本発明は、情報通信システムに係り、特に、車両機能を車載機との無線通信により制御する通信機のバッテリ低下を車両使用者に通知するうえで好適な情報通信システムに関する。
従来より、所定の車両機能(例えばドアロックやエンジン始動)を作動させるべく車載機と無線通信を行う携帯型通信機を備える情報通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいて、携帯型通信機は、所定間隔で信号の送信を行うと共に、自己の搭載するバッテリの残量が所定値以下に低下するか否かを判別し、その肯定判定がなされた場合にはその所定間隔で行う信号の送信を停止する。そして、車載機は、携帯型通信機からの信号を受信しなくなった場合に、携帯型通信機のバッテリ残量が低下したとして、その旨を車両使用者に知らせるための警報を発する。
特開2001−336327号公報
しかしながら、上記従来のシステムでは、携帯型通信機のバッテリ残量が低下したか否かの境界値を示す所定値が、その通信機による信号の送信が一回だけ行えるレベルに設定されることがあるため、この際に実際のバッテリ残量がその所定値以下に低下すると、以後、その携帯型通信機の使用がバッテリ切れに起因して全くできなくなり、その通信機を用いた所定車両機能の遠隔作動を実行することが不可能となってしまう。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、通信機のバッテリ切れが生ずる前に使用者へのバッテリ交換やバッテリ充電を促すことで、通信機による車両機能の制御が不可能となるのを事前に回避することが可能な情報通信システムを提供することを目的とする。
上記の目的は、車両機能を車載機との無線通信により制御する通信機を備える情報通信システムであって、前記通信機は、該通信機のバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別するバッテリ低下判別手段と、前記バッテリ低下判別手段により前記バッテリ残量が前記所定値以下に低下したと判別される場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨をセンタへ向けて無線通信する残量データ通信手段と、を有し、センタは、前記残量データ通信手段により無線送信される前記通信機のバッテリ残量が低下した旨の通知を受けた場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨を該通信機に対応する車両使用者の所持する携帯端末へメール配信するバッテリ低下通知手段を有する情報通信システムにより達成される。
また、上記の目的は、車両機能を車載機との無線通信により制御する通信機を備える情報通信システムであって、前記通信機は、該通信機のバッテリ残量を示すデータを該通信機からセンタへ向けて無線通信する残量データ通信手段を有し、センタは、前記残量データ通信手段により無線送信される前記データに基づく前記通信機のバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別するバッテリ低下判別手段と、前記バッテリ低下判別手段により前記バッテリ残量が前記所定値以下に低下したと判別される場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨を該通信機に対応する車両使用者の所持する携帯端末へメール配信するバッテリ低下通知手段と、を有する情報通信システムにより達成される。
また、上記の目的は、車両機能を車載機との無線通信により制御する通信機を備える情報通信システムであって、前記通信機は、該通信機のバッテリ残量を示すデータを該通信機から前記車載機へ向けて無線通信する残量データ通信手段を有し、前記車載機は、前記残量データ通信手段により無線送信される前記データに基づく前記通信機のバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別するバッテリ低下判別手段と、前記バッテリ低下判別手段により前記バッテリ残量が前記所定値以下に低下したと判別される場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨をセンタへ向けて無線通信する残量データ通信手段と、を有し、センタは、前記残量データ通信手段により無線送信される前記通信機のバッテリ残量が低下した旨の通知を受けた場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨を該通信機に対応する車両使用者の所持する携帯端末へメール配信するバッテリ低下通知手段を有する情報通信システムにより達成される。
更に、上記の目的は、車両機能を車載機との無線通信により制御する通信機を備える情報通信システムであって、前記車載機は、車室内の所定箇所に設置された前記通信機のバッテリ残量を検知する残量検知手段と、前記残量検知手段により検知される該通信機のバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別するバッテリ低下判別手段と、前記バッテリ低下判別手段により前記バッテリ残量が前記所定値以下に低下したと判別される場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨をセンタへ向けて無線通信する残量データ通信手段と、を有し、センタは、前記残量データ通信手段により無線送信される前記通信機のバッテリ残量が低下した旨の通知を受けた場合に、該通信機のバッテリ残量が低下した旨を該通信機に対応する車両使用者の所持する携帯端末へメール配信するバッテリ低下通知手段を有する情報通信システムにより達成される。
本発明において、通信機のバッテリ残量が所定値以下に低下したと判別されると、その通信機のバッテリ残量が低下した旨が携帯端末を通じて車両使用者に通知される。従って、通信機にバッテリ残量低下が生じたか否かの境界値である所定値を適当に設定することとすれば、通信機のバッテリ切れが生ずる前に使用者へのバッテリ交換やバッテリ充電を促すことができ、これにより、通信機による車両機能の制御が不可能となるのを事前に回避することが可能となる。
尚、上記した情報通信システムにおいて、前記所定値は、前記通信機が前記車載機との無線通信を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い値であることとすればよい。
かかる構成によれば、通信機自らバッテリ切れが生ずる前に使用者へのバッテリ交換やバッテリ充電を促すことができる。これにより、通信機による車両機能の制御が不可能となるのを事前に回避することができる。
請求項1乃至8記載の発明によれば、通信機のバッテリ切れが生ずる前に使用者へのバッテリ交換やバッテリ充電を促すことで、通信機による車両機能の制御が不可能となるのを事前に回避することができる。
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施例である情報通信システムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両機能(例えばドアロックやエンジン始動など)を車載機との直接的な無線通信により制御する、一般的に車両乗員に携帯される電子キーとしての携帯型通信機(以下、電子キーと称す)10と、車両乗員や車両所有者などの正規の車両使用者に携帯・所持される携帯電話やパソコン,PDA等の携帯端末12と、電子キー10と携帯端末12との間における情報を管理するセンタ14と、により構成されている。
携帯端末12は、既存の通信回線を介してセンタ14と無線通信を行うことが可能である。携帯端末12は、電子メール機能を有すると共に、車両使用者により手動入力操作されかつ車両使用者へ向けて音声出力や表示出力を行う入出力部を有している。また、センタ14は、ホストコンピュータとそのホストコンピュータに接続された大容量のデータベースを備えている。このデータベースには、センタ14を利用する利用者である車両の正規使用者ごとの、携帯端末12のメールアドレスや電話番号及び車両のIDや電子キー10のIDなどの顧客情報が格納されている。センタ14は、既存の通信回線を介して携帯端末12及び電子キー10と無線通信を行うことが可能である。
図2は、本実施例の電子キー10の機能を説明するためのブロック図を示す。本実施例において、電子キー10は、車両に搭載された車載機16と直接的に信号の送受を行うことが可能であると共に、センタ14と通信回線18を介して間接的に信号の送受を行うことが可能である。
すなわち、図2に示す如く、車載機16は、電子キー10の照合を行う照合用電子制御ユニット(以下、照合ECUと称す)20を備えており、照合ECU20により制御される。照合ECU20には、リクエスト送信部22及びレスポンス受信部24が接続されている。
リクエスト送信部22は、車室外及び車室内に設置された送信アンテナ22aを有しており、所定周波数に変調された信号を送信アンテナ22aから車室外又は車室内へ向けて送信する。リクエスト送信部22から送信される信号には、通信可能領域が数メートル程度となるような強度が付与される。照合ECU20は、所定状況下において、一定時間ごとに車室外又は車室内の送信アンテナ22aから車両のIDコードとその時点で実行し得る車両機能を示す要求コードとを含む信号(以下、リクエスト信号と称す)が送信されるように、リクエスト送信部22に対して指令信号を供給する。また、レスポンス受信部24は、車室外及び車室内に設置された受信アンテナ24aを有しており、受信アンテナ24aに受信される所定周波数の信号を増幅・復調する。照合ECU20は、リクエスト送信部22からリクエスト信号を送信した後、レスポンス受信部24に受信される信号に基づいて電子キー10の照合を行う。
照合ECU20には、また、車両ドアのロック(施錠)・アンロック(解錠)を制御するドアECU26、及び、車載エンジンの始動・停止を制御するエンジンECU28が接続されている。ドアECU26は、各車両ドアをロック・アンロックするドアロックアクチュエータに電気的に接続しており、照合ECU20から供給される指令信号に基づいて各車両ドアのロック・アンロックを切り替えるべくドアロックアクチュエータを駆動する。また、エンジンECU28は、車載エンジンを始動・停止するスタータや燃料噴射弁,点火装置等に電気的に接続しており、照合ECU20から供給される指令信号に基づいて車載エンジンを始動すべく各アクチュエータを駆動する。
また、電子キー10は、車両乗員がその電子キー10を手にとることなく携帯するだけで、(1)車両ドアを遠隔的にロック・アンロックするための機器であると共に、(2)車載エンジンを遠隔的に始動するための機器である。電子キー10は、かかる機能を実現させるためのキーECU30を備えており、キーECU30により制御される。キーECU30には、リクエスト受信部32及びレスポンス送信部34が接続されている。
リクエスト受信部32は、受信アンテナ32aを有しており、車載機16から送信されてアンテナ32aに受信される所定周波数のリクエスト信号を増幅・復調する。また、レスポンス送信部34は、送信アンテナ34aを有しており、所定周波数に変調された信号を送信アンテナ34aから送信する。レスポンス送信部34から送信される信号には、車載機16のリクエスト送信部22が送信する信号と同程度の、通信可能領域が数メートル程度となるような強度が付与される。
キーECU30は、車載機16からのリクエスト信号をデコードする解読部36、及び、レスポンス送信部34から送信すべき信号を予め定められたフォーマットで生成するコード生成部38を有していると共に、当該電子キー10に対応する車両のIDが記憶されたメモリを有している。キーECU30は、車載機16からのリクエスト信号が受信アンテナ32aを介してリクエスト受信部32に受信された状況において、その受信信号を解読部36でデコードした後にそのリクエスト信号の照合を行う。その結果、その照合が一致する場合には、自己の電子キー10に対応する車両のIDコードとリクエスト信号に含まれていた要求コードとを含む信号(以下、レスポンス信号と称す)をコード生成部38で生成し、そのレスポンス信号が送信アンテナ34aから送信されるようにレスポンス送信部34に対して指令信号を供給する。
上記したシステムにおいては、車載エンジン停止中にすべての車両ドアがロックされているとき、例えば一定時間ごとに、車載機16から車室外へ向けて電子キー10の応答を要求するリクエスト信号が送信される。かかる状況でそのリクエスト信号の車室外の通信可能領域内に電子キー10が進入すると、電子キー10において、そのリクエスト信号が受信されて復調及び解読が施された後、そのリクエスト信号に含まれるIDコードと自己のメモリに格納されているIDコードとが照合される。その結果、車両のIDコードが一致する場合は、電子キー10から車載機16へ向けて、車載機16からのリクエスト信号に応答するレスポンス信号が送信される。車載機16は、上記したリクエスト信号を送信した後に電子キー10からのレスポンス信号を受信した場合、そのレスポンス信号を復調し解読した後、そのレスポンス信号に含まれるIDコードと自己のIDコードとを照合する。そして、両IDコードが一致する場合に、正規の車両乗員が車両に近づいたとして各車両ドアをロック状態からアンロックさせる。
また、車載エンジン停止後に車両ドアが開放されかつ閉じられたとき、例えば一定期間、車載機16から車室外へ向けて電子キー10の応答を要求するリクエスト信号が送信される。かかる状況でそのリクエスト信号の車室外の通信可能領域内に電子キー10が進入すると、電子キー10において、そのリクエスト信号が受信されて復調及び解読が施された後、そのリクエスト信号に含まれるIDコードと自己のメモリに格納されているIDコードとが照合される。その結果、車両のIDコードが一致する場合は、電子キー10から車載機16へ向けて、車載機16からのリクエスト信号に応答するレスポンス信号が送信される。車載機16は、上記したリクエスト信号を送信した後に電子キー10からのレスポンス信号を受信した場合、そのレスポンス信号を復調し解読した後、そのレスポンス信号に含まれるIDコードと自己のIDコードとを照合する。そして、両IDコードが一致する場合に、正規の車両乗員が車両から遠ざかっていくとして各車両ドアをアンロック状態からロックさせる。
また、上記したシステムにおいては、例えば車載エンジン停止中に車内に設けられたエンジンスタータスイッチがオン操作されると、車載機16から車室内へ向けて電子キー10の応答を要求するリクエスト信号が送信される。かかる状況でそのリクエスト信号の車室内の通信可能領域内に電子キー10が進入すると、電子キー10において、そのリクエスト信号が受信されて復調及び解読が施された後、そのリクエスト信号に含まれるIDコードと自己のメモリに格納されているIDコードとが照合される。その結果、車両のIDコードが一致する場合は、電子キー10から車載機16へ向けて、車載機16からのリクエスト信号に応答するレスポンス信号が送信される。車載機16は、上記したリクエスト信号を送信した後に電子キー10からのレスポンス信号を受信した場合、そのレスポンス信号を復調し解読した後、そのレスポンス信号に含まれるIDコードと自己のIDコードとを照合する。そして、両IDコードが一致する場合に、正規の車両乗員が乗車してエンジン始動を要求しているとして車載エンジンを始動させる。
このように本実施例において、車載機16は、所定状況下、車室外及び車室内の何れかへリクエスト信号を送信した後に電子キー10の発するレスポンス信号を受信するか否かとそのレスポンス信号の照合結果とに基づいて、車両ドアのロック・アンロック又はエンジン始動を制御する。従って、本実施例のシステムによれば、車載機16と車両乗員の携帯する電子キー10との直接的な無線通信により、車両乗員が何らキー操作を行うことなくかつ電子キー10を手にとることなく携帯するだけで、車両ドアのロック・アンロック及びエンジン始動を非接触で遠隔的に行うことができる。
図2に示す如く、電子キー10は、電源としてのバッテリ40を搭載している。バッテリ40は、電子キー10の各電子部品に電力を供給することによりそれらの電子部品を機能させる。電子キー10は、バッテリ40の状態を監視するバッテリECU42を備えている。バッテリECU42には、データ通信モジュール(DCM)44が接続されている。DCM44は、送受信アンテナ44aを有しており、送受信アンテナ44aを用いて通信回線18経由で外部(具体的には、センタ14)とデータの授受を行う。
バッテリECU42は、バッテリ40に接続するバッテリ状態検知部46と、DCM444に接続する送信制御部48と、を有している。バッテリ状態検知部46は、バッテリ40の電圧を検知し、そして、そのバッテリ電圧に基づいて、予め定められたマップを参照して、バッテリ40の残量を検知する。尚、この際、バッテリ温度や外気温等に応じて、検知されたバッテリ残量を補正することとしてもよい。また、送信制御部48は、バッテリ状態検知部46において検知されたバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別し、そして、そのバッテリ残量の判別結果に従ってセンタ14側へ送信すべきデータを生成し、DCM44からセンタ14に対して送信する。尚、この際、生成・送信されるデータには、自己の電子キー10に対応する車両のID又はその車両IDに対応する自電子キー10を特定するキーIDが含まれる。
以下、図3を参照して、本実施例の情報通信システムの動作について説明する。図3は、本実施例の情報通信システムにおいて実行される一例のフローチャートを示す。尚、この情報通信システムにおいて、電子キー10、携帯端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムをROM等に有し、そのプログラムに従って動作する。これらのプログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
本実施例において、電子キー10のバッテリECU42は、常に或いは所定条件が成立した際に、バッテリ状態検知部46においてバッテリ40の残量Vを検知する(ステップ50)。そして、その検知されたバッテリ残量Vが所定値V0以下に低下しているか否かを判別する(ステップ52)。尚、この所定値V0は、実際のバッテリ残量Vがその所定値V0以下に低下した直後であれば電子キー10の機能を少なくとも一回は適切に確保できるバッテリ残量であって、電子キー10が車載機16との直接的な無線通信を適切な通信可能領域を保って一回行うことのできるバッテリ残量よりも高く、更には、その車載機16との直接的な無線通信を適切な通信可能領域を保って一回行いかつ後述のセンタ14へのバッテリ低下通知を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い値に設定されている。
電子キー10のバッテリECU42は、上記の判別結果として自己のバッテリ40が残量低下していない場合は、以後何ら処理を進めることなくルーチンを終了する。一方、バッテリ40が残量低下している場合は、自電子キー10のバッテリ40の残量が低下している旨を車両ID又はキーIDを含めてセンタ14へ送信すべきデータとして生成し、DCM44から通信回線18を経由してセンタ14へ通知・送信する(ステップ54)。
センタ14は、電子キー10からバッテリ40の残量低下が生じている旨の通知を受けた場合、まず、その受信データに含まれる車両ID等に基づいて、データベースに格納されている顧客情報を参照してその電子キー10に対応する車両使用者を特定する。そして、その特定した車両使用者の携帯端末12へ向けて車両使用者の車両に利用される電子キー10のバッテリ残量が低下している旨をメールなどにより配信・送信する(ステップ60)。携帯端末12は、センタ14から送信される電子キー10のバッテリ残量低下の旨を受信した場合、その旨を車両使用者に知らせるべく入出力部から音声出力やディスプレイ表示を行う(ステップ70)。
このように本実施例の情報通信システムにおいては、電子キー10のバッテリ残量が低下した場合に、そのバッテリ残量低下の旨が、その電子キー10からセンタ14を通じてその電子キー10に対応する車両の使用者の所持する携帯端末12へ送信されて、車両使用者に通知される。この点、本実施例のシステムによれば、車両機能の遠隔制御に用いられる電子キー10のバッテリ残量低下を携帯端末12を通じて車両使用者に知らせることが可能である。
尚、このシステムにおいて、上記したバッテリ残量低下の通知は、電子キー10のバッテリ残量が、電子キー10が車載機16との直接的な無線通信を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高く、更には、その車載機16との直接的な無線通信を一回行いかつセンタ14へのバッテリ低下通知を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い所定値以下に低下した場合に行われる。かかる構成によれば、電子キー10がバッテリ残量低下の通知をセンタ14に対して行いそしてその通知が携帯端末12を通じて車両使用者に行われた後においても、その電子キー10と車載機16との無線通信が少なくとも一回は確保されることとなる。
従って、本実施例のシステムによれば、電子キー10の通信不可能なバッテリ切れが生ずる前に車両使用者にそのバッテリ残量が低下し始めたことを知らせ、そのバッテリ交換やバッテリ充電を促す等の対応をとらせることができるので、これにより、電子キー10による車両機能(具体的には、ドアロック・アンロック及びエンジン始動)の遠隔制御がそのバッテリ不足に起因して不可能或いは作動距離が短くなって困難となる事態を事前に回避することが可能となっている。
ところで、上記の第1実施例においては、電子キー10が特許請求の範囲に記載した「通信機」に、車両ドアのロック・アンロック及びエンジン始動が特許請求の範囲に記載した「車両機能」に、それぞれ相当していると共に、電子キー10のバッテリECU42が、図3に示すルーチン中ステップ52の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下判別手段」が、ステップ54の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下通知手段」が、それぞれ実現されている。
尚、上記の第1実施例においては、電子キー10がバッテリ40の残量低下を検知した場合にその旨をセンタ14に通知し、かつ、センタ14がその通知に応答して携帯端末12に対してバッテリ残量低下の旨を送信することで、電子キー10のバッテリ残量低下の旨を携帯端末12を通じて車両使用者に通知することとしているが、電子キー10がこのようにセンタ14を介して間接的に携帯端末12と無線通信するシステムに限らず、センタ14を介さずに直接的に携帯端末12と無線通信することにより、電子キー10のバッテリ残量低下の旨を携帯端末12を通じて車両使用者に通知するものとしてもよい。
上記した第1実施例では、電子キー10自身が自己の有するバッテリ40の残量低下の有無を判別してセンタ14へ残量低下の通知を行うこととしている。これに対して、本発明の第2実施例においては、車載機が電子キーのバッテリ残量の低下有無を判別してセンタ14へ残量低下の通知を行う。
図4は、本発明の第2実施例である情報通信システムの構成図を示す。尚、図4において、上記図1に示す構成と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。本実施例のシステムは、携帯端末12及びセンタ14と共に、車両機能を制御すべく互いに直接的な無線通信を行う電子キー100と車載機102とにより構成されている。
図5は、本実施例の電子キー100の機能及び車載機102の機能を説明するためのブロック図を示す。尚、図5において、上記図2に示す構成と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
電子キー100は、車両に搭載された車載機102と直接的に信号の送受を行うことが可能であり、キーECU104を備えている。キーECU104には、リクエスト受信部32及びレスポンス送信部34が接続されている。キーECU104は、解読部36、及び、レスポンス送信部34から送信すべき信号を予め定められたフォーマットで生成するコード生成部106を有していると共に、当該電子キー100に対応する車両のID又はそのIDに対応する自電子キー100を特定するIDが記憶されたメモリを有している。
キーECU104は、また、バッテリ40に接続するバッテリ状態検知部108を有している。バッテリ状態検知部108は、バッテリ40の電圧を検知し、そして、そのバッテリ電圧に基づいて、予め定められたマップを参照して、バッテリ40の残量を検知する。尚、この際、バッテリ温度や外気温等に応じて、検知されたバッテリ残量を補正することとしてもよい。キーECU104は、車載機102からのリクエスト信号がリクエスト受信部32に受信された状況において、その受信信号を解読部36でデコードした後にそのリクエスト信号の照合を行う。その結果、その照合が一致する場合には、自己の電子キー100に対応する車両のIDコードとリクエスト信号に含まれていた要求コードとバッテリ状態検知部108で検知したバッテリ残量データとを含むレスポンス信号をコード生成部106で生成し、そのレスポンス信号が送信されるようにレスポンス送信部34に対して指令信号を供給する。
また、車載機102は、電子キー100の照合を行う照合ECU110を備えている。照合ECU110には、リクエスト送信部22、レスポンス受信部24、ドアECU26、及びエンジンECU28が接続されている。照合ECU110は、所定状況下において、一定時間ごとに車室外又は車室内の送信アンテナ22aから電子キー100の応答を要求するリクエスト信号が送信されるように、リクエスト送信部22に対して指令信号を供給する。また、照合ECU110は、リクエスト送信部22からリクエスト信号を送信した後、レスポンス受信部24に受信されるレスポンス信号に基づいて電子キー100の照合を行うと共に、そのレスポンス信号に含まれるバッテリ残量データを抽出して電子キー100のバッテリ残量を検知する。
車載機102は、また、照合ECU110に接続するDCM112を備えている。DCM112は、送受信アンテナ112aを有しており、送受信アンテナ112aを用いて通信回線18経由で外部(具体的には、センタ14)とデータの授受を行う。車載機102の照合ECU110は、電子キー100のバッテリ残量を検知した後、そのバッテリ残量が所定値以下に低下したか否かを判別する。そして、そのバッテリ残量の判別結果に従ってセンタ14側へ送信すべきデータを生成し、DCM112からセンタ14に対して送信する。尚、この際、生成・送信されるデータには、自己の車両のID又はその車両IDに対応する電子キー100を特定するキーIDが含まれる。
以下、図6を参照して、本実施例の情報通信システムの動作について説明する。図6は、本実施例の情報通信システムにおいて実行される一例のフローチャートを示す。尚、この情報通信システムにおいて、電子キー100、車載機102、携帯端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムをROM等に有し、そのプログラムに従って動作する。これらのプログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
本実施例において、車載機102は、所定条件が成立すると、リクエスト送信部22からリクエスト信号を送信する(ステップ150)。電子キー100のバッテリECU104は、車載機102からのリクエスト信号がリクエスト受信部32で受信された場合にID照合を行う。そして、その照合が一致する場合は、まず、バッテリ状態検知部108においてバッテリ40の残量Vを検知し(ステップ160)、次に、自己の電子キー100に対応する車両のIDコードとリクエスト信号に含まれていた要求コードとその検知したバッテリ残量データとを含むレスポンス信号を生成し(ステップ162)、レスポンス送信部34から車載機102へ向けて送信する(ステップ164)。
車載機102の照合ECU110は、リクエスト信号を送信した後に電子キー100からのレスポンス信号を受信した場合、そのレスポンス信号に含まれるIDコードの照合を行う(ステップ152)。そして、その照合が一致する場合は、そのレスポンス信号に含まれるバッテリ残量データを抽出して、そのバッテリ残量Vが所定値V1以下に低下しているか否かを判別する(ステップ154)。尚、この所定値V1は、実際のバッテリ残量Vがその所定値V1以下に低下した直後であれば電子キー100の機能を少なくとも一回は適切に確保できるバッテリ残量であって、電子キー100が車載機102との直接的な無線通信を適切な通信可能領域を保って一回行うことのできるバッテリ残量よりも高く、更には、その車載機102との直接的な無線通信を適切な通信可能領域を保って二回行うことのできるバッテリ残量よりも高い値に設定されている。
車載機102の照合ECU110は、上記の判別結果として電子キー100のバッテリ40が残量低下していない場合は、以後何ら処理を進めることなくルーチンを終了する一方、バッテリ40が残量低下している場合は、電子キー100のバッテリ40の残量が低下している旨を車両ID又はキーIDを含めてセンタ14へ送信すべきデータとして生成し、DCM112から通信回線18を経由してセンタ14へ通知・送信する(ステップ156)。
センタ14は、車載機102から電子キー100のバッテリ40に残量低下が生じている旨の通知を受けた場合、まず、その受信データに含まれる車両ID等に基づいて、データベースに格納されている顧客情報を参照してその電子キー100に対応する車両使用者を特定する。そして、その特定した車両使用者の携帯端末12へ向けて車両使用者の車両に利用される電子キー100のバッテリ残量が低下している旨をメールなどにより配信・送信する(ステップ170)。携帯端末12は、センタ14から送信される電子キー100のバッテリ残量低下の旨を受信した場合、その旨を車両使用者に知らせるべく入出力部から音声出力やディスプレイ表示を行う(ステップ180)。
このように本実施例の情報通信システムにおいては、電子キー100のバッテリ残量が低下した場合に、そのバッテリ残量低下の旨が、その残量低下を検知した車載機102からセンタ14を通じてその電子キー100に対応する車両の使用者の所持する携帯端末12へ送信されて、車両使用者に通知される。この点、本実施例のシステムによれば、車両機能の遠隔制御に用いられる電子キー100のバッテリ残量低下を携帯端末12を通じて車両使用者に知らせることが可能である。
尚、このシステムにおいて、上記したバッテリ残量低下の通知は、電子キー100のバッテリ残量が、電子キー100が車載機102との直接的な無線通信を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高く、更には、その車載機102との直接的な無線通信を二回行うことのできるバッテリ残量よりも高い所定値以下に低下した場合に行われる。かかる構成によれば、電子キー100がバッテリ残量データを含むレスポンス信号を車載機102に応答しそしてバッテリ残量低下の通知が車載機102からセンタ14及び携帯端末12を通じて車両使用者に行われた後においても、その電子キー100と車載機102との無線通信が少なくとも一回は確保されることとなる。
従って、本実施例のシステムによれば、電子キー100の通信不可能なバッテリ切れが生ずる前に車両使用者にそのバッテリ残量が低下し始めたことを知らせ、そのバッテリ交換やバッテリ充電を促す等の対応をとらせることができるので、これにより、電子キー100による車両機能(具体的には、ドアロック・アンロック及びエンジン始動)の遠隔制御がそのバッテリ不足に起因して不可能或いは作動距離が短くなって困難となる事態を事前に回避することが可能となっている。
ところで、上記の第2実施例においては、電子キー100が特許請求の範囲に記載した「通信機」に相当していると共に、車載機102の照合ECU110が、図6に示すルーチン中ステップ154の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下判別手段」が、ステップ156の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下通知手段」が、それぞれ実現されている。
尚、上記の第2実施例においては、車載機102に電子キー100のバッテリ残量低下を判別させるのに、その電子キー100にバッテリ40の残量を検知させたうえでその残量データを車載機102へ向けて送信させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車室内に電子キー100を設置可能な箇所を設け、その箇所において電子キー100のバッテリ電圧を車載機102に直接検出させることにより、車載機102に電子キー100のバッテリ残量低下を判別させることとしてもよい。かかる構成においては、電子キー100のバッテリ残量低下の通知は、電子キー100のバッテリ残量が、電子キー100が車載機102との直接的な無線通信を適切な通信可能領域を保って一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い所定値以下に低下した場合に行うこととすればよい。
ところで、上記の第1及び第2実施例においては、電子キー10,100のバッテリ残量の低下有無の判別を電子キー10又は車載機102で行うこととしているが、電子キー10,100及び車載機16,102はバッテリ残量データを検知・送信するのみで、センタ14に電子キー10,100のバッテリ残量の低下有無を判別させることとしてもよい。
また、上記の第1及び第2実施例においては、車両機能を車載機16,102との直接的な無線通信により制御する電子キー10,100として、双方向通信を行えるいわゆるスマートキーを用いることとしたが、ボタン操作による送信のみを行えるいわゆるワイヤレスキーを用いることとしてもよい。
図7は、本発明の第3実施例である情報通信システムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両乗員や車両所有者などの正規の車両使用者に携帯・所持される携帯電話やパソコン,PDA等の携帯端末200と、車両に搭載される車載機202と、携帯端末200と車載機202との間における情報を管理するセンタ204と、により構成されている。本実施例のシステムは、車両機能(例えばドアロックやエンジン始動など)をセンタ204を介した携帯端末200と車載機202との間接的な無線通信により制御するシステムである。以下、このシステムを用いた車両機能の制御を、車載機器のリモート操作と称す。
車載機202は、車載ECU210を備えている。車載ECU210は、自車両のIDなどを格納する記憶装置を有している。車載ECU210には、送受信機212が接続されている。送受信機212は、所定の通信回線を通じてセンタ204と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機212は、車載機202の情報を通信回線を介してセンタ204へ送信する機能、及び、センタ204から通信回線を介して送信される情報を車載機202に受信する機能を有している。車載ECU210は、送受信機212との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
車載ECU210には、車両使用者により手動操作可能な車載機器(本実施例において具体的には、ロック・アンロックされる車両ドア及びオン・オフされるエンジン)を制御するドアECU214及びエンジンECU216が接続されている。ドアECU214は、各車両ドアをロック・アンロックするドアロックアクチュエータに電気的に接続しており、車載ECU210から供給される指令信号に基づいて各車両ドアのロック・アンロックを切り替えるべくドアロックアクチュエータを駆動する。また、エンジンECU216は、車載エンジンを始動・停止するスタータや燃料噴射弁,点火装置等に電気的に接続しており、車載ECU210から供給される指令信号に基づいて車載エンジンを始動・停止すべく各アクチュエータを駆動する。
車載ECU210には、また、入出力部218が接続されている。入出力部218は、車両に乗車した人により操作され得る入力機能と、車両に乗車した人や車両周囲の人へ向けてスピーカによる音声・警報出力を行いまたディスプレイによる表示出力を行う出力機能と、を有している。車載ECU210は、車両乗員による入出力部218への操作を検出し、また、入出力部218が警告出力又は表示出力すべき際にその入出力部218に対して指令信号を供給する。
車載ECU210には、更に、上記した携帯端末200と車載機202との間において通信される情報を中継する携帯端末クレードル220が接続されている。携帯端末クレードル220には、そのクレードル220に携帯端末200が設置された際にその携帯端末200の有する後述のバッテリの端子に接続する端子が設けられている。車載ECU210は、携帯端末クレードル220の端子に生ずる電圧に基づいて、そのクレードル220に設置された携帯端末200のバッテリ電圧を検知してバッテリ残量を検知する。
携帯端末200は、上記した車載機器のリモート操作を行う以外に、電話機能などの通常機能を有している。携帯端末200は、携帯ECU222を備えている。携帯ECU222には、送受信機224が接続されている。送受信機224は、所定の通信回線を通じてセンタ204と無線通信を行うことが可能である。送受信機224は、携帯端末200の情報を通信回線を介してセンタ204へ送信する機能、及び、センタ204から通信回線を介して送信される情報を携帯端末200に受信する機能を有している。携帯ECU222は、送受信機224との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
携帯ECU222には、車両使用者により手動入力操作されると共に、車両使用者へ向けて音声出力や表示出力を行う入出力部226が接続されている。携帯端末200は、webブラウザを有しており、入出力部226への入力操作により通信回線を介して外部のwebサーバーに蓄積されたファイルやデータを閲覧可能であり、センタ204の提供する各種の情報例えば車載機器のリモート操作を要求するためのweb画面を取得可能である。
携帯端末200は、また、電源としての充電可能なバッテリ228を搭載している。バッテリ228は、携帯端末200の各電子部品に電力を供給することによりそれらの電子部品を機能させる。携帯端末200は、車両の携帯端末クレードル220に設置された際にバッテリ228の充電端子が携帯端末クレードル220に設けられた端子に接触するようになっている。
センタ204は、高速演算可能なホストコンピュータ230を備えている。ホストコンピュータ230には、大容量のデータベース232が接続されている。データベース232には、センタ204を利用する利用者である車両の正規使用者のIDや携帯端末200のメールアドレス,電話番号及び車両のIDや車載機202の電話番号などの顧客情報が格納されている。
センタ204には、送受信機234が接続されている。送受信機234は、所定の通信回線を通じて車載機202及び携帯端末200と無線通信を行うことが可能である。送受信機234は、センタ204の情報を通信回線を介して車載機202及び携帯端末200へ送信する機能、並びに、車載機202及び携帯端末200から通信回線を介して送信される情報をセンタ204に受信する機能を有している。センタ204のホストコンピュータ230は、送受信機234との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
以下、本実施例において携帯端末200とセンタ204と車載機202との間で行われる動作について説明する。
本実施例において、携帯端末200を所持する車両使用者は、車両から離れた地点等で自発的に或いは車載機202からセンタ204及び携帯端末200経由で車載機器の操作忘れを通知された後などに、車両暖機等のためエンジンを始動させ若しくは停止させること、又は、盗難防止等のため車両ドアを施錠させ若しくは解錠させることを希望する場合、携帯端末200の入出力部226を操作してwebブラウザを起動させる。センタ204は、携帯端末200の操作によって車載機202の有する車載機器を遠隔的に駆動するのに必要なリモート操作を要求するフォーマットを格納している。
携帯端末200は、webブラウザを起動した状態で車両使用者による操作に従ってセンタ204と通信回線を介して無線通信接続し、センタ204の有する車載機器のリモート操作を要求するためのweb画面を提供するようにセンタ204に要求する。センタ204は、携帯端末200からの要求に従って車載機器のリモート操作を要求するためのweb画面を携帯端末200に提供する。そして、携帯端末200は、かかる処理に従ってセンタ204から車載機器のリモート操作を要求するためのweb画面を取得する。
このweb画面には、携帯端末200の操作によって遠隔制御することが可能な車載機器のリモート操作の項目が設けられている。携帯端末200は、遠隔制御可能な車載機器のリモート操作の項目ごとに設けられたチェックボックスにおけるチェックの有無に基づいて、何れの車載機器のリモート操作が車両使用者に希望されているか否かを判別する。携帯端末200は、車両使用者による操作によって上記何れかのチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、そのチェックに対応する車載機器のリモート操作が希望されていることをセンタ204に通知すべくそのリモート操作要求情報をセンタ204に対して送信する。
センタ204は、車両操作を要求するためのweb画面を携帯端末200に提供した後に、その携帯端末200から送信されるリモート操作要求情報を受信した場合、携帯端末200における操作によって特定の車載機器のリモート操作が要求されていることを示すリモート操作指令信号を車載機202に対して送信する。車載機202は、センタ204から送信されるリモート操作指令信号を受信した場合、ドアECU214又はエンジンECU216へ指令信号を供給してそのリモート操作要求に応じた車載機器の駆動を実行する。
このように本実施例においては、車載機器の駆動は、車両に対する車両使用者の手動操作によって行われ得ると共に、携帯端末200における車両使用者の操作によって携帯端末200からセンタ204経由で車載機202へリモート操作要求がなされることに基づいたアクチュエータによる自動操作によって行われ得る。このため、車両使用者は、車両に搭乗していなくても車両から離れた場所において携帯端末200への操作により車載機器を駆動させることができる。従って、本実施例のシステムによれば、車両使用者が車両において車載機器の手動操作を忘れていた場合等においても、携帯端末200を操作することで、アクチュエータによる車載機器のリモート操作を実現することができ、これにより、車載機器を所望の状態へ遠隔的に移行させることが可能となる。
次に、図8を参照して、本実施例の特徴的な動作について説明する。図8は、本実施例の車載機202において車載ECU210が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
本実施例において、車載機202は、携帯端末クレードル220に車両使用者の所持する携帯端末200が設置されているか否かを判別する。その判別の結果として携帯端末クレードル220に携帯端末200が設置されている場合は、携帯端末クレードル220の端子から供給される携帯端末200のバッテリ228の電圧を検知し、そして、そのバッテリ電圧に基づいて、予め定められたマップを参照して、バッテリ228の残量を検知する(ステップ250)。尚、この際、バッテリ温度や外気温等に応じて、検知されたバッテリ残量を補正することとしてもよい。
車載機202は、携帯端末200のバッテリ残量を検知すると、次に、そのバッテリ残量が所定値V2以下に低下しているか否かを判別する(ステップ252)。尚、この所定値V2は、実際のバッテリ残量Vがその所定値V2以下に低下した直後であれば携帯端末200の機能を少なくとも一回は適切に確保できるバッテリ残量であって、携帯端末200がセンタ204との通信回線を介した無線通信を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い値に設定されている。
車載機202は、上記の判別結果として携帯端末200のバッテリ228が残量低下していない場合は、以後何ら処理を進めることなくルーチンを終了する一方、バッテリ228が残量低下している場合は、入出力部218に対して指令信号を供給して、携帯端末200のバッテリ228が残量低下している旨を車両乗員に通知すべく入出力部218から警告出力及び表示出力を行う(ステップ254)。
このように本実施例の情報通信システムにおいては、携帯端末200のバッテリ残量が低下した場合に、そのバッテリ残量低下の旨が、その残量低下を検知した車載機202から車両に乗車する乗員に通知される。この点、本実施例のシステムによれば、車両機能の遠隔制御に用いられる携帯端末200のバッテリ残量低下を、その携帯端末200が車両の所定位置に設置された際に車載機202を通じて車両乗員に知らせることが可能である。
尚、このシステムにおいて、上記したバッテリ残量低下の通知は、携帯端末200のバッテリ残量が、携帯端末200がセンタ204との通信回線を介した無線通信を一回行うことのできるバッテリ残量よりも高い所定値以下に低下した場合に行われる。かかる構成によれば、車載機202が携帯端末200のバッテリ残量低下の通知を入出力部218を通じて車両使用者に行った後において、その携帯端末200とセンタ204との通信回線を介した無線通信が少なくとも一回は確保されることとなる。
従って、本実施例のシステムによれば、携帯端末200の通信不可能なバッテリ切れが生ずる前に車両使用者にそのバッテリ残量が低下し始めたことを知らせることで、そのバッテリ充電を促す等の対応をとらせることができると共に、携帯端末200の、車載機器に関するリモート操作機能以外の電話機能等の使用禁止を促すことができ、これにより、携帯端末200による車両機能(具体的には、ドアロック・アンロック及びエンジン始動)の遠隔制御がそのバッテリ不足に起因して不可能となる事態を事前に回避することが可能となっている。
尚、上記の第3実施例においては、携帯端末200が特許請求の範囲に記載した「通信機」に、車両ドアのロック・アンロック及びエンジン始動が特許請求の範囲に記載した「車両機能」に、それぞれ相当していると共に、車載機202の車載ECU210が、図8に示すルーチン中ステップ252の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下判別手段」が、ステップ254の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「バッテリ低下通知手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の第3実施例においては、車載機202に携帯端末200を設置可能な携帯端末クレードル220を設け、車載機202にそのクレードル220に設置された携帯端末200のバッテリ端子からバッテリ電圧を検知させて、携帯端末200のバッテリ228の残量を検知させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯端末200と車載機202とが直接的に無線通信を行うことができるように車載機202及び携帯端末200にそれぞれブルートゥース(Bluetooth;登録商標)ユニットを内蔵させて、所定のタイミングで携帯端末200にバッテリ228の残量を検知させたうえでその残量データを車載機202へ向けて無線送信させ、これにより、車載機202に携帯端末200のバッテリ228の残量を検知させることとしてもよい。
尚、上記の第1乃至第3実施例においては、電子キー10,100や携帯端末200と車載機16,102,202との無線通信により制御する車両機能として、車両ドアのロック・アンロック及びエンジン始動を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パワーウィンドウの開閉や、スライドルーフ,トランク,バックドアなどの開閉、エアコンのオン・オフ、灯火類であるヘッドランプ,ターンシグナルランプ,フォグランプ,スモールランプ,ルームランプなどの点灯・消灯を用いることとしてもよい。
本発明の第1実施例である情報通信システムの構成図である。
本実施例の通信機の機能を説明するためのブロック図である。
本実施例の情報通信システムにおいて実行されるフローチャートである。
本発明の第2実施例である情報通信システムの構成図である。
本実施例の通信機の機能及び車載機の機能を説明するためのブロック図である。
本実施例の情報通信システムにおいて実行されるフローチャートである。
本発明の第3実施例である情報通信システムの構成図である。
本実施例の情報通信システムにおいて実行されるフローチャートである。
符号の説明
10,100 電子キー
12,200 携帯端末
14,204 センタ
16,102,202 車載機
18 通信回線
20,110 照合ECU
40,228 バッテリ
42 バッテリECU
210 車載ECU