JP4538941B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に係り、特に、就寝後の空気調和に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
就寝後の快適な空気調和のために、種々の空調制御が提案されている。例えば特開平3−274345号公報に開示された制御は、入眠に伴う代謝量の低下を考慮したものであって、入眠してから一定時間経過後に室内温度を複数回に分けて段階的に上昇させていくものである。特開平7−71804号公報に開示された制御は、入眠後に代謝量の変化に従って発汗が見られることから、入眠後の一定時間は室内湿度を低下させ、一定時間経過後に室内温度および室内湿度を上昇させていくものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、人間の体は、活動時または睡眠時に区別なく皮膚血流調節によって熱平衡状態を保つようになっており、人体の体温調節の生理から、いわゆる熱的中立の状態が人体にとって最も負担の少ない状態であることが分かっている。また、睡眠時に暑かったり寒かったりして熱的中立域から外れると、REM睡眠の増加や中途覚醒の頻発を招き、睡眠質を悪化させることが知られている。また、十分な睡眠を得るためには、入眠前の快適感だけを頼りにして環境温度を設定することは適当でないことも指摘されている。しかし、従来の制御では、一部の生理的変化や温冷感に着目しているのみであり、人体の体熱平衡については全く考慮されていなかった。そのため、睡眠質が悪化しやすく、また、寝冷えや暑さによる中途覚醒を招きやすいという問題があった。
【0004】
例えば、図16に示すように、前記特開平3−274345号公報に開示された制御では、入眠から一定時間経過後に室内温度を上昇させるべく空調機の冷房能力を低下させるが、この際に空調機の除湿能力も低下してしまい、室内湿度も上昇してしまう。そのため、温熱環境が熱的中立域から外れてしまって放熱不足となり、夜中に暑くて目が覚めるという問題があった。
【0005】
一方、図17に示すように、特開平7−71804号公報に開示された制御では、室内温度だけでなく室内湿度も調節するものの、湿度調節は発汗のみに着目して行っているので、温度および湿度の変化に伴って体熱平衡状態が熱的中立域から外れてしまうことがあり、睡眠質を悪化させてしまう場合があった。
【0006】
人体からの放熱は、温度や気流速度などに影響される対流、放射および伝導による非蒸発性熱放散と、発汗などの蒸発による蒸発性熱放散とに大別される。非蒸発性熱放散と蒸発性熱放散との割合が異なっていても、それらの和が同じであれば、放熱量としては同じ値となる。活動時には、放熱量が同じであれば温冷感に違いはないと言われている。しかし、睡眠時には、入眠直後の発汗などに見られるような生理的な変化があるために、放熱量が同じであっても、上記割合が異なると睡眠質に違いが出てくる。逆に言うと、非蒸発性熱放散と蒸発性熱放散とのバランスを考慮することにより、睡眠質の向上を図ることができる。例えば、体熱収支量が同じである場合には、高湿の環境下よりも低湿な環境下の方が、生理的な睡眠質が向上するだけでなく、寝つきまたは目覚めの心理的要素の質も向上する。従来の制御では、このような点は全く考慮に入れられていなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、快適な睡眠環境をもたらす空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、就寝者の人体の熱収支量が所定値になるように空気調和を行うこととした。
【0009】
本発明に係る空気調和装置は、少なくとも室内空気の加熱または冷却と室内空気の加湿または除湿とを実行する空気調和装置本体と、室内温度を検出する温度検出手段と、室内湿度を検出する湿度検出手段と、上記温度検出手段の検出温度および上記湿度検出手段の検出湿度に基づいて就寝者の人体の熱収支量を算出する算出手段と、上記就寝者の入眠前の熱収支量を記憶する記憶手段と、上記就寝者の入眠後の熱収支量が入眠前の熱収支量と等しくなるように上記空気調和装置本体を制御する制御手段とを備えているものである。
【0010】
室内の温湿度条件は、入眠前にはユーザー(就寝者)の好みに合った条件に設定されている。そのため、入眠前の熱収支量は、就寝者の好みに合った値になっていると考えられる。そこで、入眠後の熱収支量を入眠前の熱収支量と等しくすることにより、就寝者の好みに合った睡眠環境を提供することができる。
【0011】
本発明に係る他の空気調和装置は、少なくとも室内空気の加熱または冷却と室内空気の加湿または除湿とを実行する空気調和装置本体と、室内温度を検出する温度検出手段と、室内湿度を検出する湿度検出手段と、上記温度検出手段の検出温度および上記湿度検出手段の検出湿度に基づいて就寝者の人体の熱収支量を算出する算出手段と、熱収支量の目標値を外部から入力するための目標値入力手段と、熱収支量が上記目標値になるように上記空気調和装置本体を制御する制御手段とを備えているものである。
【0012】
上記空気調和装置によれば、ユーザー(就寝者)が目標値入力手段によって熱収支量の目標値を自由に変更することができるので、目標値を就寝者の個人差に応じた値に適宜設定することができる。そのため、就寝者の体力や体質(例えば褐色脂肪組織の保有量の違いによる産熱能力差)等には個人差があるにも拘わらず、幼児から高齢者に至るまで、幅広い人の特性に合った快適な睡眠環境を提供することができる。
【0013】
前記温度検出手段は、室内温度の代わりに寝床内温度を検出するように構成され、湿度検出手段は、室内湿度の代わりに寝床内湿度を検出するように構成されていてもよい。
【0014】
このことにより、寝床内の温度および湿度に基づいて熱収支量等が算出されるので、熱収支量等の算出精度は高くなる。そのため、体熱平衡をより正確に実現することができる。
【0015】
ところで、前述したように、低湿な環境の方が生理的な睡眠質が向上するだけでなく、寝つきまたは目覚めの心理的要素の質も向上する。
【0016】
そこで、前記制御手段は、就寝者が入眠してから所定時間の間は、相対湿度が40%を下回らない範囲で室内湿度を入眠前よりも低下させる制御を行うことが好ましい。
【0017】
入眠直後は発汗が生じやすいので、上記事項のように入眠直後に室内湿度を低下させることにより、より快適な睡眠環境を提供することができる。一方、室内湿度が40%を下回ると口腔が乾燥しやすいために、かえって睡眠環境を害するおそれがある。そこで、室内湿度を40%以上に保つことにより、身体に負担をかけることなく常に快適な睡眠環境を提供することができる。
【0018】
一般に睡眠中においては、入眠直後の第1〜第2ステージでは発汗量が多く、体温が下がりきっていない第3ステージでは発汗量は減少し、体温が上昇基調となる第4ステージ以降では、発汗量は更に減少し、発汗は不感蒸泄のみになる傾向が見られる。
【0019】
そこで、前記制御手段は、就寝者の入眠後に室内湿度を低下させた後、室内湿度を徐々に上昇させていく制御を行うものであってもよい。
【0020】
このことにより、発汗の発現頻度に応じて室内湿度を変更することができるので、生理変化に対応した快適な睡眠環境を提供することができる。
【0021】
前記空気調和装置は、就寝者の発汗量を検出する発汗量検出手段を備え、制御手段は、発汗量に応じて室内湿度を調節する制御を行うものであってもよい。
【0022】
このことにより、発汗量検出手段によって就寝者の発汗量を直接検出するので、発汗量に応じた湿度調節をより高精度に実行することができる。
【0023】
前記空気調和装置本体は、吹出空気の風量および風向のいずれか一方または両方を変更自在に構成され、制御手段は、就寝者の人体の熱収支量を所定値にするように、上記空気調和装置本体の吹出空気の風量および風向のいずれか一方または両方を調節するように構成されていてもよい。
【0024】
このことにより、室内温度および室内湿度だけでなく、就寝者の付近の気流速度も調節することができるため、熱的中立域において体熱平衡を保つことが容易になり、より快適な睡眠環境を提供することができる。
【0025】
前記空気調和装置本体は、吹出空気の温度を変更自在に構成され、制御手段は、就寝者の人体の熱収支量を所定値にするように、上記空気調和装置本体の吹出空気の温度を調節するように構成されていてもよい。
【0026】
吹出空気の温度は、発汗反応に影響を及ぼす。例えば、吹出空気温度を低めに調節することにより、発汗を抑制することができる。一方、吹出空気温度を高めに調節すれば、自然な発汗反応を促進させることができる。従って、室内湿度とともに吹出空気温度を調節することにより、体熱平衡を保つことが容易になる。
【0027】
前記空気調和装置は、室内温度または室内湿度の目標値を外部から入力するための目標値入力手段を備え、制御手段は、室内温度または室内湿度が上記目標値になりかつ就寝者の人体の熱収支量が所定値になるように空気調和装置本体を制御するように構成されていてもよい。
【0028】
このことにより、ユーザーが目標値入力手段を通じて室内温度または室内湿度の目標値を設定することにより、室内温度または室内湿度をユーザーの好みの値に維持したまま、体熱平衡を図ることができる。そのため、ユーザーの好みにより対応した快適な睡眠環境を提供することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、就寝者の人体の体熱平衡を考慮し、熱収支量を所定値にするように空気調和を実行するので、就寝者の体の負担を少なくすることができる。従って、睡眠質を向上させることができる。さらに、蒸発性熱放散と非蒸発性熱放散とのバランスを考慮し、体熱平衡を図りつつ室内湿度を低くすることとすれば、睡眠質を一層向上させることができる。従って、快適な睡眠環境を提供することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を下記前提技術と共に図面に基づいて説明する。
【0031】
<前提技術1>
図1に示すように、前提技術に係る空気調和装置(1)は、寝室に設けられたルームエアコンである。空気調和装置(1)は、冷房運転および暖房運転の両方の運転が可能であり、加湿機能および除湿機能をも有している。
【0032】
図2は、空気調和装置(1)のブロック図である。空気調和装置(1)は、空調機本体(11)と、室内温度を検出する温度センサ(12)と、室内湿度を検出する湿度センサ(13)と、熱収支量演算部(14)と、制御部(15)とを備えている。空調機本体(11)は、図示しない熱交換器および送風機等からなり、室内空気の加熱または冷却と、室内空気の加湿または除湿とを実行する。熱収支量演算部(14)は、温度センサ(12)および湿度センサ(13)によって検出された室内温度および室内湿度に基づいて、就寝者(2)の人体の熱収支量Q等を算出する演算部である。制御部(15)は、空調機本体(11)の制御を実行する部分である。
【0033】
熱収支量Qの算出に関してはいくつかの方法が知られているが、いずれの算出方法を採用してもよい。本前提技術では、中山昭雄編「温熱生理学」(理工学社,1981)に記載されている算出方法を用いることとした。
【0034】
上記算出方法では、熱収支量Qは、室内温度Ta[℃]と、室内相対湿度Rh[%]と、平均放射温度Th[℃]と、気流速度v[m/sec]と、人体の代謝量M[kcal/m3h]と、着衣の熱抵抗Iclo[m2h℃/kcal]とによって算出される。つまり、
Q=Q(Ta,Rh,Th,v,M,Iclo)
であり、熱収支量Qはこれら6つのパラメータの関数として表される。
【0035】
本前提技術では、室内温度Taおよび室内湿度Rhは、それぞれ温度センサ(12)および湿度センサ(13)によって直接検出する。しかし、他の4つのパラメータについては、一定値として、あるいは室内温度Taまたは室内湿度Rhの関数として、予め与えておく。
【0036】
平均放射温度Thは、平均輻射温度と同義であり、天井、壁、床等の距離や面積を加味した輻射温度の平均値をいう。平均放射温度Thについては、予め複数の設定温度を設けておき、季節に応じてまたは室外温度に応じて、それら設定温度のいずれかを選択するようにしてもよい。また、室内温度Taに所定温度を加算した温度として規定してもよい。例えば、冷房運転時には、平均放射温度Th=室内温度Ta+α(α=1〜2℃の一定値)としてもよい。また、外気温度−室内温度Ta<5℃のときにはTh=Ta+1とし、外気温度−室内温度Ta≧5℃のときにはTh=Ta+2とするなど、室内外の温度差に基づいて設定するようにしてもよい。
【0037】
気流速度vは一定値としてもよく、あるいは空調機本体(11)の送風機の回転数に応じて変化する値にしてもよい。例えば、部屋の大きさに応じて0.2〜0.4m/sの数値範囲から一定の値を選択してもよい。また、予め送風機の回転数と部屋中央部の風速実測値を対応づけたテーブルを用意しておき、当該テーブルに基づいて適宜選択するようにしてもよい。
【0038】
代謝量Mは、例えば睡眠時の代謝量として想定される0.9metにしてもよく、あるいは、入眠前の安静時代謝量として想定される1.0〜1.1metにしてもよい。
【0039】
着衣の熱抵抗Icloは、一定の値にしてもよく、季節に応じてまたは室外温度に応じて複数の設定値の中から適宜選択するようにしてもよい。例えば、冷房運転時は、夏用パジャマ相当として0.3cloにしてもよい。あるいは、外気温度に関係するパラメータκを用い、Iclo=0.3+κ(ただし、−0.1≦κ≦0.3)としてもよい。
【0040】
このように本前提技術では、熱収支量Qを室内温度Taおよび室内湿度Rhの関数として、近似して算出する。
【0041】
平均皮膚温度および濡れ面積率ωの値は、ASHRAE Trans Vol.77,1971,p247〜p262に記載された方法に基づいて算出することとした。ただし、他の方法を用いてもよいことは勿論である。上記方法では、濡れ面積率ωは、ω=0.06+0.94(Ersw/Emax)と定式化される。ここで、Erswは皮膚からの汗による有効蒸発熱放散であり、Emaxは皮膚からの最大蒸発熱放散である。濡れ面積率ωは、常に0.06以上の値となる。
【0042】
睡眠質を向上させるためには、就寝者(2)の体の負担を少なくすることが重要であり、そのためには熱的中立域において体熱平衡を維持することが特に好ましい。ここで熱的中立域とは、血流量の調節だけで体熱平衡を図ることのできる領域である。熱的中立域よりも高温域においては発汗が著しくなる一方、熱的中立域よりも低温域においては体のふるえが生じる。体熱平衡とは、人体の産熱量と放熱量とが釣り合うことをいい、具体的には人体の熱収支量Qが零(Q=0)になることをいう。
【0043】
前述したように、人体からの放熱は非蒸発性熱放散と蒸発性熱放散とに大別され、さらに、蒸発性熱放散は発汗による熱放散と不感蒸泄による熱放散とに分けられる。一般に、発汗が生じていないとき(不感蒸泄のみのとき)の濡れ面積率ωは、0.06(約6%)程度である。そこで、熱収支量Qを零にするとともに濡れ面積率ωを6%程度に保つことにより、熱的中立域において体熱平衡を図ることができる。
【0044】
本空気調和装置(1)では、空調機本体(11)は、室内温度および室内湿度をそれぞれ目標温度Tamおよび目標湿度Rhmにするように動作する。これら目標温度Tamおよび目標湿度Rhmは、制御部(15)によって適宜変更される。
【0045】
次に、図3を参照しながら、具体的な制御方法について説明する。まず、室内温度および室内湿度を検出する(ステップST1)。次に、濡れ面積率ωを算出し(ステップST2)、続いて熱収支量Qを算出する(ステップST3)。
【0046】
次に、ステップST4において、熱収支量Q=0かつ濡れ面積率ω=0.06であるか否かを判定する。発汗が生じていないときの濡れ面積率ωは0.06であるので、濡れ面積率ωは0.06未満になることはない。そのため、室内が乾燥しすぎている場合であっても、濡れ面積率ωは0.06となる。そこで、ステップST4の判定結果がYESのときには、体熱平衡はしているもののまだ汗をかくような状態ではない場合があるので、目標湿度Rhmを1%上昇させる(ステップST5)。
【0047】
一方、ステップST4の判定結果がNOの場合には、ステップST6に進み、熱収支量Q<0か否かを判定する。Q<0の場合には、寒さを感じる状態であると判断し、目標温度Tamを0.1℃上昇させる(ステップST7)。
【0048】
ステップST6の判定結果がNOの場合には、ステップST8に進み、熱収支量Q>0か否かを判定する。Q>0の場合には、暑さを感じる状態であると判断し、目標温度Tamを0.1℃低下させる(ステップST9)。
【0049】
ステップST8の判定結果がNOの場合には、Q=0かつω>0.06の状態(ステップST10)であり、体熱平衡はしているものの汗をかいている状態であるので、目標湿度Rhmを1%低下させる(ステップST11)。
【0050】
以上のように、本空気調和装置(1)によれば、熱的中立域において体熱平衡するように空気調和を実行するので、就寝者(2)の体の負担を少なくすることができ、良好な睡眠環境を提供することができる。加えて、濡れ面積率ωが6%程度になるように空気調和を実行するので、蒸発性熱放散を適度な量にすることができ、睡眠質をより一層向上させることができる。
【0051】
なお、上記前提技術は、濡れ面積率ωおよび熱収支量Qを室内温度および室内湿度に基づいて算出するものであったが、就寝者(2)の寝床内に温度センサおよび湿度センサを設け、ωおよびQを寝床内温度および寝床内湿度に基づいて算出するようにしてもよい。寝床内温度および寝床内湿度は就寝者(2)の人体近傍の温度および湿度であるので、寝床内温度および寝床内湿度に基づくことにより、濡れ面積率ωおよび熱収支量Qをより正確に算出することができる。
【0052】
上記前提技術は、体熱平衡を図るためにω=0.06かつQ=0となるように空調機本体(11)の制御を行うものであったが、他のパラメータを用いて体熱平衡を図るようにしてもよい。例えば、アメリカ空調学会(ASHRAE)の室内環境基準温度として採用されているSET*(標準新有効温度)に基づいて、体熱平衡を図ってもよい。SET*=22.2〜25.6℃の範囲は80%以上の人が満足する温熱環境域を表しており、この領域においては、熱的中立域付近で体熱平衡が実現されていると見なすことができる。そこで、ω=0.06かつSET*=22.2〜25.6℃となるように、空調機本体(11)を制御するようにしてもよい。なお、この場合、濡れ面積率ωはSET*の算出過程において算出されることになる。
【0053】
<前提技術2>
前提技術2に係る空気調和装置(1)は、就寝者(2)の生理量に基づいて体熱平衡状態を推定し、体熱平衡をもたらすように空気調和を実行するものである。
【0054】
体熱平衡状態の推定には種々の生理量を用いることができるが、本前提技術では、就寝者(2)の末梢部の血流量に基づいて体熱平衡状態を推定することとした。図4に示すように、血流量を検出する手段として、就寝者(2)の指または腕に装着した血流センサ(5,6)を用いる。血流センサ(5,6)には、超音波方式のセンサやレーザードップラー方式のセンサ等を用いることができる。
【0055】
図5は、環境温度と放熱量との関係を模式的に示す図である。線L1は血管が収縮したときの状態を示しており、このときには血流量は最小となる。環境温度がP1(線L1と線Lとの交点における環境温度)よりも左側の領域では、代謝の増大や体のふるえを生じることになる。線L2は血管が拡張したときの状態を示しており、このときには血流量は最大となる。環境温度がP2(線L2と線Lとの交点における環境温度)よりも右側の領域では、発汗を生じることになる。図5より、環境温度が一定の場合には、血管拡張時(線L2)の方が血管収縮時(線L1)よりも放熱量が大きいことが分かる。線Lは生理反応を示す線であり、熱的中立域にあるときには血管の収縮または拡張により、放熱量は一定に保たれていることが分かる。このような生理特性から、血流量に基づいて体熱平衡状態を推定することができる。
【0056】
図6に示すように、前提技術2では、まず就寝者(2)の血流量を検出する(ステップST21)。次に、上記血流量に基づき、就寝者(2)の生理状態が熱的中立状態にあるか否かを判定する(ステップST22)。その結果、YESの場合には、目標温度Tamおよび目標湿度Rhmの変更は行わず、その時点の運転状態を維持する。一方、ステップST22の判定結果がNOの場合には、ステップST23に進み、熱的中立状態の逸脱方向が放熱促進側か否かを判定する。
【0057】
ステップST23の判定結果がNOの場合には、ステップST24に進んで、目標湿度Rhmが50%未満か否かを判定する。判定結果がYESの場合には目標湿度Rhmを1%上昇させ(ステップST26)、NOの場合には目標温度Tamを0.1℃上昇させる(ステップST25)。
【0058】
一方、ステップST23の判定結果がYESの場合には、ステップST27に進んで、目標湿度Rhmが50%よりも大きいか否かを判定する。判定結果がYESの場合には目標湿度Rhmを1%低下させ(ステップST29)、NOの場合には目標温度Tamを0.1℃低下させる(ステップST28)。
【0059】
本前提技術によれば、就寝者(2)の生理量に基づいて体熱平衡状態を推定するので、体熱平衡状態を高精度に推定することができる。そのため、体熱平衡をより正確に実現することができる。
【0060】
<実施形態1>
入眠前にはユーザー(つまり就寝者(2))が自分の好みに応じて空気調和装置(1)の設定を変更できるので、入眠前の熱収支量Qprevは、ユーザーにとって最も快適な熱収支量であるということができる。そのような理由から、実施形態1に係る空気調和装置(1)は、入眠前の熱収支量を維持するように空気調和を実行することとしたものである。
【0061】
図7に示すように、実施形態1に係る空気調和装置(1)は、空調機本体(11)、温度センサ(12)、湿度センサ(13)、熱収支量演算部(14)、および制御部(15)に加え、入眠前の熱収支量Qprevを記憶する熱収支量記憶部(16)を備えている。
【0062】
図8に示すように、実施形態1においては、まず、就寝者(2)の入眠前の熱収支量Qprevを算出し、熱収支量記憶部(16)に記憶しておく(ステップST31)。このような熱収支量Qprevの記憶は1回だけでもよく、また、所定時間ごとに行い、記憶する値を順次更新するようにしてもよい。
【0063】
次に、就寝者(2)が入眠したか否かを判定する(ステップST32)。入眠の判定には公知の方法を用いればよく、また、就寝から一定時間経過後に入眠するものと仮定してもよい。例えば、光センサーによって室内の消灯を検知し、室内が消灯された時点または消灯時点から一定時間経過時に、入眠と判断するようにしてもよい。また、リモコンのおやすみボタンが押された時点または切タイマーが設定された時点を、入眠の時点と仮定してもよい。あるいは、リモコンのおやすみボタンが押された時点または切タイマーが設定された時点から一定時間経過時(例えば10分〜15分後)を、入眠の時点と仮定してもよい。
【0064】
就寝者(2)が入眠したと判定すると、ステップST33に進み、就寝者(2)の熱収支量Qを算出する(ステップST33)。次に、上記熱収支量Qが入眠前の熱収支量Qprevに一致するか否かを判定する(ステップST34)。判定結果がYESの場合には、目標温度Tamおよび目標湿度Rhmの変更は行わず、その時点での運転状態を維持する。一方、判定結果がNOの場合には、ステップST35に進み、熱収支量Qが入眠前の熱収支量Qprevよりも大きいか否かを判定する。
【0065】
ステップST35の判定結果がNOの場合には、目標湿度Rhmが50%未満か否かを判定し(ステップST36)、YESの場合には目標湿度Rhmを1%上昇させ(ステップST38)、NOの場合には目標温度Tamを0.1℃上昇させる(ステップST37)。
【0066】
ステップST35の判定結果がYESの場合には、目標湿度Rhmが50%よりも大きいか否かを判定し、YESの場合には目標湿度Rhmを1%低下させ(ステップST41)、NOの場合には目標温度Tamを0.1℃低下させる。
【0067】
本実施形態によれば、就寝者(2)の入眠後の熱収支量Qを入眠前の熱収支量Qprevに維持することができるので、より就寝者(2)の好みに合った睡眠環境を提供することができる。
【0068】
<実施形態2>
就寝者(2)には、体力差や体質差(例えば、褐色脂肪組織の保有量の違いによる産熱能力差など)等に基づく個人差が見られ、熱的中立域は人によって異なる。実施形態2に係る空気調和装置(1)は、個人差による熱的中立域の差異に対応できるように、ユーザーが熱収支量の目標値を変更するための入力手段を設けたものである。
【0069】
図9に示すように、実施形態2に係る空気調和装置(1)は、空調機本体(11)、温度センサ(12)、湿度センサ(13)、熱収支量演算部(14)、および制御部(15)に加え、熱収支量の目標値を入力するための入力部(17)を備えている。入力部(17)は、例えば空調機本体(11)の操作パネルやリモコン等に設けてもよい。また、入力部(17)は、熱収支量の目標値を数字で入力するように構成されていてもよく、ユーザーが目標値を相対的に増加または減少させる操作を行うように構成されていてもよい。
【0070】
本実施形態においては、就寝者(2)の熱収支量を入力部(17)を介して設定された目標値にするように、空気調和を実行する。従って、個人差に応じた快適な睡眠環境を提供することができる。
【0071】
<実施形態3>
就寝者(2)の全体の放熱量が同じであったとしても、室内湿度の低い方が睡眠の質は向上する。実施形態3に係る空気調和装置(1)は、発汗が生じやすい入眠直後には、室内湿度を低くした状態で熱収支量が所定値になるように、空気調和を実行するものである。
【0072】
図10に示すように、本実施形態においては、まず、熱収支量の目標値Qtを設定する(ステップST51)。目標値Qtは、前提技術1または2のように零としてもよく(Qt=0)、実施形態1のように入眠前の熱収支量Qprevと等しくしてもよく(Qt=Qprev)、実施形態3のようにユーザーによって設定されるようにしてもよい。
【0073】
次に、就寝者(2)が入眠したか否かを判定する(ステップST52)。就寝者(2)が入眠すると、目標湿度Rhmを40%に変更する(ステップST53)。ここで、目標湿度Rhmを40%にした理由は、室内湿度が40%よりも低いと口腔の乾燥を招き、睡眠の質を低下させる要因になるからである。
【0074】
次に、室内温度Taを検出し(ステップST54)、室内湿度Rhを検出する(ステップST55)。そして、熱収支量Qを算出する(ステップST56)。次に、算出した熱収支量Qが目標値Qtに一致するか否かを判定する(ステップST57)。判定結果がYESの場合には、目標温度Tamの変更は行わない。判定結果がNOの場合には、ステップST58に進む。
【0075】
ステップST58以降は、熱収支量Qを目標値Qtと一致させるような目標温度Tatを算出するステップであり、目標温度Tatは繰り返し計算によって算出される。ステップST58は、室内温度最大値Tamaxと室内温度最小値Taminの初期値を設定するステップであり、ここではTamax=50℃、Tamin=0℃とする。次に、ステップST59に進み、暫定的な目標温度Tavを室内温度最大値Tamaxおよび室内温度最小値Taminの平均値として算出する。すなわち、Tav=(Tamax+Tamin)/2とする。
【0076】
次に、当該目標温度Tavと室内湿度Rhとから、熱収支量Qpを算出する。この熱収支量Qpは、室内温度が上記目標温度Tavであった場合の熱収支量であり、ステップST61以降では、この熱収支量Qpが目標値Qtと一致するようにTavを修正していくことになる。ステップST61においては、熱収支量Qpが目標値Qtよりも大きいか否かを判定し、YESの場合にはTamaxをTamax=Tavと更新する(ステップST62)。ステップST61の判定結果がNOの場合には、ステップST63に進み、熱収支量Qpが目標値Qtよりも小さいか否かを判定する。ステップST63の判定結果がYESの場合には、TaminをTamin=Tavと更新する(ステップST64)。
【0077】
そして、ステップST65において、熱収支量Qpと目標値Qtとの差が所定値以下か否かを判定する。具体的には、|Qp−Qt|<0.1の条件を満たすか否かを判定する。その結果、YESの場合には、QpとQtとは実質的に等しいと判断し、その時点の暫定的な目標温度Tavを目標温度Tatとして確定し、室内湿度が40%かつ室内温度がTatになるように、空気調和を実行する。一方、ステップST65の判定結果がNOの場合には、ステップST59に戻り、目標温度Tavの設定をやり直す。
【0078】
その結果、本実施形態によれば、室内温度、室内湿度および就寝者(2)の体熱平衡状態は、例えば図11に示すように変化する。つまり、就寝者(2)が入眠すると、室内湿度は低下し、低湿な環境が提供される。この際、体熱平衡を図るため、室内温度は室内湿度の低下に対応するように上昇する。その結果、熱収支量は所定量に維持され、熱的中立域において体熱平衡が図られる。
【0079】
<実施形態4>
図12は、睡眠時の睡眠深度および発汗量の経時変化を示した図である。図12から分かるように、睡眠中には一定の生理特性が見られ、発汗の発現頻度は周期的に変化する。実施形態4は、このような発汗の経時変化に着目し、室内湿度を発汗に応じて変化させるようにしたものである。
【0080】
図13に示すように、本実施形態においても実施形態3と同様、まず熱収支量の目標値Qtを設定する(ステップST71)。次に、就寝者(2)が入眠したか否かを判定する(ステップST72)。就寝者(2)が入眠すると、入眠後の経過時間に応じて目標湿度Rhmを変更する。具体的には、まず睡眠時間が3時間未満か否かを判定し(ステップST73)、YESの場合には目標湿度Rhmを40%に設定する(ステップST74)。NOの場合には、睡眠時間が6時間未満か否かを判定し(ステップST75)、YESの場合には目標湿度Rhmを50%に設定する(ステップST76)。NOの場合には目標湿度Rhmを60%に設定する。つまり、睡眠時間が長いほど目標湿度Rhmが高くなるように、睡眠時間に応じて目標湿度Rhmを段階的に上昇させていく。
【0081】
その後は、室内温度Taの検出(ステップST78)および室内湿度Rhの検出(ステップST79)を行い、熱収支量Qを算出する(ステップST80)。そして、熱収支量Qが目標値Qtに一致しているか否かを判定し(ステップST81)、YESの場合は目標温度Tamの変更は行わず、その時点での運転状態を維持する。一方、ステップST81の判定結果がNOの場合は、実施形態3と同様の繰り返し計算(ステップST58〜ST66参照)を行い、目標温度を算出する。そして、室内温度が当該目標温度になるように、空気調和を実行する。
【0082】
本実施形態によれば、睡眠時の生理変化に柔軟に対応した質の高い睡眠環境を提供することができる。
【0083】
<実施形態5>
図14に示すように、実施形態5に係る空気調和装置(1)は、発汗量を検出する発汗センサ(18)を備え、発汗センサ(18)によって検出した発汗量に基づいて目標湿度Rhmを変更するようにしたものである。
【0084】
図15に示すように、本実施形態においても実施形態3と同様、まず熱収支量の目標値Qtを設定する(ステップST91)。次に、就寝者(2)が入眠したか否かを判定する(ステップST92)。就寝者(2)が入眠すると、発汗量に応じて目標湿度Rhmを適宜変更する。具体的には、まず発汗量が第1所定値(例えば発汗センサ(18)の最大検出値の80%)以上か否かを判定し(ステップST93)、YESの場合には目標湿度Rhmを40%に設定する(ステップST94)。NOの場合には、発汗量が第1所定値よりも小さな第2所定値以上(例えば発汗センサ(18)の最大検出値の60%)か否かを判定し(ステップST95)、YESの場合は目標湿度Rhmを50%に設定し(ステップST97)、NOの場合は目標湿度Rhmを60%に設定する(ステップST96)。つまり、発汗量が多いほど目標湿度Rhmが小さくなるように、発汗量に応じて目標湿度Rhmを変化させる。
【0085】
その後は、室内温度Taの検出(ステップST98)および室内湿度Rhの検出(ステップST99)を行い、熱収支量Qを算出する(ステップST100)。そして、熱収支量Qが目標値Qtに一致しているか否かを判定し(ステップST101)、YESの場合は目標温度Tamの変更は行わず、その時点での運転状態を維持する。一方、ステップST101の判定結果がNOの場合は、実施形態3と同様の繰り返し計算(ステップST58〜ST66参照)を行い、目標温度を算出する。そして、室内温度が当該目標温度になるように、空気調和を実行する。
【0086】
本実施形態によれば、発汗センサ(18)によって直接的に検出した発汗量に基づいて空気調和を実行するので、生理変化への対応の精度を高めることができ、より質の高い睡眠環境を提供することができる。
【0087】
なお、発汗センサ(18)は、就寝者(2)の体の一部(例えば、手首、腕、胸または指など)に貼り付けたものでもよく、体の一部に巻き付けたものであってもよい。また、敷き布団上部の布団カバーの内部に設けられた1つまたは2つ以上のセンサを備えたものであってもよい。2つ以上のセンサを用いる場合には、検出値の大きな方を実際の発汗量とみなすことにより、寝返りなどの体動による検出誤差を低減することができる。
【0088】
<その他の実施形態>
前記各実施形態は、熱収支量が所定値になるように室内温度および室内湿度を調節するものであったが、室内温度および室内湿度に加え、空調機本体(11)の風量および風向のいずれか一方または両方を調節するものであってもよい。このことにより、就寝者(2)の近傍の気流速度を変えることができ、熱的中立域において体熱平衡をもたらすことが容易になる。
【0089】
また、空調機本体(11)の吹出空気の温度を調節するようにしてもよい。吹出空気の温度は発汗反応に影響を及ぼし、低温の気流による冷刺激は発汗を抑制することが知られている。例えば、室内温度が同じであっても、吹出空気温度が低温の場合の方が発汗量は少なくなる。逆に、吹出空気温度を高めにすると、自然な発汗反応を促進することができ、蒸発性熱放散を増加させることができる。そのため、室内湿度を低下させる効果と同様の効果をもたらすことができる。なお、吹出空気温度は、温度センサによって直接的に検出することもでき、室内外の温度や空調機本体(11)の空調能力などから実験的に求めることもできる。また、室内温度と室内熱交換器温度との関係から推測することもできる。
【0090】
前記各実施形態では、室内温度および室内湿度はユーザーが設定するものではなかったが、室内温度または室内湿度をユーザーが設定するようにしてもよい。空調機本体(11)またはリモコン(図示せず)に、室内温度または室内湿度を設定する入力部を設けるようにしてもよい。このことにより、室内温度または室内湿度をユーザーの好みの値(または範囲)に維持したうえで体熱平衡を図ることができ、より快適な睡眠環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る空気調和装置が設置された室内の概略斜視図である。
【図2】 前提技術1に係る空気調和装置のブロック図である。
【図3】 前提技術1に係る空調制御のフローチャートである。
【図4】 前提技術2に係る空気調和装置が設置された室内を模式的に示す図である。
【図5】 環境温度と人体からの放熱量との関係を示す図である。
【図6】 前提技術2に係る空調制御のフローチャートである。
【図7】 実施形態1に係る空気調和装置のブロック図である。
【図8】 実施形態1に係る空調制御のフローチャートである。
【図9】 実施形態2に係る空気調和装置のブロック図である。
【図10】 実施形態3に係る空調制御のフローチャートである。
【図11】 実施形態3における室内温度、室内湿度および体熱平衡状態の経時変化を示す図である。
【図12】 睡眠時間と発汗量との関係を示す図である。
【図13】 実施形態4に係る空調制御のフローチャートである。
【図14】 実施形態7に係る空気調和装置が設置された室内を模式的に示す図である。
【図15】 実施形態5に係る空調制御のフローチャートである。
【図16】 従来技術による室内温度、室内湿度および体熱平衡状態の経時変化を示す図である。
【図17】 従来技術による室内温度、室内湿度および体熱平衡状態の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
(1) 空気調和装置
(2) 就寝者
(5,6) 血流センサ
(11) 空調機本体(空気調和装置本体)
(12) 温度センサ(温度検出手段)
(13) 湿度センサ(湿度検出手段)
(14) 熱収支量演算部(算出手段)
(15) 制御部(制御手段)
(16) 熱収支量記憶部(記憶手段)
(17) 入力部(目標値入力手段)
(18) 発汗センサ(発汗量検出手段)
Claims (9)
- 少なくとも室内空気の加熱または冷却と室内空気の加湿または除湿とを実行する空気調和装置本体(11)と、
室内温度を検出する温度検出手段(12)と、
室内湿度を検出する湿度検出手段(13)と、
上記温度検出手段(12)の検出温度および上記湿度検出手段(13)の検出湿度に基づいて就寝者(2)の人体の熱収支量を算出する算出手段(14)と、
上記就寝者(2)の入眠前の熱収支量を記憶する記憶手段(16)と、
上記就寝者(2)の入眠後の熱収支量が入眠前の熱収支量と等しくなるように上記空気調和装置本体(11)を制御する制御手段(15)と
を備えていることを特徴とする空気調和装置。 - 少なくとも室内空気の加熱または冷却と室内空気の加湿または除湿とを実行する空気調和装置本体(11)と、
室内温度を検出する温度検出手段(12)と、
室内湿度を検出する湿度検出手段(13)と、
上記温度検出手段(12)の検出温度および上記湿度検出手段(13)の検出湿度に基づいて就寝者(2)の人体の熱収支量を算出する算出手段(14)と、
熱収支量の目標値を外部から入力するための目標値入力手段(17)と、
熱収支量が上記目標値になるように上記空気調和装置本体(11)を制御する制御手段(15)と
を備えていることを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1または2に記載の空気調和装置であって、
温度検出手段(12)は、室内温度の代わりに寝床内温度を検出するように構成され、
湿度検出手段(13)は、室内湿度の代わりに寝床内湿度を検出するように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気調和装置において、
制御手段(15)は、就寝者(2)が入眠してから所定時間の間は、相対湿度が40%を下回らない範囲で室内湿度を入眠前よりも低下させる制御を行う
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項4に記載の空気調和装置において、
制御手段(15)は、就寝者(2)の入眠後に室内湿度を低下させた後、室内湿度を徐々に上昇させていく制御を行う
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気調和装置において、
就寝者(2)の発汗量を検出する発汗量検出手段(18)を備え、
制御手段(15)は、発汗量に応じて室内湿度を調節する制御を行う
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気調和装置において、
空気調和装置本体(11)は、吹出空気の風量および風向のいずれか一方または両方を変更自在に構成され、
制御手段(15)は、就寝者(2)の人体の熱収支量を所定値にするように、上記空気調和装置本体(11)の吹出空気の風量および風向のいずれか一方または両方を調節する
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気調和装置において、
空気調和装置本体(11)は、吹出空気の温度を変更自在に構成され、
制御手段(15)は、就寝者(2)の人体の熱収支量を所定値にするように、上記空気調和装置本体(11)の吹出空気の温度を調節する
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気調和装置において、
室内温度または室内湿度の目標値を外部から入力するための目標値入力手段を備え、
制御手段(15)は、室内温度または室内湿度が上記目標値になりかつ就寝者(2)の人体の熱収支量が所定値になるように空気調和装置本体(11)を制御する
ことを特徴とする空気調和装置。
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