン粒子が好ましく使用される。二酸化チタン粒子は、製造方法、結晶構造および粒子径によって限定されるものではないが、塩素法により製造された酸化チタンであり、ルチル形の結晶構造をとるものがより好ましい。一般的に顔料用酸化チタン粒子の粒子径は、0.1〜0.4μmであるが、粒子径0.1μm未満のものでも構わない。これらの二酸化チタン粒子は一般的には、無機表面処理剤(アルミナおよび/またはシリカなど)で表面処理されている。これらの二酸化チタン粒子はさらに有機表面処理剤で処理されているものが好ましい。有機表面処理剤としては、アルキルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、アルキルハイドロジェンポリシロキサンなどのシロキサン類やアルキルアルコキシシラン、アミノ系シランカップリング剤等のオルガノシリコンが挙げられる。好ましい処理剤としては、メチルハイドロジェンポリシロキサンやメチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等での表面処理が挙げられる。なお、表面処理剤中には、本発明の目的を阻害しない程度の量で安定剤や分散剤等が含まれていてもよい。また、表面処理の方法としては、二酸化チタン粒子と表面処理剤を水または有機溶剤中に分散させ湿式処理する方法あるいは、スーパーミキサー、ヘンシルミキサー等により乾式処理する方法あるいは、表面処理剤、二酸化チタン粒子、熱可塑性樹脂を同時にV型ブレンダーで混合する方法や、同時に押出機中に投入し押出する方法も有効である。
【0087】
本発明の積層構造体は各種の方法により成形可能であるが、好ましくは金型キャビティ内に樹脂を充填する方法を挙げることができる。形状の自由度が極めて高く、より高度な意匠性を達成できるためである。かかる方法としては例えば射出成形法の他、回転成形、粉末圧縮成形、および超音波粉末成形などの粉末成形法を挙げることができる。より好ましいのは射出成形法である。かかる成形法では積層構造体全体を効率よく製造することが可能なためである。なお、粉末成形は大型または低歪の成形品を得る場合に利点がある。
【0088】
本発明の積層構造体の製造手順としては、1つの層を成形した後、該成形品を次工程の金型内にインサートした状態で次の層を成形し、2つの層を積層する方法を挙げることができる。金型内に2つの層をインサートした状態で成形を行えば3層構造を有する積層構造体を得ることができる。
射出成形法の場合、複数の層を1つの成形機で連続して行う多色成形法、および各層が独立した成形機で成形されるインサート成形法が本発明の積層構造体を製造する方法として使用される。特に全ての層が射出成形法により得られた積層構造体が本発明においては好適である。
【0089】
さらにかかる成形法においては、他の要因を加えた各種の成形法を使用することができる。例えば超高速射出成形、射出圧縮成形、断熱金型成形、局所高温金型成形、インモールド成形、サンドイッチ成形、ガスアシスト成形など適宜組合せることも可能である。すなわちこれらの複数を組合せたものであってもよい。
かかる成形法のうち、超高速射出成形は、特に積層構造体の界面に図柄が施されている場合に好適な方法である。かかる場合樹脂の流動は極めて複雑になりやすく、樹脂の回り込み方などにより最終的に図柄部分に未充填部分を生じ易い。
超高速射出成形の場合には、樹脂の溶融粘度を低下させ流動の均一化を達成し、樹脂の回り込みを単純化させることを可能とする。超高速射出成形の射出速度としては300mm/sec以上、好ましくは350mm/sec以上が挙げられる。
【0090】
また射出圧縮成形との組合せでは、界面部分に精密な図柄がある場合に好適である。また歪やウエルドの少ない成形品を達成可能である。さらに界面の密着性を向上させ積層構造体の強度や製品寿命などにも貢献する。
また上記射出圧縮成形の中でも、いわゆる射出プレス成形が極めて好適である。射出プレス成形とは、初期の金型キャビティの容量を充填樹脂容量よりも大きくとり、金型キャビティ容量に対して少量の充填された樹脂を、金型キャビティを所定の形状となるまで減量し、内部の樹脂を圧縮することにより金型キャビティ中の未充填部分に樹脂を充填させ成形品を得る成形方法である。
【0091】
本発明の積層構造体、特に2層目以降の成形体は、通常の成形の場合、1層目の樹脂表面側で、かつ流動末端部において、その樹脂密度は小さくなりやすく、逆にゲート近傍においては樹脂の密度が高くなりやすい。結果として殊に大型の板状積層構造体において反りを生じやすい。
かかる反りは射出プレス成形をすることにより、大幅に低減することが可能となる。これは射出プレス成形の場合には、圧力が厚み方向に加わるため、金型面内方向における圧力分布がないと共に、その厚み方向の距離は極めて短いために樹脂にかかる圧力の損失がなく、樹脂の適正な収縮に必要な圧力が均一に加わるためである。また上述したような図柄等に未充填部分を生ずる場合であっても、かかる部分が小さい場合には、それを充填することが可能となる。
【0092】
また射出プレス成形は通常知られているように、極めて低い圧力での成形が可能であるため、射出成形機の型締め圧力のレベルを大幅に低減することが可能である。これは殊に大型の成形品であって、その流動長の長い成形品において製品の品質の向上と共に、設備にかかるコストを低減することができる。
同様な理由から断熱金型成形および局所高温金型成形(ハロゲンランプ照射、電磁誘導加熱、熱媒体の高速切り替え、および超音波金型など)も組合せることが好適である。
すなわち、本発明の積層構造体の製造では、特に界面に図柄がある場合には、超高速射出成形、射出圧縮成形(射出プレス成形も含む)、断熱金型成形、および局所高温金型成形を適宜組合せて使用することが好ましい。さらに超高速射出成形と、射出圧縮成形または断熱金型成形や局所高温金型成形とを組合せて使用することが好ましい。
【0093】
サンドイッチ成形を組合せた場合、1つの層または他の層のいずれかを2層構造とすることが可能となる。ガスアシスト成形を組合せた場合、1つの層、または他の層、あるいは1つの層および他の層をともに中空構造体とすることで、各層を軽量化することができるとともに、異なる意匠性や光学的機能を付与することも可能である。例えば、中空部にフォトクロミック性を有する化合物を充填し、光反応性を有する製品を作成することなどが挙げられる。
【0094】
本発明の積層構造体にはその利用目的に応じて高い表面硬度が求められる場合には、表面にハードコート処理することがより好ましい。ハードコート剤においては各種のハードコート剤が使用可能であり、シリコン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが挙げられる。シリコン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった樹脂であり、例えば、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランまたはそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。これらには縮合反応時に発生するアルコール等が含まれているが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよく、そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
【0095】
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
これらハードコート剤のうち長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコン樹脂系ハードコート剤が好ましく、特に各種の樹脂からなるプライマー層を形成した後、その上にシリコン樹脂系ハードコート剤から調整された硬化層を形成したものが好ましい。
【0096】
かかるプライマー層を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも特に好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂からなるものが好ましい。アクリル樹脂のプライマー層は、殊にポリカーボネート樹脂に対して好適である。
【0097】
さらに、シリコン樹脂系ハードコート剤のプライマー層を形成する樹脂には、後述する光安定剤や紫外線吸収剤、シリコン樹脂ハードコート剤の触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
シリコン樹脂系ハードコート剤のプライマー層を形成するアクリル樹脂は、(a)モノマー成分を主体とするプライマー組成物を成形体表面に塗布した後、加熱させることにより、または紫外線、電子線、放射線などの活性エネルギー線を照射することにより硬化させるもの(以下、アクリル樹脂(a)と称することがある)、および(b)あらかじめポリマー成分を重合した後かかるポリマーの溶液または融液をプライマー組成物として塗布し、溶媒を揮発等させて硬化させるもの(以下、アクリル樹脂(b)と称することがある)のいずれも使用可能である。特に、後者のアクリル樹脂(b)は劣化の要因となりやすい未反応の残留モノマーを極力低減できるため、より好ましい。
【0098】
シリコン樹脂系ハードコート剤のプライマーとして使用するアクリル樹脂の好ましい態様の1つとしては、アルキルメタクリレートモノマーとアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを両者のモル比が99:1〜60:40、より好ましくは97:3〜70:30の割合で共重合して得られるコポリマーが挙げられる。
また、シリコン樹脂系ハードコート剤のプライマーとして使用するアクリル樹脂の好ましい態様の1つとして、ヒドロキシ基を含有するアクリル樹脂99〜60重量%と、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物1〜40重量%(ただしRaR’b−SiO4-(a+b)/2に換算した重量。ただしR、R’は一価の有機基)との混合物または反応物も挙げることができる。
【0099】
ヒドロキシ基を含有するアクリル樹脂は、アルキルメタクリレートモノマーとヒドロキシ基含有アルキルメタクリレートモノマーとの共重合体が好ましく、モノマーのとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。一方、アルコキシシラン化合物としては、アルキルトリアルコキシシランが好ましく、特にメチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランが好ましい。
アルコキシシラン化合物は単独もしくは混合して使用できる。アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物は酸性条件下、加水分解縮合反応させることによって得られ、かかる酸としては酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。さらにアルコキシシランの加水分解縮合物とヒドロキシ基を含有するアクリル樹脂の混合物または反応物に、さらにメラミン樹脂を混合したものも挙げることができる。アクリル樹脂(b)において、プライマー組成物中のプライマー層を形成する樹脂による固形分の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
【0100】
また、上記プライマー組成物には積層構造体の耐候性を改良する目的で光安定剤、紫外線吸収剤を含有することができる。該光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、およびニッケル錯体光安定剤などが挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、プライマー層を形成する樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜10重量部用いられる。また、該紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、およびトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、プライマー層を形成する樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜50重量部用いられる。
【0101】
さらにプライマー組成物中には、シリコン樹脂系ハードコート剤を硬化させうる触媒を含有することもできる。
上記プライマー組成物の積層構造体の表面への塗布はバーコート法、ドクターブレード法、ディップコート法、フローコート法(シャワーコーター、カーテンフローコーター)、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法(グラビアロールコート法、トランスファーロールコート法)等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。また、プライマー層の厚さは、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは1〜5μmである。
【0102】
シリコン樹脂系ハードコート剤としては、より好ましくはトリアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物、およびテトラアルコキシシラン化合物の加水分解縮合物からなるオルガノシロキサン樹脂を挙げることができる。またハードコート層の表面硬度、染色性、屈折率、塗膜の厚さの調整などの観点からコロイド状に分散された金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。かかる金属酸化物微粒子の中でもコロイダルシリカが最も典型的である。
【0103】
より好ましいシリコン樹脂系ハードコート剤としては、コロイダルシリカ(x成分)、トリアルコキシシランの加水分解縮合物(y成分)、テトラアルコキシシランの加水分解縮合物(z成分)からなるオルガノシロキサン樹脂を挙げることができる。特に耐摩耗性に優れたハードコート層を形成するハードコート組成物を得るためには、トリアルコキシシランとして70重量%以上がメチルトリアルコキシシランであることが好ましく、実質的に全量がメチルトリアルコキシシランであることがさらに好ましい。テトラアルコキシシランとして好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。これらのアルコキシシランは単独もしくは混合して使用できる。
【0104】
y成分およびz成分は、該アルコキシシランの一部または全部が加水分解したものおよび該加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物等の混合物であり、これらはゾルゲル反応をさせることにより得られるものである。殊に以下のプロセス(1)およびプロセス(2)からなるプロセスを経て調製することが、沈殿の生成がなく、より耐摩耗性に優れるコート層を得ることができ好ましく採用される。
【0105】
プロセス(1):コロイダルシリカ分散液中でのトリアルコキシシランを酸性条件下加水分解縮合反応させる。
プロセス(2):(i)プロセス(1)の反応で得られた反応液にテトラアルコキシシランを添加し、加水分解縮合反応せしめる、または(ii)プロセス(1)の反応で得られた反応液と、あらかじめテトラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混合する。
前記オルガノシロキサン樹脂固形分であるx成分、y成分およびz成分の各成分の混合割合は、好ましくはx成分が5〜45重量%、y成分がR8SiO3/2に換算して50〜80重量%、z成分がSiO2に換算して2〜30重量%で用いられ、さらに好ましくは該x成分が15〜35重量%、該y成分がR8SiO3/2に換算して55〜75重量%、該z成分がSiO2に換算して3〜20重量%である。ここでR8は一価の有機基を意味する。
【0106】
ハードコート組成物は通常さらに硬化触媒を含有する。かかる触媒としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましく使用される。コロイダルシリカとして塩基性水分散型コロイダルシリカを使用し、アルコキシシランの加水分解の際に酸として脂肪族カルボン酸を使用した場合には、該ハードコート組成物中に既に硬化触媒が含有されていることになる。
ハードコート組成物のコート方法としては、プライマー組成物の塗布方法として挙げた各種の方法が適宜選択できる。さらにシリコン樹脂系ハードコート層の厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜8μmである。またかかるハードコート層においてもプライマー組成物において挙げた各種の光安定剤や紫外線吸収剤を含むことが可能である。
【0107】
本発明の積層構造体は、シート面に沿って連続した色調の変化(グラデーション色彩)が認められるので審美性および意匠性に優れている。
殊に積層構造体が、透明もしくは半透明である場合、装飾有機ガラスおよびガラス窓として利用することができる。積層構造体を有機ガラスおよびガラス窓として利用することにより、通常の無色透明なガラスに比較して、審美性に優れ、種々の色彩を有するガラスを使用することにより、変化に富んだ製品や窓を作ることができる。
殊に、シート状積層構造体が、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている場合には、この文字または図形が立体的に強調された有機ガラスとすることができる。
【0108】
本発明の積層構造体の好ましい態様としては、シート状積層構造体および光源部より構成され、かつその光源部は該積層構造体の側面端部に配置されていることを特徴とする高意匠性シート状積層構造体を挙げることできる。光源部の配置は積層構造体の側面端部のいずれの部分においても可能であるが、前述のとおりより優れた意匠性や審美性が得られる点から、該側面端部は、その側面から積層構造体の対応する他の側面の方向に向かって、着色剤を含有しかつ単調な厚みの変化を有している層が形成される端部であることが好ましい。
図3および図4に示した側面図を用いて説明すると、光源部は積層構造体における層(3)の厚肉部側面端部(図3)または層(3)の薄肉部側面端部(図4)に配置される。光源部は図3および図4のようにいずれか一方の側面端部に配置してもよく、両方の側面端部に配置することもできる。
【0109】
さらに、側面端部に光源を有する積層構造体の場合は、殊に2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されていることが好ましい。これは前述のとおり、側面端部の光源の存在によりその図形が連続した色調の変化した面の中から幻想的または立体的に観察されるといった極めて優れた意匠性や審美性が得られるためである。かかる優れた意匠性は殊に1つの層中に蛍光着色剤、光拡散剤、または光高反射剤が配合されている場合に発揮され、したがってこれらの添加剤を含んでいることがより好適である。
【0110】
側面端部の光源によって立体的な文字または図形が観察される意匠性を達成するためには、次の構成が好適である。すなわち、立体的パターンが凸側の層に蛍光着色剤または光高反射剤を含有する樹脂を使用し、該層の厚みが薄肉である側(すなわち、全体の厚みがほぼ均一な場合、実質的に無色または他の着色剤により着色されている層の厚肉側)の側面端部に光源部を配置する構成である。かかる構成では蛍光着色剤を含む場合は立体的パターンの凸部分がより光輝するため、光高反射剤を含む場合は光が直接あたらない部分との陰影の差が生ずるため、図形等がより立体的に観察されるようになる。
【0111】
さらに上記の優れた意匠性や審美性の効果は、積層構造体が透明もしくは半透明である装飾有機ガラスあるいはガラス窓においてより発揮される。
すなわち有機ガラスにおけるシート状積層構造体の側面端部に光源部を配置した場合には、光源部からの光の照射により色調のグラデーション効果が強調して発現される。さらに前述した立体的パターンによる文字または図形が施されたシート状積層構造体は側面端部からの光の照射により、全体が透明性を有しながらその文字または図形がより立体的に強調される効果が得られる。
その際、該光源部が配置されるシート状積層構造体の側面端部は、その側面端部から対応する他の側面の方向に沿って、染料、顔料、または光拡散剤を含有しかつ単調な厚みの変化を有している層が形成されている端部であるのが好ましい。
【0112】
殊に1つの層が蛍光染料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が実質的に無色の透明な樹脂により形成されている装飾有機ガラスまたはガラス窓の態様が好適である。
なお、光源部は家庭用電源、自動車用電源、車輌用電源、ポータブル電源および電池などを電源として発光する電灯が設けられたものである。また積層構造体の側面端部に光を照射する構造の場合、光源そのものが側面端部に配置されている必要はなく、光ファイバーなどで側面端部に導光する構造であってもよい。また電灯は通常家庭用、自動車用および車輌用などとして用いられる周知の電灯のいずれも使用することができる。
電灯の形状は特に限定されるものではなく、点状、球状、管状および面状などの各種の形状を取ることが可能であり、点光源による点発光、線光源による線発光または面光源による面発光のいずれも使用することができる。
【0113】
電灯は、白熱電灯、タングステンランプ、ハロゲンタングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、LED(発光ダイオード)、EL(エレクトロルミネセンス)、半導体レーザなどを使用することができるが、特に情報機器の分野において用いられる冷陰極蛍光ランプ、セミホット蛍光ランプ、熱陰極蛍光ランプ、平面蛍光ランプ、ブラックライト、LED、EL、半導体レーザ、ショートアークメタルランプ、ショートアークキセノンランプ、ハロゲンランプ、超高圧水銀ランプ、内部電極型希ガス蛍光ランプ、外部電極型希ガス蛍光ランプなどを用いることが好ましい。
【0114】
電灯からの光は積層構造体の側面端部へ直接照射されてもよく、光フィルターやプリズムを介して特定の波長成分のみを照射するものでもよく、また光拡散板などを介して電灯からの光の光軸を変化させて照射されるものでもよい。また電灯からの光は常時照射による連続点灯されていてもよく、照射および非照射の繰返しによる連続もしくは不連続点滅されていてもよい。
さらに本発明の積層構造体は、樹脂により形成されているので、軽量であり、自動車窓として利用することができる。自動車窓として利用する場合、積層構造体は、各層がポリカーボネート樹脂で形成されていることが、透明性、耐熱性および耐衝撃性の点から好ましい。自動車窓として利用する場合、その表面は前述した表面コーティングによって表面硬度を改良したものが適している。
【0115】
各種の自動車窓のうち、好ましくはウインドシールド(フロントガラス)を除く、他のガラス窓に本発明の自動車窓は利用される。例えばフロントドアウインドウ、リアウインドウ、クォーターウインドウ、バックウインドウまたはサンルーフウインドウに本発明の自動車窓は適用できる。
本発明の積層構造体を自動車のバックウインドウとして利用した場合の積層構造体の形態が図10に、また自動車における窓の配置図が図11に示されている。
【0116】
図10および図11に示すように、自動車の窓として積層構造体を配置した場合、色調は、上部から下部へその濃淡が変化してもよい。また濃淡の変化は左右であってもよい。積層構造体には図10および図11に示されているように、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字や図形が施されていてもよい。その際、図10−Bに示すように、積層構造体(窓)の下部に光源部を配置し、光を照射することにより、色調の変化を強調することもでき、文字または図形をより立体的に表現させることもできる。もちろん光源部は、積層構造体を構成する層の形態および組合せによって、下部のみならず、上部、左側または右側のいずれに配置されていてもよい。
【0117】
また本発明によれば、積層構造体を使用して審美性および意匠性に優れた箱状容器が提供される。
すなわち、少なくとも1つの面が積層構造体より構成された箱状容器が提供される。積層構造体として種々の色彩を有する構造体を組合せて箱状容器とすることもでき、また文字や図形のごとき立体パターンを有する積層構造体を使用することにより、色彩のみならず立体的図柄を有する高意匠性の箱状容器とすることもできる。
殊に箱状容器は、例えばコンピューターおよび携帯端末などの各種OA機器におけるハウジングの部材、携帯電話および携帯音響機器などの各種電気および電子機器におけるハウジングの部材、光学機器におけるハウジング、並びに雑貨類などのハウジングとして有利に利用することができる。
【0118】
箱状容器は、それを構成する面の少なくとも1つが、前記シート状積層構造体より形成されている。箱状容器の形状は、特に制限されず箱状容器が利用される物品の形状に対応して決めればよい。この形状は、平面体から構成された4面以上の面を有する箱型でもよい。また6つの平面体からなる形状を例に取ると、全面がシート状物で囲まれた箱型でもよく、その6面体のうち1面もしくは2面において平面体が存在しない箱型であってもよい。この2面において平面体が存在しない箱型は、例えば4つの平面で囲まれ上下が開口した6面体であってもよい。
【0119】
また、箱状容器は、必ずしも矩形の平面体のみから構成されることを要しない。例えば少なくとも一つの平面体は湾曲していてもよい。さらに全体が湾曲した平面体で構成された箱型であってもよい。その一例は、筒状型の箱型である。この湾曲した平面体あるいは筒状型の場合、箱状構造体の一面の一辺の長さをLとしたとき曲率半径(R)はL/2以上、好ましくは3L以上が望ましい。
箱状容器は、少なくとも一面が前記シート状積層構造体で構成されており、このシート状積層構造体の高意匠性の利点を活かすためには少なくとも可視部の面が前記シート状積層構造体で構成されているべきである。
また箱状容器は、シート状積層構造体の平面体の側面端部を加圧融着あるいは接着剤による接着によって形成することができる。またシート状積層構造体を加熱などの手段で一箇所乃至数箇所で折り曲げて二面以上の平面体を構成することも可能である。
【0120】
さらに箱状容器は下記(a)〜(c)に説明するようにインサート成形によって作成することができる。これらは単に説明のためであって、これらの改変でもよく、他の成形方法であってもよい。
(a)単調な厚み変化(さらに立体的な文字または図形を含んでいてもよい)を有するA層からなるシート状物をあらかじめ射出成形などにより作成し、そのシート状物の1個または複数個を金型内にインサートしたのち、B層となる樹脂を射出成形にて充填し積層化して箱状容器を成形する方法。
(b)単調な厚み変化(さらに立体的な文字または図形を含んでいてもよい)を有するA層からなるシート状物をあらかじめ射出成形などにより作成し、得られたシート状物を加熱などの手段で折り曲げて平面体を構成した後、平面体を金型内にインサートし、B層となる樹脂を射出成形にて充填し積層化して箱状容器を成形する方法。
(c)二色成形において、第1金型にて単調な厚み変化(さらに立体的な文字または図形を含んでいてもよい)を有するA層からなるシート状物をあらかじめ射出成形により作成し、次いで金型または成形品を回転またはスライドすることで得られたシート状物を第2金型内に設置し、第2金型にB層となる樹脂を射出成形にて充填し積層化して箱状容器を成形する方法。
【0121】
本発明の箱状容器は、少なくとも一面が前記した高意匠性のシート状積層構造体により構成されていればよく、他の面は他のシート状物例えば金属板や樹脂板などにより構成されていてもよい。
箱状容器は、連続した色調の変化がシート面に沿って種々の形態で形成されているので意匠性および審美性に優れている。従って、種々の機器、機器の部材および生活用品のハウジングに利用することができる。
例えばコンピューターやそれに付随する部材などのOA機器のハウジング;携帯電話および携帯音響機器などの通信もしくは電子および電気機器のハウジング;テープやディスクのケースを収める収納箱や各種物品を入れる容器などの生活用品のハウジングに利用することができる。
【0122】
また面を構成するシート状積層構造体が透明乃至半透明である場合には、内部に光源を有する箱状容器とすることもでき、さらに照明機器、光表示板のごとき光学機器のハウジングにも利用できる。
箱状容器をOA機器のハウジングに使用した模式図が図15−Aに示されている。この図15−Aに示された箱状容器の場合は、その中にOA機器(CD再生器)が収納され、その4つの側面がシート状積層構造体より構成されている。この図15−Aの1つの側面を形成するシート状積層構造体の断面が15−Bに示されている。
図15−Bに示すようにシート状積層構造体は、着色剤を含有する樹脂よりなる層94および着色剤を含有しない樹脂よりなる層96より構成され、その2つの層の界面に図柄91が形成されている。
【0123】
さらにシート状積層構造体の側面端部には光源部92が配置されている。
図15−Aに示されたOA機器は、その側面が前記シート状積層構造体より構成され、その積層構造体は、図柄が施されており、下部の光源部から、光が照射できる構造を有している。かくして色彩の変化(グラデーション)による高意匠性と共に図柄が立体的表示された容器が形成される。光源部による光は、連続して照射されていてもよく、また点滅していてもよい。
既に述べたように本発明のシート状積層構造体は、半円球状、および半円筒状などの形態をとることができる。さらに半円球状の構造体を重ね合わせた球状、あるいは半円筒状を重ね合わせた円筒状の形態であってもよい。これらの形態においてその着色層の厚みの変化は各種の態様が可能ではあるが、意匠性の点からは対称性の高い変化が好ましい。したがって半円球状の場合には成形品端部から構成される面の法線のうち球の中心を通る法線に対して、対称な厚みの変化が好ましい。
【0124】
また上記の形態は、完全な半円球状等である必要はなく、一部が欠落した形態であってもよい。例えば半円球状においては、上記法線方向に投影された形状が二重円となるものなどが挙げられる。かかる場合成形品の側面端部は外側の円に相当する端面および内側の円に相当する端面のいずれも選択できる。
かかる半円球状等の積層構造体は、殊に照明グローブ用の用途に好適である。
従来は全く均一な照明または意匠性に乏しい不均一な照明のいずれかであったところ、本発明の積層構造体を照明グローブとして使用することで意匠性に優れた光量の分布を有する照明が可能となる。さらに優れたところは就寝時などのわずかな光が求められる場合において、側面端部の光源を利用することで心地よい光の演出を可能とすることにある。
【0125】
すなわち、本発明によれば、シート状積層構造体が半円球状の形態を有し、かつその半円球状の内部に光源部を配置することができるようにした装飾照明グローブ、および半円球状の構造体の2つを球状体を形成するように重ね、かつその球状体の内部に光源を配置することができるようにした装飾照明グローブが提供される。さらに同様に上記の半円球状に変えて半円筒状とした装飾照明グローブ、および球状に変えて円筒状とした装飾照明グローブが提供される。
さらにこれらの装飾照明グローブは、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されていることが好ましく、さらにはその側面端部に光源が別途設置されているものが好ましい。かかる側面端部の光源の光量は、内部光源の光量に対していかなる相対的強度を有するものであってもよいが、より好ましい態様は側面端部の光源の光量がより低い場合である。
【0126】
かかる具体例が図13および図14において示されている。かかる照明グローブは2つの半円球(71および75)を合わせて球状とする構成である。通常の照明においては内部光源(81)を点灯し、わずかな明るさが求められる場合には側面端部の光源(82)を点灯する。界面部に付された立体的パターンによる図柄(73)は、内部光源(81)の場合には濃淡の差を生じて優れた意匠性を達成し、側面端部の光源(82)の場合には輪郭がわずかに浮き出て全体として幻想的な光を呈するものとなる。
【0127】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。下記に示す方法で製造された成形品(構造積層体)に対し、以下の光源および配置により光をあて、積層構造体が発する意匠性の評価を行った。
(光源および配置)
(i)バックライト方式:図2に示すように、積層構造体の背面側に下記光源を設置し、表面側から積層構造体の意匠性を評価した。
(光源a):積層構造体の背面に40Wの白色蛍光灯(定格100V)を設置した場合(蛍光灯上に厚み2mmの光拡散板が設置された写真用ライトボックス状構造で均一に光る該光拡散板上に積層構造体を置いて観察した)
(光源b):積層構造体の背面に100Wのハロゲンランプ(定格12V・全光束3,000lm)を設置した場合(積層構造体とハロゲンランプとの距離は約5cmとした)
(ii)エッジライト方式:図3および図4に示すように、積層構造体側面端部(厚肉部側面端部または薄肉部側面端部)に下記電灯を設置し、表面側から積層構造体の意匠性を評価した。
(光源c):積層構造体のB層厚肉部側面端部にほぼ接するように直径2.5mm、長さ220mmの直管タイプの冷陰極蛍光ランプ(NEC製長寿命タイプ、中央輝度35,000cd/m2、ランプ電流6mA)を設置した場合
(光源d):積層構造体のB層薄肉部側面端部にほぼ接するように高輝度タイプの白色LEDを一定間隔毎に並べて線状に配置した方式で設置した場合
(ii)−1.厚肉部側面端部:積層構造体のB層厚肉部側面端部に電灯を設置した場合
(ii)−2.薄肉部側面端部:積層構造体のB層薄肉部側面端部に電灯を設置した場合
(1)意匠性▲1▼
積層構造体の表面側から積層構造体全体の意匠性を目視評価した。評価は積層構造体層(B)の厚肉部側から薄肉部側への色相およびその濃淡(グラデーション)について行った。
(2)意匠性▲2▼
積層構造体の表面側から積層構造体の内部に表現された文字の意匠性を目視評価した。評価は以下の基準に基づいて行った。
(2)−1.形状:
(i)平面的・・・積層構造体の内部に表現された文字が平面的に見える。
(ii)立体的・・・積層構造体の内部に表現された文字が立体的見える(すなわち文字に陰影が認められ、積層構造体内部にあたかも文字が浮かんでいるように見える)。
(2)−2.装飾:
(i)強調・・・積層構造体の内部に表現された文字が強調されて見える。
(ii)色抜き・・・積層構造体の内部に表現された文字が色抜きされて見える。
(iii)幻想的・・・積層構造体の内部に表現された文字が拡散された光の中でその輪郭がにじんだ状態となり幻想的に見える。
実施例において用いる熱可塑性樹脂組成物を以下のように作成した。
(I)<染料を含有する材料で層の一部が構成される場合>
【0128】
参考例1〜6
表2記載の各成分を表2記載の組成割合(単位は重量部である)でドライブレンドした後、径30mmφのダルメージ2段のスクリューを装備したベント付き単軸押出機[ナカタニ機械(株)製:VSK−30]を用い、シリンダー温度およびダイス温度290℃、並びにベント吸引度3,000Paの条件でストランドを押出し、水浴で冷却した後、ペレタイザーでストランドカットを行いペレット化した。このペレットを熱風乾燥機により乾燥した後、以下実施例に示される成形を行った。ただしサンプル記号「PMMA」については、上記溶融混練を行わず、原料をそのまま乾燥および成形に供した。
【0129】
【表2】
Figure 0004542727
【0130】
表2の原料名欄に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(熱可塑性樹脂)
PC:ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量18,500のポリカーボネート樹脂パウダー99.77重量部、Sandstab P−EPQ(サンド(Sandoz)社製)0.03重量部、およびペンタエリスリトールテトラステアレート0.2重量部からなる混合物(これら安定剤離型剤、および場合により着色剤を均一に予備混合し溶融押出してペレットを得た)。なお、PCおよびPCからなる樹脂組成物については成形時の乾燥条件は120℃で5時間、シリンダー温度は300℃、金型温度は100℃とした。
PMMA:ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成工業(株)製 デルペット80N)。なお、PMMAおよびPMMAからなる樹脂組成物については成形時の乾燥条件は100℃で5時間、シリンダー温度は280℃、金型温度は80℃とした。
PO:環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製 ゼオネックス E48R)。なお、POおよびPOからなる樹脂組成物については成形時の乾燥条件は120℃で5時間、シリンダー温度は300℃、金型温度は100℃とした。
(着色剤)
R:ペリノン系赤色染料(有本化学工業(株)製 Plast Red 8315)
Y:キノリン系黄色染料(有本化学工業(株)製 Plast Yellow 8050)
G:アンスラキノン系緑色染料(有本化学工業(株)製 Oil Green 5602)
B:アンスラキノン系青色染料(バイエル社製 MACROLEX Blue RR)
成形品は下記に示す方法により作成した。
【0131】
実施例1
前述のポリカーボネート樹脂(PC(R))およびポリカーボネート樹脂(PC)を120℃で5時間、各々熱風乾燥機で乾燥した後、シリンダー内径50mmφの射出装置を2基備えた多色成形可能な射出成形機(日精樹脂工業(株)製FN−8000−36ATN)を使用して成形を行った。2基のうちの1基のシリンダーを使用して、図5に示す層(A)を形成する成形品をシリンダー温度300℃、金型温度100℃、射出速度150mm/secで成形した。なお、かかる層(A)を形成する成形品は、ゲート側の厚みが4.2mm、流動末端側の厚みが0.8mmであり、かかる両端を結ぶ直線よりなる面(層(A)面)に上に凸の面を描く形状となっている。一方その中央部には立体的パターンとして文字(TCL)が付され、文字部は上記層(A)面に対して+1mm凸の厚みを有する形状となっている。
かかる成形を行った後、同成形機のコア側のプレートを入れ替えて層(B)の成形を行った。層(B)の成形は前記の層(A)を形成する成形体を金型内(固定側)にインサートして行った。層(B)の成形は2基のうち残りの1基のシリンダーを使用して、シリンダー温度300℃、金型温度100℃、射出速度300mm/secで層(B)を形成する樹脂を射出して行い、図6および図9に示す一体成形品(積層構造体)を得た。
【0132】
層(B)の成形においては、金型を閉じた後真空ポンプ(日本真空技術(株)製ULVAC PMB006CMメカニカルブースターおよびEC803ロータリーポンプを組合せたもの)を使用し、10秒間排気を行った後成形した。なお、排気は金型キャビティ周囲に設けられたガス抜き用のクリアランスを通して行った。
また金型は同一の主金型を使用して、プレートの入れ替えのみを行う方式とした(図7および図8では、片方の流路は省略)。層(A)および層(B)の成形ともにホットランナー(モールドマスターズ社製外部加熱方式)方式で、温度はともに310℃とした。かかるホットランナーのゲート径は3.5mmφであった。
【0133】
実施例2〜4
表3に示す材料とし、成形する材料に対応して上記乾燥条件、シリンダー温度、金型温度とした以外は、実施例1と同様に成形を行い、一体成形品(積層構造体)を得た。
【0134】
【表3】
Figure 0004542727
【0135】
表3から明らかなように、例えば、実施例1の場合、成形品層(B)厚肉部側から層(B)薄肉部側に向かって淡い赤色から濃い赤色にグラデーションを有する色彩とともに、成形品内部に表現された文字が成形品全体に対して平面的に強調された優れた意匠性が得られる。
(II)<蛍光染料を含有する材料で層の一部が構成されている場合>
【0136】
参考例1、2、および7〜10
表4記載の各成分を表4記載の組成割合でドライブレンドした後、径30mmφのダルメージ2段のスクリューを装備したベント付き単軸押出機[ナカタニ機械(株)製:VSK−30]を用い、シリンダー温度およびダイス温度290℃、並びにベント吸引度3,000Paの条件でストランドを押出し、水浴で冷却した後、ペレタイザーでストランドカットを行いペレット化した。このペレットを熱風乾燥機により乾燥した後、以下実施例に示される成形を行った。ただしサンプル記号「PMMA」および「PO」については、上記溶融混練を行わず、原料をそのまま乾燥および成形に供した。
【0137】
【表4】
Figure 0004542727
【0138】
表4の原料名欄に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(着色剤(蛍光染料))
FR:ペリレン系蛍光赤色染料(BASF社製 LUMOGEN F Red300)
FY:ペリレン系蛍光赤色染料(BASF社製 LUMOGEN F Yellow083)
FO:ペリレン系蛍光赤色染料(BASF社製 LUMOGEN F Orange240)
成形品は下記に示す方法により作成した。
【0139】
実施例5〜7
表5に示す材料とし、成形する材料に対応して上記乾燥条件、シリンダー温度、金型温度とした以外は、実施例1と同様に成形を行い、一体成形品(積層構造体)を得た。
【0140】
【表5】
Figure 0004542727
【0141】
表5から明らかなように、例えば、実施例7の場合、成形品層(B)厚肉部側から層(B)薄肉部側に向かって淡い蛍光赤色から濃い蛍光赤色にグラデーションを有する色彩が得られる。さらに成形品の背面から白色蛍光灯(光源a)をあてると、成形品内部に表現された文字が成形品全体に対して平面的に強調された優れた意匠性が得られる。
また、成形品の層(B)厚肉部側端面から冷陰極蛍光ランプ(光源c)をあてると、成形品内部に表現された文字が発光し、陰影が付与される。それにより成形品全体に対して文字が立体的に強調された優れた意匠性が得られる。
(III)<光高反射性を有する材料で層の一部が構成される場合>
【0142】
参考例3、4、11、および12
表6記載の各成分を表5記載の組成割合でドライブレンドした後、径30mmφのダルメージ2段のスクリューを装備したベント付き単軸押出機[ナカタニ機械(株)製:VSK−30]を用い、シリンダー温度およびダイス温度290℃、並びにベント吸引度3,000Paの条件でストランドを押出し、水浴で冷却した後、ペレタイザーでストランドカットを行いペレット化した。このペレットを熱風乾燥機により乾燥した後、以下実施例に示される成形を行った。
【0143】
【表6】
Figure 0004542727
【0144】
表6の原料名欄に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(光高反射剤)
Ti:酸化チタン(石原産業(株)製 PC−3)
成形品は下記に示す方法により作成した。
【0145】
実施例8〜10
表7に示す材料とし、成形する材料に対応して上記乾燥条件、シリンダー温度、金型温度とした以外は、実施例1と同様に成形を行い、一体成形品(積層構造体)を得た。
【0146】
【表7】
Figure 0004542727
【0147】
表7から明らかなように、例えば、実施例8の場合、成形品の層(B)厚肉部側端面から冷陰極蛍光ランプ(光源c)をあてると、成形品内部に表現された文字部分では他の部分と異なる光の反射が生ずる。これにより成形品全体に対して文字が立体的に強調された優れた意匠性が得られる。
(IV)<光拡散性を有する材料で層の一部が構成されている場合>
【0148】
参考例3、10、および13〜15
表8記載の各成分を表8記載の組成割合でドライブレンドした後、径30mmφのダルメージ2段のスクリューを装備したベント付き単軸押出機[ナカタニ機械(株)製:VSK−30]を用い、シリンダー温度およびダイス温度290℃、並びにベント吸引度3,000Paの条件でストランドを押出し、水浴で冷却した後、ペレタイザーでストランドカットを行いペレット化した。このペレットを熱風乾燥機により乾燥した後、以下実施例に示される成形を行った。
【0149】
【表8】
Figure 0004542727
【0150】
表8の原料名欄に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(光拡散剤)
S:シリコン系架橋粒子(ジーイー東芝シリコーン(株)製 トスパール120)
A:アクリル系架橋粒子(積水化成品工業(株)製 テクポリマーMBX−5)
M:無機系微粒子(日東紡績(株)製 硝子繊維 PFE−301S)
成形品は下記に示す方法により作成した。
【0151】
実施例11〜14
表9に示す材料とし、成形する材料に対応して上記乾燥条件、シリンダー温度、金型温度とした以外は、実施例1と同様に成形を行い、一体成形品(積層構造体)を得た。
【0152】
【表9】
Figure 0004542727
【0153】
表9から明らかなように、例えば、実施例11の場合、ハロゲンランプ(光源b)を当てると、成形品層(B)厚肉部側から層(B)薄肉部側に向かって赤色から橙色、黄色にグラデーションを有する色彩が得られる。さらに、成形品内部に表現された文字が成形品全体に対して平面的に色抜きされた優れた意匠性が得られる。
また成形品の層(B)厚肉部側端面から高輝度タイプの白色LED(光源d)をあてると、成形品内部に表現された文字が拡散された光の中で文字の輪郭がややにじんだ状態で観察される。さらに文字は色抜けされた状態であるため幻想的な感覚を生ずる優れた意匠性が得られる。
【0154】
さらに、実施例14に見られるように、成形品の層(B)薄肉部側端面(光拡散材料からなる層(A)の厚肉部側端面)から高輝度タイプの白色LED(光源d)を当てると、面が均一な色の濃淡で光る。すなわち光拡散材料で層の一部が構成されている場合、光を当てる方向で全く異なる意匠性が得られる。
【0155】
参考例16〜22
表10記載の各成分を表10記載の組成割合(単位は重量部である)でタンブラーでドライブレンドした後、径30mmφ、L/D=33.2、混練ゾーン2箇所のスクリューを装備したベント付き二軸押出機((株)神戸製鋼所製:KTX30)を用い、シリンダー温度およびダイス温度290℃、並びにベント吸引度3,000Paの条件でストランドを押出し、水浴で冷却した後、ペレタイザーでストランドカットを行いペレット化した。このペレットを熱風乾燥機により乾燥した後、以下実施例に示される成形を行った。なお、ドライブレンドにおいては、PC(ポリカーボネート樹脂)100重量部に対して1重量部未満の添加剤は、離型剤においては10重量%の割合で、蛍光染料、通常染料、光拡散剤、および紫外線吸収剤においては1重量%の割合で、スーパーミキサーで均一に混合したPCとのマスター剤を用いて混合した。さらにPC100重量部に対して0.01重量部未満の添加剤については1重量%のマスター剤をさらに1重量%のマスター剤として用いた。
【0156】
【表10】
Figure 0004542727
【0157】
表10の原料名欄に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(熱可塑性樹脂)
PC:粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製 パンライトL−1225WX)
(リン系安定剤)
PQ:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイトを主成分とする安定剤(クラリアントジャパン(株)製サンドスタブP−EPQ PLUS)
M:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製 TMP)
IR:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(日本チバガイギー(株)製 Irgafos168)
(離型剤)
SA:ステアリン酸とグリセリンのモノエステル(理研ビタミン(株)製 リケマールS−100A)
SL:グリセリンの飽和脂肪酸トリエステル、および高級アルコールと飽和脂肪酸とのエステルの混合物(理研ビタミン(株)製 リケマールSL900)
PT:ペンタエリスリトールテトラステアレート
(蛍光染料)
FR:ペリレン系赤蛍光染料(BASF社製 Lumogen F Red 300)
FO:ペリレン系橙蛍光染料(BASF社製 Lumogen F Orange240)
HP:クマリン系蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製 ハッコールPSR)
(染料)
B:アンスラキノン系青色染料(バイエル社製 MACROLEX Blue RR)
Y:キノリン系黄色染料(有本化学工業(株)製 Plast Yellow 8050)
(光拡散剤)
A:アクリル系架橋粒子(積水化成品工業(株)製 テクポリマーMBX−5)
S:シリコン系架橋粒子(ジーイー東芝シリコーン(株)製 トスパール120)
(紫外線吸収剤)
TN:トリアジン系紫外線吸収剤(2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、日本チバガイギー(株)製 TINUVIN1577)
CS:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ケミプロ化成(株)製 ケミソーブ79)
【0158】
実施例15(自動車用窓の作成)
参考例16および17のポリカーボネート樹脂(PC(A))およびポリカーボネート樹脂(PC(B))を120℃で5時間、各々熱風乾燥機で乾燥した後、シリンダー内径50mmφの射出装置を2基備えた多色成形可能な射出成形機(日精樹脂工業(株)製FN−8000−36ATN)を使用して図10に示す自動車のリアウインドウを想定したモデル成形品を成形した。自動車に取り付けた状態の概要図を図11に示した。該モデル成形品の成形は図12に示すとおり、スライド形式の金型を用いた2色成形法であり、かつ2層目の成形において射出プレス成形を行う成形法により行った。また成形は1次射出(1層目:PC(B))および2次射出(2層目:PC(A))共にバルブゲート型のホットランナーを使用し、ホットランナーの温度は310℃とした。
【0159】
成形品の主な形状は次のとおりである。上縁の横方向の長さ約250mmおよび上縁の曲率が約R1,880mm、下縁の横方向の長さ約300mmおよび下縁の曲率が約R2,050mm、並びに高さ方向の長さ約210mmである。厚みは1層目のゲート側が5.9mmおよび流動末端側が0.5mmであり、2層目はゲート側(1層目の流動末端側)が5.9mmであり、流動末端側が0.5mmである。成形品全体の厚みは6.4mmで均一の厚みである。ゲートは1層目および2層目いずれも幅約200mmおよび厚み2.0mmのフィルムゲートである。厚みの変化は両端を結ぶ直線よりなる面からなり、かかる面よりPC(B)で構成される層の側を+1mm凸の厚みとすることで立体的パターンを付してある。
【0160】
成形の手順は次のとおりであった。まず図[12−A]に示すように1次射出工程においてPC(B)を、シリンダー温度300℃、金型温度100℃、射出速度50mm/secで成形した。保圧は30MPa、冷却30秒で成形を行った。1次射出工程は、120℃で5時間熱風乾燥したPC(B)のペレットを1次射出ユニット(42)のホッパ(43)に供給し、スクリュー(44)により溶融可塑化された樹脂(41)をスクリューの前進動作(45)により1次射出用の金型キャビティ(55)に充填した。ホットランナ(40)の1次射出側のバルブは保圧過程後に閉じた。なお、2次射出ユニットにおいては、120℃で5時間熱風乾燥したPC(A)のペレットが2次射出ユニット(48)のホッパ(46)に供給され、スクリュー(47)により溶融可塑化した状態とされている。
【0161】
次に図[12−B]に示すように金型キャビティ内部の樹脂を冷却させた後、金型を後退(56)し1層目の成形品(57)を金型固定側に残した状態で得た。なお、冷却開始後から次の成形のための樹脂の計量を行った。
次に図[12−C]に示すように、金型を上方向にスライドさせ(58)、金型キャビティを1次射出用から2次射出用に取り替えた。
その後図[12−D]に示すように、金型を閉じ(59)、2次射出用の金型キャビティと1層目の成形品とからなる樹脂充填用の空間を得た。ここでコアプレート(51)は成形品の所定厚みよりも2mm余分に開いた状態とした。
そして図[12−E]に示すように、2次射出工程においてスクリュー(47)を前進させ(61)、PC(A)をシリンダー温度300℃、金型温度100℃、射出速度50mm/secで充填した。充填時間は約3.5秒であった。図に示すように樹脂(PC(A))(60)の充填は金型キャビティ容量に対して不足した状態となっている。
【0162】
図[12−F]に示すように、コアプレート(51)を前進させて金型キャビティ内の樹脂のプレス(62)を行った。コアプレートの前進は充填終了時の0.5秒前から開始し(すなわちオーバーラップ時間が0.5秒)、コアプレートの移動速度は1mm/sec、プレス圧力20MPaでプレスを行った。ブレスはプレス開始から約37秒間行った。その後プレスの圧力を0MPaとして冷却を45秒行い、冷却後成形品を取り出した。
(ii)表面コート処理
さらに得られた積層構造体は次の手順で車両外側にあたる表面側(射出プレス成形されたPC(A)からなる層の側)をハードコート処理した。すなわち、積層構造体の片面に下記に示すコーティング用組成物(i−1)をフローコーターで塗布し25℃で20分間静置後、120℃で30分間熱硬化させ第1層を形成させた。次いで、下記に示すコーティング用組成物(ii−1)をさらにフローコーターで塗布し25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させ第2層を形成させた。第1層の膜厚は約2μm、第2層の膜厚は約5μmだった。得られた積層構造体は、歪がなく良好なコーティングがなされた成形品であり図11に示すように自動車に配置した場合十分に実用に供し得るものであった。さらにこの積層構造体はグラデーションの色調を有する自動車用ガラス窓としては特異な意匠性を有するものである。またかかる積層体は下側(PC(B)の厚みが厚い側)の側面から光を当てることにより中央部の文字が立体的に表示される機能を有し、従来にない特異な意匠性を有する自動車用ガラス窓として価値の高いものであった。
【0163】
コーティング用組成物(i−1)
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にメチルメタクリレート(以下MMAと略称する)70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)39部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部および1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、MMA/HEMAの組成比70/30(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(I))90部を得た。該コポリマーの重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で80,000であった。
【0164】
また、メチルトリメトキシシラン142部、蒸留水72部、酢酸20部を氷水で冷却下混合し、この混合液を25℃で1時間攪拌し、イソプロパノール116部で希釈してメチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)350部を得た。一方、テトラエトキシシラン208部、0.01N塩酸81部を氷水で冷却下混合し、この混合液を25℃で3時間攪拌し、イソプロパノール11部で希釈してテトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(Y)300部を得た。
次にハードコート第1層用組成物として、前記アクリル樹脂(I)8部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、エタノール5.2部、イソプロパノール14部および2−エトキシエタノール10部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液にメチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)10部を添加して25℃で5分間攪拌し、さらにかかる溶液にメラミン樹脂(三井サイテック(株)製サイメル303)1部を添加して25℃で5分間攪拌し、コーティング用組成物(i−1)を調製した。
【0165】
コーティング用組成物( ii −1)
さらにハードコート第2層用組成物として、水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン134部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、テトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(Y)20部および硬化触媒として酢酸ナトリウム1部を加えイソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−1)を調製した。
【0166】
実施例16(照明グローブの作成)
図13および図14に示す半円球状の積層構造体を合わせた球状の照明グローブ(電球カバー成形品)を実施例1と同じ成形機およびほぼ同じ成形温度および射出速度で成形した。かかる成形品は図14にその断面模式図を示すように、上部表層が光拡散性を有するPC(D)で構成され、上部裏層がPC(C)で構成されるものである。成形品は直径約10cm、厚みが6mmである。PC(D)から構成される部分を先に成形した後、該成形品をインサート成形することにより積層構造体を作成した。インサート成形では射出プレス成形を行った。得られた積層構造体は図13に示すように電球のカバーとして使用され、色の変化が穏やかな雰囲気を有するものであった。
【0167】
実施例17(ドーム型蛍光灯のカバー作成)
半球状のドーム型の蛍光灯カバーを実施例1と同じ成形機およびほぼ同じ成形温度および射出速度で成形した。かかる成形品は、成形品表層部がほぼ透明なPC(C)で構成され、裏層部がPC(D)で構成されるものである。直径は約200mm、高さ約50mm、厚みが6mmからなる。この成形品はPC(D)から構成される部分を先に成形した後(外周部から2点のサイドゲート)、インサート成形して(塔頂部裏面から1点のダイレクトゲート)積層構造体を作成した。インサート成形では射出プレス成形を行った。この積層体は、ドーム型の頂部部分においてPC(C)の層が厚く、ドーム型の周囲部分においてはPC(D)の層が厚くなるように構成されていた。得られた積層構造体は蛍光灯のカバーとして使用され明るさに変化のある意匠性に富むものであった。
【0168】
実施例18(電球カバーの作成)
上記実施例17と同様の方法で半球状の積層構造体を得た後、これを対称軸で半分に切断して電球カバーを作成した。さらにその切断側面端部に白色LEDを配列した形成された光源を設置した。成形品は表層部がわずかに光拡散剤を有するPC(F)で構成され、裏層部がPC(E)で構成されるものであり、両層は厚みの変化を有していた。得られた積層構造体は光源に近い部分の透明性が低いため穏やかな光を発すると共に、切断側面端部に設けられたLED光源によりカバー全体が適度な光を発する。この適度な光は就寝時などに適切であり、またそのグラデーションを有する色調が心地よさを生ずるものであった。
【0169】
実施例19(箱状容器の作成)
4つの平板状の積層構造体を貼りあわせて、図15−Aに示すグラデーション色調を有する箱状容器を作成した。使用する平板状の積層構造体は実施例1と同じ成形機およびほぼ同じ成形温度および射出速度で成形した。かかる板状の積層構造体は図15−Bに示す断面模式図に示すとおり、蛍光染料を有するPC(B)およびPC(G)で構成される裏層部と、PC(C)で構成される表層部からなる。平板状の積層構造体は高さおよび幅がいずれも150mmであり、また厚みは5mmである。それぞれの層の厚みはいずれもゲート側が4mm、流動末端側が1mmである。ゲートはいずれも厚み1mmのフィルムゲートとした。厚みの変化は両端を結ぶ直線よりなる面からなり、かかる面よりPC(B)およびPC(G)で構成される層の側を+1mm凸の厚みとすることで図柄の立体的パターンを付してある。1層目(PC(B)およびPC(G)からなる層)を別途成形した後、かかる成形品をインサートして2層目(PC(C)からなる層)を射出プレス成形により成形した。4つ板状の積層構造体を貼りあわせた後に図15−Bに示すように下側(PC(C)からなる層の厚みが厚い側)の側面部に白色LEDを配列した光源部を設置して箱状の積層構造体とした。かかる光源により付された立体的パターンが立体的な図柄として浮かび上がる意匠が達成された。
図15−Aはかかる箱状の積層構造体にCD再生装置を挿入して意匠性の高いCD再生装置を作成することができることを示している。音声情報の変化に合わせて光源の強弱や色の変化をつけることにより高い意匠性を達成することが可能となる。
【0170】
実施例20(水槽の作成)
板状の積層構造体を4つの側面の1つの側面として構成された意匠性の高い水槽を作成した。板状の積層構造体は1層目としてPC(E)からなる層を別途成形し、これをインサートした状態で2層目としてPC(F)からなる層を射出プレス成形により成形した。図柄の立体的パターンは実施例19と同様の方法でPC(E)から構成される層の厚みを+1mm凸とすることで付してある。さらに上側(PC(F)からなる層の厚みが厚い側)の側面部に白色LEDを配列した光源部を設置しほぼ全体が均一に青色に輝く構成となっている。かかる積層構造体を内面奥側に有する水槽は、その観賞力がさらに高められていたものであった。
【0171】
実施例21(定規の作成)
積層構造体からなる定規を作成した。上面側をPC(C)の層から構成し、下側をPC(E)の層から構成し、下側に凸の立体的パターンによる図柄を付して先に成形を行い、それを金型内にインサートした状態で射出プレス成形で成形した。得られた定規は、2つの層の厚み変化を有し、色調の変化と図柄を有するものであり、高い意匠性を有するものであった。
【0172】
【発明の効果】
本発明によれば、自由度の高い連続した色調の変化(グラデーション色彩)を有するとともに多彩な内部表現が可能な文字・絵・模様が立体的に付与できる積層構造体を提供できる。
本発明のシート状積層構造体は、その色調の変化の特徴および文字や図形の立体的表現に優れているので、種々の利用が期待できる。例えば、自動車窓、ショーケース、照明具、箱状容器の他に、電飾パネル(自動販売機、スロットマシーン等のゲーム機、および看板等)、車輌用風防、ヘルメットおよびその風防、眼鏡、防護用の盾、家具、雑貨等(文房具、食器、掃除用品、調理具、小物入れ、玩具等)にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状積層構造体の1例のシート面における直角断面の形状を示す模式図である。
【図2】バックライト方式により本発明の積層構造体の背面に光源(L)を配置し、その意匠性を観察する際の模式図を示す側面図である。
【図3】エッジライト方式により本発明の積層構造体の層(B)の厚肉部側端面に光源(L)を配置しその意匠性を観察する際の模式図を示す側面図である。
【図4】エッジライト方式により本発明の積層構造体の層(B)の薄肉部側端面に光源(L)を配置しその意匠性を観察する際の模式図を示す側面図である。
【図5】実施例において使用した積層構造体の層(A)を形成する成形品形状の概要を模式的に表す斜視図である。
【図6】実施例において使用した積層構造体の概要を模式的に表す側面図である。
【図7】層(A)を成形した際の成形金型の模式図を示す側面図である。なお、固定側金型のホットランナー流路については層(B)用のものを省略している。
【図8】層(A)の成形品をインサートし、層(B)を成形した際の成形金型の模式図を示す側面図である。なお、固定側金型のホットランナー流路については層(A)用のものを省略している。
【図9】実施例において使用した積層構造体の概要を模式的に表す正面図である。この図9は図の下方から上方に向かって色調が濃から淡に変化している態様を示すが、図面にはこの変化は作図上省略されている。
【図10】10−A:実施例において作成した自動車用ガラス窓の一例を模式的に示す斜視図である。10−B:このガラス窓の断面を模式的に示す図である。濃色部がPC(B)で形成され、白色部がPC(A)で形成される。
【図11】実施例において作成した自動車ガラス窓を自動車のバックウィンドウとして装置した状態を模式的に示す斜視図である。
【図12】自動車ガラス窓を作成するための2色成形および射出プレス成形の工程を示す。
12−A:1次射出の工程を示す。1次射出工程ではPC(B)が金型内に充填される。
12−B:PC(B)からなる成形品の冷却後に金型を開く工程を示す。
12−C:金型をスライドさせて金型キャビティを取り替える工程を示す。
12−D:上記12−Cの状態で金型を閉める工程を示す。なおコアプレートは後退しており、金型キャビティの容量は2層目の成形容量よりも大きな状態で金型が閉められる。
12−E:2次射出工程を示し、上記12−Dの状態の金型キャビティ内に所定量の樹脂(PC(A))が充填される。
12−F:金型キャビティ内にコアプレートがコアプレート用のシリンダーの移動により、前進して樹脂を所定量まで圧縮する工程を示す。なお、圧縮の開始は樹脂(PC(A))の充填が終了する以前から開始される。
【図13】実施例において作成した球状の照明用グローブを模式的に示す正面図である。
【図14】14−A:図13の照明用グローブの上部半球部分の断面を模式的に示した図である。濃色部はPC(D)から構成され、白色部はPC(C)から構成されている。
14−B:図13の照明用グローブの下部半球部分の断面を模式的に示した図である。濃色部はPC(D)から構成され、白色部はPC(C)から構成されている。
【図15】15−A:実施例において作成した、箱状容器を模式的に示す斜視図である。
15−B:上記箱状容器を構成する板状の積層構造体の上下長さ方向の断面を模式的に示す図である。濃色部はPC(B)およびPC(G)から構成され、白色部はPC(C)から構成されている。
【符号の説明】
1 積層構造体本体
2 積層構造体層(A)
3 積層構造体層(B)
4 積層構造体層(A)における図柄の立体的パターン(かかる部分の厚みは層(A)面に対して+1mmの厚みを増している)
X 観察方向(矢印)
L 光源
5 積層構造体本体の上下方向の長さ
6 積層構造体本体の厚み
7 積層構造体本体層(B)のゲート部における厚み
8 積層構造体本体層(A)の下端部(流動末端部)における厚み
9 図柄の立体的パターン部の長さ
10 図柄の立体的パターン部の厚み(層(A)面に対して+1mm)
11 積層構造体の層(A)および層(B)の厚みが共に同じ厚みになる部分の位置
12 上記11における層(A)の厚み
13 固定側金型
14 層(A)用のコア側金型
15 層(A)用ホットランナー先端バルブ
16 層(A)用ホットランナー流路
17 層(A)用シリンダー
18 層(A)用樹脂の流れ
19 可動側金型
20 層(B)用ホットランナー先端バルブ
21 層(B)用ホットランナー流路
22 層(B)用シリンダー
23 層(B)用樹脂の流れ
24 層(B)用のコア側金型
30 自動車用ガラス窓本体
31 ガラス窓本体に設けられた立体的パターン(着色された層(34)において凸状)
32 ガラス窓本体の側面端部に設置された光源ユニット
33 ガラス窓表面側(自動車外側)を形成する層(表面にハードコート処理あり)
34 ガラス窓裏面側(自動車内側)を形成する着色された樹脂による層
35 光源ユニット内部のLED
40 成形のためのホットランナユニット(バルブゲート式)
41 1次射出工程で金型キャビティに充填される樹脂(PC(B))
42 1次射出ユニット(1次射出工程のための射出ユニット)
43 1次射出ユニットのホッパ
44 1次射出ユニットのスクリュー
45 1次射出ユニットのスクリューの前進動作を表す矢印
46 2次射出ユニットのホッパ
47 2次射出ユニットのスクリュー
48 2次射出ユニット(2次射出工程のための射出ユニット)
49 2次射出工程で金型キャビティに充填される樹脂(PC(A))
50 2次射出工程用の金型キャビティ
51 射出プレス成形の圧縮動作のためのコアプレート
52 金型全体を移動させるための油圧シリンダー
53 コアプレートを移動させるための油圧シリンダー
54 スライド機構を有する2色成形用金型
55 1次射出工程用の金型キャビティ(図[12−A]では樹脂PC(B)がキャビティ内に充填された状態を示す)
56 金型が後退する(金型が開く)動作を示す矢印
57 1層目の成形において得られた成形品
58 金型が上方向にスライドする動作を示す矢印
59 金型が前進する(金型が閉じる)動作を示す矢印
60 2次射出工程用の金型キャビティ内に充填された樹脂(PC(A))
61 2次射出工程においてシリンダーが前進する動作を示す矢印
62 2層目の成形においてコアプレート(51)がシリンダー(53)の前進により、キャビティ内の樹脂をプレスしながら前進し、所定の厚みに達する動作を示す矢印
70 照明用グローブ本体
71 照明用グローブ上部半球
72 成形品内壁面を表す破線
73 グローブの上部半球の積層体界面部分に付された立体的パターン
74 グローブの上部半球と下部半球との嵌合部
75 照明用グローブ下部半球
76 照明用光源を設置するためのリブ
77 照明用グローブ上部半球の表面側の層
78 照明用グローブ上部半球の裏面側の層
79 照明用グローブ下部半球の表面側の層
80 照明用グローブ下部半球の裏面側の層
81 照明用の電球
82 成形品側面端部に設置されたLED
83 LED(82)を保持するための枠
90 箱状の積層構造体本体
91 積層構造体の界面部分に付された立体的パターン
92 成形品側面端部に設置された光源ユニット
93 箱状容器中に内包された電子機器(内部の光記録媒体が正面部より透視できる)
94 積層構造体の裏面側の層(PC(B)およびPC(G)からなる層)
95 成形品の観察方向を示す矢印
96 積層構造体の表面側の層(PC(C)からなる層)
97 成形品側面端部に設置された白色LED

Claims (40)

  1. (1)熱可塑性樹脂より形成された層の少なくとも2種の層より構成されたシート状積層構造体であり、
    (2)該積層構造体の少なくとも片方の面の外層は、透明の樹脂より形成された層(B)であり、
    (3)該積層構造体を構成する少なくとも1種の層は、染料、顔料または光拡散剤を含有しかつ積層構造体のシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、
    (4)該積層構造体は、透明の樹脂より形成された層(B)の外側の面から目視観察したときシート面に沿って連続した色調の変化が認められ、そして
    (5)2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字もしくは図形が施されている、
    ことを特徴とする高意匠性シート状積層構造体。
  2. 平均厚みが1〜50mmである請求項1記載のシート状積層構造体。
  3. 該積層構造体は、1つの層が染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が実質的に無色の透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  4. 該積層構造体は、1つの層が、蛍光染料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が実質的に無色の透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  5. 該積層構造体は、1つの層が、染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が前記層とは異なる色彩を有する染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  6. 該積層構造体は、1つの層が蛍光染料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が前記層とは異なる色彩を有する染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  7. 該積層構造体は、1つの層が、染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が光拡散剤を含有する透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  8. 該積層構造体は、1つの層が、染料または顔料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が光高反射剤を含有する透明な樹脂により形成されている請求項1記載のシート状積層構造体。
  9. 該透明の樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂または非晶性ポリアリレート樹脂である請求項1記載のシート状積層構造体。
  10. 該透明の樹脂が、ポリカーボネート樹脂である請求項1記載のシート状積層構造体。
  11. 構成された全ての層が、同種の樹脂から形成されかつその樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂または非晶性ポリアリレート樹脂なる群から選択される請求項1記載のシート状積層構造体。
  12. 構成された全ての層は、ポリカーボネート樹脂から形成される請求項1記載のシート状積層構造体。
  13. 少なくとも1種の層が射出成形により形成されてなる請求項1記載のシート状積層構造体。
  14. すべての層が射出成形により形成されてなる請求項1記載のシート状積層構造体。
  15. 平板状の形態を有する請求項1記載のシート状積層構造体。
  16. 半円球状の形態を有する請求項1記載のシート状積層構造体。
  17. 半円筒状の形態を有する請求項1記載のシート状積層構造体。
  18. 請求項1記載のシート状積層構造体よりなる装飾有機ガラスまたはガラス窓。
  19. 該シート状積層構造体は、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている請求項18記載の装飾有機ガラスまたはガラス窓。
  20. 請求項1記載のシート状積層構造体および光源部より構成され、かつその光源部は該積層構造体の側面端部に配置されていることを特徴とする高意匠性シート状積層構造体。
  21. 該光源部が配置されるシート状積層構造体の側面端部は、その側面端部から対応する他の側面の方向に沿って、染料、顔料または光拡散剤を含有しかつ単調な厚みの変化を有している層が形成されている端部である請求項20記載の高意匠性シート状積層構造体。
  22. 該シート状積層構造体は、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている請求項20記載の高意匠性シート状積層構造体。
  23. 請求項2021または22記載のシート状積層構造体よりなる装飾有機ガラス窓。
  24. 該シート状積層構造体は、1つの層が蛍光染料を含有する透明な樹脂により形成されかつシート面の少なくとも一方向に対して単調な厚みの変化を有し、他の層が実質的に無色の透明な樹脂により形成されている請求項23記載の装飾有機ガラスまたはガラス窓。
  25. 請求項1記載のシート状積層構造体よりなる高意匠性自動車窓。
  26. 窓がフロントドアウインドウ、リアドアウインドウ、バックウインドウ、クォーターウインドウまたはサンルーフウインドウである請求項25記載の自動車窓。
  27. 該シート状積層構造体は、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている請求項25記載の自動車窓。
  28. 該シート状積層構造体はその側面端部に光源部が配置されている請求項25記載の自動車窓。
  29. 少なくとも1つの面が請求項1記載のシート状積層構造体により構成された高意匠性箱状容器。
  30. 少なくとも可視部の面が請求項1記載のシート状積層構造体より構成された請求項29記載の箱状容器。
  31. 該シート状積層構造体は、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている請求項29記載の箱状容器。
  32. 該シート状積層構造体はその側面端部に光源部が配置されている請求項29記載の箱状容器。
  33. 請求項29記載の箱状容器中に内包された高意匠性電気機器。
  34. 請求項29記載の箱状容器中に内包された高意匠性電子機器。
  35. 請求項29記載の箱状容器中に内包された高意匠性光学機器。
  36. 請求項29記載の箱状容器中に光源を内包した高意匠性照明具。
  37. 請求項1記載のシート状積層構造体であって、該構造体は半円球状の形態を有しかつその半円球状の内部には光源部を配置することができるようにした装飾照明グローブ。
  38. 請求項1記載のシート状積層構造体であって、該構造体は半円球状の形態を有し、その半円球状の構造体の2つを、球状体を形成するように重ねかつその球状体中に光源部を配置することができるようにした装飾照明グローブ。
  39. 請求項1記載のシート状積層構造体であって、該構造体は、半円筒状の形態を有し、かつその半円筒状の内部には光源部を配置することができるようにした装飾照明グローブ。
  40. 該シート状積層構造体は、2種の層が接触する界面において立体的パターンによる文字または図形が施されている請求項3738または39記載の照明グローブ。
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