JP4538592B2 - スクリ−ン印刷版の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スクリーン印刷版の製造方法に関する。
従来、スクリーン印刷版は、版面が柔軟である、あるいはインクを厚塗りできるという特徴を有していることからいろいろな分野に用いられている。例えばスカーフや洋服や運動靴などの模様印刷、美術印刷、銘板印刷、ビンやプラスチック容器などの曲面印刷などが挙げられる。また、最近ではプリント基板などの印刷にも応用されている。スクリーン印刷版を製版するためには、従来、絹、ナイロン、テトロン、ステンレス等の材料を用いて作られたスクリーン印刷版用メッシュをスクリーン枠、例えばアルミニウム製スクリーン枠に張り、この上に感光剤、例えば酢酸ビニール樹脂、ポバール樹脂よりなる乳剤に感光剤としてジアゾ樹脂等を加えた感光性乳剤を、前記メッシュ上に塗布し乾燥させて感光層を作る。この感光層上に、画像を形成したフィルムを密着して高圧水銀灯や紫外線ランプ等により、焼き付け、水現像及び乾燥を行なって、スクリーン印刷版用メッシュ上にパターンを形成させていた。
また、近年版下を作成せずに簡便に印刷することが出来る方式として、感熱性孔版印刷システムを用いることによって、オフィス内で用いられる印刷物や刊行物等をオフィス内部で原稿作成から印刷まで行なえるシステムが確立しつつある。
しかしながら、版下を用いないで、ダイレクトに製版し、且つ印刷する一体型の感熱性孔版プリンターが出現し、普及しつつあるものの、その簡便さや、低ランニングコストの点では歓迎されてはいるが、印刷画質や、裏抜け、裏移り等の印刷品質や十分な耐久性の点では全く満足されるものではないのが現状である。
さらに、インクジェットプリンタを使用しスクリーン印刷版用メッシュに、直接、遮断部材を所定のパターンで形成するスクリーン印刷版の製造方法が提案されている。この時、スクリーン印刷版用メッシュのみでは十分な強度を確保できないので、メッシュ部位の補強や形状維持のため、メッシュ部位を支持する支持基材がスクリーン印刷版用メッシュに接触配置されている。その支持基材は、所定のパターン形成後、剥離等により除去されることが記載されている。(特許文献1)
また、スクリーン印刷版用メッシュの裏面に裏材料を接触配置することで遮断部材の滴が、メッシュを通過することを防止することが記載されている。(特許文献2)
特開2003−89282 特開平6−71839
しかしながら、これらの方法ではスクリーン印刷版の強度を確保したり、遮蔽部材滴がメッシュ間を通過することを防ぐことはできるが、紫外線硬化インクを紫外線で照射して硬化させた後、スクリーン印刷版の作成のために支持基材または裏材料をスクリーン印刷版用メッシュから剥離する時、紫外線硬化インクが支持基材または裏材料と接着して容易に剥離できないという問題や剥離できたとしても紫外線硬化インクの一部が、支持基材または裏材料に接着してメッシュ間からちぎり取られることで、微細なパターンの一部がちぎれ高品位な印像が形成できないという問題もあった。
本発明は、このような実情のもとに創案されたものであり、その目的は、版下を用いることなくダイレクトに製版でき、しかも、遮蔽部材滴の無駄な消費をなくし、高品位で美しい所定のパターンを形成し、製版の耐久性も良く、多数枚印刷することが可能なスクリーン印刷版の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するために、第一の発明は水溶性シートとスクリーン印刷用メッシュを貼り合わせる工程と、前記スクリーン印刷用メッシュ側より紫外線硬化インクで所定のパターンを形成し、紫外線を照射させ前記紫外線硬化インクを硬化させる工程と、前記紫外線硬化インクを硬化させた後、前記水溶性シートを除去する工程とを有することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法である。
また第の発明は、前記水溶性シートの厚みが3から100μmであるスクリーン印刷版の製造方法である。
また第の発明は、紫外線硬化インクジェットプリンタを使用し、前記所定のパターンを形成することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法である。
本発明によって、版下を用いることなくダイレクトに製版でき、しかも、遮蔽部材滴の無駄な消費をなくし、高品位で美しい所定のパターンを形成し、製版の耐久性も良く、多数枚印刷することが可能な紫外線硬化インクを使用したスクリーン印刷版の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態を説明する。
本発明に用いられる水溶性シートとしては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂,デキストリン,ゼラチン,にかわ,カゼイン,セラック,アラビアゴム,澱粉,蛋白質,ポリアクリル酸アミド,ポリアクリル酸ソーダ,ポリビニルメチルエーテル,メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体,酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体,ポリビニルピロリドン,アセチルセルロース,アセチルブチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
なお、前記水溶性シートの厚みとしては3〜100μmが好ましい。3μmより薄い場合は、スクリーン印刷用メッシュと貼り合わせた場合に、十分に固着できない。また、スクリーン印刷用メッシュと前記水溶性シートの間で厚み方向に微小な空間が生じることによりインクのにじみが発生する。
逆に、100μmより厚い場合は、スクリーン印刷用メッシュが前記水溶性シートに埋もれてしまい前記水溶性シートの除去が良好に行えない。
つぎに本発明の印刷版に用いられるスクリーン印刷用メッシュの材料としては,一般に用いられている絹、ナイロン,テトロン,ステンレス,ニッケル等を使用することができ、上記材料を織る、あるいはメッキ、エッチング等の多孔性シート状にする等の加工を施すことにより作製される。
先ず、前記水溶性シートとスクリーン印刷用メッシュを重ね合わせる。このとき、圧着もしくは加熱圧着することで前記水溶性シートと貼り合わせる。次にスクリーン印刷用メッシュ側より紫外線硬化インクで所定のパターンを形成し、紫外線を照射させ紫外線硬化インクを硬化させる。その後、水洗等により前記水溶性シートを除去することによりスクリ−ン印刷版が製造できる
この所定のパターンの形成方法は、紫外線硬化インクジェットプリンタを使用することが利便上望ましい。
ここで本発明で用いられる紫外線硬化インクジェットプリンタについて説明する。紫外線硬化インクジェットプリンタとはノズルより紫外線の活性エネルギー線で硬化乾燥するインク組成物を噴射し、その後紫外線を照射することにより固着せしめるプリンタのことである。
紫外線の活性エネルギー線で硬化乾燥するインク組成物は通常、紫外線硬化性組成物と光重合開始剤より構成される。また良好な吐出安定性を確保するために前記紫外線硬化性組成物を溶解する有機溶剤を含有してもよい。また必要に応じて増感剤、着色剤等を含有してもよい。
本発明に使用できる紫外線硬化性組成物とは、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等があり、これらは各々、単独または2種類以上併用して用いる事ができる。
本発明に使用できる単官能(メタ)アクリレートとして例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に使用する光重合開始剤は、用いる紫外線硬化性組成物が硬化できる公知のものがいずれも使用できる。
本発明に使用する光重合開始剤として、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
また、上記光重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミンおよび4、4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性組成物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
本発明で使用する紫外線硬化インクは、常温で液状であり紫外線照射で急速に乾燥・硬化されるのでインクのにじみも少なく、スクリーン印刷インクに対する耐油性、耐溶剤性もあるものである。
以下に、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
厚みが25μmのポリビニルアルコールシートとNBC株式会社製スクリーン印刷用メッシュクロスV250(メッシュ数:250/inch)とを重ね合わせ、100℃にて加熱圧着させた。次にスクリーン印刷用メッシュクロス側より紫外線硬化インクジェットプリンターを利用して所定のパターンを形成した。その後に紫外線を照射後、水洗によりポリビニルアルコールシートを溶解除去しスクリーン印刷版とした。
紫外線硬化インクは、メチルメタアクリレート70部、1、4−ブタンジオールメタアクリレート20部、2−イソプロピルチオキサントン10部なるものである。
また、紫外線硬化インクジェットプリンターは、400dpi、印字速度100mm/secなるものである。
硬化条件は、水銀ランプで積算光量500mj/cmである。
次に、実施例で得られたスクリーン印刷版をスクリーン印刷機にセットして、実際に印刷テストを行った。その結果、本発明の印刷版は鮮明で良好な高品質の印刷物を得ると共に、スクリーン印刷版の製版の耐久性も良くなり多数枚印刷(1000枚以上)することが確認された。

Claims (3)

  1. 水溶性シートとスクリーン印刷用メッシュを貼り合わせる工程と、前記スクリーン印刷用メッシュ側より紫外線硬化インクで所定のパターンを形成し、紫外線を照射させ前記紫外線硬化インクを硬化させる工程と、前記紫外線硬化インクを硬化させた後、前記水溶性シートを除去する工程とを有することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
  2. 前記水溶性シートの厚みが3〜100μmである請求項1記載のスクリーン印刷版の製造方法。
  3. 紫外線硬化インクジェットプリンタを使用し、所定のパターンを形成する請求項1または2に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
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