JPH11223374A - 睡眠状態検知装置及びそれを用いた空気調和システム並びに空気調和方法 - Google Patents

睡眠状態検知装置及びそれを用いた空気調和システム並びに空気調和方法

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JPH11223374A
JPH11223374A JP10028278A JP2827898A JPH11223374A JP H11223374 A JPH11223374 A JP H11223374A JP 10028278 A JP10028278 A JP 10028278A JP 2827898 A JP2827898 A JP 2827898A JP H11223374 A JPH11223374 A JP H11223374A
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air conditioning
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哲哉 松浦
Maki Hatsutori
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 睡眠時の人間の生理特性を考慮することによ
り、空気調和装置の人間生理への不調和により引き起こ
される寝冷えや中途覚醒を防ぎつつ、個人差にも対応し
た質の高い睡眠環境を提供する。 【解決手段】 シーツの下に分散して配置した複数の湿
度センサによって人体近傍湿度を検出し、発汗量に基づ
いて睡眠状態を推定する。入床直後は、相対的に低い温
度(Tinit)で空気調和を行う。最初のピークP1が発生
した後は、ルームエアコンの設定温度を初期設定温度(T
init)から3℃高い第1温度(T1)に上昇させる。その後
は、発汗量がピークの前にあるときには、設定温度を第
1温度(T1)よりも1℃低い第2温度(T2)に変更し、発汗
量がピークの後にあるときには、設定温度を第1温度(T
1)に変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、睡眠状態検知装置
及びそれを用いた空気調和システム並びに空気調和方法
に係り、特に、睡眠環境の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、空気調和システムは、日中に
室内の温湿度を調節するのみならず、夜間に快適な睡眠
環境を提供する目的にも使用されている。
【0003】日中における空気調和にあっては、室内の
温湿度環境が居住者にとって快適でない場合には、居住
者が空気調和装置の設定温度及び設定湿度を適宜変更す
ることにより、室内環境を快適な状態に再調節すること
ができる。従って、常に快適な室内環境を実現すること
ができる。
【0004】これに対し、夜間における空気調和にあっ
ては、居住者は睡眠しているので空気調和装置を適宜調
節することができず、専ら空気調和装置自体が自動的に
室内環境を快適にすることが要求される。特に、夏場の
夜間は蒸し暑く、寝苦しいことが多いため、快適な睡眠
環境の提供が強く望まれている。
【0005】ところで、睡眠時の生理特性を考慮する
と、速やかな入眠を促すために、入床時には空気調和装
置の設定温度は相対的に低いほうが好ましい。これとは
逆に、寝冷えを防止するために、入眠から所定時間経過
後は、室内温度を相対的に高くすることが望ましい。そ
のため、日中と同様の制御、すなわち室内温度を所定の
一定値にするような空調制御は、夜間における制御とし
ては適当ではない。なぜなら、入眠時に好適な低い温度
を基準にすると、入眠時からある程度の時間が経過した
後には寝冷えを起こしやすくなる一方、睡眠中に好適な
高い温度を基準とすると、入眠時には寝苦しく、速やか
に入眠できないからである。
【0006】そこで、快適な睡眠環境を提供することを
目的として、種々の空調制御が提案されている。
【0007】例えば、入床時には速やかに入眠できるよ
うに、運転開始後の所定時間は相対的に低い温度に制御
する一方、睡眠中は寝冷えを起こさないように、当該所
定時間経過後は室内温度を当該温度よりも所定温度だけ
高い温度に維持するような空調制御が知られている。
【0008】また、特開平7−71804号公報に開示
されているように、上記空調制御に加え、入床時には発
汗による体温低下を活発化させて入眠を促進するため
に、運転開始後の所定時間の間は、温度のみならず湿度
をも低下させるような制御も提案されている。
【0009】しかし、上記のような制御では、運転開始
後の一定時間の経過によって温湿度を変化させることと
しているため、生理現象の個人差に柔軟に対応すること
はできない。なぜなら、入眠に必要な時間は、個人によ
って異なるからである。そこで、特開平5−22804
4号公報では、個人差に応じた柔軟な制御を実現すべ
く、湿度センサによって寝床内の湿度を検出し、その湿
度センサの検出信号に基づいてフィードバック制御を行
うようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平5
−228044号公報に開示された制御であっても、単
に温湿度を所定値にするようなフィードバック制御を行
っているだけであり、睡眠時における生理現象の過渡特
性や睡眠リズムを考慮したうえで制御を行っている訳で
はなかった。つまり、ある瞬間ごとに、単に温湿度の検
出値に基づいて制御を行うだけであり、たとえ個人差に
対応しているとしても、睡眠の生理現象には十分対応し
ているとは言い難かった。言い換えると、睡眠状態とは
無関係に制御を行っていたため、睡眠中の人体生理に応
じた空気調和を行っている訳ではなかった。
【0011】そこで、睡眠の生理現象を詳細に考慮した
全く新たな空調制御が望まれていた。また、そのような
制御を行うために、睡眠の状態を検知する装置が望まれ
ていた。
【0012】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、睡眠時の人間の生理
現象を考慮することにより、空気調和装置の人間生理へ
の不調和により引き起こされる寝冷えや中途覚醒を防ぎ
つつ、個人差にも適応した質の高い睡眠環境を実現する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】睡眠は、大別してノンレ
ム睡眠とレム睡眠とに分類することができる。睡眠時の
生理特性としての発汗現象に着目すると、ノンレム睡眠
中には相当量の発汗が見られるが、レム睡眠中には発汗
量が著しく減少する傾向がある。
【0014】そこで、上記目的を達成するために、本発
明は、発汗量を検出し、発汗量の経時変化に基づいて睡
眠リズムを予測し、人間生理に合わせた空気調和を行う
こととした。
【0015】まず、本発明の前提となる睡眠時の生理現
象について説明し、その後に、本発明の具体的な解決手
段を説明する。
【0016】−睡眠時の生理現象− <睡眠時の生理特性>図1(a)〜(c)に、睡眠時の
生理特性として、睡眠深度、深部体温及び発汗量の経時
変化を示す。
【0017】図1(a)に示すように、睡眠深度は、脳
波分析により深度1から4までに分類される。深度1は
覚醒状態に近い状態を表し、深度4は深い眠りにある状
態を表す。脳波の特徴上、特に深度3と4は徐波睡眠と
呼ばれる。これとは別に、覚醒時に近い脳波反応を示し
ながら実際は睡眠状態にある睡眠を、レム睡眠と呼ぶ。
このレム睡眠と区別するため、深度1から4で示される
睡眠状態をノンレム睡眠と呼ぶ。通常、ノンレム睡眠と
レム睡眠は、規則性をもって周期的に交互に出現する。
一周期は約90分であり、これを睡眠サイクルと呼ぶ。
ノンレム睡眠中は、脳は必要最低限しか活動しないが、
レム睡眠中は、脳は活発に活動すると言われている。
【0018】図1(a)に示すように、入眠してからし
ばらくすると、非常に深い睡眠(徐波睡眠)が訪れる。
その後、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に出現するが、
ノンレム睡眠の深度は明け方になるにつれて、浅くなっ
ていく。
【0019】図1(b)に示すように、睡眠中の深部体
温は、入眠時から明け方にかけて低下していき、起床前
に上昇傾向に転ずる。このような傾向から、睡眠中は、
人体のエネルギー消費量を減らすために、深部体温を低
下させることが必要と考えられている。
【0020】図1(c)は、睡眠中の発汗特性を示す。
発汗は基本的にノンレム睡眠時に起こり、レム睡眠時に
はほとんど発汗しないと言われている。ただし、レム睡
眠中に見る夢の影響により、例外的に発汗が起こる場合
はある。上述したように、睡眠中には深部体温を下げる
必要があるため、入眠直後には多量の発汗が見られる。
その後、起床するまで、ノンレム睡眠時には発汗する
が、その量は朝方にかけて減少していく。
【0021】本発明では、湿度センサなどの湿度検出手
段によって検出した発汗量と、この発汗量の経時変化特
性とに基づき、睡眠状態を推定することとしている。
【0022】<快眠条件>次に、図2を参照しながら、
睡眠生理に基づく快眠のための条件を説明する。
【0023】快眠の条件として、まず、入床から眠りに
入るまでの時間(入眠潜時)が短いことが挙げられる。
次に、最初の徐波睡眠の深度が十分に深く、時間的にも
長いことが必要である。ここで、最初の徐波睡眠を深く
長くとるためには、深部体温を十分に低下させることが
必要不可欠である。
【0024】また、快眠のためには、寝始めの時間が最
も重要であるが、それだけでなく、その後の睡眠リズム
が規則正しく実現されることも重要な条件である。
【0025】また、起床時の目覚め感に関しては、レム
睡眠の終了直後に起きることが望ましい。ノンレム睡眠
中に覚醒すると、脳の活動が活発でないため、目覚め感
がぼんやりとしたものになるからである。また、レム睡
眠中には夢を見ていることが多いため、レム睡眠中での
覚醒は寝不足感をもたらす。
【0026】つまり、快眠条件として、以下の4つが重
要である。
【0027】 入眠潜時が短いこと、 最初の深睡眠が十分に長いこと、 規則正しい睡眠リズムが実現されること、 レム睡眠の終了直後に覚醒すること。
【0028】本発明は、上記〜を達成することによ
り、快適な睡眠環境を提供するものである。
【0029】<人の発汗特性の計測>本発明者は、発汗
状態を基に睡眠状態を推定することを提案した。そし
て、発汗状態を検知する方法として、湿度センサ等の湿
度検出手段を用いて寝床内湿度を検出し、その検出値に
よって発汗状態を検知することを検討した。次に、湿度
センサを用いた睡眠状態の推定実験について説明する。
【0030】図3は、睡眠時の人体近傍の相対湿度を、
体表面(胸部)に直接貼り付けた湿度センサによって計
測した結果を示している。図3より明らかなように、入
床後約1時間経過後に、大きな発汗のピークが見られ
る。このとき、人間は徐波睡眠状態(深い睡眠の状態)
にあると推定される。
【0031】図4は、シーツ(寝具)の下に複数個(2
個)の湿度センサを設け、当該湿度センサによって検出
した人近傍の相対湿度変化の測定結果を示している。
【0032】図3と図4とを比較することにより明らか
なように、シーツ下の湿度センサ群によっても、睡眠リ
ズムに応じた発汗特性を検知することが可能である。た
だし、シーツ下に湿度センサを設ける方法では、寝返り
等の体動により、人体が湿度センサから離れた位置に移
動する場合がある。そのため、発汗の検知が不十分にな
る可能性がある。しかし、湿度センサをシーツ下の広範
囲にわたって複数個設けることにより、少なくとも一つ
の湿度センサが人体の近傍に位置することになる。従っ
て、湿度センサを複数個設け、それらの検出値のうちの
最大値を寝床内湿度とすることにより、発汗状態を正確
に検知することが可能となる。
【0033】<睡眠中の制御>そこで、本発明では、睡
眠中の生理現象に合わせ、「寝冷え」や「中途覚醒」を
防いで質の高い睡眠環境を実現するために、以下のよう
な制御を行う。
【0034】入床後、質の高い睡眠で重要となる最初の
深い睡眠を得るには、深部体温を速やかに低下させるた
めに、体放熱を促進することが必要である。従って、覚
醒時における通常の冷房運転状態(ユーザーが覚醒時に
好む温度であり、相対的に低い温度による運転状態)を
保持していれば、十分に放熱が促進される。
【0035】しかし、放熱により十分に深部体温が低下
した後も同じ温度条件下で睡眠を続けると、放熱過多と
なり、「寝冷え」や「だるさ」の原因となる。
【0036】これを環境温度と人間産放熱の関係から説
明する。図5は、環境温度に対する人間の産放熱現象を
示している。通常の至適温度域Aにおいては、主に血管
の収縮により、末梢部の血液量を制御することにより、
外界との熱バランスを保っている。一方、この血管の収
縮によって調整可能な温度範囲Aより環境温度が高い領
域Bでは、発汗が行われ、発汗による蒸発熱で効果的に
体から外部への熱移動が行われる。逆に、至適温度範囲
Aよりも環境温度が低い領域Cでは、ふるえが起こり、
体内に熱が産生される。領域Aの中の領域A1は、通常
冷房運転時に環境温度として設定される領域であり、覚
醒時に設定される温度領域である。領域A1では、多少
動いてもすぐに汗をかくことはなく、かつ、寒すぎるこ
ともない。従って、領域A1は、覚醒時において快適な
環境領域である。
【0037】これに対し、睡眠中は副交感神経活動が優
勢になり、心肺活動が低下したり、筋肉が弛緩したりす
る。また、レム睡眠中には体温調整機能が消失すると言
われており、十分な体温調節機能は期待できない。その
ため、入床前に設定した設定温度のまま睡眠すると、
「寝冷え」を起こすことになる。
【0038】そこで、図5に示すように、設定温度を常
に至適温度中の高温度の領域A2に設定することによ
り、放熱過多による「寝冷え」を起こすことがなく、ま
た、多量の発汗による「中途覚醒」を起こすこともない
快適な状態が実現できる。設定温度を上記領域A2に収
めるには、常に発汗状態を監視し、発汗量が多くなりか
ければ設定温度を下げ、逆に、期待される発汗が起こら
ない場合には温度を上げる必要がある。
【0039】−解決手段− そこで、第1の発明が講じた手段は、睡眠時の空気調和
を行う空気調和システムに用いられる睡眠状態検知装置
であって、睡眠中の発汗量を検出する検出手段(6)と、
発汗量の経時変化に基づいてレム睡眠状態またはノンレ
ム睡眠状態を判別する判別手段(3)とを備えていること
としたものである。
【0040】このことにより、発汗量の経時変化と睡眠
状態とは相関関係があるため、発汗量の経時変化に基づ
くことにより、睡眠状態を高精度に推定することができ
る。つまり、発汗量の経時変化をグラフに表した場合、
経時変化のピークである山部と谷部とが交互に周期的に
現れ、山部はレム睡眠状態に相当し、谷部はノンレム睡
眠状態に相当する。従って、発汗量の経時変化のピーク
を検出することにより、睡眠状態が推定され、睡眠リズ
ムに応じた空気調和が可能となる。
【0041】第2の発明が講じた手段は、睡眠中の発汗
量を検出する検出手段(6)と、発汗量の経時変化に基づ
いてレム睡眠状態またはノンレム睡眠状態を判別する判
別手段(3)とを備えた睡眠状態検知装置(M)と、該睡眠状
態検知装置(M)の判別手段(3)が判別した睡眠状態に基づ
いて調和空気を調整する空気調和装置(2)とを備えてい
ることとしたものである。
【0042】このことにより、睡眠状態検知装置(M)の
判別手段(3)によって判別された睡眠状態に基づいて調
和空気が調整されるので、個人差のみならず、各時点に
おける睡眠状態にも対応した快適な空気調和が実現され
る。
【0043】第3の発明が講じた手段は、少なくとも冷
房運転を行う空調能力の可変な空気調和装置(2)と、睡
眠中の発汗量を検出する検出手段(6)と、該検出手段(6)
の検出値を受け、発汗量の経時変化のピークに基づいて
上記空気調和装置(2)の運転を制御する制御手段(13,14)
とを備えていることとしたものである。
【0044】このことにより、検出手段(6)が睡眠中の
発汗量を検出し、制御手段(13,14)は当該検出手段(6)の
検出値から発汗量の経時変化のピークを検出する。そし
て、この発汗量の経時変化のピークに基づくことによっ
て睡眠状態が推定され、睡眠状態に応じて空気調和装置
(2)の運転が制御される。そのため、睡眠リズムに応じ
た快適な空気調和が実行されることになる。
【0045】第4の発明が講じた手段は、少なくとも冷
房運転を行う空調能力の可変な空気調和装置(2)と、寝
床内の湿度を検出する湿度検出手段(6)と、該湿度検出
手段(6)の検出値を受け、該検出値が上昇して第1所定
値よりも大きくなった後、該検出値が減少して第2所定
値よりも小さくなると、空調能力が低下するように上記
空気調和装置(2)の運転を制御する第1制御手段(13)と
を備えていることとしたものである。
【0046】ここで、空調能力(冷房能力)が低下する
ような制御としては、例えば、空気調和装置(2)の設定
温度を上げること、設定風量を少なくすること、設定湿
度を上げること等が挙げられる。
【0047】このことにより、入床直後は深部体温の低
下を促進するような空気調和を行うことにより、十分に
深い睡眠が得られるとともに、発汗が起こって寝床内湿
度が上昇する。その後、寝床内湿度が上昇から減少に転
じ、睡眠後の最初のピーク(第1ピーク)が現れる。そ
の結果、第1制御手段(13)は、湿度検出手段(6)の検出
値から第1ピークを推定し、睡眠状態がノンレム睡眠か
らレム睡眠に移行していることを判別して、放熱過多
(過剰放熱)を防ぐため、空調能力を低下させる制御を
行う。そのため、入眠潜時が短くなると同時に、最初の
深睡眠が十分に長くなる。また、第1ピーク後の過剰放
熱による寝冷えが防止される。その結果、睡眠にとって
快適な空気調和が実現されることになる。
【0048】第5の発明が講じた手段は、上記第4の発
明において、第1制御手段(13)によって空調能力が低下
するように空気調和装置(2)の運転が制御された後、湿
度検出手段(6)の検出値を受け、該検出値が上昇して第
3所定値よりも大きくなると、空調能力が増加するよう
に該空気調和装置(2)の運転を制御し、該湿度検出手段
(6)の検出値が減少して第4所定値よりも小さくなる
と、空調能力が低下するように該空気調和装置(2)の運
転を制御する第2制御手段(14)を備えていることとした
ものである。
【0049】ここで、空調能力(冷房能力)が増加する
ような制御としては、例えば、空気調和装置(2)の設定
温度を低下させること、設定風量を増加させること、設
定湿度を低下させること等が挙げられる。
【0050】このことにより、湿度検出手段(6)の検出
値が第3所定値よりも大きくなると、睡眠状態は発汗量
のピーク前のノンレム睡眠の状態にあると判別される。
そのままの運転状態では、発汗量が増加し、寝床内の高
湿度化を招いて中途覚醒を起こしやすい状態になると予
測される。そのため、第2制御手段(14)によって、空調
能力が増加するように空気調和装置(2)の運転が制御さ
れる。その結果、発汗量が減少し、中途覚醒が防止され
る。その後、湿度検出手段(6)の検出値が第4所定値よ
りも小さくなると、睡眠状態は発汗量のピーク後のノン
レム睡眠状態にあると判別され、人間の生理特性を考慮
すると、その後の睡眠状態はレム睡眠状態に移行すると
推定される。レム睡眠状態では発汗がほとんど起こらな
いため、そのままでは寝冷えを生じるような寒い状態で
あるか否かを発汗状態に基づいて推定することが困難に
なる。そこで、第2制御手段(14)によって、空調能力が
低下するように空気調和装置(2)の運転が制御され、放
熱過多の状態が回避される。この際、レム睡眠状態では
発汗がほとんど起こらないことにより、寝床内湿度はあ
まり上がらず、中途覚醒を招くこともない。従って、睡
眠にとって快適な空気調和が実現されることになる。
【0051】第6の発明が講じた手段は、上記第4また
は第5の発明において、湿度検出手段は、シーツ(5)の
下に分散して配置された複数の湿度センサ(6,6,…)から
構成される一方、該湿度センサ(6,6,…)の検出値のうち
の最大値を湿度検出手段の検出値として出力する検出値
出力手段(11)を備えていることとしたものである。
【0052】このことにより、湿度センサ(6,6,…)はシ
ーツ(5)の下に配置されているので、人体の近傍の湿度
を正確に検出することになる。従って、発汗量を高精度
に検出する湿度検出手段が簡易な構成によって得られ
る。また、湿度センサ(6,6,…)は、シーツ(5)の下に分
散して複数個設けられているので、寝返り等により睡眠
中に人体が頻繁に移動するような場合であっても、いず
れかの湿度センサ(6,6,…)は、人体近傍の湿度を確実に
検出することになる。そして、複数の湿度センサ(6,6,
…)からの検出値のうち、最も人体近傍に近い位置にあ
る湿度センサ(6,6,…)からの検出値が最大値を示すこと
になる。従って、検出値出力手段(11)が湿度センサ(6,
6,…)の検出値のうちの最大値を湿度検出手段の検出値
として出力するので、常に人体近傍の湿度が検出され
る。
【0053】第7の発明が講じた手段は、上記第4また
は5の発明において、湿度検出手段は、人の体表面に直
接または間接に貼り付けられた発汗量センサから構成さ
れていることとしたものである。
【0054】第8の発明が講じた手段は、上記第7の発
明において、発汗量センサは、湿度センサによって構成
されていることとしたものである。
【0055】上記第7または8の発明の各発明特定事項
により、発汗量がより精密に測定されることになり、睡
眠状態が一層正確に推定されることになる。
【0056】第9の発明が講じた手段は、入床時には所
定の初期温度(T0)の調和空気を供給し、その後、発汗量
が時間の経過とともに上昇して第1所定値を越えた後、
減少して第2所定値よりも小さくなると、該初期温度(T
0)よりも高い第1温度(T1)の調和空気を供給し、その
後、発汗量が時間の経過とともに上昇して第3所定値を
越えると、該第1温度(T1)よりも低い第2温度(T2)の調
和空気を供給し、該発汗量が時間の経過とともに減少し
て第4所定値よりも小さくなると、該第1温度(T1)の調
和空気を供給することとしたものである。
【0057】このことにより、入床直後は深部体温の低
下を促進するような空気調和が行われ、入眠後短時間で
深度の深い睡眠状態に移行する。そして、発汗量が第1
所定値を越えた後、第2所定値よりも小さくなると、発
汗量が上昇傾向から減少傾向に転ずる第1ピークが現れ
る。そこで、調和空気を初期温度(T0)よりも高い第1温
度(T1)に変更する第1制御が実行される。その結果、過
剰放熱による寝冷えが防止され、快適な睡眠環境が実現
されることになる。その後、発汗量が第3所定値よりも
大きくなると、睡眠状態はノンレム睡眠における発汗量
のピークに向かう状態にあり、そのままでは発汗量が更
に増加すると推定し、調和空気の温度を第2温度(T2)に
低下させる。従って、寝床内湿度が高くなることによる
中途覚醒が防止され、快適な睡眠環境が実現される。発
汗量が第4所定値よりも小さくなると、睡眠状態は発汗
量が減少してレム睡眠状態に移行すると推定し、調和空
気の温度を第1温度(T1)に上昇させる。従って、寝冷え
が防止され、快適な睡眠環境が実現される。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0059】<実施形態1> −空調システム(1)の構成− 図6に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、
空気調和装置であるルームエアコン(2)と複数の湿度セ
ンサ(6)とを備えている。
【0060】各湿度センサ(6)は、寝具マット(4)とシー
ツ(5)との間に設けられ、寝床時にシーツ(5)上に横たわ
る人の体の近傍湿度を検出するようになっている。湿度
センサ(6)は、シーツ(5)下の広範囲に渡って分散して配
置されており、睡眠時に寝返りをうつなどして人が体動
した場合であっても、人近傍の湿度を確実に検出するよ
うに構成されている。本実施形態では、湿度センサ(6)
は、シーツ(5)の下に碁盤目状に配置されている。
【0061】各湿度センサ(6)は信号線(7)に接続され、
この信号線(7)は伝送部(8)に接続されている。伝送部
(8)は各湿度センサ(6)からそれぞれの検出値を受け取
り、それら検出値をルームエアコン(2)の制御部(3)に伝
送する。
【0062】ルームエアコン(2)は、ユニット内に図示
しない熱交換器及び送風機を備えるとともに、睡眠状態
検知装置としての制御部(3)を備えている。
【0063】図7に示すように、制御部(3)は、ルーム
エアコン(2)に組み込まれた制御回路から成り、検出値
出力部(11)、湿度判定部(12)、第1制御部(13)及び第2
制御部(14)を備えている。
【0064】検出値出力部(11)は、伝送部(8)から送信
された各湿度センサ(6,6,…)の検出値を受け取り、それ
ら検出値のうちの最大値を人体近傍湿度として湿度判定
部(12)に出力する。
【0065】湿度判定部(12)は、人体近傍湿度が予め設
定された所定値よりも大きいか小さいかを判定し、その
判定結果を第1制御部(13)及び第2制御部(14)に伝達す
る。
【0066】第1制御部(13)は、睡眠制御が開始された
後、人体近傍湿度が時間の経過とともに上昇しながら第
1所定値を越え、その後、減少しながら第2所定値より
も小さくなると、ルームエアコン(2)の調和空気の温
度、すなわち吹き出し温度の設定値を初期設定温度(T0)
よりも高い第1温度(T1)に変更する第1制御を実行す
る。なお、本実施形態では、第1所定値と第2所定値と
は、共に所定のしきい値Rに設定されている。また、第
1温度(T1)は、初期設定温度(T0)よりも3度高い温度に
設定されている。
【0067】第2制御部(14)は、人体近傍湿度が時間の
経過とともに上昇しながら第3所定値を越えると、ルー
ムエアコン(2)の設定温度を第1温度(T1)よりも低い第
2温度(T2)に変更し、その後、人体近傍湿度が時間の経
過とともに減少しながら第4所定値よりも小さくなる
と、ルームエアコン(2)の設定温度を第1温度(T1)に変
更する第2制御を実行する。なお、本実施形態では、第
3所定値と第4所定値とは、共に上記しきい値Rに設定
されている。また、第2温度(T2)は、第1温度(T1)より
も1度低い温度に設定されている。
【0068】−空調システム(1)の動作− 図8の制御フローチャートに基づいて、空調システム
(1)の動作を説明する。まず、ステップST1におい
て、ユーザの運転設定により睡眠運転が開始され、ユー
ザは寝具マット(4)及びシーツ(5)上に寝床する。睡眠運
転の開始時には、深部体温を下げて速やかな入眠を促進
するために、初期設定温度は覚醒時の設定温度T0に維
持される。
【0069】そして、睡眠運転が開始されると、ステッ
プST2〜ST4で表される第1制御が実行される。
【0070】すなわち、ステップST2において、湿度
判定部(12)によって、人体近傍湿度がしきい値Rよりも
大きいか否かが判定され、人体近傍湿度がしきい値Rを
越えるとステップST3に進む。ステップST3では、
湿度判定部(12)によって人体近傍湿度がしきい値Rより
も小さいか否かが判定され、人体近傍湿度がしきい値R
を下回った場合には、ステップST4に進む。従って、
ステップST2及びST3によって、人体近傍湿度がい
ったんしきい値Rを越え、その後再びしきい値Rよりも
小さくなる状態が検出される。つまり、人体近傍湿度の
経時変化に関する第1回目のピークP1が検出されるこ
とになる。このピークP1は、ノンレム睡眠の谷部に相
当する。従って、ピークP1を越えることにより、睡眠
状態はノンレム睡眠からレム睡眠に向かって移行してい
くことが推定される。
【0071】ピークP1の終了により入眠促進のための
放熱は十分行われたと判断でき、これ以降は空調能力を
低下させないと放熱過多になり、寝冷えを引き起こす。
そこで、ステップST4では、寝冷えを防ぐために、温
度を上昇させる。具体的には、低くなった深部体温のさ
らなる低下を防止し、「寝冷え」が起こらないように、
ルームエアコン(2)の設定温度を初期設定温度T0から
第1温度T1に上昇させる。第1温度T1は初期設定温
度T0よりも所定温度Tinitだけ高い温度である。ここ
では、所定温度Tinitは3℃に設定されている。
【0072】ピークP1終了以降しばらくはレム睡眠状
態が続くため、発汗は検出されないが、レム睡眠状態か
らノンレム睡眠状態に移行すると、再度発汗が見られる
ようになる。発汗が続くと寝床内湿度が上昇し、寝苦し
い状態となる。そこで、ステップST5〜ST8で表さ
れる第2制御が行われる。
【0073】ステップST5において、湿度判定部(12)
によって、人体近傍湿度がしきい値Rを越えたか否かが
判定され、しきい値Rを越えると、ステップST6にお
いて、設定温度を第1温度T1から所定温度(1℃)だ
け低い第2温度T2に低下させる。第2温度T2は第1
温度T1よりも低く、かつ、初期設定温度T0よりも高
い温度である。その結果、「中途覚醒」が防止され、眠
りの深度が円滑に深まっていく。そのため、心地よいノ
ンレム睡眠が得られことになる。
【0074】その後、ステップST7において、人体近
傍湿度がしきい値Rよりも小さいか否かが判定され、し
きい値Rよりも小さい場合は、発汗量のピークを越えた
と判断して、ステップST8において、ルームエアコン
(2)の設定温度を所定温度上昇させる。ここでは、第2
温度T2から第1温度T1にまで上昇させる。その結
果、過剰放熱が抑制されて寝冷えが防止され、心地よい
睡眠環境が得られることになる。
【0075】その後は、ステップST5に戻り、ユーザ
が起床して睡眠運転を終了するまで、ステップST5〜
ST8の第2制御が繰り返される。その結果、発汗量の
ピークが発生したときには設定温度の変更が逐次実行さ
れ、常に快適な睡眠環境が得られることになる。
【0076】その結果、例えば、図9に示すような制御
(本制御では第1所定値〜第4所定値は、互いに異なる
値に設定されている)が実行されることになる。
【0077】−空調システム(1)の効果− 以上のように、本空調システム(1)では、湿度センサ(6,
6,…)によって人体近傍湿度を検出することにより発汗
量を検知し、発汗量の経時変化のピークに基づいてレム
睡眠状態またはノンレム睡眠状態を推定して、睡眠リズ
ムに応じた空気調和制御を行っている。このように、人
間の生理特性を考慮しているので、フィードフォワード
的に睡眠状態の変化を予測した制御が可能となり、単な
るフィードバック制御では得られないような快適な睡眠
環境を提供することができる。
【0078】具体的には、入床時には第1制御を行い、
深部体温を速やかに低下させる。そのため、入眠潜時が
短くなる。また、最初の深睡眠が十分に長くなる。その
後、発汗量の第1ピークが現れた後は、ルームエアコン
(2)の設定温度を上昇させるので、過剰放熱を回避する
ことができ、寝冷えを防止することができる。
【0079】その後は、第2制御を行い、睡眠状態が発
汗量のピークの前にあるような状態になると、ルームエ
アコン(2)の設定温度を低下させて、発汗量が減少する
ような空気調和を行う。さらに、睡眠状態が発汗量のピ
ークの後にあるような状態になると、ルームエアコン
(2)の設定温度を上昇させて、放熱量を少なくするよう
な空気調和を行う。その結果、寝床内湿度が高くなるこ
とによる中途覚醒を防止することができると共に、過剰
放熱による寝冷えを防止することができる。従って、規
則正しい睡眠リズムを実現することが容易になり、健康
的で快適な睡眠環境を提供することができる。
【0080】人体近傍湿度を検出する手段として、シー
ツ(5)の下に設けた湿度センサ(6,6,…)を用いているの
で、簡易に構成により、発汗量を検出することができ
る。
【0081】また、湿度センサ(6,6,…)はシーツ(5)下
の広範囲にわたって分散して配置されているので、寝返
り等によって睡眠中に人が寝床内を移動しても、いずれ
かの湿度センサ(6)は人体近傍に位置するので、人体近
傍湿度を確実に検出することができる。
【0082】−空調システム(1)の試験データ− 次に、空調システム(1)の効果を試験データに基づいて
説明する。図10は、本空調システム(1)による睡眠制
御を行った環境下において、睡眠者(被験者)の前額部
皮膚温の経時変化を計測したデータを示す。図10で
は、比較のために、睡眠に適した環境である中間期(秋
期における空調なしの環境下)の場合と、従来の温度一
定制御の場合のデータも表示している。
【0083】図10より明らかなように、睡眠開始から
の前額部皮膚温の低下傾向は、睡眠制御を行った場合の
方が大きい。前額部皮膚温は脳温に比較的近いと考えら
れ、快眠の条件である深部体温(脳温)の速やかな低下
が行われていることが分かる。従って、睡眠開始時の温
度低下の勾配が大きいほど入眠促進の効果が高いことよ
り、本睡眠制御により、快適な入眠状態が得られている
ことが分かる。
【0084】また、通常のエアコン運転を一晩続けると
サーカディアンリズムに伴う朝方の深部体温の上昇が遅
れるといわれるが、本発明による睡眠空調制御では、中
間期の場合と同様に、朝方に前額部皮膚温の上昇が見ら
れ、サーカディアンリズムに合致した生体負担の小さい
空調制御が実現されているといえる。
【0085】図11は、睡眠時の脈拍数の経時変化を示
す。図11より明らかなように、本空調システム(1)を
用いた場合の方が、中間期の場合に比べて、脈拍数の低
下傾向が大きい。一般に、覚醒時には交感神経の活動が
活発で、脈拍数は比較的高いが、睡眠時は交感神経の活
動が少なくなり、副交感神経の活動が多くなるため、脈
拍数が低下する。脈拍数の低下傾向が大きいことは、リ
ラックス度や睡眠の質が高いことを示す。従って、図1
1より、本発明による睡眠制御は、十分に質の高い睡眠
をもたらしていることが分かる。
【0086】<実施形態2>上記実施形態1では、湿度
検出手段として、シーツ(5)の下に分散して配置された
複数の湿度センサ(6,6,…)を用いている。しかし、実施
形態2においては、湿度検出手段を、人の体表面に直接
または間接に貼り付けられた発汗量センサによって構成
している。発汗量センサとしては、例えば、湿度センサ
を用いる。
【0087】このように、実施形態2では、体表面に貼
り付けた発汗量センサによって発汗量を直接的に検出す
ることができるので、睡眠状態の推定をより正確に行う
ことができる。そのため、睡眠リズムに応じた快適な空
気調和をより高精度に実行することが可能となる。
【0088】<他の実施形態>なお、上記実施形態で
は、ルームエアコン(2)の運転制御を専ら設定温度の調
節によって行っていたが、その運転制御はこれらに限定
されるものではない。例えば、ルームエアコン(2)の設
定温度を上昇させる代わりに風量を減少させてもよく、
設定湿度を上昇させてもよい。また、ルームエアコン
(2)の設定温度を低下させる代わりに風量を増加させて
もよく、設定湿度を低下させてもよい。また、それら温
度、風量及び湿度のいずれか二つ以上を組み合わせて運
転制御を行ってもよい。つまり、睡眠状態に基づいて、
風量制御または湿度制御を行ってもよく、温度制御、風
量制御及び湿度制御のいずれか二つ以上の制御を組み合
わせた空気調和を行ってもよい。
【0089】湿度検出手段の検出値は、発汗量と相関関
係のある物理量を指標する検出値であればよく、絶対湿
度に限定されるものではない。例えば、湿度センサ(6,
6,…)の検出値は相対湿度であってもよい。図12に示
すように、相対湿度に基づく睡眠制御によっても快適な
空気調和が実現される。
【0090】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、発
汗量の経時変化に基づくことにより、睡眠状態を高精度
に推定することができる。
【0091】第2の発明によれば、睡眠状態を判別する
睡眠状態検知装置を備え、睡眠状態検知装置が判別した
睡眠状態に基づいて調和空気を調整するので、個人差だ
けでなく、任意の時点における睡眠状態に適切に対応し
た空気調和を実現することが可能となる。
【0092】第3の発明によれば、睡眠中の発汗量の経
時変化のピークに基づくことにより、睡眠状態に適切に
対応した空気調和が可能となる。
【0093】第4の発明によれば、入床直後は深部体温
を速やかに低下させるような空気調和を行うことによ
り、十分に深い睡眠を速やかに提供することができると
ともに、発汗量の第1ピークが現れて発汗量が減少した
後は、放熱量を低下させるように空気調和装置を調整す
るので、過剰放熱による寝冷えを防止することができ
る。
【0094】第5の発明によれば、最初の深睡眠の後、
発汗量が上昇してピークの前にある状態になると、発汗
量が減少するように空気調和装置を調整するので、寝床
内湿度の上昇による中途覚醒を防止することができる。
さらに、発汗量が減少してピークの後にある状態になる
と、放熱量を少なくするように空気調和装置を調整する
ので、過剰放熱による寝冷えを防止することができる。
【0095】第6の発明によれば、簡易な構成により、
人体近傍の湿度を正確に検出することができ、発汗量を
高精度に検出することが可能となる。また、湿度センサ
は分散して複数個設けることとしたので、睡眠中に人体
が移動するような場合であっても、いずれかの湿度セン
サは人体近傍の湿度を確実に検出することができる。湿
度センサの検出値のうちの最大値を人体近傍湿度として
出力するので、人体近傍湿度を常に検出することが可能
となる。
【0096】第7〜第8の発明によれば、発汗量を精密
に検出することができる。
【0097】第9の発明によれば、入床直後は深部体温
を速やかに低下させるような空気調和を行うことによ
り、十分に深い睡眠を速やかに提供することができると
ともに、発汗量の第1ピークが現れて発汗量が減少した
後は、発汗量が増加するように空気調和を変更するの
で、過剰放熱による寝冷えを防止することができる。そ
して、最初の深睡眠の後、発汗量が上昇してピークの前
にある状態になると、発汗量が減少するように空気調和
を調節するので、寝床内湿度の上昇による中途覚醒を防
止することができる。さらに、発汗量が減少してピーク
の後にある状態になると、放熱量を少なくするように空
気調和を調節するので、過剰放熱による寝冷えを防止す
ることができる。従って、健康的で快適な睡眠環境を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】睡眠中の人間生理特性を示す図であり、(a)
は睡眠深度の経時変化、(b)は深部体温の経時変化、
(c)は発汗量の経時変化を示す。
【図2】睡眠生理に基づいて快眠条件を示す図である。
【図3】胸部に貼り付けた湿度センサによって検出した
睡眠中の人体近傍の湿度変化を示す図である。
【図4】シーツ下に設置した湿度センサによって検出し
た睡眠中の人体近傍の湿度変化を示す図である。
【図5】環境温と産放熱の関係及び覚醒時の空調設定温
度範囲を示す図である。
【図6】本発明の実施形態の全体構成を示す図である。
【図7】ルームエアコンの制御部の構成図である。
【図8】睡眠制御のフローチャートである。
【図9】睡眠制御実行時の経時変化を説明する図であ
り、(a)は睡眠深度、(b)は人体近傍絶対湿度、
(c)はルームエアコンの設定温度を示す図である。
【図10】睡眠中の前額部温度の経時変化を示す図であ
る。
【図11】睡眠中の脈拍数の経時変化を示す図である。
【図12】睡眠制御実行時の経時変化を説明する図であ
り、(a)は睡眠深度、(b)は人体近傍相対湿度、
(c)はルームエアコンの設定温度を示す図である。
【符号の説明】
(1) 空調システム (2) ルームエアコン (3) 制御部 (4) 寝具マット (5) シーツ (6) 湿度センサ (7) 信号線 (8) 伝送部 (11) 検出値出力部 (12) 湿度判定部 (13) 第1制御部 (14) 第2制御部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 睡眠時の空気調和を行う空気調和システ
    ムに用いられる睡眠状態検知装置であって、 睡眠中の発汗量を検出する検出手段(6)と、 発汗量の経時変化に基づいてレム睡眠状態またはノンレ
    ム睡眠状態を判別する判別手段(3)とを備えていること
    を特徴とする睡眠状態検知装置。
  2. 【請求項2】 睡眠中の発汗量を検出する検出手段(6)
    と、発汗量の経時変化に基づいてレム睡眠状態またはノ
    ンレム睡眠状態を判別する判別手段(3)とを備えた睡眠
    状態検知装置(M)と、 該睡眠状態検知装置(M)の判別手段(3)が判別した睡眠状
    態に基づいて調和空気を調整する空気調和装置(2)とを
    備えていることを特徴とする空気調和システム。
  3. 【請求項3】 少なくとも冷房運転を行う空調能力の可
    変な空気調和装置(2)と、 睡眠中の発汗量を検出する検出手段(6)と、 該検出手段(6)の検出値を受け、発汗量の経時変化のピ
    ークに基づいて上記空気調和装置(2)の運転を制御する
    制御手段(13,14)とを備えていることを特徴とする空気
    調和システム。
  4. 【請求項4】 少なくとも冷房運転を行う空調能力の可
    変な空気調和装置(2)と、 寝床内の湿度を検出する湿度検出手段(6)と、 該湿度検出手段(6)の検出値を受け、該検出値が上昇し
    て第1所定値よりも大きくなった後、該検出値が減少し
    て第2所定値よりも小さくなると、空調能力が低下する
    ように上記空気調和装置(2)の運転を制御する第1制御
    手段(13)とを備えていることを特徴とする空気調和シス
    テム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の空気調和システムにお
    いて、 第1制御手段(13)によって空調能力が低下するように空
    気調和装置(2)の運転が制御された後、 湿度検出手段(6)の検出値を受け、該検出値が上昇して
    第3所定値よりも大きくなると、空調能力が増加するよ
    うに該空気調和装置(2)の運転を制御し、 該湿度検出手段(6)の検出値が減少して第4所定値より
    も小さくなると、空調能力が低下するように該空気調和
    装置(2)の運転を制御する第2制御手段(14)を備えてい
    ることを特徴とする空気調和システム。
  6. 【請求項6】 請求項4または5のいずれか一つに記載
    の空気調和システムにおいて、 湿度検出手段は、シーツ(5)の下に分散して配置された
    複数の湿度センサ(6,6,…)から構成される一方、 該湿度センサ(6,6,…)の検出値のうちの最大値を湿度検
    出手段の検出値として出力する検出値出力手段(11)を備
    えていることを特徴とする空気調和システム。
  7. 【請求項7】 請求項4または5のいずれか一つに記載
    の空気調和システムにおいて、 湿度検出手段は、人の体表面に直接または間接に貼り付
    けられた発汗量センサによって構成されていることを特
    徴とする空気調和システム。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の空気調和システムにお
    いて、 発汗量センサは、湿度センサによって構成されているこ
    とを特徴とする空気調和システム。
  9. 【請求項9】 入床時には所定の初期温度(T0)の調和空
    気を供給し、 その後、発汗量が時間の経過とともに上昇して第1所定
    値を越えた後、減少して第2所定値よりも小さくなる
    と、該初期温度(T0)よりも高い第1温度(T1)の調和空気
    を供給し、 その後、発汗量が時間の経過とともに上昇して第3所定
    値を越えると、該第1温度(T1)よりも低い第2温度(T2)
    の調和空気を供給し、該発汗量が時間の経過とともに減
    少して第4所定値よりも小さくなると、該第1温度(T1)
    の調和空気を供給することを特徴とする空気調和方法。
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