本発明の一態様に係る空気調和機は、室内を温度調整する空気調和部と、室内の使用者が発する赤外線に基づいて熱画像を撮影するサーモカメラと、室内の室内温を測定する室内温測定部と、熱画像から使用者に相当する人体領域を抽出し、当該人体領域の人体領域温度を検出する熱画像解析部と、熱画像解析部が検出した人体領域温度と、室内温測定部が測定した測温結果とに基づいて空気調和部を制御する制御部とを備え、制御部は、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果と、第一期間よりも後の第二期間に取得した人体領域温度及び測温結果とに基づいて、第二期間における空気調和部の温度調整を制御する。
これによれば、制御部は、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果と、第二期間に取得した人体領域温度及び測温結果とに基づいて、第二期間における空気調和部の温度調整を制御する。つまり、第二期間での温度調整には、第二期間よりも前の第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果が反映されている。人体領域の人体領域温度と、測温結果(室内温)とによって、使用者の放熱量を推定することができる。この放熱量には個人差があるが、第二期間よりも前の第一期間では、空気調和機の起動時に近い期間であるために、使用者が入眠している可能性は第二期間よりも小さい。このため、第一期間では、使用者自身が空気調和機の設定温度を決めており、使用者にとって快適な温度環境が実現できているものと推測できる。一方、第二期間では、第一期間よりも使用者が眠っている可能性が高く、その場合には、使用者自身が空気調和機の設定温度を変更することはできない。しかし、上述したように、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果が、第二期間の温度調整に反映されていれば、第二期間においても個人的な特性を考慮した温度調整が可能である。
例えば、制御部は、第一期間の終了直前の人体領域温度と測温結果との差分から放熱量基準値を計測し、第二期間では、当該放熱量基準値が維持されるように、空気調和部の温度調整を制御する。
これによれば、第二期間では、第一期間終了直前の使用者の放熱量基準値が維持されるように温度調整が行われるので、使用者にとって快適な温度環境を示す放熱量基準値に基づいて、第二期間での温度調整を行うことができる。
例えば、第一期間は、使用者が就寝し入眠前の期間であり、第二期間は、使用者の入眠後の期間である。
これによれば、第一期間は使用者の入眠前の期間であり、第二期間は使用者の入眠後の期間であるので、入眠後であっても個人的な特性を考慮した温度調整が可能である。
例えば、熱画像解析部は、熱画像に基づいて使用者に対する寝具の状態を検出し、制御部は、第一期間での寝具の状態に基づいて、第一期間の空気調和部の温度調整を制御する。
第一期間で使用者自身が空気調和機の設定温度を決めていたとしても、使用者が寝具を退けたりかけたりすることで自ら温度調整を行う場合もある。この場合、寝具の状態が使用者の快適な温度環境を示しているとも言える。上述したように、制御部が、第一期間での寝具の状態に基づいて空気調和部の温度調整を制御すれば、第一期間では使用者にとって快適な温度環境が実現される。第一期間で使用者の快適な温度環境が実現されていれば、第一期間で取得した人体領域温度及び測温結果も使用者にとって適切なものとなるため、第二期間での温度調整も使用者にとってより快適に行うことができる。
例えば、空気調和機は、室外の室外温を測定する室外温測定部を備え、制御部は、第一期間において、空気調和部の温度調整の基本となる第一の基本設定温度が、室外温測定部の測定結果を基準とした所定範囲内にある場合には、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度調整を制御する。
ここで、空気調和部の温度調整の基本となる基本設定温度が、室外温に近い温度であると、冷風運転と停止とを繰り返すために室内温が短時間に激しく変動する。この現象をハンチングというが、ハンチングは睡眠中の使用者の発汗と、汗の乾きとを繰り返し誘発するために、使用者の寝冷えの原因となる。しかしながら、第一の基本設定温度が室外温測定部の測定結果を基準とした所定範囲内にある場合、つまりハンチングが発生しやすい状況の場合には、制御部は、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度調整を制御する。これにより、ハンチングの発生を抑制することができ、使用者の寝冷えを抑えることができる。
例えば、空気調和機は、報知部を備え、制御部は、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度制御を行う際に、人体領域温度と測温結果との差分である放熱量が所定値よりも大きい場合には、報知部を制御して、放熱量を下げるような行動を促す報知を行う。
これによれば、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度調整が制御されると、室内温が下がることになる。このため、人体領域の放熱量が高まり、人は寒さを感じやすくなる。人体領域の放熱量が所定値以上となれば、放熱量を下げるような行動を促す報知が報知部から使用者に対して行われるので、使用者は、寝具をかけたり、より熱抵抗の高い寝具に交換したりすることができる。
例えば、制御部は、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度制御を行う際に、人体領域温度と測温結果との差分である放熱量が所定値よりも大きい場合には、報知部を制御して、使用者が使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の使用を推奨する報知を行う。
これによれば、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部の温度調整が制御されると、室内温が下がることになる。このため、人体領域の放熱量が高まり、人は寒さを感じやすくなる。人体領域の放熱量が所定値以上となれば、使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の使用を使用者に対して推奨する報知が報知部から行われるので、使用者は、より熱抵抗の高い寝具に交換するきっかけを得ることができる。
例えば、空気調和機は、寝具の種類を取得して、当該寝具の熱抵抗を推定する熱抵抗推定部を備え、制御部は、熱抵抗推定部が推定した熱抵抗を、使用者が使用中の寝具の熱抵抗とする。
これによれば、制御部は、寝具の種類を取得することで、使用者が使用中の寝具の熱抵抗を推定することができる。これにより、制御部は、現在使用中の寝具の熱抵抗を把握することができ、報知の正確性を高めることができる。例えば、寝具の交換を促す場合には、現在使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の種類を提案することも可能である。
例えば、空気調和機は、寝具の識別番号を取得する識別番号取得部と、寝具の識別番号と当該寝具の熱抵抗とを関連付けて記憶する記憶部とを備え、熱抵抗推定部は、識別番号取得部が取得した識別番号に対応する熱抵抗を記憶部から読み出すことで、使用者が使用中の寝具の熱抵抗を推定する。
これによれば、熱抵抗推定部は、識別番号取得部が取得した識別番号に対応する熱抵抗を記憶部から読み出すことで、使用者が使用中の寝具の熱抵抗を推定するので、現在使用中の寝具の熱抵抗をより確実に推定することができる。
例えば、熱抵抗推定部は、熱画像の所定地点での寝具の有無による温度差に基づいて、当該寝具の熱抵抗を推定する。
これによれば、熱抵抗推定部は、熱画像の所定地点での寝具の有無による温度差に基づいて、当該寝具の熱抵抗を推定するので、実際の寝具の熱抵抗を推定することができる。
例えば、制御部は、第一期間の開始時の人体領域を基準領域として記憶しており、次回以降については、熱画像解析部が抽出した人体領域が、基準領域に近似している場合には、前記第一期間を開始する。
これによれば、制御部は、第一期間の開始時の人体領域を基準領域として記憶しており、次回以降については、熱画像解析部が抽出した人体領域が、基準領域に近似している場合に第一期間を開始する。これにより、次回以降については、制御部が自動で第一期間の開始タイミングを判定することができる。
例えば、空気調和機は、室内の照度を検出する照度センサを備え、制御部は、照度センサが検出した照度が所定値以下となった場合には、前記第一期間を開始する。
これによれば、制御部は、照度センサが検出した照度が所定値以下となった場合に第一期間を開始するので、室内の照度に基づいて第一期間の開始タイミングを判定することができる。
例えば、熱画像解析部は、人体領域の特徴点を抽出し、制御部は、人体領域の特徴点の変位量に基づいて、第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定する。
ここで、人体領域とは使用者に相当する領域であるため、当該人体領域の特徴点の変位は、使用者の動きを表していると言える。つまり、制御部は、人体領域の特徴点の変位量に基づいて第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定することで、実際の使用者の動きに基づいて第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定することができる。したがって、実際の使用者の動き(状態)を反映した温度調整が可能となる。
例えば、制御部は、特徴点の変位量が第一閾値以下となった場合に前記第一期間を開始する。
これによれば、制御部は、特徴点の変位量が第一閾値以下となった場合に第一期間を開始するので、活動時よりも使用者の動きが小さくなる就寝タイミングを判断して第一期間を開始することができる。
例えば、制御部は、特徴点の変位量が第一閾値よりも小さい第二閾値以下となった場合に第二期間を開始する。
これによれば、制御部は、特徴点の変位量が第二閾値以下となった場合に第二期間を開始するので、就寝時よりも使用者の動きが小さくなる入眠タイミングを判断して第二期間を開始することができる。
例えば、制御部は、第一期間が開始してから所定時間経過したときに第二期間を開始する。
これによれば、制御部は、第一期間が開始してから所定時間経過したときに第二期間を開始するので、第一期間の開始後に所定時間経過すれば確実に第二期間を開始することができる。
例えば、空気調和部は、報知部を備え、制御部は、報知部を制御して、使用者に対して入眠に導く報知を行う。
これによれば、報知部が使用者に対して入眠に導く報知を行うので、使用者を入眠に導くことができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
図1は、実施の形態に係る空気調和機100の使用状況を示す説明図である。図2は、実施の形態に係る空気調和機100の構成ブロックを示すブロック図である。
図1に示すように、空気調和機100は、例えば室内Rの壁に取り付けられており、室内Rの温度調整を行う。図2に示すように、空気調和機100は、空気調和機本体101と、リモコン120とを備えている。
空気調和機本体101は、室内Rの空気調和を行う本体部である。空気調和機本体101は、サーモカメラ102と、空気調和部103と、熱画像解析部104と、室外温測定部105と、記憶部106と、熱抵抗推定部107と、照度センサ108と、通信部109と、制御部110を備えている。
空気調和部103は、室内Rから取り込んだ空気に対して、冷媒の温熱又は冷熱を伝達して空調空気を生成し、当該空等空気を室内Rに供給することで、室内Rを温度調整する。
サーモカメラ102は、空気調和機100の送風口の近傍に設けられている(図1参照)。サーモカメラ102は、赤外線による撮像により室内Rの熱画像を撮影する。室内Rに使用者Pが存在している場合には、サーモカメラ102は、当該使用者が発する赤外線を含んだ熱画像を撮影する。具体的には、サーモカメラ102は、赤外線のうち、中赤外線及び遠赤外線による撮像を行うことで熱画像を取得している。つまり、サーモカメラ102は、使用者Pが発した中赤外線及び遠赤外線を測定する。
図3~図5は、実施の形態に係るサーモカメラ102が撮影した熱画像の一例を示す説明図である。図3~図5は、ベッド200に寝転んだ状態の使用者Pを含んだ熱画像G1、G2、G3を示している。図3~5では、温度の高い部分が濃い色で、温度が低い部分が薄い色で示されている。図3~図5において、熱画像G1中の線L1、L2、L3は、使用者Pの外形線に相当し、当該線L1、L2、L3により囲まれた領域が、使用者Pに相当する人体領域A1、A2、A3となる。なお、この線L1、L2、L3は、サーモカメラ102で撮像された熱画像G1、G2、G3には元々含まれておらず、後述する熱画像解析部104の抽出処理によって取得される。また、図4、図5に示す点線L11、L12は、寝具を模式的に示している。
図3の場合では、使用者Pは寝具をかけていないため、使用者Pの全体的な外形が明瞭に熱画像G1に現れている。図4の場合では、使用者Pは、下半身に薄手の寝具をかけているため、熱画像G2では、寝具からはみ出た部分が色濃く、寝具に覆われた部分は薄くなっている。図5の場合では、使用者Pは、下半身に厚手の寝具をかけているために、熱画像G3では、寝具からはみ出た部分が色濃く、寝具に覆われた部分は図4の場合よりも薄くなっている。人体に寝具をかけたとしても、使用者Pから放射される赤外線は完全に遮られていないことが分かる。
熱画像解析部104は、熱画像G1、G2、G3から使用者Pに相当する人体領域A1、A2、A3を抽出し、当該人体領域A1、A2、A3の人体領域温度を検出する。人体領域温度は、人体領域A1、A2、A3の面積に対する平均温度である。熱画像解析部104は、例えば、熱画像G1、G2、G3に対してエッジ処理を施すことで、使用者Pの外形線に相当する線L1、L2、L3を特定し、当該線L1、L2、L3の内部を人体領域A1、A2、A3として抽出する。なお、この画像抽出処理は、周知のその他の手法を用いることが可能である。また、熱画像解析部104は、熱画像G1、G2、G3のうち、人体領域A1、A2、A3とは異なる背景領域を用いて、室内Rの室内温を測定する。具体的には、熱画像解析部104は、背景領域の面積に対する平均温度を算出し、当該平均温度を室内温とする。熱画像解析部104は、検出した人体領域A1、A2、A3の人体領域温度と、測定した室内Rの室内温とを制御部110に出力する。
このように、熱画像解析部104は、室内Rの室内温を測定する室内温測定部の一例である。つまり、熱画像解析部104が測定した室内温は、測温結果である。なお、室内温を直接測定する温度センサを、室内温測定部としてもよい。
室外温測定部105は、室内Rの外である室外の室外温を測定する。具体的には、室外温測定部105は、室外機に設けられ、室外温を測定する温度センサである。なお、外気を取り込む流路内に配置され当該外気の温度を測定する温度センサを室外温測定部105とすることも可能である。この場合、測定された外気の温度が室外温となる。
記憶部106は、寝具の識別番号と当該寝具の熱抵抗とを関連付けて記憶するメモリまたはストレージである。寝具の識別番号は、寝具の種類を識別できる番号のことであり、例えば、寝具の製造番号などが挙げられる。記憶部106は、各識別番号に対応した熱抵抗をそれぞれ記憶していてもよいし、寝具の種類(例えば布団、毛布、タオルケットなど)に対応した熱抵抗を記憶していてもよい。
熱抵抗推定部107は、寝具の種類を取得して、当該寝具の熱抵抗を推定する。具体的には、熱抵抗推定部107は、後述するリモコン120の識別番号取得部123が取得した寝具の識別番号に対応する熱抵抗を記憶部106から読み出すことで、使用者Pが使用中の寝具の熱抵抗を推定する。熱抵抗推定部107は、推定した寝具の熱抵抗を制御部110に出力する。
照度センサ108は、室内Rの照度を検出する照度センサである。照度センサ108は、検出した照度を制御部110に出力する。
通信部109は、リモコン120からの制御信号を受信するとともにリモコン120に対して制御信号を発信する。具体的には、通信部109は、例えば、リモコン120が赤外線式リモコンである場合には、赤外線通信が可能な赤外線通信部である。一方、通信部109は、リモコン120がスマートフォンなどの携帯端末または無線式リモコンである場合には、無線通信が可能な無線通信部である。ここで、無線通信は、電波(すなわち、可視光及び赤外光を除く)を用いた通信である。
制御部110は、通信部109が受信した制御信号に基づいて、各部を制御する。制御部110による具体的な制御については、後述する。なお、制御部110、熱画像解析部104、熱抵抗推定部107の一部または全部は、空気調和機本体101に備わるプロセッサ(不図示)がプログラムを実行することでソフトウェア的に実現されてもよいし、専用回路によりハードウェア的に実現されてもよい。また、上記構成要素が処理に用いる情報は、空気調和機本体101が備えるメモリ(不図示)又はストレージ(不図示)に格納されているとする。
リモコン120は、空気調和機本体101を操作するためのリモコンである。リモコン120は、操作部121と、報知部122と、識別番号取得部123と、通信部124とを備えている。
操作部121は、機械的なスイッチ群またはタッチパネルであり、使用者Pからの各種操作を受け付ける。例えば、操作部121が操作されることにより、空気調和機本体101の空気調和部103の温度調整の基本となる第一の基本設定温度が設定される。
報知部122は、空気調和機本体101の通信部109から受信した制御信号に基づいて、種々の情報を報知する。具体的には、報知部122は、スピーカなどの音声出力部、表示パネルまたはタッチパネルなどの表示部である。なお、報知部は、空気調和機本体101に設けられていてもよい。
識別番号取得部123は、寝具の識別番号を取得する。具体的には、識別番号取得部123は、バーコードリーダや、ICタグリーダーであり、寝具に備わるバーコードやIDタグを読み取ることで、当該寝具の識別番号を取得する。なお、識別番号取得部は、操作部121であってもよい。この場合、使用者Pが操作部121を操作して、寝具の識別番号を直接入力することで、操作部121(識別番号取得部)が寝具の識別番号を取得する。
通信部124は、空気調和機本体101の通信部109と通信を行う。具体的には、通信部124は、操作部121が操作されたことにより作成された制御信号と、識別番号取得部123が取得した寝具の識別番号とを、空気調和機本体101の通信部109に対して発信する。また、通信部124は、空気調和機本体101の通信部109から発信された制御信号を受信する。通信部124は、例えば、リモコン120が赤外線式リモコンである場合には、赤外線通信が可能な赤外線通信部である。一方、通信部124は、リモコン120がスマートフォンなどの携帯端末または無線式リモコンである場合には、無線通信が可能な無線通信部である。
次に、制御部110による温度調整の制御について説明する。図6は、実施の形態に係る制御部110の温度調整の制御の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1では、制御部110は、熱画像解析部104が検出した人体領域A1、A2、A3の人体領域温度と、室内Rの室内温との取得を開始する。これにより、制御部110は、空気調和機本体101が起動している間、人体領域A1、A2、A3と、室内温とを所定の時間ピッチ(例えば1秒間、10秒間、1分間など)毎に取得する。
ステップS2では、制御部110は、第一の基本設定温度に基づいて、空気調和部103を制御する。
ステップS3では、制御部110は、第一期間の開始タイミングとなったか否かを判断する。ここで、第一期間とは、使用者Pが就寝し入眠する前の期間である。つまり、第一期間は、使用者Pがベッド200に横たわったものの、まだ入眠していない期間である。一般的に、使用者Pが就寝する場合、使用者Pは、室内Rの照明を暗くする。このため、制御部110は、照度センサ108が検出した室内Rの照度が所定値以下となった場合に、第一期間の開始タイミングとなったと判断して、ステップS4に移行する。一方、制御部110は、照度センサ108が検出した照度が所定値よりも大きい場合には第一期間の開始タイミングではないと判断して、現在の状態を継続する。
次いで、制御部110は、第一の基本設定温度が、室外温測定部105の測定結果を基準とした所定範囲内にあるか否かを判断する(ステップS4)。ここで、一般的な空気調和機では、室外温に近い温度に設定されると、冷風運転と停止とを繰り返すこととなり、室内Rの温度が激しく変動する場合がある。この現象は「ハンチング」と呼ばれている。ハンチングによる室温の激しい変動では、室温が高まると使用者Pは発汗し、室温が下がると発汗が抑えられ汗が乾く。つまり、発汗と汗の乾きとが繰り返されることとなり、これが寝冷えの原因となる。このため、室外温測定部105の測定結果を基準とした所定範囲内に第一の基本設定温度が収まっている場合には、ハンチングが生じやすく、前記所定範囲外に第一の基本設定温度がある場合には、ハンチングは生じにくくなる。ハンチングが生じやすい所定範囲は、空気調和機100の機種によって異なるため、各機種の設計時に各種実験、シミュレーション等を行うことにより適切な所定範囲が決定されているものとする。
そして、制御部110は、第一の基本設定温度が所定範囲以内にある場合にはステップS5に移行し、第一の基本設定温度が所定範囲外にある場合にはステップS8に移行する。
ステップS5では、制御部110は、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて、空気調和部103を制御する。これにより、ハンチングの発生が抑制される。第二の基本設定温度は、所定範囲の下限値よりも小さいと、ハンチングの発生を確実に抑制することができる。
ステップS6では、制御部110は、現時点での人体領域A1、A2、A3の人体領域温度と、室内Rの室内温との差分である放熱量を算出し、当該放熱量が所定値よりも大きいか否かを判断する。この放熱量は、人体からの放熱量を表している。また、この放熱量に基づいて、使用者Pの温冷感を推定することが可能である。例えば、使用者Pからの放熱量が大きい場合には、使用者Pが感じる寒さが大きくなる。一方、使用者Pからの放熱量が小さい場合には、使用者Pが感じる温かさが大きくなる。ここで、所定値は、使用者Pが寒さを感じにくい値である。所定値は、空気調和機100の使用環境、空気調和機100の性能、使用者Pの個人特性などに応じて最適な値が異なるため、種々の実験、シミュレーション等を行うことにより適切な値が決定されているものとする。なお、使用者が、例えばリモコン120を操作することで自分に適切な所定値を登録できるようにしてもよい。そして、制御部110は、放熱量が所定値よりも大きい場合にはステップS7に移行し、放熱量が所定値以下である場合にはステップS8に移行する。
ステップS7では、制御部110は、使用者Pに対して放熱量を下げるような行動を促す報知を報知部122に行わせる。具体的には、制御部110は、放熱量を下げるような行動を促す報知を行うための制御信号を生成して通信部109から発信させる。当該制御信号をリモコン120の通信部124が受信すると、報知部122は制御信号に基づいて、放熱量を下げるような行動を促す報知を行う。
放熱量を下げるような行動を促す報知とは、使用者Pが感じる寒さを低減できる行動を促す報知である。放熱量を下げるような行動には、使用者Pが寝具をかけていない場合には寝具をかける第一動作、使用者Pが着衣を厚手のものに着替える第二動作、使用者Pが現在使用中の寝具から厚手の寝具(熱抵抗の高い寝具)に交換する第三動作などが含まれる。
第一動作を促す報知には、例えば「体に布団をかけてください」などが挙げられる。第二動作を促す報知には、例えば「暖かい服に着替えてください」などが挙げられる。第三動作を促す報知には、例えば「寝具を厚手のものに交換してください」などが挙げられる。なお、前述したように、熱抵抗推定部107によって、現在使用中の寝具の熱抵抗が推定されている場合には、制御部110は、現在使用中の寝具よりも熱抵抗の大きい寝具に交換することを、第三動作を促す報知に含ませてもよい。例えば、制御部110は、現在使用中の寝具がタオルケットである場合には、それよりも熱抵抗の高い毛布や布団に交換することを、第三動作を促す報知に含ませる。
ステップS8では、制御部110は、第二期間の開始タイミングとなったか否かを判断する。ここで、第二期間とは、使用者Pの入眠後の期間である。一般的に、使用者Pが就寝してから所定時間経過すると入眠する。このため、制御部110は、第一期間の開始タイミングから所定時間経過した場合に第二期間の開始タイミングとなったと判断して、ステップS9に移行する。一方、制御部110は、第一期間の開始タイミングから所定時間に達していない場合には、第二期間の開始タイミングではないと判断して、現在の状態を継続する。ここで、所定時間は、使用者Pが就寝してから入眠している可能性が高い期間である。所定時間は、使用者Pの個人特性などに応じて最適な値が異なるため、種々の実験、シミュレーション等を行うことにより適切な値が決定されているものとする。なお、リモコン120を操作することで、使用者Pが自分に適切な所定時間を登録できるようにしてもよい。
ステップS9では、制御部110は、熱画像解析部104が第一期間に取得した人体領域温度及び室内温と、第二期間に取得した人体領域温度及び室内温とに基づいて、第二期間における空気調和部103の温度調整を制御する。具体的には、制御部110は、第一期間の終了直前の人体領域温度と室内温との差分から放熱量基準値を計測し、第二期間では、当該放熱量基準値が維持されるように、空気調和部103の温度調整を制御する。
詳細に説明すると、まず制御部110は、第一期間の終了直前の人体領域温度と室内温とを求める。図7は、実施の形態に係る人体領域温度と室内温との関係を示すグラフである。図7に示すように、熱画像解析部104が取得した人体領域温度は、大抵の場合、室内温よりも高い。制御部110は、第二期間の開始タイミングの直前の所定期間内の人体領域温度の平均値と、室内温の平均値とをそれぞれ求め、その平均値同士の差分から放熱量基準値を求める。つまり、放熱量基準値は、第一期間の人体領域温度の平均値と、室内温の平均値とから求められている。第二期間の開始タイミングの直前の所定期間内の放熱量基準値を求めているのは、使用者Pが快適と感じる温度環境が再現できている可能性が高い期間であるからである。所定期間としては、第一期間よりも短い期間であればよいが、第一期間の全体を所定期間とすることも可能である。
制御部110は、第二期間においては、第二期間に取得した人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を維持するように、空気調和部103の温度調整を制御する。放熱量基準値を維持するとは、第二期間に取得した人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値に略一致することをいう。略一致とは、放熱量基準値に対して前記差分が完全に一致することはもちろんのこと、放熱量基準値を基準とした±数%の範囲内に前記差分が収まっていることをいう。
図8は、実施の形態に係る第二期間中の温度調整制御時おける温度変化を示すグラフである。なお、図8においては、人体領域温度と室内温とのそれぞれの変動を簡素化して表現している。実際には、人体領域温度と室内温とは、図7に示すように細かに変動している。
図8に示すように、第二期間の開始タイミングから時間T1までは、使用者Pは、下半身にのみ寝具をかけているものとする(例えば図4参照)。第二期間の開始タイミングから時間T1までは、人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を維持している。そして、時間T1で使用者Pは寝具を上半身にかけたとする(例えば図5参照)。人体領域A3に対して寝具が覆った領域が増加するため、時間T1からは人体領域温度が低下する。つまり、人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を下回る。制御部110は、空気調和部103の温度調整を制御して、室内温を現時点よりも低下させる(図8中、時間T2)。例えば、制御部110は、空気調和部103に対する設定温度を、時間T1時点の値よりも低くする。これにより、人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を維持する。
次いで、時間T3で使用者Pが上半身から寝具を退けたとする(例えば図4参照)。人体領域A2に対して寝具が覆った領域が減少するため、時間T3からは人体領域温度が増加する。つまり、人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を上回る。制御部110は、空気調和部103の温度調整を制御して、室内温を現時点よりも増加させる(図8中、時間T4)。例えば、制御部110は、空気調和部103に対する設定温度を、時間T3時点の値よりも高くする。これにより、人体領域温度及び室内温の差分が放熱量基準値を維持する。
図6に示すように、ステップS10では、制御部110は、通信部109を介してリモコン120から停止指示を示す制御信号を受信したか否かを判断し、受信した場合にはステップS11に移行し、受信していない場合にはステップS9に移行する。つまり、停止指示を受信するまでは、ステップS9での温度制御が繰り返し実行されることになる。
ステップS11では、制御部110は、空気調和部103を停止し、温度調整の制御を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る空気調和機100によれば、室内Rを温度調整する空気調和部103と、室内Rの使用者Pが発する赤外線に基づいて熱画像G1、G2、G3を撮影するサーモカメラ102と、室内Rの室内温を測定する室内温測定部(熱画像解析部104)と、熱画像G1、G2、G3から使用者Pに相当する人体領域A1、A2、A3を抽出し、当該人体領域A1、A2、A3の人体領域温度を検出する熱画像解析部104と、熱画像解析部104が検出した人体領域温度と、室内温測定部が測定した測温結果とに基づいて空気調和部103を制御する制御部110とを備え、制御部110は、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果と、第一期間よりも後の第二期間に取得した人体領域温度及び測温結果とに基づいて、第二期間における空気調和部の温度調整を制御する。
これによれば、制御部110は、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果と、第二期間に取得した人体領域温度及び測温結果とに基づいて、第二期間における空気調和部103の温度調整を制御する。つまり、第二期間での温度調整には、第二期間よりも前の第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果が反映されている。人体領域の人体領域温度と、測温結果(室内温)とによって、使用者Pの放熱量を推定することができる。この放熱量には個人差があるが、第二期間よりも前の第一期間では、空気調和機100の起動時に近い期間であるために、使用者Pが入眠している可能性は第二期間よりも小さい。このため、第一期間では、使用者P自身が空気調和機100の設定温度を決めており、使用者Pにとって快適な温度環境が実現できているものと推測できる。一方、第二期間では、第一期間よりも使用者が眠っている可能性が高く、その場合には、使用者P自身が空気調和機100の設定温度を変更することはできない。しかし、上述したように、第一期間に取得した人体領域温度及び測温結果が、第二期間の温度調整に反映されていれば、第二期間においても個人的な特性を考慮した温度調整が可能である。
また、制御部110は、第一期間の終了直前の人体領域温度と測温結果との差分から放熱量基準値を計測し、第二期間では、当該放熱量基準値が維持されるように、空気調和部の温度調整を制御する。
これによれば、第二期間では、第一期間終了直前の使用者Pの放熱量基準値が維持されるように温度調整が行われるので、使用者Pにとって快適な温度環境を示す放熱量基準値に基づいて、第二期間での温度調整を行うことができる。
また、第一期間は、使用者Pが就寝し入眠前の期間であり、第二期間は、使用者Pの入眠後の期間である。
これによれば、第一期間は使用者Pの入眠前の期間であり、第二期間は使用者Pの入眠後の期間であるので、入眠後であっても個人的な特性を考慮した温度調整が可能である。
また、空気調和機100は、室外の室外温を測定する室外温測定部105を備え、制御部110は、第一期間において、空気調和部103の温度調整の基本となる第一の基本設定温度が、室外温測定部105の測定結果を基準とした所定範囲内にある場合には、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度調整を制御する。
ここで、空気調和部103の温度調整の基本となる基本設定温度が、室外温に近い温度であると、冷風運転と停止とを繰り返すために室内温が短時間に激しく変動する。この現象をハンチングというが、ハンチングは睡眠中の使用者の発汗と、汗の乾きとを繰り返し誘発するために、使用者Pの寝冷えの原因となる。しかしながら、第一の基本設定温度が室外温測定部105の測定結果を基準とした所定範囲内にある場合、つまりハンチングが発生しやすい状況の場合には、制御部110は、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度調整を制御する。これにより、ハンチングの発生を抑制することができ、使用者Pの寝冷えを抑えることができる。
また、空気調和機100は、報知部122を備え、制御部110は、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度制御を行う際に、人体領域温度と測温結果との差分である放熱量が所定値よりも大きい場合には、報知部122を制御して、放熱量を下げるような行動を促す報知を行う。
これによれば、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度調整が制御されると、室内温が下がることになる。このため、人体領域A1、A2、A3の放熱量が高まり、使用者Pは寒さを感じやすくなる。人体領域A1、A2、A3の放熱量が所定値以上となれば、放熱量を下げるような行動を促す報知が報知部122から行われるので、使用者Pは、寝具をかけたり、より熱抵抗の高い寝具に交換したりすることができる。
また、制御部110は、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度制御を行う際に、人体領域温度と測温結果との差分である放熱量が所定値よりも大きい場合には、報知部122を制御して、使用者Pが使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の使用を推奨する報知を行う。
これによれば、第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度調整が制御されると、室内温が下がることになる。このため、人体領域A1、A2、A3の放熱量が高まり、使用者Pは寒さを感じやすくなる。人体領域A1、A2、A3の放熱量が所定値以上となれば、使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の使用を推奨する報知が報知部122から行われるので、使用者Pは、より熱抵抗の高い寝具に交換するきっかけを得ることができる。
また、空気調和機100は、寝具の種類を取得して、当該寝具の熱抵抗を推定する熱抵抗推定部107を備え、制御部110は、熱抵抗推定部107が推定した熱抵抗を、使用者Pが使用中の寝具の熱抵抗とする。
これによれば、制御部110は、寝具の種類を取得することで、使用者Pが使用中の寝具の熱抵抗を推定することができる。これにより、制御部110は、現在使用中の寝具の熱抵抗を把握することができ、報知の正確性を高めることができる。例えば、寝具の交換を促す場合には、現在使用中の寝具よりも熱抵抗の高い寝具の種類を提案することも可能である。
また、寝具の識別番号を取得する識別番号取得部123と、寝具の識別番号と当該寝具の熱抵抗とを関連付けて記憶する記憶部106とを備え、熱抵抗推定部107は、識別番号取得部123が取得した識別番号に対応する熱抵抗を記憶部106から読み出すことで、使用者Pが使用中の寝具の熱抵抗を推定する。
これによれば、熱抵抗推定部107は、識別番号取得部123が取得した識別番号に対応する熱抵抗を記憶部106から読み出すことで、使用者Pが使用中の寝具の熱抵抗を推定するので、現在使用中の寝具の熱抵抗をより確実に推定することができる。
また、空気調和機100は、室内Rの照度を検出する照度センサ108を備え、制御部110は、照度センサ108が検出した照度が所定値以下となった場合には、第一期間を開始する。
これによれば、制御部110は、照度センサ108が検出した照度が所定値以下となった場合に第一期間を開始するので、室内Rの照度に基づいて第一期間の開始タイミングを判定することができる。
また、制御部110は、第一期間が開始してから所定時間経過したときに第二期間を開始する。
これによれば、制御部110は、第一期間が開始してから所定時間経過したときに第二期間を開始するので、第一期間の開始後に所定時間経過すれば確実に第二期間を開始することができる。
(その他)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記各実施の形態を説明した。しかしながら、各実施の形態における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記各実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
例えば、上記実施の形態では、照度センサ108が検出した照度が所定値以下となった場合に第一期間が開始される場合を例示した。しかし、他の事象をトリガーにして第一期間を開始してもよい。例えば、リモコン120の操作部121に対する操作をトリガーとして、制御部110が第一期間の開始タイミングを判断してもよい。具体的には、リモコン120の操作部121に例えば「就寝ボタン」を設け、当該就寝ボタンが使用者Pによって操作された場合に、制御部110は第一期間の開始タイミングと判断する。
また、人体領域の特徴点の変位量をトリガーにして、第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定してもよい。
具体的には、熱画像解析部104は、人体領域の特徴点を抽出し、制御部110は、人体領域の特徴点の変位量に基づいて、第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定する。人体領域の特徴点とは、当該人体領域の特徴が表れた点のことであり、例えば重心位置、最大放熱量点、熱重心位置などが挙げられる。人は、活動期においては動作量が大きく、安静期においては動作量が小さい。また、人が就寝した状態であっても、入眠の前に比べると、入眠後の人の動作量は小さい。つまり、人体領域の特徴点の変位量を用いれば、第一期間の開始タイミングと、第二期間の開始タイミングとのそれぞれを判定することができる。これにより、制御部110は、実際の使用者Pの動きに基づいて第一期間と第二期間とのそれぞれの開始タイミングを判定することができる。したがって、実際の使用者Pの動き(状態)を反映した温度調整が可能となる。
例えば、制御部110は、特徴点の変位量が第一閾値以下となった場合に第一期間を開始する。このように、制御部110は、特徴点の変位量が第一閾値以下となった場合に第一期間を開始するので、活動時よりも使用者の動きが小さくなる就寝タイミングを判断して第一期間を開始することができる。
また、制御部110は、特徴点の変位量が第一閾値よりも小さい第二閾値以下となった場合に第二期間を開始する。このように、制御部110は、特徴点の変位量が第二閾値以下となった場合に第二期間を開始するので、就寝時よりも使用者Pの動きが小さくなる入眠タイミングを判断して第二期間を開始することができる。
また、制御部110は、第一期間の開始時の人体領域を基準領域として記憶しており、次回以降については、熱画像解析部104が抽出した人体領域が、基準領域に近似している場合には、第一期間を開始してもよい。
これによれば、制御部110は、第一期間の開始時の人体領域を基準領域として記憶しており、次回以降については、熱画像解析部104が抽出した人体領域が、基準領域に近似している場合に第一期間を開始する。これにより、次回以降については、制御部110が自動で第一期間の開始タイミングを判定することができる。人体領域と基準領域とが近似しているか否かの判定は、人体領域と基準領域とのそれぞれの特徴点、外形形状、面積の少なくとも1つを比較することで行われる。
なお、上記実施の形態では、制御部110は、第一期間において、第一の基本設定温度が室外温測定部105の測定結果を基準とした所定範囲内にある場合に、第一の基本設定温度よりも低い第二の基本設定温度に基づいて空気調和部103の温度調整を制御する場合を例示した。しかし、第一期間の温度調整は、寝具の状態に基づいて行ってもよい。
例えば、一つの熱画像G1、G2、G3での人体領域A1、A2、A3内の放熱量の変化は、寝具の有無によって大きく異なる。具体的には、熱画像G1のように、寝具をかけていない場合には、人体領域A1内では放熱量は急峻に変化していない(図3参照)。一方、熱画像G2、G3のように寝具をかけている場合では、人体領域A2、A3内において寝具がある部分とない部分とでは急峻に放熱量が変化している(図4及び図5参照)。このように、熱画像解析部104は、一つの熱画像G1、G2、G3での人体領域A1、A2、A3内の温度変化を解析することによって、使用者Pに対する寝具の状態を検出することが可能である。具体的には、使用者Pに対する寝具の状態とは、使用者Pが寝具によって覆われている面積または面積割合などである。この熱画像解析部104が検出した第一期間での寝具の状態に基づいて、制御部110は、第一期間の空気調和部103の温度調整を制御する。
例えば、第一期間で使用者P自身が空気調和機100の設定温度(第一の基本設定温度)を決めていたとしても、使用者Pが寝具を退けたりかけたりすることで自ら温度調整を行う場合もある。この場合、寝具の状態が使用者Pの快適な温度環境を示しているとも言える。上述したように、制御部110が、第一期間での寝具の状態に基づいて空気調和部103の温度調整を制御すれば、第一期間では使用者Pにとって快適な温度環境が実現される。第一期間で使用者Pの快適な温度環境が実現されていれば、第一期間で取得した人体領域温度及び測温結果も使用者Pにとって適切なものとなるため、第二期間での温度調整も使用者Pにとってより快適に行うことができる。
また、上記実施の形態では、識別番号取得部123で取得した識別番号に基づいて、熱抵抗推定部107が現在使用中の寝具の熱抵抗を推定する場合を例示した。しかし、熱抵抗推定部107は、サーモカメラ102が撮影した熱画像内の所定地点での寝具の有無による温度差に基づいて、当該寝具の熱抵抗を推定することも可能である。この場合、識別番号取得部123を設けなくても、寝具の熱抵抗を推定することができる。
熱画像内の所定地点では、寝具の有無によって温度差が生じる。例えば、第一期間より前である就寝前においては、寝具は大きく広げられておらず、第一期間になると就寝前よりも寝具は広げられる。熱抵抗推定部107は、第一期間の開始タイミングを境にして、熱画像内の所定地点での温度差を求めることにより、寝具の有無による温度差を取得する。そして、熱抵抗推定部107は、取得した温度差から寝具の熱抵抗を推定する。したがって、熱抵抗推定部107は、実際の寝具の熱抵抗を推定することができる。なお、この場合には、人体領域を排除して寝具の有無による温度差を取得するものとする。これにより、寝具の熱抵抗を正確に推定することが可能である。
また、制御部110は、報知部122を制御して、使用者Pに対して入眠に導く報知を行ってもよい。
これによれば、報知部122が使用者Pに対して入眠に導く報知を行うので、使用者Pを入眠に導くことができる。当該報知は、第一期間に実行することが適切である。また、当該報知には、睡眠しやすい呼吸法を案内する報知や、使用者Pが睡眠しやすい音楽を流す報知、睡眠しやすい環境を促す報知などが含まれる。睡眠しやすい環境を促す報知では、照度センサ108の検出結果が所定値よりも大きければ、制御部110は、報知部122を制御して消灯を促す報知を行う。また、空気調和機100に対して音センサを設け、当該音センサの検出結果が所定値よりも大きければ、制御部110が報知部122を制御して、使用者Pに対して耳栓の使用を促す報知を行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、第一期間を入眠前の期間とし、第二期間を入眠後の期間とした場合について例示した。第一期間及び第二期間はこれに限定されない。例えば、瞑想は、睡眠とよく似た効果が人体に作用すると言われている。このため、第一期間を瞑想前の期間とし、第二期間を瞑想中の期間としてもよい。また、第一期間を使用者Pの活動期、第二期間を使用者Pの安静期としてもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係る空気調和機などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。